2011年2月18日 〜名曲シリーズ〜 ストラヴィンスキー バレエ音楽「火の鳥」 愛聴盤 http://harucla.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-eff5.html 今回の名曲シリーズは、 ストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」です。クラシック音楽ファンで、このタイトルを聴いて「ああ、手塚治虫のマンガね。」などという方はおられないでしょうが、20世紀初頭に書かれたバレエ音楽です。当時のパリで一大旋風を巻き起こしていたディアギレフのロシア・バレエ団(いわゆるバレエ・リュス)の依頼によって作曲をしました。新進作曲家のストラヴィンスキーに仕事を頼むあたりは、ディアギレフの音楽への造詣は相当深かったのでしょうね。ですが、余り知られてはいませんが、ディアギレフはこのバレエの為の音楽を先にリャードフに依頼していました。リャードフが一向に着手する気配が見られなかったので、しびれを切らせてストラヴィンスキーに依頼したのです。時間は差し迫っていましたが、ストラヴィンスキーは短期間で作曲に取り組み、無事完成させました。初演されたパリのオペラ座での公演は大成功となりました。一躍名の売れたストラヴィンスキーは、「ペトルーシュカ」「春の祭典」の三大バレエを作曲するチャンスを得て大変に有名となり、とうとうココ・シャネルと恋に落ちて不倫にまで至ることになります(というもっぱらの話です)。 もしもリャードフが作曲を行なっていたら、 ストラヴィンスキーの「火の鳥」は世に存在しませんでした。そうなれば「ペトルーシュカ」「春の祭典」」も存在したかどうか分かりません。運命の悪戯というのは実に面白いものです。 「火の鳥」はロシアの民族童話に基づいて台本が書かれています。登場人物は、自分の庭園に入ってきた乙女達を魔法の力で捕えてしまい、男達を石に変えてしまう魔王カスチェイ、妖精の火の鳥、勇敢な王子イワン、カスチェイに捕えられた王女13人です。ストーリーは簡単で、火の鳥を捕えた王子が、逃がしてやる代りに魔法の羽をもらい、その後自分が魔王の庭園に入って捕えられそうになった時に魔法の羽の力でカスチェイを倒し、捕えられていた乙女達を全員解き放してやるという話です。めでたしめでたし・・・だけど、石にされた男たちは本当に元に戻してもらったのかしらん?今度は王子が乙女たちを傍に囲うなんてことは無かったのでしょうね。男はスケベだから信用できん!(苦笑) 音楽については、斬新な書法を用いながらも、ロシアの民謡を基にしたような旋律が出てきたり、夢のように美しく繊細であったり、激しい部分があったりと飽きさせません。とても分かりやすい音楽だと思います。初演の際のオリジナル版が通称「1910年原典版」です。4管編成の完全版で演奏には40分以上かかりますので、家で聴くには少々長く感じるかもしれませんが、これはやはり必聴です。のちにストラヴィンスキーが自分でコンサート用に編集した2管編成の組曲「1919年版」は7曲の抜粋で、原典版のおよそ半分の長さです。「王女達のロンド」、「カスチェイの凶暴な踊り」などの聴きどころがてっとり早く聴けて便利なのですが、短過ぎて少々物足りなく感じられます。同じ組曲版でも「1945年版」は、編成は2管編成で12曲の抜粋ですので、原典版では長過ぎる、1919年版では短過ぎるという人には丁度良いと思います。 もちろんストラヴィンスキーの最高傑作と言えば「春の祭典」ですが、僕はこの「火の鳥」をとても好んでいます。 僕は大学4年の時に母校のオーケストラで1919年組曲版を演奏したことがあります。就活中だったために余り練習が出来なかったので、本番では難しい箇所はほとんど弾けなかった記憶が有ります。バレエ音楽といえども一切の手抜きをしなかったからこそ、ストラヴィンスキーは音楽家として大成功したのでしょう。 この作品を実際にバレエとして観たのは、3年くらい前に東京バレエ団のモーリス・ベジャール追悼公演で観た一度だけです。その時の音楽は録音だったので、今度は生のオーケストラ付きでぜひ観たいと思っています。でも滅多にやらないのですよね。「春の祭典」や「ペトルーシュカ」と一緒にもっと公演が行われれば良いと思います。 それでは愛聴盤をご紹介します。
