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ベートーヴェン 『交響曲第5番』
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/841.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 1 月 24 日 16:00:48: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: ベートーベン ピアノ・ソナタ第18番変ホ長調 作品31−3 _ 何故この曲だけこんなに人気が有るのか? 投稿者 中川隆 日時 2019 年 10 月 19 日 08:01:40)


ベートーヴェン 『交響曲第5番』


ハンス・クナッパーツブッシュ 指揮 ベートーヴェン 『交響曲第5番』


KNAPPERTSBUSCH 1943 5TH BEETHOVEN


▲△▽▼


怪物クナッパーツブッシュの恐ろしさ、空前絶後の大演奏にしばし呆然。
これぞクナッパーツブッシュ無類の超絶芸!


激遅テンポにして実に生き生きとしたリズム感。
これぞクナッパーツブッシュの真骨頂! 


『運命』は小さな細胞動機をもとに大きく発展していく作品ですが、クナッパーツブッシュの手にかかると動機そのものが巨大に鳴り響き、「踏みしめるようなスローテンポ」と「抜群のリズム感」が両立する独特の演奏スタイルによって、異様な立体感が生まれます。


『運命』は果てしなく轟く雄大なスケールで、聴く者を圧倒しながら全曲を閉じます。
唯一無二の超怪演!



Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67






Hans Knappertsbusch
Berliner Philharmoniker
Rec:April 1956



▲△▽▼



Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67 1962 live recording






Frankfurt Radio Symphony Orchestra
Knappertsbusch
1962年3月2日 live recording


▲△▽▼


Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67





 ヘッセン放送交響楽団
 ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)


 録音時期:1962年3月20日
 録音場所:フランクフルト
 録音方式:モノラル(ライヴ/ヘッセン放送収録)



▲△▽▼
▲△▽▼



交響曲第5番 ハ短調 作品67 は日本では一般に「運命」と呼ばれ、クラシック音楽の中でも最も有名な曲の1つである。


ロマン・ロランの評するいわゆる「傑作の森」の一角をなす作品である。この作曲家の作品中でも形式美・構成力において非常に高い評価を得ており、ベートーヴェンの創作活動の頂点のひとつと考えられている。
ベートーヴェンの交響曲の中でも最も緻密に設計された作品であり、その主題展開の技法や「暗から明へ」というドラマティックな楽曲構成は後世の作曲家に模範とされた。
なおピアノソナタ第23番『熱情』などが、主題や構成の面から関連作品と考えられている。


『運命』という名称
本交響曲は、日本では『運命』または『運命交響曲』という名称で知られているが、これは通称であってベートーヴェン自身による正式な命名ではない。


この通称は、ベートーヴェンの弟子アントン・シンドラーの「冒頭の4つの音は何を示すのか」という質問に対し「このように運命は扉をたたく」とベートーヴェンが答えた(後述)ことに由来するとされる。しかし、シンドラーはベートーヴェンの「会話帳」の内容を改竄していたことが明らかになっており、信憑性に問題がある。


学術的な妥当性は欠くものの、日本では現在でも『運命』と呼ばれることが多い。海外においても同様の通称が用いられることがある[2]。


作曲の経緯


交響曲第3番『英雄』完成直後の1804年頃にスケッチが開始されたが、まず先に交響曲第4番の完成が優先され、第5番はより念入りにあたためられることになった。そのほか、オペラ『フィデリオ』、ピアノソナタ第23番『熱情』、ラズモフスキー弦楽四重奏曲、ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲第4番などを作曲した後、1807年から1808年にかけて、交響曲第6番『田園』と並行して作曲された。


ロマン派的な標題音楽の先駆けとも言われる第6番とは対照的に、交響曲第5番では極限まで絶対音楽の可能性が追求された。この2つの交響曲はロプコヴィッツ侯爵とラズモフスキー伯爵に併せて献呈された。


楽譜の初版は1809年4月にブライトコプフ・ウント・ヘルテル社より出版された。同年中の増刷においても若干の修正が加えられた。


初演

1808年12月22日、オーストリア・ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場にて「交響曲第6番」として初演。現在の第6番『田園』は、同じ演奏会で第5番として初演された。


初演時のプログラムは以下の通りであった。
交響曲第5番ヘ長調『田園』(注:現在の第6番)
アリア "Ah, perfido"(作品65)
ミサ曲ハ長調(作品86)より、グロリア
ピアノ協奏曲第4番
(休憩)
交響曲第6番ハ短調(注:現在の第5番)
ミサ曲ハ長調より、サンクトゥスとベネディクトゥス
合唱幻想曲


この演奏会の記録によると、当日は「暖房もない劇場で、少数の観客が寒さに耐えながら演奏を聴いていた」とされている。


コンサートのプログラムは交響曲を2曲、ピアノ協奏曲、合唱幻想曲、全体で4時間を越えるという非常に長いものであって、聴衆や演奏家の体力も大きく消耗したこともあり成功しなかった。さらに、第1部で演奏されるはずであったアリアは、出演予定歌手が演奏会当日に急遽出演できなくなり、代わりの歌手が緊張のあまり歌えなくなって割愛された。また第2部のフィナーレを飾る合唱幻想曲も演奏途中で混乱して演奏を始めからやり直すという不手際もありコンサートは完全な失敗に終わっている。


評価と影響


交響曲第5番は初演こそ失敗に終わったが、評価はすぐに高まり多くのオーケストラのレパートリーとして確立されていった。また、後世の作曲家にも大きな影響を与え、ヨハネス・ブラームス(交響曲第1番で顕著)やピョートル・チャイコフスキー(交響曲第4番、第5番で顕著)といった形式美を重んじる古典主義的な作曲家ばかりでなく、エクトル・ベルリオーズやアントン・ブルックナー、グスタフ・マーラーのような作曲家も多大な影響を受けている。


楽器編成


ベートーヴェンは交響曲第5番で、史上初めて交響曲にピッコロ、コントラファゴット、トロンボーンを導入した。当時の管弦楽では「珍しい楽器」だったこれらの楽器がやがて管弦楽の定席を占めるようになったことを考えると、後の管弦楽法に与えた影響ははかり知れず、この点においても非常に興味深い作品であるといえる。


自筆譜の最初のページにはBASSI と書かれたパートが、BASSO に訂正されている。
これはヴィオローネではなく、コントラバスを指定したことを示す。
当時の調弦はC-G-Dの三弦であり、初演に加わったドメニコ・ドラゴネッティの名人芸抜きには、この作品は成立しなかったといっても良いだろう。


学術的な問題


運命の動機


ベートーヴェンの弟子のカール・ツェルニーによれば、キアオジという鳥のさえずりがヒントだという。中期のピアノソナタ第18番、ピアノソナタ第23番『熱情』いずれにも現れている。ただし、第1主題として激しく現れるのは本作が初めてである。


なお、アントン・シントラーの伝記には以下のように記されている。
「 作曲家はこの作品の深みを理解する手助けとなる言葉を与えてくれた。ある日、著者の前で第1楽章の楽譜の冒頭を指差して、「このようにして運命は扉を開くのだ」という言葉をもってこの作品の真髄を説明して見せた。」


運命の動機と関連する動機は、上述したほかの作品でも見られ、たとえばピアノ協奏曲第4番、弦楽四重奏曲第10番『ハープ』などがある。そのほか、同一のリズムや音形が楽章全体を支配する前例としてはピアノソナタ第17番『テンペスト』の第3楽章が有名である。


また、フルトヴェングラーは著書『音と言葉』の中で冒頭の5小節に関して、2小節目のフェルマータは一つの小節にかけられたものであるが、5小節目のフェルマータはタイでつながれた4小節目を含んだ2つの小節にわたってかけられたものであり、つまりこれは最初のフェルマータより後のフェルマータを長く伸ばすことを指示したものである、と分析している。


他の同じ部分、例えば展開部の冒頭、そして終結部の終わりにも同じフェルマータの指示があるが、これは、この部分が作品全体に対しての箴言としての機能を果たすことを聴衆に叩き込むため、この部分を調和した一つの全体として、その他の作品の部分から切り離すためだったに違いない、と述べている。


第1楽章の第2主題の冒頭


第1楽章の第2主題の冒頭のホルン信号が楽器法においてよく問題になる。提示部ではホルンで演奏されるのに対して再現部ではファゴットで演奏されるように指定されていることをめぐって、再現部はファゴットで演奏されるべきかホルンで演奏されるべきかで意見が分かれている。


ホルンで演奏されるべきだと主張する意見の根拠は、「当時のEs管ホルンでは再現部のホルン信号は演奏困難であったため、ベートーヴェンは音色が似通っているファゴットで代用した。しかし楽器が発達した現代ではこの代用は不要である」ということを挙げる者が多い。


一方、ファゴットで演奏されるべきだと主張する意見の根拠は、「ベートーヴェン自身が書いた音符を尊重すべきである」「Es管ホルンで演奏困難なのは事実だが、C管ホルンに持ち替えさせれば容易に演奏できる(実際ベートーヴェンは、交響曲第3番の第1楽章再現部で、ヘ長調のソロを吹く1番ホルンに対して「ここだけEs管からF管に持ち替えよ」という指示をしている)。第4楽章で歓喜を表現するために、わざわざ当時珍しい楽器だったピッコロやトロンボーンを導入した作曲家が、これほど重要な箇所で中途半端な妥協をしたとは考えにくい」などのものがある。


現在では、音色の違うファゴットをあえてベートーヴェンが指定したものと解釈し、そのままファゴットに演奏させることが多い。


調性


ベートーヴェンの選んだハ短調という調性はベートーヴェンにとって特別な意味を持つ調性であるといわれ、それらの作品はみな嵐のようでかつ英雄的な曲調という共通点を持つといわれる。有名な例としてはピアノソナタ第8番『悲愴』、ピアノソナタ第32番、ピアノ協奏曲第3番、弦楽四重奏曲第4番、ヴァイオリンソナタ第7番、序曲『コリオラン』、交響曲第3番『英雄』の葬送行進曲などがある。


https://ja.wikipedia.org/wiki/交響曲第5番_(ベートーヴェン)


 

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コメント
1. 中川隆[-14183] koaQ7Jey 2020年1月24日 16:03:16 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1034] 報告

ニキッシュ

Beethoven - Symphony No 5 - Nikisch, BPO (1913)


Berlin Philharmonic Orchestra conducted by Arthur Nikisch
Recorded 10 November, 1913, Berlin


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ワインガルトナー

Felix Weingartner - Beethoven - Symphony No.5


Royal Philharmonic Orchestra 1927
Technics SL1200MK4

________


Weingartner/LPO - Beethoven : Symphony No.5 Op.67 (1933) - 再復刻










London Phiharmonic Orch.
recorded 31 January & 2 Feb. 1933, EMI Abbey Road Studio, London
transferred from Jpn Columbia 78s / J-8120(CAX-6682/3)



▲△▽▼



メンゲルベルク

Beethoven: Symphony No. 5 in C minor (Mengelberg 1937)


Concertgebouw Orchestra conducted by Willem Mengelberg

_______

Beethoven Symphony No.5 (Willem Mengelberg 1940)





Joseph Willem Mengelberg (1871- 1951) , the great Dutch conductor.
Concertgebouw Orchestra Amsterdam
Recorded in 1940
2. 中川隆[-14182] koaQ7Jey 2020年1月24日 16:04:59 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1033] 報告


トスカニーニ


Toscanini - Beethoven : Symphony No.5 Op.67 - Finale (1920)


La Scala Orchestra, recorded 12/24, 1920
transfer from U.S.Victor 78s / 6304

__________

Beethoven Symphony No.5 Toscanini 1931


Recording Date : March 4 & 6 ,1931

________

Beethoven Symphony No.5 Toscanini 1933


The Philharmonic Symphony Orchestra of New York
Arturo Toscanini
Recording Date : April 9,1933

_________

Beethoven, Symphony No. 5 - Toscanini, BBC, 1939


Live, Londra, 12 maggio 1939. Dal Ciclo Beethoven per la BBC •

Arturo Toscanini
BBC Symphony Orchestra
Live, London, Queen’s Hall
May 12th, 1939

________

Beethoven Symphony No.5 Toscanini 1939



Recording Date : February 27,March 1 & 29 ,1939

__________

Beethoven: Symphony No. 5 (1939, live, restored) Toscanini / NBC


___________

The 1939 Beethoven Cycle: Symphony No. 5 Toscanini/NBC





Arturo Toscanini, conductor
The NBC Symphony Orchestra

Recorded on November 11, 1939
Studio 8-H, New York City

______

Beethoven: Symphony No. 5, Toscanini & NBCso (1952)


Arturo Toscanini (1867-1957), Conductor
NBC Symphony Orchestra

Rec. 22 March 1952, at Carnegie Hall, in New York (Live Recording)
3. 中川隆[-14181] koaQ7Jey 2020年1月24日 16:09:56 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1032] 報告


ブルーノ・ワルター

Beethoven: Symphony No. 5, Walter & ColumbiaSO (1958)





Bruno Walter (1876-1962), Conductor
Columbia Symphony Orchestra

Rec. 27, 30 January 1958
4. 中川隆[-14180] koaQ7Jey 2020年1月24日 16:10:52 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1031] 報告

クレンペラー

Beethoven: Symphony No. 5, Klemperer & The Phil (1957)


Otto Klemperer (1885-1973), Conductor
Philharmonia Orchestra

Rec. October 1957, at Kingsway Hall, in London

_________

Beethoven - Symphony n°5 - Philharmonia / Klemperer 1959


Philharmonia Orchestra
Otto Klemperer
Studio recording, London, 22-24.X.1959

_____________

Beethoven: Symphony No. 5 - Vienna Philharmonic Orchestra/Klemperer (1968)





Vienna Philharmonic Orchestra
OTTO KLEMPERER, cond.
Recording: Musikverein, Wien, 26 May 1968

____________

Beethoven: Symphony No. 5 ( BRSO & Otto Klemperer )


Symphonie-orchester des Bayerischen-Rundfunks
Otto Klemperer

Herkulessaal, München, 30. V. 1969


______

Beethoven Symphony n 5 - NPO Klemperer (Live1970)

5. 中川隆[-14179] koaQ7Jey 2020年1月24日 16:11:54 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1030] 報告

ムラヴィンスキー

Beethoven - Symphony n°5 - Leningrad / Mravinsky 1949


Leningrad Philharmonic Orchestra
Yevgeny Mravinsky
Studio recording, Leningrad, 1949

________

Beethoven "Symphony No 5" Yevgeny Mravinsky 1972


_____


Beethoven "Symphony No 5" Yevgeny Mravinsky 1974


Symphony No 5 in C minor op 67
Leningrad Philharmonic Orchestra
Yevgeny Mravinsky, Conductor
15.IX.1974
6. 中川隆[-14178] koaQ7Jey 2020年1月24日 16:12:46 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1029] 報告

カルロス・クライバー

Beethoven - Symphony No 5 - Kleiber, VPO (1974)


Vienna Philharmonic Orchestra conducted by Carlos Kleiber
Studio recording, Musikvereinssaal, Vienna, Austria, April 1974

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Kleiber in Chicago - Beehoven - Fifth.1978


Carlos Kleiber conducst Beethoven: Symphony No.5
Chicago Symphony Orchestra
October 12, 1978 ; Live in Chicago, private live recording.

_______


Beethoven 5. Sinfonie in c-Moll Opus 67 Schicksalssinfonie Carlos Kleiber Symphony No 5 "Fate"


Carlos Kleiber conducts Wiener Philharmoniker Mexico 1982

7. 中川隆[-14177] koaQ7Jey 2020年1月24日 16:43:15 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1028] 報告


フルトヴェングラーのベートーヴェン 『交響曲第5番』 名盤


Wilhelm Furtwängler Composer INDEX 1
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/shin-p/furu08.htm


このコーナーでは、主要な作曲家・作品別にフルトヴェングラーのディスクを掲載します。
特に「スタジオ録音」と記載のないものはすべてライヴ録音です。

Beethoven : Sym. No.5

1)26/??/?? BPO Berlin Polydor Studio(DGstudio)

2)37/10/08-11/03 BPO Berlin(EMI Studio)

3)39/09/13 BPO Berlin Phil.(RRG)

4)43/06/27-30 BPO Berlin Phil.(RRG=No Audience)

5)47/05/25 BPO Titania(RIAS)

6)47/05/27 BPO Haus des Rundfunks Berlin(DRA)

7)50/09/25 VPO Stockholm

8)50/10/01 VPO Copenhagen

9)52/01/10 RAIRomaO RAIRoma

10)54/02/28-03/01 VPO Musikverein(EMI Studio)

11)54/05/04 BPO Paris Opera

12)54/05/23 BPO Titania


▼戦中のRRGのBPO実況盤が収録された記録があるが存在は不明。
3) は4楽章に一部欠落がある。

▲世評では 6)だが、私は 5)。 最近いつも聴いているのは11)。
>>>>>My Best is 5)

8. 中川隆[-14176] koaQ7Jey 2020年1月24日 16:57:46 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1027] 報告

Wilhelm Furtwängler site by shin-p
フルトヴェングラー資料室(WF Archives)
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/shin-p/furu01.htm


▲△▽▼


【フルトヴェングラーの《運命》初録音】Furtwängler & BPO - Beethoven: Sym. No.5 in C Minor, Op.67 (1926.10)



ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1926年10月16, 30日 & 1927年、ベルリン、ポリドール・スタジオでのセッション録音
ポリドール78回転盤(Polydor69855-9)より復刻


▲△▽▼

1926年
●10月16日、10月30日、1927年 16 & 30 Oct. 1926 & 1927 BPO Belrin Polydor Studio

ベートーヴェン/交響曲第5番「運命」 Beethoven:Sym.No.5
Matrix:174-75+216-18+179+330(1/2)+214-15bm

SP/PR: Pol69855-9(27/01)
LP/SB: WFSJ NA122('70?) Fontana(JP)PL1020('75)
CD:DG(JP)DC1-1067('94) IDI(Italy)IDIS272-3(98/09)=*1 Koch('95?) DG4775238(04/10=only 1stMov.)

