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新札発行・本当の狙いは偽造対策ではなく禁じ手「究極のデフレ対策」か 森永 卓郎(経済アナリスト)
エコノミスト 2002.8.27
http://www.f-open.or.jp/~fks511/torend.html
・新円切り替えの布石
「もしかすると、この新札切り替えは、「新円切り替え」の布石なのではないだろうか。日本経済を再建するためには、デフレからの脱却が不可欠ということは、コンセンスになっている。ところがデフレ脱却のために財政出動をする余力はすでになく、インフレターゲティングによる思い切った金融緩和も、日銀の抵抗でできない。しかし、このままズルズルとデフレを続けたら、税収減によって財政は破綻してしまう。そこで究極のデフレ脱却策となるのが、「新円切り替え」「預金封鎖」「財産税」の3点セットなのである。例えば、政府が来年の今頃、2004年春の時点で現金および政府保証のあるすべての金融資産に、3%の課税をすると発表する。銀行預金、郵便貯金、簡易保険、生命保険、国債は課税、不動産と株式、社債、外資預金、外債は非課税とする。・・・」
「・・・実施日以降、旧札は使用禁止とし、国民が旧札を新札に取り替えにいくと、旧1万円札は9700円の新札で返ってくるのだ。銀行預金や郵便貯金は、自動的に残高を3%カットする。もし、この施策を発表したら何が起こるだろうか。まず現預金の価値が下がるから、モノに換えようという動きがでて、消費が増え、物価も上がってデフレから脱却できる。第2に、不動産価格が上昇するので、銀行の不良債権が大幅に解消する。第3に、個人金融資産のうち、少なくとも1000兆円が課税対象となるから、30兆円程度の財政収入が政府に転がり込む。まさに、一石三鳥の施策となるのだ。・・・」
「・・・もちろん、このデフレ脱却策を、今の時点で政府が実行すると決断していることはないだろう。現金の洗い出しや財産税というのは、富裕層やアンダーグラウンドマネーを抱える層にとっては許し難い暴挙だから、政権が転覆してしまう可能性もあるからである。ただ一つ確かなことは、新札と住基ネットIDで、こうした「暴挙」を可能にする道具立てが揃ったということである。」
この記事についての本音言三のヤブニラミ解説
小泉首相の振付役である財務省キャリア組の頭の中にはこの程度の悪知恵は当然あると考えるべき。彼らは並の愚か者ではない。国家財政破綻の現実は誰よりもよく知る立場にいるし、その対応策が極めて限られたものであることも分かりきっている。タイミングと理由づけを探りながら、政局の流れを読むことに集中している姿が浮かび上がる。