<1910年原典版> ピエール・ブーレーズ指揮ニューヨーク・フィル(1975年録音/SONY盤) 現代作曲家ブーレーズが指揮活動を盛んに行っていた頃の演奏です。当時の「運命」「幻想交響曲」それにストラヴィンスキーの三大バレエなど、毎回リリースされる度に話題となりました。CBSの録音の分離の良さが演奏を余計に引き立てていたと思います。個々の楽器の動きがとても明確で聴き易いです。後年グラモフォンに再録音を行いますが、この頃の演奏と録音のほうがブーレーズとしては個性がはっきりと際立っていると思います。
コリン・デイヴィス指揮アムステルダム・コンセルトへボウ管(1978年録音/フィリップス盤) ブログお友達のオペラ・ファンさんご推薦の演奏です。ややもすると冷たい管弦楽の響きになるストラヴィンスキーですが、その点ACOは音に人肌のぬくもりを感じさせます。そのオーケストラの響きの美しさは正に極上です。アンサンブルも優秀なのですが、「カスチェイの凶暴な踊り」あたりは、ブーレーズやゲルギエフたちの切れの良さと迫力には一歩譲る印象です。
ワレリー・ゲルギエフ指揮キーロフ管(1995年録音/フィリップス盤) 非常に繊細で美しい演奏です。弱音部の音をとても抑えるので、うっかりすると聴き逃しかねませんが、ある程度ボリュームを上げて真剣に耳を傾けると、素晴らしさが良く分かります。あの美しい「王女のロンド」は震えるほどの美しさですし、「カスチェイの凶暴な踊り」は凄みが有りますし、「終曲」での音のつながりと高揚感も見事です。それにちょっとした節回しに、ロシアの作曲家の手による作品であることを思い出させてくれます。やはり現在では一番の愛聴盤です。 マイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ響(1998年録音/RCA盤) トーマスはロシア系の血筋を持ちます。また若いころにストラヴィンスキーと親交が有りましたので曲への思い入れは強いと思います。各楽器のソロもアンサンブルも優れていますが、肌触りは温かく、クールな印象は受けません。当然アメリカのオケですので音そのものや民謡的なメロディの歌い回しにロシア臭さは感じられません。また「カスチェイの凶暴な踊り」の迫力がいま一つなのは残念です。録音は優秀で分離の良さが見事です。 <組曲1919年版> レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィル(1957年録音/SONY盤) バーンスタインの「火の鳥」は1974年のニューヨーク・フィルの来日公演で聴きましたので、とても思い出深いです。あの広いNHKホールでしたが、3階席までずしりとした音が響き渡りました。このCDは初期のステレオ録音というのが信じられないほどに音が優秀です。演奏も非常に新鮮です。ただ「カスチェイの凶暴な踊り」は非常に躍動的ですが、健康的なので凄みに欠ける印象も有ります。「ウエストサイド」みたい?そうかもしれません。この演奏は1919年版では古典的な名盤と言えると思います。
<組曲1945年版> リッカルド・シャイー指揮(1995年録音/DECCA盤) 1945年版の演奏は珍しいですが、シャイーが素晴らしい演奏を聴かせてくれます。あのいぶし銀のコンセルトへボウから、非常に透明感の有る美しい音を引き出しています。機能的にも極めて優秀なのですが、それでいて音楽の温かさを失うことがありません。組曲でも1919年盤では物足りないと思う時に取り出すには最高だと思います。 コメント 私は組曲形式より、やはりオリジナル版で聴くのが大好きです。 残念ながら現在のお気に入りはコリン・デイヴィス指揮ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団の1978年のPHILIPSでの録音。私はこの作品の最高の演奏と思っていたのですが・・・ またオリジナル版に目覚めさせてくれたのは小澤征爾指揮パリ管弦楽団との1970年代のEMI盤。 これらを喜んで聴いているのは私しかいないのかな? ゲルギエフ盤はまだ聴いていません。いろいろと聴いてみるつもりです。 投稿: オペラファン | 2011年2月18日 (金) 01時58分 春の祭典は大好きなのに、火の鳥は色々CDを買いましたが、どのCDも前半が退屈してしまいます。読響の実演も聞きに行ったのですが変わりませんでした。 投稿: わんわん2号 | 2011年2月18日 (金) 09時59分
