2022年03月08日 オリガルヒの対立と暗躍 / ウクライナ紛争の背後に潜む闘い http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68890538.html 新興財閥の影がちらつく戦争
Ukraine at war 43Oleg Deripaska & Putin 2 (左 : 戦場となったウクライナ / 右 : プーチン大統領と親しいオルガルヒのオレグ・デリパスカ ) 海外報道によれば、ウクライナ紛争はようやく停戦交渉の段階に入ったようで、今のところ、ウクライナの命運がどうなるのか日本人にはよく分からない。トルコを仲介役にし、ロシアが様々な条件を出すと思うが、戦後処理の取引には両国の思惑が交差するので、ある程度の時が経たないと我々には全体像が摑めないと思う。 今回、日本の一般国民はロシア軍とウクライナ軍の戦闘ばかりに目を向けたが、本当に注目すべきは、どのような計画や魂胆で紛争状態になったのか、あるいは誰の野望や組織の利益で戦闘状態になったのかである。こうした疑問を解く鍵になるのは、ロシアやウクライナ、そしてアメリカの政財界で暗躍する人々の動向だ。 政府は有力議員や高級官僚が動かす。しかし、彼らの背後には資金提供する者や人事を操る者、財界や軍需産業に影響力を行使する者、世界政治を動かしてしまう勢力などいる。だいたい、あのジョー・バイデンがホワイトハウスで采配を振るい、微妙な作戦を監督したとは到底思えない。確かに、ブリンケン国務長官やオースティン国防長官が何らかの方針を固め、対ロシア戦に影響力を持っていたのだろうが、彼らが一連の騒動を仕組んでいたとは考えられない。おそらく、彼らに指令を与え、想像もしない利益を狙う闇組織がいたはずだ。「大統領」を演じるバイデンなんか、単なる操り人形に過ぎない。せいぜい、ジル夫人に介護される痴呆症患者といったところだ。 Petro Poroshenko 2016(左 / ペトロ・ポロシェンコ) 日本の主流メディアは決して報道しないが、ウクライナやロシアには両国の政財界を動かす大富豪が存在する。なぜか日本では一般的に知られていないが、2014年から2019年までウクライナ大統領を務めていたペトロ・ポロシェンコ(Petro O. Poroshenko)も元々は裕福なビジネスマンで、お菓子や自動車などを製造する投資会社、「UkrPromInvest」を創業した人物だ。1996年、彼は「ロシェン菓子グループ(Roshen Confectionery Group)」を設立し、ここが製造するチョコレートやビスケット、キャンディーにどは日本にも輸出されている。(同社の日本支部は、津田沼パルコや横浜ポルタに出店しているそうだ。) という訳で、ポロシェンコは政界進出前に「チョコレート・キング」と呼ばれていたらしい。 しかし、この元大統領はカタギの商売人じゃなく、腐敗に満ちた政治屋だった。2020年にはウクライナの検事当局が、元権力者のポロシェンコを20件以上の犯罪容疑で起訴したというから凄い。しかも、2021年12月には国家反逆罪に加え、テロ支援でも訴えられていたのだ。彼はドネツクやルガンスクで独立運動を画策するテロリスト・グループに資金を流したという廉で槍玉に挙がり、またもや裁判沙汰になっている。もし、有罪判決を受ければ15年以上の懲役になるから、彼は急いでポーランドへ逃げてしまった。ところが、今回、ウクライナ紛争が勃発したため、ホロドミール・ゼレンスキー大統領は事態の打開を目指したのか、この政敵と和解することにしたらしい。確かに、ポロシェンコは西側と太いパイプを築いていたから、何らかの助けになると考えたのだろう。これにより、司法当局は前大統領の逮捕を断念した。 Kostyantyn Zhevago 03( 左 / コスティアンチン・ゼヴァゴ ) ウクライナには他にも大物がいる。例えば、ロシア生まれのコスティアンチン・ゼヴァゴ(Kostyantyn Zhevago)は、ウクライナにある鉱山会社「Ferrexpo」を所有する大富豪だ。彼はまた、「Fianace & Credt」という銀行を所有する金融業者でもあり、政界にも食指を伸ばしていた。