http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/595.html
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(回答先: 「量的・質的緩和」後の2つのシナリオ 2〜3年でデフレは終 投稿者 eco 日時 2013 年 4 月 20 日 13:06:00)
小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! トップ |
意味不明なG20共同声明の日本語訳
2013/04/20 (土) 13:51
G20会合が終わり、日本のメディアは、日本の異次元緩和策に理解が示されたなんて報道している訳ですが‥それでもって円安がさらに進みそうだとの見方も出ているのですが‥
本当に異次元緩和策に理解が示されたのか?
それを知るためにはどうしたらいいのか?
取り敢えず、共同声明の原文を読んでみればいいのですよね。
では、今回の会議はどこで開かれたのか?
ワシントンで開かれたのですよね?
だったら、米財務省のサイトにアクセスすれば、原文を読むことができるのでしょうか?
(米財務省のサイトより)
ところが、以前でしたらこのような国際会議が開かれれると即座に声明文などを掲載していたのが、最近は、どういう訳かサイトの更新をさぼっているのです。
嘘だと思うなら、米財務省のサイトにアクセスしてみて下さい。今年2月のG7とG20の声明すらまだ掲載されていないのです。一体どうしたのでしょう?
でも、心配は要りません。日本の財務省のサイトを訪れると、ちゃんと声明文が掲載されているからです。
但し、喜ぶのはまだ早い。
というのは、声明文の日本語訳を読み始めると‥ちんぷんかんぷんだからです。
どうしてこんなに分かりづらい日本語訳にしてしまうのでしょう?
そうなれば、自分で改訳するしかない。
分かり易い日本語になおしてみましたので、お読みになって下さい。
「1.我々、G20 財務大臣・中央銀行総裁は、世界経済の現状を議論し、9月の首脳によるサミットに向けて政策アジェンダを進めるために、会合した。」
「アジェンダを進めるために」と言われて、何のことか貴方はお分かりになるでしょうか? 私には分かりません。
アジェンダを進めるなんて日本人に言っても、「どういうこと?」って聞き返されるに決まっています。
そこで、英文を見ると、
We, the G20 Finance Ministers and Central Bank Governors, met to discuss the current situation in the global economy and to bring forward the policy agenda for our Leaders' summit in September.
とあります。
20か国の財務大臣と中央銀行の総裁たちが、最近の世界経済の状況を議論するために今回、会合を開いたというのはよく分かります。
でも、to bring forward the policy agenda for our Leaders' summit in Septemberの意味は?
bring foward というのは、提案するとか、議題に乗せるという意味であり、彼らは、9月のサミットで取り上げられるべき政策議題を提案するために会合を開いた、と言っているのです。
「アジェンダを進める」のではなく「議題を提案する」という意味なのです。
「世界経済及び強固で持続可能かつ均衡ある成長のためのG20フレームワーク」
「2.我々は成長を引き上げ、雇用を創出する決意を再確認した。」
これは問題なし。
「3.世界経済はいくつかの主要なテール・リスクを回避し、金融市場の状況は改善を続けている。しかし、世界経済の成長は、引き続き弱過ぎ、多くの国において失業は高すぎる状態にとどまっている。回復は引き続き一様ではなく、新興市場国が相対的に力強い成長を経験し、米国が漸進的な民間需要の強化を示しているが、ユーロ圏は全体として未だ回復を実現していないように、異なる速度で進行している。政策の不確実性、民間のデレバレッジ、財政による抑制、傷ついた信用仲介、そして世界の需要の未だ不完全なリバランスは、引き続き世界経済の成長見通しにとって重しとなっている。財政の持続可能性と金融の安定性に関連する課題を含め、中期的な課題もまた、多くの国において存在している。」
文章が長いので、分解します。
「世界経済はいくつかの主要なテール・リスクを回避し、金融市場の状況は改善を続けている。」
テール・リスクの意味が分からない人がいるかもしれませんが、それは、起きる確率は小さいものの、起きたら大変な事態になるリスクを意味します。
では、それが分かったとして、この場合の幾つかのテールリスクとは何を意味するのか?