▼ローマイタリア響の運命とのカップリングで75年発売された1300円盤は、shin-pの思い出の品。
録音は貧弱で、曲の骨格とWFの特徴は何とかわかる程度。
フォンタナ盤が復刻に使ったSPは、その前に「正規盤」を出し、このLPの解説も担当されている日フ協会川上氏所蔵のもの。DGは没後50年記念として1楽章のみ復刻CDを発売したが音質の向上はないものねだりだった。

日付は「魔弾」と同じくMike Gray氏のリサーチによるもの。以前は11月30日とされていた。 10月16日に1楽章と3楽章が録音され、30日に2楽章と4楽章中後半部、翌年に残り部分が収録されたという。但し、3楽章の録音はノイズに埋もれ難航したといい、たった1日で収録が完了したかどうかには疑問が残る。

3楽章の9小節は前述のようにノイズに埋もれたためのカットがあるが、録音表の清水氏によれば、逆に2楽章のSP4面から5面にかけては9小節の重複があるという。
日本協会盤はこの重複部分もボーナストラックに収録している。
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/shin-p/furu01.htm#19260000

9. 中川隆[-14175] koaQ7Jey 2020年1月24日 17:21:21 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1026] 報告

Furtwangler with BPO: Beethoven's Fifth symphony in c-moll (1937)








▲△▽▼

1937年
●10月8日、11月3日 8 Oct. & 3 Nov. 1937 BPO Berlin Beethoven Saal(EMI Studio)
ベートーヴェン/運命 Beethoven:Sym.No.5

Matrix:2RA2335-3/36-3A/37-3A/38-4A/39-3A/40-1A/41-3A/42-2/43-2A
SP/PR: DB3328-32S(37/12)
LP: HA5101('58)
CD: BIDDULPH WHL006-7('93) Tahra FURT1032-3(98/01)
CD/SB: WFSJ WFJ15-16('00)

▼戦前の巨匠の代表盤。
はっきりいってこれ以前の録音は、巨匠の音楽を日常的に楽しむものではない。
独Polydor に録音した最初期のSPにもすばらしい演奏があるのだが、いかんせん現代人の耳にはあまりに貧弱な音である。
この運命は SP復刻ながら状態も良く壮年時の巨匠の表現が楽しめる。
スタイルとしては47年盤をスタジオ録音にしたような、迫力のある名演である。

Roger Smithson氏は上記録音日を10月8日ではなく7日としている。
日本協会盤はエレクトローラSPが使用した別テイクも収録している貴重盤。

[運命 1937年 on Youtube Search]
https://www.youtube.com/results?search_query=Furtw%C3%A4ngler+1937+Beethoven+Symphony+No+%EF%BC%95&oq=Furtw%C3%A4ngler+1937+Beethoven+Symphony+No+%EF%BC%95

http://www.kit.hi-ho.ne.jp/shin-p/furu04.htm
10. 中川隆[-14174] koaQ7Jey 2020年1月24日 17:29:21 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1025] 報告

Wilhelm Furtwängler site by shin-p
フルトヴェングラー資料室(WF Archives)
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/shin-p/furu01.htm

1939年
●9月13日 13 Sep. 1939 BPO Berlin Philhamonie(Live for Broadcasting)

ヘンデル/合奏協奏曲op6-5
Haendel:Concerto Grosso op.6 No.5

ベートーヴェン/運命
Beethoven:Sym.No.5

RRG収録 DRA所蔵ディスク(No5=DRA 5500999)
CD/PR THARA FURT1004-5(97/04)


▼TAHRAから発売された未発表録音。

運命はSP75回転盤全8面中第7面が紛失(4楽章の486-668小節に欠落)し、HMV収録37年スタジオ盤で修復している。その部分は音質が多少異なり、HMV盤の方が若干高音が伸びて明瞭な感じを受けるが、各面のつなぎ目は良好で、全体としてこの時期のものとはしては音質は平均点。

演奏は37年盤とスタイルも酷似しており、また針音のせいで会場のノイズは聞き取れない。実況ではないかも。

なおハンガリー協会のNEWSではTAHRA FURT1014-5に含まれる演奏は96年にシュトゥットガルトで発見されたとしている。

TAHRAは戦前の巨匠の録音の発掘に力を注いでいるというが、今後さらに発見される可能性は?

http://www.kit.hi-ho.ne.jp/shin-p/furu04.htm

11. 中川隆[-14173] koaQ7Jey 2020年1月24日 18:03:40 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1024] 報告


Beethoven: Symphony No.5 Furtwangler (1943)








Recording: June 30, 1943
Conduct: W. Furtwangler (1886 - 1954)
Berlin Philharmonic Orchestra


▲△▽▼

1943年
●6月27-30日(1944年1月録音?) 27-30 June 1943 BPO Philharmony (without audience)DRA 5500557

Beethoven:Sym.No.5 ベートーベン/交響曲第5 (o-86/98)5

LP/PR: D05800-1('59) UNI106(69/10) SWF7002/R(70/02) Columbia(JP)DXM102UC(70/10) DXM157VX('72) Turnabout(Vox)TV4353('70) TV4361('70)
CD/SB: TAH272(97/08) MEL10 00720('93) TOCE3732(00/08) OpusKuraOPK7001(03/11) VeneziaV1021(03/12)EMI CZS5628752(04/06=miss data) Berliner Philharmoniker KKC5952(18/12)

>>>TAHRA CD(TAH272) is the best sound.

第5の43年録音は全楽章聴衆なしの放送録音盤。
初出のメロディア盤はブルー灯台56年規格が確認されており、メロディアのWF戦中録音シリーズでは最も早い('59?)発売という。

演奏は強烈な迫力を伴って運ばれているが、DG盤はエコー(ソ連で入れていた)が強くかけられ、歪みが多い。
ユニコーンUNI106('69)はメロディア盤をダビングしたものとされる西側初出盤だが、エコーは少なく音質は比較的良好。

桧山氏はレコ芸紙上で当時の西側諸国に残されたこの「第5」のテープを用いて、メロディア盤よりクオリティの高いレコードを作る計画を示唆していたが→TAHRAがフランクフルト、ウィーンなどに残された録音テープを使用したCD(TAH272)を97/08発売した。

オルセンはこれらのテープは誤った録音年(1944年)が記載されていたとしている。
またVOX原盤のコロムビアDXM157(72/10)はメロディア盤を起源とするユニコーン系とは別の西側に残されたコピーテープを使っているとオルセンは指摘し、当初「録音日不祥」でメロディア盤とは別録音の扱いになっていた。

蔵盤もストレートにメロディア盤を音化した評判の良いCD。
Venezia盤は盤質が良く音質良好の板おこし。

会議室におけるWF氏清水氏などの書き込みによれば、メロディア盤には「ガスト73」規格以降のLP/CDは1楽章7'07"付近に音の間延び現象があり、コーダに向かっての盛り上がりに「ズッコケて」感興を殺がれる−という。NHKFMで放送された87年返還テープでも「ズッコケ」は確認できる。01年末に日本に輸入されたギリシャdacapo盤と89年DG盤CDはこのテープを使っていることからこの「ズッコケ」が確認できるが、87年返還テープを使ったCD/LPと73年規格以降のメロディア板おこしCD/LP以外は正常。「1楽章欠落44年2月の運命」というフレコミのEMI CZS5628752(04/06)は従前の演奏と同じ録音で欠落もなかった。

コリオランは日本直輸入メロディアLP登場('89)までの西側盤は歪みが多く、音質的に大きなハンディがあった。最後のピッチカートには欠落があり西側のレーベルでは修復されていた。桧山氏は最後のピッチカートが弦だけに聞こえることから、「どこから持ってきたのだろう」とこの演奏とは別演奏のものの可能性を臭わせていたが、マグネトフォン特有(?)のブーというハム音が最後の音も聞こえることから、即断できない状況。

初期のメロディア盤は、この時のモノではないと思われる明瞭な音質の拍手と共に最後のピッチカートが聞こえる。
最新のメロディアLPなどではこの欠落が修復され、現在は形の上では正常になっている。
しかし近年正常な形で発売されたメロディア盤やM&A盤にしても最後のピッチカート部分にはテープの継ぎ目が感じられ、収録ミス説もある。

仙台S氏によれば、(1)メロディア初期盤(青聖火・ピンク)およびSFB返還テープと(2)メロディア黒盤およびCDの2種のテープが存在するという。
前者がピチカート欠落版でメロディア盤は明瞭すぎる拍手をかぶせている。
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/shin-p/furu05.htm

12. 中川隆[-14169] koaQ7Jey 2020年1月24日 22:30:09 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1020] 報告

Beethoven - Symphony n°5 - Berlin / Furtwängler 1947


Berliner Philharmoniker
Wilhelm Furtwängler
Live recording, Berlin, 25.V.1947


▲△▽▼


1947年
25 May 1947 BPO Titania (RIAS)
Beethoven:Sym.No.6 & 5

●5月25日 ベートーヴェン/田園・運命 BPO ティタニア RIAS録音

LP/PR: CetraFE32('83) King(JP)K19C266-7(83/07)KIJC2001-2('90?)
CD/SB: WFSG TMK008080('96) EvangelFRL1004(97/04)
CD: CetraCDE1014('90=ANF307) RodolpheRPC32522-4('90?) TAHRA FURT1016(97/06) King(JP)K33Y193(86/10)KICC7091(91/04)KICC2293(93/07)KKCC4232(98/03) M&ACD789('93)CD922('96)

>>King(Japan)KICC2293 were dull sound. German WFS's CD is the best sound. But I don't like TAHRA sound. TAHRA use much noise reduction.

CetraFE32, King K33Y193(from Cetra) and KICC2293(from Italy My Sound) are authentic 5/25 performance. But King KICC7091(from Cetra), ANF(Japan)307(from Cetra) and Cetra CDE1014 are 5/27 performance.(according to Mr.Tsushimi)

Egmont wasn't recorded. Italian Laudis CDS1-6007('87) Egmont is doubtful date.


▼初出のCetra盤 LP やそれを原盤としたキング盤(K19C266-7)は劣悪な音で有名。
局出し音源の独協会 TMK008080('96)の音質は DG の27日盤を上回るほど。
それをデジタルコピーしたと思われるEvangel盤(FRL1004)も同様。
97/06 TAHRA から正規市販盤が出たが、これも金管が生々しく47年とは到底思えない音質。
SK氏は協会盤や Evangel盤のほうがいい音質−としている。
shin-pも聞き比べたが TAHRA盤はノイズリダクションが強くかかりすぎて本来の明瞭な音がしない。
独フ協会盤とEvangel盤はヒスノイズが若干多いものの音自体が生々しく良好な音質。
キングは98年 TAHRA盤を国内盤扱いで発売。

演奏は時にアンサンブルが乱れたりもするがそんな些細なことはどうでもよくなるほど熱気あふれるもの。

RIAS は西側(米)占領軍による放送局で、oda氏によれば、ベルリンの壁崩壊後90年代半ばまで存在したという。そのアーカイヴは Deutschlandfunk に移管されたと思われる。ただし、独協会盤頒布以降の運命の音質向上は目が覚めるほどだったが、田園はそれほどではない。

この日はエグモント序曲も演奏されたが録音はない。その理由としてチェトラ盤の解説では「紛失した」とし、キングLP盤(Cetra原盤)はタスキに「テープが切れてしまった」と記している。
伊LaudisCDS1-6007('87)は4/25録音(5/25の意味?)と称するこの曲を収録しているが、5/27 とノイズが一致。

この日の「運命」には27日と混乱しているものが多い。
shin-p は未聴だが、90年にでたANFコーポレーション盤(ANF307=チェトラ直輸入国内盤)は 1楽章のみ 5/27盤で、KICC7091(91/04=チェトラ原盤)は部分的に5/27が入っていると宇野氏はいう。
但しこの両盤は直輸入形式で日本発売されたもので、同じ物だと思われる。
日KingK33Y193 は LP初出時にCetraから送られてきたテープを流用しているらしく表記通り 5/25演奏。

KICC2293(93/07=伊マイサウンド原盤=チェトラの原盤保有会社で Arkadia やHUNT、MovimentMusica などもこの系列)は再び表記通りの5/25の演奏となっている。

現時点で録音日に誤記があるものを列挙すると−、

25日録音との表記ながら全曲27日なのは
独ベルラフォン689.22.003 独ArchipelARPCD 0105

25日録音との表記ながら 1楽章のみ27日なのは
伊CetraCDE-1014 その日本輸入盤ANFコーポレーションANF-307、キングKICC7091
(但しCetraCD およびそれを原盤にするものには1楽章のみ27日と
全楽章27日さらに部分的27日の3ヴァージョンがある可能性も)
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/shin-p/furu11.htm
13. 中川隆[-14168] koaQ7Jey 2020年1月24日 23:11:49 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1019] 報告

L.V.Beethoven Symphony#5 [ W.Furtwängler Berlin-PO ] (May/27/1947)







Wilhelm Furtwängler (1886-1954), Conductor
Berlin Philharmonic Orchestra

Rec. 27 May 1947, in Berlin (Live Recording)


▲△▽▼

1947年
27 May 1947 BPO The Broadcasting House occupied by USSR at Masurenallee in Berlin(DRA)

●5月27日 ベートーヴェン/エグモント序曲・運命 BPO ベルリン英占領区ソ連放送局スタジオ 旧VEB(旧DDR)/DRA所蔵

LP/PR: DG LPM18724(61/11)2535810('77) Eterna820280(64/11) DG(JP)LGM1070('62)MG1439('68)MG6006('77)
CD: DG439832-2('85) DG(JP)POCG2131('90?)DG(JP)POCG3788(97/08) SWF013('01)MythosNR5003('02)

>>>MG6006(Japan DG) is my unforgetable LP.
I listened at highschool student, and I was moved to tears.
"Originals" only released in Japan are good sound.

▼久しく廃盤になっていた70年代、このMG6000シリーズの登場を、高校生だった私も心待ちにしていた。現在のように HMV/Virgin/Tower がない時代で、しかも私は当時四国の地方都市にいたので国内盤のみが頼みだったのだ。CDになってさらに良好な音質(1年半後の名盤48年ブラ4番より良好な音質)で聴けるようになったのはうれしい。

なお、収録場所については1997年までティタニアパラストとされていたが、実際はイギリス占領地区にあるソ連管轄の放送局スタジオでの聴衆を入れての収録となっている。

45年4月22日ソ連戦車隊のベルリン市街突入、5月2日ベルリン占領の際、このベルリン放送局から多くのRRG収録テープや機器がソ連側に接収された。この演奏を収録した放送局は49/10/07ドイツ民主共和国(東独)建国後 DDR となり移転、その所在地Masurenallee では1954年SFBが放送を開始、現在は公共放送の統廃合がされ RBB(ベルリンブランデンブルグ放送)となっている。

[Rundfunk Berlin-Brandenburg by de.Wikipedia]
[現在もMasurenalleeに建つRBB社屋 by de.Wikipedia]

Eterna は東独の国営レコード会社でDDR(東ドイツ国営放送)と同じVEB(国営企業体)にあり、その音源を使ったエテルナ LP が音質最高という声もある。
日本独自企画オリジナルスについては、元々この演奏が当時としては驚異的な音質だったため、大きな改善は見られなかった。
さらにDGオリジナルスや SWF盤では3楽章の弦のミスを修復している。

またHS氏から「手元にあるLP2種(DG 2721 202及び2740 260)どちらもA面(第1,2楽章) のみ疑似ステレオです。これはA面は古い88 011の原盤を使用していますが、 B面はカップリングの関係(エグモント序曲が88 011には無い)からか、 新しい「ヒストリカル・シリーズ」の原盤を使用した為こうなってしまった ものと思われます。」というご意見を頂きました。
これについて01/12/28伊豫守氏は
「A面は古い88 011の原盤に使用された同じ擬似ステレオ音源を使用」
とするのがより正確なようだ。88 011のA面の音溝部分の幅は約6ミリ、
2740260は約7ミリで、2740260の方が出力レベルが高く、ステレオ感も
88 011より、顕著であるように聴こえる。
とされています。
但し日本盤MG6006は別原盤を使用し、オリジナルのモノだが、音質は初期盤よりも劣るという声大。
Mythos NR5003('02)は初出盤 LPM18724 の板おこしとされる。
日本初出盤 LGM1070('62)も人気がある。

また、25日と表記されながら全曲あるいは部分的に27日を使っているものもある。
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/shin-p/furu11.htm
14. 中川隆[-14167] koaQ7Jey 2020年1月24日 23:27:33 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1018] 報告

Beethoven Symphony No. 5 ‘Schicksal’ (Wilhelm Furtwängler 1950)


Wilhelm Furtwängler, Wiener Philharmoniker
Wilhelm Furtwängler (1950)


▲△▽▼

1950年
25 Sep. 1950 VPO Stockholm Koncerthuset Stora salen(SwedishRadio)
Swedish & Austrian national anthem
Beethoven:Sym.No.5

●9月25日 スウェーデン国歌・オーストリア国歌 ハイドン/驚愕 シベリウス/伝説 R・シュトラウス/ドンファン ベートーベン/運命 VPO ストックホルムコンサートホール スウェーデン放送収録

LP/PR(Swedish): GC570234-5('70?) AT13-14('89?)
CD: Theatre400353-1('90?)
LP/PR(O): GC570234-5('70?) AT13-14('89?)Mullyhill92885X(?)
CD: Theatre400353-1('90?)
LP/PR(Hydon): GC570234-5('70?)DiscocropRR399('75?)Columbia(JP)OZ7511BS('76)AT13-14('89?)King(JP)KIJC2019-20('90?)
CD: M&A CD802('94)King(JP)KICC2119('91)History(G)20.3133('99)
LP/PR(Donfan): GC570234-5('70?)DiscocropRR460('75?)King(JP)KIJC2019-20('90?)AT13-14('89?)
CD: King(JP)KICC2353('92)M&A CD802('93?)
LP/PR(Sib): GC570234-5('70?)WFSJ NA117('70?)DiscocropRR403/507('75?)Columbia(JP)OZ7548BS('76)AT13-14('89?)
CD: Theatre400353-1(?)King(JP)KICC2119('91?)M&ACD799('94?)
LP/PR(No5): GC570234-5('70?)WFSJ JP1191('75?)Columbia(JP)OZ7548BS('76)AT13-14('89?)
CD: Crawn(JP)PAL1024('88)King(JP)KICC2119('91?)M&ACD802('95)


▼この北欧への演奏旅行、ストックホルムではあと1曲(おそらくアンコールで演奏されたもの)モーツアルトのアイネクライネから終曲が演奏されており録音も存在するという。ただし、全曲ともディスクからの復刻で録音状態は戦前43年のVPO公演を下回る。

運命において、WFはすでに晩年のスタイルを模索しているようだが、VPOとの呼吸が上手くいかず、アンサンブル面においてももどかしさが感じられる。
録音も3楽章後半部でマイクのセッティングを移動するようなノイズが聞こえるなど、常時の鑑賞には堪えない。

驚愕はスタジオ盤を大きく上回る出来で、録音状態も気にならない。初出私家盤のGCは両国国歌から次曲が始まるまでのインターバルを収録し雰囲気満点のコレクターズアイテム。Q氏は「海賊らしい海賊盤」と表現する。

shin-pはQ氏のご協力でGC盤を聞かせていただいた。KICC2119はノイズリダクションを多用したせいか音が不明瞭だが、GCはノイズは盛大なものの明快に感じられる。
音質的には運命驚愕ともにDiscocrop盤やその日本盤の日C盤LPの方がさらに明瞭。43年よりは若干落ちる程度。
[Stockholms konserthus sv.Wikipedia]


_________


1 Oct. 1950 VPO Copenhagen Odd Fellow Palaet(Danish Radio)
Beethoven:Sym.No.5


●10月1日 ベートーベン/運命 シューベルト/未完成
VPO コペンハーゲンオドフェローパレス デンマーク放送収録

LP/PR(No5): DanacordDACO114('85?)
CD: DanacordCD301('86)
未完成未発売 No8 not issued.

