http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/198.html
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(回答先: 輸出企業が日本を滅ぼす _ 輸出超過額と対外資産が増える程 日本人はどんどん貧しくなっていく 投稿者 中川隆 日時 2019 年 1 月 24 日 11:51:32)
「日本人は生産性が低い」という都市伝説に騙されるな _ 生産性が低いというのは賃金が安いというだけの事
「日本のホワイトカラーは生産性が低い」という都市伝説に騙されるな=児島康孝
「日本は生産性が低い、もっと合理化を」という論調をよく見かけますが、この国際比較は意味がありません。生産性の国際比較を得意気に言う人はほとんどがデタラメです。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)
「生産性」の拙い議論こそ日本のデフレとブラック労働の元凶である
「日本人はもっと働き方を合理化せよ」という論調の問題点
今日、「日本のホワイトカラーは生産性が低い」と著名な評論家が書いているのを見かけました。要するに、働き方をもっと合理化せよという話です。これは、日本人の国際的な「自虐感覚」につけこんでいますね。
欧米では、サービス残業はしないし、さっさと辞めてしまうので、ブラック企業も存在しにくいです。日本人みたいに、きっちり働いていないです。会社では、ボスが見ていないと仕事をしていなかったり、給湯室の備品がすぐになくなっていたり…そういう状況です。
一方、日本のホワイトカラーの質は高く、会社の仕事はきっちりとこなしています。おそらく全体的には、世界の先進国でトップクラスでしょう。サービス残業までしていますから、「身を切って」会社の生産性の向上(=経費の削減)に貢献しているわけです。
つまり合理化は、全体的には、日本のホワイトカラーが最も進んでいるでしょう。
本当の問題は「逃げ場がない」こと
この問題の背景は…。日本では、低所得者への給付が欧米先進国のようになっていないので、ホワイトカラーの逃げ場がないということです。
ですから解決方法は、欧米のように低所得者への幅広い給付を行って、失業をサポートする。それによって、ホワイトカラーが仕事先を選べる余裕を生じさせるということです。すると、「生産性が高い」仕事を選べるようになります。
また欧米のように、観光客がたくさんやってくるよう、国や経済団体が取り組むことです。すると、今とまったく同じ仕事をしていても、売り上げが多くなったり、サービス残業しないでそのまま報酬をもらえたり、となります。
要するに、この「ホワイトカラーの生産性」論議は、ホワイトカラー個人個人に責任を転嫁するだけの、タチの悪い話であるわけです。それが、「国際水準」の自虐傾向のある日本で、それらしく話されているわけです。またまた、「欧米が優れていて、日本は劣っている」というゴマカシですね。
無意味な「生産性」の国際比較
「生産性」の国際比較は、意味がありません。NYでは、レストランで高い料金をとることができるし、賃貸相場も高いです。それで、日米のレストランの生産性とか、賃貸の収益性とかを比べても、違う場所なので意味がないです。
一方で、NYの地下鉄のシートはプラスチックでカチカチで、日本のように快適なふかふかシートではありません。街には、日本のように綺麗なトイレも少なく、有名百貨店でもトイレに行列。百貨店といっても、日本のように大都市ごとに勇壮に多くの百貨店が軒を並べるという状況にはありません。そして、夜に安心して出歩けるのは限られたエリア…。
また、この「生産性」データが意味のあるものかどうかは、欧米のホワイトカラーとして「投資銀行」などを含めているのかどうかによりますね。どういう算出方法かは知りませんが、莫大な利益で高額報酬の彼らを含めるかどうかで、全く結果が違ってきます。
おそらく欧米の数字が高いというのは、少数のホワイトカラーが思いっきり平均の数字を引き上げているのではないかとも思います。要するに、平均の算出の問題であったりするのでしょう。
また、不況の国では「生産性」が低くなり、好況の国では「生産性」が高くなります。同じことやって、売れるか、売れないかです。
このように、日本の国内向けに「国際水準」をもっともらしく持ち出すのは、「真の国際水準」を知らない日本人につけこみ、だますような話です。
そもそも「生産性」という用語がおかしい
「生産性」ということよりも、「報酬率」という方が用語としてしっくりきます。日本はデフレで景気が悪いので、同じ・同等のサービスでも「値段が安くなる」ということです。
ですから、「生産性が低い」といっても、しっかり働いていないとか、そういうことではありません。企業努力が足りないとか、そういうこともありません。欧米の方が、同じことであっても高い値段がついて、高い収入が得られるということです。
経済の温度差、収入の容易さ。この比較なわけです。だから、バブル経済が日本で起きて価格が上がれば、同じことをやっていても「生産性は高い」となります。
これは、全くおかしな議論です。アメリカのホテルが1泊3万円で、2万円の利益ならば…。日本のホテルが1泊1万5000円では、従業員がブラック労働どころか5000円をホテルに献上しないと、2万円の利益にならないですね。ですから、この話(生産性の国際比較)は、意味がないのです。
逆に、アメリカでは安くて日本では高いものは、生産性が高くなりますね。同じガソリンを売って、アメリカで5000円、日本で1万円なら、日本の方が生産性は高い!となってしまいます
「生産性」論議を突き詰めてもデフレ・スパイラルに陥るだけ
この「生産性」論議をしていると、デフレ・スパイラルに陥ります。欧米と同じ(同等)のことをしても収入が得られなければ、さらに賃金を下げて収益をふやすということになります。ブラック化がどんどん進みますね。「生産性」が低いから、同じ賃金で2倍働け!とか、こうなります。
そうではなくて、欧米では、もっと楽に収入が得られているということです。日本はデフレでサービス価格が低いので、もっと景気を良くして、欧米並みの収入が得られる経済にしないといけないということです。個別の話よりも、経済政策とか、日銀の政策なわけです。
「生産性が低い」というのは、報酬がもらえていないということ
これに関連するのが、キュレーションサイトの問題です。日本では、生活に追われたり仕事がない方が、1文字0.5円などで記事をつくります。1記事あたり、200円とか300円とか。欧米では、同じ仕事でももっと報酬があります。すると、1文字0.5円で働く日本の方が、生産性が低くなります。ハードワークで低賃金労働の方が、生産性が低くなるわけです。
繰り返しになりますが、やはり「生産性」という用語がおかしいですね。「生産性」よりも、「報酬率」とか「マネタイズ度」という感じです。つまり、「生産性が低い」というのは、デフレ傾向で、収入(売上)がもらえていないという意味です。景気が良くなって報酬が上がれば、同じ仕事であっても「生産性」は高くなります。収入(売上)のもらいやすさとか、収入の難易度ということです。