1998年に代議士となったゼヴァゴは、再選を果たすと2006年に「ユリア・ティモシェンコ党(Yulia Tymoshenko Bloc」に入った。しかし、2019年の選挙ではどの政党にも属さぬ独立候補となったから、美味しい議席を失ってしまった。 政治腐敗で知れ渡るウクライナでは、瀆職議員や売国議員なんか珍しくない。落選したゼヴァゴも公僕とは程遠い人物で、カタギのビジネスマンでもなかった。彼は自分の銀行である「Finance & Credit」を使ってマネーロンダリングをやらかしていたし、銀行の横領事件にも手を染めていた。日本人も呆れてしまうけど、ゼヴァゴが横領した金額は1億1千300万ドルであったという。('Ex-MP Zhevaho put on international wanted list', The Kyiv Post, July 15, 2021.) しかも、銀行制度を利用して"クスねた"お金は、25億フリヴニャ(Hr)に上るというから、日本円に換算すれば約96億2千500万円もネコババしたことになる。(1フリヴニャ = 3.85円で計算。) 捜査当局(SBI)のローマン・トゥルバ(Roman Truba)長官によれば、ゼヴァゴ元議員は今や「お尋ね者」であるという。('Zhevaho declared wanted in Ukraine, placing on intl wanted list being prepared', Interfax Ukraine, 9 October 2019.) しかし、お金持ちは選挙に落ちても、逃亡者になっても大丈夫。米国のフォーブス誌によれば、彼は14億ドルもの資産を持っていたのだから。日本のチンピラ議員とは大違い。何しろ、ゼゴヴァは豪華なヨットやプライヴェート・ジェット機まで所有していたんだから。彼には息子と娘がいるらしいが、女房のアリーナ(Alina)夫人だって養育費の心配は無かろうし、生活費の苦労だって無いはずだ。 Kostyantyn Zhevago private jet 443Kostyantyn Zhevago super yacht 01 (左 : プライヴェート・ジェット機 / 右 : 豪華なヨット) 話を戻す。陰謀渦巻くロシア同様、ウクライナでも政界の腐敗は深刻で、ユダヤ系の新興財閥があちこちで跋扈している。そもそも、大統領のゼリンスキーや首相のホロドミール・グロイスマン(Volodymyr B. Groysman)が、スラヴ系とかノルマン系のウクライナ人ではなく、異人種のユダヤ人なんだから、日本人じゃなくても「何だ、この国は !!」と叫びたくなる。以前、当ブログで紹介したヴィクトル・ピンチュク(Victor Pinchuk)もユダヤ人で、投資会社の「EastOne Group」やパイプ製造の大手企業「Interpipe Group」を率いる総帥だ。彼が"親西歐"なのはウクライナ人のためじゃなく、自分のビジネスを拡大させるためだろう。また、ユダヤ人オリガルヒであるイゴール・コロモイスキー(Ihor Kolomoyskyy)が西側に接近するのも、国民のためじゃなく、自分が所有する「PrivatBank」の利益を考えてのことだ。 Victor Pinchuk 991Ihor Kolomoyskyi 155Rinat Akhmetov Leonidovich 03 (左 : ヴィクトル・ピンチュク / 中央 : イゴール・コロモイスキー / 右 : リナット・アフメトフ )
一般のウクライナ国民とは程遠く、自分のビジネスばかりを心配する大富豪は他にもいて、ウクライナで最も裕福と評されるリナット・アフメトフ(Rinat Akhmetov)は、その典型である。彼は金融や投資、鉱山、金属加工、製造業、農業、運輸、通信など、多彩な分野に跨がる「System Capital Management」を創業した経営者ときている。このオリガルヒは意外にもユダヤ人ではない。彼はドネツク生まれのヴォルガ・タタール人らしく、スンニ派のイスラム教徒であるという。 Alina Zagitova 1( 左 / アリーナ・ザギトワ ) ただし、ユダヤ系雑誌の『Tablet』によれば、アフメトフは"ユダヤ系"の大富豪らしい。