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欧米が日本に財政再建を求める本当の理由  日銀がお札をすれば アベノミクスでホクホク
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/604.html
投稿者 eco 日時 2013 年 4 月 22 日 02:19:05: .WIEmPirTezGQ
 

(回答先: 意味不明なG20共同声明の日本語訳 中国富裕層の新たな移民先 米国・カナダは人気に陰り  投稿者 eco 日時 2013 年 4 月 21 日 01:00:38)

小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

欧米が日本に財政再建を求める本当の理由
2013/04/21 (日) 12:23


 G20の財務大臣・中央銀行総裁会議の結果、日本の異次元緩和策について理解が得られたが、その一方で、日本は財政再建を求められた、と報道されています。

 どう思います? どう思うかというのは、何故日本に海外が財政再建を求めるのか、ということです。

 他人の国のことでしょ? 本気で心配してくれているのか?

 いずれにしても、G20の共同声明には、次のような一文があるのです。

 「日本は、信頼に足る中期財政計画を策定すべきである」

 昔だったら、日本は世界経済の牽引役となるべく内需を拡大する政策を取るべきだ、などと散々言われていたのに、今や財政出動するよりも財政健全化に気を配れだなんて。

 もちろん、注文が付いたのは何も日本ばかりではないのです。

 欧州勢に対しては、金融システムを安定させるために経済通貨統一の基盤を強化せよと注文を付け、そして、米国には、努力は認めるもののさらなる財政再建努力が必要だと言い、そして、名指しこそしませんが中国に対しては、内需を拡大するような政策を採るべきだ、と。

 その意味では、日本が財政再建努力を求められても何らおかしくはない。

 しかし、その要求がどれほど本気なのかということなのです。

 これについては、穿った見方もあります。財務省筋が海外を使って増税を実現さえようとしている、なんて。

 まあ、そのような要素が一切ないとは言い切れません。IMFの副専務理事には、財務省から人を送っていることでもありますし‥

(米国で増税を明言した麻生財務相)

 ただ、それを別にして、もし本気で海外勢が、日本は財政再建に取り組むべきだと考えるとしたら、それはどのような理由によるものなのでしょう?

 日本の将来を案じて?

 日本のことを心配する人が海外に全くいないとはいいません、しかし‥そもそも日本の政治家ですら将来のことを真剣に考えているとは思えないのに‥

 しかし、こうしてG20の共同声明には、欧州、米国の次に日本の名前が挙げられ、中期財政計画を策定すべきだと言う。

 どうして?

 では、逆に、今後日本の財政状況が益々悪化して、投資家の日本国債離れが起きたら、どうなるのでしょうか?

 そのようなことが直ぐに起こるとは到底思えないのですが‥でも、5年、10年、20年後も安心していていいかと言えば、それははなはだ不確実。否、5年以上先のことは分からないと言うべきではないでしょうか?

 何故ならば、この2年間の貿易赤字も、今から5年前に誰が想像していたか、と思われるからなのです。

 いずれにしても、もし本当に投資家の日本国債離れが始まれば、状況は一変してしまうでしょう。

 幾ら日本政府が国債を購入してもらいたいと思っても、投資家が敬遠しだすと、国債の価格は暴落し、金利は急騰。

 そんなことになれば、恐らく日本政府が保有している米国債の売却が必要だという声が挙るでしょう。或いは、IMFなどに貸し付けているお金も回収すべきだという声が挙るでしょう。さらに、開発途上国に貸し付けている円借款も、直ぐに回収することはできないとしても、新規の貸し付けはストップしてしまうでしょう。

 国連の活動にしても、多額のお金を日本が拠出しているから活動が維持できるのです。米軍基地の維持にしても、思いやり予算を日本がつけて上げているから、それが可能なのです。

 そもそも、日本から巨額のお金を貸しつけてもらって、その原資で債務国の支援を行っているIMFが、日本に対して、財政再建の努力を怠るな、などと真顔で説教するのが喜劇でなくて何でしょう?

 おかしいでしょう?

 でも、幾らおかしくても、日本がぽしゃってしまうと、確実にその影響がIMFなどの国際機関に及ぶ。それだけでなく、米国政府にも多大な影響を与えてしまうのです。

 だから、彼らも少々心配になり始めているのでしょう。

 これが、幾ら日本政府の借金の対GDP比率が高くても、貿易黒字を多額に計上しているような状態なら高を括っていてもいいかもしれません。しかし、ご承知のように2年連続で貿易赤字を計上しているだけでなく、赤字が大きくなっているのです。

 もちろん財政再建に乗り出したからと言って、急に借金がなくなるなんてことにはならないのです。それどころか、借金の残高が増えないようにするだけでも、身を切るような辛抱が求められるのです。

 プライマリーバランスを黒字化するなんて、口で言うのは容易いのですが、実際には大変な苦労が伴うのです。

 しかし、今政権与党の先生方は、予算の大盤振る舞いを当たり前と思っている。だから、成長戦略の中身も、補助金を与えたり減税したりと、相変わらず財政に頼るような施策ばかりではないですか。

 子供たちに英語を教えるために1万人の外国人を日本に呼ぶ?

 アホか、と言いたい。

 お金がないのに、何故そんな無駄なことをするのか?

 直接外国人に接すれば英語に興味が湧くのは分かります。しかし、今は、外国人を直接日本に呼ばなくても、インターネットで幾らでも英語が学べる訳ですし、インターネットを使わなくても、NHKの基礎英語を利用するだけでもいい。

 後は、英語の入試問題の内容をガラッと変えればいいだけの話です。

 なのに、何故そんなもったいないお金の使い方しか思いつかないのか?
http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2013/04/21/018854.php

 


日米、信頼に足る中期財政健全化計画が重要=IMFC声明
2013年 04月 21日 12:35

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[ワシントン 20日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)の国際通貨金融委員会(IMFC)は20日、声明を発表し、米国と日本に対し、「信頼に足る中期財政健全化計画が引き続き極めて重要だ」と指摘した。

コミュニケでは「緩和的な金融政策は成長の強化を支えるために依然として必要だが、信頼に足る中期財政健全化計画並びに金融セクター改革と構造改革のより強固な進展に伴われている必要がある。これは金融緩和が資本フローと為替レートへ及ぼす潜在的な影響を限定的とすることにも助けとなるだろう」とした。

また、「金融緩和からの最終的な出口は、注意深く管理され、明確にコミュニケートされる必要がある」と明記した。

ユーロ圏に関しては、「銀行のバランスシート修復、金融市場の分断のさらなる縮小が重要だ」と指摘した。

麻生太郎財務相はIMFCでの日本国ステートメントで、デフレ脱却に向けた日本の金融政策と財政政策を説明。「財政運営に対する信認を確保するためには、信頼に足る中期的な財政健全化計画が不可欠だ」とし、「日銀が極めて大量の国債を購入する中、財政健全化への取組みを足元から着実に推進し、その実を上げていかなければ、日本財政に対する市場の信認を失い、金利急騰のリスクを招きかねない。年央を目途に、財政健全化目標を達成するための中期財政計画を策定する」と語った。そのうえで、「経済環境を整備し、予定通り消費税率を引き上げる決意だ」と述べた。
 

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imf ワシントン 金融政策

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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE93K00J20130421

 


 
成長ペースが下がる中国に新たな商機
2013年04月22日(Mon) Financial Times
(2013年4月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

オーストラリアドルの動きは中国の景気と連動するようになっている〔AFPBB News〕

 ニュージーランドとオーストラリアの首相が4月上旬にどこにいたか知りたければ、ただ両国の通貨を見ればよかった。

 両国首相が中国を訪問し、貿易と投資に関する協定に署名し、中国政府の歓待を受けた週に、オーストラリアドルは2%近く上昇、ニュージーランドドルは3%近く跳ね上がった。

 4月15日には、北京時間の午前10時ちょうどに両国通貨が揃って急落した。中国が発表した第1四半期の国内総生産(GDP)統計が、経済成長率が事前予想を大きく下回ったことを示す期待外れの内容だったからだ。

 国際通貨基金(IMF)によると、中国は過去5年間、世界の経済成長の50%を担ってきた。特にコモディティー(商品)輸出国にとっては、中国は自国の経済的成功の唯一最大の要因になっていた。

資源輸出国にとっては凶報だが・・・

 これらの国にとって、年間10%の成長が30年間続いた後、中国が低成長の時代に入ったという事実は凶報だ。モルガン・スタンレーの中国担当チーフエコノミスト、ヘレン・チャオ氏は「中国の長期の潜在的トレンド成長率が既に10%前後から約8%に低下したことが見て取れる」と言う。新たな潜在成長率はそれ以上に低いと見るアナリストもいる。

 問題は、成長率がどこまで下がるのか、その成長はどこから来るのか、そして、ペースの落ちた中国の景気拡大がコモディティー輸出国以外の国々にとって何を意味するのか、だ。

 「工業用コモディティーの生産国はどこも今後数年間苦しむことになるだろう」。キャピタル・エコノミクスの中国担当チーフエコノミスト、マーク・ウィリアムズ氏はこう話す。

 「だが、米国と英国のような国にとっては、中国の成長と投資支出の減速はほとんど問題にならない。減速を受けて中国政府が消費支出を拡大するための構造調整を実施するようなら、英米のような経済国にはプラスになる」

 過去10年間ほぼ一貫して続いた世界的なコモディティー・スーパーサイクルは、主に中国の驚異的な好況に起因しており、その中国の好況は、世紀の変わり目頃に実施された3つの重要な政策改革が原動力となっていた。

 1つ目は国営企業改革だ。これにより国有部門の大部分が閉鎖ないし民営化され、その他部門は従業員のために学校、住宅、病院を提供する負担から解放された。

 2つ目は中国による世界貿易機関(WTO)加盟で、そのおかげで安価な中国製品が世界市場を席巻し、製造業の東方シフトが加速することになった。3つ目は商業用不動産市場の創設。これは中国の大半のアパートの所有権を国から住人に移転した1990年代後半の決断に由来する事象だ。

 これらの改革は、中国が世界第2位の経済大国にのし上がる台頭をほぼ全面的にもたらした。だが、近年は外需の減退と国内不動産市場の過熱の組み合わせがこうした原動力の効果を弱め、2008年の金融危機以降、中国は成長を促すために信用に頼るようになった。

「信用頼み」の成長に危うさ

 キャピタル・エコノミクスによると、中国の信用残高は今年第1四半期末にGDP比195%に達した(2008年は129%)。「重要なのは、信用の伸び率というよりは経済の規模に対する信用の拡大で、その尺度では、中国はかなり危ういように見える」とウィリアムズ氏は言う。

 今年第1四半期の新規融資は前年同期比で58%増加した。アナリストらは、こうした爆発的な融資増加は一時的に経済全体の成長率を押し上げる可能性があると話している。

 だが、一定の成長を生み出すために必要な信用の量も急増していると指摘する。こうした新規融資は、中国経済の2ケタ成長が続くことを前提とした不採算プロジェクトに注ぎ込まれた既存融資の返済や借り換えに使われているからだ。

 主な成長エンジンが衰え、信用依存度が高まっている状況に対する中国政府の対応は、習近平国家主席の言葉を借りるなら「中国の成長モデルの転換」を実行することだ。これは大量消費社会の発展を促し、サービス部門を強化し、重工業、不動産、製造業、輸出能力への投資から離れることを意味する。

 中国新政府はこれが長く困難な転換になることを理解しており、政府高官は2ケタの景気拡大の時代が終わったことを認めている。

 だが、もし中国が成長モデルを転換し、同国経済を以前よりペースは遅いがより持続可能な成長軌道に乗せることができれば、諸外国が手にするチャンスはコモディティー輸出国が謳歌したものと同じくらい大きいかもしれない。

By Jamil Anderlini

http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/37637

遂に始まった「ケイレツ切り」
クルマのコストカット競争が本格化
2013年04月22日(Mon) 相場 英雄
 当欄では何度か日本のお家芸であるクルマ業界に注目し、燃費や部品メーカーなど主要マスコミではほとんど扱われないテーマに触れてきた。今回は日本特有の仕組みである「ケイレツ」(系列)を扱ってみる。

 世界的な潮流として、クルマ業界は車体や部品の共有化を通じてのコストダウン競争が熾烈になっているが、この流れがいよいよ日本でも本格化しそうな気配である。某メーカーを軸に、最新の動きを追う。今回の記事を読み解くキーワードは“ケイレツ切り”だ。

トップ同士の密会で商談が成立

 本題に入る前に、ある大手企業2社のトップの動向を振り返ってみる。なお、情報源との約束により、個別の企業名は伏せることをあらかじめご承知おきいただきたい。

 昨年来、某電気機器メーカーが保有する関西圏の研究開発施設を、某自動車メーカートップが頻繁に訪れていた。

 訪問の目的は、このメーカーが製造する特殊な部品の調査と値段交渉。トップ自らが足を運び、部品の品質や精度をチェックしたという。一方、電気機器メーカー側からもトップが同施設に現れ、しばしば両者の密会が持たれたという。

 自動車メーカー側の思惑は、ずばりコストカット。

 電気機器メーカーが提供する特殊な部品が、極めて高い安全性を求められるクルマに適用可能か見極めることにあった。同時に、クルマ業界特有の「ケイレツ」内部から調達する場合と、この電気機器メーカーが提示する価格がどの程度違うかを見極める狙いもあった。

 複数の関係者によれば、数回にわたるトップ同士の密会を経て商談は成立。乗用車1台当たり、約100程度に上る特殊な部品を自動車メーカーが調達することで合意したという。

 決め手になったのは、製品の品質はもとより、「ケイレツ内で調達していた値段の半分以下で購入可能になる点」(自動車メーカー関係者)だった。

 一方、電気機器メーカー側もかなり自信を持って対応していたフシがある。商談が成立した日系メーカーとは別に、既に欧州の巨大メーカーとの間でも同じ分野の部品を供給することで話がまとまっていたからだ。「品質管理に厳しい欧州メーカーが研究施設を訪れ、その場で契約交渉に入った」(電気メーカー関係者)という。

 日本、そして欧州の自動車メーカーが今まで取引関係になかったこの電気機器メーカーに足繁く通った背景には、ここ数年加速するクルマ造りでのコストカット競争がある。

 先鞭をつけたのは、本稿でも触れた独フォルクスワーゲン(VW)だ(注:参考記事「部品メーカーが『沈む船』から脱出? ケータイ、テレビの次は自動車か」「プラットホーム方式の先を行くフォルクスワーゲンの新構想『MQB』」)。

 多数のモデルを有するVWは、車台(プラットフォーム)の数を絞り込み、ここに盛り込む部品も共通化させた。その上で、欧州、アジア、北米の生産拠点ごとに部品調達先を絞り込むことで、コストダウンに成功した。日本メーカーのうち、数社がこれに近い考え方で新車の開発効率を上げるべく動き出している。

「部品コスト半減」がケイレツを破壊

 話を先の2社に戻す。

 日本の自動車メーカーは、ゴーン改革で旧来の体制に別れを告げた日産自動車を除き、いまだに部品調達の面で強固なケイレツが存在する。

 換言すれば、今まで付き合いのなかった電気機器メーカーと手を組むことで、「車種やグレードごとに違う部品を組み込んでいた体制が一変し、ケイレツ・下請け、孫請けのピラミッドが一挙に崩壊する可能性がある」(先の自動車メーカー関係者)。

 部品の具体的な名称は明かせないが、この部品はクルマの性能に直結する様々な機能を制御する重要なパーツだ。この自動車メーカーは、他の部品についても旧来の取引関係を見直す構えで、調達担当者が作業を本格化させている。

 先の項目にもう一度注目してほしい。自動車メーカー側が新規の部品調達先として選んだ理由の1つに、コストが半減する点があるのだ。

 見方を変えれば、旧来の仕組みを変えざるを得ないほど、クルマ造りの現場ではコストカットという要素がウエイトを増している。

 改めて言うまでもないが、日本の産業界の中で自動車関連の仕事に従事する人口は約500万人。このうち、下請け・孫請けと呼ばれる企業群に属するのは半分以上だ。

 本稿で触れた自動車メーカーの動きは、関係業界でジワジワと話が広がっている。近いうちに、大手紙や専門紙誌等々で両者の関係が取り上げられるはず。

 コストダウンという世界の潮流が、日本の産業界の屋台骨を支えるケイレツを破壊する公算が大きい。

 町工場の倅として育った私は、ケイレツ破壊が良いことなのかはたまた、悪いことなのかは現段階では判断がつかない。だが、先に取材したコストカットという名の急流は、他の追随メーカーを巻き込み、遅かれ早かれ産業界全体に波及する。パラダイムシフトに供える心構えが必要だ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/37595


【第1回】 2013年4月22日 佐々木融
日銀がお札をすれば、財布の中の1万円札は増える?
「日銀はバンバンお札を発行しろ!」という人がいる。だが、お札を刷る量は、日銀に当座預金を持つ民間金融機関の需要、つまりは、みなさんのような個人や企業のニーズによって決まる。しかも、個人も企業も、預金残高以上の額は引き出せない。日銀がバンバンお札を刷ったところで、その結果は…?

