マイケル・A・ホフマン2世の著作「フリーメーソンの操心術」の紹介の続きです。黒字が引用部分、青字は筆者のコメントです。ここでは秘密結社が錬金術の概念をどのように現実世界に持ち込んでいるかを論じます。
世界システムの指導者たちは狂っている。それ以外に言いようがない。しかし、彼らが本気で自分たちの妄想を信じているのならば、われわれはその妄想について関心を持たねばならない。
彼らは、すべてを腐敗させ、すべてを瓦解させようとしている。その証拠は、身の回りにいくらでも目にすることができる。しかし、腐敗と瓦解を達成する前に、欺瞞にみちた錬金術は、3つの目標を達成しなければならないのである。それは、
1 根本的事象の創造と破壊
The Creation and Destruction of Primordial Matter
2 神聖なる王の殺害
The Killing of the Divine King
3 物質第一主義から地本主義への転換
The Bringing of Prima Materia to Prima Terra
である。
この3つの目標は、グノーシス的・薔薇十字団的・フリーメーソン的・錬金術的団体が古代から目指してきたものだ。こういった秘密結社は空想の産物などではなく実在している。
『第一の目標の実践』
彼らは「根本的事象の創造と破壊」のためのオカルト儀式を行った。その場所は、ホワイトヘッド、ニューメキシコのホワイトサンズ、そしてトリニティ・サイトである。トリニティ・サイト自体は、古くからの西部街道の始点に位置する。この街道は昔、ジョルダーナ・デル・ムエルト(死者の旅)という名で知られている。20世紀はじめ、ピーター・ケーンという名のフリーメーソンが、きわめて象徴性の高い「死の門」を、この古い道路の重要地点に建設するように命じられた。「死の門」とは千のドアを持つ門として知られている。
しかし、ケーンはこの門の前で儀礼的に殺された。フードをかぶった執行人によって首をはねられたのである。
「根本的事象の創造と破壊」のためのオカルト儀式はこの他にも行われている。その1つは、ニューメキシコ州のトゥルース・オア・コンシークエンスの北緯33度線上の地域で行われた。
人間の脊髄は33の節からなっている。オカルト的な伝承によれば、女神クンダリニーの蛇力は脊髄を駆けのぼるという。また33という数字は、フリーメーソンのスコティッシュ・ライトの最高位階である。トリニティ・サイトの近くの丸太小屋には「マクドナルド・ハウス」というシンボリックな異名がついている。
「根本的事象の創造と破壊」のための儀礼はトリニティ・サイトで最初の原子爆弾の爆発とともに行われた。この儀礼こそ、数千年のあいだ秘密にされてきた錬金術的思索と実践を完結させるものだったのである。
「根本的事象の創造と破壊」といわれてもよくわかりませんが、核分裂で得た巨大なエネルギーで破壊と殺戮をする原子爆弾は確かに類似性がある。マクドナルド・ハウスというのは原爆実験の準備作業に使われた小屋だそうで、今でも保存されています。しかし「マクドナルド・ハウス」の象徴的な意味とはなんでしょうか?トリニティ・サイトにある原爆実験の記念碑はピラミッド型の尖塔です。オベリスクというのかな?
