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日銀の金融政策
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1392.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 12 月 22 日 06:12:50: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 日本銀行は日本政府の子会社である 投稿者 中川隆 日時 2021 年 12 月 19 日 12:18:22)

日銀の金融政策


攻め時時、引き時・・・強気相場はいつ終わる | 人力でGO

■ 緩和的金融政策が継続している間は「攻め」 ■

リーマンショック以来「オオカミが来たよ」と言い続けて外し続けている当ブログですが、結論から言えば「緩和的金融政策が継続している間は攻め」が正解なのでしょう。

個別銘柄は別として、インデックス取引では、市場に資金が流入し続ける間は上昇を続けます。リーマンショック後に損失を出した金融商品も知らず知らずに利益を出している。皆さんの年金運用もプラスとなっています。

日本国債一辺倒から株や債券へのリスク投資に切り替えた、厚生年金の積立金の運用(GPIF)の、以前は損失が問題視されていましたが、運用益のプラスが積み上がているので、最近は誰も「年金が消える」などと言わなくなりました。コロナバブルで運用益が跳ね上がり、20年間で95兆円の運用益を上げています。運用資産額も160兆円に達しています。

・・・・ただし、「今は」という言葉を先頭に付ける事をお忘れ無く。


■ ブースター祭りでトランス状態の市場の終焉 ■

現在の市場はコロナ禍以降、ブースタに次ぐブースター注入を続けている状況です。コロナ禍の1年半程前頃には、既にFRBが利上げを断念するなど、市場には「終わりムード」が漂っていましたが、コロナで一変しました。もう市場はオーバードープで「トランス祭り」状態。

こんな状態が継続する訳が無い事は市場参加者全員が認識している訳で、先にもFRBが緩和縮小に入るのではという誤解で市場が震撼した。結果的にFRB議長が否定して平穏を取り戻しました。

市場参加者の多くが「崩壊のビジョン」を共有しているので、条件が揃えば今の乱痴気騒ぎは簡単に終焉する。

■ イングランド銀行が利上げ・・・ ■

足元のインフレ率の上昇を警戒して、イングランド銀行が利上げに踏み切ります。

イングランド銀行は面白い中央銀行で、いつも利上げタイミングが早い。世界の金融センターはウォール街では無く、ロンドンのシティーなので、イングランド銀行の政策はいつも意味深です。ただ、市場のプレーヤーの目はFRBの動向だけを見ているので、イングランド銀行の利上げの影響はほぼ有りません。

イングランド銀行の利上げがアドバルーンなのか、或いは一部市場関係者への「合図」なのかは私などには伺い知る事は出来ません。


■ 誰もが知りたい崩壊の時 ■

知り合いと話をすると、「年金運用がプラスになってるんだよねー」とか「株EFTて儲かるよね」なんて呑気に話していてます。多くの人が、再びマイナスになるとは思っても居ない。

一方、市場に詳しい人は「崩壊は何時か?」という事にしか興味は無いでしょう。懸命な方は既に売り抜けていると思いますが、これだけ市場が過熱すると、「もうちょっと・・・」とムズムズ病が再発する。

■ カエルは意外にのんびりしている ■

リーマンショックの時にはFRBの利上げの影響は、先ずサブプライムローンで現れ、それがリーマンブラザーズの破綻に到達するまで2年掛かっています。

この前例から、多くの人が「FRBが緩和縮小や利上げを匂わせたら手仕舞い」と考えていると思いますが、FRBも匂わせては「やっぱ止めた」を繰り返すので、市場も段々とこれに慣れて来ます。要は鈍感になる。

短期金利に比べ、長期金利の上昇が鈍いのが、市場が楽観的な要因ともなっています。米国債市場がとりあえず安定している。

素手の風呂の温度は相当に熱いのですが、多くのカエルはのんびりしている様に見えます。

■ ブラックスワンはどこから? ■

FRBの利上げ以外にブラックスワンが有るとすれば中東有事や、台湾有事、ウクライナ有事などですが、ウクライナは中国が絡まないので微妙。

台湾有事と声高に言われ始めてはいますが、これは唐突感がハンパ無い。アメリカと中国のデカップリングの度合いを考えるに、まだまだ先の話だと思います。

中東は・・・・これも、不安定ながらも安定している。

戦争というカードが切られるのは危機の後だと思います。

では、一時話題だったドイチェバンクはどうか・・・・。コロナバブルで一息着いた感じでしょうか。でも、これ、裏を返せば・・・全ての金融機関が金利上昇でドイチェバンク化するという意味でも有ります。

