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リーマン対応の日銀の社債購入、抜け出せぬ呪縛ーゾンビ温存も
中道敬
2018年9月19日 5:30 JST 更新日時 2018年9月19日 12:07 JST
• 社債スプレッド沈静化し、オペは「もう不要」と前日銀理事の門間氏
• 異次元緩和導入時点で「継続に疑問」と前審議委員の木内氏
10年前のリーマンショック時に途絶えかけた企業の資金調達への緊急対応策として、日本銀行が始めた社債購入(オペ)。危機は数年前に収まり、社債オペは歴史的使命を終えたが、日銀はこの措置を止められず、副作用を懸念する声が出ている。
破綻した米リーマン・ブラザーズ・ホールディングス
Photographer: Jeremy Bales/Bloomberg
「あの時の企業の危機感は本当にすごかった」。リーマンショック当時、日銀審議委員を務めた須田美矢子氏は、こう振り返る。ショックは日本にも伝播、信用収縮を招き、金融機関の貸し出し姿勢が厳しくなった。2008年末当時は大企業でさえも銀行に融資を依頼すると「だめだと言われた」といった情報が日銀調査統計局から同氏の耳に入ってきたという。
社債市場でも資金の出し手は萎縮し、発行企業の信用力を表すスプレッド(国債に対する上乗せ金利)は急拡大。一部の企業は起債が困難になった。日本企業のスプレッドの動向を示す野村BPI指数は09年に過去最高値を記録。同年3月に始まった日銀の社債買いオペはスプレッドを押し下げ、起債を容易にする狙いがあった。
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危機から10年。日・米・欧など主要国では中央銀行が超金融緩和策を取ったり、政府が積極的な財政出動に出たこともあり、金融危機は沈静化に向かった。急拡大していた社債スプレッドは日銀による買い取り(10年にいったん中断)の効果もあって、東日本大震災が発生した11年を除くと、リーマンショック以前の水準にまで落ち着いている。前日銀理事の門間一夫氏(みずほ総研エグゼクティブエコノミスト)は、社債オペについて「今の日本経済にはもう必要ないのではないか」と話す。
それでも日銀は社債オペの縮小や廃止には動けないようだ。そうした動きは出口政策と取られかねない中で、複数の日銀当局者らは、市場へのインパクトを懸念して社債買いオペの政策変更は適切ではないと考えているという。須田氏は社債金利が押し下げられたことで、本来なら市場退出を迫られるような「ゾンビ企業」でも存続できると指摘、社債オペの継続には弊害があるとみている。
日銀は19日の政策決定会合で、金融政策の現状維持を決定。社債購入についても、残高約3.2兆円の目標を維持した。
変質
前日銀審議委員の木内登英氏(野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト)は社債オペについて、09年の導入当時は「企業の資金調達を助けて経済を正常化させるという意味で意義はあった」と認めるものの、自身の任期当時(12ー17年)には既に不要になっていたのではないかと振り返る。
日銀の黒田東彦総裁
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
黒田東彦総裁は13年4月の異次元緩和策の中で、社債オペの継続を打ち出した。木内氏は異次元緩和自体には賛成したが、社債購入については「その時点でリスクプレミアムはすでに正常化したのではないかと、継続には疑問を感じていた」という。
前日銀理事の門間氏は、異次元緩和はインフレ期待を醸し出す「イメージ戦略だった」として、「とにかくバーンとやればいいというのが大きなメッセージであり、社債やコマーシャルペーパー(CP)の買い入れが必要なのかどうか、詰めた議論はされなかったのではないか」と話す。安倍晋三政権下でデフレ脱却に向け「やれることは何でもやると言っているのに、そのときやっていることを止めるのはおかしい、というノリだった」と述懐する。
副作用
日銀は16年1月にマイナス金利政策の導入を決め、社債オペもマイナス金利で買い取る状態が続いている。新発社債の利率はゼロ%近辺まで低下し、金融機関は競争上、貸出金利を一段と引き下げる必要が出てくる可能性があるとして、マイナス金利での社債買い取り中止を求め始めた。
マイナス金利での買い取りは、「日銀が市場よりも割高で買わされている」ことを意味すると木内氏は指摘。日銀が国庫に納める剰余金が減るという形で「最終的に国民負担につながる」と言う。須田氏は、日銀が買い取ってくれるという安心感から、社債投資家も「リスクに関する感覚が鈍くなる」と話す。
門間氏はこう振り返る。「あくまでも臨時、異例の措置として始めたのに、その後10年近くも続くとは思っていなかった」。
(第6段落で、本日の日銀会合の結果を追加しました.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-09-18/PEXJ5C6JIJUP01
日銀:金融政策は現状維持、片岡、原田両委員が反対
日高正裕、竹生悠子、藤岡徹
2018年9月19日 11:57 JST
長期金利0%、短期金利マイナス0.1%を据え置き
長短金利を当分の間維持するフォワードガイダンスも据え置き
日本銀行は19日の金融政策決定会合で、長短金利操作付き量的・質的緩和の枠組みによる政策運営方針の維持を7対2の賛成多数で決定した。片岡剛士、原田泰両審議委員が反対した。日銀は前回7月会合で導入した金融緩和の持続性強化策の効果を見極める構えだ。
誘導目標である長期金利(10年物国債金利)は「0%程度」、短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)は「マイナス0.1%」といずれも据え置いた。長期金利の変動を認める方針にも変更はない。