▼このデンマーク製のDanacord盤CDは輸入盤店で良く見かけた。カップリングは他のアーチストのブラームスの歌曲など。録音状態は直前のスウェーデン盤と同程度。
[Copenhagen Odd Fellow Palaet da.Wikipedia]

15. 中川隆[-14166] koaQ7Jey 2020年1月24日 23:37:46 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1017] 報告


Furtwangler Beethoven 5th symphony 1952 in Roma 実況録音







▲△▽▼

1952年
10 Jan. 1952 RAI Roma Orc. RAI Roma studio
Beethoven:Sym.No.6 & 5

●1月10日 ベートーヴェン/田園&運命
RAIローマ放送響 RAIスタジオ(Auditorium del Foro Italico) RAI収録

CD: KingKICC2346-7('94)
LP/PR(No5):OlympicOL8120-7('75?)
CD: KingKICC2346-7('94)
▽初出は日本フォノグラムからも出た世界初の巨匠のベートーヴェン交響曲全集からのもの。
14 Jan. 1952 RAI Roma Orc. RAI Roma studio

▼RAIローマ響との一連の録音は3月のトリノ録音と比べれば音質良好。
ステレオ録音ではないかとされる CetraLPも米Olympicと同様「テープから保存用にコピーされたパデローニという放送用ディスク」からの復刻。
STEREO と明記された FE5の田園や桧山氏がステレオではないかとするFE6のエロイカは「疑似ステ」と思われる。ただし音の明瞭さはCetraが優る。
音質は、運命/英雄/田園の順。
Pconは音質的にドロップアウトが多く、演奏もあまり良い状態とは思えない。

運命は47年のものと比較すると冷静に曲を解釈した好演だが、英雄の演奏に見られるように枯れていない「巨匠らしさ」をベートーヴェン交響曲で味わえる最後の録音。

[Scarpini Furtwangler by YouTube Search]
https://www.youtube.com/results?search_query=Scarpini+Furtwangler&page=&utm_source=opensearch

http://www.kit.hi-ho.ne.jp/shin-p/furu16.htm
16. 中川隆[-14165] koaQ7Jey 2020年1月24日 23:56:03 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1016] 報告


L.V.Beethoven Symphony#5 [ W.Furtwängler Vienna-PO ] (Feb/28~Mar/1/1954)





Wilhelm Furtwängler, Wiener Philharmoniker



▲△▽▼

1954年
28 Feb.-1 March 1954 VPO Musikverein(EMIstudio)
Beethoven:Sym.No.5

●2月28日-3月1日 ベートーヴェン/運命 VPO ムジークフェライン EMIスタジオ録音

LP/PR: ALP1195(55/02)
CD: EMI747120-2('89)

▼デジタルリマスタリングされた89年英EMIのCDは、音質が良好で、特に3楽章の低域がリアルに響いている。他の52年以前のVPOとのベートーヴェン録音とは一味違ったものである。

演奏の方は、43年の戦時下の放送録音や47年のベルリン復帰当日の録音などに比べると、もちろん物足りないのはあたりまえで、この演奏の神髄は、細部にわたって「運命」を分析的に演奏したものであることだ。
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/shin-p/furu19.htm
17. 中川隆[-14164] koaQ7Jey 2020年1月25日 00:11:51 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1015] 報告


Furtwangler conducts Beethoven Symphony 5 (Paris 1954)











Wilhelm Furtwangler leads the BPO in Beethoven's fifth symphony on May 4, 1954 at the Paris Opera. While not as well known as the wartime performance or the last recorded performance (5.23.54), I believe that this version is the best realisation of Furtwangler's overall conception of the score, despite the BPO being in less than perfect form.

▲△▽▼

1954年
4 May 1954 BPO Paris Opera(INA Paris)
Beethoven:Sym.No.5

●5月4日 ウェーバー/オイリアンテ序曲 ブラームス/ハイドン変奏曲 シューベルト/未完成 ベートーベン/運命 BPO パリオペラ座 ORTF収録 INAパリ所蔵

CD: POCG2351('91)SWF941-2('94)
CD: SWF941-2('94)ElaborationELA902('94)
CD: SWF941-2('94) ELA901('96)
LP/PR(No5): CetraLO519(80?)
CD: SWF941-2('94) ELA901('96)

▼仏協会(SWF)盤でやっとこのパリでの演奏会が良質の音で聴け、楽器一つ一つの音が手に取るようにわかるようになった。
運命の演奏はEMI 54年盤に「実況」の味を加えたもの。
スタジオ盤でも4楽章終盤でわずかにテンポが速くなるのが感じられるが、このパリ盤ではそれが顕著だ。
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/shin-p/furu19.htm
18. 中川隆[-14163] koaQ7Jey 2020年1月25日 00:24:54 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1014] 報告

【高音質復刻】Furtwängler & BPO - Beethoven: Sym. No.5 (1954.5.23)


ベートーヴェン:交響曲第五番《運命》
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1954年5月23日
ベルリン、ティタニア・パラストでのライブ録音


▲△▽▼

1954年
23 May 1954 BPO Titania(RIAS)
Beethoven:Sym.No.6 & 5

●5月23日 ベートーヴェン/田園・運命 BPO ティタニア RIAS収録

CD: HuntCD503('91?)Virtoso2697162('89)EMBLEM F4003(94/03)M&ACD869('95?)
LP/PR(No5): WFSG F669310-1M('85?)
CD: WFJ12('90?)EMBLEM F4004(94/03)TAHRA FURT1009(94/10)

▼日本の世評が高いこの5/23盤「運命」だが、やはりティタニアの音であることにかわりはなく、同じ分析的なスタイルならば乾いた音ながら細部がよく聞き取れるパリ盤をとりたい。

Furtwangler Beethoven 1954 May 23 on YouTube Search
https://www.youtube.com/results?search_query=Furtwangler+Beethoven+1954+May+23&search_type=&aq=f


http://www.kit.hi-ho.ne.jp/shin-p/furu19.htm
19. 中川隆[-14162] koaQ7Jey 2020年1月25日 00:32:10 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1013] 報告
1947年5月25日 フルトヴェングラー ベルリン歴史的復帰演奏会「運命」
http://classic.music.coocan.jp/wf/item/1947-5-beth5.htm


 1933年1月30日、ヒトラーがドイツの首相となり、多くのユダヤ人や、非ユダヤ系であるが心ある人々の多くがドイツから亡命した後も、フルトヴェングラーはドイツに留まって音楽活動を続けたため、結果的にナチスに都合よく利用されてしまった。

 しかし彼自身は----党員になることで出世したカラヤンとは異なり----決してナチスではなく、たびたびVIPの特権を活かしてナチスの政策を批難したり、また非常にしばしば政府高官と交渉しては、多くのユダヤ人を強制収容所から救出したり、その国外亡命を助けたりした。しかし所詮、外国からみれば彼はナチスの文化政策の一枚看板であった。

 1945年のドイツ敗戦後、彼は「戦犯」の扱いをうけ、「非ナチ化」が済むまでは演奏活動禁止の処分を受けた。

 1947年、フルトヴェングラーは2年ぶりにベルリンに「歴史的復帰」を果たす。
 この復帰コンサートのチケットはまたたく間に完売となった。ベルリンの市民は、空襲の恐怖の中でも、彼の指揮するベルリン・フィルの演奏会が唯一の心の慰めであり支えであったことを忘れていなかったのである。戦後の混乱した経済の中で貨幣なみに流通していたコーヒーやタバコ、靴、陶器などを窓口に差し出してチケットをもとめようとするものも多かった、という。

 そんなベルリン市民の期待に応えるべく、フルトヴェングラーが用意したのは全てベートーヴェンの作品----エグモント序曲、「田園」「運命」の3曲----からなるプログラムであった。コンサートは同じプログラムで5月25、26、27、29日の4日間行なわれた。この曲が作曲されて以来、最も感動的に演奏された日であった、と言っても決して過言ではないだろう。

 フルトヴェングラーは、音楽についての深い洞察に満ちた論文集「音と言葉」を書き残した。

 その中に「ベートーヴェンの第5交響曲について」という論文がある。彼はその中で、この曲の冒頭について、素晴らしい解釈を示している。

 彼は、ベートーヴェン自筆の楽譜を調べた結果、4小節目の二分音符は全曲の清書が終わってから書き加えられた、ということを発見したのである。だとすると、ベートーヴェンがそうした理由はただ1つ、1回目の「タタタターン」よりも2回目のほうを長くのばすことを要求したからである。そのようにすることで、どのような効果を期待したのか。

 それはこのモティーフを他の部分と区別しこの曲全体のモットーとして強調するためである。その証拠に第1楽章の同様の箇所の全てに、ベートーヴェンは二分音符を追加しているのである。

 フルトヴェングラーの演奏はこの論文の結論を実演で証明したものである。彼は全曲に渡って「運命の動機」と呼ばれる3連打を強調して、この8分音符ばかりでできた「単純にして偉大な」曲の生命を蘇らせたのである。

http://classic.music.coocan.jp/wf/item/1947-5-beth5.htm

20. 中川隆[-14161] koaQ7Jey 2020年1月25日 00:49:17 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1012] 報告
ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」ハ短調 作品67 モノラル録音
http://classic.music.coocan.jp/sym/beethoven/beethoven5-m.htm


 この曲はモノラル録音の名盤を聴かなくては話にならないと思う。よって、全集ページに載せたものも含めて、録音年代順に私の所有している全録音を列挙する

 タイム表示は、第1楽章(提示部)、第2楽章、第3楽章、第4楽章(提示部、Preso部)である。第1楽章提示部がリピートされてない演奏の場合にはカッコ内のタイムに「+」を付けた。

 また、ここにあげたもので楽譜通り第4楽章のリピートをしているのはクレンペラーだけである。

 トスカニーニとセルのモノラル・モノクロ映像が見られるのはうれしいことである。


最近の入手
オットー・クレンペラー指揮ベルリン・フィル
TESTAMENT。SBT 1387。1966年5月12日、フィルハーモニーでのライヴ録音。8:38(1;40), 11:09, 6:02, 11:49(2:13R, P61)。

同日の第4番とカップリング。これもステレオだったら良かったのに! だが大変良好な音質だ。演奏はもちろんウィーン・フィル盤同様に素晴らしい。

第1次世界大戦前の録音

アルトゥール・ニキシュ指揮ベルリン・フィル
DG。1913年11月10日録音。
6:41(+1:42), 9:44, 5:30, 8:54(2:05, P58)

国内盤では以前にPOCG-2126「ニキシュBPO録音集」でCD化されていた。外盤では1997年にDG100周年で出た「COMPLETE BEETHOVEN EDITION」のVol.20「歴史的録音集 453 804-2」に収録されている(写真)。

 当然のことながらアクースティック録音であり、録音上の制約からニキシュの本領がどこまで発揮されているか疑問もある。トスカニーニがこの録音を聴いて「これは私の知っているニキシュとは違う」と言って物議をかもした、ということもあったらしい。確かに一般鑑賞向きではないだろうが、この資料的価値は高い。
 上記のようにタイムを計測してみると、この録音は、1920年代後半の巨匠たちの一連の録音よりも遅めのテンポであることがわかる。もちろんこのタイムだって「録音上の制約」を受けてはいるだろうが、しかし彼は「詩人ニキシュ」と呼ばれていたわけで、少なくとも勢いにまかせた演奏はしなかったと思われる。このテンポは案外信用できるのではなかろうか。

 はじめに蚊の鳴くような音質にちょっと我慢していれば、聴き進むうちに慣れてきて、終楽章ではしっかりその音楽に浸らせてくれるのは、やはりニキシュの偉大さなのだろう。

 当録音は「運命」の史上3番目の録音である。最初はドイツ・オデオンが無名の指揮者と弦楽オケで録音したもの、2番目はブルーノ・ザイドラー=ヴィンクラー指揮でベルリンの新フィルハーモニカーと称するオケで録音したものである。(いずれも同じ1913年録音である。)

 またこの録音当時は、ドイツ・グラモフォンはイギリス・グラモフォン社のドイツ支社だった。(翌年からのWWIで分離。何という昔の録音であることか!) だから2003年春に新星堂がEMIのロゴで当録音を復刻しているのは間違いではない。

1920年代=ヴァイマル時代の録音


ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル
1926年10月16,30日、ポリドールによるSP録音。電気録音最初の年である。6:18(+1:35), 10:56, 5:30, 8:36(2:16, P51)

 ISTITUTO DISCOGRAFICO ITALIANOレーベル輸入盤2枚組(IDIS 272/3)。このイタリアのレーベルは、98年夏に全3巻(各2枚組)でフルトヴェングラーの戦前SP録音を全部(ポリドール、EMI、テレフンケン)復刻して発売した。私が持っているのはその第1巻で1926〜30年録音の全てポリドール録音のものである。おそるおそる聴いてみたが、なかなかしっかりした音で入っている。望外の喜び、と言える。レコ芸の広告にもあったが、「イタリアのレーベルとは思えない出来」である。演奏もフルトヴェングラーの特徴が結構良くでているように思われる。

 ポリドールのSPは、DGの日本盤3枚組でほとんど全て復刻され3枚組POCG 2342/4で発売されているが、1926年の2つの録音、「魔弾の射手」序曲とこの「運命」は、ドイツのDG本社の強い主張で復刻されなかった。よって、その2つが聴けるCDとして貴重である。(独KOCH盤Koch 3-7059-2にも収録されているのだが、私はそれを入手できないでいた。)

 2004年、没後50周年記念でDGから出た2枚組00289 477 5238に、第1楽章のみOIBPリマスタリングされて収録されている。どうせなら全曲、しかも「魔弾の射手」序曲も入れてくれればよかったのに。

 2005年、ANDROMEDAレーベルから出たフルトヴェングラーの戦前SP全録音集6枚組ANDRCD 5008も入手(写真)。優秀な復刻で知られるGebhardtレーベルと同一グループらしい。

リヒャルト・シュトラウス指揮シュターツカペレ・ベルリン
DG。1928年、ポリドールによるSPを原盤から復刻した国内盤POCG-9063。5:46(+1:30), 8:57, 4:29, 8:15(1:59, P63)

上のフルトヴェングラーの初録音は、アメリカから提供された電気録音機器を使ってのものだったらしい。しかしこのシュトラウス盤では、ドイツ・グラモフォンが独自で開発した機器(ポリファー式)による録音で、かなり音質の向上が見られる。

速めのテンポで始まるが、フェルマータ及びその後の“間”は長めにとっている。主部はさらに速く一気呵成という感じだ。第4楽章Presto部では、途中415小節あたりで一度テンポを溜めてから再突入している。オケも気合いを入れて弾いており録音の古さを感じさせない。

フランツ・シャルク指揮ウィーン・フィル
EMI。1929年10月26〜28日録音。HMVのSPから新星堂の企画により復刻 SGR-8005。7:38(1:30), 8:41, 5:02, 8:35(2:02, P58)

このレコードはSP発売当初から、冒頭の3連打の頭がずれているので有名だったらしい。確かに「なんじゃこりゃ」という感じで始まる。いかに当時の録音技術が面倒なものであったにしても、冒頭からコケてしまっているのに録音し直さないというのは...惜しい。

しかし、その後の展開は見事である。主題提示部をリピートしており、そのリピートではバッチリ決まっている。

1930年代=ファシズム時代の録音
暗黒の時代ではあったが、巨匠たちの全盛期でもあった。

アルトゥーロ・トスカニーニ指揮ニューヨーク・フィル
NAXOS。1933年4月4日、カーネギー・ホール、ライヴ録音。
6:14,(+1:33), 9:58, 5:00, 9:01

時代のわりにはしっかりした録音である。これを聴くとトスカニーニの本当の音は、柔軟性のあるものだったことがわかる。
1942年の三重協奏曲とのカップリング。


フェリックス・ヴァインガルトナー指揮ロンドン・フィル
EMI。Columbia LX 274-277。1933年11月13-14日,Abbey Road Stadio,London。7:50(1:33), 9:44, 5:11, 8:42(2:03, P56)

東芝EMI(TOCE-9285/9)、GRAMOFONOの2種類の全集復刻セットで所有している。東芝の復刻のほうが落ち着きがあって聴きやすい音質である。

 なお、新星堂からもヴァインガルトナーの全録音が復刻されて出ている。そのデータによれば、ヴァインガルトナーは、他に1924年,27年,32年の3回も「運命」を録音している。いかに彼がベートーヴェンの権威だったかということであろう。
 演奏は実に見事なものである。気合いの入った冒頭3連打から第1主題と、実にしなやかな第2主題とのコントラストを聴くだけで、この演奏が“古典的”表現として完成されたものであることがわかるだろう。