ですから、「生産性が低い」というのは、報酬がもらえていないという意味です。生産性の国際比較を、得意げに言う人がいれば、ほとんどデタラメです。日本の場合、「生産性が低い」というのは、経済の「温度」が低いとか、カネまわりが良くないということを意味します。
http://www.mag2.com/p/money/30662
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日本の労働生産性
http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/archives/51736003.html
共同通信の記事です。
日本生産性本部は20日、2016年の労働生産性の国際比較を発表した。一人の労働者が一定の労働時間でどれだけのモノやサービスを生み出すかを算出。日本の1時間当たりの生産性は46.0ドル(約4700円)で、経済協力開発機構(OECD)加盟の35カ国の中で20位、先進7カ国(G7)で最下位だった。
生産性本部によると、G7での日本の最下位はデータが取得可能な1970年以降続いている。欧米より非効率な働き方が改めて示され、安倍政権が看板政策として掲げる「生産性革命」の浸透が急務になりそうだ。
担当者は「飲食や宿泊などのサービス業の生産性が低い」と分析している。
飲食業や旅館やホテルの生産性が低いように言っていますが…
この記事を読むと、そうしたサービス産業に従事している人の仕事の仕方が非常に非効率のようなイメージを与えるのですが、それは本当なのでしょうか?
例えば、運送業で働く人々の働きぶりを国際的に比較して、日本の労働者は仕事がスローすぎるの
でしょうか?
ヤマト運輸や佐川急便で働いている人の見て、そんな感想を抱きますか?
本当に怒られますよ、と言いたい!
違うのですよ。
労働生産性なんていうから、生産性が低い、イコール仕事に仕方がのろいと思い込みがちなのですが、そうではなく、彼らの給料、或いは稼ぎが少ないだけの話なのです。
労働生産性の算出式の分子が、物理的な仕事の量や質であるのならば、労働生産性が低いこと、イコール能率が悪いとなる訳ですが、分子は金額で表示される付加価値の合計額なのです。
従って、幾ら立派な仕事をしても、それに与えられる報酬が安ければ労働生産性が上がる筈はないのです。
それに、日本の社会って、基本的に副業が認められないではないですか?
だから、幾ら能率的に仕事をこなすことができ、従って、より短い時間でそれまでと同じ収入を確保できるようになっても、他の仕事をすることができない、と。
だから、仕事を能率的にこなそうというインセンティブが働きにくいのです。
組織のなかで自分だけ早く仕事を終わらせると、さらに仕事を押し付けられるだけ。しかし、給料は以前と同じ。
その辺りのことを安倍総理は分かっているのか、と。
分っていて、生産性革命なんて言っているのか、と。
それに、労働生産性の数値を国際比較する際、どうして先進国の数字だけ持ってくるのか、と。
もっと言えば、何故中国の労働生産性について言及しないのか、と。
中国の労働生産性は、日本と比べて著しく低い!
何故か?
単に賃金が相対的に低いからなのです。
では、中国の労働者は、怠け者が多いのか?
そんなことはありません。
もう少し深みのある議論ができるようにならないと、経済の活性化などできる筈がありません。
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トランプ大統領が証明している「日本の生産性」議論のバカらしさ=児島康孝 2017年5月28日
トランプ大統領がサウジアラビアに1100億ドルの武器を売却したと報道されています。このことは、日本の「生産性」論議が筋違いであることを示しています。
日本人が信じる「もっと働けば日本の生産性が上がる」の大ウソ
米、サウジに12兆円分の武器を売却
CNNによると、トランプ大統領は20日、サウジアラビアに1100億ドル(約12兆円)分の武器を売却する契約に署名しました。
武器売却は、それが良いか悪いかは別としまして、「生産性」が極めて高い経済活動です。
日本の艦船に同乗してひょいと見上げると、装備にはハネウエル「Honeywell」と書かれていたりします。ハネウエルはアメリカの電子機器会社で、武器も生産しており、2000年から2010年頃の株価は50ドルぐらいでした。しかし、今日(5/23執筆時点)ふと株価を見ると、131ドルにもなっています。
HONEYWELL INTERNATIONAL INC HON 月足(SBI証券提供)
アメリカの武器売却は「生産性」が高く、それだけ儲かるわけです。
無意味な日米の生産性比較
ですから、こういう分野を無視して、日米の比較で「生産性が高い」「生産性が低い」という話をしても、全く意味がありません。
今回のトランプ大統領のサウジ武器売却でも、金額は12兆円。1回の訪問で12兆円のビジネスを成立させるのですから、「生産性」が高いのはあたり前です。
ということは、「日本人がもっと働けば生産性が上がる」とかそういう話ではなく、「何をやって儲けているか」という方がはるかに影響が大きいのです。
同様に、産油国の「生産性」が極めて高いのも、オイルを掘って売るわけですから、当然といえます。
一生懸命に仕事をするのは大切なことで、それで見い出されて、「シンデレラ・ストーリー」の呼び水になることもあります。しかし、それだけでどうにかなるという種類の話ではありません。
トランプ大統領が12兆円の武器を売却したり、オイルをどんどん輸出して儲ける産油国をみれば、日本の「生産性」論議は筋違いであることがわかるでしょう。
http://www.mag2.com/p/money/234108
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日本の労働生産性が低く見えるのは、いいモノを安く売っているからだ
http://diamond.jp/articles/-/168782
2018.4.27 塚崎公義:久留米大学商学部教授 ダイヤモンド・オンライン
日本生産性本部が、「国際比較をすると、日本の労働生産性は低い」という報告書を発表した。しかし、ヘッドラインだけを見て悲観的になる必要はなさそうだ。
「生産性」とは
労働力あたりの生産量
それではまず、「労働生産性」とは何かを簡単に見ていくことにする。
労働生産性とは、労働者が1時間働いて、どれだけモノ(財およびサービス、以下同様)を作れるのかを測った値のこと。1日当たりで比べる場合もあるが、1時間当たりで比べる方が、計算に手間はかかるがはるかに正しいものになる。
実際には、1時間でパンを5個、自動車を1000分の1台、と数えて合計するわけにいかないので、労働生産性の国際比較などを行う場合には、名目GDPを労働時間で割って求める場合が多い。
名目GDPは、日本経済が1年間にどれだけの付加価値を生み出したのかを測る統計。だから、労働生産性とは「日本の労働者が1時間に付加価値を何円分生み出したのか」を測るものだと言うことになる。
こうして円建てで求められた金額を、ドルに換算して米国などと比較し、「日本の労働生産性が低い」という報告書が出されているわけである。
いいモノを安く売ると
労働生産性が下がる?
