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(回答先: Re: これからの日本の行方はイバラの道。それでも進むしかありません。 投稿者 ビルダーバーグ 日時 2002 年 7 月 29 日 16:15:28)
ビルダーバーグさん、こんにちわ。
>あっしらさんが、どこかでデータに基づいて解析していましたが、日銀が通貨供給量
>を増やして、市中出回り通貨を増やそうとしても、どこかのブラックボックスに吸い
>込まれて、設備投資も消費活動も上がらない、マネーサプライだけは増える、という
>ことが続いているわけでしょう。通貨供給量を増やせば、基本的にはインフレ基調に
>なるはずですが、タンス預金か何かで、皆、死蔵されているようですね。となると、
>現状は「心理的不況」ともいえそうです。
「心理的不況」という側面もありますが、それを引き起こしているのも、通貨を吸い込む巨大ブラックボックスと化した銀行です。
日本で増加した通貨は、厖大な不良債権を抱えて何とか生き延びようとしてきた銀行に吸い込まれていきました。
(バブル形成過程で儲けた経済主体やバブル崩壊過程で儲けた経済主体は高笑いで、それらの過程で損失を被った経済主体のツケを銀行を介して国民経済が支払っているわけです)
タンス預金やゴールドバーが増えたとは思いますが、預金自体がたいして増えていないことも経済活力が低下していることの反映です。
>ただ、日本では個人ベースで1400兆円のストックがある、という説は、浅井隆氏
>や副島隆彦氏らの本を読むとウソで、1400兆円の中には、住宅ローンの未払い分
>など、バランスシートでいえば、資産と負債に”両建て”しなければならない分も丸
>ごとカウントされているようで、実際の「可処分資産」は600兆円もない、といい
>ます。となると、「日本はまだまだリッチ」といえるのかどうか、も疑問なし、とし
>ません。
家計部門が600兆円の債権超過としても、地方を含めた公的債務残高が900兆円ほどあると見られ、企業部門は債務超過であることを考えると、国民経済内では債務超過です。
対外債権を考慮すると、プラマイ0かなと思っています。
重要な指標ではありますが、金本位制ではないので、通貨資産状況にそうこだわることはありません。
要は、現在的な資本活動力であり、将来的な資本活動力です。
近代経済システムは、リッチであると言うことが、資産ではなく、資本活動力で評価される段階にとっくに突入していたのです。
現実的にはすごく重要な通貨が、経済論理的には、そのままでは無価値であることを多くの人が気づくことが苦境の脱却にとって何より重要なことだと考えています。
>副島氏が一時、しきりにアタックしていましたが、日本国家が今、債務超過なのかど
>うか、もよく分からないし、日銀のバランスシートも公表されているものが、裏がな
>いのか、もよく分からない。
上記の意味から言えば、貿易収支が黒字でかつ所得収支が黒字でありながら経常収支の黒字がどれほどあるのかが、国民経済の力を測る基準だと考えています。
日本円の価値も、それに支えられたものであり、日銀の資産状況に負うものではありません。(日銀は、価値を維持する金融政策さえ採れば十分といえる存在です)
GDPに占める輸出や輸入の大きさが10%そこそこだからと言って、軽く考える経済学者もいますが、経常収支が黒字であるかないか、とりわけ、貿易収支が黒字であるかないかは、国民経済にとって極めて重要な指標です。
(貿易収支の黒字を継続すれば、所得収支も黒字に転換するようになります。しかし、所得収支が黒字であるだけであれば、国民経済は弱体化していきます)
>この点については、以前、マルクス経済学の見方のひとつとして、「基軸帝国主義」
>という概念を紹介しました。キャリアの中には、マル経を良く勉強している人もけっ
>こういる、と聞きます。
マルクス経済学というより宇野経済学と言った方がいいでしょう。
宇野派の方々は、政治的価値観を出来るだけ排除して経済分析を行うよう心掛けているので、マルクスの言説を切り貼りしている講座派の方々よりずっとまともな論理を展開しています。
(古くは満鉄調査部を支えた主力も宇野派の方々です)