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9・17の小泉首相訪朝から1週間ほど経過した。
「拉致問題」は今なお国民的追求課題になっているが、日朝事務レベル会議が開催されたように日朝国交正常化への道はゆっくりと進み始めた。
タイトルにした9・17以前に起きた3つの出来事は、起きた時点ではまったくバラバラのものだと考えていた。
しかし、9・17の日朝合意とそれに付随して説明された内容を基に顧みると無関係なものだとは思えない。
小泉首相の訪朝については、『あまりにも“雑”であまりにも“政治的”な合意』( http://www.asyura.com/2002/war16/msg/204.html )という書き込みで大雑把な見解を表明した。
「拉致問題」や「撃沈不審船問題」についての見解は添付書き込みリストを参照して欲しい。
かいつまんで自説を説明すると、北朝鮮による「拉致」はあったかもしれないが、今回の「8件11人」がすべて北朝鮮の拉致とは考えておらず、有本さんをはじめとするヨーロッパ組は“騙しオルグ”もしくは“納得違法入国”だと捉えている。
また、昨年末の撃沈不審船は、中国の犯罪者関連船舶だという見方をしている。
9・17日朝合意で、「拉致問題」が、ある人は拉致で、ある人は国内法違反の北朝鮮入国という色分けをされたかたちで発表されていればそれなりの納得もできたが、ヨーロッパ組も含めて一括して「北朝鮮の拉致」とされたことで疑念が残った。
(国内法違反というのは、10年ほど前まで北朝鮮は通常のパスポートでは入国できない領域だったことを指す)
● 田中真紀子外相解任劇
実のところ、自分でも穿ちすぎかなと思っているくらいで、田中外相の解任が日朝交渉とどう絡んでいるかは定かではない。
しかし、田中真紀子さんが現在なお外相であれば、9・17のような決着の付け方はできなかったのではないだろうかと考えている。
新潟を選挙区にしていることは別としても、「ジョーダンじゃないわよ。どうして1件1件ちゃんと明らかにできないのよ」と外務省官僚に向かって叫ぶ田中さんの顔が浮かんでくる。
不審船問題は政治的判断で素直に呑み込めるとしても、田中さんが、「拉致問題」を雑ぱくに8人死亡・5人生存というかたちで決着させることを容認することはなかったと思われる。
今回のような決着の付け方で進む交渉過程を大臣として見ていれば、アフガニスタン復興会議におけるNGO出席拒否問題以上の軋轢が外務省官僚とのあいだで生じたはずだ。
小泉政権は1年ほど前から水面下で日朝交渉が行われていたと説明したが、日朝交渉の“妥結見通し”がついたのは、今年に入ってからだろうと推測する。
(昨年末の「撃沈不審船事件」を受けて数度の日朝交渉が行われたことが大きなハズミになった可能性もある)
外務省及び内閣官房は、日朝交渉をスムーズに進めるためには、田中さんが外相でいることが大きな障害になると考えたはずだ。
(田中さんは、日朝国交正常化に反対ではないが、あのように雑な決着の付け方は認めないだろう)
● 八尾恵さん“拉致告白”
今年3月に八尾恵さんが“拉致告白”を行ったという報道を見聞きしたとき、公安当局に“落とされた”のかなとも思った。
それと同時に、彼女のそのような告白が、在北朝鮮の赤軍派メンバーが逮捕覚悟の帰国を表明したのと重なっていたことに不自然さに感じた。
(赤軍派の帰国表明は、彼らの存在が「テロ支援国家」の根拠となり米朝関係の一つのトゲになっていることを解消したいという動きだと推測している)
しかし、9・17を経た今考え直せば、赤軍派メンバーの元妻である彼女が「有本さんを私が拉致して北朝鮮工作員に引き渡した」と告白したことも、9・17に向けて用意されたものと思われる。
キム総書記が「特務機関や工作機関の一部が妄動主義や英雄主義で拉致を行った」という“対象”が、八尾さんが自白した“有本さん拉致”だけであってもいいことになる。
在北朝鮮の赤軍派メンバー安部が、有本さんの「結婚目的誘拐」罪で警視庁により国際指名手配されたという報道がなされているが、実行犯であると自白している八尾さんは現在どうなっているんだろう?
(「結婚目的誘拐」罪は、強姦罪と同じく親告罪で、有本さんのご家族が訴えでたことで成立した)
八尾恵さんの“有本さん拉致告白”は、在北朝鮮の赤軍派メンバー及び北朝鮮当局の指示によって行われたものだろうと推察している。
● 9・4“不審船騒動”
小泉首相が訪朝を発表したのが8月30日で、北朝鮮の国旗を煙突にペイントした“不審船”が能登沖韓国EEZに出現したのは9月4日のことである。
あの騒動も、日本側がまたまた“不審船”と言って煽り立てているなと思った程度だったが、やはり9・17の合意に備えた事前活動と考えたほうがすっきりする。
“不審船”も、「拉致問題」と並んで解決しなければならない日朝間の問題である。
北朝鮮側にしてみれば、昨年末の“不審船”は自国とは何ら関わりがないと発表しているから、9・4がないまま「“不審船”のようなことは二度と起こさない」とは言えない。
日中関係のみならずアジア全域のことを考えれば、北朝鮮も、昨年末の“不審船”が自国船舶と思われることになってもやむなしという政治的判断を行うだろう。
(どう抗弁しても、日本国民には北朝鮮だと決めつけられるという思いもあるだろう)
せっかく北朝鮮が“不審船”を出動させても、韓国のEEZ内の航行では日本側が気づいてくれない可能性が高いのだから、日朝(もしくは米朝さらには韓国?)がきちんと打ち合わせた上での“不審船”騒動と思われる。
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[参照書き込みリスト]
拉致問題:『素朴な推測です』( http://www.asyura.com/2002/war16/msg/273.html )
『いくつかの質問への回答』( http://www.asyura.com/2002/war16/msg/323.html )
不審船問題:『なぜあの“撃沈不審船”が中国人関連であってはいけないか』( http://www.asyura.com/2002/war16/msg/252.html )