【ワシントン9日=共同】国際通貨基金(IMF)は9日発表した世界経済見通しで、深刻なデフレに直面する日本に対し、日銀による追加の金融緩和と果敢な構造改革が必要との認識を表明した。
日本経済が、企業の生産活動など一部に下げ止まりの傾向を示す一方、依然として継続的に物価が下落するデフレからの脱却と本格的な景気回復に向かう兆しが見えないことから、デフレ対策として量的金融緩和の拡大と、思い切った経済構造の変革を求めた。
こうした「日本問題」は今月下旬にワシントンで開かれる先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)でも取り上げられる見通しで、政府、日銀は一段の政策対応を迫られそうだ。
今回の世界経済見通しでIMFは、第二次大戦後に先進国で唯一日本がデフレに直面し、現在の景気後退はバブル崩壊後の1993年以降3回目であることを指摘。その上で「デフレと構造問題の結合で重大な懸念が生じている」と憂慮の念を示した。
IMFの世界経済見通しには通常、各国・地域別の国内総生産(GDP)実質成長率見通しが盛り込まれるが、今回は見通しの裏付けとなる経済分析を先行して公表し、残りは十八日に発表予定。日本の成長率は2002年にマイナス1・0%、03年はプラス0・8%と伝えられている。