追伸 私は手塚治虫の「火の鳥」は全巻読んで深い感銘を受けた者ですが、この作品は実際に作者が「火の鳥」のバレエのステージを見て、「火の鳥」を狂言回しにして生命の生と死を見つめた大作を書こうと思いついたと何かの本で読んだことがあります。その為か、どうしても私は「春の祭典」より「火の鳥」(あくまでもオリジナル版)が好きです。 さて昨晩の私のコメントは、かなり酔っての支離滅裂なコメントでお恥ずかしい限りです。 ただ私のお気に入りのC・デイヴィス盤はロイヤル・コンセルトへボウの緻密ながら底力のある見事な演奏、そして録音当時のPHILIPSのたいへん優れたアナログ録音であると言う事を補足しておきます。 投稿: オペラファン | 2011年2月18日 (金) 11時08分 バーンスタインもデイヴィスも懐かしい録音です、学生時代には買うお金がなかったので友人のディスクをカセットテープにダビングしてもらったものです。 三大バレエの中でいちばん叙情的で、親しみやすい旋律が多い、チャイコフスキーまでの古典的なバレエに近いスタイルを感じます。 だいたいオペラやバレエというのは筋書きを言葉で書くとたわいないものが多いので、実際に舞台を見て聴いて、どっぷり浸ってなんぼ、というのが楽しみ方なのでしょうね。その意味では、バレエライブで見たことがないので残念です。 スラブ的ではなく中央アジア(北アジア)的な旋律が多いのが、わたしの趣味に合っています。 投稿: かげっち | 2011年2月18日 (金) 12時17分 ハルくん、こんにちわ ディアギレフはロシア・バレエ団の創設者として有名ですが、法科大学に在学中はリムスキー・コルサコフに作曲を学び、また、オペラ上演に通っていたそうですので、音楽の造詣は深かったようですね。また、絵画にも造詣が深かったようですので、いわゆる芸術一般をよく知っており、それがバレエ団結成に生かされたのだと思います。このため、音楽に関しては、先物買いみたいなこともでき、それがストラビンスキーを産んだのだと思っています。ストラビンスキーも三大バレエの頃が最も良くて、その前の「花火」も、それ以降の作品も滅多に演奏されない曲ばかりだと思います。 それにしても、バレエの場合、昔の公演(演出)はすぐに忘れ去られ、音楽だけが残りますね。この点、まだ、歌劇の方が実況録音として残るだけ、良いような気がしています。 ストラビンスキー自作自演の録音ではコロンビア交響楽団を指揮したものが有名ですが、あれは、弟子?のクラフトが指揮したとの噂もありますので、まともに指揮した録音ではNHK交響楽団を指揮した録画のみでしょうか。 なお、この曲で、私が持っている録音はモントゥー指揮のもののみです。 投稿: matsumo | 2011年2月18日 (金) 17時38分 オペラファンさん、こんばんは。 小澤征爾/パリ管は僕も昔聴きました。懐かしいですね。記憶では少々綺麗すぎて荒々しさに欠ける印象でしたが、久しぶりに聴いてみたくなりました。 デイヴィスは「春の祭典」がとても気に入っていますが、「火の鳥」は未聴です。是非一度聴いてみたいです。 投稿: ハルくん | 2011年2月19日 (土) 00時37分 わんわん2号さん、コメント頂きましてどうもありがとうございました。 確かに「火の鳥」の前半は幾らか充実度に欠ける気がしないでもありません。でも通して聴き終えると、やはり良い曲だなぁと思います。「春の祭典」とは性格が違うので、それぞれの曲の良さを楽しんでいます。 どうぞまたお気軽にコメントください。今後ともよろしくお願いします。 投稿: ハルくん | 2011年2月19日 (土) 00時45分 かげっちさん、こんばんは。 三大バレエの中で比較すれば革新性は乏しいと思います。けれどもあの時代の作品としては、やはり書法は非常に革新的です。それに純粋に音楽的に魅力が有りますよね。 バレエもオペラと同じで、生の舞台は本当に素晴らしいですよ。是非とも一度ご体験なさることをお勧めします。 投稿: ハルくん | 2011年2月19日 (土) 00時51分 matsumoさん、こんばんは。 ディアギレフが音楽を勉強していたことは知りませんでした。なるほど造詣が深くて当然ですね。「春の祭典」でパリに騒動を巻き起こしたのも確信犯だったそうですし、それだけ芸術に真摯だったわけですね。 