(Marc Tracy, 'The Richest Jews in the World', Tablet, March 15, 2011.) 我々は「タタール人」と聞けば、直ぐにモンゴル系やテュルク系のアジア人を想像してしまうが、ロシアの「タタール人」にはスラヴ人に近い人々が多い。例えば、日本でも人気のフィギュア・スケート選手、ロシアのアリーナ・ザギトワ(Alina I. Zagitova)は、ロシアのマスコミでも言われているように、おそらく「タタール系ロシア人」の子孫であろう。 Irina Shayk 0332(左 / イリーナ・シャイク) 2014年に公開された映画『Hercules』に出演したイリーナ・シャイク(IrinaShayk)もタタール系ロシア人だ。彼女はクレイグ・ファーガソンのトーク・ショーに招かれた時、本名に言及し、難しい発音で「シャイクイスラノワ(Shaykhlislamova)」と披露していた。一般的に、アフメトフはヴォルガ・タタール人と思われているが、もしかすると血統的にはユダヤ人なのかも知れない。記事を書いたマルク・トレイシーは同胞だからこそ、躊躇なくアフメトフの素性を明かしたのだろう。 日本人は国籍で血統や民族を考えてしまうが、ロシア国籍者だからといって、必ずしもスラヴ系民族とは限らない。カザフスタンやグルジアから流れてきたユダヤ人もいるし、ガリツィア地方からやって来たユダヤ人も少なくなく、ロシアやウクライナで裕福になり、アメリカやブリテンに移住する連中もいる。カナダやオーストラリアに渡ったアシュケナジム系のユダヤ人なんかは図々しいから、素性や家系を隠してヨーロッパ系の「移民」に成りすます奴も結構いるんだぞ。 Vadym Novynskyi 03( 左 / ヴァディム・ノヴィンスキー ) ウクライナには親ロシア派の大富豪もいて、それがロシアとの交渉を呼びかけたヴァディム・ノヴィンスキー(Vadim Novinsky)である。ただし、彼の本名は「ヴァディム・ルドルフォヴィッチ・マルカシアン(Vadim Rudolfovich Malkhasyan)と言うそうだ。当初、ノヴィンスキーは"愛国者"を演じており、英国の諜報組織が「ロシアでクーデタが起きるかも知れないぞ」という情報を流した時、彼はそれに同調しなかった。彼はフィナンシャル・タイムズ紙のインタヴューに応じた際、「そんなのは全くのナンセンスだ」と否定した。 ところが、ロシア軍がウクライナに侵攻すると、ノヴィンスキーは態度を一変させ、プーチン政権の危険性を理解し始めた。ウクライナ人の政治アナリストであるタラス・ベレゾェツ(Taras Berezovets)によれば、親露派のノヴィンスキーでも、戦争という深刻な状態に直面したから、ウクライナのオルガルヒもプーチンのターゲットになっている、と悟ったそうだ。(Giacomo Tognini, 'Richest Ukrainians with billions to lose close ranks as Putin unleashes war', Forbes, February 24, 2022.) プーチンを支えるエリート・ビジネスマン Igor Rotenberg 22Boris Rotenberg 1223(左 : イゴール・ロテンベルク / 右 : ボリス・ロテンベルク) 翻ってロシアに目を向ければ、ここにもユダヤ系オルガルヒが存在する。プーチン支持派のユダヤ人も困った状態に陥ったようだ。米国や歐洲の政治家は、侵略国となったロシアを経済的に苦しめるべく、「SWIFT」からロシアの企業や個人を排除し、取引や送金のドル決済を出来ないようにした。プーチンに近い大富豪どもは、西側による経済制裁は"かなり"重傷となり得るぞ、と予想しており、大御所の投資家であるウィリアム・ブローダー(William Felix Browder)も、前々からプーチンに警告を発していたそうだ。石油やガスの輸送販売を手掛ける「S.G.M. group (Stroygazmontazh)」を創設したイゴール(Igor Rotenberg)とボリス(Boris Rotenberg)のロテンベルク兄弟も、制裁リストに載ったユダヤ人オルガルヒで、個人的にプーチンと親しいから、何らかの忠告をしたのかも知れない。 