もう、湖の水面下は黒い白鳥だらけ・・・今回の危機はこんな感じで、やはりFRBが水面を下げると恐ろしい光景が出現するのでしょう。


2021/12/21 23:30
投稿者:人力

金融政策は市場での国債の売り買いで金利を適当な水準に誘導するものです。

しかし、ゼロ金利では金融調節に制限が掛かるので量的緩和という非伝統的手法に踏み切っています。

日銀のオペレーションは単なる売り買いだけで無く、どの年限の国債をどの程度買うかなど非常にデリケートなもので、長短金利を細かくコントロルしたりもする。

更に本来無利子の日銀当座預金に利子を付けたり、或いは当座預金の一部をマイナス金利にしたりして、資金の流れをコントロールしています。

更に日銀は日本株EFTを購入したり、不動産REITを購入するなど、民間の資産をも購入する世界に類を見ない中央銀行となっています。

日本の大企業の筆頭株主が日銀。もうなんでも有りの状態で、市場を直接支えている。

という複雑怪奇な日銀をYES/NOで語るのは難しく無いですか?


2021/12/21 23:59
投稿者:人力

かつて中央銀行は銀行への貸出金利(公定歩合)によって市場金利をコントロールしていましたが、金利の自由化で公定歩合から、短期金利の誘導を金利操作の目標に変更しました。

ゼロ金利政策とはコール市場(オーバーナイト)の金利をほぼゼロにコントロールするオペレーションです。

それでも市中にお金が出回らないので、量的緩和で民間銀行から大量の国債を買い上げたり、リスク資産を直接買い入れて市場に強引にお金を供給しています。

金利がゼロになってしまうと、金利誘導による金融調節機能が働かなくなります。

FRBが利上げにこだわったのは、バブルの抑制という目的も有りますが、金利の下げ幅を確保して、いざという時に「利下げ」の余地を残しておきたかったから。ところが利上げは2018年半ばに頓挫しました。

本来中央銀行の金融調節機能は適切な金利水準の上で機能するもので、ゼロ金利が常態化した現在は、金融調節機構はまともに機能しません。

終いには「市場との対話」などという「マジナイ」まで動員して市場をコントロールする状態。

そんな状態でもお金の価値が維持されるのは、人々が国家を信用し切っているから。「日本政府なら、今のお金は紙切れになりました。」って言い出しそうだなどと政府を疑う社会ではお金の信用は容易に失われてます。

2021/12/21 18:43
投稿者:人力

市場の崩壊が金融システムや、或いは通貨システムを破壊したとして実体経済は無事でいられるか?

因みに私は金融関係者では無く、しがないデザイナーですがリマンショック後は一瞬で仕事が蒸発しました。私に限らず景気に敏感な職種はバブル崩壊の影響を強烈に受けます。

これを「単なる株の暴落」と言い切り、「実体経済には影響がない」というならば、バランスシート不況とも言われた日本の失われた20年とは何なのか?

現在の歪みは主流派経済学者のブードゥー経済学(供給サイドの経済学)が通貨の過剰発行を続けた結果で有り、庶民の資産がマーケットを通して掠め取られた結果とも言えます。

額に汗して働くよりもキャッシュフローを市場で運用する方が儲かる社会って変でしょう。労働者はどんどん貧しくなる。

コレは過剰な金融緩和の結果ですが、MMTは財政製作もフル回転させて更にお金をばら撒けば皆んなハッピーと言う。(誇張的ですが、ネトウヨをはじめ信者の多くがそう解釈している)

コレに違和感を覚えるのは普通の感覚ではないか?

