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ソロスチャートが示す黒田緩和の円安効果、迫る日米マネー量の逆転
野沢茂樹、Kevin Buckland、Masaki Kondo
2016年5月9日 00:00 JST更新日時 2016年5月9日 16:06 JST
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• 日本のマネタリーベースはドル換算で米国の96%相当に増加
• 一方向の円高進行は考えにくい−UBS証
日本銀行が異次元緩和によって積み上げてきたマネタリーベース(通貨供給量)。それが米連邦準備制度理事会(FRB)を追い抜く日が迫っている。著名投資家ジョージ・ソロス氏の名を冠した分析手法によれば、円安・ドル高要因だ。
日銀によると、4月のマネタリーベースは386.2兆円。黒田東彦総裁が異次元緩和を導入してからの3年余りで2.6倍超に膨らんだ。ドル換算では経済規模が約4倍もある米国の約96%に相当する。ソロス氏は1990年代に日銀の資金供給増にいち早く着目し、円安を予想して的中させた。市場関係者はマネタリーベースの二国間比較に基づくけい線を「ソロスチャート」と呼ぶ。
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UBS証券ウェルス・マネジメント部の中窪文男チーフインベストメントオフィサーは、日銀によるマネタリーベースの急増は「円が過剰になり、ジュースが薄まるように円の価値がどんどん下がる要因になっている」と指摘。「為替相場はファンダメンタルズを無視して勢いだけで動く場面もあるが、日本のマネタリーベース増加も考慮すると、円高がどんどん一方向に進み続けるとは考えにくい」と言う。
円の対ドル相場は、日銀が追加緩和を見送った4月28日に3%を超える上昇となり、2010年5月以来の大幅高を記録した。日本が連休中の今月3日には1ドル=105円55銭と黒田総裁が追加緩和に踏み切る直前に当たる14年10月以来の高値を付けた。円はドルに対する年初来の上昇率が12%前後と主要10カ国通貨の中で最も高いが、ブルームバーグが市場関係者から集計した今年末の予想中央値は1ドル=115円と現在よりも円安が見込まれている。
昨年10−12月期の名目国内総生産(GDP)は年率換算で499.8兆円。マネタリーベース残高は、それの77%相当にまで膨らんでいる。異次元緩和の導入直前に当たる13年3月末の割合の2.5倍超に上る。ドル換算で米国を上回れば、世界的な金融危機前の06年以来となる。
米国のマネタリーベース残高は足元で3兆8673億ドル。08年9月に発生したリーマンショックの直前までは8500億ドル前後だったが、3度にわたる量的緩和策によって急増した。FRBは14年10月に量的緩和第3弾を終了させた後も償還を迎えた債券の再投資を続けており、昨年4月には過去最大の4兆1305億ドルに達した。ただ、その後は緩やかな減少傾向にある。
第2次安倍晋三内閣が発足した12年12月当時、円の対ドル相場は85円前後だった。異次元緩和の導入や追加緩和を経て、15年6月には125円86銭と13年ぶりの安値を記録。その後は世界的な景気減速や金融市場の混乱、米国の利上げや大統領選をめぐる不透明感を背景に円高に進んだが、なお輸出企業の採算レートの103円20銭よりは円安の水準にある。
円安効果、再燃の機会
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、「市場はクイックアンサーを求めるが、日銀は一生懸命やっている」と指摘。ドル・円相場の「8−9割は米国発の要因と世界情勢で決まる。日本の材料はせいぜい1−2割だ」と言う。早期の円安回帰は期待できないが「戦後では類例のない異常な金融緩和が長期的に見て円の価値に響かないとは考えにくい。円安効果は地味に再浮上の機会を待っている」と読む。
日銀は13年4月に資金供給量を積み増す「量的・質的金融緩和」を導入。その後の追加緩和では国債保有の増加ペースを年80兆円に拡大した。2月中旬からは金融機関が日銀に預ける当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を適用するなど黒田総裁は就任当初から掲げてきた2%の物価目標を達成するために「量」と「質」に「金利」を加えた3次元の金融緩和策を講じている。
それでも、インフレ率は低迷のままだ。日銀は4月末に物価見通しを下方修正し、2%目標への到達時期を「17年度中」に先送りした。一方、日銀の今年の国債買い入れ額は約120兆円と昨年より10兆円多くなる見込みだ。異次元緩和の長期化で日銀が保有してきた国債の償還が増えた分の埋め合わせも必要になっているためだ。今年の買い入れは政府の今年度の利付国債の市中発行額122兆円にほぼ匹敵する。
国債発行残高の約7割に当たる残存13年程度までの市場利回りはゼロ%未満。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りをはじめとする市場金利は今年に入って過去最低を何度となく更新している。
野村証券の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストは、円高やドル安は投機が主因で「根本的な円高局面ではない」と指摘。マネタリーベース増加の円安効果は薄れているが、英国の欧州連合(EU)離脱回避や中国経済の回復、原油価格の下げ止まりを前提に「米国は7月に利上げする可能性が高く、日本は6月か7月に追加緩和のチャンスが訪れる。日米金融政策の方向性の違いに焦点が当たり、6月か7月に115円、年末は122円」と予想している。
名目GDP超えも視野
米商品先物取引委員会(CFTC)の統計では、ヘッジファンドや大口投機家による円の買い越しは4月に7万1870枚と過去最大を記録。主な貿易相手国の通貨に対する円の総合的な強弱を示す名目実効為替レートは5月6日に103.02と13年8月以来の水準に達し、昨年6月に付けた約8年ぶりの安値から2割の上昇を記録した。
三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは「ソロスチャートはマネタリーベースが相対的に増えている国では期待インフレと物価の上昇がより大きくなるため、通貨安が進むというロジックだ」と指摘。ただ、異次元緩和下の日本は「マネタリーベースが円相場に効かない領域に入ってきている」と言う。
安倍首相は5月5日の記者会見で、足元の円相場では投機的な動きが見られるとの認識を示し、「為替の急激な変動は望ましくはない」「注意深くよく見て必要に応じて対応したい」と発言した。同月26、27日に開く伊勢志摩サミット前に為替介入に踏み切る可能性についての質問には直接答えなかった。
米財務省は4月29日に公表した半期一度の外国為替報告書で日本と中国、ドイツ、韓国、台湾を不公正な為替政策の可能性がある3基準の2つに抵触するとの判断を示し、新設した「監視リスト」に入れた。
UBS証の中窪氏は、政府・日銀による「為替介入は難しくなっている。100円を突破しないと困難だろう」と分析。米国が11月の大統領選・議会選や日本などアジア太平洋11カ国との環太平洋連携協定(TPP)に関する議会の承認採決を控えているためだと説明した。
麻生太郎財務相は5月9日の参院決算委員会で、ドル・円相場の急激な変動は望ましくないとして「介入する用意があるということを申し上げる」との見解を示し、2日間で5円ぐらい円高に振れており急激な変動は望ましくないというのが20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の合意だと説明した。
三菱モルガン証の植野氏は7月の追加緩和を見込むが、現在の異次元緩和を続けるだけでも、マネタリーベースは18年末に約530兆円に達し、名目GDPを上回ると予想。ドル・円相場は「年内は101円程度までのオーバーシュートがあり得る半面、来年末にかけては119円50銭程度まで円安に振れる可能性もある」と言う。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-05-08/O6R0NR6KLVRE01
- ECBの刺激策、効果出るにはしばらく時間かかる=副総裁 ドイツ提唱「ソブリンと銀行の共倒れ」防止策、ユーロ圏に亀裂 軽毛 2016/5/10 00:16:04
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