 昨年末あたりから、盛んに「日銀はお札をバンバン刷ればいいんだ」などという声が聞こえてくる。

 しかしちなみに言うと、残念ながら、お札を刷っているのは日本銀行ではない。

 お札を刷っているのは、独立行政法人国立印刷局(2003年4月までは財務省印刷局)だ。お札の正式名称を「日本銀行券」というが、それは日本銀行が「発行」を行うからである。お札は独立行政法人国立印刷局で「印刷」された後、日本銀行に持ち込まれ、日本銀行の本支店から出たところで「発行」されたことになる。お札は、日本銀行法第46条に基づき、日本銀行が独占的に発行することになっている。

「ヘリクツは分かった!印刷していないのは日銀でも、発行しているのが日銀なら、日銀はバンバンお札を発行すればいいじゃないか!」という声が聞こえてきそうだ。

 しかし、お札は、皆さんがATMから引き出すときに備えて、各銀行が日本銀行にある自らの当座預金から引き出すものだ。発行したお札が日本銀行の本支店から出ていくかどうかは、日銀でなく、みなさんの需要を勘案した民間金融機関が決めるのである。そして、みなさんが銀行口座に保有している金額以上のお札を引き出せないのと同様に、民間銀行も日銀にある自行の当座預金残高以上のお札は引き出せないのである。

 「日銀がもっとお札を刷れば(発行すれば)いいんだ!」と主張する人の多くは、この点を勘違いしているのではないだろうか。

 金本位制の時代は金(キン)を裏付けにお札が発行されていたが、今は預金を裏付けにお札が発行されている。単純に言えば、預金を持っていない人はお札を引き出せないのである。つまり、日本銀行も民間の金融機関も、自行に預金を預けていない人・会社・銀行に対して、お札は渡せない。

 以前、ある会合で中小企業の経営者の方が「無尽蔵にやるとインフレになるから駄目だが」と前置きした上で、「日銀は一度きりと決めて、ひとりにつき100万円くらいの札束を配ってみたらどうか」というアイデアを提案された。しかし、札束を自らの意思で配るという機能も、日本銀行にはない。

 もし、こうしたアイデアを実現しようとすれば、政府の口座から、民間金融機関の口座に資金を払い出し、民間金融機関が一人ひとりの口座に資金を払い込むか、何らかの証明書・通知書を持ってきた個人に資金を払い出すといった方法を採るしかあるまい。こうした施策はあくまで「財政支出(国や地方自治体の支出)」であって、日本銀行は結果として預金が増加して口座からお金を引き出そうとする人に対し、発券銀行としてお札の引き渡しを手伝うにすぎない。

 つまり、日本銀行の仕事のひとつである「お札の発行」=「発券」という仕事は、日本銀行の意思で行うものではなく、民間金融機関の要請(つまり、みなさんの要請)に応じて、お札を発行することなのである。そして、その元になる資金は日本銀行の資金ではなく、民間銀行の当座預金(みなさんの預金)なのである。繰り返しになるが、民間銀行は皆さんの預金の範囲内でしかお札を渡してはくれない。したがって「日本銀行がバンバンお札を発行すればよい」と言われても、何の資金を取り崩して「バンバン発行」すればいいのか分からないし、結果としてみなさんの財布の中の1万円札が増えるわけでもない。

量的緩和政策とは何の量を増やしているのか?

 このような説明をすると、金融政策や経済に詳しい人たちは、「日銀がお金をバンバン刷れば(発行すれば)いい、というのは比喩的な表現であって、実際に言いたいのは、日銀は量的緩和をもっと積極的にやって市場に資金を供給すべき、という点だ」と抗弁する。

 ここで出てくる「量的緩和政策」は、近年、米国をはじめ他国でも行われているが、いったい何の量を増やすことなのだろうか?

 それを説明する前に、そもそも「本来の」金融政策とは何か、確認しておこう。

 民間金融機関であるA行、B行、C行、D行…が日本銀行に有する当座預金口座間では、毎日頻繁に資金のやり取りが行われている。前述のように個人の送金のようなものであれば小口だが、実際には企業の大口の送金なども頻繁に行われている。そうなると、ある銀行の当座預金の資金が少なくなって、ほかの銀行・金融機関から借り入れる必要が生じる場合がある。こうした短期的な資金の貸し借りをするマーケットはコール市場と呼ばれ、この資金のやり取りも、日本銀行にある各行の当座預金口座間で行われる。

 日本銀行は毎日のオペレーションを通じて、日本銀行に各民間金融機関が保有する当座預金の総額を調整できる。このことは何を意味するのか。日本銀行が資金を大量に供給すると、資金を借りたい側の銀行に余裕が生まれるため、貸し借りの時に発生する金利が低下する。逆に、日本銀行が資金を十分に供給しないと、銀行は必要な資金を借りられなくなるかもしれないと焦るため金利が上昇する。つまり、日本銀行は各行が保有する当座預金の総額を調整することで、短期金利(無担保コールレートのオーバーナイト物と呼ぶ。簡単に言えば、担保なしに一晩だけ貸し借りする時の金利)の水準を調節できる。これが、「本来の」金融政策である。

 日本銀行が調節する対象としている短期金利は、政策金利とも呼ばれる。これまで引き下げが繰り返し行われてきた結果、現在では既に「0〜0.1%程度」と“実質的にゼロ”金利になっている。政策金利は2008年12月に0.3%から0.1%前後に引き下げられ、2010年10月に0〜0.1%に変更された。

 金利がゼロになってしまうと、中央銀行の金融政策で打てる手は限られてしまう。そこで実施されるようになったのが、前述した「量的緩和政策」である。

 この量的緩和政策は今ではFRB(米連邦準備制度理事会)なども行っているが、日本では2001年3月〜2006年3月に行われた。何を増やしているかというと、日本銀行の中に各民間金融機関が保有する当座預金の残高を増やしているのである。しかし、当然ながら、この資金は日本銀行が各銀行・金融機関に貸し出しているのであって、タダであげるわけではない。

 では、なぜ量的緩和政策を行うのだろう。

 それは、日本銀行内にある民間金融機関の当座預金残高が増加すれば、民間銀行はその資金を何らかのかたちで運用するだろうとの目論みがあるからだ。最も期待されるのは、貸し出しだ。銀行の手元に十分キャッシュがあれば、銀行が積極的に企業や個人に貸し出すだろうと期待されているのだ。

 しかし、日本銀行の中に保有する資金が多くなったからといって、企業や個人からの借り入れ需要が強くならなければ、貸出金は増えない。目下、企業は借り入れを増やすどころか、返済しようと励んでいる。個人も借り入れ意欲は強くない。将来に対する不安が漠然とある中で、借り入れまでして投資する心理的余裕がないのである。

 最近はこうした量的緩和政策がさらに進んで、黒田東彦・新総裁のもと、超長期債を含む国債や社債のほか、ETF(証券取引所で取引される投資信託)等の資産を購入することで量的緩和を進めていこうとしている。ただし、日本銀行が国債の購入額を増加させるだけであれば、従来の量的緩和政策と特に大きな違いはないだろう。

(次回は4月23日公開です)

<イベントのご案内>

新刊出版記念セミナー (主催:外為どっとコム)の開催が決まりました!
5月29日(水)20時〜  ☆お申し込みフォームはこちらです

<新刊書籍のご案内>

インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?
デフレ脱却をめぐる6つの疑問


日本では「デフレは悪で、インフレが望ましい」という考え方が広がり、定着しつつあります。特に安倍晋三首相が選挙前から「量的緩和の拡大」「デフレからインフレへ」などと盛んに発言し、実際にマーケットが円安・株高に動いたため、この風潮はますます強まっています。経済が停滞しているのも、若者の就職難もデフレのせいで、インフレになれば経済が活性化し、苦しい生活が楽になるがごとく喧伝されますが、本当にそうでしょうか? インフレが起こった場合、物価の上昇に追いつくほど給料が上がらない場合、銀行預金程度の資産しか持たない一般の人たちの購買力は低下して、今より貧しくなるのです。それでも皆さんはインフレを是とするのでしょうか。本書は、インフレの基本的構造や金融政策の仕組み、それらの個人や企業への影響、為替との関係などを分かりやすく解説した入門書です。
http://diamond.jp/articles/print/34910


 

 
【第273回】 2013年4月22日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
今後に来るかもしれない「バブル」について
 日本銀行が黒田東彦総裁体制に変わり、4月4日の金融政策決定会合の結果を受けて、円安と株高が一段と進んだ。少し長い目で見た今後の展開を考えてみよう。

 会合後の記者会見で、黒田総裁は、株式のETFに関する質問に対する答えの中で、「リスクプレミアムはまだまだ圧縮する余地がある」と語った。リスクプレミアムは株価と一対一対応しているから、この発言は、現在の株価が安過ぎると述べているのと同じだ。

 アベノミクスにあって、特にその初期には、為替レート(円安)と資産価格が果たす役割は大きい。日銀と政府は、円安と株高を実現することを通じて景気を拡大し、ひいては物価上昇につなげようとする意図を明確に持っている。

 株価は、日経平均で1万3000円台に乗せたが、筆者は、現時点でこの水準の株価を「バブル」だとは思っていない。また、これから行われようとしている金融緩和政策は、現時点で適切だと思う。

 一方で、現状の日本経済が、バブルの立ち上がり時期だった1986年ごろによく似ている。

 85年のプラザ合意に伴う大幅円高の影響を引きずり、86年は景気がさえなかったが、4度の公定歩合引き下げなどの金融緩和を受けて、株価は4割以上上昇した。翌87年には、米国でブラックマンデーと呼ばれた株価の大暴落が起こり、世界経済に与える影響に配慮して87年、88年には金融引き締めが行われず、この間に日本経済はバブル本番を迎える。

 不況、金融緩和、株高、というここまでの流れも似ているが、今後、物価が「2%」の目標に達しないと金融引き締めは(少なくとも利上げは)ないだろうと見通せる点で、現在の状況は、近未来まで含めて86年と似ている。

 加えて、今の日銀は(政府も)、明白に株高を目指している。

 日銀が目指すリスクプレミアムの圧縮がどれくらいの大きさのものなのかはわからないが、仮に2%の圧縮だとすると、記者会見前日(4月3日、日経平均は1万2362円)のデータを使って計算するなら、2万1691円、PER(株価収益率)では37.7倍と計算できる。日銀は、1年ないし、1年半くらいの期間をかけて、このくらいの株価を目指しているのではないか。

 そして、この株価には、将来利益見通しの改善によって上方修正される余地もある。

 この先に本格的なバブルが起こるかどうかはいまだわからないが(金融緩和はその「必要条件」だ)、「そういうことがあり得る」という意識は、投資家にとってもビジネスマンにとっても必要だろう。

 特にビジネスマンには、自己資金での株式や不動産への投資といったケチな話ではなく、自分の本業に拡大のチャンスはないか、さらに次のバブルを牽引するビジネスで起業できないか、といった意識での活躍を期待したい。

 バブルにあって問題なのは「ローン」だ。ローンがバブルを後押しするし、バブル崩壊はローンの担保の価値を毀損されて不良債権問題を生む。今後の金融政策で重要なのは、ローンの「質」と「リスク」をマクロ的な要因による金融の引き締め・緩和と分離して、適切に管理することだ。

 個人の立場で、「来るかもしれないバブル」とどう付き合えばいいのかアドバイスすることは難しいが、一つだけ言っておくなら、株式でも、不動産でも、ビジネスでも、「借金を膨らませてやらない限りは大丈夫だ」ということだ。その範囲でなら、当面は積極的にバブルに乗ってみてもいいと思う。
http://diamond.jp/articles/print/34979

【第273回】 2013年4月22日 加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]

米国為替政策報告書に書かれた
アベノミクスへの“真っ当な”提言

 日本の当局による為替市場での円売り介入は、2011年11月初旬を最後に実施されていない。米財務省が強く批判したことが影響している。同年12月に米議会に提出された彼らの為替政策報告書には次のように書かれていた。

「日本の単独介入は、為替市場のコンディションが秩序を保っていて、円・ドルの変動率がユーロ・ドルのそれよりも低いときに実行された。3月の地震後のG7による協調介入と異なり、合衆国はそれらを支持しなかった」

 その後、批判的な論調は消えたのだが、今年4月12日の報告書に変化が表れた。「安倍首相が12年12月16日に選挙で選ばれてからの何週間かの間、日本政府は『強過ぎる円を修正する』との声明を数多く発した」「(しかし2月のG7を経て)日本の当局は明らかに海外資産購入策を除外し、公の場では望ましい為替レート水準にコメントしなくなった」「我々は日本に対し、G7、G20で合意されたコミットメントに忠実に従い、国内手段でもって国内の目的を達成することを目指し、競争的目的のために為替レートを目標にしないよう圧力をかけ続ける」。

 国内景気対策のための金融緩和策の結果としての円安には目をつぶるが、介入や外債購入オペ、および円安誘導のための金融政策はやってはダメよ、とのメッセージがくどいほど書かれている。ウォールストリート・ジャーナルはこれを「日本への警告」と報じた。

 オバマ政権は、安全保障問題の観点から安倍政権と良好な関係を維持しようとしている。このため、アベノミクス下での円安にこれまでは「寛容さ」を示してきた。しかし、4月4日の日銀の「量的・質的緩和策」が、実際は円安誘導を主要目的の一つとしていることは誰の目にも明白である。米自動車産業の利益を代弁する議員はいら立ちを見せている。米財務省がかなり神経質になってきたことが今回も報告書に表れていた。

 ところで、この為替政策報告書は、あくまで米国にとっての利害を著したもので、他国を思いやって書かれたものではない。しかし、今回は日本に関して、意外にも(?)極めて真っ当な忠告が書かれていた。「力強い経済回復をサポートし、潜在成長力を引き上げるには、国内の競争を過度に抑制している規制を緩和して、国内経済のダイナミズムを高めるための基礎的で一貫した対策を取っていくことが日本には重要だ。(今回の日銀緩和策のような)マクロ経済への刺激策は、短期的には経済を支えるが、それは生産性や潜在成長力を高めるための構造改革に取って代わることはできない」。

 (東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
http://diamond.jp/articles/print/34964

アベノミクスでホクホクの個人投資家 第1話

3年で4800万円→約1億円に膨らました訳は

2013年4月22日(月)  日経マネー編集部 、 南 毅

 日本人の金融資産が急速に膨らんでいる。2012年11月末から13年1月末にかけて、個人投資家の8割の金融資産が増加、資産を20%以上増加させた個人投資家も2割程いることが、『日経マネー』が実施した「個人投資家調査2013」(1万人超が回答)で分かった。
 アベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)が追い風になっているのは間違いないが、金融資産を殖やした個人投資家はアベノミクス前から着実に成功投資への布石を打っていた。どのような個人投資家が短期で高収益を上げたのか見ていこう。
 初回は実地調査を含む銘柄分析で金融資産1億円達成間近のサラリーマン投資家だ。

 千葉県在住のlegendkiller123さん(仮名・41歳)は、普段はIT(情報技術)関連でソフトウエア開発に従事する会社員で、週末は「実地調査」に徹する個人投資家だ。日本株の資産を年2〜3割のペースで着実に増加させ、全体の金融資産は3年前の4800万円から1億円近くまで膨らましている。その成績を上げている訳を知りたいと、legendさんの元に向かった。

 日本株の投資歴は20年。当初は経済誌・マネー誌などを読みながら割安銘柄を探し、まずまずの成績を上げていた。だがその状態に安住しなかった。「もっと成績を良くしたい!」とlegendさんが取った戦略がメーンの投資先を外食・小売り関連に絞った。個人投資家でも勝てそうな業界をより深く研究するために、この業界に焦点を当てた。

 足元の投資成果はかなり良好だ。購入金額に対し、2桁の利益率のものが多く、2倍以上になった株もある。平日の日中は仕事で忙しく、短期の売買は困難。そのため自分で分析し投資に納得がいく銘柄に集中投資している。

外食店調査に同行、評価は…

 「これから実際にクルマで2軒の外食店を調べに行きたいと思います。一緒に行きますか」

 こう促され、記者はlegendさんの調査に同行することになった。この春のある土曜の正午ごろ。幹線道路沿いの外食店舗はどこも混雑した様子だ。クルマは東京都内のとんかつ店チェーン「かつや」に入った。アークランドサービスが運営している店舗業態だ。

 「既に私の中では損益分岐点が相当低く、利益率が高いのではないかとの仮説があります」。legendさんによると、大まかに1店舗当たり月商は約720万円。このうち食材費33%、人件費24%程度。「収益性は高いから、あとは良質なもの・サービスが提供されているかどうかを確かめたいのです」とlegendさん。

 注文したカツ丼は5分程で来た。揚げ物なので、ある程度の時間がかかるのはやむを得ない。legendさんが注目していたのは店員の配置と動きだ。「店員1人が通れる通路で注文をとり、商品を提供しています。店員の動きはかなり効率的で、持ち帰りサービスにも客が多いです」と高い評価を与えていた。


