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久場川 哲二 :医学博士
2016年09月07日
夢中にさせすぎるのは禁物です(撮影:今井 康一)
スマホゲームアプリとして過去に例を見ないほどのダウンロード数を記録している「ポケモンGO」。日本でも7月下旬の配信以降、ブームが続いています。その一方で、歩きスマホやゲームに起因する対人トラブルが多発しています。ゲームに熱中して不注意になり交通事故を起こしたり、ひったくりに遭ったり、深夜徘徊で多数の中高生が補導されたりなどといったケースが報道されています。交通死亡事故という悲惨な話も伝わっています。
ゲームに夢中になり周りを顧みずトラブルに
私は過去46年にわたり児童精神医療に携わり、千葉県で専門のクリニックを経営しています。実はポケモンGOの配信直後から4日間で、当院の外来には50人を超える患者が殺到しました。理由はポケモンGOへの依存。それにともなって自分の周りを顧みずトラブルになったり、過剰な課金につながったりケースが数多く発生したのです。
患者の中には、ポケモンGOにはまってトラブルに巻き込まれてしまった16歳の少年がいました。この少年はもともとゲーム依存症の患者でしたが、路上を歩いてポケモンを捕まえるポケモンGOに熱中するあまり、路上で成人男性と衝突。殴打されケガをしてしまいました。
本人は@自分の身を顧みることができなかったAポケモンを捕まえることのみ考えていたB対戦に対する興味C課金する誘惑――の4点を反省しています。今はポケモンGOのプレーを中止しています。
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日本ではおよそ30年前から各種のテレビゲームが出現。同時期にキレる子の増加、子どもの生活リズムの不規則化、思考力の低下が指摘されました。スマホやSNSなどの普及による、子どもへの強い影響も社会問題となっています。学校訪問を十数年続け、子どもの学校での状況を診てきた私から見て、デジタル機器の普及とともに子どもたちの心身がどんどん疲れていっているように思います。
拙著『子どものこころは「公教育」が救う』でも触れているのですが、こころの病気はすでに大人だけのものではなくなりました。時代は少子化の一途をたどっているにもかかわらず、子どものこころの病気はなぜか増えています。
子どもの「ゲーム依存症」
子どもの「こころの現代病」といってもいいのが「ゲーム依存症」です。今の小中学生は生まれたときから携帯端末やコンピュータ等のデジタルなゲームが身近にあり、当たり前のように生活時間のある程度を占めています。ある程度であれば良いのですが、それが昂じて1日のうち何時間もゲームだけに没頭していると、次第にそれなしでは自分の生活が成り立たないほどの依存性があらわれてしまうのです。極端なケースでは0歳からゲームに触れ、すでに4歳の時点で依存症になってしまったというケースにも直面しています。
子どもがゲームばかりして勉強が手につかず、成績が落ちて、という話は今に始まったことではありませんが、それが周囲への暴力や、集団からの孤立を進めるとなっては、すでに個人の生活態度の問題では片付けられません。「こころの病気」を疑うべきなのです。
深刻化もまた然り。青少年による凶悪犯行は確かに昔もありましたが、レアケースとみられていました。今はどうでしょうか。行き過ぎた暴力、暴行による子ども同士の傷害事件は後をたたず、陰惨な殺人事件も起こっています。
手をかけた子が「悪い子」だったというのは簡単ですが、では「悪い」とはどういうことでしょうか。それは発達心理学上、正常な発達が何らかの要因で妨げられたことであり、問題行動はその結果です。そして子どもの発達には、周囲の関わりが不可欠であることは自明の理です。
放っておいて勝手に大人になる子どもはいません。歳を重ね体は成長したとしても、社会の一員として生きていくための人間関係の構築や集団化、ルール・モラルの遵守といったことは家庭と学校教育をはじめ、周囲の大人たちからの働きかけがなければ身に付かないのです。
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私のクリニックには、多くの子どもたちがゲーム依存症で受診しにきます。日がな一日、ゲームばかりやっていてほかのことが満足にできず、学校生活も社会生活もなおざりになってしまう。
光の刺激により脳波に乱れが生じる
ゲーム依存が厄介なのは、光の刺激により脳波にてんかんのような乱れが生じやすくなることです。ゲーム依存症の子どもたちの中には、「ゲームてんかん」とでも呼ぶべき(私が命名しました)症例が増えてきています。
日本てんかん協会のHPによれば、「てんかんとは、種々の成因によってもたらされる慢性の脳疾患であって、大脳ニューロンの過剰な発射に由来する反復性の発作(てんかん発作)を特徴とし、それにさまざまな臨床症状及び検査所見が伴う(WHO<世界保健機関>編:てんかん辞典より)」とあります。
個人差はありますが、ゲーム依存で私のクリニックを受診した子どもの脳波を調べたところ、ほぼ全員に、通常では出てこない大きな乱れが計測されました。昔の「テレビの見すぎ」「本の虫」には見られず、ゲーム依存特有のものと推察されます。これが、ゲームを取り上げるとすぐキレるなどの暴力性をつくるのです。
私の患者の中に、ある12歳男児がいます。彼への症状を診断すると「注意欠陥多動症」。小学1〜2年よりゲームに没頭し、家族に注意されるも辞めず、父親が怒ると母親へ暴言、上腕の肉を食いちぎったこともありました。ゲームをしないときは絶えずイラつき、精神運動興奮が激しかったのですが、本人は覚えていないという重症例でした。
『子どものこころは「公教育」が救う」(幻冬舎)。画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
私はゲーム中毒と診断し、脳波が改善するまで5回測定しました。彼は当院を受診後、ゲームを中止させました。その後、2週間は精神運動興奮状態が見られましたが、4カ月後には落ち着きを取戻しました。
デジタルゲームはかつてテレビゲームなどとも呼ばれ、家族でやったり、テレビそのものを見たり時間をうまく調整しながらある程度、親の目の届く範囲で計画的に遊ぶ余地がありました。現代では1人1台の携帯電話やスマホ、タブレットがあてがわれ、完全に「個」のものになり、家族のコントロールが利かない距離となってしまいました。ましてや、親自身もデジタルゲームで育っている世代ですので、子どもが長時間没頭していても許容してしまうケースが多いのです。
ゲームスマホによる症状は@依存症A禁断症状BてんかんC生活態度の乱れ(無気力、投げやり的生活)の4つの特徴があると確認しています。私は最近のポケモンGOをはじめとするゲームやSNSなどが、人間的に成熟していない子どもにも流行していることに危機感を募らせています。発達する脳を持つ子どもへの悪影響が、将来に禍根を残すかもしれないからです。
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