普通に推測すれば、欧州の債務問題などを指しているのでしょう。
「しかし、世界経済の成長は、引き続き弱過ぎ、多くの国において失業は高すぎる状態にとどまっている。」
これは問題はないでしょう。
「回復は引き続き一様ではなく、新興市場国が相対的に力強い成長を経験し、米国が漸進的な民間需要の強化を示しているが、ユーロ圏は全体として未だ回復を実現していないように、異なる速度で進行している。」
これも問題はないかもしれませんが、もう少し分かり易い表現に変更することは可能です。
英文は次のようになっています。
The recovery remains uneven and is progressing at different speeds with emerging markets experiencing relatively strong growth, the United States demonstrating a gradual strengthening of private demand, and the recovery in the euro area as a whole yet to materialize.
次のように改訳したら如何でしょう。
「経済の回復状況は一様ではない状態が続き、そして、進展のスピードも異なっている。例えば、新興市場国では、比較的力強い成長を続けている。米国については、民間需要が少しずつ力強さを増している。そうした一方、ユーロ圏は、全体として未だ回復軌道に乗っていない。」
「政策の不確実性、民間のデレバレッジ、財政による抑制、傷ついた信用仲介、そして世界の需要の未だ不完全なリバランスは、引き続き世界経済の成長見通しにとって重しとなっている。」
この箇所は全く頂けません。文章を読むのが嫌になってしまうという感じです。
民間のデレバレッジって何?と思わず言いたくなってしまいます。世界の需要の未だ不完全なリバランスって何のこと?
英文をみてみましょう。
Policy uncertainty, private deleveraging, fiscal drag, impaired credit intermediation, and a still incomplete rebalancing of global demand continue to weigh on global growth prospects.
英文を直訳してしまったということですね。直訳が悪いという訳ではありませんが、英文の意味することを本当に理解しているのか疑問に思ってしまいます。
Policy uncertaintyは確かに政策の不確実性のこと。では、これは何を意味するのか?
米国で議会の分裂状態が続き、何も決められない政治が続いていることを意味しているのです。
Private deleveragingとは?
leverageは、梃を意味します。 もっと言えば、他人からお金を借りて投資や投機をすることです。deleverageはその反対になる訳ですから、結局、民間部門が、他人からお金を借りて行う投資を抑えることを意味するのです。
a still incomplete rebalancing of global demandは何を意味するのか?
未だ不完全なリバランスなんて言ってもらっては困ります。
これは世界的な需要の再調整がまだ完了していないことを意味しているのです。リーマンショックが起きた。そして、ユーロ危機が起きた。そうしたことに伴い世界経済は不況になり、需要が落ち込んだ。その落ち込んだ需要が、まだ、自然に戻るべきところに到達していないことを言っているのです。
従って、「世界経済の需要の再調整が未だに完了していないこと」と言ったら如何でしょうか?
「4.我々は、進展は見られるものの、成長を強固で持続的かつ均衡あるものとするには更なる措置が必要であることに合意している。我々が前回会合して以降、いくつかの国は経済活動を刺激するための措置を取っている。とりわけ、日本の最近の政策措置は、デフレを止め、内需を支えることを意図したものである。加えて、韓国は積極的なマクロ経済政策パッケージを発表した。」
日本が登場しました。じっくりと見てみましょう。
We have agreed that while progress has been made, further actions are required to make growth strong, sustainable and balanced. Some countries have taken steps to stimulate activity since we last met. In particular, Japan's recent policy actions are intended to stop deflation and support domestic demand. In addition, Korea announced an active macroeconomic policy package.