確かに通貨システムのルールを変更して社会主義の計画経済や政府通貨の様なシステムならば、社会主義的ユートピア(デストピア?)も可能でしょうが、今の通貨システムではそれは実現しない。

国債金利や市中金利をゼロに貼り付ける為には、金融抑圧的なさまざまな手法が存在しますが、それは本来私たちが手にすべき金利を政府が掠め取る行為に等しい。

面白いのは、新自由主義的なリフレ論と、社会主義的なMMTが似たような結果をもたらす事。

貧富の差を拡大するのです。


2021/12/21 18:55
投稿者:人力

「実体経済がマーケットの付帯物」という表現には少し説明が必要でしたね。

金利が極端に低下した経済では、実体経済の投資リスクに見合う金利は得られません。結果的に銀行を主体とする間接金融が機能不全を起こします。

一方で、金融市場は投資先の実態はあまり意識される事無く金利で商品価値が評価され易い。

企業は銀行からでは無く、社債市場から資金を調達したり、株式市場で資金を集めます。

その結果実体経済の主体である企業の経営はマーケットにお大きく依存する様になります。テスラモーターズなどが良い例でしょう。

こうなると、中央銀行もマーケットに冷や水を浴びせる様な政策は取りにくくなり、マーケットはつけあがって中央銀行をあの手この手で脅す様になる。

こうしていつしか実体経済がマーケットの影響を大きく受ける様になってしまったのが現在だと私は認識しています。

我々の年金の行方も市場が握っていますから。

2021/12/21 23:11
投稿者:人力

「株式市場からの資金調達」は一般的には新株発行を意味します。

但し、現代では自社株買と社債発行を絡めるスキームが発達しています。

自社株買いで株価を高く誘導すると同時に、配当などの負担を減らし、株高による時価総額操作で社債を有利に発行する。

株高は企業価値のお化粧に有利に働きます。

https://green.ap.teacup.com/pekepon/2781.html  

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コメント
1. 2021年12月22日 06:13:41 : dFWaWpqW2w : MDFPdlB3Uno4eFE=[3] 報告
日本銀行は日本政府の子会社である
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1385.html

日銀は何故日本を滅ぼそうとしているのか?
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/780.html

日銀副総裁を止めてやっと真実を言える様になった岩田規久男
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/258.html

チャンネル桜関係者とアホ右翼が信じている「日銀と通貨発行権」の誤解について
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/848.html

米国から購入する兵器は国債を発行して日銀が国債を買い取り、無料で購入する事になる
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/593.html

銀行準備制度「銀行は(発行した)預金貨幣の・%の日銀当座預金を保有しなければならない」
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1111.html

日銀の金融緩和はアメリカの出口戦略に協力していただけだった
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/596.html

安倍政権下で進行していた「日銀の異次元緩和」の“手仕舞い”…再び急膨張する日銀資産
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/312.html

アメリカが日銀に異次元金融緩和させた目的は日本の銀行と大企業の乗っ取り
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/393.html

日銀が買い入れた国債は、再び売却しない限り、存在しないのと同じ
http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/755.html

政府の借金は返さなくて良い 日銀国債購入で分かった事
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/819.html

日銀が債務超過になっても問題ない理由
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/957.html

安倍政権下で進行していた「日銀の異次元緩和」の“手仕舞い”…再び急膨張する日銀資産
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/312.html

国債を買って日銀に売るだけで確実に儲かる
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/969.html

米国から購入する兵器は国債を発行して日銀が国債を買い取り、無料で購入する事になる
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/593.html

中央銀行の金融緩和こそがデフレの原因
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/890.html

中央銀行による金融緩和と政府による現金給付を紙幣印刷で無理矢理支えるために金融市場に膨大な資金を流し込めば、噴き上がるのは株式だけではない
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/332.html

馬渕睦夫 世界を支配する者達が生み出した『中央銀行』という奇形
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/558.html

河村小百合『中央銀行の危険な賭け 異次元緩和と日本の行方』
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1201.html

2. 中川隆[-9551] koaQ7Jey 2024年8月07日 11:57:44 : DtblFgOrVu : bTZRcWduZ21la1U=[14] 報告
<■83行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
中央銀行の起源
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16863243


史上最高の経済学者ハイエクの警鐘
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14040247

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31597

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31421

ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31363

ハイエク: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35564

ハイエク: インフレを引き起こすインフレ政策を止めさせるには民間企業が通貨を発行すべき
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35579