日本企業は、いいモノ やサービスを安く売っている。デフレが長引き、値下げ競争が続いた結果ともいわれるが、それ以前から日本企業は“過当競争体質”だったという指摘もある。ともかく、いいモノを安く売ると、統計上は労働生産性が下がってしまう。
まず、同じモノを安く売る場合を考えてみよう。日本と米国の労働者が、それぞれ1時間に1人の客の理髪をするとしよう。理髪料金が米国で40ドル、日本で2000円だとして、1ドル100円で日本円に換算すると、米国の労働生産性は4000円、日本のそれは2000円となる。本来、同じ労働なので労働生産性は同じはずなのだが、米国の方が2倍高いと計測されてしまうのだ。
次に、日本の理髪は心を込めて行っているので、米国の理髪より2倍の品質であるとする。「2倍の品質」を付加価値に置き換えるのは容易ではないが、例えば「仮に日本の理髪が米国で行われていたら、米国人は80ドル払うだろう」ということだとしよう。
だとすると、日本の理髪1回は、米国の理髪2回と等価ということになるから、「米国の労働生産性の2倍」であるはずなのに、計算すると「米国の労働生産性の2分の1」ということになってしまうのである。
このように考えると、冒頭の報告書で「日本の労働生産性が低い」と指摘されても、ガッカリすることはなさそうだ。
実際、海外で生活をした経験がある読者には納得していただけるだろうが、日本のモノの品質は素晴らしい。理髪が丁寧なだけではない。時間通りに電車が来る、宅配便が時間指定できる、深夜でもコンビニやファミレスが開いているなどを考えると、筆者は到底、海外で生活したいとは思わない。
宅配便の時間指定や、過剰な包装などは、消費者がそれを求めているのか、勝手に過当競争を繰り広げているのか、疑問に思わないこともないが…。
いいモノを
高く売らないのは問題か
上記に対しては、「いいモノは高く売るべきで、いいモノを安く売っていることが日本企業の問題なのだ」という批判も頂戴する。しかし、ミクロとマクロを混同しないように気を付けたい。
今、日本の理髪店が「いいモノは高く売ります」と宣言して、理髪の値段を4倍に値上げしたとしよう。日本のGDPは4倍になり、分母である日本人の労働時間は変わらないから、日本人の労働生産性は4倍になる。そして、「理髪料収入が4倍になったから、社員の給料も4倍にする」と言えば、社員も喜ぶだろう。
しかし、誰かが幸せになるだろうか。給料が4倍になっても、すべてのモノの値段が4倍になれば、日本人の生活水準は変わらない。当然である。上記の計算式で計算された結果は4倍になるが、日本人労働者が1時間で作り出す理髪サービスの量が増えていないからだ。
労働力不足の時だから
値上げが望ましい選択肢となる
実は筆者も、いいモノは高く売るべきだと思っているが、それは最近の日本経済 が労働力不足になったからだ。いいモノを高く売っても、もはや失業を心配する必要はない。それ以前は、いいモノを高く売ると失業が心配だと考えていたから、黙っていたのだ。
筆者がいいモノは高く売るべきだ、という時に考えているのは、「すべてのモノの値段が4倍になるわけではない」ということだ。一つには、省力化投資のための機械の値段が不変であれば、企業は労働者を減らして省力化投資を行うだろう。それにより、日本経済の真の意味での労働生産性は改善する。失業者があふれている時に労働生産性が改善することを望ましいと考えるか否かは議論のあるところだが、労働力不足の時代においては、議論なく望ましいことだといえる。
もう一つは、海外からの輸入品である。日本製品の価格が4倍になり、日本人の給料が4倍になっても、輸入品の価格は変わらないから、割高になった国産品の代わりに輸入品を買う消費者が出てくる。それが、日本の中で相対的に生産性の低い製品であるならば、その製品の生産を打ち切って、生産性の高い製品の製造に 労働力をシフトする契機となろう。それも、労働力不足の時代においては望ましいことだ。
実際に日本の労働生産性が
低い面も認めるが…
とはいえ、少し強弁しすぎた面もある。実際に、日本の労働生産性が低い面もあるからだ。それは当然のことだ。各国の人口増加率がおおむね等しい中で、バブル崩壊後の長期低迷期には、日本の経済成長率が諸外国よりも圧倒的に低かったのだから。
しかし、それについても、今後は急激に追いついていくと期待している。長期低迷期には、大量の失業者がいたので、企業は省力化投資のインセンティブを持たなかった。皿洗いは、安い時給で雇ったアルバイトにやってもらえばよかったからだ。しかし、今後は容易にはアルバイトが雇えない時代が来るだろうから、自動食器洗い機を購入する企業が増え、日本の労働生産性が急激に上昇していくと期待している。
経済学者の中には、「日本は労働生産性の向上スピードが遅いから、経済成長率が低かったのだ」という人も多いが、そうではない。日本は需要が伸びないから経済成長率が低く、その結果として失業者が多く、企業が労働生産性を伸ばすインセンティブを持たなかったのだ。
為替レートを購買力平価に
替えても問題は残る
実は、冒頭の報告書は、各国の名目GDPを比較する際に、実際の為替レートではなく、「購買力平価」を用いている。これは、「米国での1万ドルの生活を日本でするなら100万円必要だから、1ドルの購買力平価は100円だ」といった計算をして求めた結果だ。
そうなると、米国人は1回理髪サービスを受けて40ドル払い、日本で同じ生活をするためには2000円必要なので、購買力平価は50円となる。なので、昨今の為替レートである1ドル100円で換算した場合よりは「妥当な結果」に近いものが出るはずだという考えからだ。
もっとも、品質の格差まで調整したものとは思えないので、問題の半分は残ってしまう。「米国人の労働生産性の2倍であるはずなのに、計算すると米国人の労働生産性の2分の1になる」と前述したが、ここでは米国人の労働生産性の2倍のはずなのに計算結果は1倍になってしまう、となってしまうのだ。
