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日 本 銀 行 経済・物価情勢の展望 (2015年4月)
http://www.asyura2.com/15/hasan96/msg/139.html
投稿者 rei 日時 2015 年 5 月 04 日 13:56:11: tW6yLih8JvEfw
 

(回答先: 消費者物価(全国15年3月)〜コアCPI上昇率(消費税の影響を除く)は再びプラスも、先行きはマイナスに   投稿者 rei 日時 2015 年 5 月 04 日 13:51:14)

日 本 銀 行
経済・物価情勢の展望
(2015年4月)
公表時間
5 月 1 日(金)14 時 00 分

【基本的見解】1
<概要>
 2017 年度までの日本経済を展望すると、2015 年度から 2016 年度にか
けて潜在成長率を上回る成長を続けると予想される。2017 年度にかけ
ては、消費税率引き上げ前の駆け込み需要とその反動の影響を受ける
とともに、景気の循環的な動きを映じて、潜在成長率を幾分下回る程
度に減速しつつも、プラス成長を維持すると予想される2。
 消費者物価の前年比(消費税率引き上げの直接的な影響を除くベース)
は、当面0%程度で推移するとみられるが、物価の基調が着実に高ま
り、原油価格下落の影響が剥落するに伴って、「物価安定の目標」で
ある2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる3。2%程度に達す
る時期は、原油価格の動向によって左右されるが、現状程度の水準か
ら緩やかに上昇していくとの前提にたてば、2016 年度前半頃になると
予想される。その後次第に、これを安定的に持続する成長経路へと移
行していくとみられる。
 2016 年度までの見通しを従来の見通しと比べると、成長率の見通しは
概ね不変である。物価の見通しは、やや下振れている。
 「物価安定の目標」のもとで、以上の中心的な見通し(第1の柱)と、
これに対する上下双方向のリスク要因(第2の柱)を点検した4。金融
政策運営については、「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮し
ており、今後とも、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を
目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質
的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方
向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。

1 4月 30 日開催の政策委員会・金融政策決定会合で決定されたものである。
2 消費税率については、1月の中間評価同様、2017 年4月に 10%に引き上げられるこ
とを前提としている。
3 各政策委員は見通し作成にあたって、原油価格の前提を次の通りとした。すなわち、
原油価格(ドバイ)は、1バレル 55 ドルを出発点に、見通し期間の終盤にかけて 70 ド
ル台前半に緩やかに上昇していくと想定している。その場合の消費者物価(除く生鮮食
品)の前年比に対するエネルギー価格の寄与度は、2015 年度で−0.7〜−0.8%ポイン
ト程度、2016 年度で+0.1〜+0.2%ポイント程度と試算される。また、寄与度は、当
面マイナス幅を拡大した後、2015 年度後半にはマイナス幅縮小に転じ、2016 年度前半
には概ねゼロになると試算される。
4 「物価安定の目標」のもとでの2つの「柱」による点検については、日本銀行「金融
政策運営の枠組みのもとでの「物価安定の目標」について」(2013 年1月 22 日)参照。


1.わが国の経済・物価の中心的な見通し
(1)経済情勢
わが国の景気は、緩やかな回復基調を続けている。企業部門では、輸出、
生産が持ち直すとともに、収益は過去最高水準まで増加しており、前向き
な投資スタンスが維持されている。家計部門については、雇用・所得環境
の着実な改善が続き、個人消費も全体としては底堅く推移している。
先行きを展望すると、国内需要が堅調に推移するとともに、輸出も緩や
かに増加していくと見込まれ、家計、企業の両部門において所得から支出
への前向きの循環メカニズムが持続すると考えられる。そうしたもとで、
わが国経済は、2015 年度から 2016 年度にかけて潜在成長率を上回る成長
を続けると予想される5。2017 年度にかけては、消費税率引き上げ前の駆け
込み需要とその反動などの影響を受けるとともに、景気の循環的な動きを
映じて、潜在成長率を幾分下回る程度に減速しつつも、プラス成長を維持
すると予想される。
こうした見通しの背景にある前提は、以下のとおりである。
第1に、日本銀行が、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これ
を安定的に持続するために必要な時点まで「量的・質的金融緩和」を継続
する中で、金融環境は緩和した状態が続き、景気に対し刺激的に作用して
いくと想定している6。
第2に、海外経済については、先進国が堅調な景気回復を続け、その好