この箇所は全然問題がありません。よく理解できます。
「しかし、進行中の世界経済の弱さに対応するとの我々のコミットメントを達成するには、一層多くの措置が必要とされる。」
ここは、またしても分かりにくい! 少なくても一般の方なら、何を意味しているのかさっぱり分からないでしょう。
However, much more is needed to fulfill our commitment to address the ongoing weakness in the global economy.
次のように改訳してみました。
「世界経済の力強さに欠ける状態がずっと続いているが、それではいけない。そのための対策を打つと我々は公言しているが、その約束を果たすためには一層の措置が必要なのだ。」
これなら理解できるでしょう?
「主要な優先政策課題は概ね以前と同様のものである。ユーロ圏においては、銀行同盟に向けた速やかな動き、金融市場の分断の更なる縮小、および銀行のバランスシートの継続的な強化を通じて、経済通貨同盟の基礎が強化されるべきである。」
この箇所も一般の方には理解が難しい。
Major policy priorities remain largely the same.
「主要な課題はほぼ今までと同じ。」
In the euro area the foundations of economic and monetary union should be enhanced, including through an urgent movement towards banking union, further reducing financial fragmentation, and continued strengthening of banks' balance sheets.
「ユーロ圏においては、銀行同盟に向け速やかに行動するとともに、金融システム崩壊のリスクの少なくし、さらに、銀行の資産内容を引き続き改善することによって、経済通貨同盟の基盤が強化されなければならない。」
これなら意味が分かるでしょう?
「米国では著しい赤字削減が既に達成されたが、バランスのとれた中期的な財政健全化計画に向けた更なる進展が必要である。日本は、信頼に足る中期財政計画を策定すべきである。大幅な黒字国は、国内の成長源を強化するための更なる措置の実施を検討すべきである。我々は、潜在的な成長を引き上げ雇用を創出するため、引き続き野心的な構造改革を実施する。」
この箇所は、まあ良しとしましょう。
ただ、「大幅な黒字国は、国内の成長源を強化するための更なる措置の実施を検討すべきである。」の意味がお分かりですか?
これは中国に対する注文なのです。中国は、国内の成長源、つまり消費や投資といった国内需要を高める政策を採用すべきだと言っているのです。
「5.先進国における財政の持続可能性の維持は、引き続き極めて重要である。先進国は、ロスカボスで我々の首脳が行ったコミットメントに沿って、中期的な財政戦略をサンクトペテルブルグ・サミットまでに策定する。我々は、次の会合で我々の戦略を提示し、検証する。」
この箇所もいいでしょう。
「6.我々は、根底にあるファンダメンタルズを反映するため、より市場で決定される為替レートシステムと為替の柔軟性に一層迅速に移行し、為替レートの継続したファンダメンタルズからの乖離を避けるとの我々のコミットメントを再確認する。」
We reiterate our commitments to move more rapidly toward more market-determined exchange rate systems and exchange rate flexibility to reflect underlying fundamentals, and avoid persistent exchange rate misalignments.
次のように改訳すると分かり易いと思います。
「我々は、為替レートがファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映するようにするために、より柔軟な変動相場制度へ速やかに移行し、そして為替レートの柔軟性を実現するために行動するとした我々の公約を再確認する。」
「我々は、通貨の競争的な切り下げを回避し、競争力のために為替レートを目的とはしない。そして我々は、あらゆる形態の保護主義に対抗し、我々の開かれた市場を維持する。」
We will refrain from competitive devaluation and will not target our exchange rates for
competitive purposes, and we will resist all forms of protectionism and keep our markets open.
この箇所も敢て改訳するなら、次のようになります。
「我々は、通貨価値の切り下げ競争を慎み、競争力を強化する目的で為替レートを目標にすることはしない。」
「我々は、資金フローの過度の変動及び為替レートの無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与えることを再確認する。金融政策は、中央銀行の各々のマンデートに従って、国内の物価安定に向けられるとともに、経済の回復を引き続き支援するべきである。我々は、長期間の金融緩和から生じる意図せざる負の副作用に留意する。」
最後の部分は問題ないでしょう。
さあ、これで如何に財務省の日本語訳が分かりにくいかお分かりになったと思うのです。そしてまた、本当に言いたいことがどういうことであるのかも分かって頂けたと思うのです。
肝心の、日本の異次元緩和策に関して、世界が理解を示したというのはどうなのでしょうか?
