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(回答先: 閉鎖経済社会での“利潤”は「通貨移転」のみ 投稿者 あっしら 日時 2002 年 11 月 15 日 19:00:48)
あっしらさん、コメント有難う御座います。
まず,モデルに使った「100人の経済」は日本経済を考えるための縮図ですから、潜在的な成長性/労働生産性は極めて高いという前提です。
>★ 新事業が興らない場合
>結論的に言えば、屋根裏部屋に入った10人から供給活動を行っている企業や従事者への「通貨の移転」がしばらく続くだけで、10人の貯蓄が底をついた段階で激しいデフレが襲うことになります。
>他の90人にも貯蓄があればそれが底をつくまでということになりますが、新たな条件で得た所得は消費に回す割合が高いという想定なので、企業が価格吊り上げで得られる超過利潤はそのうちなくなります。
>結局、企業が得られる売上は、90人に支払う給与がマックスという状況になります、
>貯蓄というストックは、一時的なフロー拡大には貢献しても、永続的なものではありません。
上述の議論に続く「新事業が興らない場合」も含め、この辺があっしら経済論理のかなり本質的なところの議論だと理解します。
上記の議論で見逃されているのは、次の点ではないでしょうか。 これまで貯蓄に回っていた部分が(屋根裏の10人のものも、経済サークルに残った90人のものも)が消費に回り始めます。低迷していた100人からなる経済はこの貯蓄部分が滞留し、投資(=総需要の一部)に回らなかったのが問題でした。まず、これにより経済が拡大方向に向くことは異論ないと思います。そして、肝心なのは、このことにより、消費者も供給者も「マインド」が変わってくることです。経済の停滞が終わり、これから景気が良くなるのだ、と感じ始め、消費を拡大し、投資を拡大し始めます。
このモデルには銀行部門が明示的には示されていませんでしたが、もしこれを導入するとしたら、経済の拡大とマインドの好転を反映し、信用創造プロセスが働き始めるはずです。これにより生産も消費も増加する好循環に入って行きます。マインドと人々の経済見通しの好転が決定的に重要ではないでしょうか。サプライサイドが刺激されれば、潜在供給能力は十分なのですから、産出量が高まるのは当然です。利益は高まっているのですから、賃金も増えると想定され、人々の購買力は高まっています。
潜在的な供給余力がある限り、経済環境が変われば、すべてが好転し、供給余力が開花するはずだということです。
屋根裏部屋の10人というのは、普通に言えば「失業者」ですが、別の見方をすれば「供給力の高まりを恩恵とした、何もしなくても食べて行ける貴族階級」と見ることもできます(労働階級である90人と貴族階級である10人の所得再配分さえうまく行けば)。この10人に「育児と介護」をしてもらうのも「これまでになかった新たな行政サービス」に従事してもらうのも良いアイデアですが、本質的な意味は、供給側技術進歩による特権的立場の創出なのだと言えます。