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政府税制調査会(首相の諮問機関、石弘光会長)は14日、中長期的な税制見直し案「あるべき税制の構築に向けた基本方針」を小泉首相に答申した。財政再建の必要性を前面に打ち出し、国民の税負担増が不可避と明記。「広く薄い負担」や「不公平感の是正」を理念として、所得税の課税最低限引き下げ、赤字法人への課税などを課題に挙げ、将来の消費税率引き上げ方針も明確にした。
基本方針は国と地方の債務残高が約700兆円に積み上がり、少子高齢化で社会保障費も膨らむなか、財政再建のための負担増が避けられないと強調。景気低迷で当面は「課題になり得ない」としつつも、増税への理解を求めた。
個別税目のうち所得税では、増えすぎた控除を簡素化し、人的な控除を(1)基礎控除(2)配偶者控除(3)扶養控除の三つに集約化することを基本に、課税最低限を引き下げる方針を明確にした。
とくに配偶者関係の控除は、男女平等社会の面からも廃止・縮小を提言。高校・大学生の世代の子どもに対する控除の割り増し措置(特定扶養控除)も廃止を含めた見直しを求めた。
消費税は、現行の税率5%になって初めて「税率を上げる必要がある」と明示した。将来、欧州諸国並みの10%以上の税率にする場合には、食料品などの税率軽減も検討する。当面、国民の不信感の解消のため、納めるべき税が中小の事業業者の手元に残る「益税」の解消などをめざす。
企業課税では、地方税の法人事業税に外形標準課税を早急に導入し、赤字法人にも税負担を求めるよう提言。導入による法人課税の実効税率引き下げ効果にも言及している。一方、経済界に根強い国税の法人税率引き下げは「すでに先進国並みの水準」と退けた。
政府がデフレ対策に掲げる研究開発向け減税などについては競争力強化の意義を認めつつ、「財政悪化を招かないよう具体的な増税策と一体化すべきだ」と財政規律の重視を鮮明にしている。
政府は基本方針のうち、所得税の各種控除の見直しや、外形標準課税の導入など一部を03年度の税制改正で実現させる考えだ。税調は7月から地方公聴会を開くが、与党内からもすでに強い反対の声が出始め、年末に向けた03年度税制改正作業は難航しそうだ。(20:39)