「当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する」としたフォワードガイダンス(政策金利の指針)や長期国債買い入れ(保有残高の年間増加額)のめどである「約80兆円」も維持した。指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J−REIT)の買い入れ方針にも変更はなかった。引き続き、市場の状況によって「買い入れ額は上下に変動しうる」としている。
ブルームバーグがエコノミスト51人に行った事前調査では、全員が現状維持を予想していた。日銀は7月会合で2019年10月の消費増税の影響を含めた不確実性を踏まえ、フォワードガイダンスを初めて導入するとともに、長期金利やETF買い入れ額の変動を容認。その後の市場動向を注視してきた。
ドル・円相場は結果発表後も小動きで1ドル=112円前半で取引されている。
ブルームバーグの事前調査の結果はこちら
政策金利の指針について、原田委員は物価目標との関係がより明確な指針の導入が適当として反対。長期金利の変動幅拡大は「政策委員会の決定すべき金融市場調節方針としてあいまいすぎる」と批判した。片岡委員も予想物価上昇率の現状評価が下方修正されれば追加緩和を行うとのコミットメント(公約)が適当と指摘した。
米トランプ政権が仕掛ける貿易戦争については、発表文中でリスク要因として「保護主義的な動きの帰趨とその影響」を明記した。米国は17日、中国からの輸入品約2000億ドル(約22兆4000億円)相当への10%の追加関税を来週発動させると発表。中国も米製品600億ドル(約6兆7400億円)相当を対象に報復関税を課すと表明した。月内に予定されている日米首脳会談で自動車関税の引き上げも議題に上る見通しだ。
欧米の中央銀行が金融引き締めへ向かう中、異次元緩和を続ける日本でも緩和の出口政策への関心が高まっている。安倍晋三首相は14日、異次元緩和を「ずっとやっていいとは全く思っていない」と述べ、出口への着手を「私の任期のうちにやり遂げたい」との考えを示した。
黒田総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。決定会合の「主な意見」は28日、「議事要旨」は11月5日に公表する。
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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-09-19/PF0ZEI6S972801
日本株は大幅続伸、米中貿易懸念薄れ好業績評価ー輸出や資源高い
河元伸吾
2018年9月19日 7:53 JST 更新日時 2018年9月19日 11:56 JST
中国は通商対立を終わらせるため交渉の用意があると表明
ドル・円相場は1ドル=112円30銭台、2カ月ぶり円安水準
The Tokyo Stock Exchange (TSE) building, operated by Japan Exchange Group Inc. (JPX). Photographer: Akio Kon/Bloomberg
19日の東京株式相場は4営業日続伸。中国が米国との通商協議再開を示唆し、貿易摩擦の解決に向けた動きが好感された。為替相場の円安推移で業績期待も高まり、電機や機械など輸出関連、原油市況高で石油など資源関連、米長期金利上昇で保険など金融株が高い。
TOPIXの午前終値は前日比27.51ポイント(1.6%)高の1787.39、日経平均株価は356円15銭(1.5%)高の2万3776円69銭。
東証プレートPhotographer: Akio Kon/Bloomberg
野村証券投資情報部の小高貴久エクイティ・マーケット・ストラテジストは、米中貿易問題は交渉の余地が出てきたため、次の制裁に踏み込むような最悪のシナリオは回避されたとした上で、「貿易問題で上値が抑えられていたマーケットは、好調な企業業績や実体経済の強さに視点が移った」と指摘。企業業績については「為替相場の安定や良好な世界経済を背景に輸出の拡大が続き好調」とし、上期決算発表時に通期計画の上方修正が期待されると話した。
中国は18日、米製品600億ドル(約6兆7400億円)相当を対象に5−10%の報復関税を24日に発動すると発表。同時に、米国との通商対立を終わらせるためなお交渉の用意があると表明した。きょうのドル・円相場は1ドル=112円30銭台と、2カ月ぶりの円安水準で推移している。財務省が発表した8月の貿易収支で、輸出は前年比6.6%増と市場予想の5.2%増を上回った。
米中貿易摩擦の懸念後退と輸出好調を受けた日本株相場は先物主導で買い戻しの勢いが強く、TOPIXは4営業日連続で1%超上昇している。
東証1部33業種は石油・石炭製品、保険、機械、電機、不動産、ゴム製品、卸売、輸送用機器などが上昇率上位、空運は下落
売買代金上位では米長期金利の上昇で利ざや改善が期待される第一生命ホールディングスやT&Dホールディングス、輸出関連のコマツや安川電機、ダイフクが高い
19年3月期減益計画を発表した関西電力のほか、ツルハホールディングスが安い
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-09-18/PF9VW66KLVRA01
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- 首相発言は日銀に福音かリップサービスか、黒田総裁は「粘り強く」 貿易問題を楽観視する市場、日銀総裁は「非常に懸念」と警鐘 うまき 2018/9/20 05:02:01
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