本心からそう思っているかは別にして、取り敢えずはセーフの判断がなされたと理解していいでしょう。
http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2013/04/20/018853.php
20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)(2013年4月18-19日 於:米国・ワシントンD.C.)
我々、G20 財務大臣・中央銀行総裁は、世界経済の現状を議論し、9月の首脳によるサミットに向けて政策アジェンダを進めるために、会合した。
世界経済及び強固で持続可能かつ均衡ある成長のためのG20フレームワーク
我々は成長を引き上げ、雇用を創出する決意を再確認した。
世界経済はいくつかの主要なテール・リスクを回避し、金融市場の状況は改善を続けている。しかし、世界経済の成長は、引き続き弱過ぎ、多くの国において失業は高すぎる状態にとどまっている。回復は引き続き一様ではなく、新興市場国が相対的に力強い成長を経験し、米国が漸進的な民間需要の強化を示しているが、ユーロ圏は全体として未だ回復を実現していないように、異なる速度で進行している。政策の不確実性、民間のデレバレッジ、財政による抑制、傷ついた信用仲介、そして世界の需要の未だ不完全なリバランスは、引き続き世界経済の成長見通しにとって重しとなっている。財政の持続可能性と金融の安定性に関連する課題を含め、中期的な課題もまた、多くの国において存在している。
我々は、進展は見られるものの、成長を強固で持続的かつ均衡あるものとするには更なる措置が必要であることに合意している。我々が前回会合して以降、いくつかの国は経済活動を刺激するための措置を取っている。とりわけ、日本の最近の政策措置は、デフレを止め、内需を支えることを意図したものである。加えて、韓国は積極的なマクロ経済政策パッケージを発表した。しかし、進行中の世界経済の弱さに対応するとの我々のコミットメントを達成するには、一層多くの措置が必要とされる。主要な優先政策課題は概ね以前と同様のものである。ユーロ圏においては、銀行同盟に向けた速やかな動き、金融市場の分断の更なる縮小、および銀行のバランスシートの継続的な強化を通じて、経済通貨同盟の基礎が強化されるべきである。米国では著しい赤字削減が既に達成されたが、バランスのとれた中期的な財政健全化計画に向けた更なる進展が必要である。日本は、信頼に足る中期財政計画を策定すべきである。大幅な黒字国は、国内の成長源を強化するための更なる措置の実施を検討すべきである。我々は、潜在的な成長を引き上げ雇用を創出するため、引き続き野心的な構造改革を実施する。
先進国における財政の持続可能性の維持は、引き続き極めて重要である。先進国は、ロスカボスで我々の首脳が行ったコミットメントに沿って、中期的な財政戦略をサンクトペテルブルグ・サミットまでに策定する。我々は、次の会合で我々の戦略を提示し、検証する。
我々は、根底にあるファンダメンタルズを反映するため、より市場で決定される為替レートシステムと為替の柔軟性に一層迅速に移行し、為替レートの継続したファンダメンタルズからの乖離を避けるとの我々のコミットメントを再確認する。我々は、通貨の競争的な切り下げを回避し、競争力のために為替レートを目的とはしない。そして我々は、あらゆる形態の保護主義に対抗し、我々の開かれた市場を維持する。我々は、資金フローの過度の変動及び為替レートの無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与えることを再確認する。金融政策は、中央銀行の各々のマンデートに従って、国内の物価安定に向けられるとともに、経済の回復を引き続き支援するべきである。我々は、長期間の金融緩和から生じる意図せざる負の副作用に留意する。
国際金融アーキテクチャー