 次に向かったのはラーメン店「幸楽苑」。中華そば304円(税込み)、餃子199円(同)と低価格が売りだ。

 「ここも満席ですね」。記者が感心すると、「確かにそうですが、店内全体を1人が見渡してさばくのは難しい店舗構造では。メニューも品揃えが多く低価格で、利益をちゃんと出せていけるでしょうか」と冷静に見ていた。

 幸楽苑の2013年3月期の純利益は前期比52%減の3億7200万円。アークランドサービス(13年12月期は8%増の12億円を予想)に比べると、確かに業績は足踏みしている。

 幸楽苑には店員に腕や知識を競わせる「マイスター制度」がある。ただlegendさんの目には「戦略が中途半端に見える。より効率的な店舗運営を期待したい」と総括していた。

勝ち組は研究熱心、明確な資産配分を持つ

 「(「かつや」を運営する)アークランドサービスは継続保有、幸楽苑は購入を見合わせ」というのが、この日のlegendさんの結論だった。こうした実地調査は外食だけでなく、小売店でも実施。いま注目している銘柄は「業務スーパー」を手掛ける神戸物産。「低価格を追求した管理が素晴らしい」との感想だ。

 今後も雑誌やウェブサイト、ブログなどによる情報収集と実地調査に基づく銘柄分析で、金融資産の上積みを図ろうとしている。


 legendさんの投資スタイルは、「日経マネー」の個人投資家調査で出た勝ち組投資家の典型例だ。短期で金融資産を20%以上増やしていた勝ち組投資家の9割近くは、日本株の個別銘柄に投資。「最も重視している勉強」を複数回答で聞くと、トップは「個別銘柄の研究」(45%)で、負け組(34%)を10ポイント以上上回った。

 このほかにも、勝ち組投資家にはいくつかの傾向が読み取れる。明確な資産配分を持っている投資家は37%に達し、全体平均(32%)を上回る水準。また日本株だけでなく、外国株投資(投信を含む)の実施比率も36%と全体平均(32%)に比べ高めだ。英語力(TOEICの成績)の高さが投資成績に好影響をもたらしていることも、今回の投資家調査で分かった傾向だ。

 着実に資産の幅を広げつつ、独自の手法で勝負に挑む……。勝ち組・個人投資家のこんな姿が見て取れる。アベノミクス相場はこんな個人投資家の運用成績を大きく押し上げたことは間違いない。

※『日経マネー』個人投資家調査の概要 回答者数は1万人強。2013年2月8〜20日にインターネット上で実施。2012年の運用成績、投資スタイルなどについて尋ねた。結果分析や勝ち組投資家38人へのインタビューなどは、発売中の6月号(680円)に掲載している。

おカネはこうして増えていく

少子高齢化とかアジアの追い上げなど先行きの暗い話ばかりが目に付く日本。しかし日本は1億円以上の金融資産を持つ富裕層が170万人を超える世界最大級のお金持ち大国。お金持ちはどのようにして資産を増やしたのか。個人の投資や節約術を数多く取材してきた日経マネーが、これぞスゴ技という事例を紹介していく。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20130417/246826/?ST=print  

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01. 2013年4月22日 14:22:10 : e9xeV93vFQ
G20財務相:緩和策の副作用への警戒緩めず−日銀政策には理解 

(5段落目の円の安値を99円90銭に訂正します)
4月22日(ブルームバーグ):ワシントンで先週開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、日銀による毎月7兆円余りの国債購入計画に理解を示しながらも金融緩和政策がもたらし得る悪影響への警戒を緩めないと表明した。
19日に閉幕したG20会議の声明は「金融緩和の長期化に伴う意図せぬ副作用に留意する」と強調。一部の国・地域の刺激策が他地域の経済運営に難しさをもたらすことがよくある上に資産バブルを招く恐れもあるとの懸念に配慮した。
G20会議では、この6カ月間でドルに対し20%下落した円について韓国から新たに批判が寄せられたものの、2%のインフレ目標を2年で達成することを目指す日銀の政策に理解が得られた。
日銀の黒田東彦総裁は同会議終了後、国際的な理解を得たことで「一層自信を持って適切に金融緩和を運営していける」と語った。
日本時間22日早朝のアジア市場で円相場は下落。一時、1ドル=99円90銭を付けた。
今回のG20声明は、2月のモスクワ会議の共同声明の「競争的な通貨切り下げ」を回避するとの文言をあらためて盛り込んだものの、日本を名指しで批判することはなかった。マネタリーベースを倍増するとした日銀の計画については「デフレを止め、内需を支えることを意図したもの」だと明記。ただ財政規律の回復に向け中期計画を策定するよう日本に求めた。
円安は「副産物」
韓国の玄旿錫企画財政相はワシントンで、円安は韓国経済に甚大な影響を及ぼしていると述べた上で、先進各国に対し量的緩和(QE)と低金利の政策からの秩序ある出口戦略を準備するよう訴えた。
チリ中銀のモンテス総裁はインタビューで、拡張的な金融政策が「自己満足を生み、構造改革を妨げる」ことを懸念すると語った。
麻生太郎財務相は19日のワシントンでの講演で円安について、日本経済を「緩やかな死」に直面させてきたデフレからの脱却を目指す政策の「副産物」だと説明。G20もそれを理解していると語った。
G20財務相声明は中国人民元に言及しなかったが、「市場で決定される為替相場制度へより速やかに移行する」よう各国が取り組むとあらためて表明した。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁はワシントンで、中国は為替レート改革を推し進めると語った。
原題:G-20 Eyes Stimulus Fallout Even as Japan Bond BuyingPraised (1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 藤岡 徹 tfujioka1@bloomberg.net;ワシントン Cynthia Kim ckim170@bloomberg.net;ワシントン Joshua Goodman jgoodman19@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2013/04/22 11:13 JST


円は対ドル99円後半、G20日本の緩和容認-4年ぶり100円接近 
  4月22日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では、円が対ドルで1ドル=99円台後半で推移。先週末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、日本の金融緩和に対して理解が示されたことを受け、約4年ぶりとなる100円台をにらんだ展開となっている。
ブルームバーグ・データによると、円は対ドルで日本時間午前3時台に一時、99円90銭と11日以来の安値を付けた。しかし、100円の大台には届かず、その後は99円80銭前後でもみ合う展開となっている。午後1時10分現在は99円81銭前後で取引されている。
ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)の為替戦略グローバル共同責任者、レイ・アトリル氏(シドニー在勤)は、「われわれの見方では、円がここから下落し続けるのを止めるものはほとんどない」と指摘。「市場参加者の一部にはドル・円がもう少し長く100円以下にとどまることを期待している向きもいるため、100円手前でやや綱引きの状態となっているが、私はドル・円がいつか100円を突破すると確信している」と話す。
円は対ユーロで早朝に一時、1ユーロ=130円70銭と12日以来の安値まで下落。同時刻現在は130円48銭前後となっている。
日銀緩和に理解
G20財務相・中央銀行総裁会議は19日、ワシントンで声明を発表し、日本の緩和措置は「デフレ阻止と内需下支えを意図したものだ」と指摘した。また声明では、通貨の「競争的な切り下げ」および、「為替レートの不均衡の長期化」を回避する姿勢をあらためて確認した。
日本銀行の黒田東彦総裁はG20会議終了後の記者会見で、「国際社会の理解が得られたということは大変、日銀としても良かった」とし、「一層自信を持って適切に金融緩和を運営していける」と語った。また、麻生太郎財務相は、「日本はG20の通貨合意を守る」と述べた上で、リーマンショック前後からの円相場推移などをみれば、「円が不当に安いというのは、どの数字をもって言われるのかわれわれには理解ができない」と続けた。
IG証券のマーケットアナリスト、石川順一氏は、「G20で最大のボトルネックは外れたとみていい」とし、「円安が株高を誘発すれば、株高がさらに円安を誘発するというスパイラルにいくと思うので、100円突破はもう目前に迫っているというのは間違いないだろう」と話す。
22日午前の東京株式相場は大幅高。TOPIX、日経平均株価とも日中ベースの年初来高値を更新している。
円売り越し拡大
米商品先物取引委員会(CFTC)によると、シカゴマーカンタイル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)でドル・円先物取引非商業部門の円 の売り越しは16日時点で9万3411枚と、昨年12月以来の高水準となった3月12日以来の9万枚台に拡大した。前週(9日時点)は7万7697枚の売り越しだった。
石川氏は、100円付近では当然ドル売りも予想されるが、「簡単に突き抜けない状況が続いた後はオーバーシュートする可能性もあり、101円前半やもしくはそこを突破してさらに上にいき、乱高下する可能性もある」と指摘。「100円は新たなレンジへの攻防への移行というシグナルも含んでいる以上、市場関係者は注目している」と話す。
日銀は26日、黒田総裁の下で2回目の金融政策決定会合を開く。関係者によると、日銀は同日公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、14年度の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)の前年比上昇率の見通し(中央値)を0.9%から1.5%以上に上方修正することを検討している。2年で2%の物価目標を実現するとの方針と整合的な見通しを示す。
ユーロ相場
一方、ユーロ・ドル先物取引非商業部門のユーロ の売り越しは2万9764枚と前週の5万858枚から縮小した。2週連続の縮小で、2日時点では昨年11月下旬以来の高水準となる6万5701枚まで拡大していた。
イタリアでは次期大統領の選挙で、現職ナポリターノ氏の続投が決まった。各党指導者から再び立候補するよう求められ、土壇場で要請を受け入れた。同国では総選挙後、新政権発足で政党間の合意が成立せず、2カ月にわたって混乱が続いてきたが、現職大統領続投が事態の打開策となる可能性もある。
ユーロ・ドル相場は16日に一時1ユーロ=1.3202ドルと2月25日以来の水準までユーロ高・ドル安が進んだが、その後1.30ドル台へ反落。週明けの東京市場では1.30ドル後半でユーロが小じっかりの展開となっている。
NABのアトリル氏は、「イタリアの再選挙の必然性が回避できるのなら、週末の進展はその意味でポジティブだと思う」とし、それが「多少ユーロのサポート材料になっている」とみている。 
記事についての記者への問い合わせ先:東京 小宮弘子 hkomiya1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net;Rocky Swift rswift5@bloomberg.net
更新日時: 2013/04/22 13:14 JST


 


 

コラム:REIT高騰に続くか、マンション投資の鉄則=竹中正治氏
2013年 04月 19日 17:04

為替フォーラム
焦点:ボストン爆破事件の「思わぬ産物」、米ロ関係に改善の兆し
今週のドル/円は100円回復も、生保運用計画を注視
ドルとユーロが対円で上昇、日銀異次元緩和への理解受け=NY市場
円安加速し99.68円、麻生財務相・黒田総裁発言受け

竹中正治 龍谷大学経済学部教授(2013年4月19日)

前回のコラムで日本の不動産投資信託(REIT)市場が再びミニバブル的な高騰を起こす可能性を指摘したが、まさにその通りの展開になってきた。

3月以降のREIT相場は賃料収入との比較、予定配当利回り、あるいはP/NAV指標(投資口価格/1口当たりの純資産額)など、いずれの指標でみても、ますます割高になっており、その割高度は2007年の前回ピーク時に匹敵するか、それ以上だ。

一方で、個別の商業ビルやマンションなどの現物の不動産物件の価格は、統計データで見る限り昨年の水準と比較して今のところ目立った上昇は示していない。たとえば、東京都区部の中古マンション価格指数(IPD・リクルート住宅価格指数)は12年12月時点で底を打ったものの、13年2月時点では底値から0.2%の上昇にとどまっている。オフィスビルでは一目でわかる適当な指数がないが、各種不動産レポートを読む限り概ね同様の状態だ。

ところが、東証REIT指数は前年同月比で今年2月末は38.1%、3月末では66.0%と高騰している。ご存じの通り、REITは商業ビルやマンションなどの賃料収入を主に配当するファンドであり、その資産は収益不動産そのものであるにもかかわらず、REITと現物不動産の間に著しい価格の乖離(かいり)が起こっているのだ。なぜだろうか。

<REIT相場の先行、個別物件の遅行>

その理由の筆頭に考えられるのは、個別不動産とREIT市場の流動性の違いだ。いつでも即座に売買できるREIT市場の流動性の高さは、投資家の先行きへの期待を反映して実体経済に比べて先行的な変動を生み出す。

もちろん、投資家のセンチメントは悲観・楽観双方に同調的かつ過剰に振れやすいので、底値と高値の振れ幅も大きくなる。経済学のテキストが語る「合理的期待形成仮説」とは異なり、市場の高い流動性は資産価格の過大評価や過小評価の度合いに拍車をかける面があるのだ。

また、今REITを買っている投資家層の合理性にも問題がありそうだ。価格の合理的な判断ができない大衆的な資金が、投資信託や地銀などからREITに流入している(銀行の投融資を「大衆的資金」というのはやや奇妙かもしれないが、事実そうした投資行動をしてきた)。

しかし、商業ビルやマンションなど個別の収益不動産価格とREITの市場価格の乖離は今に始まったことではない。東証REIT指数は、公表が開始された03年3月から04年12月までに約48%も上昇しているが、たとえば同じ期間に東京都区部の中古マンション価格指数は3.3%しか上昇しなかった。

その後、REIT価格指数はそこからさらに77%も高騰し07年5月にピークをつけるが、同マンション価格指数も遅れて30%余り上昇し08年2月にピークをつけた。つまり、REIT相場の先行、個別物件の遅行という関係があるのだ。そこで、同マンション価格指数に対してREIT指数(いずれも前年同月比変化)を6カ月先行させて相関関係を示したのが下の図である。

両者の相関係数は0.765とかなり高い(正の相関係数は0から1の値をとり、1の時は完全な比例関係になる)。今回もこの相関関係が働くならば、今後マンションなどの個別の不動産物件価格も数カ月遅れながら上昇が始まることになる(図中の赤線の方向への変化)。

実際、不動産業界関係者に話を聞くと、今年に入ってから都心部を中心に不動産投資マネーの動きが明らかに活発化しており、売り手も次第に強気になり始めているという。実体経済の景気回復が持続する限り、今後数カ月のうちに現物不動産価格の上昇がデータでも明瞭に確認できるものになるだろう。

ちなみに、REITについて付け加えれば、不動産証券化協会の3月のレポートによると、海外投資家は12年12月に200億円ほど買い越したが、その後は目立っていない。買い手の筆頭は投資信託で2月約400億円、3月約200億円の買い越し、次いで民間銀行が両月とも約200億円余り買い越している。

「日銀がREITも買ってくれる」という期待もあるようだが、政策発表で表明されている通り、その規模は年間で300億円に過ぎない。今後景気回復が続けば、賃料の上昇と空室率の低下でREITの収益も増加するが、その増加率は景気変動に伴う一般企業の純利益の変化よりもずっと穏やかなものだ。

結論として、今の局面で合理的な投資選択は、すでに著しく割高になったREITから、まだ相対的に割安に放置されている個別不動産物件にシフトすることだろう。

<マンション投資「5つの鉄則>

では、こうした状況をふまえた上で、どうすればマンション投資で成功できるのか。投資のご判断はくれぐれも全て自己責任でお願いしたいが、少なくとも以下の「5つの鉄則」を肝に銘じる必要があると、筆者は自身の投資経験から考えている。

東京都心のマンションを念頭に順番に説明しよう。

1.買うのは不況時、売るのは好況時

これは株式を含むリスク性資産全般の長期投資に適用できるルールだ。価格に比べて賃料の変化ははるかに安定しているので、不況で価格が下落した局面では賃料のリターンは上がり、好況時には下がる。たとえば、高騰したREITの配当利回りは現在では平均3%そこそこだが、昨年暮れ前までは6%を超えていた。賃料のリターンが上がった時にこそ買えば良いのだ。実に簡単な投資方針なのだが、実践できる方はなぜか少ない。

不況時ほど心をときめかせて、ショッピングしよう。そうした局面は、リーマンショック後では09年と12年だった。現在は景気の回復は緒についたばかりなので、まだ間に合う最終局面かもしれない。実際、足元のデータ(東日本不動産流通機構)では、今年1―3月期の東京23区の中古マンションの平米当たり単価は前期比2―3%の上昇に転じており、潮目の変化を感じる。

2.中古マンションを十分に物色して安く買う

新築マンションは一般に価格の2割前後が「新築プレミアム」である。一度でも入居すれば直ちにプレミアムは剥げ落ちる。したがって、投資の経験者は(特殊な事情で例外的に安く売りに出る場合を除いて)新築物件は買わない。

当然のことだが、投資の基本は割安で買い割高で売ることだ。しかし、規模や築年数、質も異なるマンションの価格をどうすれば適正に見抜けるだろうか。そのためには、将来にわたって得られる純賃料収入を自分が求める投資リターン(割引率)で割引いて、その現在価値を算出すること(ディスカウント・キャッシュフロー法)で適正価格を判断できる。あるいは、逆にキャッシュフローから内部収益率(IRR)を計算する方法が合理的だ。

