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(回答先: せいがく流構造改革社会は夢か 投稿者 せいがく 日時 2002 年 11 月 15 日 15:18:45)
せいがくさん、こんばんわ。
● 設定モデルが閉鎖経済社会の新モデル
「10人が屋根裏部屋に入り、彼らの所有・勤務する企業が消滅した結果、競争が緩和した業界では、価格の吊り上げが行われました。値上げをしてもそれ以外に選択肢がないため、消費者は購入量を落とすことはありませんでした。消費者達は貯蓄は十分あったのです。消費者たちはそれまでは所得の平均、15%もの貯蓄を行っていたのですが、それを低落させざるを得ませんでした。しかし、この結果、これらの業界では利益や給与がグンと上がり、先行きも明るく感じられるようになりました。こうした業界に属する人々が消費を増やすことから始まって、やがてそれは経済全体へ広がってゆくことになりました。」
【コメント】
貯蓄は貸し出しなどで既に使われていることも多いのですが、貯蓄の払い戻しが金融システムに影響を与えないという前提にします。
★ 新事業が興らない場合
結論的に言えば、屋根裏部屋に入った10人から供給活動を行っている企業や従事者への「通貨の移転」がしばらく続くだけで、10人の貯蓄が底をついた段階で激しいデフレが襲うことになります。
他の90人にも貯蓄があればそれが底をつくまでということになりますが、新たな条件で得た所得は消費に回す割合が高いという想定なので、企業が価格吊り上げで得られる超過利潤はそのうちなくなります。
結局、企業が得られる売上は、90人に支払う給与がマックスという状況になります、
貯蓄というストックは、一時的なフロー拡大には貢献しても、永続的なものではありません。
★ 新事業が興きた場合
10人やその他の人たちの貯蓄が消費に回ることで、それを狙った新規事業が興ったとします。(芸能でもいいわけですから人件費だけが必要だという想定にします)
新たな供給活動に従事できるのは10人ですから、そこから5人が参加したとします。
まず、これまで消費されていた財が必需品であれば、この事業は即破綻することになります。必需品の価格が吊り上げられているので、みんな必需品を手に入れることで所得や貯蓄の取り崩しを使ってしまうと考えられるからです。
従来の財が必需品ではなく、新規供給とのあいだで選択可能なものであれば、貯蓄取り崩しが増えない限り、従来の財価格が下落するか、売れ残ることになります。
どちらにしても、既存企業が価格吊り上げで得られていた超過利潤が減少することになります。
新しい供給のために取り崩す貯蓄の額を増やすとしても、他の人たちから新規供給活動に参加した5人への「通貨の移転」でしかありません。しばらく、5人に給与が支払われることになりますが、貯蓄が底をついた段階で5人の供給活動も既存企業の供給活動もうまくいかなくなります。
【結論】
閉鎖経済社会では利潤を得る手段は、他者からの「通貨の移転」以外にありません。
「通貨の移転」ではなく正真正銘の利潤を上げ続けるためには、輸出もしくは国際金融利得が不可欠です。
経済成長が続くためには、開放経済社会でも、輸出の増加(経常収支の赤字)か資本収支の黒字(通貨流入)が必要なのです。
もちろん、開放経済社会でも、世界という視点で見れば、利潤は「通貨の移転」でしかありません。国民経済の視点で見ることで、利潤になります。