ちなみに、ブローダーは投資アドヴァイザー会社の「Hermitage Capital Management」でCEO(最高経営責任者)を務める人物として知られている。だが、日本人には合衆国共産党(CPUSA)のリーダー格であった、アール・ブローダー(Earl Browder)の孫と紹介した方が良いだろう。父方の祖父に当たるアールは、ロシア系ユダヤ人のライザ・バークマン(Raisa Berkman)と結婚したから、孫のウィリアムにはユダヤ人の血が流れている。 ついでに言うと、アールの同志であったジェイ・ラヴストン(Jay Lovestone)も米国共産党のリーダー格であったが、彼の本名は「ジェイコブ・リープシュタイン(Jacob Liepstein」という。この共産主義者はリトアニア系ユダヤ人の息子であった。CPUSAの前身である「アメリカ共産党(Communist Party of America)」の総書記となったウィリアム・ワインストーン(William Wolf Weinstone)も同類で、ロシアからアメリカへ流れてきたユダヤ移民の息子であったという。 Jay Lovestone 1121William Weinstone 01Mossaye Joseph Olgin ( 左 : ジェイ・ラヴストン / 中央 : ウィリアム・ワインストーン / 右 : モシェ・ヨセフ・オルギン )
共産主義者にはユダヤ人が異常に多く、ニューヨーク市で創刊された『Morgen Freiheit』紙はイディッシュ語で書かれた日刊紙であったし、これを創刊・発行したのもユダヤ人のモシェ・メヨセフ・オルギン(Moissaye Joseph Olgin)であった。彼はロシア帝國時代のキエフで生まれ、キエフ大学で勉強した反ロシア主義の赤色学生だった。ロシア人のポグロムを憎み、ロシア革命に共感した「ユダヤ人ブント」のオルギンであったが、第一次世界大戦が勃発したため、活動拠点のロシアに戻れず、1915年にアメリカへ移住することにしたそうだ。こういう厄介者や有害分子が流れ込んでくることを思えば、やはりユダヤ人を排斥する移民法が必要なんだなぁ、と日本人でも解るだろう。 Bill Browder 5Felix Browder 33Earl Browder 1939 (左 : フェリクスの息子であるウィリアム・ブローダー / 中央 : 父親のフェリックス・ブローダー / 右 : 祖父のアール・ブローダー )
アールの息子であるフェリックス・ブローダー(Felix Browder)も父親と同じく、ユダヤ人女性のエヴァ・ツィロウィッツ(Eva Tislowitz)と結婚する。しかし、フェリクスは幼い頃から数学の才能を発揮し、16歳でMITに入るや、2年で卒業したというから、本当に神童だった。しかし、プリンストン大学で博士号を取得し、数学者の道を歩もうとするフェリクスであったが、前途有望な青年の前には巨大な壁が現れた。運悪く彼の就職時期は、丁度マッカーシー旋風と重なっていたのだ。共産主義者の親爺を持つから仕方ないけど、ほとんどの大学は赤い家庭で育った子息を雇うことに躊躇いを示した。 Eleanor Roosevelt 021( 左 / エレノア・ローズヴェルト) ところが、「類は群れる」というか、「赤は紅を助ける」のか、共産主義に好意を寄せる元ファースト・レディー、あのエレノア・ローズヴェルトが現れ、就職に困っているフェリクスに助け船を出したのだ。マルキスト夫人エレノアのお陰でフェリクス・ブローダーは、ユダヤ系のブランダイス大学に就職ができ、その後、彼はイェール大学に移り、シカゴ大学でも教鞭を執ることが出来たという。これは何となく、日本の左翼学会と似ている。日本でも学生運動で就職できなかった奴に同情し、大手企業で出世した仲間が色々な業界で奔走し、適当なポストを用意することもあった。 脱線したので話を戻す。歐米の財務担当者はプーチン大統領を兵糧攻めにしたいのか、彼の資金源を枯渇させる目的で「プーチンのリスト」なるブラックリストを作成した。ここには有力者のユダヤ人オルガルヒが列挙され、「Alfa Bank」を創設した金融業者のミハイル・フリードマン(Mikhail Fridman)や、「Alfa Group」の最高幹部を務めるピョートル・アーヴェン(Petr Aven)、「Alfa Group」の共同創設者であるゲルマン・カーン(German B. Khan)などが名を連ねているそうだ。 Mikhail Fridman 344Petr Aven 022German Khan 3 (左 : ミハイル・フリードマン / 中央 : ピョートル・アーヴェン / 右 : ゲルマン・カーン )