こうした計算はエクセルを利用すれば簡単にできるが、それでも「算数は苦手なので・・・」という方は、年間の純賃料(経費差引後)を購入価格で割る、以下のキャップレート方式で割安、割高の大よそのめどをつけることができる。

まず購入を検討する物件の賃料水準を確認する。様々な物件の価格や賃料水準は今日ではインターネット上の各種不動産検索サイトで調べることができる。

すでに賃借人が入っている物件なら、とりあえず現在の賃料から「管理費」「修繕積立金」「固定資産税」などを引いて純賃料を出して12倍すれば年間純賃料収入になる。それを提示されている購入価格で割って利回りを求めるだけだ。

ただし、築年数の古い物件ほど資産としての寿命は短くなるので、高いキャップレートを適用しなくてはならない。東京都心の物件では、大雑把に言って、築10年までの中古なら6%前後、築10―15年なら7%以上を現在の目安にしよう。自分が目標とするキャップレートが出る水準まで価格を値切ればよい。

3.空室リスクの低い物件を選ぶ

筆者は都区部の駅近徒歩数分の物件しか投資の対象にしない。不便なロケーションや郊外の物件なら賃料の表面利回りがもっと高い物件もあるが、それは空室リスクの高さと裏腹だ。ローンで買った場合は、賃料収入を得られない期間はローン返済の元利金を全部自己資金で負担することになる。それを払えずに破綻する個人もいる。他に本業がある個人投資家にとっては心理的・経済的ストレスが最小限ですむ投資法が適している。したがって、空室リスクの低い物件を選ぶことが大切だ。

4.2―3割は自己資金を用意し、金利も比較して銀行から低い金利で借りる

この点「プロでない限り、借入を伴う投資はリスクが高いので一般個人投資家は手を出すべきではない」と考えている方々が圧倒的に多い。しかし、もし本当にそう考えるなら、居住目的で不動産を購入する場合にも住宅ローンを利用するのはリスクが高過ぎるので、すべきではないということになる。自分が失職して所得が大幅に減少した場合には返済不能になるからだ。

一方、借入を伴う投資目的の場合は、適当な額の頭金さえあれば、後は家賃収入で返済できる。空室になって家賃収入が一時的に途絶えた時のみ自己資金の追加投入が必要になるだけだ。その時に自分の所得が大幅に減少していなければ返済を持続できる。

つまり、自己居住目的の場合、ローン(「住宅ローン」と呼ばれる)の返済は自分の所得のみに依存するが、投資目的の場合のローン(「アパート・ローン」と呼んで区別される)の返済は賃借人の所得と自分の所得の二重の源泉で担保されている。したがって、返済不能になるリスクは自己居住の場合よりも低いはずだ。

しかも、超低金利の今日、賃料収入のリターンが借入金利を上回る結果、借入を利用すると自己資金部分のインカム・リターンはとても高くなる。これが、「金融レバレッジ」の効果だ。

たとえば、3000万円のマンション(純賃料リターン6%)を自己資金1000万円、銀行借入2000万円(借入金利2.5%)で購入した場合、ネット受取り所得(賃料収入から利息支払いを引いた額)は130万円となり、自己資金1000万円に対する投資リターン(ROE)は13%になる。図式で示せば、ROE=純賃料利回り+(純賃料利回り−借入金利)×レバレッジ比率だ。レバレッジ比率は、いわずもがな、借入金額を自己資金で割ったものである。

銀行から好条件の借入れをするためには、まずあなたが別の本業で相応の所得があること、そして投資の2―3割程度は自己資金を用意することだ。その上で複数の銀行に借入を打診すれば、中期の固定金利で2%程度は出てくるだろう。今後デフレが終焉すれば金利は上がる。つまり、今の金利が低いからと言って変動金利で借りると金利コストが将来上がる。したがって、3―5年程度の固定金利約定で借りるのが良いだろう。

ローン期間自体は家賃収入で無理なく返済できる10年から20年程度に設定するのが妥当だろう。この種の個人向けローンは毎月の元利支払いが同額となる元利均等返済となる。その計算には銀行の住宅ローンのサイトなどにある計算ツールが簡単に利用できる。

「金融レバレッジ」は2000年代の米国の住宅バブル発生と崩壊の元凶として強調されたので、条件反射的に危険視する方もいるだろうが、「何とかとハサミは使いよう」のたとえ通り、資産価格が落ち込んでいる時に利用すれば有効なツールであり、反対に資産価格高騰局面で使えば我が身を切る刃物になるというだけのことだ。

近年でも05―07年頃にマンション投資をして、賃貸人が出て空室になった時に、元利金が払えなくなって個人破産したり、銀行との交渉で購入物件の任意売却を余儀なくされる人も増えているようだ。そうした事例を聞くと、本稿で述べている5つの鉄則(ルール)を破っているケースばかりである。

つまり、割高な新築マンションを僅かな頭金のみで(あるいは全額借入で)、売り手業者の言い値で購入し、借入金利も高く、空室時に自分でローン返済をする余裕がないというケースだ。銀行は十分な頭金(めどとして購入資金の2―3割)のない借り手へのローンは返済不能になるリスクが高いので、それに見合った高い金利を適用する。こういう条件がそろうと、失敗はほとんど必然だ。

とりわけ素人がやる典型的な過ちの一つとして、自己資金なしで、つまり購入金額全額をローンで賄い、しかも月々のキャッシュフローで自分の払いが出ないようにしようとすることだ。これは合理的な投資の立場からは全く意味がない。むしろ自己資金がない分だけ、ローンの返済期間は長くなり、適用金利は高くなる。合理性のある投資とは、キャッシュフローの単純な出入りではなく、キャッシュフロー全体の内部収益率(IRR)を高めることだ。

5.ワンルームよりも大きめのマンション投資を優先する

20平米前後のワンルーム・マンションは「住むために買う人」が存在しない市場だ。将来売りたいと思っても、購入層はあなたと同じでみな賃貸運用目的の投資家ばかりだから、賃料の利回り計算をする。その結果、マンションの市況が良くなっても価格はなかなか上昇せず、老朽化による減損分だけ下がり続ける傾向が強い。どうしても買うなら、最後まで持ち切ってペイする価格で買う必要があろう。

ところが、もう少し大きな物件、40―70平米だと居住目的で購入する層がいる。こうした方々の多くは本稿で紹介した利回り計算などせずに「お値段が手頃で、気にいれば買う」という投資合理性の低い行動をとっている。ただ、そのおかげで高めの価格で売れる可能性が高い。投資の世界は情報と合理性で武装した者が優位に立つ世界だ。

最後に言い添えると、賃料集金を含む各種資産管理業務は専門の業者に委託するのが普通だ(委託手数料は賃料の3―5%程度)。多くの仲介業者は資産管理サービスも兼ねている。ある程度の業歴を有する信用できる会社を選ぶのは当然のことである。

*前回のコラムはこちら(here)

*竹中正治氏は龍谷大学経済学部教授。1979年東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、為替資金部次長、調査部次長、ワシントンDC駐在員事務所長、国際通貨研究所チーフエコノミストを経て、2009年4月より現職、経済学博士(京都大学)。

ソニー、米国本社ビルの売却完了=関係筋 2013年3月17日
シンガポール・ホットストック=SPHが高い 2013年3月11日
コラム:「REITバブル」再来の可能性=竹中正治氏 2013年2月20日
コラム:「1―2%インフレ」なら株価はどこまで回復するか=竹中正治氏 2013年1月11日


02. 2013年4月22日 22:38:16 : e9xeV93vFQ
インフレは「かなり大幅に」低下しつつある=ECB副総裁
2013年 04月 22日 19:55

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アングル:国債より社債選好の投資家、週1兆円の発行を難なく吸収
[フランクフルト 22日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)のコンスタンシオ副総裁は、ユーロ圏のインフレが「かなり大幅に」低下しつつあり、利下げの是非を決める上で重要な要因となっているとの認識を示した。

金融情報サービス会社マーケット・ニュース・インターナショナル(MNSI)が22日、報じた。

ユーロ圏では、中核国の経済指標も低迷。3月のインフレ率は1.7%に低下しており、市場ではECBの利下げ観測が強まっている。

副総裁は「インフレはかなり大幅に低下しつつある。これは当然、われわれにとって重要な要因だ。常に最初にインフレを考慮するからだ」と指摘。

「同時に、経済には引き続き低迷の兆しが見られる。これが現状だ。したがって、次の理事会では、最新情報を検討し、決定を下す」と述べた。

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アングル:国債より社債選好の投資家、週1兆円の発行を難なく吸収
2013年 04月 22日 16:42 JST
[東京 22日 ロイター] 社債市場の需給がひっ迫している。黒田日銀の「異次元緩和」で混乱が続く国債市場を敬遠し、比較的利回りの高い社債を選好する投資家が増えているためだ。

前週は起債総額が異例の1兆円近くに膨らんだが、難なく吸収。国債金利低下による運用難に加え、アベノミクス効果で企業の業績改善期待が高まっていることも、社債投資を後押ししている。

前週の社債市場では、九州電力(9508.T)が650億円、東北電力(9506.T)と関西電力(9503.T)が各500億円、日産自動車(7201.T)が1100億円、セブン&アイ・ホールディングス(3382.T)、NTT(9432.T)、みずほコーポレート銀行が各1000億円──と大型起債が相次いだ。

総額は1週間で9600億円と1兆円規模に達したにもかかわらず、電力債の中には発行額の2倍もの資金が集まった銘柄もあった。NTTは発行額を当初の700億円程度から1000億円に増やすなど、発行額を当初の予定から増額した銘柄も目立った。国債の7割を購入するという黒田日銀の大規模緩和で、国債市場のボラティリティが上昇、投資家が社債への選好を強めたことが背景だ。

本来なら、社債スプレッドのベースとなる国債金利が乱高下する異常事態となれば、投資家は社債の買いも手控える。しかし、国債利回りが低下し運用難状況が深刻化する中、保険会社の債券運用担当者は、新年度の資金運用に悩んでいるのが実情だ。年限を長期化するデュレーションリスク、社債や外債などのクレジットリスクを許容していかないと、十分な債券運用益は得られにくい。

前週の社債市場では「地方の投資家などは、高ボラティリティで恐怖感が芽生えた国債を売却。年限を短くしリスクを抑えながらもスプレッドが乗っているクレジット(社債)に乗り替える動きが出ていた」(国内金融機関)という。

大和証券のチーフクレジットアナリスト、大橋俊安氏は「(社債の)ベースとなる国債金利は落ち着ききっていないものの、プラスアルファの利回りを取れる社債にポートフォリオ・リバランスしなさいというのが日銀のメッセージ」と指摘する。

2013年3月期決算発表が今週後半から本格化するため、社債の起債は5月の連休明けから再開される。歴史的な低金利環境と機関投資家の運用ニーズの高さを背景に、かなりの高水準になる見通しだ。NTTは前週、期間10年で利率0.69%と、同社として過去最低の水準で起債に踏み切ったが、「企業がこれだけの低コストで長期資金を調達できる起債環境は未来永劫ないかもしれない」(国内証券の債券関係者)との声もある。企業が社債発行の絶好のチャンスとみる可能性は大きい。

運用する機関投資家も預貸ギャップが広がる中で、債券投資意欲は旺盛だ。「グローバル経済の持ち直しとアベノミクスによる円安効果で企業の収益拡大期待が高まっていることも、クレジット投資を後押ししている」(国内金融機関)という。社債発行による調達資金は償還目的が多く、前向きな投資に結びつくかはまだ不透明だが、国債に集中していたマネーを解きほぐすアベノミクスのポートフォリオ・リバランス効果は徐々に出始めている。

(ロイターニュース 片山直幸 星裕康 編集;伊賀大記)

 
為替は1ドル100円辺りが限度か=経団連会長
2013年 04月 22日 17:08 JST
[東京 22日 ロイター] 日本経団連の米倉弘昌会長(住友化学(4005.T)会長)は22日の定例会見で、ドル/円相場が100円近辺で足踏みしており「このへんが限度かなという気もする」と語った。

また、日銀による大胆な金融緩和が企業の設備投資を国内外で促進するとの見方を示したが、ドル100円付近までドル高/円安が進み「海外投資は成長分野を除き、なかなか難しくなる」と述べた。国内投資についても実需が顕在化し、景気が成長軌道に乗るとの自信が経営者に広がることが条件になるとの考えを示した。

「金利がこれほど下がっても投資があまり動いていない。実需が増大するとまだみていないということだろう」と語った。

ただ、経済には明るい兆しがみえており、「実需が実体経済として加われば、経済はもっとよくなると期待している」とも述べた。規制緩和、総合特区の設立、地域経済の活性策など総合的な対策を打ち出せば「かなりの確度」で実需に結び付くとの見通しを示した。

(ロイターニュース 大林優香;編集 田中志保)


 
アングル:商品価格が下落、世界経済に好影響も
2013年 04月 22日 17:41

[ロンドン 21日 ロイター] 原油などの商品(コモディティ)価格が下落している。市場では、航空運賃や食料品の値下げ、企業の利益率向上など、世界経済にじわじわと好影響を及ぼすのではないかとの見方が出ている。

商品市場には、過去10年間で約4000億ドルの投資資金が流入したが、各国中銀の金融緩和にもかかわらず、世界経済の回復の足取りは重く、S&P・GSCI商品指数.SPGSCITRは今年に入り、6.6%下落している。

商品価格の下落は、サウジアラビアやブラジルなど資源国の経済にとってマイナス要因だが、天然資源の純輸入国にとっては朗報となる。

ABNアムロのエコノミスト、ハン・デ・ジョン氏は、商品価格の下落について、物価下落が個人消費の下支え要因になるため、全体でみれば世界経済にプラスだと指摘。

ただ、大半の企業では、原材料コストはコスト全体のごく一部を占めているに過ぎず、特に競争が激しい業界では、利益率向上につながらない可能性もある。

<金よりも原油に注目>

商品市場では、今月15日に金が30年ぶりの急落を演じ、市場関係者の注目を集めたが、世界経済にとっては、原油価格の下落のほうがはるかに重要な意味を持つ。

北海ブレント原油先物は2月8日につけた年初来高値1バレル=119.17ドルから約16%値下がりしている。

JPモルガンは、原油価格が供給増加を背景に15%下落すれば、今年の世界経済成長率が0.2%ポイント押し上げられると予測。

ただ、原油価格の下落が経済見通しの悪化を反映したものであれば、同じ15%の下落が、今年の世界経済成長率見通しの0.5%下方修正を意味するという。

<中国、インド、インドネシアに恩恵>

食品価格の下落は、インドネシアなど高インフレ国で特に歓迎されるとみられる。

インドネシア中銀の副総裁は、食品価格の下落で、4月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前月比0.1%未満になると予想。

中国でも、インフレ圧力の低下で、政策発動余地が広がるとの見方が出ている。

中国社会科学院の袁鋼明研究員は「国際商品価格の下落は中国にとって明らかに朗報だ。輸入インフレ圧力が低下すれば、与信拡大・金融緩和の余地が大幅に増える」と述べた。

インドでは、商品価格の下落が、インフレ抑制に加え、「双子の赤字」の削減につながるとの期待が出ている。

インドの輸入(金額ベース)の約45%は原油と金。さらに政府は、燃料や肥料に多額の補助金を支給しており、商品価格の下落が経常赤字と財政赤字の削減につながるとの見方が出ている。

半面、資源国のオーストラリアは「負け組」となりそうだ。

同国は、アジア向けの鉱物・エネルギー輸出で20年以上にわたってプラス成長を維持してきたが、政府はすでに、商品価格の下落と豪ドル高を受けて、税収予測を下方修正している。

( Alan Wheatley記者;翻訳 深滝壱哉 編集 吉瀬邦彦)

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03. 2013年5月09日 19:28:29 : nJF6kGWndY
コラム:アベノミクス成長戦略に「異次元」は必要か=熊野英生氏
2013年 05月 9日 18:29

為替フォーラム
アングル:みずほコーポが長プラ引き上げ、異次元緩和で金利は上昇
焦点:トルコが目指す自前の原子力産業、人材育成が鍵
焦点:破綻債権ファンドが狙うデトロイト市、地方政府に照準移す
4月の中国CPIは前年比+2.4%:識者はこうみる

熊野英生 第一生命経済研究所 首席エコノミスト(2013年5月9日)

5月に株価が下がるという「アノマリー(季節的規則変動)」も、今年に限って成り立たないということなのだろうか。大型連休が明けて日経平均が急上昇している。逆に今後、何かのイベントが期待外れになりはしないか、といぶかしく思ってしまう。これは、高所恐怖症の心理なのだろう。

当面のイベントを確認すると、5月は企業決算、6月は安倍晋三政権の成長戦略、7月は参議院選挙という予定がある。この中で、最も期待されていて、実際はサプライズがなさそうなのは、成長戦略である。

これまでの政策運営は、2月の日米首脳会談、3月の環太平洋連携協定(TPP)参加表明、4月の金融緩和と、経済分野では立て続けにサプライズを連発してきた。黒田東彦日銀総裁の采配は、円安・株高を後押しする起爆剤になったこともあり、異次元緩和と呼ぶ人もいる。同様に、経済成長戦略は「異次元」と称されるほどにポジティブ・サプライズを演出できるのだろうか。