ウィレム・メンゲルベルク指揮コンセルトヘボウ
TELEFUNKEN。1937年4月5日録音。

戦前のSP時代にフルトヴェングラー盤と争った名盤。
7:50(1:33), 9:04, 5:06, 8:23(2:00, P58)

 大のフルトヴェングラー・ファンだった丸山真男氏がこの演奏について、「(当初は)フルトヴェングラー盤よりも押し出しがはっきりしていて良いと思った」と発言されている(岩波新書「フルトヴェングラー」)。確かにこれは“メンゲルベルク流”の表現が尽くされた演奏である。さすがに曲が「運命」なだけに、「悲愴」のようなメロメロな所はないが、それでも所々にあざといテンポルバート(第4楽章冒頭ホルン・パッセージの前でのrit.など)がある。また、オーケストレーションもかなり改変しており(木管に金管を重ねている)、おや?という音色がする所もある。

 初め「コンセルトヘボウ100周年」のCD(243 725-2、第8番とのカップリング)で持っていた。

 しかし、1999年11月、テルデック創立70周年で、テレフンケン時代のSPの名盤を原盤からリマスターしたシリーズが出た。原盤あるいはSP盤をきちんと清掃してリマスターしたので音質に深みがある。紙ジャケットの作りも凝っている。こちらは「田園」とのカップリングである。(3984-28408-2)

 2001年秋、OPUS蔵レーベルからも良質の復刻盤が出た。これは第4とのカップリング。

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル
1937年10月8日&11月3日、ベルリン、ベートーヴェンザールにおけるHMVによるSP録音。

Biddulph盤によるタイム計測は、7:33(1:31), 10:08, 5:49, 8:06(2:00, P49)。
私が所有する復刻盤は次の通り。

Biddulph WHL-006/7 ---- 2枚組で「悲愴」「トリスタン」「パルジファル」などこの頃のHMVのSP録音を全て収録。(写真左)

TAHRA FURT1032/33 ---- 1943年、1954年の2種類のライヴとの聴き比べができる。(写真右)

opus蔵 OPK 2037 ---- 2003年初めに発売された驚くべき音質のSP復刻。SPではこう聞こえていたのか!と耳が洗われるようだ。カップリングは「エグモント」(1933)、およびVPOとの「コリオラン」(1947)。

新星堂 SGR 7180/2 ---- 2003年春発売。Biddulph盤と同じHMV録音と1937年「第9」を収録した3枚組。

ANDROMEDAレーベル6枚組ANDRCD 5008 ---- フルトヴェングラーの戦前SP録音3レーベル全録音集(26年録音の項参照)。

2011年、フルトヴェングラー生誕125周年ということでEMI国内盤で発売されたSACDにも収録されている。(1947年のベートーヴェンV協、1948年の自己犠牲などとカップリング2枚組TOGE 11026/7。)

 SP時代のフルトヴェングラーの「運命」と言えばこれを指す。岩波新書「フルトヴェングラー」には、戦前の日本のレコード雑誌で野村光一が「フルトヴェングラーは吉右衛門の芸風に似ている」と書いた、とある。丸山真男氏がそれを解説して「大見得を切っているようでいて、実は非常にすみずみまでピリピリと神経が通っている」神経質なベートーヴェン、と言っている。

アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団
RCA。1939年2月27日,3月1日,3月29日、ニューヨーク、8Hスタジオでの録音。7:16(1:27), 9:43, 5:09, 9:04

戦前のトスカニーニの代表的名盤。1000円の限定廉価盤BVCC-9703は、K2レーザーカッティング処理されており、同年の「第8」及び「エグモント序曲」とのカップリング。

2003年にopus蔵から出た復刻盤も入手。「エグモント序曲」およびハイドン「V字」とカップリング。

第2次世界大戦中の録音

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル
TAHRA。FURT-1014/15。1939年9月13日、LIVE。7:40(1:32), 10:07, 5:35, 8:02(1:57, P49)

第2次世界大戦勃発直後、ゲッベルス宣伝大臣の指示で開かれた一連の演奏会の1つである。

まだテープではなくディスク録音だった。その原盤matrix EA 55971〜55980のうち55979が欠落しているため、第4楽章の113〜295小節を上の1937年HMV盤で補完している。(よって上記第4楽章全体のタイムは無意味だが、提示部およびPresto部はこの時の演奏のものである。)

同日演奏のヘンデルの合奏協奏曲op6-5や、1944年のウィーン・フィルとのモーツァルト第40番など、新発見の録音ばかりの2枚組。


ウィレム・メンゲルベルク指揮コンセルトヘボウ
M&A。CD-1005(5CD)。1940年4月18日、ライヴ。
第1楽章リピート無し 6:14(提示部 1:33)

4〜5月に行われたベートーヴェン・チクルスの完全ライヴ全集。スタイルは上のTELEFUNKEN盤と変わらない。音質は悪いが、こちらのほうが若干流れが良い。


ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル
1943年6月、ドイツ帝国放送局によるマグネットフォン録音。8:07(1:39), 11:07, 6:01, 8:09(2:01, P47)

 HMV録音のスタイルはそのままに、より自然に流れるような演奏になっている。戦後の復帰演奏会のようなデフォルメも、あまり目立たない。DG盤の解説(ディヴィッド・ケアーンズ)に、「この録音は、フルトヴェングラーが一定の崩れのない速度で、楽章の初めから終わりまでを完全に通すことができた、ということを思い出させてくれる」と書いてある通りである。にもかかわらず「壮絶」な印象が強いのは、がらんどうのフィルハーモニーザールの残響が「冷たさ」を感じさせるからであろうか。

 この録音は様々な形で出ている。私が持っているのは、次の4種類である。

DG盤(427 775-2,F20G29088)・・・・「6月30日ライヴ」と表記。
メロディア盤(MEL CD 10 00720)・・・・「6月27日ライヴ」と表記。
TAHRA盤(FURT 1032/33)・・・・「6月30日ライヴ」と表記。(写真左)
TAHRA盤(FURT 1034/39)・・・・「6月27-30日ライヴ」と表記。(写真右)

 このようにライヴと表記されているが、全く聴衆ノイズらしきものが聞こえない。よって聴衆なしの放送用録音である、とshin-p氏のフルトヴェングラー資料室にも書かれている。

 音質的にはTAHRA盤が最も優れている。(同レーベルからの初出はTAH 272という番号で、アーベントロート指揮の「田園」とカップリングだった。)
2004年6月、EMIのGREAT CONDUCTORS OF THE 20TH CENTURYシリーズに収録された「44年2月7日」盤は、shin-p氏によればこの43年盤と同じものらしい。

1940年代後半=第2次世界大戦直後の録音

ここでのトスカニーニ、フルトヴェングラー、カラヤンの3人の置かれた境遇の差!

アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団
M&A。1945年5月8日、VEデー(ヨーロッパにおける戦勝記念日)のライヴ録音。5:28(+1:22), 8:48, 4:33, 7:51

ここでの演奏は、冒頭からやや前のめりの急速テンポである。

 偶然ではあるが、この曲の動機「・・・−」はモールス符号で「V」、すなわちVictoryを表している。そこでトスカニーニは、1943年9月のムッソリーニ失脚に際して、この曲の第1楽章のみを演奏し、残りの楽章はドイツが降伏したあかつきに演奏して全曲を完成させる、と予言した。これを実行したのがこの演奏なのである。このCDのカップリングは、VJデー(対日勝利、9月1日)の「英雄」ということで史料的価値が高い。

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル
TAHRA FURT-1016(写真左)。

ドイツ・フルトヴェングラー協会盤 TMK008080。
2009年にはauditeからRIAS録音集12枚BOX(中央)、
さらに同じくauditeからこの日の録音がシングルレイヤーのSACD国内盤でも出た(右)。
8:02(1:39), 10:40, 5:46, 7:54(1:57, P46)。

1947年5月25日、ベルリン、Titania Palastにおける、歴史的復帰演奏会初日のライヴ録音。この日は聖霊降臨祭の日曜日だった。(→カルラ・ヘッカーによるこの日の記述)

上記3セットとも同日の「田園」とカップリングで出ている。
演奏は、DGから出ている3日目よりも、フルトヴェングラーが緊張していたせいか、やや柔軟性に欠けるが、終楽章コーダのアッチェレランドなどは直線的でバシッと決まっている。

 このCDは、はじめキングの国内盤で購入し、のちM&A盤に買い直し、ついにTAHRA盤でオリジナル音源に到達できた。

 しかし、shin-p氏のフルトヴェングラー資料室によれば、これでもノイズ・リダクションがかかりすぎており、ドイツ・フルトヴェングラー協会盤や、それをコピーした海賊盤のほうが生々しいという。そこで99年4月、池袋TOWER RECORDの店頭に協会盤があるのに気がついて入手した。それまでは店で売ってるとは思わなかったので探しもしなかった。しかし2枚組で10000円とは高い! なんで2枚組かというと、同日の「田園」のほか、47年9月のメヌーヒンとのベートーヴェンのVn協奏曲なども一緒になっているからだ。で、確かに音質はTAHRA盤よりも自然である。しかし終楽章の最後の音の切り方はTAHRA盤のほうが良いのではないか。協会盤はちょっと切るのが早すぎる気がする。

 audite盤の音質は協会盤に似ている。最後の音も切り方もまずまずである。それにしても昔キングから出ていたLPでは、最後にもの凄い拍手が入っていたのだが、TAHRA盤・協会盤・audite盤ともそれをカットしているのは大変残念である。
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル

DG。7:59(1:40), 11:04, 5:50, 8:01(1:59, P48)
1947年5月27日、歴史的復帰演奏会3日目のライヴ録音。同日の「エグモント」序曲とカップリング。

あらゆるクラシック音楽のCDの中でもっとも感動的な1枚と言えよう。

 この歴史的復帰演奏会の3日目の場所は、従来は「ティタニア・パラスト」となっておりCDにもそのように記載されている。しかし、近年の研究により、27日の演奏会は「ベルリンのイギリス占領地区にあるソ連管轄の放送局」に聴衆を入れてのライヴ録音と訂正された。これはマズーレンアレーにあった戦前の帝国放送局のことである。

 私は学生時代に朝のFM放送でこの演奏を聴いて以来、フルトヴェングラーにどっぷりハマり、その音源であるMG-6006という番号のLPを購入した(これはまだ実家にある)。

大学卒業後まもなく、「レコ芸」の企画での「名盤コレクション 蘇る巨匠たち」シリーズ第1弾ORG-1001として初CD化されたのを通販で入手した。(これは下記のOIBP盤を入手した際に手放した)。

 次に正規国内盤としてOIBP化されたPOCG 3788を入手。これには序曲の他に、52年の大フーガも収録されている。これも次の紙ジャケット盤を入手したので手放した。

 ヴィンテージ・コレクションの紙ジャケットOIBP盤POCG 90445では初期海外盤LP(18 724)のジャケット・デザインを復刻している(写真左端)。カップリングはLPと同じく序曲のみである。

 にもかかわらず、外盤でのCD化は、2003年のeloquenceシリーズ474 728-2(写真左から2番目)の発売まで全くなされていなかった。この盤は、同日のエグモント序曲は入っておらず、かわりに53年のシュナイダーハンとのヴァイオリン協奏曲がカップリングされている。

 しかし! 2004年に宇野功芳氏編集の学研ムック「フルトヴェングラー 没後50周年記念」において、平林直哉氏が次のような指摘をされているのを読んで愕然とした。

(OIBPリマスター盤は、)第1楽章22小節(第1主題提示部の中間部、印象的な第1ヴァイオリンのみのフェルマータの後のフルトヴェングラー・パウゼのところ)のノイズをカットしてしまい、一瞬ではあるが、間合いが短くなり、前につんのめるようになっている。

 うーむ、気がつかなかった。「2004年8月に再発されたUCCG 3696はそのカットもなく音質も良いのでおすすめできる」とも書かれていたので、それを入手。没後50年記念の国内盤フルトヴェングラー・エディションである(写真右から2番目、カップリングは序曲のみ)。

 そこで3つを聞き比べてみた。なるほど確かにUCCG3696ではフルトヴェングラー・パウゼのところで残響と客席のノイズがちゃんと残っているが、OIBP盤ではそこが無音状態になっている。eloquence外盤でも同じような処理がなされているようだ。ただ、間合い(=パウゼの時間)が短くなっているかどうかは計測できない。ノイズとともに残響成分もカットして無音になってしまった結果、聴いていて息がつまった感じになるだけかもしれない。

 もちろんこの違いは、指摘されて注意深く聴いて初めてわかる程度のものであり、素人にはあまり問題はなかろう。全体の音質としては、OIBP盤やeloquence盤のほうが、全体的に抜けがよく聴きやすい音質だと私は思う。

 2011年、フルトヴェングラー生誕125周年ということでシングルレイヤーのSACDも発売された。同日の「エグモント」序曲と52年の「大フーガ」とのカップリングである。(UCGG 9016、写真右端、このジャケット写真は私が買ったLP MG-6006と同じである。)

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィル
EMI。1948年11月、ムジークフェラインでの録音。ART処理輸入盤5 66391 2。第1楽章 7:24(提示部 1:26)。

戦後の活動停止処分が解除された翌年の録音である。(カップリングの第8は活動停止中、録音活動を開始した46年9月録音。)

演奏は後年のステレオ初期とかわらないスタイルである。1948年というのに、同じ頃のフルトヴェングラーの録音と比べると、格段に音質が良い。


1950年代以降の録音


巨匠たちの最晩年の芸風が聴ける。

ヴィットリオ・デ・サバタ指揮ニューヨーク・フィル
TAHRA。TAH 449。1950年3月16日、カーネギー・ホールでのライヴ録音。
8:24(1:36), 9:54, 5:11, 8:51(2:07, P55)。テンポをくずさずに3連打のモチーフを浮かび上がらせることができている。その意味で、トスカニーニとフルトヴェングラーの良い部分を両方受け継いだ演奏と言える。

同日演奏のブラームスのヴァイオリン協奏曲(ナタン・ミルシテイン)とカップリング。TAHRAレーベル10周年記念のリリースである。

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル
TAHRAから出た没後50周年3枚組FURT 1090/3。1950年10月1日、コペンハーゲンでのライヴ録音。

デンマーク放送の録音で、開演前後のアナウンスも入っている。8:29(1:40), 11:33, 6:07, 8:39(2:09, P52)。

なんとなくぎこちないカクカクした感じで始まり、その後もずっと慎重な進行である。結果的に54年のスタジオ録音に近い外観を呈する。

オットー・クレンペラー指揮ウィーン交響楽団
VOX。1950〜51年録音。第1楽章 7:59(提示部 1:33)

十分恰幅の良い演奏ではあるが、後年の演奏と比べるとまだ速めのテンポということになる。後年の演奏同様、終楽章もきちんとリピートしている。
同時期に録音された「田園」及び「ミサ・ソレムニス」とカップリングで2枚組。



トマス・ビーチャム指揮ロイヤル・フィル
EMI。1951年録音。ただし第3楽章と第4楽章のリハーサル風景である。
実に気合いの入った名演である。ビーチャムの叫び声が実にまたキマっている。なんできちんと録音しなかったのだろう?


ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ローマRAI交響楽団
URANIA。1952年1月10日、ライヴ録音。第1楽章 8:44(提示部 1:43)

出だしはかなりハッキリと振ったようで、フルトヴェングラーの指揮にしてはピッタリ合いすぎている。その後の展開も54年ウィーン・フィルとのスタジオ録音とよく似た、堂々とした風格で勝負する演奏になっている。宇野氏も指摘するように、オケとあまり慣れていないことが逆に幸いしているようだ。

カップリングは9日後の同オケとスカルピーニのソロでピアノ協奏曲第4番。
2005年、ANDROMEDAレーベルから出た52年RAI録音集6枚組ANDRCD 5010に2曲とも収録されている(写真)。

アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団
RCA。1952年3月22日、カーネギー・ホールでのライヴ。全集中のもの。7:12(1:27), 8:50, 4:37, 8:23(2:00, P52)
この演奏は、LDで見ることもできる。(カップリングは同日の「ローマの松」)。
2002年夏に東芝EMIからDVDでも発売された。

カール・ベーム指揮ベルリン・フィル
DG。1953年3月23〜25日、イエス・キリスト教会での録音。第1楽章 8:07(提示部 1:36)

フルトヴェングラー時代のBPOの実に重厚な演奏である。
「レコード芸術」誌の企画物でブラームス第2番(1956)とカップリングの盤を入手。
2004年7月、ヒストリカル・シリーズで58年「第7」とのカップリングで輸入盤初CD化。474 984-2(写真)。

Emil Berliner Studioにおけるリマスタリングによって音質が良くなっている!
よってレコ芸企画CDは手放した。


ユージン・オーマンディ指揮ウィーン・フィル
ANDANTE。ANDANTE-4988。1953年6月13日、ライヴ。第1楽章7:10(1:27)。

何ともめずらしいコンビの録音である。演奏はまっとうなものである。快速テンポの楷書体で、ライナーやショルティ同様ハンガリー出身者の特徴がよく出ている。

エーリヒ・クライバー指揮コンセルトヘボウ
DECCA。1953年9月録音。
7:10(1:22), 9:12, 5:20, 9:16(2:16, P56)。

基本テンポが速い上に、フェルマータの後の“間”を楽譜通りの8分休符しかとらない、というのはこの時期のドイツ系の巨匠の中では珍しい。演奏スタイルはかなりトスカニーニに近いものがある。

だいぶ前に入手した輸入盤417 637-2(田園とカップリング)で聴いていた。
2000年10月に出たDECCA LEGENDS輸入盤467 125-2(写真左、「英雄」とカップリング、96kHz, 24bitリマスタリング)を聴くと、この演奏の魅力があらためてよくわかる。

さらにクライバーのDECCA録音6枚組も入手したので、田園とカップリングの古い盤は譲渡した。

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル
EMI。1954年2月28日〜3月1日、HMVのLP用録音。全集中のもの。
8:30(1:40), 11:14, 6:03, 9:40(2:23, P60)

