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(回答先: Re: 自己責任と犯罪行為(長文失礼) 投稿者 小川 日時 2002 年 9 月 26 日 10:55:54)
小川さん、こんにちわ。
映画「告発の行方」の話は法律論議と考えることもできますが、豊田商事の詐欺被害者に対する批判言辞の話は法律論議とは異なる次元の話です。
(詐欺罪の構成要件を満たす者を無罪と主張しているわけでもなく、詐欺の被害者が法的責任を問われるべきと主張しているわけでもありません)
ざっくばらんに言えば、小川さんが法的論議という枠を超えた「事件の加害者と被害者」の問題を提起されたので、あなたが言われる「犯罪被害者の「自己責任」に関する問題、あるいは事前の処世訓」を持ち出したのです。
それに対して、「そのとおりでしょう。しかし、議論に値するとは思えません。」とのレスをいただいても返す言葉さえありません。
オヤジの言に対して、「交通事故における過失割合の認定」を持ち出されても、元々そういうレベルの議論ではないので、どうして??という対応になります。
>たとえば、詐欺において加害者は十二分に故意で、悪意です、そもそも。
豊田商事をそうではないというつもりはありませんが、詐欺罪に問われた被告のすべてが「十二分に故意で、悪意」というのはナイーブすぎます。
バブルの形成と崩壊というマクロ的な経済事象であれば、詐欺罪がテーマになることはありませんが、個々の“集金システム”の破綻は、詐欺を意図としていなくとも、詐欺罪として問われ、詐欺罪で有罪判決を受けることもあります。
有能と自負している国家統治機構が、バブルはいずれ崩壊するものであるとの認識さえきちんと持ち得なかったのですから、個々の金融企業が自分の“集金システム”が破綻するものであるとの認識をしていなかったとしても何ら不思議ではありません。
また、バブル崩壊後、破綻した信用組合など小金融機関の経営者は、追加貸し出しや担保不足貸し出しで特別背任罪に問われ有罪にもなりましたが、同様のことを行っていた大手金融金融機関の経営者がそのような罪を問われることは現在までのところありません。
(破綻したか破綻していないかは、特別背任罪の構成要件ではありません)
刑法罰の適用でさえ、国家(統治機構)の思惑が入り込んだものです。
>北朝鮮の場合も、他の情報や金正日の発言にもとづけば、違法行為をさせるために拉
>致したようです。
>さて、北朝鮮という小さいなりにも一定規模の国家、しかもその謀略機関と一日本人
>の場合です。しかも、前者は少なくとも善意ではありません。両者の非対称は明らか
>です。北朝鮮という全体主義国家のために、利するために日本人を拉致しました。
>やはり、それはすべて法的に拉致だと言えるでしょうし、多数の日本人妻などがほと
>んど自発的に帰国できなかった経緯を考えると監禁も含めて、国家犯罪であり、違法
>行為です。
「拉致問題」に関しては少ない範囲でいろいろ読んでいますが、日本政府が認定している拉致がどういう目的・どういう手法で行われたかは判然としません。
(それなりに説明になっているものがあることは認めますが...)
「拉致問題」については、1件1件、本当に北朝鮮当局者が行った“拉致”なのか、そうであれば、どういう目的でどういう方法で行ったのか、そして、生きているのか死んでいるのか、生きているのなら今どうしていて帰国意志はあるのか、死んだのならどういう経緯で死亡したのかのを、ピョンヤン宣言に署名する前に明らかにすべきだったという考えを持っています。
「日本人妻などがほとんど自発的に帰国できなかった経緯」についても、高度成長期の日本でさえ海外渡航制限を行っていたような“外貨維持政策”なのか、政治的思惑なのかを明らかにすべきだと思っています。
>別の例を出せば、銀行に預金するものには預金者としての自己責任があります。しか
>し、預金保険制度がなぜあるかというと、銀行と個人の預金者の情報、立場の非対称
>からです。「預金者に銀行の財務、経営を詳しく調査してリスクを判断せよ」とはい
>えないからです。一預金者にそれを完全に行うことは不可能だからです。いっぽう、
>銀行には個人の財務その他のプライバシーを一定程度知る能力があります。この非対
>称によって、預金者は一定程度保護されるべきだというのが、常識だと思います。
預金に保護が必要なのは、根源的には、銀行が“担保なし”で預かったお金を“勝手に”使っているからです。
経済活動が順調に拡大していれば、貸し出しや投資として“勝手に”使ったお金も、量を増やして銀行に戻ってきます。
しかし、「バブル崩壊」によって露呈したように、国民経済の循環があるレベルを超えておかしくなれば、銀行が“勝手に”使ったお金は元本さえ戻ってこないのです。
危ないことをやっているという自覚があるからこそ、「預金保険制度」があるのです。
現在の銀行制度は、私から言わせれば、“詐欺”そのものです。
「預金者は一定程度保護されるべきだというのが、常識」ではなく、“預金は無利息ながら全額が保護されるのが常識”だと思っております。
>ちなみに、英米法では、契約時点での非対称関係を厳しく見、公平でない場合の契約
>を無効または違法とする考えが強くあります(立場上強いほうが情報公開などの公平
>を期す手段を取るべき、という考え)。先日のUCSBの中村教授の裁判なんかは、
>英米法下では中村教授の有利になったでしょう。
UCSBの中村教授の裁判が、英米法的基準で大きく変更されたかどうかはわかりませんが、その根拠は、「公平でない場合の契約を無効または違法とする考え」というより、青色ダイオードの開発に寄与した中村氏と企業の割合認定に基づくと思われます。
中村氏の裁判を中村氏の圧倒的な有利で判決すれば、財的物質の発明や開発にとどまらず、企業経営の判断や営業成果まで“取り分”騒動が頻発することになります。
米国の著作権に関わる係争で、個々のアーティストや制作従事者と企業でどういう判例があるかを見直されたほうがよいかと思われます。