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回答ありがとうございました。 投稿者 ちょっと 日時 2002 年 11 月 08 日 04:58:13:

(回答先: Re: ボケ仙人さんに質問 投稿者 ボケ仙人 日時 2002 年 11 月 06 日 15:18:38)

質問に応えていただき有難うございました。

人類の歴史を見ると科学(合理精神)が蒙を啓いていった側面を否定しえないと思うのです。科学上の大発見があるたびに人々の宗教観と世界観が幾度と無く大転換してゆきました。例えば神は世界を6日で作り上げたなどということは無かったし、男が土からでき、女は男の骨からできたようなことも荒唐無稽であると科学を通じて分かったわけです。宗教の側はその都度、退歩と譲歩を重ね、「いや、あれは分かりやすいようにレトリックを使っただけだ」と言い逃れを続け、結局科学の力では到達できない領域を根城にしながら生息しているというのが実態だと思います(そしてその領域はどんどん狭められています)。

こうして考えてゆくと、輪廻転生も、キリストの死からの復活も、天照大神の神話も、神と悪魔の存在も実存ではなく、過去の人物の脳の中で産み出された幻想だと言い切る方が納得が行きます。そのような「物語」が悪いというのではありません。それにより人々の心の平安が保たれたり社会の秩序が維持される効用があるからです。

>本当の道を求めて様々に修行すると自ずから感じられる世界、感応するものが出てくるはずじゃ。何にもせんで、観念で神の有無を論じてもしょうがないぞ。

ボケ仙人さんは上記のようにおっしゃいます。そして修行を積めば自ずから感じられる世界があろうことは私も否定しません。しかし、それが「ある極限状況に置かれたために生起した脳内物質の物理的・化学的状態によって生じる現象」でないとどうして断言できるでしょうか。仏陀が得た悟りもその種の「幻想」だったのであり、「真理」なのではないと考える方が合理的です。

このような視点からすると、どのような宗教でも徹底的に相対化してゆけますし、それが唯一絶対の真理だという盲信から自由になることができます。しかし、どれだけ合理精神を発揮しようとも科学が発展しようとも絶対に到達し得ない境地があります。例えば、宇宙を産み出したビッグ・バンというエネルギーの正体は何なのか、宇宙を貫く法則が間違い無く存在するが(そうでないと物理学を始めとする学問は成り立たない)、なぜ世界は無秩序ではなくそのような法則が存在するのか、死後人間は無に帰するのか、物質と精神とは結局のところ何なのか。これらの問題については35世紀になっても78世紀になっても結論は出ないと思います(それまで人類が存在していればの話ですが)。これらの分からないことを全てカッコでくくり、「神」とか「創造主」という名称を与え、彼のベールを一枚一枚剥がして行くのが人類の営為である。だが玉ねぎの皮を剥くのと一緒で最後の到達点というものはなくいつまでも探求が続いて行く。そういうことだと思います。

およそ上述したような考えを私は持っているのですが、そうした中でボケ仙人さんの言説などに触れた時、「ワシの説は真理かどうかは分からん。誰も証明などできない。だが、これを真理と信じて生活をして損になることはない。むしろ様々な意味でより充実した人生が送れるじゃろ。」というスタンスならば全く問題を感じないわけです。これが私の言った「方便」であり「レトリック」の意味するところです。そこを踏み越え、「これは方便でもレトリックでもなく、真理じゃ。」とすると、宗教というものは厄介な問題を抱え込まざるを得ない性質を持っていると思うのです(ボケ仙人さんの宗教がそうだ、という意味ではなく、より一般的な意味ですが)。

こういった、ある種の宗教懐疑論についてどう思われるか、興味を持ちました。

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