実はもう一つ問題がある。米国で1万ドルの生活というのは、大きなステーキは食べるがすしと天ぷらは食べない生活である。そうなると、米国で10ドルのステーキが日本で5000円であるとして、購買力平価は500円となってしまう。これを理髪業に当てはめてしまうと、「米国人の理髪店が1人を理髪して40ドル稼ぐ間に、日本人は10人に心を込めて丁寧に理髪して2万円を売り上げて、初めて労働生産性が等しいと認めよう」ということになってしまうのである。
国際比較は難しいのだ。
▲△▽▼
2019年01月28日
トイレ・一服休憩、仕事が速い人を解雇するダメ企業
長時間作業したら疲れてミスを連発するのは当たり前
それを防ぐために休憩は必要なものです
画像引用:http://drive-love.jp/chaya/201509/img/article4/boxer/img07.jpg
他人の休憩を密告する休憩クレーマー
ある会社で毎日定時退社する人が居たので、「あいつ暇そうだな」と思い解雇した。
退社後にその人のパソコンを調べると、仕事のほとんどが自動化されていて、誰よりも時間効率が高かった。
アメリカでも毎日勤務時間にゲームやネットをして遊んでいる従業員が居て、経営者は彼を解雇したがっていた。
1人の「怠け者」がいることで他の全員の士気が落ちてしまうというのが解雇したい理由だった。
経営者が知人やSNSでアドバイスを求めたところ「彼以外の従業員は”働いている演技”をしているだけで、彼だけが正直者だ」と言われた。
つまり本当はみんなゲームやネットで遊びたいのだが、そうすると上司の機嫌を損ねるので「仕事をしているふり」をしている。
最近日本で話題の一服休憩だが、その人の仕事ぶりとは何の関係もなく「勤務中にさぼっている」と決めつける。
トイレ休憩にも難癖をつけ、勤務時間中はトイレ禁止、おむつ着用を義務化している会社が実在する。
こんな会社も結局、休憩に行く社員は正直者であり、他の人は”働いているふり”をしてウトウトしているだけなのです。
郵便局員が外で休憩したり自販機でジュースを飲んでいると「自称・市民」から抗議の電話がかかってくる。
仕事中にさぼって休むとは何事かというのだが、そう抗議している本人も適当にさぼって休んでいる筈です。
「生産性」という言葉を間違って理解した人が、休憩クレーマーになっている。
優秀な人ほど「怠け者」呼ばわりされる
生産性はある一定時間に生み出した価値のことで、分かりやすく言えば「時給」にもっとも近い。
日本人の時給は先進国最低なので生産性も世界最低、ここが問題になっているので休憩時間とは関係ない。
一日8時間働いて8000円の給料なのか1万6千円なのかが問題であって、何回トイレに行ったかの話でもない。
おかしな人は「トイレに1回も行かない人は3回行った人より生産性が高い」などと言い出して、同じくおかしな上司も賛成してしまいます。
こうして「トイレ罰金」や「おむつ着用」の会社が生まれています。
本当の生産性とは8時間の間にその人が生んだ価値で、仕事が速い人は4時間で終わらせて帰っても良いのです。
速い人が4時間で終わらせる仕事を16時間かけて、毎日8時間残業している人は「生産性が4分の1」なのです。
効率よく仕事を進めるためには休憩が必要だし、人間の集中力が持続する最大時間は50分しかありません。
だから警察は「車の運転は1時間に10分は休憩しましょう」と言うし、どんなスポーツでも50分プレーしたら10分は休憩しています。
ミスなくいい仕事をするには1時間働いたら10分程度休むのは当たり前で、本来は上司や経営者が休むよう指示しなくてはなりません。
http://www.thutmosev.com/archives/78869665.html
▲△▽▼
過剰サービスの負担はどこにいく?: 2017/01/15 From 三橋貴明
さて、現在、運送業界のトラックドライバーが、極端な人手不足になりつつあります。
人手不足の解消のためには、もちろん生産性向上「も」必要なのですが、それ以前に、運送業界の場合は「荷主の我儘」というものがあるのです。
荷主が多品種少量の製品を、短時間納期で納品することを求める(無茶!という話)ため、ドライバーの待機時間が極端に長くなってしまうのです。
だからと言って、荷主サイドが追加料金を払うことは(それほど)ありません。
運送会社の経営者の多くは未だ「デフレ脳」であり、 荷主の無茶な要求を受けないと、仕事を失うのではないかと怯え、負担が現場のドライバーに向かうのです。
もっとも、荷主サイドは荷主サイドで、 大手流通、大手小売共に過当な「サービス
競争」を強いられています。デフレで競争が激化する中、強引に過剰サービスを提供しようとするため、負担が上流サイドを遡り、ドライバーの極端に長い待機時間、生産性の低下という問題を引き起こすわけでございます。
昨年末に、
「「アマゾン多過ぎ」ヤマトドライバーから悲鳴続出、「利便性」が生んだ過酷な実態」
という記事が報じられていましたが、こちらも問題の根っこが同じです。
消費者への過剰サービスが、現場のドライバーの負担の上で成り立っているならば、そんなものは長続きしないでしょうし、長続きさせるべきではありません。
断っておきますが、三橋はサービスの質の向上を否定しているわけではありません。
単に、
「高いサービスに対しては、消費者が高い価格を支払うべき」
と言いたいだけです。
生産者一人当たりが提供するサービスの「質の向上」も、数字には出にくいのですが、「生産量の拡大」に違いはありません。
当然ながら、生産性向上の投資により、サービスの質が向上したならば、買い手は支出を増やすべきで、イコール生産者の所得(実質賃金)上昇となるわけです。
ところが、現在の日本では「生産者の根性」で質を強引に向上させ、さらには十分な支出が行われないという状況が続いています。
まさしくデフレという話ですが、デフレ脱却のためには、我々が「高いサービスには、高い価格を支払う」という当たり前の感覚を取り戻す必要があると思うのです。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/
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残業するほど生産性が下がるしくみ 日本企業と日本軍
アメリカの労働者は余力十分で、真珠湾空襲で鎮座した戦艦を短期間で修理した。