<「今回は違う」は成り立つか>

成長戦略に関しては、慶応大学の竹中平蔵教授が鋭い指摘を行っている。「過去7年で7回の成長戦略が作られたにもかかわらず十分な経済成長が実現しなかった」(日本経済研究センター「竹中平蔵のポリシー・スクール」3月22日)というものだ。「成長戦略」という名称を冠したプランは、2006年以降、年中行事のように作られては大部分が忘れられている。現状、多くの企業経営者・ビジネスマンが期待を寄せるアベノミクスの成長戦略に限っては、「今回は違う」が成り立つのだろうか。

過去の成長戦略なるものが登場してきた経緯を述べておこう。06年6月、小泉純一郎自民党政権の末期に新経済成長戦略が策定された。これが、「成長戦略」という表現が意識的に使われた最初であり、その流れが民主党政権を経て、現在に続く。06年以降の成長戦略は単に決意表明として作成されただけではなく、きちんとプランの進捗状況が検証されてきている。

08年9月の「新経済成長戦略 フォローアップと改訂」では、全53分類の個別具体的な進捗状況について記され、さらに今後の取り組み方針まで描かれている。この報告では、新経済成長戦略の実施により期待される成長率(04―15年度平均)として、実質2.2%成長とされている。また、施策が実施されなかった場合は、実質0.8%成長に止まるとある。ちなみに、リーマンショック前の04―07年度の平均実質成長率は1.75%だった(04―11年度単純平均0.6%)。それなりに成長戦略は実施されたものの、その成果はあまり大きなものではなかったことが分かる。

実は、成長戦略に類似したものに、小泉政権下でとりまとめられた「骨太の方針」がある。01年から09年まで続けられた。予算編成では特別枠が設けられて、「骨太の方針」に盛り込まれた内容が予算化された。この時代の前半は、成長戦略という言葉の代わりに、構造改革という似た言葉もあった。

さらに、遡ると、55年から5カ年計画として「経済計画」が策定されている(48年と49年には2回の「経済復興計画」)。池田勇人内閣の「所得倍増計画」(60年)や、宮沢喜一内閣の「生活大国5カ年計画」(92年)を記憶している人も少なくないだろう。最後は、99年の小渕恵三政権の政策指針が存在し、それから「骨太の方針」や成長戦略に代替わりした。

こうして歴史を鳥瞰(ちょうかん)すると、日本人は「計画」や「戦略」が好きであると理解すべきなのかもしれない(中国や欧米にもあるが)。

<成長戦略は「魔法の杖」ではない>

注意深く考えてみると、多くの人が期待する「成長戦略」なるものには、いくつかの誤解がある。その誤解を解きつつ、成長戦略の特徴を正しく捉えると、以下の3点にまとめられるだろう。

第1に、何か計画を立てれば、定量的な経済効果が得られるというものではないということ。第2に即効性を期待することはできないということ。第3に、企業間の競争を通じて摩擦を伴いながら、結果的にプラスが得られるということだ。

TPP参加についても、日本の経済成長と同じように、業界によってプラスとマイナスのコントラストが現れるであろうし、政府ができることは民間企業の競争環境を整備することに限られる。経済効果に関しても、たとえ政府の公式見解として○○兆円の実質GDPの押し上げが見込まれると、試算値が出たとしても、そうした計算値は大雑把な目処でしかない。

卑近な例を挙げると、企業が何をすれば稼げるかは、先見的には分からない。これをすれば商売は失敗するという事例はあっても、これをすれば商売が成功するというプランはない。馬を水飲み場に連れて行くことはできても、馬が水を飲むかどうかは、馬次第である。分かっていることは、好ましいかたちで競争が促進されれば、創意工夫が生まれて結果的に成長が得られるという経験論である。つまり、「異次元の成長戦略」というものは原理的に成り立たない。

よく考えたいのは、成長戦略の位置づけである。成長戦略は「魔法の杖」でないことを戒めたい。成長戦略とは、あらかじめ確定的な成果が得られなくとも、企業の競争環境を整備するために積極的に推進されるものであろう。重要なのは、環境づくりとして何をするかである。

<誰の話を聞くか>

歴代政権が策定してきた成長戦略は、政府が主導して内容を選んだものである。これは、政府自身が規制緩和の当事者であることとも関係している。しかし、民間企業の活動を制約している規制に関しては、政府よりも民間企業自身が一番よく知っている。

政府は、民間企業が考えている競争制限的な規制について、真摯に耳を傾ける必要があろう。たとえば、企業活動を制約する問題として「六重苦」ということがよく言われる。円高、法人税率の高さ、自由貿易協定の対応の遅れ、労働規制、環境規制、電力不足の6つである。アベノミクスは6つのうち、円高と自由貿易協定には対応しているが、まだ残り4つは成果が得られていない。

また、日本経団連は、規制改革要望を毎年作成している。政府は、民間企業の要望についてすべてを鵜呑みにすればよいわけではなく、第三者の視点から競争環境の整備に資する内容を選択することが求められる。

アベノミクスの中核になる成長戦略については、たとえ市場のサプライズを演出できなくても、それが「不断の構造改革」の入り口であると理解されればよい。

今後、海外からの対日株式投資を増やしていくためには、一過性のサプライズよりも、安倍政権がその求心力を高めつつ、日本企業の収益拡大を持続させることである。

現下とよく似ているのは、05年8月から06年5月までの対日株式投資の拡大である。始まりは、小泉首相が郵政解散を行って騒然とした時だった。その後、景気拡大が進んで株価は上昇した。今後のイベントリスクに関しては、より持続的な政策期待へとスイッチしていくことが望まれる。

*熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。

 
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アングル:みずほコーポが長プラ引き上げ、異次元緩和で金利は上昇
2013年 05月 9日 15:29 JST
[東京 9日 ロイター] みずほコーポレート銀行が9日、大企業向けの融資金利の指標となる長期プライムレート(最優遇貸出金利)を、現行の年1.20%から0.05%引き上げ、年1.25%にすると発表した。

2カ月連続の引き上げは2010年11、12月以来。5月から住宅ローン金利も4カ月ぶりに引き上げられており、日銀が異次元緩和を打ち出したのに反して金利はかえって上昇している。

異次元緩和は、政府が市場で発行する国債の約7割を買い取る大規模なものだったことなどから、4月4日の政策公表後、国債市場では需給が一時的に崩れ長期金利が乱高下。10年物国債の利回りは一時0.315%まで急低下した後に0.64%まで急上昇。現在は異次元緩和公表前の3月後半よりも高い0.6%前後で推移している。

このため3メガバンクは5月から住宅ローン金利を4カ月ぶりに引き上げている。5月の固定10年型の最優遇金利は、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行が1.4%と4月より0.05%高くなる。

日銀の異次元緩和は国債の大量購入を通じて長期金利を押し下げ、個人の住宅購入や企業の設備投資を促すのが狙いの一つ。住宅ローン金利や長期プライムレートの上昇が続けば、日銀の意図が十分には実現しないことになる。

黒田東彦総裁は4月26日の定例会見で4日以降の金利上昇について「0.1%の付利を撤廃・引き下げるのではとのスペキュレーションがなくなった結果、金利が少し上がった要素もあるかもしれない」と説明。「国債を全期間にわたってバランスよく購入することで、利回り曲線全体に働きかけるとの趣旨を徹底する」と長期金利を抑えていく意思を強調した。

ただ、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「異次元緩和で長期金利の水準は決して最終的なターゲットではない」と指摘。「株価が上昇したり円安が進行するならば、結果的に長期金利がもとの水準よりも多少高くなったとしても日銀や政府があえて問題視することはないだろう」とみている。

(ロイターニュース 竹本能文:編集 内田慎一)


 


4月の中国CPIは前年比+2.4%:識者はこうみる
2013年 05月 9日 11:59 JST
[北京 9日 ロイター] 中国国家統計局が発表した4月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%上昇し、2.1%の上昇だった3月から伸びが加速した。市場のコンセンサス予想を上回り、第2・四半期にインフレ圧力が高まるとの懸念が拡大している。

生産者物価指数(PPI)は前年比2.6%低下。3月は1.9%低下していた。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●今年インフレは落ち着く見通し

<SHENYIN & WANGUO SECURITIES(上海)のエコノミスト、LI HUIYONG氏>

主に食品価格の上昇により前年比のCPIは小幅上昇した。生産者物価指数(PPI)低下ペースの加速は実態経済における需要減退を示している。

内需の弱さや設備過剰問題を背景に、インフレは今年、一般的に落ち着く見通しだ。これにより、景気回復を達成する一段の余地が政策当局者に生まれる。

●PPIの低下、余剰生産能力の問題示す

<OCBC銀行(シンガポール)の中国担当エコノミスト、DONGMING XIE氏>

消費者物価では上昇圧力がある一方、工業製品にはデフレ圧力がかかっている。生産者物価指数(PPI)は14カ月連続で低下しており、前年比での低下幅は4月に拡大した。明らかに余剰生産能力の問題を示すものだ。

中国の緩やかな回復傾向を踏まえると、消費者物価指数(CPI)については上昇圧力を即座に懸念する必要はない。ベース効果で、CPIの上昇率は6月に前年比3%超となる可能性があるが、その後半年間で目標の3.5%を大幅に下回る水準を維持するはず。

政策については、余剰生産能力の問題に取り組むための改革が現在の優先事項だと考える。そうしてマクロ政策からミクロ政策へと焦点が移ることになる。金融政策は今年、維持されるだろう。

●金融政策は今後も緩和的に

<ANZ(上海)の中国担当エコノミスト、ZHOU HAO氏>

5月の消費者物価の伸びは、前年との比較の影響もあり、若干加速して3%程度となるだろう。

中国の景気回復はまだぜい弱で、金融政策は今後も緩和的だろう。


 

 


 


焦点:破綻債権ファンドが狙うデトロイト市、地方政府に照準移す
2013年 05月 9日 13:47 JST
[8日 ロイター] 過去20年間に破綻企業に投資し、「ハゲタカ」と非難されることもあったディストレス債専門のヘッジファンドが、今度は財政の悪化した市や郡に狙いを定める可能性がある。中でも注目の的はデトロイトだ。

米連邦準備理事会(FRB)の低金利による恩恵もあって、大きなもうけが期待できる企業の破綻が鳴りを潜めたため、地方債市場への関心が突如として高まっている。

地方政府への投資は社債投資とは異なるリスクもはらむが、それでも一部ファンドは既に数億ドルの投資に乗り出している。

裁判所の記録によると、モナーク・オルタナティブ・キャピタルはアラバマ州ジェファーソン郡の債権を6億ドル以上購入した。

しかしデトロイトほど魅力的な場所は他にない。デトロイトの長期負債は86億ドルで、仮に最終的に破綻申請するとなれば最大級の企業破綻に匹敵する規模だ。一度に数億ドルを投資するのに慣れた大手ヘッジファンドにとってこれは、大きな利点となる。

債務規模だけを考えても、ファンドは(1)非常にまとまった額の債券購入(2)潜在的利益の最大化(3)調査・アドバイザリーのコスト削減(4)債務再編交渉に入った際の影響力行使──が容易になる。

デトロイト市の非常時管理責任者ケビン・オー氏の報道官は、同市は財政再建の方法を依然検討中であり、ヘッジファンドからの投資打診は一切承知していないと述べた。

デトロイトはかつて米国で5番目に大きい市で、産業の中心地だった。しかし現在、人口はピーク時の180万人から70万人に急減し、その3分の1は貧困層。街灯などの基本的公共サービスも破綻している。ミシガン州のスナイダー知事は3月、デトロイト市の財政立て直しに向けて企業破綻専門家のオー氏を任命した。

デトロイト市が破綻申請しないとしても、債務再編の可能性は高く、ヘッジファンドに収益機会がもたらされそうだ。

<デトロイトへの道>

ヘッジファンドと取引のある財務アドバイザーや債務再編コンサルタント、弁護士らがロイターに語ったところによると、彼らは利益の大きい投資方法を見定めようと問い合わせに対応したり、書類を調べたり、場合によってはデトロイトに飛ぶなどしてきた。

地方政府に再建について助言するブラント・ポイント・アドバイザーズの創設者、マーティ・コパツ氏は「だれもがデトロイトに入る道を探している。これは新しく、特異な現象だ」と語る。

通常は口の堅いディストレス債ファンドのマネジャーらも、デトロイトについて調べ回っていることを確認した。

ストーン・ライオン・キャピタルの創設者、アラン・ミンツ氏は「他のファンドと同様、われわれもデトロイトを狙ってきた」と話した。

米企業は手元資金が潤沢になり、債務不履行や破綻、清算はほとんど姿を消した。対照的に、米国の市や街の中には、好況時に約束した給与や年金の支払いに苦心する例が少数ながら見られ、今後その数は拡大する可能性がある。

ジェファーソン郡以外にも、カリフォルニア州ストックトン、サンバーナーディーノ両市が最近、財政破綻している。

<投資の方法>

ヘッジファンドは地方政府について資産やローン債権の売却を含む多様なアプローチを検討しているが、デトロイトの場合は債券が大きな魅力だ。

法律事務所グッドウィン・プロクターで公的・民間開発慣行責任者を務めるルイス・フェルドマン氏は「デトロイトの債務価値が下がれば、ファンドは市場でそれを拾い、市の再建を助ける解決策に取り組むだろう」と述べた。

ことしに入り、デトロイトの年金証書2500万ドル分が額面1ドルに対し0.66ドル前後で取引されたことがあった。買い手は分かっていないが、調査会社ミュニシパル・マーケット・アドバイザーズのマット・ファビアン氏は、ヘッジファンドの関与を示している可能性があると言う。

ファビアン氏の仮説では、ファンドはデトロイトとの間で、年金証書の返済額について額面当たり0.80ドルで手を打つと持ちかけたとしても、大きな利益を得られる。額面で買っていた投資家は痛手を被るが、デトロイトは助かる。

フェルドマン氏は「デトロイト市民、ヘッジファンド自体の両方にとって良い話だ」と述べた。

ファビアン氏によると、元本削減が実現すれば、地方債は財政破綻の際にも元本返済されるという長年の信用が崩れかねない。そうなれば債券価格は下落し、ヘッジファンドが買えるディストレス債がさらに増える可能性もあるという。

ストーン・ライオンのミンツ氏はファビアン氏のシナリオを一蹴しながらも、ファンドは正当な理由があれば元本を下回る返済の受け入れも検討するだろうと述べた。

<欧州銀>

デトロイトには債券を売る動機を持った債権者がおり、このこともディストレス債ファンドにとっての魅力だ。

地方債投資を専門とするファンド、ファンダメンタル・クレジット・オポチュニティーズのヘクター・ネグローニ共同最高経営責任者(CEO)は、デトロイトが発行した年金証書約15億ドルの相当部分を外資系銀行が保有していると指摘する。

一部の財務アドバイザーによると、これらの銀行は国境を越えた政治的な債務再編交渉に時間を費やすよりも、証書の大半を売却する方を好みそうだ。

裁判所の記録によると、ジェファーソン郡の破綻では、英ロイズ・バンキング・グループ(LLOY.L)とフランスのソシエテ・ジェネラル(SOGN.PA)が証券をヘッジファンドに売却した。

ただ、アドバイザーや弁護士によると、破綻企業への投資で磨いた手腕が地方政府に適用できるとは限らない。

コパツ氏は「ディストレス債投資家界が、企業破綻とは状況が著しく異なることに気付く時期が訪れるだろう。だれもが政治要因を指摘するが、それよりさらに根本的な問題だ。北国では積雪に対処する必要があるし、警察部門も消防部門もある。市は清算するというわけにはいかない」と語った。

(Tom Hals記者)
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPTYE94803020130509


04. 2013年5月09日 19:41:47 : nJF6kGWndY
資産買入で金融機関に変化、ポートフォリオリバランスを期待=日銀
2013年 05月 9日 18:56 JST
[東京 9日 ロイター] 日銀は9日、2012年度の金融市場調節に関する報告書を公表した。長期国債など大規模な資産買い入れは、民間金融機関のバランスシートの構成や行動に影響を与えることで、国債からリスク性資産への投資を促す「ポートフォリオリバランス効果」が期待できるとしている。

同報告書は、4月4日に打ち出した「量的・質的金融緩和」以前の金融政策の枠組みの下での市場調節運営を紹介したものだが、日銀では当時から資産買入基金(現在は廃止)を通じて積極的に長期国債などの資産を積み上げてきた。

報告書では、日銀が実施している各種資産の買い入れは、「民間金融機関のバランスシートの構成を変化させ、民間金融機関の行動に影響を与えることを通じて、その効果を発揮する」と説明。その過程は、日銀の資産買い入れによる、1)直接的な民間金融機関のバランスシートの変化、2)その結果として期待される金融機関の貸し出しや有価証券の運用スタンスの変化──に分類できるとした。

