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(回答先: Re: 論争を仕掛けた財務省は反論の義務がある 投稿者 あっしら 日時 2002 年 5 月 09 日 14:29:20)
欧米系格付け会社フィッチ・レーティングスは8日、財務省の日本国債の格付けについての意見書に対して回答し、日本国債の債務不履行の可能性は小さいが、もはや最上級にあたる“トリプルA”の格付けの範ちゅうではない、などと説明した。これに対して財務省筋は、回答では意見書に示した格付けに対する疑問点に十分には答えていないとの見方を示し、正式な見解は他の2社からの回答がそろってから示すとの見通しを明らかにした。市場では、米格付け会社のスタンダード・アンド・プア―ズやムーディーズ・インベスターズ・サービスからの回答の有無や、近く発表されると観測されているムーディーズによる日本国債格付け判定に財務省の意見書が影響するのかどうか、にも注目が集まっている。
財務省は4月26日に、日本国債の格付けは既に低すぎ、さらなる格下げは根拠を欠いているとし、格付け判定を具体的・定量的に説明するよう求める意見書を、欧米系格付け会社3社に対して、黒田財務官の名前で送付していた。
フィッチは8日、これに対する回答を財務省に送付したことを明らかにし、「日本国債の債務不履行の可能性は小さいとみているが、もはや“トリプルA”の格付けの範ちゅうではないと考えている」との見方を示した。 フィッチは1998年9月にそれまでトリプルAだった日本国債の格下げに踏み切り、2001年11月には最上級から2段階低い“ダブルA”に格下げし、先行きについてもさらなる格下げの可能性を示す“ネガティブ”とした。
回答のなかでは、財務省が意見書で、“先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか”、と疑問を呈したのに対して、フィッチは、「(現在の状況を矯正するような政策実施無しには、)日本政府は紙幣の発行か債務不履行のいずれかでしか抜け出すことのできない、国内債務の罠にはまってしまうかもしれない。そのようなシナリオでは、日本政府は、債券保有者との債務リスケジュール(返済繰り延べ)を実施する可能性がある」との見通しを示した。
また、“日本より経済のファンダメンタルズではるかに格差のある新興市場国と同格付けになることなどについて、どう説明するのか”、との問いに対しては、「公的債務など多くの要因をソブリン格付には加味している。一般的に日本と同レベルの自国通貨建て債務格付を持つエマージングマーケット諸国は、国内の公的債務がより低く、安定している」と説明した。
財務省筋は、「回答は受け取っている。フィッチの速やかな回答は評価したい。ただ、内容については、デフォルトとしてどういう事態を想定しているのか、といった我々の問いに対して、債務のリスケジュールなど非現実的な例が挙げられている。また、各国間の格付けの整合性についても、従来の説明が繰り返され、具体的・定量的な分析が説明されておらず、我々の疑問点に十分には答えていない」と述べた。
このうえで、同財務省筋は、「意見書は格付け会社3社に対して送ってあるので、正式な見解は全3社の回答がそろったところで示したい」と話した。
米スタンダード・アンド・プア―ズは、ソブリン格付け担当者が、“書面で回答する”との見解をすでに示しているが、現時点では「意見書に対する対応は、検討中だ」(広報)という。また、米ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、「東京オフィスでは、まだNYから情報を得てない」(広報)という。
複数の関係筋の話では、意見書のような書面での格付けに対する問い合わせに対しては、書面で答えるというのが一般的だという。ただ、回答の有無がまず、決められる必要がある、との指摘や、意見書に対する回答が必ずしも公表されるかどうかも不透明なのではないか、との見方も示されている。
今年2月13日にムーディーズ幹部が、“日本国債の格付けに関する決定は、3カ月以内に行う”と発言したことから、市場では、発言から3カ月にあたる来週初13日までに、ムーディーズがシングルA格への日本国債格下げを発表するとの観測がある。財務省は、「意見書を出した結果として、これまでの(日本国債の格付けについての)傾向が変わるというポジティブな結果が見られればいいが、それが目的ではない」としているが、市場では、「今回、財務省が格付けに対する意見書を出したことで、格付け決定に何らかの影響があるのではないか」(上位都銀)との見方も浮上し、その行方が注目されている。