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12051

チャンネル桜関係者とアホ右翼が信じている「日銀と通貨発行権」の誤解について
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/848.html

馬渕睦夫 世界を支配する者達が生み出した『中央銀行』という奇形
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/558.html

世界を操るグローバリズム-8〜中央銀行という名の民間銀行は本来必要ない〜
http://www.kanekashi.com/blog/2017/10/5523.html

橋洋一 銀行が最高益!日銀と組んでズルい方法で金儲けの仕組みをバラします
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16832535

日本銀行は日本政府の子会社である
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1385.html

日銀の金融政策
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1392.html

国債を買って日銀に売るだけで確実に儲かる
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/969.html

政府の借金は返さなくて良い 日銀国債購入で分かった事
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/819.html

日銀は何故日本を滅ぼそうとしているのか?
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/780.html

日銀の金融緩和はアメリカの出口戦略に協力していただけだった
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/596.html

アメリカが日銀に異次元金融緩和させた目的は日本の銀行と大企業の乗っ取り
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/393.html

平成バブルはアメリカの指示で小沢一郎が作り、日銀総裁が意図的に潰した
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/217.html

アメリカが日銀に異次元金融緩和させた目的は日本の銀行と大企業の乗っ取り
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/393.html

日銀のETF買い入れとテーパリング
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/529.html

なぜインフレでも日銀は動かない?2022年冬、さらなる円安進行で中流階級の生活崩壊=吉田繁治
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1537.html

日銀はいつまで「利上げしない」と言い張るのか。物価上昇も見ないふり、迫る“ゼロ金利”政策の限界=吉田繁治
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1491.html

中央銀行が中央銀行自身を救済するという現金給付に次ぐ新たな緩和方法が既に始まっている
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14137906

3. 中川隆[-8051] koaQ7Jey 2025年1月03日 11:06:55 : 9mcl7fHk7E : a2h4bEQyNjBOY2M=[9] 報告
<■99行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
レイ・ダリオ氏: 中央銀行はいずれ緩和能力を失う
2025年1月2日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57900

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏の著書『世界秩序の変化に対処するための原則』から、中央銀行による緩和政策が最終的にどのような結末を辿るのかを説明している箇所を紹介したい。

中央銀行とインフレ

インフレ政策の結果引き起こされたハイパーインフレからアルゼンチンを救ったミレイ大統領は、中央銀行をなくそうとしている。その第1段階として、中央銀行が自由に紙幣印刷できる自国通貨以外の通貨を自国内で不便なく使えるようにしている。

ミレイ大統領: 政府が紙幣印刷で価値を薄める通貨は他のまともな通貨との競争に晒されるべき
ヘッジファンドマネージャーのジョン・ポールソン氏は、中央銀行による量的緩和がコロナ後の物価高騰に大きな役割を果たしたと主張していた。

ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
だがそもそも中央銀行とは何か。ダリオ氏は次のように書いている。

お金と信用の量を増減させることで、中央銀行は金融資産や商品やサービスの需要と供給を増減させることができる。

要するに世の中に存在する紙幣の量を自由に変えられるということである。お金をばら撒けば、与えられた人はお金を使おうとする。よって人々の経済行動を操作できるというわけである。

中央銀行の金融政策

中央銀行は普段、景気が悪い時に金融緩和をし、景気が良いときに逆に引き締めようとする。

だが単にそれだけであれば、中央銀行はそもそも必要ないのである。なぜならば、景気が悪くなれば債券市場では自動で金利が下がり、景気が良くなれば自動で金利が上がるからである。

つまり、中央銀行が単に景気に合わせて金融政策を適切に調整するだけなら誰も中央銀行を作ろうと思わなかったわけであり、だから中央銀行には別の目的がある。

それは政府の国債を買い支えることである。例えばイングランド銀行はほとんど政府の借金を処理する目的で作られたものであり、17世紀の昔から中央銀行の目的はそもそもそれだったことが分かる。

金利を上げないこと

政府の借金を何とかするためには、まず金利を上げないことが重要である。金利を市場に任せていては借金だらけの政府の国債の金利は上がってしまうので、市場による適正金利以下に金利を低く抑えることが、借金が増えても政府支出を続けたい政府にとって必要なわけである。