進行中のIMFのガバナンス改革を完了させることは、IMFの信頼性、正当性、及び有効性を高めるために不可欠である。このため、2010年のIMFクォータ・ガバナンス改革の批准が緊急に必要である。我々は、新たなクォータ計算式に係る最終的な合意に到達するプロセスを第15 次クォータ一般見直しに統合するとの、IMF 理事会の決定を支持する。我々は、ソウル・サミットで合意され、カンヌおよびロスカボスでも再確認された通り、クォータ計算式に合意し、2014年1月までに第15次クォータ一般見直しを完了させることに、IMFの全加盟国とともに引き続きコミットしている。我々は、9 月のサンクトペテルブルグ・サミット、及びそれに続く2013年10 月のG20 大臣会合とIMFC 会合において、主要な要素に関するものも含め、これらの目標に向けた継続的な進歩を確保することを非常に重視している。我々は、計算式に基づくクォータ配分が、ダイナミックな新興国及び途上国のGDPの力強い成長によって大きく変化している、世界経済に占めるIMF 加盟国の相対的な重みをより良く反映すべきとの、我々の従来のコミットメントを再確認する。我々は、このクォータ一般見直しの一部として、IMF に加盟している最貧国の声及び代表性を守る必要性を再確認する。
公的債務管理の現在の慣行を強化するという我々の目的を追求するにあたり、我々は、IMFと世界銀行に対して、「公的債務管理のためのガイドライン」の実施と見直しの可能性について、加盟国と協議することを要請する。このことは、とりわけ債務の発行環境の変化、並びに公的債務管理と金融・財政政策が複雑な相互作用を見せ始めていることを考慮に入れるために、ガイドラインの修正が必要か否かを確認することに役立つだろう。我々は、7月の会合までにこの作業のアップデート、そして9月のサミットに進捗報告書を期待している。我々はまた、公的債務の発行、管理、返済についての先導的なプラクティスを見直すというOECDの進行中の作業に留意する。我々はまた、市場アクセスを有する国々を対象としたIMFによる公的債務の持続可能性に係る分析の枠組みを強化するという現下の取り組みを歓迎する。この枠組みは、重い債務負担およびその構成内容、マクロ経済と財政の相互連関の動向、および偶発債務に由来する主要なリスクに着目している。我々は、これが中期財政戦略に関する我々の作業を補完することを期待する。
我々は、地域金融取極(RFAs)がグローバルな金融セーフティ・ネットにおいて果たす重要な役割を再確認する。RFAs相互の対話を更に促進し、各々の仕組みの独立性を守りつつIMFとRFAsとの間の協力を強化し相互補完性を高めることは、金融の安定性を支え成長の促進を助け得る。我々は、IMFのRFAsへの関与に関する現状理解についてのIMFの作業、及びRFAsの発展をレビューし、IMFとRFAsとの協力を強化するための選択肢を検討した最近のG20/IMFセミナーに留意する。これらの基礎から出発し、またカンヌにおいて我々が合意したIMFとRFAsの間の協力のための原則に基づきながら、我々は、サンクトペテルブルグの首脳会議までに更なる政策提言のための選択肢の可能性を評価するために、我々の次回会合において協力を更に強化するために可能な方法を議論する。
我々は、成功裏のIDA17次増資とAfDF13次増資に貢献する。
長期投資のためのファイナンス
我々は、経済成長と雇用の創出を促進するにあたり、インフラ投資を含む投資のための長期ファイナンスの重要性を強調する。我々は、新たなG20スタディ・グループのToR(付託事項)の採択を通じたものを含め、この課題についての作業を前進させている。この作業においては、世銀グループ、OECD、FSB、IMF、国連、UNCTADからのインプット、および、長期投資ファイナンスの動員や良好な投資環境の整備のための必要条件を形成する上での自己の経験やグッド・プラクティスに係る参加国からのインプットが期待されている。我々は、作業計画と追加的な政策提言を本年後半に承認することを期待する。我々は、機関投資家による長期投資ファイナンスに関するハイレベル原則について、OECDの進捗を歓迎するとともに、次回会合までに報告書を期待する。