以下のページにその記念碑とマクドナルドハウスの写真が載っています。
http://prime-fe1.lvcablemodem.com/chuckwalla/nukeguide/trinity/index.html
『第二の目標の実践』
「神聖なる王の殺害」の儀礼は、もうひとつのトリニティ・サイトで実行された。それは北緯33度線付近の、トリニティ川とトリプル立体交差点に挟まれた場所、ダラスのディーレイ・プラザである。ディーレイ・プラザは、ダラスで最初のフリーメーソン・ロッジが建てられた場所である。カウボーイの時代には「血のエルム街」と呼ばれたこの場所で、世界の指導者「キャメロットの王」として知られたJ・F・ケネディ大統領は暗殺された。
キャメロットはアーサー王伝説に出てくる都市で、ようするにケネディ大統領は当時アーサー王に例えられていたらしい。ブロードウエイで上演された「キャメロット」はケネディの最も好きなミュージカルだったそうです。ケネディが大統領に就任した時、出身校のエリート達をスタッフとして登用したのですが、彼らは「キャメロットの騎士(=円卓の騎士)」と呼ばれた。ちなみに映画「フォレストガンプ」のケネディ登場シーンで流れる音楽は「キャメロット」からの曲。
広く流布された「キャメロットの王」というイメージは、ケネディ暗殺の謎を象徴するものとして、暗殺の発生当初から注目されていた。そしてある3人の「浮浪者」の写真が公式に保管されていることもわかった。彼らはいったんは身柄を確保されたものの、のちに説明もないまま釈放され、身元も特定されていない。
実はこの3人の「浮浪者」の写真は、王にささげる黒ミサを遂行するための儀礼的な象徴なのである。これはケネディ暗殺がフリーメーソンによる殺人であることをはっきり示す名刺である。ユベラ、ユベロ、ユベラムの3人の「卑しむべき職人」が現れたのである。ソロモンの神殿で茶番劇を演じた、「なんら非難されるところのない」3人のユダヤ人が現れたのである。
ケネディ暗殺を「神聖な王の死」になぞらえるためには、儀礼的なシンボリズムが必要だった。ジェイムズ・シェルビー・ダウナードと私は「黙示録的文化」の中で以下のように述べた。
「・・・あの暗殺の究極の目的は、政治的なものでも経済的なものでもなく、むしろ魔術的なものである。夢遊する精神をコントロールして操ることは、嘘と残酷さと堕落に満ちた暗殺のシナリオが全力を傾けて目指したことだ。1963年11月22日、アメリカ人の心のなかで、何かが死んだ。それを理想主義、純潔、高貴なモラルの追求と呼んでいいだろう。人類は変わった。これこそ、ケネディ暗殺の真の理由であり、動機なのだ・・・・」
このショッキングな暗殺がTV放映された晩、アメリカ人は本当に落ち込んでしまった。人々の変容を示す指標は多々ある。1年もたたないうちに、アメリカ人は柔らかな色調の木綿の服装よりも、どぎつい色のポリエステルの服を好むようになった。ポピュラー音楽はますます騒がしくなり、テンポも早くなり、不協和音を奏でるようになった。麻薬が蔓延し始めた。何でも極端なことが流行となった。
そして結局、真の暗殺犯は捕まらなかった。暗殺を指令した人間がカクテル片手にあざ笑っている。そんなふうに感じられた。そしてアメリカ人の心の中に疑問がわき起こった。白昼、大統領を殺害できる犯人なら、何だってやってのけるのではないか?
合衆国の表の政権の裏側に隠れていても、秘密政権はある種のサブリミナル手法を用いて、その姿を現したのだ。アメリカ大衆の集団心理が抱く権威は、選挙で選ばれた最高行政官である大統領から、目に見えない連中へと移った。彼らはなんら罰せられることなく、大統領に引導を渡せるような集団なのである。
新潮45という雑誌で読んだのですが、昨年の大阪・池田小学校の児童殺傷事件の犯人である”孤独な異常者”、宅間守が生まれたのはケネディ暗殺事件の当日だったそうです。
『第三の目標の実践』
錬金術の第3の目的、「物質第一主義(プリマ・マテリア)から地本主義(プリマ・テラ)への転換」は、1969年、アポロが月に着陸し、月の石を持ち帰ったことで達成された。
この月の石のいくつかが「盗まれて」、オカルト儀式のために使われた(驚いたことに月の石で作られたのは、フリーメーソン流の「切石積み」だ)。
マイケル・コリンの操縦する月着陸船フェニックス号は、軌道上の母船に戻ったあと、太陽めがけて投棄された。これは、フリーメーソンのあいだで語り継がれ、薔薇十字団の詩にも詠われた「太陽と月の性的な結婚」というテーマを成就するための行為であった。
フリーメーソンの宇宙飛行士、エドウイン・オールドリン大佐は、双頭の鷲の旗を月に持っていった。これは中世のサタン的組織、テンプル騎士団の旗である。この旗は後に首都ワシントンのフリーメーソン・グランドロッジ内に飾られた。オールドリンの上司、月着陸当時のNASA長官C・フレッド・クラインクニクトはフリーメーソンのスコティッシュ・ライトの事務総長だったのである。