具体的には、例えば国債の買い入れによって民間金融機関が保有する国債が減少する分、当該金融機関が保有する日銀当座預金が増加。金融機関サイドでは、当座預金が増加するほか、日銀の国債買い入れの進ちょくに伴って利回りに低下圧力がかかることになり、「ポートフォリオ全体としての収益性を維持するためには、リスク性資産への投資や貸し出しなどを積極化することが期待される」としている。

その上で、こうした資産買い入れを円滑に進めていくには、1)金融システム全体でみた場合は、日銀当座預金が株式や貸し出しなどに振り替わるものではない、2)資産買い入れは、民間金融機関の保有資産の売却ニーズや日銀当座預金の保有スタンスに依存する──などに留意して金融市場調節を運営する必要があるとしている。

 

2012年度の金融市場調節
2013年5月9日
日本銀行金融市場局

全文 [PDF 985KB]
概観

2012年度において、日本銀行は、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置を通じて、強力な金融緩和を引き続き推進した。

年度中の政策決定として、2010年10月に導入した資産買入等の基金について、残高上限を65兆円程度から2013年末の101兆円程度へ累次にわたって大幅に引き上げたほか、その後も「期限を定めない資産買入れ方式」のもとで金融緩和の強化を図ることを決定した。

こうした決定を受けて、金融市場調節では、資産買入等の基金の運営として、固定金利方式での共通担保資金供給オペや、多様な金融資産(長期国債、国庫短期証券、コマーシャル・ペーパー(CP)等、社債等、指数連動型上場投資信託受益権(ETF)、不動産投資法人投資口(J-REIT))の買入れを着実に進めた。この結果、2012年3月末時点で48.9兆円であった基金残高は、2012年12月末には、65兆円程度の目途に対して、67.1兆円にまで増加した。その後も、着実に買入れを進めた結果、2013年3月末の基金残高は、72.1兆円となった。

本稿では、まず、2012年度の金融市場調節運営と金融市場動向について説明する。次に、金融市場調節運営に伴う日本銀行のバランスシートの変化について述べる。最後に、個々の金融市場調節手段の運営状況などについて説明する。

なお、2013年度入り後、日本銀行は、2013年4月3〜4日の会合で「量的・質的金融緩和」の導入を決定した。量的な金融緩和を推進する観点から、金融市場調節の操作目標を無担保コールレート(オーバーナイト物)からマネタリーベースに変更し、金融市場調節方針を、「マネタリーベースが、年間約60〜70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」とした。また、長期国債買入れの拡大と年限長期化およびETF、J-REITの買入れの拡大等を決定し、資産買入等の基金は廃止された。


http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2013/data/ron130509a.pdf


2013年5月
日本銀行金融市場局
本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行金融市場局ま
でご相談ください。
転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。
2012 年度の金融市場調節1
1.はじめに........................................................ 2
2.金融市場調節運営と金融市場動向.................................. 3
(1)日本銀行の金融市場調節運営.................................... 3
(2)国内資金・債券市場等の動向.................................... 6
BOX1 GCレポ市場における需給バランスの変化とレート低下.... 8
BOX2 国債決済期間短縮化がGCレポ市場に与えた影響.......... 9
BOX3 海外投資家による本邦国庫短期証券への投資動向.......... 11
3.金融市場調節運営と日本銀行のバランスシート...................... 15
(1)日本銀行のバランスシートの変化................................ 15
(2)日銀当座預金残高の動向........................................ 16
BOX4 資産買入れによる民間金融機関のバランスシート構成の変
化.................................................... 16
(3)資金過不足の動向.............................................. 18
BOX5 銀行券発行高の増加と受払高の減少...................... 21
BOX6 特例公債法案成立遅延が資金過不足に与えた影響.......... 23
4.金融市場調節手段の運営状況...................................... 26
(1)資産買入等の基金の運営........................................ 26
BOX7 入札下限金利撤廃と付利金利との裁定メカニズム.......... 32
(2)通常のオペ手段................................................ 34
(3)補完貸付制度.................................................. 36
(4)成長支援資金供給.............................................. 36
(5)被災地金融機関支援オペ........................................ 37
(6)米ドル資金供給オペ............................................ 37
5.金融市場調節運営に関する制度変更等............................ 39
(1)貸出増加支援資金供給の新設..................................... 39
(2)成長支援資金供給の拡充......................................... 39
(3)担保掛け目等の定例見直し...................................... 40
(4)多角的スワップ取極等の延長..................................... 40
参考計表・資料一覧.................................................. 412

1.はじめに
2012 年度において、日本銀行は、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の
措置を通じて、強力な金融緩和を引き続き推進した。
年度中の政策決定として、2010 年 10 月に導入した資産買入等の基金について、
残高上限を 65 兆円程度から 2013 年末の 101 兆円程度へ累次にわたって大幅に引き
上げたほか、その後も「期限を定めない資産買入れ方式」のもとで金融緩和の強化
を図ることを決定した。
こうした決定を受けて、金融市場調節では、資産買入等の基金の運営として、固
定金利方式での共通担保資金供給オペや、多様な金融資産(長期国債、国庫短期証
券、コマーシャル・ペーパー(CP)等、社債等、指数連動型上場投資信託受益権
(ETF)、不動産投資法人投資口(J−REIT))の買入れを着実に進めた。こ
の結果、2012 年3月末時点で 48.9 兆円であった基金残高は、2012 年 12 月末には、
65 兆円程度の目途に対して、67.1 兆円にまで増加した。その後も、着実に買入れ
を進めた結果、2013 年3月末の基金残高は、72.1 兆円となった。

以下では、まず、2012 年度の金融市場調節運営と金融市場動向について説明する。
次に、金融市場調節運営に伴う日本銀行のバランスシートの変化について述べる。
最後に、個々の金融市場調節手段の運営状況などについて説明する。

なお、2013 年度入り後、日本銀行は、2013 年4月3〜4日の会合で「量的・質
的金融緩和」の導入を決定した。量的な金融緩和を推進する観点から、金融市場調
節の操作目標を無担保コールレート(オーバーナイト物)からマネタリーベースに
変更し、金融市場調節方針を、「マネタリーベースが、年間約 60〜70 兆円に相当す
るペースで増加するよう金融市場調節を行う」とした。また、長期国債買入れの拡
大と年限長期化およびETF、J−REITの買入れの拡大等を決定し、資産買入
等の基金は廃止された。3


2.金融市場調節運営と金融市場動向
2012 年度の金融市場調節運営と金融市場動向について、概観すると以下の通りで
ある。
(1)日本銀行の金融市場調節運営
@ 2012 年度中の金融政策決定の概要
日本銀行は、2010 年 10 月以降、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の
措置を通じて、強力な金融緩和を推進した。2012 年度中は、資産買入等の基金につ
いて累次にわたる増額を行った。2013 年1月には、消費者物価の前年比上昇率で
2%の「物価安定の目標」を導入し、これを実現するための枠組みとして、「期限
を定めない資産買入れ方式」を導入した。また、政府とともに共同声明を公表し、
デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、政府お
よび日本銀行の政策連携を強化し、一体となって取り組むことを明らかにした。
具体的な政策決定内容を概観すると、2012年4月27日の金融政策決定会合では、
日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長経路に復することをさらに確実にす
るため、2012 年 12 月末で 65 兆円程度としていた基金を、2013 年にも引き続き積
み増し、同年6月末に 70 兆円程度にまで増額することを決定した。また、金融資
産の買入れを円滑に進め、長めの金利へ効果的に働きかける観点から、長期国債お
よび社債等の買入れ対象の残存期間を従来の「1年以上2年以下」から「1年以上
3年以下」に延長した。9月 18〜19 日の会合では、2013 年の基金残高を増額し、
6月末に 75 兆円程度、12 月末を目途に 80 兆円程度とすることを決定した。10 月
30 日の会合では、長めの金利やリスク・プレミアムへのさらなる働きかけを通じ、
企業や家計等の金融環境をより緩和的にするため、さらに基金規模を増額し、2013
年 12 月末までに 91 兆円程度への増額を完了することとした。12 月 19〜20 日の会
合では、2013 年 12 月末の基金規模を 101 兆円程度にまで増額することを決定した
(図表1)。
2012 年度中には、こうした基金規模の度重なる増額にあわせて、金融資産の買入
れ等を着実に進捗させるための工夫も凝らされた。具体的には、4月 27 日会合で
は、応札額が未達となるケースが発生していた期間6か月の固定金利方式での共通
担保資金供給オペを5兆円程度減額する一方、長期国債の買入れを 10 兆円程度増
加させることを決定した。7月 11〜12 日会合では、固定金利方式での共通担保オ
ペの「期間3か月」と「期間6か月」の区分を無くし、「期間6か月以下」として
金融機関の資金需要に柔軟に対応できるようにした上で、さらに5兆円程度減額し、
同額を国庫短期証券の買入れに振り替えた。また、国庫短期証券およびCP等の買4
入れをより確実に行うため、当該買入れにおける入札下限金利(年 0.1%)を撤廃
した。9月 18〜19 日会合では、長期国債および社債等の買入れにおける入札下限
金利(年 0.1%)も廃止した。こうした一連の措置は、基金の円滑な積み上げに大
きく貢献した。
2013 年1月会合では、「物価安定の目標」を導入するとともに、その実現を目指し、
実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置を、それぞれ必要と判断される時
点まで継続することを通じて、強力に金融緩和を推進することを決定した。あわせて、
資産買入等の基金については、2014 年初から、期限を定めず毎月一定額の金融資産
を買入れる方式を導入することとした。
また、日本銀行は、わが国経済の成長基盤強化に向けた金融機関の取り組みの支
援を積極的に行ってきた。2012 年4月 9〜10 日の会合では、成長基盤強化を支援す
るための資金供給(以下、成長支援資金供給)に関して、外貨建て投融資を対象に、
日本銀行が保有する米ドル資金の貸付枠(米ドル特則)の導入を決定した。
さらに、12 月 19〜20 日の会合では、貸出増加を支援するための資金供給(以下、
貸出増加支援資金供給)の導入を決定した。これは、金融機関の一段と積極的な行
動と、企業や家計の前向きな資金需要の増加を促す観点から、金融機関の貸出増加
額について、希望に応じてその全額を低利・長期で無制限に資金供給するものであ
る。また、金融機関が成長基盤の強化に取り組むことと、金融機関が貸出の総額を
増やすことは相互に補完的であるため、緩和した金融環境の実体経済への波及を支
援するという日本銀行の政策姿勢をより明確化する観点から、成長支援資金供給と
貸出増加支援資金供給の2つを合わせて貸出支援基金と位置付けた。
また、日本銀行は、10 月 30 日、政府と共有している認識を改めて明確に示すた
め、政府とともに「デフレ脱却に向けた取組について」を公表した。さらに、2013

年1月には、「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政
策連携について」という共同声明を公表し、デフレからの早期脱却と物価安定の下
での持続的な経済成長の実現に向け、政府および日本銀行の政策連携を強化し、一
体となって取り組むことを明らかにした。

A 金融市場調節運営の概要
こうした政策決定に基づき、日本銀行は、以下のような金融市場調節運営を行った。
まず、資産買入等の基金については、買入れ等の円滑な運営に向けた工夫を凝ら
しつつ、残高の積み上げを図った。この結果、2012 年3月末時点で 48.9 兆円であ
った基金残高は、2012 年 12 月末には、基金の規模の目途である 65 兆円程度に対し
て、67.1 兆円に達した。2013 年3月末は 72.1 兆円程度となり、基金残高の積み上
げを着実に進捗させた(図表2)。

基金の内訳についてみると、固定金利方式での共通担保資金供給オペは、市場の
資金余剰感が強い中、需要の減退がみられたことから、4月 27 日および7月 11〜
12 日の金融政策決定会合において、5兆円ずつ減額し、2012 年 12 月末での貸付の
規模は、35 兆円程度から 25 兆円程度に減尐した。これを受け、2012 年3月末に 34.6
兆円に達していた貸付残高は、12 月末には 26.9 兆円となった。また、オペの期間
設定が柔軟化されたことを踏まえ、地方交付税交付金の支払い延期に伴う一時的な
資金ニーズに対しては、短めのタームで潤沢な資金供給を行うなど、資金需給の動
向や市場参加者の応札ニーズに配慮した運営に努めた。

長期国債の買入れは、基金規模の増額にあわせて買入ペースを調整しながら残高
の積み上げを図った。具体的には、4月 27 日の会合で 2012 年 12 月末の規模を従
来の 19 兆円程度から 24 兆円程度に増額したことを受け、2012 年 12 月末に向けて、
買入れの頻度を毎月3回程度とし、1回当たりの買入れ額を、従来の 3,000〜5,000
億円から、4月 27 日以降は 7,000 億〜1兆円に増額することで買入ペースを加速
させた。この結果、2012 年3月末に 6.3 兆円だった買入残高は、12 月末には、24.1
兆円にまで増加した。2013 年入り後も、毎月2〜3回程度、1回当たり 3,000〜8,000
億円のペースで買入れを実施した。

国庫短期証券の買入れについては、7月 11〜12 日の会合において 2012 年 12 月
末の規模を従来の 4.5 兆円程度から 9.5 兆円程度に増額したことを受け、1回当た
りの買入れ額を、2,000〜3,000 億円から 6,000〜9,000 億円に増額し、買入ペース
を引き上げた。この結果、2012 年3月末に 3.5 兆円だった残高は、12 月末には 9.6
兆円に増加した。2013 年入り後も、1回当たり 5,000 億〜1.5 兆円のペースで買入
れを実施した。このほか、CP等、社債等といった他の金融資産の買入れについて
も順調に進捗した。6


一方、基金残高が円滑に積み上がるもとで、資金余剰感が高まった結果、金利入
札方式による共通担保資金供給オペのオファー頻度は大きく低下した。
また、米国連邦準備制度との米ドル・スワップ取極に基づき、米ドル資金供給オ
ペの1週間物を週1回、3か月物を概ね4週間に1回のペースでオファーした。こ
うした措置を継続していくため、2012 年 12 月に、従来、2013 年2月1日までが期
限となっていた当該スワップ取極を 2014 年2月1日まで1年間延長した。利用状
況をみると、米ドル資金市場や為替スワップ市場における資金調達環境は総じて落
ち着いていたため、実需を背景とした応札はみられなかった。
この間、成長支援資金供給は、本則分、小口特則分、およびABL特則分を3か
月に1回オファーしたほか、2012 年4月9〜10 日の会合で導入が決定された米ド
ル特則分も、2012 年 10 月、11 月、2013 年2月にオファーした。被災地金融機関を
支援するための資金供給オペレーション(以下、被災地金融機関支援オペ)につい
ては、月1回のペースで実施した。

(2)国内資金・債券市場等の動向

こうした金融市場調節運営のもとで、国内の資金・債券の各市場や為替スワップ
市場は、次のような展開を辿った。

@ 翌日物市場
翌日物市場は、日本銀行が強力な金融緩和を推進していること等を背景に、2012
年度中もきわめて安定していた。
無担保コールレート(オーバーナイト物)は、当時の金融市場調節方針(「無担
保コールレート(オーバーナイト物)を、0〜0.1%程度で推移するよう促す」)に
沿って、総じてみれば 0.08%前後の低位で安定的に推移した(図表3)。もっとも、
資産買入等の基金による金融資産の買入れ等が進捗し、潤沢な資金供給が継続する
もとで、金融機関の資金需要は充分満たされていたため、無担保コールの取引量は
引き続き低水準で推移した。

GCレポレートは、2012 年内と 2013 年入り後とで、やや異なる動きとなった。
まず、2012 年内は、補完当座預金制度の適用金利(以下、付利金利)である 0.1%
が下限として作用するもとで、0.1%を小幅に上回る水準では、日本銀行による潤
沢な資金供給を背景に、余剰資金の運用スタンスを積極化する先が増加したため、
GCレポレートは 0.1%近傍の狭いレンジ内に収斂した。一方、2013 年入り後は、
0.1%を明確に乖離して低下する局面が多くみられた(BOX1を参照)。なお、2012
年4月 23 日からの国債アウトライト取引の決済期間短縮化により、GCレポ市場
での翌日物取引の中心は、T+2決済(約定日の2営業日後決済)からT+1決済
にシフトしたが、GCレポレートの水準や取引量に特段の変化は窺われなかった
(BOX2を参照)。
(注1)約定日ベース。
(注2)シャドー部分は、誘導目標水準が 0〜0.1%
であることを示す。
(注3)GC レポレートは、2012/4/20日以前は T+2決済の取引、
2012/4/23日以降は T+1決済の取引。

BOX1 GCレポ市場における需給バランスの変化とレート低下

GCレポレートは 2012 年中は 0.1%程度で安定的に推移したが、2013 年入り後、
0.1%を大きく下回る水準まで低下する局面が多くみられた(図表3)。これは、GC
レポ市場における需給バランスに変化が生じたことが要因と考えられる(図表4)。
GCレポ市場は、主に証券会社が保有する国庫短期証券等の債券のファイナンス
(資金調達)を行い、銀行や投資信託等が短期の余剰資金を運用する市場となって
いる。また、資金運用サイドは、原則として付利金利(0.1%)を上回るレートで
のみ運用を行う銀行等の補完当座預金制度の適用先(以下、付利先)と、0.1%を
下回るレートでも運用ニーズのある投資信託等の補完当座預金制度の非適用先(以
下、非付利先)で構成されている。