金融規制
G20加盟国のうち、半数の国・地域がバーゼルVの実施のための最終規制を公表しており、また残りの国は2013年中の可能な限り早期に最終化することにコミットする。我々は、これら各国の規制とバーゼルV枠組みとの間の整合性についてのバーゼル銀行監督委員会(BCBS)による評価、幾つかのケースは初期または進行中の段階であるが、を歓迎するとともに、規制とバーゼルVテキストとの適合性の確保について更なる進捗を期待する。我々は、リスク調整資産の比較可能性についての7月の報告を期待する。我々は、クロスボーダーでの協力・協調のための法的根拠の付与も含む、FSB(金融安定理事会)が策定した「実効的な破綻処理の枠組みの主要な特性」と整合的な破綻処理権限及び手段を実施するための必要な法的措置を取る。我々の目的は、当局による金融機関の秩序ある処理を可能とすることである。FSBは、「大きくて潰せない」問題の終結に向けた取組みの進捗についてサンクトペテルブルク・サミットにおいて報告する。我々は、OTCデリバティブ改革の実施に係る進捗に留意するとともに、これらの改革のための残された法規制上の枠組みを完成させることにコミットしている。我々は、OTCデリバティブ規制改革に関する、現在作業中のマクロ経済影響調査を歓迎する。我々は、主要当局に対し、クロスボーダーのデリバティブの問題に対処するための取組みを強化し、クロスボーダー規制の抵触、不整合、ギャップ及び重複といった残された問題をサンクトペテルブルク・サミットまでに解決するために、我々の7月の会合までに具体的かつ実践的な提言を報告することを要請する。また、我々は、金融の安定性に対するリスクの包括的監視を可能とするために、取引情報蓄積機関からの情報の集計及び当局間の共有方法についての実現可能性調査を行うことを要請する。各国・地域は、取引相手の情報の報告及び当局による情報へのアクセスに関する障壁の除去に特に注意しつつ、市場参加者による取引報告に関する障壁を除去すべきである。我々は、首脳サミットまでの、シャドーバンキングセクターに対する監視及び規制のための更なる政策提言を期待する。我々は、取引主体識別子(LEI)イニチアチブに係る規制監視委員会(ROC)がグローバルLEI財団を可能な限り早期に設立しようとする取組みを支持する。我々は、国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)に対し、質の高い単一の基準を達成するための主要な未決着のプロジェクトに関する作業を2013年末までに最終化することの要請を再確認する。
我々は、BIS(国際決済銀行)及びIOSCO(証券監督者国際機構)による、金融指標の監視及びガバナンスの枠組みを改善するための取組みを歓迎するとともに、FSBに対し、短期の金利指標に関する必要な改革のための取組みを調整し先導すること、また、サミットでの検討に向けて、金融指標改革のための監視及びガバナンスの枠組みについての進捗を7月に報告することを要請する。我々は、FSBによる、信用格付機関の格付への依存を低減するための各国当局の取組みに係るピアレビューの立ち上げを支持するとともに、サンクトペテルブルク・サミットで首脳に対して、基準設定主体による作業を含む状況報告を行うことを要請する。我々は、信用格付機関の透明性と競争に関するIOSCOの報告書に留意する。我々は、FSBに対し、現在の国内及び地域の規制イニシアチブを考慮しつつ、この分野での更なる取組みの必要性について検討することを要請する。