晩年の芸風である。終楽章も「超スロー・インテンポ」のまま進む巨大な演奏だ。
写真は2012年末発売のシングルレイヤーのSACD国内盤BOX内の1枚。第7番とカップリング。

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル
TAHRA。FURT 1023/24。
1954年5月4日、パリ・オペラ座でのライヴ録音。8:18(1:37), 11:01, 6:07, 8:48(2:08, P53)

同日の「未完成」、ハイドン変奏曲、オイリアンテ序曲とカップリング。この日のコンサートは吉田秀和氏が聴いている。これは、上のEMIスタジオ録音に示された晩年の芸風でやろうとして、あまりうまくいかなかった例であろう。フェルマータは短いし、アンサンブルは乱れるしで、あまり感銘を受けない。これは「背後で聴いているのがドイツ人でない」ということと関係があるのではなかろうか。どうも神経質になりすぎているような気がする。


ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル
TAHRA。FURT 1008/11。
1954年5月23日、ベルリン、Titania Palastでのライヴ録音。8:22(1:38), 11:12, 6:13, 8:43(2:09, P53)

演奏旅行からホームグラウンドに帰ってきての演奏会、ということで、全集盤に近い晩年の芸風のライヴ版がベストの状態で聴ける。オリジナル音源からのCD化ということで音質も素晴らしいが、やや残響を付加しているのが、気になる人は気になるだろう。

同日演奏の「田園」(素晴らしいプログラム!)のほか、「英雄」「グレイト」などをカップリングした没後40年記念の4枚組FURT 1008/11(写真左端)が初出だが、3種の運命聴き比べのFURT 1032/33(写真左から2番目)でも聴ける。

2000年末に、TAHRAが「残響付加無し、24bitリマスター盤」4枚組FURT1054/57(写真中央)を出したのを入手。上の従来盤とはだいぶ印象が異なる。

2009年発売のaudite盤RIAS録音集12枚BOX(写真右から2番目)にも収録されている。さらに2012年にはこの日の「田園」とともにシングルレイヤーのSACD国内盤も出た(写真右端)。

ヘルマン・シェルヒェン指揮ロイヤル・フィル
WESTMINSTER。1954年9月録音。全集中のもの。6:56(1:23), 10:14, 5:29, 7:31(1:47, P47)

レイボヴィッツ、ギーレンと受け継がれる「ゲンダイオンガク」的演奏の最初のもの。
特に思い入れを込めることもなく − ここがトスカニーニと違う点 − 、曲そのものの強さだけで勝負する派閥である。
(その点、1965年ステレオ・ライヴ盤は、やや趣が異なるものになっている。)



オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア
EMI。1955年10月6-7日、12月17日録音。

ステレオ全集盤よりも、かなり締まった演奏だ。8:05(1:36), 10:07, 5:41, 11:05(2:05, P56)

GREAT RECORDINGS OF THE CENTURYシリーズでART処理された輸入盤。
これの直前10月4-6日に録音された全集中の第7番とカップリング。(つまり第7をステレオ録音したあとにモノラルで「運命」を録音したことになる。)

ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ベルリン・フィル
ORIGINALS。SH948。
1956年4月8 or 9日、ベルリン高等音楽院でのライヴ。第1楽章 8:59(提示部 1:44)

海賊盤にしては良好な音質。結構締まった演奏をしている。
この演奏の安定感は、半分はオケの功績である。
ケルン放送交響楽団とのブラームス第4とカップリング。

カール・シューリヒト指揮パリ音楽院管弦楽団
EMI。1957年4月25-27,29日録音。Salle Wagram,Paris。全集中のもの。7:30(1:28), 9:40, 5:10, 8:27(1:59, P54)

颯爽とした歯切れの良い演奏である。第2楽章も抒情的だが粘ることはない。また、終楽章のホルンパッセージの最後の延ばし(第28,32小節)で、低弦を聴かせるためか音量を落としているが、これは表現としてあまり巧くいっていない。
なお、シューリヒトはこれより前にDECCAにも同じオケでこの曲を録音している。

ジョージ・セル指揮シカゴ交響楽団
DENON。DVD。1961年収録。7:38, 9:43, 5:38, 9:40(P55)

ライナーが60年に心臓発作を起こして以来、シカゴ響は数多く客演指揮者に頼る時期が続いた。それらがTV収録されて残されたものがDVD化されたわけである。後世にとっては幸運だったといえよう。他に、ベルリオーズ「ローマの謝肉祭」などが収録されている。(この映像のほんの一部だけは既にLD「アート・オヴ・コンダクティング」にも収録されている。)

セルの指揮ぶりは、「これぞ指揮者の模範!」と感心せざるを得ないものである。指示は緻密なのだが、同時に一種独特の「大らかさ」も兼ね備えているのである。(緻密で巧いだけの指揮者ならいくらでも現存している。)



ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ヘッセン放送交響楽団
TAHRA。TAH213。1962年3月20日、フランクフルトでのライヴ。

9:51(1:54), 12:20, 6:32, 11:31(2:46, P70)!

同日のハイドン「V字」とのカップリング。正規音源からのCD化で実に良好な音質。

 クナの特徴が良く出たもの凄い名演。フルトヴェングラーBPOライヴ、クレンペラーVPOライヴと並ぶ「3大演奏」である。

 あまりに遅いテンポのため、第1楽章の特に後半あたりは、いつアンサンブルが崩壊するかとハラハラさせられる。クナ自身も結構頑張ってオーラを発してはいるが、オケの団員が「えらいこっちゃ」と苦心惨憺して何とか持ちこたえている。

 最初は暖まっていない大型エンジンがそろりそろりと始動した感じだが、次第に興が乗ってくると滑らかに走行するようになる。最後は圧倒的な盛り上がりで終わる。

 なお当CDではトラックの打ち方が間違っている。第3楽章12:11、第4楽章5:53などと書かれているが、これは第3楽章のトラックを、第4楽章再現部の第3楽章回想部まで含めてしまっているのだ。記載だけでなくCDそのものもそうなっているので注意が必要である。


エフゲニ・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル
ERATO。ムラヴィンスキー12枚組。1974年9月15日、モノラル・ライヴ録音。
この曲はステレオ・ライヴもある。

http://classic.music.coocan.jp/sym/beethoven/beethoven5-m.htm

21. 中川隆[-14160] koaQ7Jey 2020年1月25日 01:00:04 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1011] 報告
ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」ハ短調 作品67 ステレオ録音
http://classic.music.coocan.jp/sym/beethoven/beethoven5-s.htm


 タイム表示は、第1楽章(提示部)、第2楽章、第3楽章、第4楽章(提示部、Presto部)である。第1楽章提示部がリピートされてない演奏の場合にはカッコ内のタイムに「+」を付けた。また第4楽章提示部をリピートしている場合には提示部のタイムの後に「R」を付けた。また、ブーレーズ、マズア、ノリントンとアバドの新盤では、第3楽章をリピートしている。

最近の入手

オットー・クレンペラー指揮ケルン放送交響楽団
WEITBLICK(WDR原盤)。SSS0206-2(2CD)。2017年リリース。
1966年3月17日、ケルン、Klaus-von-Bismarck-Saalでのステレオ・ライヴ録音。
8:41(1:41), 11:02, 5:56, 11:46(2:11R)。

ウィーン・フィルとの名演ライブと比べ、より筋肉質な演奏となっている。
カップリングは同日演奏の第4番とレオノーレ第3番で2枚組。


シルヴァン・カンブルラン指揮南西ドイツ放送交響楽団
GLOR。2003年11月29日、フライブルク・コンツェルトハウスでの録音。
07年の「田園」とカップリング。「英雄」につぐベートーヴェン第2弾である。
以下、録音年代順


シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団
RCA。1955年5月2日録音。
6:01(+1:29), 10:45, 5:34, 9:16(2:12, P52)。

ボストン響の弦パートは強さよりも柔らかさが特徴だし、加えてステレオ最初期の録音の質が薄いため、ミュンシュの気合いの入った指揮ぶりが十分に伝わってこないもどかしさがある。

はじめ、「英雄・運命・第9」の2枚組で聴いていたのだが、1998年5月に、K2レーザーカッティングされた1200円の限定廉価盤が出たので「運命&田園」を入手した。かなり改善されているが、しかしオリジナル・マスターテープからの処理ではなさそうなので限界はある。

ついに2005年、XRCD24で出た(写真)。カップリングは同日録音の「未完成」とである。ようやくマスターテープの音が聴けたという感じがする。


ギュンター・ヴァント指揮ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団・合唱団
TESTAMENT。1956年12月録音。
7:33, 9:35, 5:13, 8:25

2枚組で、同年6月モノラル録音の「第4」とカップリング。
フランスのレコード頒布クラブ「クラブ・フランセ・デュ・ディスク社」への録音である。


グィド・カンテルリ指揮フィルハーモニア
EMI。1956年ステレオ録音! ただし、第1楽章が欠けている!!

この年5月から6月にかけて、カンテルリはベートーヴェン第7番、モーツァルト第29番などをステレオ録音するセッションを行った。前記2曲は完了したが、この「運命」の録音は近辺の工事の騒音とカンテルリの過労のため、第1楽章は翌年に行なうこととしてセッションは中断された。しかし、この年11月にカンテルリは飛行機事故で亡くなってしまい、結局録音は完成しなかったのである。

アルトゥール・ロジンスキ指揮ロイヤル・フィル
WESTMINSTER。1956年録音。6:14(+1:34), 9:46, 4:51, 8:05(1:57, P50)

いやー、オリジナル・テープが見つかってほんと良かった。
演奏としてはレイボヴィッツ盤に似ているという印象。(オケが一緒、時期もほぼ同じ、ということもあるが)

ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団
ソニー。1958年1月27,30日録音。6:21(+1:38), 10:47, 5:48, 9:29(2:13, P61)


第1楽章はフェルマータが長い。特に2回セットの1回目がやたら長い。(吉田秀和氏が「世界の指揮者」の中で指摘されていた通り。)また423小節で溜めを作っているのはワルターらしい(モーツァルトの40番でも似たような所がある)。この演奏は、全体を通して、低弦の音が残響の多いホールに響き続けており、それが心地よく感じる反面、細かい音が聞こえないのは曲の性格上問題もあろう。私はこの演奏を初めて聴いた頃はあまり評価していなかったが、クレンペラーやクナッパーツブッシュの演奏も聴いた後改めて聴き直してみると、80才をすぎてこんな演奏ができるワルターの精神の若々しさに感銘を受けた。

2009年、「未完成」とカップリングのSACD国内盤を入手した(写真)。



ロリン・マゼール指揮ベルリン・フィル
DG。1958年5月13,14日、6月20日録音。
7:52(1:33), 10:49, 4:51, 8:37(1:59, P56)。

オーストラリアELOQUENCEシリーズ輸入盤で入手。カップリングは「田園」。
マゼール死後、初期DG録音BOXでも入手した(写真)ので、上記の盤は人に譲った。
これが28才の彼のレコーディング・デビューとなった。(正確にはLPのカップリング曲「献堂式」序曲のほうが5月12-13日録音と1日早いが..)

この演奏は、大学時代に45回転LPで入手し、なかなか気に入って聞いていたものである。3連打のタメなどはフルトヴェングラーの影響なのであろうか?

ゲオルク・ショルティ指揮ウィーン・フィル
DECCA。1958年9月録音。
7:18(1:24), 11:05, 5:07, 8:35(1:59, P55)

カルショウのプロデュース、ゾフィエンザールの素晴らしい響きは古びることはない。

2001年春、DECCA LEGENDSで「英雄」「第7」とともに2枚組となった。いずれも「指環」と並行して録音されたものである。

当時のショルティは案外伝統的な演奏スタイルであり緩徐楽章は結構遅めのテンポをとっていた。


オイゲン・ヨッフム指揮バイエルン放送交響楽団
DG。1959年4月25-27日、ヘルクレスザールでの録音。
ベルリン・フィルとバイエルン放送響を使い分けてのステレオ・モノラル混在の全集。
8:05(1:37), 11:08, 5:46, 8:57(2:09,P55)。

フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団
RCA。1959年5月4日録音。7:28(1:26), 10:04, 5:27, 7:55(1:50, P54)。
泣く子もだまる。吉田秀和氏も絶賛。硬派でしかも品があるベートーヴェンが聴ける。

その快速テンポは、ライナー時代のシカゴが黄金時代であったことをハッキリ示している。終楽章は主部のアレグロが十分速いためPrestoとの速度差があまりない。最後は以外にも結構リタルダンドして終結させている。

2000年9月、日本ビクターからXRCD2というもの凄いリマスタリング盤が出た(写真、コリオラン序曲とカップリング)。オリジナルの3トラック・マスターテープを見つけだしてリマスタリングしたらしい。

オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団
EMI。1959年10月録音。ART処理輸入盤全集。
8:51(1:44), 11:06, 6:14, 13:15(2:32R, P63)

 クレンペラーのこの曲の演奏の特徴は、第1楽章の展開部で弦が主題を奏した後3小節のばす所(第182〜184小節、第190〜192小節、その上で管楽器が次々と合いの手を入れる)で、その弦をディミヌエンドすることである(下のライヴも同じ)。これは私としては曲の勢いを殺ぐものと感じるので、あまり賛同できない。しかし演奏全体の巨大さからすれば、これは些細なことでしかない。


ヨゼフ・クリップス指揮ロンドン交響楽団
EVELEST原盤。キング国内盤SACD Hybrid(2015発売)。
1960年1月、ロンドン、ウォルサムストウ・アセンブリー・ホールでの録音。
8:19(提示部 1:39),
10:50, 5:47, 9:03(2:07,P58)。



ヨゼフ・カイルベルト指揮ハンブルク国立フィル
TELDEC。1960年前後の録音。第1楽章 8:41(提示部 1:44)

録音データもはっきりしない、何となくすみに追いやられているかのようなカイルベルトのベートーヴェン録音だが、この「運命」は全く素晴らしい。遅いテンポで古き良きドイツ的演奏をくりひろげる。第3楽章もかなり遅いのだが、アタッカで終楽章に入ると冒頭から案外速く始まるので逆に意外な感じがする。



フランツ・コンヴィチュニー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
Berlinクラシック。1959〜61年、ライプツィヒ、ベタニア教会での録音。7:58(1:35), 10:24, 6:08, 11:41(2:14R, P57)

LP時にはPHILIPSから出ていた全集中もの。全曲、これ「力こぶ」といった感じの演奏。いわゆる「ドイツ的」名演の典型である。

冒頭の8分音符を中庸のテンポでひとつひとつ強調して始まる。しかし、その後の展開も同じテンポであり、冒頭だけ遅くする古いタイプの演奏ではない。音符を1つ1つ積み上げていくクレンペラーのやり方を全体的にやや速くした演奏と言ったらよいだろうか。



ピエール・モントゥー指揮ロンドン交響楽団
DECCA。1961年録音。
7:05(1:26), 9:08, 5:01, 8:48(2:01, P53)。

443 479-2(2CD)にLSOとの録音の4曲収録(第2,4,5,7番)。この「運命」は素晴らしい。

 モントゥーのベートーヴェン演奏と聞いて、「田園」や「英雄」ならともかく、「運命」に対してはあまり期待していない人が多いのではなかろうか。かく言う私もそうだった。しかしこの演奏はあらゆるそういった先入観を打破してしまう名演である。

 最初のモットーはドイツ伝統のやや遅めのテンポで、それなりに重厚な音でやるのだが、そこに全く「ドイツ的田舎臭さ」がないのが不思議だ。続くアレグロ部の弦楽器の弓使いがすばらしい。1つ1つ短い音で歯切れが良く、このあたりは「春の祭典」初演者だなぁ、と思わせるモダンさがある。その後もずっとその調子。実にすばらしい。

ルネ・レイボヴィッツ指揮ロイヤル・フィル
CHESKY。1961年録音。
6:48(1:21), 8:52, 4:37, 8:11(1:55, P50)

「運命&第2」はPHCF-5231で国内盤仕様でも出ていた。それを買って「ギーレンより30年前にこんな録音があったのか」とビックリして、他のも輸入盤で入手したのである。このレーベルの録音も素晴らしい。

フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン・フィル
DG。1961年9月、ベルリン、イエス・キリスト教会での録音。
9:05(1:50), 13:10, 6:23, 9:24(2:15, P58)

これは重量級の演奏だ。最も長時間かけた演奏とされている。しかし終楽章後半は普通のテンポで追い込んでいる。

やはり前2つの楽章が相当に遅い。第1楽章は、このテンポでリズムの音楽を聴かせるのは無理というものだが、そこをなんとか気合いで乗り切ったという感じだ。


ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィル
DG。1962年3月、イエス・キリスト教会での録音。
OIBP化された輸入盤全集。
7:08(1:23), 10:01, 4:55, 8:50(2:03, P53)。

カラヤン壮年期の名演。後のカルロス・クライバーよりもほんの少し速めのテンポで流麗な演奏である。
2009年、SACD Hybrid輸入盤(同全集中の「田園」とカップリング、写真左)も入手。
2014年には全集がBru-ray Audio化された(写真右)。


ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団
ソニー。1963年10月録音。吉田秀和氏絶賛の全集中のもの。
7:29(1:26), 9:57, 5:30, 8:32(1:54, P54)。



ヘルマン・シェルヒェン指揮スイス・イタリア語放送(ルガノ放送)管弦楽団
ERMITAGE。ERM 126。1965年2月24〜26日、ライヴ録音。
7:55(1:36), 10:08, 5:49, 8:49(2:07, P50)

この盤にはリハーサル風景も収録されていて、本番ともども度肝を抜かれる。本番でも所々でシェルヒェンがオケに気合いを入れる声が入っている。第1楽章の冒頭はフェルマータの後の間合いがやや長めで、そこにもの凄い緊張感があるが、オケの性能がイマイチで、アンサンブルにやや乱れもある。

国内盤ではPLATZレーベルでこの年のチクルス・ライヴが全集として発売されており、それによってシェルヒェンは一躍ブームになった。
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィル
UNITEL。Blu-ray映像。

1966年1月収録。演出:アンリ・ジョルジュ・クルーゾ。
リハーサルおよびヨアヒム・カイザーとの会話がBonus映像でついている。
カップリングは1977年ジルベスターの第9である。

ジョージ・セル指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
PHILIPS。1966年11月録音。
7:32(1:28), 10:09, 5:35, 8:41(1:56, P57)
2001年に、PHILIPSの50周年で96kHz-24bitリマスタリングされた輸入盤。シベリウスの第2番とカップリング。


ピーエル・ブーレーズ指揮ニュー・フィルハーモニア
ソニー。1968年録音。
9:13(1:48), 10:08, 9:52(R3:56), 9:21(2:08, P59)

「版」の問題の発端とも言うべき第3楽章のリピートを最初に行った録音である。
しかし現代の耳で聞くと、あのブーレーズが何という遅いテンポで演奏しているのだろう! ということのほうが「驚き」である。

リピートに関して言えば、第4楽章提示部はリピートしてないので「片手落ち」としか言いようがない。



ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮ウィーン・フィル
DECCA。1968年録音。全集中のもの。
8:10(1:39), 10:30, 6:02, 8:57(2:03, P59)
初出LPは、第8番とカップリングで1969年度レコード・アカデミー賞受賞。


オットー・クレンペラー指揮ウィーン・フィル
DG。VPO創立150周年記念CD(写真左)。
1968年5月26日。ムジークフェラインでのウィーン音楽週間ライヴ。
9:00(1:45), 11:32, 6:28, 12:07(2:18R, P60)

吉田秀和氏が「世界の指揮者」のクレンペラーの項で絶賛されている演奏と同じものである。第1楽章最後のフェルマータの後、アンサンブルに乱れがあるのが残念。

2005年夏、TESTAMENTから同年の音楽週間ライヴ録音8枚組SBT8 1365で再発売された(写真右)。

なお、DG盤では「25日」表記であったが、TESTAMENT盤の「26日」表記にあわせて当項を書き換えた。この音楽祭でのクレンペラーは、とことんドイツ的ながっちりした演奏を繰り広げているが、中でもこの日のオール・ペートーヴェン・プログラム(第4、コリオラン序曲)はその白眉であった。



オットー・クレンペラー指揮バイエルン放送交響楽団
EMI。ART処理。1969年5月30日、ヘルクレス・ザール、ライヴ。
7:33(+1:48), 12:05, 6:52, 10:59(2:31, P69)

 これがクレンペラーが同オケと行った最後のコンサートであった、という。上のウィーン・フィルとのライヴ同様、大変な名演である。音質もウィーン・フィル盤より深みとコクがあって良い。同日の第4番とカップリング。

 しかし、いつものクレンペラーなら省略するはずのない両端楽章提示部のリピートがない!