ストラヴィンスキー自身の演奏は昔LP盤時代に聴いたことがありますが、なんとも生ぬるい印象でした。それはモントゥー/パリ音楽院についても同じような印象を受けました。これはやはり時代のせいなのでしょうね。 投稿: ハルくん | 2011年2月19日 (土) 01時01分 こんにちはハルさま。ストラヴィンスキー『火の鳥』大好きな曲です。ですが、この記事から外れたコメントで申し訳ないのですが ’70年代にブルースロックとか言われたと記憶してるのですが『マハヴィシュヌ・オーケストラ』というグループのアルバムに『火の鳥』ってありましたよね。ロックに詳しいハルさまならご存知ではと思いお聞きしました。クラスメイトの男子が「これ、イイゼー!」って言ってたんだったかな?その時1回聞いたきりなんですけど、結構インパクトあったなぁ。曲もよく覚えていないし、グループ名も曖昧なんですけど。知っていらしたら教えてください。アルバム入手しようかしらん… 投稿: From Seiko | 2011年2月19日 (土) 12時32分 Seikoさん、こんにちは。 マハヴィシュヌ・オーケストラのリーダーのジョン・マクラグリンは超絶テクのギタリストでギターフリークのカリスマでしたね。カルロス・サンタナもこの人とセッションをしてからテクが上がったというもっぱらの話です。 残念ながら「火の鳥」のアルバムは持っていませんが、バリバリのフュージョンでストラヴィンスキーとは何ら関係無かったように記憶しています。この辺りの話は恐らくHABABIさんかsource manさんが詳しいと思うのですが。 ストラヴィンスキーの「火の鳥」の終曲をオープニングに使用したのがイエスのライブ「Yessongs」でした。キース・エマーソンと並ぶクラオタのリック・ウェイクマンのアイディアだと思います。但しバンド演奏では無くテープ演奏なのがショボイなぁ。エマーソンならバンドで演奏しただろうに。 なんてことを書いていたら急にイエスが聴きたくなって今流しています。Oh,Jesus! 投稿: ハルくん | 2011年2月19日 (土) 12時57分 ハルくんさん、こんばんは お呼びが掛かったようなので、出て来ました。 マハヴィシュヌ・オーケストラのLPは何枚か持っていますが、あまり聴いていませんでした。「火の鳥」(但し、標記はFirebird ではなくBirds of Fire)も持っていたので、先ほど聴いてみましたが、ストラヴィンスキーのものを連想するところはありませんでした(個別のフレーズがどうだったのかまでは、私には分かりませんが)。このLPは1973年頃の発売で、ネットで調べたところ、CDが今も販売されているようです。 ストラヴィンスキーの「火の鳥」は、最近ではラインスドルフ指揮ボストン交響楽団の演奏録音(組曲)で聴いています。 それから、昨夜は店で焼き鳥を食べました。これも火の鳥みたいなものです(すみません、くだらないことを言って)。HABABI 投稿: HABABI | 2011年2月20日 (日) 00時33分 HABABIさん、こんにちは。 さっそくのご確認ありがとうございます! マハヴィシュヌ・オーケストラの「火の鳥」はそのように記憶はしていたのですが、なにせディスクを持っていませんでしたので。一度購入しようかなあと思いつつそのままでした。 ラインスドルフの演奏録音とは珍しいですね。興味があります。 焼き鳥いいですね!いや確かにこれも火の鳥です。 投稿: ハルくん | 2011年2月20日 (日) 09時21分 HABABI様。情報提供ありがとうございます。 ハルさまの一声で、呼ばれて飛び出たジャジャジャジャーン!ハクション大魔王の如く、すぐさま登場して下さるお仲間、素晴らし〜!ですねぇ。おー!じーざす。 検索したらAmazonに出ておりましたよ。でも先ずは中古CD探しに行ってきま〜す。 ついでに焼き鳥と滅多に買わない缶チューハイを求めようかな。 投稿: From Seiko | 2011年2月20日 (日) 14時07分 ハクション大魔王の如く、すぐさま登場して下さったHABABIさん。そう言いながら同じように登場して下さるSeikoさんもさすがです。 今夜は焼き鳥と缶チューハイでストラヴィンスキーですね!余りお飲み過ぎになりませぬように!