ところが、この億万長者達は「ジェネシス慈善グループ(Genesis Philanthropy Group)」のスポンサーになっており、ロシアにも存在する正統派ユダヤ教徒の「シャバッド・ルバヴィッチ(Chabad-Luvavitch)」運動や「ハシディズム(Hasidism)」運動、そしてモスクワにオープンした「ユダヤ博物館・寛容センター(Jewish Museum and Tolerance Center)」へ多大な寄付をしていたのだ。 「ジェネシス慈善グループ」は、この他にも様々なユダヤ人組織を手懐けていたそうで、歐米ではよく知られている「Jewish Agency for Israel」、「Joint Distribution Committee」、「Federation of Jewish Communities of Ukraine」、「Hillel」、「Moishe House」、「 Birthright」、「Limmud」などにも寄付金を渡していた。さらに、同グループは「ユダヤ・ノーヘル賞」とも評される「ジェネシス賞」を設立し、高名なユダヤ人を対象に年間で100万ドルの報奨金を与えているそうだ。(Asaf Shalev,' Sanctions highlight money flow from Russia Jewish billionaires to Jewsih nonprofits', The Times of Israel, 2 March 2022.) もう、ユダヤ人ってホントお金をばら撒くのが上手い。 あまり言いたくはないけど、正直に意見を述べるとすれば、宗教団体の役員や信徒といえども、お金を前にしたら只の俗人で、気前よく御褒美をくれる旦那衆には滅法弱い。それゆえ、歐米諸国に住むユダヤ人は同胞を窮地から救うべく、地元の政治家や政権の要人に働きかける。各界に影響力を持つユダヤ人は、個人的ネットワークや団体役員を通して、米国財務省の役人とか政権の閣僚に「何とかなりませんかねぇ〜?」とお願いするらしい。悪代官に媚びる越後屋じゃないけど、彼らは太っ腹の支援者をブラックリストから除外してもらうよう頼み込む。 Roman Abramovich 011(左 / ローマン・アブラモヴィッチ ) プーチンを支えるユダヤ人オルガルヒとして有名なのが、ロシアからブリテンへ移り住んだローマン・アブラモヴィッチ(Roman Abramovich)である。彼は投資会社の「ミルハウス(Millhouse LLC)」を経営する大富豪なのだが、日本では英国のサッカー・チーム「チェルシー(Chelsea)」を所有するロシア人の方が馴染み深い。(報道によれば、ロシア軍のウクライナ侵攻を聞いて、彼は「チェルシー」を売却したそうだ。) しかし、彼は純粋なロシア人ではなく、イスラエル国籍やポルトガル国籍を保持する三重国籍のユダヤ商人である。 ユダヤ人というのは何時の時代でも、何処の地域でも嫌われ者となる。それゆえ、彼らは常に迫害とか暴動、虐殺、追放、不景気などに対する備えをしている。アブラモヴィッチも用心深く、彼は色々なところに"保険"を掛けていた。その一つがホロコースト記念博物館の「ヤド・ヴァシェム(Yad Vashem)」だ。とても慈善活動家とは思えないアブラモヴィッチであるが、このオルガルヒは数千万ドルの寄付を行っていたらしい。そこで、ヤド・ヴァシェムを統括するダニー・ダヤン(Dani Dayan)館長に加え、首席ラビのダヴィド・ラウ(David Lau)、「シェバ医療センター」の総括部長であるイツァク・クレイス(Yitshak Kreiss)教授が、在イスラエル米国大使宛ての嘆願書に署名し、アブラモヴィッチを制裁リストに加えないよう求めた。('Yad Vashem, chief rabbi urged US not to sanction Roman Abramovich', The Times of Israel, 27 February 2022.) Dani Dayan 7765David Lau 11Yitshak Kreiss 1 (左 : ダニー・ダヤン / 中央 : ダヴィド・ラウ / 右 : イツァク・クレイス)