 このリピートの件について、以前「編集ではないか」と疑義を表明しておいたが、「レコ芸」99年2月号の読者相談室にも質問があり、それに対する解答(平林直哉氏)を読むと、

イギリスEMIに問い合わせた結果「音楽以外のノイズは除去したが、音楽そのものを編集した形跡がないために、クレンペラー自身が反復なしの演奏を選択したものと考えている」との回答がありました。(中略)
一部に流布していたCDでこの第5番と同一演奏と称するものも同様に反復がなかったそうなので・・・

とある。正規発売元からの回答だし、ディスク・ルフランから出ていた海賊盤も反復なしだったことが分かったので、信用しよう。というわけで一件落着。

ジョージ・セル指揮ウィーン・フィル
ORFEO。1969年8月24日、ザルツブルク祝祭大劇場ライヴ録音。
7:42(1:28), 10:09, 5:35, 8:34(1:57, P55)

ステレオ録音であることに感謝する! ライヴでここまで起伏のある演奏を完璧にやってのけるあたり、さすがセルである。終楽章のプレスト部ではかなり激しい追い込みの後に急ブレーキをかけており「フルトヴェングラー張り」である。
同日のピアノ協奏曲第3番(エミール・ギレリス)、エグモント序曲を収録。


レオポルド・ストコフスキ指揮ロンドン・フィル
DECCA。phase4。1969年9月録音。
6:29(+1:35), 11:10, 6:03, 8:49(2:04, P53)

これは押し出しのしっかりした名演である。スコアの改変ではっきりわかるのは、終楽章Lastで合いの手のピッコロをダブらせて(or フルートを重ねて)、レガートで華々しく吹かせているところぐらいである。「未完成」とカップリング。


齋藤秀雄指揮日本フィル
フジテレビ。DVD。1969年9月16日、東京文化会館ライヴ。ステレオ。
7:42(1:36), 10:04, 5:23, 8:23(2:02,P47)

あの「サイトウ・キネン・オーケストラ」の名前のもとになった、桐朋学園の創立者、小澤征爾らの師匠による貴重な映像である。自らの指揮法教程を実践しているのかもしれないが、決してそれだけではなく彼自身が相当の表現意欲をもったロマン的指揮者であったことがわかる。カッコつけのための技術などは持ち合わせておらず、指揮ぶりはむしろ「素人っぽい」といってもよい。その格好の悪さはフルトヴェングラーにも通じるところがある。

(近衛秀麿指揮、園田高弘ソロによる「皇帝」の2週間後のコンサートである。)
カップリングは、モノラル音声で、チャイコフスキーの弦楽セレナーデ。
略歴。1902年生まれ。チェロを学ぶ。1922年から近衛秀麿に随伴してドイツに渡り、ライプツィヒでチェロをクレンゲルに師事。27年に帰国し新交響楽団の首席チェリストとなり、指揮活動も始める。30〜32年、再びドイツに渡り、ベルリン音楽大学でフォイヤーマンにチェロを学ぶ。(ライプツィヒやベルリンでフルトヴェングラーを聴いたことはまず確実だろうと思われる。)

1941年まで新響に在籍しヨーゼフ・ローゼンシュトックから多くを学ぶ。戦後は東京フィル、東京交響楽団の指揮者をつとめる一方、48年に「子供のための音楽教室」を井口基成・吉田秀和らと開設し、そこから桐朋学園へと発展させていく。74年没。


ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団
audite。1969年11月20日、ヘルクレスザールにおけるライヴ。
7:58(1:32), 10:45, 5:16, 9:10。

DGの全集ではボストン響との録音であるが、やはり手兵とのライヴのほうが力強く締まった演奏になっている。録音もDG盤以上に鮮明である。第4(79年ライヴ)とカップリング。

カール・ベーム指揮ウィーン・フィル
DG。1970年4月25-30日、Simmeringer-Hof での録音。
8:29(1:39), 10:49, 6:16, 9:14(2:11, P59)

ベートーヴェン生誕200年を記念して第9と同時期に録音されたもの。OIBP化された全集に含まれる。

この演奏をもって「じっくり型」の標準とすべきであろう。ウィーン・フィルがまだ古風な音を残していた最後の録音である。


ルドルフ・ケンペ指揮ミュンヘン・フィル
EMI。1971年録音。全集録音の一部。
7:59(1:35), 10:52, 5:41, 8:35(1:59, P55)

音色が良い。重厚一点張りではなく「南ドイツの田舎」といった温かい素朴さがある。

しかし、フェルマータは長めなのにその直後の“間”がほとんどない、というやり方は私にはしっくりこない。

輸入盤7243 4 749373 2(「田園」とカップリング)で入手した。後に、DISKYから全集CD化されたのも入手した。


ルドルフ・ケンペ指揮チューリヒ・トーンハレ管弦楽団
SCRIBENDUM。1971年3月24〜25日録音。
8:07(1:39), 10:30, 5:31, 8:58(2:03, P58)

演奏の特徴は上の全集録音と同じである。「新世界」とのカップリング。
この録音は、LP末期にはTUDORレーベルで出ており別項のブルックナー第8番とカップリングだったこともあるものである。

エフゲニ・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル
BMG。1972年1月29日、モスクワ音楽院でのライヴ。
7:38(1:31), 9:46, 5:08, 9:05(2:08, P53)

レニングラード・フィルハーモニー協会創立50周年(オケ自体は1882年創立だが)でのモスクワ客演であり、この時同協会は「アカデミー」の称号を与えられた。
第1楽章など少々強引な感じがしないでもないし、アンサンブルにも乱れがある。終楽章ではティンパニが1つの音符を両手で時間差でダブらせてたたいているようだ。こんなに熱くなっているムラヴィンスキーは大変珍しい。しかし、私はもっと冷徹な演奏を期待していたのだが...。同日の第4番とカップリング。

2004年にSCRIBENDUMからム出たラヴィンスキーの「1972年1月末モスクワ・ライヴ」3枚組にも収録されている(日付が「1月26日」と表記されているが同じものである)。

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィル
DG。1972〜73年、ユニテル制作のLD。
7:01(1:22), 9:04, 4:46, 8:24(1:57, P53)。

同時期に制作された「第4」、及び75年制作の序曲「エグモント」「コリオラン」とカップリング。

70年代のカラヤンの映像作品の中では、「第9」についで自然さがあるものとなっている。特に弦パートはカラヤンの指揮姿と一緒に全体が映る場面が多く、その圧倒的アンサンブルを目にすることができる。コンマスはシュヴァルベ、その隣がブランディスである。それに対して管楽器は全く顔が映らないのは残念(オーボエのソロの所もカラヤンのアップである)。


ラファエル・クーベリック指揮ボストン交響楽団
DG。1973年11月録音。
8:16(1:36), 11:01, 5:20, 11:07(2:04R, P59)。

様々なオーケストラが聴けるおもしろい全集。ボストン響は弦の音が柔らかいので、その後ろの管楽器のハーモニーがよく聞こえる。リズムはティンパニ主導の所が多い。第1楽章のフェルマータがどれも大変短いのが特徴的だ。しかしそのフェルマータの後にきちんと間をとっているのが良い。



セルジュ・チェリビダッケ指揮シュトゥットガルト放送交響楽団
METEOR。MCD 043。第1楽章(提示部)ブラームス第3番とカップリング。
海賊盤であり、録音年不詳だが、おそらく70年代か。演奏についてはEMI正規発売盤とほぼ同様のことが言える。


カルロス・クライバー指揮ウィーン・フィル
DG。1974年録音。
7:15(1:26), 10:00, 5:09, 10:46(2:06R, P52)。

私はこの曲をこの録音で初めて全曲聴いたのだが、それはあまり幸運なことではなかった。のちにフルトヴェングラーの名演の魔力によって、この演奏を「よくある演奏」の1つにしか感じられなくなってしまったのである。しかし、その後いろいろな演奏を聴くにつれて、この演奏ほどスピードとリズムのバランスがとれた演奏はない、と思えるようになった。

長くレギュラー盤では1曲のみの収録だったが、OIBP化されて「第7」とカップリング(写真左)になり、やっとお買い得になった。
2009年3月に「運命・第7」のカップリングSACD Hybrid輸入盤を入手した(写真中央)。

また2010年にシングルレイヤーのSACD国内盤も出ていたが、それに気づいたのは2011年末のことだったので、限定盤ということもあってHMVでは入手不可だった。しかしラッキーなことにAmazonでは運良くまだ在庫があったので入手できた。(ジャケットデザインは同じ。)

2014年初め、「運命・第7」のカップリングのBlu-ray-audio Discを入手。同年にはDGに録音した全交響曲録音がセットでBlu-ray-audio Discになった(写真右)。

オイゲン・ヨッフム指揮ロンドン交響楽団
EMI。1977年2月28日-3月1日、10月7日、キングズウェイ・ホールでの録音。
8:21, 11:07, 5:51, 11:49。

ヨッフムのEMI全録音BOXで初めて入手。2012年にリマスターされている。

カール・ベーム指揮ウィーン・フィル
Altus。1977年3月2日、NHKホールにおけるライヴ録音。8:28(1:39),10:47,6:17,8:52(2:05,P56)

3楽章のテンポはややダレるが、終楽章は遅めながらもティンパニが最後のほうをしっかり締めていて、さすがである。

同日演奏の「田園」、アンコールの「レオノーレ第3番」とカップリング。
2006年、この日の演奏がNHKからDVD化されたのも入手。画質は75年よりはマシになっており、指揮者正面からの映像もある。音はFM放送のものを使用している。



レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィル
DG。1977年9月8〜9日、ムジークフェラインでのライヴ録音全集。
8:33(1:39), 10:14, 5:22, 11:11(2:05R, P58)

遅めのテンポをとって、場面場面に丁寧に表現をつけている。第1楽章の展開部冒頭を、ややテヌート気味に女性的表現で開始し、提示部との対比を図り、またそこから力強さを増していく...といった具合である。そういった表現の工夫が必ずしも狙い通りの効果を聴く人に与えるかどうか...好みがわかれるところであろう。
なお、並行して行われたUNITELの映像収録はコンツェルトハウスでの演奏である。(DVD)

各楽章のタイミングの違いも数秒程度であり、上に書いたような演奏設計も同じである。映像付きなので、より説得力が感じられる。

カルロス・クライバー指揮シカゴ交響楽団
HYPNOS。海賊盤である。シューベルト第3番、及び「魔弾の射手」序曲とのカップリング。

記録によれば、クライバーは1978年10月にシカゴ響を振ってアメリカ・デビューを果たした。その時のプログラムがこのCDと同じだが、これがその時のものかどうかは不明である。確かにシカゴのオーケストラ・ホールの音がする。(このオケにしては狭い!)

アメリカのオケが、クライバーの指揮のノリの良さを表面的にとらえているため、バタバタした感じになってしまっている。終演後、音が鳴り止むか止まないかで大喝采。

クラウス・テンシュテット指揮キール・フィル
WEITBLICK。1980年3月20日、キール城でのライヴ録音。7:10(1:23),10:11,4:57,8:26(1:59,P53)。

キール・フィルはキール市立歌劇場のオケである。テンシュテットが西側に亡命して最初についたポストはここの音楽監督だった。
同日の「エグモント」序曲、東ドイツ時代のベートーヴェン第1(メクレンブルク・シュターツカペレ)とカップリングされている。

カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ロサンゼルス・フィル
DG。1981年録音。
7:19(1:26), 11:18, 5:35, 12:04(2:18R, P59)

3連打が少し横に流れた感じの音になっているのが気になる。ここはスタカートでない、ということを意識しての演奏なのだろう。国内盤の解説によれば、ジュリーニはこの録音に際して、終楽章のタッカタッカのリズムで「8分音符、16分休符、16分音符」であることをオケに注意していた、ということだ。なるほど確かにスコアにスタカートが書いてある所でのみスタカートにしており、他の大部分の所ではレガート気味の演奏になっている。

OIBPではないがリマスターした輸入盤でシューマンの「ライン」とカップリングで入手。

2011年、LAPO録音集6枚組でも入手したので、上記の盤は人に譲った。

オトマール・スイトナー指揮シュターツカペレ・ベルリン
DENON。ドイツ・シャルプラッテンとの共同制作全集。1981年8月、東ベルリン、キリスト教会での録音。

この全集ではこの曲だけはギュルケ校訂版で演奏されており、第3楽章がリピートされている。7:20(1:24), 9:38, 8:48, 10:36(2:01,P53)。


ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィル
DG。1982年11月録音。カラヤン&ベルリン・フィル3度目の全集の第1弾となったものである。
7:18(1:25), 9:14, 4:48, 8:38(2:00,P57)。

初出は「田園」とのカップリングだが、私が持っているCDは国内編集盤のカラヤン・ベスト・アルバムで、リスト「前奏曲」などとカップリングのものである。OIBP化されていないため、初期デジタルのバシャバシャした音のままである。


ヘルベルト・ケーゲル指揮ドレスデン・フィル
CAPRICCIO。1982〜83年録音。SACD Hybrid CDの全集。
7:09(1:26), 10:18, 4:58, 8:28(1:58,P56)。

この時期に終楽章をリピートしないのはめずらしい(同じ全集中の第7ではやっているのに)。かなりそっけないザハリヒな演奏だ。

ギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団
RCA。1987年2〜3月、ハンブルク、フリードリヒ・エーベルト・ハレでのDHM全集録音。
7:14(1:22), 9:36, 5:14, 10:22(1:56, P54)

2001年にBMGが24bit-96kHzリマスターした2枚組×3セット分売を入手。
3連打を特別扱いすることなく第1主題のフレーズの中にきちっと収めている。同じ全集でも第7番などはかなりエキサイティングな演奏なので、この曲を特別なものとして聴きたい人にとっては、サービス精神に欠けるような気がしないでもない。しかし、十分に立派な演奏ではある。

クルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
PHILIPS。1987年3月、新ゲヴァントハウスにおける録音。

「ペータース版による初全集」の第1弾として録音された(要するにこの曲ではギュルケ校訂版ということ)。第3楽章がリピートされている。
私は学生時代に、このコンビによるこの曲を仙台で聴いている。その時も第3楽章はリピートされていた。

クラウディオ・アバド指揮ウィーン・フィル
DG。1987年10月、ライヴ録音の全集。
7:50(1:33), 10:04, 5:25, 10:59(2:04R, P58)

アバドは「フルトヴェングラーの自然なテンポ・ルバートに惹かれる」と言っているが、しかし第4楽章の第27,31小節のホルンのテンポ・ルバートはあまりに表面的すぎて変である。


ヘルベルト・ケーゲル指揮ドレスデン・フィル
Altus。ALT-056。1989年10月18日、サントリーホール、ライヴ。
8:12(1:32), 12:29, 6:01, 9:36(2:14, P64)

この日のアンコール曲であるバッハのアリアとカップリング。また、ALT-055で同日演奏された「エグモント序曲&田園」も発売されている。

これら2枚については、あまりに書きたいことがあるので別ページを作る。


ゲオルク・ショルティ指揮ウィーン・フィル
DECCA。1990年5月、ムジークフェラインでのライヴ。
7:24(1:28), 9:41, 5:09, 10:44(2:01R, P55)

年とって緩急おりまぜてのピッチングになったショルティが久しぶりに直球勝負に出た、と評された演奏である。(そもそもこの曲でショルティが変化球というのは考えにくいが..)第2楽章が速くなっていることと第4楽章でリピートしていること以外は1958年録音とほとんど同じタイムである。
ショスタコの第9番とのカップリングというのも話題だった。