困ったことにプリマ・マテリア、プリマ・テラの意味が全くわからない。オカルト本も何冊かあたってみたのですが載っていない。月の石がどういう関係があるのか?(研究者によっては第三の目標の実践について別の解釈をしている人もいるようです。) ・テンプル騎士団について <参考>フリーメーソンの「神秘的地名学」
しかし上記の記述からフリーメーソンが月面着陸に象徴的な意味づけをしたことは明らかです。
月着陸船が太陽に向けて投棄されたとは初耳ですが、これには別の錬金術的シンボリズムも関係しているかもしれない。「オカルトの図像学」(フレッド・ゲティングス著)には
「フェニックスのシンボリズムは錬金術の中で特に重要である。フェニックスは500年生きて、自らの巣を燃やし、その灰の中から新しいフェニックスが誕生する。それは再生の象徴であり。また不純物を全て焼き尽くしてしまった=下等な性質のない完成された人間のシンボルでもある。」
との記述があります。フェニックスと名づけられた月着陸船を太陽へ投棄して燃やしてしまうというのも儀式めいた感じがします。
なお、アポロの飛行士の月面着陸はインチキだという説もありますが、実際どうだったのでしょうjか?無人の調査船でも月の石は持ち帰れそうなのですが。
テンプル騎士団は中世にキリスト教的軍事組織で11世紀から13世紀にかけての十字軍遠征で活躍した。イスラム圏から最新の技術をヨーロッパにもたらし、銀行制度の基礎を築いた。歴史家デズモンド・セワードは「彼らは、教会が高利貸しに対する態度を転換させるのに、大いに貢献した。どのように中世の組織も、テンプル騎士団ほどに資本主義の台頭に力を貸したことはなかった」と述べている。本来キリスト教は利子をとることを禁じていた。それを覆して現在の金融寡頭勢力のルーツとなったのがテンプル騎士団であった。そして彼らは金融や交易で国王をしのぐほどの巨大な資産を持つようになった。1307年にフランス王フィリップ4世によって悪魔崇拝の嫌疑で異端告発され、1312年に解散させられた。
これも「フリーメーソンの操心術」からの引用です。
フリーメーソンの用語体系、いわゆる神秘的地名学に最初に気づいたのは、ジェイムズ・シェルビー・ダウナード(オカルト研究家)である。この神秘的地名学に基づいて、ニューメキシコ州の一都市に「Trues Or Consequence」(真理を、しからずんば結果を)という名前がつけられた。
フリーメーソンの思想によれば、歴史的出来事と地理的位置は、互いに結びついているという。「時」と「場所」をうまく結びつけることが錬金術的な目的を達成する上で重要だと彼らは考えている。
アメリカの高速道路「ルート66」はフリーメーソンによって計画された。この道を通る多数の運転手をオカルト的な巡礼の旅に送り出そうとしているのだ。ルート66の終点は、カリフォルニア州モハーヴェ砂漠のバルストーだ。モハーヴェ砂漠はフリーメーソンにとって、西方の墓場を意味し、アヌビス神の宿命の地でもある。アヌビス神とは古代エジプトの死の神であり、またシリウス星としても知られている。
先に述べたニューメキシコの「Trues Or Consequence」という街では、フリーメーソンの儀式が行われている。また、最初の原子爆弾の実験やケネディ大統領の暗殺に際しても、ここで儀式が行われた。
神秘的地名学は魔術と科学のごった煮である。その地名学の用語を世界各地の地図にちりばめるやり方は、ルネッサンス期の薔薇十字団の指導者たちを思い起こさせる。彼らの宮殿は、特に選んだ場所に建設された。庭園はイメージと象徴を表わす精妙なパターンに従って造園された。これらの宮殿や庭園は「記憶の劇場」と見なされた。そこには、あらゆる知識、全ての百科全書が納められており、いつでも引き出せるようになっているとされた。
薔薇十字団というのはあまりなじみがないですが、歴史家フランシス・イエーツは「魔術的ルネサンス」の中で、薔薇十字主義とキリスト教カバラ主義は同意語かもしれない、と述べています。そしてキリスト教カバラ主義はルネサンス時代の学問で中心的な役割を果たしたそうです。それは「人間は神と同等である。いやむしろ神よりも優れている」という思想でした。 余談ですが、北緯33度線にオカルト的な意味を持たせていると知って、ちょっと地図を見てみました。ダラスの他に目についた地名はアトランタ、ジョージタウン、フェニックス、ロズウエルなど。UFO事件で有名なロズウエルというのがちょっと面白い。 講演会の予習のためデビッド・アイクの「大いなる秘密」を読んだのですが、ホフマン2世が言ってることを別の視点から論じていたりして実に興味深いです。上巻でテンプル騎士団についてもくわしく書かれています。聖堂騎士団と訳されていますが。実はテンプル騎士団は名前を変えて存続しているらしい。それがなんとガーター騎士団なのです。最近の歴代天皇はガーター勲章もらってますがいいんでしょうか?いいわけないですね。
ホフマン2世のHPです。
http://www.hoffman-info.com/index.html