自分の地位と財産を守ろうとしたのか、2018年、アブラモヴィッチは140億ドルの資産を携えてイスラエルに移住した。しかし、生活の拠点は依然としてイングランドであったから、イスラエルは「もしも」の為の「セイフハウス(安全な避難場所)」なんだろう。しかし、彼は自己保全のために餌をバラ撒いており、様々な団体に5億ドルほど与えていたのだ。まぁ、40億ドルもするサッカー・チームを持っていたくらいだから、非営利団体への寄付なんか、小遣い程度の出費なんだろう。 ユダヤ人ではないが、ロシア人でもないウズベキスタン出身のアリシェル・ウスマノフ(Alisher Usmanov)も、制裁リストに載らなかったそうだ。彼は金属業界の大物で、140億ドルくらいの資産を持つという。そして、彼も英国のサッカー・チームである「アーセナル(Arsenal)」を所有していたが、最近7億ドルで手放したそうだ。 Alisher Usmanov 7743Irina Viner 54 ( 左 : アリシェル・ウスマノフ / 右 : ウスマノフ夫人となったイリーナ・ヴィネル)
ここで我々が注目すべきは、ムスリムのウスマノフが結婚したユダヤ人女房、イリーナ・ヴィネル(Irina Viner-Usmanov)の方だ。彼女はロシアとウズベキスタンで活躍する女傑で、プーチンに女を斡旋して政治権力に食い込もうとした。柔道家のプーチンは日本でも有名で、野心家のイリーナが親露的ユダヤ人として接触し、スポーツを介して大統領に近づこうとしたのも当然だ。それに、意外とプーチンはユダヤ人に親切で、シャバッド・ルバヴィッチの首席ラビであるベレル・ラザール(Berel Lazar / Shlomo Dov Pinchas Lazar)によれば、プーチンは最も親ユダヤ的な人物であるという。(Walter Laqueur, Reflections of a Veteran Pessimist, London : Routledge, 2017, pp.85-86.) 確かに、プーチンが小学生の時、ヤンチャなウラジミール少年を可愛がってくれたのは、ユダヤ人教師のヴェラ・グレヴィッチ(Vera Gurevich)先生であったし、柔道の練習相手もユダヤ人オルガルヒのアルカディー・ロテンベルク(Arkady Rotenberg)だった。(このアルカディーは、先ほど紹介したイゴールとボリスの父親である。) Arkady Rotenberg & Putin 02Berel Lazar & Putin 55 ( 左 : アルカディー・ロテンベルクとプーチン / 右 : ベレル・ラザールとベレル・ラザール )
新体操のトレーナーだったイリーナは、ロシアのオリンピック・チームでヘッド・コーチを務め、彼女が育てた選手の中には、金メダリストのアリーナ・カバエヴァ(Alina Kabaeba)もいた。タブロイド紙によれば、38歳のアリーナは69歳になるプーチン大統領の愛人というか、前々からの恋人であるようだ。しかし、公式な結婚式を挙げていないから、内縁の妻としか言い様がない。ところが、驚くことに、アリーナは既にプーチンの子供を身籠もっていたというのだ。ゴシップ誌によると、アリーナは7歳になる双子の娘を2015年からスイスで育てているという。(Emily Smith, 'Vladimir Putin hiding lover Alina Kabaeva and their kids in Switzerland', Page Six, March 6, 2022.) Alina Kabaeva 9922Alina Kabaeva & Putin 662
(左 : アリーナ・カバエヴァ / 右 : カバエラとプーチン )
