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(回答先: Re: いくつかの補足 投稿者 あっしら 日時 2002 年 7 月 29 日 20:09:25)
あっしらさんへ。雑駁なレスですいません。経済問題は、脂溶性のファンダメンタルスにネックがあって、同じレベルで議論ができません。少し補足しますと、日本(政府・日銀)はもちろん、サプライサイド、マネタリスムのみで財政・経済運営をしているわけではありません。
ケインズ流のフィスカル・ポリシーも続いているわけですが、これは経済政策というより、永田町の力学でしょう。だから、宗男がほえれば、北海道の原野に幅10メートルの道路ができたりするわけです。しかし、都市基盤整備のための公共投資の方が、過疎地への公共事業より、はるかに、景気浮揚の効果がある、むという議論も本当に実証されているのでしょうか。市場原理からいえば、従業員数も企業数も今の半分以下にリストラすべき建設業界が、公共投資のおかげで、奇形的に延命していること、これも、マネーサプライを呑み込むブラックホールでしょう。日米弘蔵協議の時点で、こうした「税金にぶら下がる業界」をシュリンクさせておくべきだった、と大前研一さんあたりが言っていますが、その通りでしょう。
それから、金融機関がブラックホールになっているのは、おっしゃる通りだと思います。貸し出しが増えない以上、銀行にすれば、マネーサプライを増やされても「迷惑な話」でしょう。信用創出という資本主義下での金融機関の基本機能が麻痺しているわけですから、ケインジアンもマネタリストのいうことも、通用しないのは、当然です。
1400兆円の個人資産についてですが、厚生年金や企業年金の自己負担分、生命保険や損害保険の掛け金のトータルも個人資産にカウントされているそうです。勝手に引き出して使えないこれらの掛け金を資産にカウントしても、数字を膨らます効果しかないでしょうし、当然、負債の方にも計上すべきものでしょう。米国では、こうした「掛け金」は個人資産には勘定していないそうです。
また、ブラックホールのひとつとして、高齢者が金を使わず、相続をなかなかしないことも大きいようです。年220万円までは非課税で生前贈与できる筈ですが、太平洋戦争と戦後の混乱で苦労した世代は、戦後世代への世代論的不信感もあってか、死ぬまで相続をしないようです。このため、相続を受けた時にはもう70歳台になったりして、こちらも、消費行動のパワーもなくなっており、結局、資産は(相続税分を除いて)死蔵され、流動化しないようです。これも、世界一という個人資産がいっこうに経済過程に入らず、経済再生が起きない理由のひとつのようです。
米国のように「借金をしてでも、モノを買う」という商品物神崇拝風土とのカルチャーの違いも大きく影響しているようでする。