5 わが国の潜在成長率を、一定の手法で推計すると、このところ「0%台前半ないし半
ば程度」と計算されるが、見通し期間の終盤にかけて徐々に上昇していくと見込まれる。
ただし、潜在成長率は、推計手法や今後蓄積されていくデータにも左右される性格のも
のであるため、相当幅をもってみる必要がある。
6 各政策委員は、既に決定した政策を前提として、また先行きの政策運営については市
場の織り込みを参考にして、見通しを作成している。具体的には、短期金利について、
市場は、見通し期間を通じて、実質的にゼロ金利が継続することを織り込んでいる。長
期金利について、市場は、見通し期間を通じて、低位で推移すると予想しているが、こ
れは、展望レポートに比べて低い市場参加者の物価見通しを反映している。各政策委員
は、こうした市場の見方を踏まえ、物価見通しの違いも勘案して、長期金利の先行きを
想定している。

1.わが国の経済・物価の中心的な見通し
(1)経済情勢
わが国の景気は、緩やかな回復基調を続けている。企業部門では、輸出、
生産が持ち直すとともに、収益は過去最高水準まで増加しており、前向き
な投資スタンスが維持されている。家計部門については、雇用・所得環境
の着実な改善が続き、個人消費も全体としては底堅く推移している。
先行きを展望すると、国内需要が堅調に推移するとともに、輸出も緩や
かに増加していくと見込まれ、家計、企業の両部門において所得から支出
への前向きの循環メカニズムが持続すると考えられる。そうしたもとで、
わが国経済は、2015 年度から 2016 年度にかけて潜在成長率を上回る成長
を続けると予想される5。2017 年度にかけては、消費税率引き上げ前の駆け
込み需要とその反動などの影響を受けるとともに、景気の循環的な動きを
映じて、潜在成長率を幾分下回る程度に減速しつつも、プラス成長を維持
すると予想される。
こうした見通しの背景にある前提は、以下のとおりである。
第1に、日本銀行が、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これ
を安定的に持続するために必要な時点まで「量的・質的金融緩和」を継続
する中で、金融環境は緩和した状態が続き、景気に対し刺激的に作用して
いくと想定している6。
第2に、海外経済については、先進国が堅調な景気回復を続け、その好

5 わが国の潜在成長率を、一定の手法で推計すると、このところ「0%台前半ないし半
ば程度」と計算されるが、見通し期間の終盤にかけて徐々に上昇していくと見込まれる。
ただし、潜在成長率は、推計手法や今後蓄積されていくデータにも左右される性格のも
のであるため、相当幅をもってみる必要がある。
6 各政策委員は、既に決定した政策を前提として、また先行きの政策運営については市
場の織り込みを参考にして、見通しを作成している。具体的には、短期金利について、
市場は、見通し期間を通じて、実質的にゼロ金利が継続することを織り込んでいる。長
期金利について、市場は、見通し期間を通じて、低位で推移すると予想しているが、こ
れは、展望レポートに比べて低い市場参加者の物価見通しを反映している。各政策委員
は、こうした市場の見方を踏まえ、物価見通しの違いも勘案して、長期金利の先行きを
想定している。
3
影響が新興国にも徐々に波及する中で、緩やかに成長率を高めていく姿を
見込んでいる。主要国・地域別にみると、米国経済については、民間需要
を中心とした成長が続くと予想される。欧州経済については、債務問題に
伴う調整圧力が残り、暫くの間低インフレが続くとみられるものの、個人
消費の回復や輸出の増加などに支えられ、緩やかに回復していくと見込ま
れる。中国経済については、当局が構造改革と景気下支え策に同時に取り
組んでいく中で、成長ペースを幾分切り下げながらも、概ね安定した成長
経路をたどると想定している。
第3に、公共投資は、現在の高めの水準から緩やかな減少傾向をたどっ
た後、見通し期間の終盤にかけては下げ止まっていくと想定している。
第4に、政府による規制・制度改革などの成長戦略の推進や、そのもと
での女性や高齢者による労働参加の高まり、企業による生産性向上に向け
た取り組みと内外需要の掘り起こしなどが続くとともに、デフレからの脱
却が着実に進んでいくにつれて、企業や家計の中長期的な成長期待は、緩
やかに高まっていくと想定している。
以上を前提に、見通し期間の景気展開をやや詳しく述べると、2015 年度
から 2016 年度にかけては、輸出は、海外経済が回復し、これまでの為替相
場の動きも下支えに働くことから、緩やかに増加すると考えられる。設備
投資は、企業収益の改善や金融緩和効果が引き続き押し上げに作用する中、
国内生産強化の動きなどもあって、しっかりと増加するとみられる。個人
消費は、雇用・所得環境の着実な改善が続き、賃金が増加していくほか、
2015 年度にはエネルギー価格下落による実質所得の押し上げ効果や駆け
込み需要後の落ち込みからの回復も見込まれることから、伸びを高めると
予想される7。こうした内外需要を反映して、鉱工業生産も、緩やかに増加