(笑) 投稿: ハルくん | 2011年2月20日 (日) 17時02分 先週友人がスイスの作曲から聴いた話・・・実は春の祭典の冒頭はクラリネットのためdに書いていたのだが、初演に向けた練習の直前にふざけてファゴットが真似して吹いていたのを作曲者が聞いて、それ面白い、ファゴットにしよう、と急遽変更したとのこと。 ストラヴィンスキーってけっこういい加減というか大らかというか何というか(笑)こんどから肩の力をぬいて聴かなきゃいけないと思いました。 投稿: かげっち | 2011年2月20日 (日) 19時48分 かげっちさん、こんばんは。 やはり、あれだけ斬新な音楽を生み出したわけですから、新しいアイディアに対する適応力が有ったのでしょう。いい加減というよりは柔軟性だと思いますよ。当時としては物議をかもし出した音楽も現在では定番名曲ですものね。気楽に楽しみたいですね。 投稿: ハルくん | 2011年2月20日 (日) 21時44分 毎日暑いですね。暑い日に火の話もなんですが、火の鳥というとリャードフを思い出します。残念ながらリャードフは過小評価されていますが、私は大ファンなのです。ピアノ曲の水準は非常に高く、後世に残るべき作品も多いです。最近は全集の試みもあるので、ようやく真価が認められてきたのかなあと思ってます。劇場型の音楽はリャードフには向かないので委嘱するほうが見当違いですね。ストラヴィンスキーとはおそらく性格も正反対だったのではないかと思います。 投稿: NY | 2012年7月11日 (水) 05時05分 NYさん、こんばんは。 リャードフのファンでいらしたのですね。 実は自分はこれまでリャードフを聴いた覚えがありません。ピアノ曲が良いとのことですが、管弦楽作品なども色々と書いているようですね。 聴いてみたくなりましたが、一番のお勧めと言うと何の曲でしょう? 投稿: ハルくん | 2012年7月11日 (水) 23時07分 私はこれが好きですよ。たぶん一番有名だと思います。 リャードフ 「三つの小品」 作品11からロ短調 http://www.youtube.com/watch?v=eKTb07oYO74&feature=related ポエジーですね。泣けますね。 その他、上記のCDに入っているのですが、舟歌、ルーマニア民謡変奏曲、グリンカ変奏曲等は演奏効果も高いので、これからのピアニストにも注目してほしいなと思ってます。 投稿: NY | 2012年7月12日 (木) 00時05分 NYさん、こんばんは。 ご紹介ありがとうございます。 確かに、これは一遍の詩ですね。心に染み入ってくるようです。 他の曲も幾つか聴いてみましたが、管弦楽曲にもロシアの情緒を感じさせる良いものが有りそうですね。 ピアノ曲以外にも興味が湧いてきました。じっくりと聴いてみたいです。 どうもありがとうございました。 投稿: ハルくん | 2012年7月12日 (木) 21時09分 マイナー曲にお付き合い頂いてありがとうございます。 ロシア音楽のほの暗さは日本人好みだと思います。そこぬけに明るい作風の人はあまりいない。いつもなにか重いものを感じます。管弦楽にはなぜか魔女ものが多いのですね。
リャードフの後輩にあたるスクリャービンも正真正銘の芸術家体質だったように思われます。いい意味で暗いです。二人とも天才肌で、あんまり勤勉でなさそうなところがいいです。そういう意味ではストラヴィンスキーは系譜的にちょっと特異な感じがしますね。 投稿: NY | 2012年7月14日 (土) 05時25分 NYさん、こんにちは。 スクリャービンは昔から演奏される機会が多かったですね。 日本人には暗さや哀愁を感じさせるロシア民謡や音楽は、受け入れやすいのでしょうね。(国家としては付き合いづらいですが)
19世紀から20世紀にかけて、音楽家だけでなく、美術分野でもシャガールやカンディンスキーなどの色々と異なるタイプの才人が多数現れました。凄い国(旧ソヴィエト連邦地域として)だったと思います。 投稿: ハルくん | 2012年7月14日 (土) 10時37分 カンディンスキーですか。抽象画ですね。だいぶ前のことですが、作曲家の原博さんの本を読んで非常に興味深く感じたことがあります。
