【エルサレム岸本卓也】
シャロン・イスラエル政権は9日未明、パレスチナ自治区のトゥルカルム、カルキリヤの2都市からイスラエル軍を撤退させる一方で、西岸ヘブロン近郊などに侵攻、他の市町村では軍による封鎖が続いた。パレスチナ自治政府側は「撤退とは言えない」と非難した。
軍は同日、ヘブロン近郊の町ドゥラに侵攻したが、侵攻が長期化するかどうかは定かでない。侵攻の目的は指名手配者の逮捕と武器の押収という。パレスチナ自治政府のラボ文化情報相は各報道機関に対し、2都市の市街地から撤退した軍が市の周囲を包囲していることを指摘し、「イスラエル側のペテンだ」と厳しく反発した。同氏は「もし、米政府がペテンを許しているならば、米政府も共犯だ」と批判した。
米政府はアラファト議長とパウエル国務長官の会談が安全に行われるように、議長を監禁状態に置いている議長府周辺からのイスラエル軍撤退を優先するよう求めている。
これに対し、イスラエル政府は「過激派掃討作戦が完了すれば撤退する」との方針だが、ラマラの封鎖解除にはシャロン首相が強く反対しているという。