特にタックスヘイブンや非協力的な国・地域を通じたものを含め、国際的な租税回避及び脱税の問題に対応するために一層行動する必要性がある。我々は、情報交換の実効性に関するグローバル・フォーラムの報告を歓迎する。我々は多くの国・地域による進捗を称賛する一方、特に法制が未だ基準を遵守できていない14か国・地域をはじめ、全ての国・地域に対して、受けた勧告を迅速に実施するよう強く促す。さらに我々は、情報交換の実効的な実践についての審査を受けた国・地域に対し、年末までに総合評価が付与されること、及び継続的に監視が行われることを期待する。我々はまた、全ての国・地域に対し、多国間税務行政執行共助条約に署名すること又は署名する関心を示すことを強く奨励し、OECDがその進捗を報告することを要請する。我々は、基準であることが期待される自動的な情報交換に向けた進捗を歓迎し、全ての国・地域に対し、適切に条約相手国と自動的に情報を交換する方向に向かうことを強く促す。我々は、OECDが、G20諸国とともに、各国独自の特徴を考慮に入れつつ、新たな自動的情報交換に関する多国間の基準を作成する進捗について報告をすることを期待する。グローバル・フォーラムは監視を担うであろう。我々は、OECDによる税源浸食と利益移転に関する行動計画の作成の進捗を歓迎し、次回7月の我々の会合において包括的な提案と重要な議論が行われることを期待する。
我々は、金融活動作業部会(FATF)による作業、とりわけ、戦略的なマネーロンダリング・テロ資金供与対策(AML/CFT)上の問題を有する高リスク国・地域の特定及び監視への支持を再確認する。我々は、法人及び法的取極めの不透明さがもたらすリスクに対処すべきであり、全ての国に、法人、その他事業体、信託の真の受益者の特定に係るFATF勧告の遵守を確保する措置をとること、これは租税目的にも関連する、を奨励する。
金融包摂
我々は、金融包摂の支援枠組みの立ち上げを歓迎する。我々は、SMEファイナンス・フォーラムがホストする、来る「女性とファイナンス」に関するセミナーと、女性のファイナンスに関するハブの立ち上げを歓迎する。これらは、ベスト・プラクティスと知識の共有に資するであろう。我々は、金融包摂に関するグローバル・パートナーシップに対し、中小企業ファイナンスを取り巻くグローバルな環境におけるギャップと課題、並びに、潜在的な政策対応について、7月の会合までに報告することを求める。我々は、革新的な金融包摂が可能となるような規制環境の創出に向けての重要な一歩として、金融活動作業部会による金融包摂に関する指針の改訂を歓迎する。
http://www.mof.go.jp/international_policy/convention/g20/20130419.htm
CHINA REAL TIME REPORT2013年 4月 19日 14:52 JST
中国富裕層の新たな移民先 米国・カナダは人気に陰り
By JASON CHOW
「米国には触手が動かないし、カナダからは承認が下りなかった。オーストラリアについては十分な資金がない。キプロスには驚かされた」――そういった中国本土の富裕層は、これまであり得なかった移民先を探している。その中にはポルトガルやカリブ海の小国セントクリストファー・ネービスがある。
ドバイを拠点とするレンジ・デベロップメンツは最近、セントクリストファーで進めている同社のパーク・ハイアット開発計画への投資家を求めて、中国と香港で売り込みキャンペーンを行った。一口40万ドル(約3900万円)のこの投資の最も魅力的なリターンは、追加費用を払わずに取得できる旅券だ。この旅券で、欧州や旧英国植民地のほとんどの国に査証なしで入国できる。
さらに、投資家は6カ月以内にセントクリストファーの市民権を獲得出来る。しかも、セントクリストファーに行ったり、英語の試験を受けたりする必要はない。
香港で活動する移民問題専門の弁護士で、レンジ・デベロップメンツの代理店を経営しているジャン=フランソワ・ハーベイ氏は、「中国本土で約200口を売った。飛ぶように売れている」とうれしい悲鳴をあげ、「査証なしで旅行できるのは、中国人にとって大変魅力的な話だ」と説明する。