原さんはもう亡くなられましたが、現代音楽と現代美術の泰斗とされるシェーンベルクとカンディンスキーをほとんど評価していなかった方ですね。彼らの活動は天才の業というよりはむしろ意志の力であると指摘されています。多くの人が新しい技法に追随した時代に勇気ある発言ですね。異論もあることでしょうが、原さんの論旨は明快で、文章が非常に上手なので説得力がありました。原さんは決して古典に帰れと言っているわけではなく、あんまり技法のための技法が進化してもダメだよと言いたかったのだと思います。 私も残念ながら現代音楽は一部を除いてほとんど理解しておりませんし、無調になると果たしてそれでいいのかと思ってしまう一人です。アドルノら、シェーンベルク擁護派の論文も読んでみましたが、現代音楽の理解はやはり意志の問題であることがなんとなくわかりかけてきました。理解しようと意志して努力すればわかるものはわかるという感じですかね。 投稿: NY | 2012年7月22日 (日) 00時37分 NYさん、こんにちは。 原博さんの本は読んでいませんが、「あんまり技法のための技法が進化してもダメだよ」という考えには共感できますね。 感動できない現代音楽と、感動できる古典以前の音楽とどちらが好きかと言われれば後者です。
但し、「技法のための技法」を聴いて楽しめる方はそれで良いのだとも思います。価値観の違いですからね。 シェーンベルクは嫌いと言うことでも無いのですが、これまで「意志」を持って理解しようと思ったことはありません。 カンディンスキーのほうが、なんとなく良さが分かるような気はします。同時代のパウル・クレーのほうは更にですね。 投稿: ハルくん | 2012年7月22日 (日) 10時32分 このところバレエのDVD観て勉強しております。動画にあったゲルギエフ指揮マリインスキー劇場バレエの火の鳥&春の祭典のDVD買いましたよ。春祭は衣裳がダサくて期待外れでしたが、火の鳥はエカテリーナ・コンダウーロワの魅力もあって楽しめました。コンダウーロワは今度マリインスキーの来日でオデットやりますけどハル様お薦めですよ。ロパートキナとヴシニョーワが格上みたいですが、美貌ならソーモワかコンダウーロワですね、ザハロワには及びませんけど(笑)。 ハル様お薦めのセクシーなライプチッヒ・バレエの春の祭典、懐に余裕があれば早く観たいですね。 投稿: シーバード | 2012年7月26日 (木) 19時59分
シーバードさん、こんばんは。 ゲルギエフ/マリインスキーのDVDは残念ながらまだ観ていません。いずれとは思っていますが。
マリインスキーの「白鳥」は大好きなので、今秋の来日公演は見に行く予定です。実は、そのコンダウーロワがオデットを演じる日なのです。美系に弱い邪道バレエファンなものでして・・・(笑) 投稿: ハルくん | 2012年7月26日 (木) 21時59分 ああ羨ましいな。 小生は地方在住なので、残念ながら平日は無理ですね。年に何度か上京しますけど。 ハル様はクラシック音楽以上に女性対する審美眼が優れていますよ。それにしても色っぽくてアダルトなオデットだろうな(笑)。 投稿: シーバード | 2012年7月27日 (金) 13時34分 リャードフに名前が似てますけど、リャプノフも魅力ある作曲家だと思います。お兄さんはリャプノフ(リアプノフ)安定性で有名な数学者で、微分方程式の教科書に載るほど偉い人です。私は理科系なのでそういうところも歴史的に興味深いと思ってます。後期ロマンの流れをくんだピアノ曲は書法が緻密で、しかも恐ろしく難しい曲が多い。並みのピアニストでは手が出ないでしょう。これからまだ評価が上がる作曲家だと思います。最近はミャスコフスキーにも興味があるのですが、意外に作品が多くてまだよくわからないです。残念ながらじっくり聴く暇がないですね。もっと前から研究しておくべきだったなあと思います。 投稿: NY | 2012年7月28日 (土) 08時35分
シーバードさん、こんにちは。 上京されるときに、良い公演をご覧になられる機会が有ると良いですね。 秋のマリインスキー、コンダウーロワのオデットについては、その時に詳しくレポートしたいと思います。 投稿: ハルくん | 2012年7月28日 (土) 10時48分