日本は大戦前から限界まで働いていて、戦時中に生産力を増やせなかった。
残業とはなにか
日本企業の残業の多さが社会問題になっていて、きっかけは有名企業の新入社員への過酷な労働環境が明るみに出たことだった。
残業が多いことは労働者の健康問題と捉えられる場合が多いが、企業の生産性低下の原因にもなっている。
一般的には残業が多い=会社に貢献しているとなり、残業をすればするほど役に立っていると捕らえられている。
だが日本企業の生産性は先進国で最下位であり、一部の新興国より劣っている。
生産性とは一言で定義すると、1時間当たりに生み出した価値であり、分かりやすく言うと「時給」にもっとも近い。
近年ブラック企業と名指しされた日本企業の多くは一日10時間以上労働で休日なし、残業手当を支払っていなかった。
一日8時間、週40時間の給料しか払わずに一日12時間、週80時間働かせると賃金半分の労働者を2人雇ったのと同じになる。
企業は大儲けで日本企業の「生産性」は世界一になりそうだが、そうはならず逆に世界最低になってしまいました。
まず8時間の給料しか払わず12時間拘束すると、労働者は毎日4時間、週20時間から40時間も「ムダに生きている」状態になってしまう。
会社に拘束されていた20時間で牛丼屋のバイトでもやれば、週に2万円のバイト料が貰えたのにゼロになってしまった。
また拘束された時間に趣味を楽しんだり消費活動をすれば日本のGDPに貢献したが、この会社は日本経済にも悪影響を与えた。
労働者は消費者でもあるので、サービス残業は確実に日本人の収入を下げてしまい、実質賃金低下の原因を作った。
残業が多い組織は危機に弱い
「サービス残業」は日本経済に打撃を与える経済犯罪だが、政府は『残業はいいことだ』と考えて取り締まりませんでした。
その結果が先進国最低の生産性で、働いても働いても給料が減り生活が苦しくなるというデフレ経済の原因も作った。
サービスでない残業も生産性を低下させ、同じ価値を生み出すのに長時間かけている企業ほど「悪い企業」なのです。
例えば残業一切なしで利益を出す会社と、社長が「しぬまで働け!」と怒鳴っている残業週20時間の企業があるとします。
もうちょっと経済環境が悪くなったときに、ノー残業企業は残業代を払って社員に少し残ってもらえば、危機を乗り切ることができます。
一方過酷な残業企業ではもう仕事量を増やすことは出来ず、新たに人を雇うと人件費がかかるし、給料を下げてもっと残業させるしかありません。
危機の時にまっさきに倒産するのは残業が多い企業で、まったく残業をしない企業は余力が大きい事になります。
新しい事業を始めたり事業拡張するときも同じで、余力が大きい企業が成長し、社員全員が限界まで働いている企業に将来性はありません。
日本全体がサービス残業を進めた結果、国中が成長余地のない「限界企業」のようになりました。
日本軍と残業
実は日本がこのような状況になったのはこれが初めてではなく、第二次対戦中がこのような状況でした。
国民全体が「欲しがりません勝つまでは」といって限界まで労働していて、最初のうちそれで「怠け者」の米英より優位に立つ事ができました。
だが大戦初期に「怠け者」米英人は日独にコテンパンにやっつけられて目を覚まし、渋々なのか進んでか、不眠不休で軍需物資を生産し物量で圧倒しました。
戦争前から国民全員が限界まで働いていた日本は、生産量を増やせず、戦争が長引くほどジリ貧になっていった。
アメリカ人は余暇にバカンスを楽しむ時間を減らして工場で働き、生産量を大きく増やす余力があった。
人口が違うとか資源量が違うという以外にも、日米には生産性の違いという格差が大戦前に存在していました。
この教訓は何かというと最初から過酷な労働をしていた日本には余力がなく、怠けていた米英人は余力たっぷりだったという事です。
必死になって限界まで働くのもたまには必要ですが、いつもそうだったらいずれその企業は倒産します。
生産性が低い企業=残業が多い企業は、危機に弱く成長力も低いからです。
http://thutmose.blog.jp/archives/68869494.html
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日本のサービス業の生産性はそんなに低いか? コラム 大和総研グループ 岡野 進 2017年1月20日
日本のサービス業については、生産性が米国の半分程度というような推計結果が取り上げられることが多い。そんなに日本のサービス業の生産性は低いのだろうか。こうした計量的な分析それ自体はデータに基づいたもので正当であると思うが、うまく質を考慮したものにはなっていないようだ。筆者が米国に住んでいた経験からすると、米国のサービス業の生産性が日本の倍もあるというのは、実感からかなりかけはなれている。
例えば、米国で家の壁に電気コンセントの取り付けを依頼すると、まっすぐに取り付けてくれることはめったにない。ニューヨークでアパートを4軒移ったが、どのアパートのコンセントもみんな斜めだったし、修理を依頼した時もそうだった。こういうことは日本では考えにくいだろう。米国人にこの話をすると、ほとんどの人がキョトンとして、安全に使えるのなら問題ないと言う。
タクシーに乗ると室内に清掃の跡が感じられない。地下鉄の駅には冷暖房がないし、トイレもキオスクもない。高級レストランは別にして、ふだんの外食での接客にはあまり客への気遣いを感じられない。
多くの対個人サービスでは、文化の違いでサービスの質の標準がまったく変わってくる。求められる効用の質的な違いだ。どちらが良い悪いではないし、質の高低も一概には言えないが、日本における標準的な質のサービスのほうが、提供コストが高くなりがちなのではなかろうか。そのために日本のサービス業の生産性が低いというような数値が推計されてしまうように思われる。そうした事情を度外視して生産性が低いから高めなければいけない、というと改善の方向を見誤ってしまうかもしれない。見た目の数量的な生産性だけを高めようとしてもうまくいかないのではないだろうか。消費者のニーズがどこにあるかに合わせてサービスの在り方を改善することが肝要だろう。