2012 年中は、証券会社による在庫ファイナンスのための資金調達ニーズが、非付
利先の資金運用ニーズを概ね上回っていたため、付利先が 0.1%を上回るレートで運
用する余地があったと考えられる。また、日本銀行による潤沢な資金供給を背景に、
0.1%を上回る水準では付利先が運用スタンスを積極化したため、GCレポレートは
0.1%を小幅に上回る程度の狭いレンジ内で安定的に推移した。
もっとも、2013 年初からは、国庫短期証券の需給が逼迫し、利回りが 0.1%を大幅
に下回る水準で推移した(後掲2.(2)A)ことを契機に、GCレポ市場の調達・運
用ニーズのバランスに変化が生じた。すなわち、@国庫短期証券の需給逼迫を受けて、
証券会社の在庫が大幅に減尐するとともに、A非付利先の一部で、レートが大きく低
下した国庫短期証券からGCレポへ資金運用先をシフトさせる動きがみられた。この
結果、証券会社の資金調達ニーズが、非付利先による資金運用ニーズのみで満たされ
る格好となったため、GCレポレートが 0.1%を明確に下回ることが多くなった。
(図表4)2013 年入り後のGCレポ市場の資金調達・運用ニーズの変化
<レポレートは0.1%を明確に下回って低下>

BOX2 国債決済期間短縮化がGCレポ市場に与えた影響
2012 年4月 23 日より、発行・流通市場における国債売買が、従来のT+3決済
(約定日の3営業日後決済)からT+2決済(約定日の2営業日後決済)へと移行
した。このことで、国債売買の約定からそれに伴う資金および証券の受け渡しまで
の期間が短縮化され、市場の未決済残高が縮減された。その結果、GCレポ市場で
は、市場参加者が資金調達を早めに実施する傾向がみられた。
例えば、国債を購入し、その購入資金をGCレポ市場で調達する場合、従来は、「国
債のアウトライト取引<T+3決済>の約定日当日」に、T+3決済のGCレポ取引
を約定するか、「約定日の翌営業日」にT+2決済のGCレポ取引を約定するケース
が多かった。特に、T+2決済のGCレポ市場は流動性が高く、レポ取引の中心とな
っていた。一方、移行後の状況についてみると、「国債のアウトライト取引<T+2
決済>の約定日当日」にT+2決済のGCレポ取引を約定するか、「約定日の翌営業
日の午前中」にT+1決済のGCレポ取引を約定することが多くなった。市場参加者
のSTP化等の事務効率化の取組みにより、「約定日の翌営業日の午前中」のT+1
決済の取引の流動性は向上したものの、「約定日の翌営業日の午後」のT+1決済の
取引は、約定から決済までの期間が短いことが影響し、バック事務等の時間的余裕を
担保しておこうとする動きがみられる中で、取引量が尐なくなっている(図表5)。
この結果、GCレポ市場に関してみると、取引が活発に行われる時間は、半日程度短
くなった。
取引が活発に行われる時間が短くなったことで、資金需要が強まる局面において
は、GCレポレートが上昇しやすくなる可能性があり、調節運営上、注意深くモニ
タリングしていく必要がある。もっとも、2012 年度中は、日銀当座預金残高が高水
準で推移するもとで、資金余剰感が強い中、GCレポレートが付利金利の 0.1%を
大幅に上回って上昇するケースは限定的だった。
(図表5)移行前後のGCレポの約定タイミング

A 国庫短期証券市場
2012年12月までの国庫短期証券の利回りは、付利金利との裁定が働くかたちで、
0.1%近傍に収斂していた。日本銀行による潤沢な資金供給が続くもと、利回りが
0.1%を上回った場合には、付利先である大手金融機関からの積極的な投資がみら
れた。一方、0.1%を下回る利回りでの取引は、海外投資家や投資信託等の非付利
先による購入に概ね限定されていた。こうしたもとで、7月会合で入札下限金利を
撤廃した後も、発行・流通利回りが 0.1%から大きく乖離することは無かった(図
表6、7)。
もっとも、2013 年入り後は、基金による買入ペースが加速されたことに加え、付
利金利引き下げを含む金融緩和期待が強く意識されるもとで、付利先であっても、
0.1%を下回る水準で国庫短期証券への投資を積極化する動きが拡がり、需給環境
の逼迫感が強まった。こうした状況下、0.1%を下回るレートでも投資ニーズがあ
る海外投資家を中心とする非付利先による保有割合が相応に大きいこと(BOX3
を参照)も相俟って、発行・流通レートは 0.1%を大幅に下回る水準まで低下した。
(図表6)国庫短期証券の発行レート (図表7)国庫短期証券の流通レート

BOX3 海外投資家による本邦国庫短期証券への投資動向
国庫短期証券は、本邦で最も信用力が高く、流動性も高い短期金融資産という位
置付けから、短期資金の運用資産のほか、資金繰り運営や日本銀行および民間決済
機関への差し入れ担保等、幅広い用途で利用されている。国庫短期証券の業態別保
有割合について、複数の統計やサーベイを用いて試算すると、足もと、都市銀行や
証券会社、短資等の付利先が4割程度となる一方、信託銀行(年金等からの受託分)
や海外投資家は半分程度と、非付利先による保有割合が相応に大きいことがわかる
(図表8)。

特に、海外投資家による保有比率は、近年上昇が顕著となっている。海外投資家
は、短期資金の運用資産として本邦の国庫短期証券の購入を積極化しているとみら
れるが、その背景として、以下のような点が考えられる。
まず、サブプライム・ローン問題やリーマン・ショック、欧州債務危機等のグロ
ーバルな金融危機を受けて、いわゆる「質への逃避」の動きが強まった局面におい
て、相対的な「安全通貨」と見做された円に退避資金が流入した。こうした退避資
金の運用手段として、国庫短期証券が利用された面がある。また、ドル円・為替ス
ワップ市場での円調達コストが本邦国庫短期証券の利回りと比較して低水準で推
移していることも、海外投資家の国庫短期証券への投資を後押しした可能性があ
る。すなわち、海外投資家からみた本邦国庫短期証券の投資妙味の目安として、「ド
ル資金を無担保で調達し、その資金を為替スワップ市場で円資金に交換する」とい
う一連の取引による円調達コスト(以下、円転コスト)を計算すると、円転コスト
は本邦国庫短期証券の利回りと比較して概ね低水準での推移となっている(図表
9)。
(図表8)国庫短期証券の業態別保有額の試算
(注1) 海外投資家については、財務省「本邦対外資産負債残高」、日本銀行については、日本銀行「マネタリ
ーベースと日本銀行の取引」、信託、都銀等、証券、短資・証金は、日本銀行「東京短期金融市場サーベ
イ(12/8月)」に基づく。
(注2) 日本銀行は、国庫短期証券買入および基金による国庫短期証券買入の残高。
(注3) 信託銀行は、補完当座預金制度の非適用先を含めた先からの信託勘定分を含む。
(注4) その他は、日本銀行「東京短期金融市場サーベイ(12/8 月)」の対象範囲が市場全体をカバーしていな
いこと等による計測誤差。


こうした海外投資家を中心とする非付利先には、付利金利の水準である 0.1%を
下回るレートであっても国庫短期証券に対する一定の投資ニーズが存在している。
2013 年入り後は、そうした非付利先からの需要に上乗せするかたちで、基金による
買入ペースが加速されたほか、付利金利引き下げを含む金融緩和期待が強く意識さ
れるもとで、付利先が 0.1%を下回る水準でも国庫短期証券への投資を積極化する
動きが拡がった。この結果、需給環境の逼迫感が一段と強まり、国庫短期証券の発
行・流通レートは、0.1%を大きく下回る水準まで低下した。

B 国債市場
長期金利は、国債に対する投資家の底堅い需要がみられるもとで、概ね低下基調を
辿った(図表 10)。10 年債利回りは、2012 年4〜5月にかけて、欧州債務問題に対
する懸念の高まり等を受けて低下した後、6月以降は、0.7〜0.9%程度のレンジ内で
推移した。その後は、金融緩和期待の高まりがみられたこともあって年度末にかけて
低下し、2003 年 6 月以来の低水準である 0.5%台で推移した。
一方、2年債利回りは、2012 年中は、付利金利との裁定がみられるもとで、0.1%
近傍での推移となった(図表 11)。また、4月 27 日の会合で基金による長期国債買
入れの対象年限を「残存期間1年以上2年以下」から「同1年以上3年以下」に拡大
したことを受け、新たに買入対象となった残存期間3年程度の銘柄の利回りは、5月
中旬までにそれまでの 0.14〜0.15%程度の水準から 0.1%程度へと低下した。この結
果、イールドカーブは、翌日物金利から残存期間3年の利回りまで、付利金利と同水
準の 0.1%程度でフラット化する姿となった(図表 12)。
2013 年入り後は、基金による長期国債買入れの進捗に加え、付利金利引き下げを
含めた金融緩和期待の高まりもあって、残存期間3年以内の利回りが 0.1%を明確
に下回る水準にまで大きく低下したほか、5年債利回りも、過去最低水準である
(図表9)国庫短期証券の利回りと円転コスト

C CP・社債市場
CP発行金利や社債流通利回りといったクレジット物の利回りは、緩和的な金融
環境や、資産買入等の基金によるCP等や社債等の買入れが継続的に実施されるも
とで、総じて低位で安定的に推移した(図表 13、14)。ただし、業績の悪化や格下
げが意識された一部業種では、レートが上昇、ないしは高止まりするなど、銘柄間
での較差がみられた。


5.金融市場調節運営に関する制度変更等
(1)貸出増加支援資金供給の新設
2012 年 12 月 19〜20 日の金融政策決定会合において、貸出増加支援資金供給を設
けることを決定した。これは、現在の緩和的な金融環境を踏まえて、金融機関の一
段と積極的な行動と企業や家計の前向きな資金需要の増加を促す観点から、金融機
関の貸出増加額について、希望に応じてその全額を低利・長期で無制限に資金供給
するものである。また、金融機関が成長基盤の強化に取り組むことと、金融機関が
貸出の総額を増やすことは相互に補完的であるため、緩和した金融環境の実体経済
への波及を支援するという日本銀行の政策姿勢をより明確化する観点から、成長支
援資金供給と貸出増加支援資金供給の2つを合わせて貸出支援基金と位置付けた。
貸出増加支援資金供給は、2012年10〜12月からのネット貸出増加額の範囲内で、
無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標水準の固定金利(ただし、当
分の間は、年 0.1%)により、対象先が希望する貸付期間(1年、2年または3年、
借り換えを含めて最長4年)の資金供給を行うものであり、成長支援資金供給と異
なり、貸付総額および対象先ごとの貸付額に上限を設定せず、無制限とする点が特
徴である。なお、初回の貸付けは 2013 年6月を予定しており、当初選定における
対象先数は、189 先となっている。

(2)成長支援資金供給の拡充
2012 年4月9〜10 日の金融政策決定会合において、成長支援資金供給に関して、
海外における取り組みを含めわが国経済の成長基盤強化に向けた金融機関の取り
組みをより幅広く支援するため、日本銀行が保有する米ドル資金を用いて新たに
120 億米ドル(1兆円相当)の貸付枠(米ドル特則)を設けることを決定した。
これは、国内における生産・サービス活動、設備投資または雇用の増加に資するこ
とが見込まれるなど、わが国経済の成長基盤強化に資すると認められる、1年以上の
外貨建て投融資を対象とし、適格担保を見合いに、米ドル・6か月物LIBORによ
り貸付けを行うものである。貸付期間は1年とし、3回の借り換えを可能とした(最
長4年)。
また、2012 年6月には、成長基盤強化に向けた金融機関の取り組みをより幅広く
支援するため、2012 年3月に導入した小口特則に関して、その貸付単位を億円単位
から百万円単位に引き下げることとした。40

(3)担保掛け目等の定例見直し
適格担保の担保掛け目等(@適格担保の担保掛け目、A国債現先オペにおける売
買対象国債の時価売買価格比率およびマージン調整担保国債の担保掛け目、ならび
にB国債補完供給における売却対象国債の時価売却価格比率等)については、2005
年度以降、原則として年1回程度の頻度で、金融市場の情勢等を踏まえた検証を行
い、その結果に基づき必要な見直しを行う扱いとしている。
2012 年度は、2012 年 10 月4〜5日の金融政策決定会合において見直しを行った。

(4)多角的スワップ取極等の延長
2012 年 12 月 19〜20 日の金融政策決定会合において、国際短期金融市場の状況と、
これが円の金融市場の流動性に及ぼし得る影響に鑑み、5中央銀行(カナダ銀行、
イングランド銀行、欧州中央銀行、米国連邦準備制度およびスイス国民銀行)との
為替スワップ取極および米ドル資金供給オペの実施期限を、従来の 2013 年2月1
日から 2014 年2月1日まで延長することを決定した。41 


05. 2013年5月09日 23:24:23 : nJF6kGWndY


アングル:通貨安競争で遠のくドル100円、かすむ緩和インパクト
2013年 05月 9日 20:09 JST
[東京 9日 ロイター] 日銀の「異次元緩和」のインパクトがかすみ始めるなかで、ドル/円の100円回復が一段と遠のいている。欧州、豪州、韓国が相次いで利下げしたほか、ニュージーランド中銀は異例の通貨売り介入に踏み切るなど、通貨安競争の様相が再び強まっているためだ。

4月米雇用統計は市場予想より良好だったものの、米景気減速懸念は払しょくされなかった。再び市場の度肝を抜くような日銀の追加緩和策も期待しにくいとして、短期的な円高局面も予想され始めている。

<重くなるクロス円>

「黒田緩和」の印象が相対的に薄れている──外為どっとコム総研のジェルベズ久美子研究員はそう指摘する。5月に入り、主要中銀による利下げや自国通貨売り介入が続いているためだ。

欧州中央銀行(ECB)の利下げは市場予想通りだったが、ドラギ総裁は間髪入れず追加緩和の可能性を示唆。オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)と韓国中銀は予想外の利下げを実施した。RBAは声明文で自国通貨が歴史的高水準にあると指摘、緩和策が通貨高を念頭に置いていることを明言している。

さらに、ニュージーランド準備銀行(中央銀行)のウィーラー総裁は8日、ニュージーランド(NZ)ドル売り介入を実施したと言明。中銀が介入を確認したのは1985年の変動相場制移行後で2度目であり、異例の事態を受けてNZドルは急落した。

ジェルベズ氏は「豪中銀の豪ドル高懸念はずっと残っている状態。豪ドル高是正に誘導したいという意向がある限りは、豪ドルの上値はどうしても抑えられる」と指摘。クロス円の上値が重いため、ドル/円を押し上げる要因にはなりえないとみている。

豪ドル/円は9日、オーストラリアの4月雇用統計が市場予想より強い内容になると急騰したものの、騰勢は持続せず、東京時間に付けた高値は101.35円どまり。4月11日に付けた2007年11月以来の高値105.43円には遠く及ばず、上値の重さが意識された。

クロス円に押されるようにドル/円も重くなっている。大手信託銀行の関係者は「通貨安競争の様相が強まっている。一本調子の円安にはなりにくい」と話す。ドル100円乗せへの「熱気」は薄れ、98円台ではドル買いが強まるものの、99円台では売りが優勢となる狭いレンジでの展開が続いている。

<再度の「常識」破りは困難>

4月4日、黒田東彦日銀総裁の「初陣」となる金融政策決定会合で「異次元緩和」が打ち出され、ドル/円は7円跳ね上がったが、2009年4月以来の100円回復は果たせないままだ。「異次元緩和」の実施後、G20(20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議通過時、4月米雇用統計後と100円トライの場面は合計3度訪れたが、いずれも「壁」にはばまれた。

緩和決定直後に一部の市場参加者が描いた、マネタリーベースの拡大に合わせた緩やかな円安進展というシナリオは現時点では見込み違いとなっている。

国債を7割購入し、マネタリーベースを2倍にするという日銀の「異次元緩和」と、高金利通貨国の利下げでは、緩和の「踏み込み度合い」が異なるため、通貨安競争の様相が強まっても、円高傾向に逆戻りすると警戒する声はまだ乏しい。しかし、日銀要因が薄らいだ今、100円回復は容易ではなくなったとみられている。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの村田雅志シニア通貨ストラテジストは、黒田日銀は4月にマーケットの「常識」をぶち破ることに成功したものの、再び「日銀が何をし始めるかわからないという期待」を高めるような策を打ち出すことは難しいと指摘する。ドル/円の100円突破があるとすれば米国要因で、QE(量的緩和)の縮小/休止がキーワードになるが、4―6月、7―9月の時点では出てこないとみているという。むしろドル/円は下値を模索するリスクがあり、6月までに95円台まで下落してもおかしくないとの見方を示している。