日本のワイドショーでもプーチンの離婚や恋愛を取り上げていたが、それはあくまでもゴシップ・ネタとしてである。プーチンは既に最初の女房であるリュドミラ・シュクレプネヴァ(Lyudmila Shkrebneva)と離婚しており、一応、「独身者」となっているから、どんな女性と付き合おうが問題は無い。ただし、別れた女房との間には、マリア(36歳)とカトリーナ(35歳)という二人の娘がいるから複雑だ。さすがに、この娘達も自分と同じ世代の「継母」を持つとなれば、権力者の父親に呆れてしまうだろう。一方、24歳も離れたスロヴェニア美女(メラニア夫人)と再婚したドナルド・トランプ(75歳)なら、「男だから仕方ないよなぁ〜」と解ってくれるかも。にわかに信じられないが、エミリー・スミスの記事にれば、アリーナとプーチンとの間には二人の息子もいるそうだ。 これは流石に「噂話」だろうが、もし存在するとなれば、プーチンの遺産相続人になるはずだ。隠し子騒動はともかく、歐米や日本のワイドショーでは、「プーチン狂人説」や「独裁者プーチン」の一大キャンペーンが花盛り。米国の大手メディアから情報をもらう日本の地上波テレビは、「プーチン発狂」というテーマを取り上げ、この独裁者は核戦争までも覚悟していたから、愛人のカバエヴァと子供達を核シェルターに避難させていたんだ、との憶測を流していた。真相は闇の中だが、とにかくプーチン包囲網を形成したい勢力は、盛んに「プーチン極悪人説」や「ハルマゲドン説」を唱えていた。こうやって一般国民は、知らず知らずのうちに、政治プロパガンダで洗脳されて行く。 Zelensky 22Biden 87643Putin 8832 ( 左 : 傀儡政権のゼレンスキー / 中央 : 痴呆症のバイデン / 右 : 独裁者のプーチン ) 隠し子の父親となったから、「もう一稼ぎ」として現役を続ける訳じゃないだろうが、プーチンには権力を支えてくれる強力なパトロンや支援者がいるようだ。敵対するゼレンスキーやバイデンの背後にも資金提供者がいるはずで、たぶん彼らには命令を発する黒幕もいるんだろう。日本人は映像に現れる戦闘シーンばかりに目を奪われるが、本当に重要なのは水面下で戦う大富豪達の方である。彼らにとって、デモクラシーとかファシズムといった観念論は関係ない。ウクライナ国民やロシア兵が何人死のうとも"お構いなし"で、武器や軍需物資の販売で大儲けできればよく、ついでにロシアの天然資源も掠奪できれば大喜び。たとえ、ウクライナ軍が敗れても、経済制裁でプチン政権を潰せるから、NATOの拡大なんてどうでもいい。一方、巻き添えになったウクライナ人は本当に憐れだ。家を失って難民になるんだから。 大富豪や闇組織の連中が次に何を狙っているのか判らないけど、アメリカの中間選挙までは、"もう一波乱"あるかも知れないし、中間選挙が終わってから、また何かを仕掛けるつもりなのかも知れない。様々な情報に惑わされる一般人は、月日が経ってから紛争の全体像がボンヤリと解る程度。それよりも深刻なのは、ウクライナ紛争にばかりに気を取られる日本人が、北方領土の奪還に興味が無いことだ。ロシアが経済的に沈没すれば、占領された国土を取り戻す絶好のチャンスだ。しかし、岸田総理はポンコツ宰相だから、日本版リコンキスタには無関心。岸田内閣が熱心なのはワクチン接種や増税なんだから馬鹿らしくなる。 そう言えば、南鮮人が占領する竹島の奪還はどうなったんだ? 我が国の領土を侵食する南鮮には、巡航ミサイルくらい撃ち込んでやればいいのに。ウクライナに向けてイスカンデルを発射したロシアが羨ましい。岸田総理もプーチンを見倣って強硬手段に出てみろ ! 以外と支持率が上がるかも知れないぞ。対南鮮攻撃なら、筆者もジャベリンを担いでソウル辺りを駆け巡りたい。国土恢復の竹島奪還となれば、志願する元自衛官も100名を超えるんじゃないか? ただし、外務大臣があの林芳正(リン・ホウショウ)じゃ無理だよねぇ〜。(あっ、うっかり支那風の発音をしてしまった。) http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68890538.html
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