もっとも、ICTの活用に関しては、米国に比べて日本のほうがまだ遅れている部分が多い印象を持たざるを得ない。インターネットを利用した食品の宅配とかレストランなどの予約サービスなどは、米国に比べると日本での導入は10年程度遅れていた。日本独自のアイデアにも期待したいが、他国での活用事例は貪欲に取り入れていくべきだろう。
http://www.dir.co.jp/library/column/20170120_011605.html
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2017年03月21日
日本マクドナルドにみる日本の労働生産性問題
労働者の給与を下げる経営者は企業の価値も下げる
引用:http://www.1101.com/okane/harada/images/title.jpg
日本マクドナルドの労働生産性
日本企業の生産性は先進国で最も低く、購買力平価(物価の違いを修正した値)では新興国にも遅れを取っている。
中でも生産性が低いのが飲食・外食産業で、その中でもとりわけ生産性が低かったのが、日本マクドナルドでした。
日本マクドナルドは原田社長の下で名ばかり店長、正社員リストラや非正規化、サービス残業増加を推し進めて一時は成功しました。
だが計算すると例え業績が向上しても、これらの政策で生産率は下がっていた筈で、その後業績不振になり売却を決めています。
現在は米本社の売却価格と日本側の希望価格が折り合わないので、業績を回復してから売却する事にしています。
原田氏は2004年から日本マクドナルドCEOになり、翌年には赤字だった業績を黒字にしたが、危機は水面下で進行していた。
業績が向上する一方で生産性は悪化し続けて、2008年以降は客離れが起き、2011年から2015年まで赤字を出しました。
2015年には347億円の赤字を計上して、米本社はついに日本マクドナルド売却を決めたと言われている。
2016年も事実上は赤字だったが、閉店と資産売却などで僅かながら黒字化に成功しています。
問題は2004年から2007年に首切りやサービス残業でコスト削減して利益を出した手法にあり、生産性を大きく低下させ企業価値を奪った。
ここで生産性(労働生産性)という言葉を再確認すると、「価値を産み出すのに必要な労働力」の事で、労働者1人が1時間の労働で生み出す付加価値であらわされます。
国の労働生産性は就業1時間当たり国内総生産であり「国内総生産」の合計は「所得」の合計に等しいので時給に置き換えても成立します。
優れた経営者が会社を破壊する
労働者全員の平均時給が高い企業ほど労働生産性が高く、平均時給が低い企業ほど生産性も低くなる、結果としてこうなります。
日本の労働生産性が先進国最低であるという事は、日本の労働者の平均時給が先進国最低であるのを意味しています。
ここで2004年にマックの原田社長がやった事を振り返ると、「リストラ、非正規化、サービス残業、名ばかり店長、給与引き下げ」などでした。
何とも素晴らしいというか酷いというか、会社の業績は向上するが労働生産性を下げてしまう要素ばかりで、当時は日本中の会社が同じ事をしていました。
キヤノン、セブンイレブン、ユニクロ、ワタミ、すき家などマックと同じように労働者の時給を下げて業績を上げていて、いくつかの会社ははその後、経営が行き詰りました。
サービス残業とは給料を払わず無給で労働させることですが、資本主義理論ではありえない、最も生産性を悪化させてしまう行為です。
戦時中に日米とも労働者(や兵士)を限界までサービス労働させましたが、勝つためにはやむを得ないとは言え、それを続けたら経済は破綻してしまいます。
サービス労働をさせればさせるほど労働者は貧しくなり、国民は貧困になり、会社も国も貧困になっていきます。
最初の量産自動車T型フォードを作ったフォードは、労働者が自動車を買えるように、日給を2ドルから5ドルに倍増させました。
フォードの労働者は増えた給料でT型フォードを買ったので、フォードは大企業に成長し、この量産化の仕組みがアメリカを超大国にしました。
サービス残業はこれと真逆をやっているわけで、マックの従業員は働いても自分が作るハンバーガーすら買えなくなります。
ところがMBA(経営学修士)資格をひけらかすような優秀な経営者ほど真逆をやりたがり、無給で労働者を働かせては業績を自慢しているのです。
生産性が極限まで悪化した世界はどうなる
いくら働いてもハンバーガーすら買えなくなるハンバーガー屋に未来なんかある訳がないが、多くの経営トップはこれに気づかない。
原田氏が進めた労働生産性悪化は数年後に副作用が現われ、次々に不祥事を起こして収拾がつかなくなっていった。
異物混入事件、期限切れ鶏肉事件、メニュー表廃止による客離れ、ファミリーセットや低価格メニュー廃止による客離れ、高価格メニューの不発など問題は途切れることなく起きた。
ある時マクドナルドは思いついたように灰皿を廃止したり、コンセントを設置したり、女子高生追い出しを指示したりした。
女子高生は大勢で集まってジュース一杯で長時間話し込むので、売上げを下げていると原田氏が指摘し、女子高生向けの100円メニューも廃止した。
主婦も低価格品しか注文しないのでファミリーセットを廃止して追い出し、そして誰も居なくなった店内で、無給で働かされる店長やバイトだけが残った。
生産性が極限まで悪化した結果、日本マクドナルドは従業員を最低賃金以下で働かせたのに、過去最大の赤字を計上し続けた。
ところがこんな企業の経営者ほど、「従業員の給与を下げたのに、なんで赤字なんだろう。もっと給与を下げよう」などと考えるのです。
この理論を推し進めると、労働者全員を無給で無制限に労働させる共産主義にたどり着き、労働者は良い仕事をしても見返りが無いので、義務をこなすだけになります。
http://www.thutmosev.com/archives/70064351.html
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2017年4月4日 「デフレ」こそ「労働生産性」低下の元凶。生産性向上のためにも「PB制約」撤廃を!