NYさん、こんにちは。 リャプノフという人は名前も知りませんでした。文系の自分は「有名」というお兄さんのほうも知らないです。 ロシアの作曲家、演奏家には一般には知られていない凄い人が相当居るのでしょうね。 色々と聴いてみたい気はしますが、じっくりと聴く時間は中々とれなさそうです。 でも、ご紹介を頂きまして、どうもありがとうございました。 投稿: ハルくん | 2012年7月28日 (土) 10時59分 春の祭典や火の鳥を聴いたのは云十年前ですけど、指揮者やオケは忘れてしまいました。ドラティだったかなあ。LPの時代で1300円だったような。レコードは昔から値段があまり変わらなかった製品だったのに、あるときを境に安くなったりCDにとって替わられたりして、時代の栄枯盛衰を感じます。
ストラヴィンスキーの作品には神話的なものもあれば、子供が聴いてもよくわからんというのもありますね。兵士の物語なんかは現代劇として今上演しても面白いと思いますが、なんとなく暗いので好き嫌いはあるでしょうね。 投稿: NY | 2012年7月29日 (日) 09時15分 NYさん、こんにちは。 昔のLP時代の廉価盤と言うと、録音の古いものや無名のものが多かったですね。 現在の廉価盤は古いといっても1970〜80年代の名演奏家のものが大半ですので、どうかすると最新盤よりも優れているくらいです。価格と内容が比例しないというのは、喜んで良いのでしょうかねぇ。
ストラヴィンスキーの傑作と言うと、やはり三大バレエなのでしょうね。一般的にも個人的にも、そうだと思います。 でも後期の作品にも熱烈なファンが居るでしょうし、自分は余り聴き込んでいないので、時間があればじっくり聴いてみたいです。 投稿: ハルくん | 2012年7月29日 (日) 13時01分 ハルくん様 アンセルメ&ニュー・フィルハーモニア管弦楽団は、如何でしょうか。 自身がレコードに興味を持ち始めた頃、KINGレコードからロンドン・デラックス・アルバムと言う¥2300の価格で、SLA-1014と言うリハ突きの盤で、当時住んでいたN市の星電社レコード・コーナーに、鎮座ましまして居りました。襷に、挑戦する事三度、ついに頂点を極めた楽聖アンセルメ生涯最後の録音!と言う、物々しいキャッチ・コピーがあった事まで、覚えております(笑)。 で、KICC-9277と言う限定千円CDで、手元にあるわけですがやはりブーレーズ&NYフィル、ドホナーニ&VPOと比べると、リズムの切れ味やダイナミックスの幅広さに於いて、やはり及ばないなぁ…と言う印象でございます。データを拝見すると、1968年11月収録でお亡くなりになる、3カ月前のセッションです。この事実を知る我々後世の者は、勝手な色眼鏡で見て正しい評価を成し得ていないかも、分かりませんが。ただ、末梢事ながら、少年の日(笑)に見て興味をそそられたLPと同じ、アンセルメの横顔のイラストが、ブックレットのデザインに採用されていたのは、嬉しかったです。 投稿: リゴレットさん | 2018年4月14日 (土) 08時39分 リゴレットさん そのアンセルメ盤は聴いたことが有りません。 昔定評が有った演奏を現在の演奏と聴き比べてそん色ない場合も有りますが、聴き劣りしてしまうことが有りますね。モントゥーのストラヴィンスキーなども一例です。逆にバーンスタインの幾つもの旧録音が現在でも光り輝いているのは前者の例です。 そしてアンセルメですが、スイスロマンドの質も含めて失望することが少なくは有りません。 でも決して嫌いということでも無いのですが。 投稿: ハルくん | 2018年4月16日 (月) 12時40分 ハルくん様 まぁ、英国Deccaは往年のアンセルメのレパートリーを、デュトワ&モントリオール交響楽団で、ほぼ録り直して現在のファンにアピールするディスクを、造り上げましたからね。
アンセルメ翁の録音も、当時の現代作品・近代音楽をこぞって取り上げ、それらの音楽のファンを増やし、聴き手の視野を拡げて下さった功績は、讃えられて然るべきでございます。 輸入盤取扱店に、イタリア・ユニヴァーサル制作の約30枚組の伊仏音楽アンソロジー物を見かけましたので、現在の購入層にもある程度の関心は持たれているんだと、一抹の安心感(笑)も覚えました次第です。 投稿: リゴレットさん | 2018年4月18日 (水) 14時15分 http://harucla.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-eff5.html
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