クラウス・テンシュテット指揮ロンドン・フィル
BBC LEGENDS。1990年8月30日、ロイヤル・アルバート・ホールでのプロムス・ライヴ。
7:36(1:29), 10:44, 5:14, 9:11(2:07,P56)。

これはフルトヴェングラーの47年盤的な名演である。運命の3連打の扱いと、その後の展開でのテンポ設計が実によくフルトヴェングラーに似ている。終楽章の凱歌の3音もテンポをためて高らかに奏するなど、かなり時代がかった演奏である(よって終楽章のリピートはしない)。最後のコーダだけはフルトヴェングラーみたいにトチ狂うことはなく、ある程度のところで踏みとどまっている。

同日の「オベロン」序曲の他、翌年の「エグモント」序曲、前年の交響曲第1番も収録されている。

朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団
キャニオン。1992年4月25〜26日録音。5度目の全集。
9:39(1:51), 11:47, 6:40, 13:31(2:32R, P69)

こういう演奏はライヴで聴いてはじめてその偉大さがわかるのだろう。どんなに録音技術が進歩しても、なかなか朝比奈のライヴの良さは全部を収録することはできないと思う。

セルジュ・チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィル,cho
EMI正規発売第1弾。1992年5月28,31日、ミュンヘンのガスタイクでのライヴ。
この演奏はどうも気に入らない。第1楽章は、提示部をリピートせず、なんとなくせかせかした印象。後半の楽章は逆にもたれ気味である。

ミヒャエル・ギーレン指揮南西ドイツ放送交響楽団
インターコード(現EMI発売)。1992年8〜9月録音。
6:41(1:18), 8:39, 4:38, 10:45(2:02R, P55)

これは凄い名演! 渋いジャケットの「運命&第1」盤を店頭で見かけ、「これはいかにもゲンダイオンガク的演奏に違いない」と予想して、買って聴いたら予想通りだった。そこで他の曲も買い揃えたのである。現在、オリジナル楽器派に対抗できるモダン楽器演奏はこれしかない。

クリスティアン・ティーレマン指揮フィルハーモニア
DG。1996年録音。7:55(1:33), 11:43, 5:57, 10:51(2:02R, P58)。

冒頭の3連打は重々しく始まるが、フェルマータの後の“間”がほとんど無い。第4楽章も最初の数小節のみやたら遅いが、すぐに速くなってしまう。重厚な音色でフルトヴェングラーを目指しているようだが、快速テンポとのバランスがとれていない。

新人でいきなりデビュー盤が第5と第7のカップリングというドイツ期待の若手である。


ダニエル・バレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリン
TELDEC。1999年5月〜7月、旧東ドイツ放送局ホールでの録音。
7:49(1:31), 11:06, 5:41, 11:07(2:04R, P57)

「バレンボイムはフルトヴェングラーを目指している」という印象は、この全集でも変わらない。オリジナル派の新校訂版ばかりが注目される現在においては、とことん復古的な名盤である。

(ベルリン・フィルの演奏会でバレンボイムがこの曲を振っているのをNHK-BS2で見た。そこでも、小さな身体・短い腕をフルに動かして、この曲を重厚に演奏していた。)

クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィル
DG。2000年5月録音。全集。
7:10(1:26), 9:06, 7:47(3:00R), 10:36(2:01R, P52)
 
この全集では、アバドはジョナサン・デル・マーのベーレンライター版を基本にした演奏を行っているというが、この「運命」では第3楽章でリピートをしている、などベーレンライター版に即していない点もある。

 加えて全集盤特典のブックレットでのインタビューでは、相変わらずフルトヴェングラー賛美の言葉を述べているなど、アバドのおかれた「引き裂かれた状況」がよくわかる全集ではある。

サイモン・ラトル指揮ウィーン・フィル
EMI。2000年12月1〜3日、ムジークフェラインにおけるライヴ録音。
7:11(1:26), 8:59, 4:50, 10:23(1:57R, P54)

デル・マー校訂ベーレンライター版による演奏。(よって、第3楽章はリピート無し)。

ラトルは、クリティカル・エディションを採用する上、たまに古楽器オケの指揮もしている。しかし一方で、彼はデビュー直後の頃に、「私にもっとも影響を与えた指揮者はフルトヴェングラーです」などと発言してもいる。こうした点で、ベルリン・フィルの前任者アバドと共通するところがあるわけだが、このベートーヴェンを聴くと、その相反する要素をよりバランスよく消化しているのはラトルのほうであると思われる。アバドのベルリン・フィルとの全集の演奏を聴くと、オケがあまりに貧血気味に聞こえるのだが、このラトル指揮のウィーン・フィルは変に音をやせさせることなく、ホルンやティンパニも大活躍して、しっかり全力を出しきった演奏をしている。やはりベートーヴェンは、− 古楽器だろうがモダン楽器だろうが − 奏者が全力を出していることがわかるように演奏しなくてはならないのである。

カップリングは、チョン・キョンファのソロでブラームスのヴァイオリン協奏曲である。


クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィル
TDK。DVD。2001年2月12日、聖チェチーリア音楽院ホールでのライヴ。

DGへの全集録音後、ガンの手術を受けた翌年の映像全集中の1枚。ベーレンライター版によりながらも第3楽章リピートを行うというのはDG盤と同じ。ライヴのため生き生きとしており良い。


サイモン・ラトル指揮ウィーン・フィル
EMI。2002年4月〜5月、ムジークフェラインにおけるライヴ録音。7:14(1:24), 8:58, 4:47, 10:24(1:57R, P55)

全集に収録されているものである。全体の設計は2年前の録音とほとんど同じであるので、優劣をつけるのは意味がない。


ロジャー・ノリントン指揮シュトゥットガルト放送交響楽団

ヘンスラー。2002年9月3日、シュトゥットガルト・リーダーハレ・ベートーヴェンザールにおける「ヨーロッパ音楽祭」ベートーヴェン・チクルスのライヴ録音。
ベーレンライター版と表記されているが、第3楽章をリピートさせている。同版ではこのリピートは採用されなかったのだから、少なくともこの曲に関してはベーレンライター版と表記するのはおかしかろう。

しかし演奏は素晴らしい。6:11(1:14), 7:59, 7:47(2:56R), 10:32(2:02R,P50)。
この第1楽章はモダン楽器のオケとしては驚異的なスピードである。しかしティンパニ&トランペットのリズム部隊が実に良い。「古楽器的奏法を理解し、ナチュラル・トランペットや細管トロンボーンといった楽器の選定にも意をはらった」(HMVの解説広告より)というが、それに加えて、同じ南西ドイツ放送傘下にあるギーレン&バーデン=バーデンの現代音楽的要素も兼ね備えた名演である。

http://classic.music.coocan.jp/sym/beethoven/beethoven5-s.htm

22. 中川隆[-14159] koaQ7Jey 2020年1月25日 01:04:02 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1010] 報告
ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」ハ短調 作品67 オリジナル楽器「派」の録音
http://classic.music.coocan.jp/sym/beethoven/beethoven5-org.htm


 全て全集録音の一環である。彼らオリジナル派は、新しい校訂版の研究者たちとの共同作業で演奏・録音を行っている。よって、彼らの録音においては第3楽章のリピートが行われていることが多い。しかしブライトコプフ新版では「リピートは ad libitum(ご自由に)」、ベーレンライター版では「リピート無し」である。

 なお言うまでもないことだが、第1楽章・第4楽章は、ここにあげた盤は全てリピートしている。


ニコラウス・アーノンクール指揮
コンツェントゥス・ムジクス・ヴィーン
SONY。2015年5月8〜11日、ムジークフェラインでのライヴ録音。第4番とカップリング。

手兵のピリオド楽器団体を用いての新たな全集を作る、とのことだったが、同年末に突如「引退」を表明することになり、このディスクが「最後の録音」ということになった。第3楽章でのルフトパウゼだけなら、往年の巨匠フリッツ・ライナー盤という前例もある。この楽章でリピートしているのは旧盤と同じだ。しかし、終楽章のラストの和音の叩き付けに不自然な間をとって、「いつ、終わるんだ?」と聞き手を不安に陥れる。しかし、そういうことをやる必然性は全く感じられない。最後の録音でこういう変なことをやって終わる、というのも彼らしいということか。



ヨーロッパ室内管弦楽団
STYRIARTE。DVD。2007年6月、グラーツ、ヘルムート・リスト・ハレにおけるThe styriarte Festivalでの収録。

ハ長調ミサ曲ととカップリング。演奏はもちろん悪かろうはずがない。下記のTELDECの交響曲全集から15年以上たっての再録音となる。

このDVDは、2011年5月ドイツ旅行の際、ライプツィヒ・ゲヴァントハウスのロビーにあるショップで購入した。せっかくこういう所で買うのだから、日本では入手できないものを探したのである。帰国後、HMVなどを調べてみたが、案の定どうやら扱っていないようだ。

ヨーロッパ室内管弦楽団
TELDEC全集。1990年6月29日、グラーツ、シュテファニエンザールでのライヴ録音。第3楽章リピートあり。

トランペットのみナチュラルで他はモダン楽器のオケである。終楽章冒頭はフルート、ピッコロの音色が目立つ。LD「田園・第8、及び第1〜8番のリハーサル風景」によれば、その部分でアーノンクールは同パートに「口笛(whistle)のように響かせるように」と指示している。また同じ部分で金管に対しては、「アンブシュア(口の形)に注意して、できるだけ金属的な音で」と注文している。

テンポはオリジナル派の中でもっとも遅いが、そのテンポの中でひとつひとつ丁寧に表情をつけており、聴いていて興奮はしないが実に面白く退屈しない。


ジョン・エリオット・ガーディナー指揮
オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク
SDG。2011年11月16日、NY,カーネギー・ホールでのライヴ録音。

6:39, 8:36, 7:50, 10:40, 計33:50。同日の第7番とカップリング。
オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク
ARCHIV全集。1994年3月、バルセロナ、Palau de la Musicaでのライヴ録音。
(ガーディナーは、この場所でモーツァルト没後200年のレクイエムを演奏している。)
第3楽章リピート有り。
6:30, 8:15, 7:12, 9:50。

 この全集はデル・マー校訂(ベーレンライター新版)を用いているが、この「運命」のみはブライトコプフ新版の先取りであり、同版校訂者クライヴ・ブラウンの解説が載っている。しかし、演奏に際してはガーディナー自身が最終的判断をしているはずである。

 最初から最後までもの凄い快速テンポであるが、オケはそれにしっかりつけており、なおかつその見事なフレージングは他の追随を許さない。まさにオリジナル楽器演奏の極致というべきである。

 第3楽章最後のブリッジ・パッセージ中の第295小節からのホルンの合いの手のつぶれた音色が面白い。(似たような音をガーディナーは幻想交響曲の終楽章でも要求しているのが同曲のLDで確認できる。)

 ティンパニの音も理想的だ。終楽章の150〜152小節ではブリュッヘンのようなテンポの溜めはほとんどないが、弦の弾力のある音にティンパニの連打が加わってもの凄い効果である。終楽章は基本テンポがとにかく速いので、これなら最後のプレストへ向けてのテンポ処理に頭を悩ます必要がない。そのままのスピードで“引力にまかせて大気圏突入”しても、名人集団ORRは崩壊することはない。

 このコンビの初来日の時、92年10月、水戸芸術館のあの小さなホールで、「運命」と「第9」というとんでもないプログラムを聴いた。→こちらへ。


ジョス・ファン・インマゼール指揮
アニマ・エテルナ
ソニー。1999年10月18〜20日、東京すみだトリフォニーホールでのライヴ録音。
第3楽章リピート無し。カップリングは「田園」。

 インマゼールは基本的にベーレンライター版を用いて録音していくようであるが、この「運命」はCDケース裏に「ブライトコプフ版も参照した」と記載されている。

 「第3楽章でリピートするためのブライトコプフ新版採用か」と疑ったのだが、その予想に反して、うれしいことにこの録音はリピート無しである。どうやらこれで「第3楽章リピート無し」が再び主流になりそうである。

 しかし演奏そのものは、特に第1楽章でテンポが速すぎて犠牲になったものが多い。この楽章でこんなに速いテンポで、なおかつフェルマータの後に“間”をおかずに続けていくやり方は、私は好きではない。終楽章は主部は普通のテンポだが、プレストに入って急に速くなる感じである。

 「レコ芸」00年4月号で小石忠男氏はこの「運命」の評で、「ブライトコプフ版参照とある理由は、第3楽章でギュルケ版のようにスケルツォを反復せず、旧来のブライトコプフ版にしたがっているためであろう」などという間抜けなことを書かれている。インマゼールが参照したのはブライトコプフの旧版ではなく新版なのに!
インマゼールはこのあと、ZigZagレーベルに別に全集を完成している。ソニーへの単品での録音は「運命・田園」と「第9」の2枚のみ。

アニマ・エテルナ
EPR-Classic。DVD。
2009年9月22日、ブリュッセル、Concert NobleのBall Roomでのライヴ収録。
この録音会場は、コンサートホールではなく、宮殿か高級ホテルの宴会場のような雰囲気の場所である。聴衆はそれこそ結婚披露宴会場のように丸テーブルを囲んでワインを飲みながら、演奏を聴いている。

付録のドキュメンタリー(日本語字幕無し)では、インマゼールがウィーンのロヴコヴィッツ侯爵邸を訪れる場面がある。こういう所でこの曲は演奏されたのだ、と言っているのかな? 「運命」「英雄」は同侯爵に献呈され、「英雄」は確かにロヴコヴィッツ邸で非公開初演がなされているが、しかし「運命」の初演はアン・デア・ヴィーン劇場である。

その他


フランス・ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラ
PHILIPS全集。1990年12月録音。第3楽章はリピート無し。

第1楽章冒頭は、古楽器派には珍しく最初の3連打のみテンポをためており、しかもフェルマータの後で間を空けている。主部のテンポもアーノンクールにつぐ遅めのテンポである。一方で終楽章のテンポは速めで、しかもプレスト以後は快速ガーディナー盤よりも速いテンポで追い込んでいる。また、終楽章の第3楽章再現直前(150〜152小節)の全音符伸ばしでリテヌートしてタメをつくるあたりは、表現主義者ブリュッヘンの面目躍如である。

彼は、他のオリジナル派の人たちとは異なり新しい校訂版にはあまり興味がないようである。

ブリュッヘンは、GLOSSAレーベルに2011年10月のチクルスで全集をライヴ録音している。


チャールズ・マッケラス指揮ロイヤル・リヴァプール・フィル
EMI。1992年6月25,26日、リヴァプール、The Philharmonic Hallでの録音。第3楽章のリピート無し。

ベーレンライター版の校訂者デル・マーとの協力による全集。楽器はすべて「現代楽器」である。(アーノンクールのようなナチュラルトランペットの音も聞こえない。)
マッケラスは、2006年のエジンバラ音楽祭でスコットランド室内管(第9のみフィルハーモニア管)と全集ライヴ録音をしている。

ブルーノ・ヴァイル指揮ターフェルムジーク・オーケストラ
SONY。2004年10月17-19日、トロント、ジョージ・ウェストン・リサイタルホールでの録音。
「田園」とカップリング。

クリストファー・ホグウッド指揮アカデミー・オヴ・エンシェント・ミュージック
オワゾリール。1986年8月、ウォルサムストウ・タウン・ホールでの録音。第3楽章リピートあり。
オリジナル楽器全集の草分けである。第2楽章以降の落ち着いたテンポ設定は、むしろ古楽器アレルギーの人に受け入れられるかもしれない。


ロジャー・ノリントン指揮ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ
EMI。1988年4月、アビー・ロード・スタジオでの録音。第3楽章リピートあり。

オリジナル楽器の「騒音性」をもっとも良く活かした名演。これと比べるとガーディナーなどの響きはちょっと洗練されすぎている気がしてしまう。ただ、第1楽章の長いフェルマータにおいて、弓を返す時に音をさらに後押ししてふくらませているのは、ちょっと違和感がある。

デイヴィッド・ジンマン指揮チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
ARTE NOVA。1997〜98年録音。第3楽章リピート有り。

「モダン楽器によるベーレンライター新全集版による世界初録音」と記載されているが、実際は、ジンマンはデル・マーの校訂報告を読んでいないらしい。(→山江氏のジュラシックページ参照)

また第1楽章のオーボエ・ソロに装飾あり。(他の曲でも、ところどころ木管のソロに、バロックのアリアのようにかなり自由な装飾を許しているのは、本全集の特徴であり、評価がわかれるところであろう。)
しかし、弦のキザミがかなりハッキリ聞こえるのは大変気持ちがよい。


http://classic.music.coocan.jp/sym/beethoven/beethoven5-org.htm

23. 中川隆[-14158] koaQ7Jey 2020年1月25日 01:06:26 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1009] 報告
ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」ハ短調 作品67
http://classic.music.coocan.jp/sym/beethoven/beethoven5.htm


 私は、大学時代の1987年5月に仙台においてマズア指揮ゲヴァントハウス管で、また、92年10月に水戸芸術館においてガーディナー指揮ORRで、この曲の名演を生で聴いている。どちらも第3楽章リピート付きだったが、良い演奏であった。またこれも大学の時、大町陽一郎指揮東北大学交響楽団でも聴いたはずだが、これはリピート無しだったと思う。

 1803〜08年にかけて作曲。1808年12月22日、アン・デア・ヴィーン劇場初演。

 クラシック音楽界でもっとも有名な曲である。全編にわたって「8分音符3連打」がモチーフになっている。第3楽章から第4楽章へはアタッカで続けて演奏される。また第4楽章の再現部では、第3楽章から第4楽章へのブリッジ部分まで戻って「闇から光りへ」が再現される。


 この曲は演奏家にとって大変難しい問題を抱えている。

 たとえば第4楽章、AllegroからコーダでPrestoになるわけだが、これをノーマルにその通りにやって人々をうならせるのは容易ではない。「勝利の凱歌」をえんえんと続けた後のコーダで腰砕けになってしまう例は枚挙にいとまがない。

 フルトヴェングラーの47年ライヴのようなトチ狂った演奏は、「禁じ手」のように思えるが、実はAllegro→Prestoという点では楽譜に忠実なのだ。これに対してトスカニーニは、フルトヴェングラーへの対抗意識からかどうか知らないが、意識的にコーダではPrestoをそんなに速くないテンポでやっている。