だから政府の息がかかった中央銀行は必要以上に緩和をする。政治家は自分の票田の関心を買うために、中央銀行に紙幣を刷らせてそれを配り始める。

それは経済危機から国民を救うためという名目で行われる。ダリオ氏は次のように述べている。

経済危機において政府はお金と信用と購買力を何処に振り分けるかを、市場に任せるのではなく自分で決める権限を持っている。そしてわれわれの知る資本主義はその姿を消す。

それこそがコロナ禍への対応として世界中で行われたことである。

そして人々は給付された現金とともにインフレを受け取った。給付を受け取っていないにもかかわらずインフレだけ受け取った人はもう本当に最悪である。

だからオーストリア学派の経済学者であるミレイ大統領やフリードリヒ・フォン・ハイエク氏らは、政府の権限を出来る限り制限せよと言っているのである。

ミレイ大統領、政府支出を削減してハイパーインフレを打倒した方法を語る
ハイエク氏: 通貨を政府がコントロールしなければならないというのは根拠のない幻想
緩和をすればものの値段が上がる。アベノミクスで資産価格が上がったときに株式をほとんど持っていない人が喜んでいたのは全く意味不明だが、本当に資産を持っていた一部の人は喜んだかもしれない。

だがダリオ氏はこう書いている。

こう考えてみてほしい。あなたが家を所有していて、政府がお金と信用を創造すれば、家を買おうとする人が増えてあなたの持ち家の価格は上がる。

だが家自体は何も変わっていない。あなたの実質的な資産は何も増えていない。ただ計算上の資産価格が変わるだけである。

緩和によって株価や住宅価格が上がるとき、それは株式や住宅の価値が上がったのではない。自国通貨の価値が下がったのである。

だからドルを買ってドル円が上がったからといって喜んでいる場合ではない。それはドルが上がったのではなく、円が下がったのである。そして日本人の多くはリスク資産だけでなく日本円も持っているはずだ。

インフレ政策の結末

政府と中央銀行による緩和政策の副作用は、金融危機を経るたびに悪化してゆく。2000年代の金融緩和の副作用はリーマンショックだった。コロナ後の現金給付の副作用は物価高騰である。

インフレ政策の副作用は国民の生活にどんどん近づいている。そして最終的にどうなるか? ダリオ氏は1944年のブレトン・ウッズ協定に始まる今の金融システムは終わりに近いと主張する。

ダリオ氏は次のように言っている。

負債が増加し、中央銀行がお金と信用の創造によって経済の実質成長を生み出す能力を失って緩和能力が尽きるとき、そのサイクルは終わる。

例えば日本の状態を考えてもらいたい。日銀植田総裁が黒田前総裁のインフレ政策の後始末を引き受けたお陰でドル円は何とか150円前後で推移しているが、アベノミクス後日本円の価値は10年でほぼ半分になり、つまり輸入物価はほぼ倍になっている。

今の状態で日本が景気後退に陥った場合、中央銀行は今までのようには緩和できない。あるいは緩和してしまえば、円安が止まらなくなり景気後退の上に物価上昇が日本経済に降りかかるだろう。

だから中央銀行はいずれ緩和できなくなる。あるいは、緩和できないのに緩和をしてしまえば国民はインフレと通貨安を味わうことになるだろう。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏: 日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
ネイピア氏: 日本の政府債務は円安で解決される、円を空売りして日本株を買え
日本人はどう対処すべきか。ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で詳しく説明しているように、緩和が始まって中央銀行が破綻するまでのプロセスは、歴史上何度も起こっているいつもの出来事であるということをまず理解しなければならない。

その長期サイクルは通常1世紀弱にわたり、1人の人間の一生には1度しか起きないから、それは本から学ぶしかないのである。

レイ・ダリオ氏、フリードリヒ・フォン・ハイエク氏、アダム・スミス氏の3人を読むべきである。それは経済的に生き残るための必須の知識である。

ハイエク氏: 金融緩和でデフレを防ごうとすれば経済は悪化する
アダム・スミス氏: 乞食だけが補助金や給付金にすがる、そうでない人々は自分の成果を他人と交換する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57900

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