From 藤井聡@内閣官房参与(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/10297
今、財界や政府の経済政策似ついての議論でキーワードになっているのが、
「労働生産性」。
これは要するに、その働きで、どれだけのアウトプットを生み出したか、という効率性を意味するものです。
誰でも、部下を持ったことのある人ならば経験があると思いますが、いわゆる「有能で無い部下」は、指示をして1週間まってもほとんど何のアウトプットも持ってこないけど、「有能な部下」なら、指示をすれば翌日には、素晴らしいアウトプットを持ってくる――という事はよくありますが、こういう時、「アイツは生産性が低いけど、コイツは生産性が高いなぁ」などと言ったりするわけです。
そして今、巷では「労働生産性」を上げるべきだ! という言説があちこちで言われるようになっています。
そんな議論の中で、よく紹介されているのが、次のグラフ。
これは、今、日米の「業種別、労働生産性の比較」のグラフです。
ご覧の様に、一部の業種(機会と化学)を除いて全て、日本の「労働生産性」はアメリカよりもずっと低い、というのが現状です。例えば、アメリカと比較すれば「飲食や宿泊」の労働生産性は三分の一、電気機械は五分の一、そして農林水産業に至っては二十分の一という水準です。
こうしたデータを引用しつつ、多くの論者(例えば、今月号(4月豪)のウェッジの記事http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9140 等)は、
「だから、日本も生産性を上げる『改革』をやるべし!」
という議論に進みます。例えばその特集では、次のような論調が展開されます。
「リンガーハットや鳥貴族や『変なホテル』など、優秀な企業は皆、
その『改革』をやって、生産性向上に成功している!
年功序列などの日本のワルイ体質を改善すべきだ!」
(この『ウェッジ』だけでなく、政府内外で、同様の議論が展開されています。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017033101123&g=eco
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai10/siryou1.pdf)
・・・・が待ってください。
「労働生産性」という「言葉のイメージ」に騙されないで、まず、上記の日米比較のグラフにおける「労働生産性」の定義とは何か、から考えて頂きたいと思います。
そもそも、このグラフも含めて、数字で労働生産性が表現される時、それは、
「就労1時間あたりのGDP」
と定義されています。
(例えば、先日開催された官邸の経済財政諮問会議でも、民間議員ペーパーも、政府準備ペーパーも、いずれも労働生産性は、この考え方で定義されています。
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0330/shiryo_02-2.pdf
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0330/shiryo_01.pdf )
ですから、労働生産性は、労働者や企業の質にも依存しているかもしれませんが、GDPの水準にも依存しているのです。
したがって、企業が努力しようがしなかろうが、労働者が有能であろうがなかろうが、労働生産性はGDPが上がれば上がり、GDPが下がれば下がるのです!
(※ これは、部下の労働生産性を比べる時に、部下Aと部下Bのそれぞれが営業しているマーケットの違いを考慮せずに、単に一月間の営業成績だけに基づいて、「労働生産性」を比較するようなものです。仮に部下Aの方がたくさん儲けているとしても、それは単に部下Aが担当しているマーケットの方が、簡単に儲けられる楽なマーケットだという事を意味しているに過ぎない、ということもあるのです)
だから、GDPが20年間も伸び悩んでいるデフレの国「日本」と、全くデフレに直面していないインフレの国「アメリカ」を比べれば、インフレのアメリカの方が高くなるのは当たり前です。
したがって「労働生産性」向上のためには、「改革」云々以前に、「デフレを終わらせGDPを上げる」マクロな対策が必要なのです!