 またクレンペラーのような全編雄大なテンポで押し切るやり方は、それが可能ならば非常に偉大な演奏になる。しかしこれもAllegroと言えるかどうかは疑問である。(なお、こういった議論においてはクナッパーツブッシュの演奏は文字通り「論外」である。)

 第1楽章は、終楽章以上に問題が多い。3連打のテンポと、頻出するフェルマータをどう処理するか。

 まず伝統的なやり方として、冒頭の3連打2回はその後の主部よりも遅めに演奏するやり方がある。これを理論化したのがフルトヴェングラーの「音と言葉」所収の論文である。彼は、冒頭5小節は全曲のモットーであり、真の主題はその後の部分からである、ということを、ベートーヴェンの自筆楽譜の状態から結論づけたのである。
 ベートーヴェンは、3連打2回のうちの2回目のフェルマータがついている第5小節は全曲を書き終えてから追加した。その部分と似たようなパターンの所全ても同様に1小節追加した。これは、2回目のフェルマータは1回目よりも長く延ばしてほしい、という意志を示したものである。それによってこの部分を他の部分から切り離して特別な意味を持たせたいということなのだ。フルトヴェングラーはこのように解釈して、それを実行しているのである。
 しかし音楽理論的には、この冒頭2回も第1主題の構成要素である。それは、提示部最後のリピート記号で冒頭まで戻らせていることからもわかる。

 このことを気にしてか、フェルマータの後に「間」をほとんどあけない演奏がある。これは私はおかしいと思う。フェルマータは、「待つ」=「時の流れを止める」という役割があるのだから、フェルマータを長く延ばせば延ばすほど、その後に長めの「間」をあけるべきだと思うのだ。具体的に言えば、特に楽譜通りの速いテンポで演奏する場合には、フェルマータを切る動作と、次の拍とは別にするべきである。(LDのカラヤンはそうやっている。)そうでないと、会場の残響の中で、フェルマータの次の始まりの音が聞き取れなくなってしまうからである。フルトヴェングラーが「テンポはそれが演奏される場所によって異なる」と言っているのはそういうことなのである。だから、クレンペラーのように基本テンポが遅い場合には、切る動作を次の小節のアインザッツにしても問題はない。

 まだある。

 いったいこの曲は第1楽章の悲劇性が主なのか、それとも終楽章の勝利が主なのか、ということである。これによって両端楽章のテンポのバランスが違ってくるのである。

両方とも遅い(この場合、終楽章の堂々さが目立つ)・・・・クレンペラー、クナッパーツブッシュ、ベーム

両方とも速い(楽譜通り)・・・・ライナー、ガーディナー、カルロス・クライバー、カラヤン

第1楽章は速めで、終楽章は堂々と終結・・・・エーリヒ・クライバー、トスカニーニ、ホグウッド、インマゼール

第1楽章を重々しく、終楽章は速めのテンポで追い込む・・・・フルトヴェングラー指揮BPO47年5月27日DG盤
 

http://classic.music.coocan.jp/sym/beethoven/beethoven5.htm

24. 中川隆[-14173] koaQ7Jey 2020年1月26日 13:30:01 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-970] 報告

フランツ・シャルク

Franz Schalk conducts Beethoven:Symphony No.5 







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Wiener Philharmoniker
Franz Schalk, Conductor
26.& 28.X.1929 & 27.I.1930
25. 中川隆[-14172] koaQ7Jey 2020年1月26日 14:14:50 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-969] 報告

クナッパーツブッシュのベルリン 1943

Musikstadt Berlin Knappertsbusch tour of Europe, 1943.





Hans Knappertsbusch conducts Beethoven.
26. 中川隆[-9205] koaQ7Jey 2020年12月20日 16:33:22 : TmQcXGm3qM : T3c3eUJvTkM1VlU=[6] 報告

BEETHOVEN Symphonies 4 & 5
HARNONCOURT
Concentus Musicus Wien
SONY Music Classic, 2015





ベートーヴェン:交響曲第4番&第5番『運命』
ニコラウス・アーノンクール

アーノンクールにとってウィーンにおける最後の演奏会となった公演のライヴ。

自筆譜を含む一次資料を丹念に洗い直し、『ベートーヴェンの楽譜には何も足さない』というストイックな姿勢が貫かれ、当時の楽器の特性や響きを知りつくしていた作曲者があちこちに仕掛けた独特の響きが徹底的に掘り起こされています。第5番第4楽章で登場するトロンボーンの驚くべき強調、ピッコロの独自のバランス、そして何よりも最後の和音連打のタメは、作品の初演に接した聴衆の驚きを想起させるほどの衝撃。

重量感を持つ第4番も、『北欧神話の巨人に挟まれた優美なギリシャの乙女』というイメージをも覆す個性的な相貌を獲得。既存の解釈とは全く隔絶したところで打ち立てられた、巨匠ならではの箴言がここにあります。

ベートーヴェン:
@交響曲第4番変ロ長調 作品60
A交響曲第5番ハ短調 作品67『運命』

ニコラウス・アーノンクール指揮
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス

録音:2015年5月8日〜11日、
ウィーン、ムジークフェラインザールでのライヴ・レコーディング



▲△▽▼



2020年12月15日
アーノンクールの「運命」から
https://open.mixi.jp/user/5343821/diary/1977809415


最近は、kindleで本を買ってしまうし、職場の位置から、リアル本屋に行かない。
今日たまたま寄って、「レコード芸術」誌を立ち読みした。
ベートーヴェンの「名曲名盤」投票をやっていた。もう何十年もやっているもの。
気軽に見ていたら、ちょっと衝撃を受けた。
何十年も、交響曲4・5・7番の1位常連の、カルロス・クライバーが、0票とか1票しかない。

フルトヴェングラーもあまりない。
カラヤンも、アバドも、バーンスタインも、ラトルすらほとんどない。
パ-ヴォ・ヤルヴィも一世を風靡したが、それですらない。

名前を知らないような指揮者とか、無名のオーケストラも多い。

まあ、新しい世代の、極東の評論家がいきがって変な投票をしてるだけだ、と、鼻で笑ってもよかったのだが、あまりそういう気分でもなかった。

なんとなくわかっていたのだ。
もう、カルロス・クライバーとかが神様として、若い世代も含めて新鮮に感じられ続けるような魔法はないのだと。
マイケル・ジャクソンを、若者がいつの時代でも好きだろうということもない。
クライバーの録音に心酔し、いまの自分のオーディオの水準では、聴き飽きるのがもったいない、大事に聴かずに取って置いて、オーディオを育てようとやってきた私ですら、オーディオに太鼓判を押せそうないま、そこまで聴く気がなくなっているのだから。

また、良いことだとも思った。
もう、ベストワンのレコード1枚だけを選んで、後生大事にノアの箱舟に積む時代でもないのだ。
録音なんか無数にできるし、すでにあるし。
もともと、アプローチなんか演奏家の数だけ無限にあるのに、最高の一つを競うのもおかしい。世界に一つだけの花なのだ。
新しい演奏会や録音が、世界最高である可能性があるほうが楽しいし、あの演奏もこの演奏もどっちも最高であったっていい。
宇野さんや諸井さんの評論の世界じゃなくたっていいのだ。もうあの指揮者たちは神話なのだ。
だから、1位票がばらけているのも納得である。

ベートーヴェンというと、ピリオド楽器のアプローチに人気が集中しているようだ。
私が知る指揮者で言うと、クライバーに変わって首位になったのが、4番と5番のアーノンクール。
人生最後の録音でもある。
これは聴いてみたくなる。

で、いまの時代だから、ハイレゾで即日ダウンロードできた。2曲で2600円以上は、最近の相場で言うと気に入らないが、そんなこと言っていたら音楽産業は滅びてしまうので寄付した。演奏会に行ったらすごい額なのだから。

アーノンクールは、玄人評価が高いが、モツレクの旧盤以外は、流れの悪さが目立って、感心したことがあまりない。
しかし、このレコードは確かにただならぬものだった。
4番は、キャラが違うというか、音色は面白いが、やはりクライバー節の魅力にかなうとは思えない。

ただ、5番に関しては、確かにクライバー以来の衝撃性があった。
クライバーは、何が一番大事か聞かれて「流れを止めない」と答えたというような話があった。
それでいえば、アーノンクールはつっかえまくる。縦に、杭を打ち込んでいくような音造り。
これが、5番にハマった! ベートーヴェンの実験的な、孤独な精神世界が、抽象化のカラカラの骨組みのように響き、軋みのように金管が鳴く。

録音も、昔のソニーのクセっぽさが減って、鮮やかなハイレゾで、クライバー時代より優位性がある。
実際は同い年だと思うが、時代が変わったと思わせられた。

クルレンツィスの5番、1楽章を聴きなおすと、ちょっと作為的にも思えるが、先日聴いたときよりも素直に、新しい時代の1個性のアプローチとして受け入れられた。

だがここで大逆転!
今日、気になる2枚のCDをリッピングした。
ひとつは、カラヤンとウィーンフィルのドヴォルザーク8番。35分ぐらいで1枚のCDという、カラヤン晩年ならではの贅沢。
これは、30年も前に、最初のステレオでも、美しい音に驚嘆したが、それはベスト100的なCDで、いつしか処分してしまった。
それを、最近、中古で初期盤を入手してリッピングしたものだ。

これはもう、流麗そのもの、美しい音であふれかえり、新鮮な音の処理も多く、カラヤンの最高傑作ではと思える。録音も、超定番のグラモフォンチーム。ハイレゾにも、風格では負けない。
90年代の、アバドとベルリンフィルのものなどを最近聴いていたが、これだけでいうと格が違う。

もう1枚、いつか書きたいが、バーンスタインとイスラエルフィルの「新世界」、超スローの2楽章の冒頭を聴いたが、これも魂の即興。今の時代でも、こんな大胆な芸をオケに指示できる大家がどれだけいるだろう。

これだけの名盤たちを1時間以内で流し聞きしないといけない、現代人の忙しさよ!!
しかしクラシック音楽は素晴らしい。


コメント

mixiユーザー2020年12月15日 02:29

 いきなり余談めいた話になってしまって恐縮ですが、アーノンクールという人はオーマンディのファンからは人気があります。
 アーノンクールは生前、今日のアメリカのオーケストラをダメにしたのは、ライナーやセルなどのハンガリー系の亡命指揮者だという趣旨のことを語ったことがありましたが、そのハンガリー系指揮者の名前として、彼はオーマンディの名前を挙げなかったのです。アーノンクールとしては、そもそもオーマンディは相手にもしなかった、あるいは単に忘れていただけのことだったのかもしれませんが、オーマンディがダメな指揮者の典型としてよく引き合いに出されることにうんざりしていたオーマンディファンは、この発言を聞いて、おぉ、こいつは分かっているなと喜んだということです。



mixiユーザー2020年12月15日 12:33

アーノンクールの5番は、終結部が、ここまでやるのかと吃驚しました。
全集録音していたら、どうなっていたことか、本当に惜しまれます。
クルレンツィスの5番は、4楽章で、コントラファゴットという低音楽器が聴き慣れない音のうなりを上げます。
他方、カラヤンのドヴォ8,バーンスタインの新世界もまた、彼ら独自の美学に貫かれ、本当に素晴らしい。
名曲をさまざまな名演で楽しむ。趣味の喜び愉しみですね。



mixiユーザー2020年12月15日 12:52

やっぱり巨匠の時代というのはあったと思います。トスカニーニやクレンペラー、カラヤンやバーンスタインといった人々の代わりは今日見いだせないと感じています。昔、長岡さんの外盤ジャーナルにショルティの「指輪」が登場し、「これを超える録音は永久に出ないだろう」とあって、「永久」とは大げさな、と思ったのですが、ま、それが巨匠の時代ということなんだと思います。




mixiユーザー2020年12月15日 13:56

アルノンクールの「5番」は私も持っています。
「流れを止めることだ」っていう感じの演奏で、笑っちゃいました。
「レコード芸術」の前の号で、ブラームスの「4番」のトップはエリオット・ガーディナーの録音でした。
ところが「2番」では、なんとピエール モントゥーの録音がダントツでトップだったと記憶します。
名曲と言われるほどの楽譜には、様々な時代の様々な様式での演奏を楽しむ。
そういう時代が来たんでしょうね。



mixiユーザー2020年12月16日 01:19
> mixiユーザー 

アーノンクールがフィラデルフィアサウンドを評価していたと考えると愉快ですね。
なにか豊かな贅肉を嫌う印象があります。セルを批判するのは意外ですが・・・



mixiユーザー2020年12月16日 01:21
> mixiユーザー
 
一昨年だったか、コパチンスカヤとクルレンツィスの実演にふれて、私のクラシックの止まっていた時計が動き出したのでした。
古典もいいのですが、新解釈もよしですね。



mixiユーザー2020年12月16日 01:30
> mixiユーザー 

いまはYouTuberが活躍する時代ですから、天才とか巨匠とか、世代や時代を代表して信仰を受ける人は出にくいかもしれません。
1992年に急死したカリスマロック歌手の尾崎豊の、遺書とされるものが何年か前に出てきて、ずいぶん大げさな表現で驚いたものです。世界を背負うもののような。
長岡評論についても、カリスマとして夢中に読んだものですが、いまならネット情報に埋もれそうな気がします。



mixiユーザー2020年12月16日 01:34
> mixiユーザー 

ガーディナーのブラ4が1位とは、聴いたことはないのですが、ちょっと、もう何かに飽き果てた人たちのチョイスという感じもします。
人生は長いのか短いのか。長いなら、彼らが投じた票の盤を聴いてみたい気がいたします。
https://open.mixi.jp/user/5343821/diary/1977809415
27. 中川隆[-15668] koaQ7Jey 2021年10月31日 19:49:54 : vuYilrOHmU : RWZPWEh2M3FMcnc=[30] 報告
【クレデンザ1926×78rpmの邂逅】 R.シュトラウス  ベートーヴェン『交響曲第5番 ハ短調 Op 68 』(1928)




19世紀末、作曲者が作り上げるオーケストラ作品が大規模、複雑化するにつれ、作曲者が自ら指揮をすることなく、職業(専業)指揮者という存在が確立した。

そんな時代の潮流に流されなかった、いや、流される必要がなかった人が二人いた。リヒャルト・シュトラウス(1864年 - 1949)とグスタフ・マーラー(1860 - 1911)だ。
この二人は自作に限らず、オペラハウスで重責を務め、コンサート指揮者としてもオーソドックスなレパートリーを二人ならではの解釈で指揮して、多くの人、指揮者としての能力を認められた、歴史に名を刻んだ。
強いて違いを見出すとすれば、シュトラウスが作曲家としても指揮者として生前から認められたのとは異なり、マーラーは作曲家としてはすぐには認められなかったことだろうか。
「いずれ私の時代がやって来る」
マーラー自身の有名な言葉通りに・・・。

R.シュトラウスの指揮、音楽再生は時代の本流であった新古典主義、即物主義に則ったものだった。
作曲家としてはむしろロマン主義の影響を受け、自分の作品を素晴らしく指揮する指揮者として、19世紀ロマン主義の継承者とも言うべきウィレム・メンゲルベルクの名を挙げていることからしても、作曲家と指揮者としての美意識の違いに少し戸惑いを覚える。
彼を慕い、尊敬し、指揮者としてのシュトラウスに多大な影響を受け、中には共に仕事をし、この大作曲家の作品を献呈された指揮者たち、フリッツ・ライナー、フリッツ・ブッシュ、クレメンス・クラウス、カール・ベーム、ジョージ・セル、そしてヘルベルト・フォン・カラヤン・・・も、同じく新古典主義、即物主義的感性をそのベースとしていた。
やはり指揮者シュトラウスの音楽性は、余計な添加物を含まず、早めのテンポですっきりと音楽の成り立ちを浮かび上がらせたもの、と言ってよかろう。

また、それは彼の残した自作以外の録音で取り上げた作曲家からも見て取れる。
時代の要請、消費者のニーズがそうだったということもあろうが、モーツァルトとベートーヴェンの作品を取り上げた78rpmに聴くべきものが多い。

R.シュトラウスがモーツァルトの世界観を愛し、自分の作品(ex:『ばらの騎士』『ナクソス島のアリアドネ』や歌曲の数々)にそれを忍び込ませていたことは周知の事実だ。
そこまでではなかったとしても、彼がベートーヴェンの古典的均整の取れた緻密な音楽、壮麗な音楽に影響を受けていた、そして指揮者として魅力を感じていたことは想像に難くない。『英雄の生涯』と『交響曲第3番 ”英雄”』の関係がその好例だ。

現在残されているR.シュトラウスのベートーヴェンのシンフォニーのセッション録音は『第5番 ハ短調 Op.67』と『第7番 イ長調 Op.92』が知られていて、気軽に聴くことも出来る。
今回は前者を日本ポリドール盤で聴いてみようかと思う。

シュトラウスのベートーヴェンは、年齢は彼より下だが、時代、つまり即物主義を代表する指揮者、アルトゥーロ・トスカニーニという1点と、トスカニーニのベートーヴェンに憧れ、自身の交響曲全集録音を作るにあたって、トスカニーニの録音をオーケストラの団員に何度も聴かせたカラヤンという1点を結ぶ線上にある。
ただ、単に機械的な演奏であるわけではなく、例えば第一楽章の第一主題と第二主題の描き分け、コントラストのつけ方などに工夫の跡が見られ、ドライな音楽になっていないところがさすがだ。

左腕をほとんど使わず、タクトを持った右手だけで指揮し続けたシュトラウス(エーリヒ・クライバーやライナーもそうだったが)。
彼の無駄な動きがない指揮から、こんな音楽が生まれることの面白さ、である。

この78rpmはリサイクル・ショップで数百円で買ったシロモノ。バインダー・ジャケットはしっかりとしていたが、内袋の中面にはジャリジャリしたゴミ(砂?)のようなものが付着していて、盤そのものも見た目は決して良くなかった。
そこでアルカリ・イオン水で洗浄し、シリコン・スプレーをかけて磨いたら、思った以上にきれいになった。再生音も鑑賞に堪えうるものになったように思う。

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