7 2回の消費税率の引き上げが年度毎の成長率に及ぼす影響を定量的に試算すると、
2013 年度+0.5%ポイント程度、2014 年度−1.2%ポイント程度、2015 年度+0.3%ポ
イント程度、2016 年度+0.3%ポイント程度、2017 年度−0.8%ポイント程度となる。
ただし、これらは、その時々の所得環境や物価動向にも左右されるなど不確実性が大き
4
するとみられる。
2017 年度にかけては、2回目の消費税率引き上げ前の駆け込み需要とそ
の反動の影響を受けるとともに、設備投資の増加ペースが資本ストックの
蓄積に伴って低下していくとみられる。もっとも、海外経済の成長などを
背景に輸出が緩やかな増加を続けるとともに、緩和的な金融環境と成長期
待の高まりなどを受けて国内民間需要は底堅く推移すると予想される。こ
の間、潜在成長率は、見通し期間を通じて緩やかな上昇傾向をたどり、中
長期的にみた成長ペースを押し上げていくと考えられる。このため、わが
国経済は、潜在成長率を幾分下回る程度に減速しつつも、プラス成長を維
持すると見込まれる。
2016 年度までの成長率の見通しを1月の中間評価時点と比べると、概ね
不変である。
(2)物価情勢
消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、このところ0%程
度で推移している。
物価上昇率を規定する主たる要因について点検すると、第1に、労働や
設備の稼働状況を表すマクロ的な需給バランスは、着実に改善傾向をたど
っている8。すなわち、失業率が緩やかに低下し3%台半ばになっているな
ど9、労働需給は引き締まり傾向が続いている。こうしたもとで、所定内給

く、相当な幅をもってみる必要がある。
8 マクロ的な需給バランスの推計については、@潜在GDPを推計のうえ、実際のGD
Pとの乖離を計測するアプローチと、A生産要素(労働と設備)の稼働状況を直接計測
するアプローチがある。展望レポートにおけるマクロ的な需給バランスは、従来から、
後者のアプローチを採用しているため、GDP成長率の変化と需給バランスの拡大・縮
小の間に1対1の対応関係があるわけではない。マクロ的な需給バランスの推計値は、
推計方法や使用するデータによって異なり得るため、相当の幅をもってみる必要がある。
9 労働需給の引き締まり度合いを測る際のひとつの目安として「構造失業率」がある。
労働市場では、求人と求職の間にある程度のミスマッチが常に存在するため、好況時で
あっても、一定の失業者が存在する。こうしたミスマッチに起因する失業の存在を前提
に、過剰労働力が解消した状態に対応する失業率が構造失業率と呼ばれている。構造失
業率を一定の手法で推計すると、このところ3%台前半から半ば程度であると計算され
5
与が増加するなど、賃金の改善も続いている。また、駆け込み需要の反動
の影響が収束してきたことから、設備の稼働率も高まっている。このため、
マクロ的な需給バランスは、本年度前半にプラス(需要超過)に転じた後、
2016 年度にかけてプラス幅が一段と拡大し、需給面からみた賃金と物価の
上昇圧力は、着実に強まっていくと予想される。その後、2017 年度には、
マクロ的な需給バランスは、プラスの水準で横ばい圏内の動きになると見
込まれる。
第2に、中長期的な予想物価上昇率については、やや長い目でみれば、
全体として上昇しているとみられる。こうした予想物価上昇率の動きは、
実際の賃金・物価形成にも影響を及ぼしていると考えられる。例えば、労
使間の賃金交渉においては、企業業績などに加え、物価動向を賃金に反映
する動きが拡がりつつあり、本年のベースアップを含む賃上げは昨年を上
回る伸びとなる見込みである。先行きも、日本銀行が「量的・質的金融緩
和」を推進し、実際の物価上昇率が高まっていくもとで、中長期的な予想
物価上昇率も上昇傾向をたどり、「物価安定の目標」である2%程度に向
けて次第に収斂していくとみられる。
第3に、輸入物価についてみると、これまでの為替相場の動きが、輸入
物価を通じた消費者物価の押し上げ要因として作用していく一方、原油価
格をはじめとする国際商品市況の下落は、当面物価の下押し圧力となる。
以上を踏まえ、消費者物価の前年比(消費税率引き上げの直接的な影響
を除くベース)の先行きを展望すると、当面0%程度で推移するとみられ
るが、物価の基調が着実に高まり、原油価格下落の影響が剥落するに伴っ
て、「物価安定の目標」である2%に向けて上昇率を高めていくと考えら
れる。2%程度に達する時期は、原油価格の動向によって左右されるが、
現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、2016 年度前