もちろん、労働生産性を上げるためには、「企業努力や労働者の努力」も意味はありますが、そうした「ミクロな視点」だけでなく「マクロな視点」を忘れてはいけないのです。
そもそも、このグラフからも明らかなように、日本の「労働生産性」は、「GDP」の水準によってほとんど決まっているのが実状です。
労働生産性は、GDPが伸びている頃は順調に伸びていたものの、デフレになってGDPが横ばいになって以降、労働生産性も横ばいになっています。
実際、労働生産性とGDPの「相関係数」は、実に「0.96」という、超絶に高い水準にあります。
これはつまり、両者はほぼ完全に連動して推移している、という事を意味しています。控えめに言っても、「労働生産性はGDPの水準で90%以上説明できる」という次第です。
逆に言うなら、労働生産性の向上において、企業努力や労働者の余地の努力が入り込むは、ごく一部しかない、という次第です。
繰り返しますが、労働生産性は、「就労1時間当たりのGDP」なのですから、こうなるのも当たり前なのです。
にも拘わらず、日本の労働生産性の低さの「全て」を、企業や労働者、はては日本の文化や風習のせいにしてしまえば、マクロ経済対策を怠り、日本の労働生産性が一向に向上しない、という最悪の事態が生ずることとなります。
・・・というよりもむしろ、そうやって「過剰な改革」をやり過ぎて、かえって「真の労働生産性」を引き下げてしまうことともなりかねません。
そうした悲劇をもうこれ以上起こさないためにも、我々は今、
「生産性を上げるためにこそ、デフレ脱却を!」
という一点をしっかりと認識する必要があるのです。
この一点さえ認識できるのなら、労働生産性を上げたいのなら、
1)何よりもまず「デフレ脱却」を阻んでいる「プライマリーバランス制約」を廃止し、
2)デフレ完全脱却までの2、3カ年、軌道的な財政政策を展開すること、
こそが必要不可欠だという「大局」がいとも容易く見えてくるはずです。
https://38news.jp/politics/10232
そしてその大局観さえあるのなら、「デフレ脱却をサポートする構造政策」(例えば、ダンピング規制や過剰サービス規制、低賃金労働者の日本流入規制、賃上げ企業優遇策、等)を展開していくことが必要だ、という道筋がくっきりと見えてくるはずです。
https://38news.jp/economy/08023
わが国の「働き方改革」(ミクロ政策)や「デフレ脱却のための財政金融政策」(マクロ政策)が、こうした正しい大局観に基づいて進められんことを、心から祈念したいと思います。
PS 「労働生産性」を上げるためにも是非、下記をご一読ください。
https://goo.gl/Jcqhm0
https://38news.jp/economy/10297
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2017年09月21日
働き方改革で日本の生産性がさらに悪化する
多くの業種で現在より長時間残業が合法になり、日本の生産性はもっと悪化する
引用:http://www.asahicom.jp/articles/images/AS20170329000405_comm.jpg
安倍首相は同じ手で2度騙す
日本政府は「働き方改革」というものを進めていて、日本人の働き方を改善すると言っています。
日本人の働き方と言えばワXミに象徴されるように、「死ぬまで働け、働けるだけで感謝しろ」というものでした。
経済が悪化し失業率上昇とともに労働環境は悪化し、2000年代には残業代を払わずに無制限で残業をさせるのが当たり前に成りました。
2015年ごろから景気回復が顕著になり(というよりそれまでは酷すぎて、今は当たり前程度になった)、こうした無制限残業は減少した。
求人件数が増えたために、労働者はサービス残業を毎日10時間要求するような会社で、働かずに辞めるようになりました。
働き方改革はこれをさらに改善する事なのかと思いきや、再び元通りにサービス残業を復活させようという試みです。
長時間無償残業を引き起こしたのは1990年代に政府が言い出した「成果主義」で導入するまでは素晴らしい事のように言っていました。
労働時間を束縛されるのではなく、自分の仕事を早く終えれば早く帰宅できると言っていたが、実際は逆だった。
成果つまりノルマを際限なく増やされて、時間給ではなく成果給だと言って、残業代を出さなくなりました。
安倍首相の働き方改革で、またこの「成果主義」が復活し、「脱時間給制度」と言い換えています。
宣伝文句も90年代と同じで、「仕事を終わったら早く帰れるようになる」と言っています。
他にも正規と非正規の格差をなくし、非正規の労働条件を改善するとしている。
改革したらGDPが縮小
働き方改革では『高度プロフェッショナル制度』が導入され、年収約1000万円の人は労働基準法の例外扱いになります。
いままでは年収に関係なく労働者の残業は月45時間以内(罰則がなく守られていないが)1日8時間、週40時間などの制限がなくなります。
6時間ごとに45分、8時間ごとに1時間の休憩義務もなくなり、なんと6日間一睡もさせずに労働させても合法になります。
年一ヶ月は残業100時間まで可、月平均45時間までだった平均残業時間は80時間まで可、年間残業時間は720時間まで可となっています。
対象になるのは平均年収の3倍以上、年収1075万円以上専門性の高い職業の人とされています。
大多数の人には関係がないので、どうでも良いんじゃないかとも思えますが、日本経済への悪影響が懸念されています。
先日大和総研は働き方改革の試算をした結果、日本のGDPが8.5兆円減少すると発表しました。
なぜ働き方改革でGDPが減るのかについてはGDPとは国民総所得なので、全国民の年収を合計したものがGDPになります。(正確には少し違う)
企業は残業代の支出を8.5兆円減らすので、そのまんまGDPも8.5兆円減るのです。
思い出して欲しいのは90年代から2000年代のデフレで、労働者の給料が減り続けた間、日本のGDPも減り続けました。
日本政府はトヨタやユニクロやワタミの人件費を圧縮し優遇したが、労働者の給料を減らせば減らすほど、日本のGDPも減るのです。
「国滅んでトヨタあり」という状況になり、トヨタは世界一のメーカーになったが、日本の労働者はドレイ同然になった。
日本の生産性が悪いという事が言われてきましたが、生産性とは『労働者が生み出す価値÷労働時間』なので、労働時間を増やして給料を払わなければ、生産性は悪化します。
働き方改革をした結果、日本の生産性は先進国最低からさらに悪化し、世界最低になると予想されます。
対象は最初は高収入の専門職ですが、すぐに一般労働者や非正規労働者にも拡大されるでしょう。
http://www.thutmosev.com/archives/72700447.html
- 藤井聡先生は 「日本人は生産性が低い」というデマを撒き散らしているデービッド・アトキンソンが完全なバカだと言い切ってくれ… 中川隆 2019/10/24 11:43:39
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- 補助金なしの価格では日本の農作物はアメリカや欧州より安く、日本の農業は欧米より効率的 中川隆 2019/7/15 08:36:23
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