不動産投資が、セントクリストファーの市民権を取るただ一つの方法ではない。同国の政府系投資ファンド(SWF)である砂糖産業多様化基金に25万ドル寄付すれば市民権を獲得できる。
確かに、中国人投資家のセントクリストファー政府への移民申請は推定で1万件とわずかで、移民先としては米国とカナダが伝統的にトップを占めている。だが、米加の魅力は最近後退している。
米国の投資永住権(EB-5)プログラムを取得するには、認定された事業に50万ドルを投資し、少なくとも10人を雇用しなければならない。税法も厳しく、中国の超富裕層は対米投資に二の足を踏むようになっている。
カナダの投資家向け移民プログラムでは、移民希望者は州政府のうちの一つに80万カナダドルを金利なしで5年間貸し付けることが義務付けられている。ただ、これは昨年一時停止となった。
一方、英国とオーストラリアの制度は費用が高く実現が難しいとされる。英国の制度では、居住査証を取得するために100万ポンド(約1億4700万円)を投資する必要がある。また、投資家が市民権取得の資格を得るためには、5年間のうち少なくとも75%の時間、英国に住まなくてはならない。
豪州の制度は最も高価で、居住ビザの資格を得るためには、条件を満たした事業に500万豪ドル(約5億1000万円)投資する必要がある。しかし、投資家が永住権を得るために同国に居住する必要がある期間は、4年間で160日だ。
中国の移民希望者がそのほかの場所に目を向けるにつれ、これまで考えられなかった目的地も出てきた。移民問題専門家によると、昨年はキプロスが人気だった。キプロスの期間3年の査証を取得するためには、少なくとも30万ユーロ(約3800万円)の不動産を購入する必要があるが、この査証があれば欧州連合(EU)の加盟国全てを訪問できるようになる。
中国本土の顧客を持ち、香港を拠点に活動する弁護士、デニー・コー氏は、「キプロスは中国で大々的に宣伝されたために、多くの人々が動いた」と話した。
しかし、キプロスへの関心は、同国の経済問題を理由に薄れた。そのため、一部の業者は関心を呼び起こすために新たな戦略を試している。国営新華社通信によると、北京で不動産の展示会を行ったキプロスの不動産開発会社は、30万ユーロでアパート物件を購入しようとしている中国の投資家に、1棟の価格でもう1棟購入できるという条件を提示した。
移民専門家は、欧州ではポルトガルが次の人気の移民先になりそうだと話している。北京に本拠を置く移民コンサルティング会社、ウェル・トレンドのラリー・ワン社長によると、ポルトガル政府は最近のキプロスの成功をまねて、6年間で市民権に変更できるような居住査証を発行したいと考えているという。価格は50万ユーロだ。
同社長は「不動産は中国人に常に好まれるため、こういった制度は魅力的だ」と話し、条件もそれほど厳しくないと付け加えた。投資家は査証維持のために年7日ポルトガルに住む必要があるが、語学力の試験を受けなくても市民権を取得できる。
キプロスと同様、中米のセントクリストファー・ネービスも制度を設けて近隣諸国の手本となっており、アンティグア・バーブーダも近く同じような移民制度を施行するとみられている。前出のコー氏は「わたしの顧客の99%はセントクリストファー・ネービスの名前を聞いたことがない。しかし、人々は自由な旅行や資産計画、中国本土企業の海外上場を目指す場合の市民権の確保といったことを念頭に、査証の獲得を目指す」と話す。
欧州の富裕層とつきあう夢を持つ大富豪はスイスやモナコを目指す。これらの国々では資産がより安全に管理できると考えられている。投資家がこれらの国々で居住権を得るためには、地元政府と定額税について交渉をする必要があり、これは安くない。居住権を維持するのに、少なくとも年間100万ユーロ支払わなければならないとみられる。コー氏は「ものすごく高額の資産を持つ人向けの特別な目的地だ」と語る。
wsj.com
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