る。ただし、構造失業率の推計値は、時間の経過などに伴って変化する性格のものであ
る点には留意が必要である。
6
半頃になると予想される。その後は、平均的にみて、2%程度で推移する
と見込まれる10。2016 年度までの消費者物価の見通しを1月の中間評価時
点と比較すると、やや下振れている。
2.上振れ要因・下振れ要因
(1)経済情勢
上記の中心的な経済の見通しに対する上振れ、下振れ要因としては、第
1に、海外経済の動向に関する不確実性がある。先行きの海外経済を巡る
リスク要因としては、米国経済の成長ペースやそれが国際金融資本市場に
及ぼす影響、欧州における債務問題の展開や景気・物価のモメンタム、新
興国経済における持続的な成長に向けた構造調整の進展度合い、資源価格
下落の影響、地政学的リスクなどが挙げられる。
第2は、2017 年4月に予定される消費税率引き上げの影響である。駆け
込み需要とその反動の影響や実質所得減少の影響は、消費者マインドや雇
用・所得環境、物価の動向によって変化し得る。
第3に、企業や家計の中長期的な成長期待は、規制・制度改革の今後の
展開や企業部門におけるイノベーション、家計部門を取り巻く雇用・所得
環境などによって、上下双方向に変化する可能性がある。
第4に、財政の中長期的な持続可能性に対する信認が低下するような場
合には、人々の将来不安の強まりや経済実態から乖離した長期金利の上昇
などを通じて、経済の下振れにつながる惧れがある。一方、財政再建の道
筋に対する信認が高まり、人々の将来不安が軽減されれば、経済が上振れ
る可能性もある。

10 2017 年4月に予定される消費税率引き上げが物価に及ぼす影響について、税率の引
き上げ分が現行の課税品目すべてにフル転嫁されると仮定して機械的に試算すると、
2017 年度の消費者物価の前年比は 1.3%ポイント押し上げられる。
7
(2)物価情勢
上述のような経済の上振れ、下振れ要因が顕在化した場合、物価にも相
応の影響が及ぶとみられる。それ以外に物価の上振れ、下振れをもたらす
要因としては、第1に、企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向が
挙げられる。中心的な見通しでは、賃金の上昇を伴いながら実際の物価上
昇率が高まっていく中で、人々の予想物価上昇率も一段と上昇し、「物価
安定の目標」である2%程度に向けて次第に収斂していく姿を想定してい
るが、その上昇ペースには、実際の物価の動きやそれが予想物価に及ぼす
影響の度合いなどを巡って不確実性がある。この点では、エネルギー価格
下落の影響から現実の消費者物価の前年比が当面0%程度で推移すること
が、予想物価上昇率の上昇ペースに影響するリスクがある。
第2に、マクロ的な需給バランス、とくに労働需給の動向がある。中心
的な見通しでは、労働供給面で、近年の高齢者や女性による労働参加の高
まりや最近みられているパート労働の正規雇用化が、今後もある程度続く
ことを前提としているが、この点を巡っては不確実性がある。
第3に、物価上昇率のマクロ的な需給バランスに対する感応度、すなわ
ち、企業が財・サービス需給や労働需給の引き締まりに応じて、販売価格
や賃金をどの程度引き上げていくかについて留意する必要がある。この点、
労働需給の引き締まりを背景として賃金の改善ペースが上振れ、物価にも
影響を及ぼす可能性がある一方、消費者の物価上昇に対する抵抗感が強い
場合や企業の賃上げに対する姿勢が慎重な場合、販売価格や賃金の引き上
げがスムーズに進まない可能性もある。
第4に、原油価格といった国際商品市況や為替相場の変動などに伴う輸
入物価の動向や、その国内価格への波及の状況によっても、上振れ・下振
れ双方の可能性がある。
8
3.金融政策運営
以上の経済・物価情勢について、「物価安定の目標」のもとで、2つの
「柱」による点検を行い、先行きの金融政策運営の考え方を整理する。
まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、わが国
経済は、2016 年度前半頃に2%程度の物価上昇率を実現し、その後次第に、
これを安定的に持続する成長経路へと移行していく可能性が高いと判断さ
れる。
次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクに
ついて点検すると、中心的な経済の見通しについては、海外経済の動向な
どを巡る不確実性は大きいものの、リスクは上下にバランスしていると評
価できる。物価の中心的な見通しについては、中長期的な予想物価上昇率
の動向などを巡って不確実性は大きく、下振れリスクが大きい。より長期
的な視点から金融面の不均衡について点検すると、現時点では、資産市場
や金融機関行動において過度な期待の強気化を示す動きは観察されない11。
もっとも、政府債務残高が累増する中で、金融機関の国債保有残高は、漸
減傾向が続いているが、なお高水準である点には留意する必要がある。
金融政策運営については、「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮
しており、今後とも、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目
指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融
緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク
要因を点検し、必要な調整を行う。

11 詳しくは「金融システムレポート」(日本銀行 2015 年4月)を参照
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1504b.pdf  

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