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Re: 日本経済をさらに泥沼に押し込め税収も減らす愚かな税制変更 投稿者 あっしら 日時 2002 年 6 月 15 日 02:30:36:

(回答先: 国民の税負担増は不可避 政府税調が税制見直し案を答申〔朝日新聞〕 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 6 月 14 日 21:27:02)

増税が、必ずしも税の増収に結びつくわけではない。
経済成長促進目的の税制変更が、必ずしも経済成長をもたらすわけではない。

税制改正の目的が達成できるかどうかは、思弁的な予測や期待を持ち出さなくとも、ここ10数年のあいだに行ってきた税制変更と国民経済及び税収の関係を見直せばわかることである。


下記の表は、89年に実施された消費税3%&高額所得者減税と98年に実施された消費税5%への引き上げが経済と税収にどういう影響を与えたかがそれなりにわかるものである。


     新規国債  歳出  税収 名目GDP 税収/GDP
================================================================
83年度 13.5 50.6 32.4 285.5 11.3
84年度 12.8 51.5 34.9 304.8 11.5
85年度 12.3 53.0 38.2 325.8 11.7
86年度 11.3 53.6 41.9 340.9 12.3
87年度  9.4 57.7 46.8 355.8 13.1
88年度  7.2 61.5 50.8 381.6 13.3
89年度  6.6 65.9 54.9 409.6 13.4 *
90年度  7.3 69.3 60.1 441.9 13.6
91年度  6.7 70.5 59.8 469.2 12.7
92年度  9.5 70.5 54.4 481.6 11.3
93年度 16.2 75.1 54.1 486.5 11.1
94年度 16.5 73.6 51.0 491.8 10.4
95年度 21.2 75.9 51.9 497.7 10.4
96年度 21.7 78.8 52.1 510.8 10.2
97年度 18.5 78.5 53.9 521.8 10.3
98年度 34.0 84.4 49.4 515.8  9.6 *
99年度 37.5 89.0 47.2 512.5  9.2
00年度 33.0 89.3 50.7 513.0  9.9
01年度 30.0 86.4 49.8 
02年度 30.0 81.2 46.8 496.2  9.4

※ 02年度のGDPは政府見通しで、税収は予算を下回る可能性が高い
  01年度は、5兆円ほど実際の税収が下回りそうである。


89年の税制変更は税収面で貢献しているように見えるが、「バブル形成末期」であることから、不動産関連諸税や金融取引諸税の状況を勘案して考える必要がある。
と穏当に言いいたいところだが、「株式バブル崩壊」は、株価指数ベースでは89年11月に始まり、日経平均ベースでは90年1月に始まっているのだから、税制変更が「株式バブル崩壊」に与えた影響をきちんと再検討する必要があると考えている。
日本の株式取引は法人主体で行われているのだから、法人の余剰資金が縮小すれば株価の上昇エネルギーは減退することになる。(「株式バブル崩壊」は、仕掛けられたものだと考えているが、その仕掛けが巧く働くためにはそれなりの条件が必要である)

「デフレ不況」が色濃くなった98年に実施された税制変更は、増税が税の増収につながるわけではないことを如実に示している。(このときは、消費税以外にも社会保険料の引き上げや医療費自己負担率引き上げがあり、それらを少しは打ち消すための“特別減税”が実施された)

消費税率を引き上げたことで、税収の絶対額と税収のGDP比がともに下がっているのである。 GDPも、実質でマイナス1.1%、名目でマイナス1.2%を記録している。
そして、98年以降、本格的な「デフレ不況」が吹き荒れ続けているのである。

97年に財政再建・税収増大という名目で「消費税率引き上げ」や「社会保険料引き上げ」を決定した政治家(橋本政権及び賛成した国会議員)は議員辞職をすべきだし、そのような政策を立案した大蔵省の官僚も職を辞すべきである。

国民に痛みを与えたことではなく、政策の目的として掲げた内容を実現できなかったどころか、逆に、目的に反する結果をもたらしたことが問題なのである。

そのような非難に対して、政治家や官僚が、「景気の循環的な変動のせいだ」とか「予測できないことだ」といった類の言い訳をするのであれば、日本は救いが期待できない国家だとあきらめるしかない。

98年は、94年から97年までとそれほど変わらない経済条件にあったと考えていいだろう。
97年夏から起きた「アジア通貨危機」により、98年は「アジア不況」という環境にあった。しかし、98年に限らず、アジア諸国が回復してもずっと税収が対GDPで10%を下回っているから、それを言い訳にはできない。


89年の消費税導入で「バブル崩壊」を引き起こし、98年の消費税引き上げで「デフレスパイラル」に引き込んだとも言えるのである。(「バブル崩壊」は遠からず起きるものではあったが...)


政府は、つい最近の“失政”さえもきちんと反省せずに、再び、「低中所得者増税(負担増)」や「消費税引き上げ」を志向しているのである。

志向されている税制変更が行われたら、医療費自己負担3割化とあいまって、「デフレ不況」は、間違いなくさらに悪化することになる。


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