(ロイターニュース 和田崇彦 編集:伊賀大記)


ブルームバーグ米消費者信頼感指数:5年ぶり高水準近辺を維持


  5月9日(ブルームバーグ):米国の消費者信頼感指数は5日終了週、ここ5年余りでの最高水準近辺にとどまった。米経済の最も大きな部分を占める個人消費が今後も拡大する可能性が示唆された。
9日発表された週間のブルームバーグ消費者信頼感指数 はマイナス29.5。消費環境についての見方が、米国がリセッション(景気後退)入りする直前の2007年11月以降で最も良かった。前週は08年1月以来の最良の水準となるマイナス28.9だった。
ブルームバーグ・エル・ピー(ニューヨーク)のシニアエコノミスト、ジョセフ・ブラスエラス氏は「高所得層では経済的な安心感が上向いている」と指摘。ただ、給与の減少に「低・中所得層がなかなか対応できずにいるため、個人消費の伸びは緩やかだろう」と述べた。
ブルームバーグ消費者信頼感指数を構成する3つの項目別指数のうち、景況感の指数 はマイナス57.8(前週マイナス57.2)に、家計の指数 がプラス0.8(前週プラス3)にそれぞれ低下。家計の状況が悪いとした回答は19%と7カ月ぶりの高水準だった。一方、消費環境の指数 は約5年ぶり高水準となるマイナス31.5(前週マイナス32.5)に上昇した。
ブルームバーグ消費者信頼感指数は、無作為に抽出した18歳以上の消費者1000人のうち、毎週250人を対象に実施する電話聞き取り調査を基に算出される。同指数の範囲はマイナス100からプラス100。
原題:Consumer Comfort in U.S. Hovered Last Week Near Five-YearHigh(抜粋)
更新日時: 2013/05/09 22:53 JST

 
フィラデルフィア連銀総裁:中銀への期待の高まりを「憂慮」

  5月9日(ブルームバーグ):米フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁は「中央銀行への期待がますます強まりつつある」状況を「憂慮している」と述べた。
総裁は9日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで「中銀は世界のあらゆる問題の解決を期待されている」とした上で、「どの国も財政当局はあまり良い仕事をしていない」と批判した。
原題:Plosser Says Growing Expectations for Central Banks‘Disturbing’(抜粋)

更新日時: 2013/05/09 21:58 JST


2013年 5月 09日 20:23 JST
中国人民元が3日連続で最高値更新
By WYNNE WANG

 9日の上海外国為替市場の人民元相場は続伸し、3日連続で史上最高値を更新した。中央銀行の中国人民銀行がこの日も人民元の対ドル基準値を大幅な元高・ドル安水準に設定したことを受けた。

 店頭取引市場で同日午後に1ドル=6.1306元を付け、中国国内に外為市場が開設された1994年以来、人民元の最高値となった。この水準は、人民元の1%の許容変動幅の上限にも相当する。8日終値は6.1410元だった。

 人民元は対ドルで年初から1.6%上昇している。昨年は1.0%上昇した。

 トレーダーは4月の中国の消費者物価指数が市場予想を上回ったため、短期的に元の上昇余地が見込まれると話した。


UPDATE1: 英中銀が現行政策維持、7月のカーニー次期総裁就任まで据え置き予想も
2013年 05月 9日 21:59 JST


 [ロンドン 9日 ロイター] イングランド銀行(英中央銀行)は9日、資産買い入れプログラムの規模を3750億ポンドに据え置いた。政策金利も過去最低の0.5%に据え置いた。

 緩やかに景気が回復している兆候が表れるなか、次期総裁にカーニー・カナダ中銀総裁が7月に就任するまで、政策を温存させた格好だ。 

 英国の第1・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値の前期比0.3%増加。この日発表された3月の鉱工業生産が予想を上回ったことで、景気への信頼感が一段と高まった。

 

 英産業連盟(CBI)の経済ディレクター、スティーブン・ギフォード氏は、GDPが予想を上回ったことを踏まえて今月の政策据え置きを予想していたとし、予想外なことが起きない限り、金融政策委員会(MPC)はカーニー氏が就任する7月まで政策を維持するとの見通しを示した。

 

 今月のMPCでは、新たな四半期経済見通しも検討材料となったとみられる。見通しは15日に公表される予定で、現在2.8%のインフレ率について、低下がこれまでよりやや加速するとの見通しが示されるとの見方が出ている。

関連ニュース
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米新規失業保険申請件数:4000件減の32万3000件−予想外の減少


  5月9日(ブルームバーグ):米労働省が発表した先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、前週比4000件減の32万3000件。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は33万5000件だった。
原題:Jobless Claims in U.S. Unexpectedly Decrease to Five-YearLow(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Alexander Kowalski akowalski13@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2013/05/09 21:35 JST

ギリシャ失業率、過去最悪の27%−若者10人のうち6人が無職

  5月9日(ブルームバーグ):ギリシャの2月の失業率は前月から上昇し、過去最悪を記録した。リセッション(景気後退)は6年目に入っており、若者10人のうち6人余りが失業していることが示された。
国家統計局が9日に電子メールで発表したところによると、2月の失業率(季節調整済み)は27%と、1月の26.7%(改定)を上回った。2月の水準は月次集計を開始した2004年以来で最悪。
国際通貨基金(IMF)などの国際的な救済の条件である緊縮財政がギリシャの景気後退を深め、2012年は6.4%のマイナス成長となった。欧州連合(EU)の欧州委員会が算定した今年の予想はマイナス4.2%。
統計局によると、15−24歳の若年層の失業率は64.2%。女性の失業率は31%だった。
原題:Greece’s Unemployment Rate Increased to Record High inFebruary(抜粋)
更新日時: 2013/05/09 21:22 JST


 

ギリシャ財務相:2014年の市場復帰可能−回復と黒字化実現なら

  5月9日(ブルームバーグ):ギリシャはリセッション(景気後退)が終わり、プライマリーバランス(基礎的財政収支)が黒字化すれば、債券市場に来年復帰できる−。こうした見通しを同国のストゥルナラス財務相が示した。
同相は国営NETテレビで9日放映されたインタビューで、プライマリーバランスが黒字化し次第、ギリシャはユーロ圏と国際通貨基金(IMF)と合意した救済策の条件に基づいて追加的な債務軽減策も得られると語った。
ストゥルナラス財務相は「2014年には必要に迫られ市場に復帰しなければならない。同年末にはプログラムからの資金がなくなるからだ」と説明。そのためにはプライマリーバランスの黒字化とプラス成長への回帰が必要だと言明した。
ギリシャは2010年3月以降、債券市場で資金調達できない状況にある。財政赤字が膨らんだ同国は救済策の一環で、ユーロ圏とIMFに対し2400億ユーロ(約31兆1500億円)相当の融資要請を余儀なくされた。
欧州連合(EU)の欧州委員会が3日公表した見通しによれば、今年のギリシャの国内総生産(GDP)は前年比4.2%縮小し、財政赤字は対GDP比で3.8%となる見込み。来年についてはプライマリーバランスが1.8%の黒字、GDP成長率はプラス0.6%が予想されている。
原題:Greece Could Return to Bond Markets by End 2014,Stournaras Says (抜粋)

更新日時: 2013/05/09 21:29 JST



マーケットウォッチ2013年 5月 09日 16:10 JST
ユーロ圏を崩壊させ得るオランダの債務危機
By MATTHEW LYNN

 【ロンドン】ユーロ圏で最も大きな債務を背負っている国はどこか。国費で気前のいい年金を支払っている浪費家のギリシャか。いかがわしいロシアの資金をその銀行に預かっていたキプロスか。景気後退に見舞われているスペインか、それとも好況後の不況に陥っているアイルランドか。

 そのいずれでもない。実は節度と責任感のあるオランダだ。

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家計債務の可処分所得対比

 オランダの家計債務は可処分所得の250%に達した。これは世界でも最高レベルであり、スペインでさえ、それが125%を上回ったことはない。

 オランダは世界でも最も重い債務を抱えた国になってしまった。景気後退に陥り、そこから脱却する兆しはほとんど見えていない。3年にわたってだらだらと長引いてきたユーロ危機だが、これまでに感染してきたのはユーロ圏内の周辺諸国だけだった。しかし、オランダはユーロ圏と欧州連合(EU)の中核国である。オランダがユーロ圏で生き残れなければ、このゲームは本当に終了となる。

 これまでオランダは欧州でも最も裕福で安定した国であり続けてきたし、最も親EU的な立場をとってきた。EUの原加盟国であり、単一通貨導入を最も支持した国の1つだった。豊かな輸出志向の経済を持ち、多くの成功した多国籍企業を抱えるオランダが、ユーロの順調な導入で出現するはずだった単一経済圏から得るものは多いと考えられていた。

 ところが、オランダがたどり始めたのは悲しくなるほどおなじみの筋書きだった。導火線が少し長かったことを除けば、アイルランド、ギリシャ、ポルトガルとまったく同じ形での破綻に近づいているのだ。

 主にドイツ経済に有益なように設定された低金利と潤沢な低利融資資金が、不動産ブームと債務の急増につながった。オランダの住宅価格は、ユーロの導入から市場がピークに達するまでに2倍になり、世界で最も加熱した不動産市場の1つとなった。

 その市場が今、大暴落している。オランダの住宅価格は、米国の住宅バブルが崩壊したときのフロリダと同じぐらいの速さで下がっているのだ。現在の価格はバブルがピークに達した2008年より16.6%も低くなっている。英国不動産業者協会(NAEA)の予測では今年さらに7%下落するという。つまり、2001年以前に家を買っていなければ、現在の住宅の価値は買ったときよりも下がっており、下手をすると住宅ローン残高よりも低くなっているかもしれない。

http://si.wsj.net/public/resources/images/JA-AA859_130509_G_20130509032130.jpg
Bloomberg News
欧州中央銀行(ECB)は2014年からユーロ圏域内の銀行を監督する

 その結果、オランダ国民は債務でおぼれかけている。家計の可処分所得の250%以上の負債というのは、アイルランドよりも多く、ギリシャの水準の2.5倍となっている。すでに1つの銀行が政府の救済を受けたが、住宅価格はまだ下がり続けているので、そうした銀行はさらに増えるだろう。価値が急落している不動産に対するオランダの銀行の融資残高は6500億ユーロもある。金融市場について確実なことが1つあるとすれば、それは不動産市場が暴落すると、金融市場も早晩それに続くということだ。

 通常はこうした状況への反応が遅い信用格付け会社でさえ気付き始めている。今年2月、フィッチ・レーティングスはオランダ国債の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。「トリプルA」格はかろうじて維持している。同社は見通し引き下げの理由として、下落基調にある住宅価格、増加している政府債務残高、金融制度の安定性に対する疑念を挙げている。要するに、危機に見舞われた他のユーロ圏諸国と同じ有害な組み合わせである。

 その経済はもはや景気後退に陥っている。

 失業率も上昇しており、過去20年間で最悪となっている。失業者数はわずか2年で倍増し、失業率は今年3月だけで7.7%から8.1%に上昇した。この上昇のスピードはキプロスのそれよりも速い。国際通貨基金(IMF)はオランダ経済が2013年に0.5%縮小するとみているが、こうした予想には過度に楽観的な傾向がある。

 昨年10月に厳しい緊縮措置を発動したばかりであるにもかかわらず、オランダ政府は財政赤字目標を達成できなかった。他のユーロ圏諸国同様、オランダは今や失業率の増加、税収の減少、より厳しい緊縮措置の悪循環にはまってしまったようだ。そしてこれがさらなる歳出削減と失業率の悪化を招くことになる。一国がひとたびこのレールに乗ってしまうと、そこから脱出するのはかなり難しいが、ユーロ圏内においてはなおさらだ。

 単一通貨ユーロが抱える問題の答えとして欧州全土に緊縮措置を課すという考え方において、オランダは最近までドイツの重要な味方だった。しかし、状況が悪化していけば、終わりが見えない緊縮や景気後退、そしておそらくはユーロそのものへのオランダの支持は蒸発し始めるだろう。

 ユーロ圏におけるこれまでの深刻な危機は周辺諸国で起きてきた。そうした影響力の低い国々での問題は、ユーロ成立過程におけるシステム上の欠陥の露呈としてではなく、むしろ事故として扱われてきた。

 ギリシャは浪費し過ぎた。アイルランドは不動産市場を暴走させてしまった。イタリアは最初から債務が多すぎた。ところがオランダには何の言い訳もない。すべてのルールに従ってきたのだから。

 中核国が危機に瀕すると、ユーロ危機は終末期を迎えるということは以前からわかっていた。アナリストの多くはフランスがその中核国になると思い込んでいた。確かにフランスにも問題は多いが、依然として豊かな国である。債務レベルは高いかもしれないが、まだ制御不能に陥ったり、金融制度の安定性を脅かし始めたりはしていない。

 ところがオランダはそうなり始めている。そこに至るまでにはあと1-2年かかるかもしれないが、経済不況は加速しつつあり、金融制度は日に日に安定性を失っているように見える。それどころか、オランダは最初に破綻する中核国になるはずで、そうなればユーロにとっては危機の領域を超えてしまうだろう。


英中銀:資産購入枠を維持、金利据え置き−景気回復見極めへ

  5月9日(ブルームバーグ):イングランド銀行(英中央銀行)は9日の金融政策委員会(MPC)で、資産買い取りプログラムの規模を3750億ポンド(約57兆6400億円)で維持することを決めた。英経済が1−3月(第1四半期)にプラス成長に回復したことから、最近の回復兆候の力強さを見極めたい意向だ。
ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト44人を対象に実施した調査 で、資産購入枠維持は43人が予想していた。
一部の経済指標は景気回復の勢いが増していることを示唆したものの、ユーロ圏では緊張を緩めようと欧州中央銀行(ECB)が先週利下げに踏み切っており、これが刺激策拡大の根拠になり得る。
INGバンク(ロンドン)のエコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は「過去1カ月にわたる一連の英経済データは非常に良い」と述べた上で、「景気回復のペースは鈍く、特にユーロ圏など国外からの衝撃に英国は引き続き脆弱(ぜいじゃく)なままだと感じられる。そのため追加刺激の可能性はまだ残っている」と語った。
ポンドの対ドル相場は金融政策発表後も堅調に推移。ロンドン時間午後0時6分現在、前日比0.3%高の1ポンド=1.5579ドルで取引されている。
MPCは政策金利 であるレポ金利は過去最低の0.5%に据え置いた。別のエコノミスト調査で52人全員が予想した通りだった。今回のMPCの議事録は22日に公表される。
原題:BOE Keeps Stimulus on Hold as Policy Makers AssessRecovery (1)(抜粋)
更新日時: 2013/05/09 20:51 JST


資産買入で金融機関に変化、ポートフォリオリバランスを期待=日銀
2013年 05月 9日 18:56 JST
[東京 9日 ロイター] 日銀は9日、2012年度の金融市場調節に関する報告書を公表した。長期国債など大規模な資産買い入れは、民間金融機関のバランスシートの構成や行動に影響を与えることで、国債からリスク性資産への投資を促す「ポートフォリオリバランス効果」が期待できるとしている。

同報告書は、4月4日に打ち出した「量的・質的金融緩和」以前の金融政策の枠組みの下での市場調節運営を紹介したものだが、日銀では当時から資産買入基金(現在は廃止)を通じて積極的に長期国債などの資産を積み上げてきた。

報告書では、日銀が実施している各種資産の買い入れは、「民間金融機関のバランスシートの構成を変化させ、民間金融機関の行動に影響を与えることを通じて、その効果を発揮する」と説明。その過程は、日銀の資産買い入れによる、1)直接的な民間金融機関のバランスシートの変化、2)その結果として期待される金融機関の貸し出しや有価証券の運用スタンスの変化──に分類できるとした。

具体的には、例えば国債の買い入れによって民間金融機関が保有する国債が減少する分、当該金融機関が保有する日銀当座預金が増加。金融機関サイドでは、当座預金が増加するほか、日銀の国債買い入れの進ちょくに伴って利回りに低下圧力がかかることになり、「ポートフォリオ全体としての収益性を維持するためには、リスク性資産への投資や貸し出しなどを積極化することが期待される」としている。

その上で、こうした資産買い入れを円滑に進めていくには、1)金融システム全体でみた場合は、日銀当座預金が株式や貸し出しなどに振り替わるものではない、2)資産買い入れは、民間金融機関の保有資産の売却ニーズや日銀当座預金の保有スタンスに依存する──などに留意して金融市場調節を運営する必要があるとしている。


 

円上昇、クロス円からの円買い圧力との見方−対ドル98円後半

  5月9日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では円が上昇。市場関係者からは、クロス円(ドル以外の通貨の対円相場)の影響で円買いが強まっているとの見方が出ていた。
午後3時15分現在の円は主要16通貨のうち14通貨に対して上昇。ドル・円相場は1ドル=98円68銭前後と、早朝の99円ちょうど近辺からじりじりと円が上昇幅を広げる展開となっている。ユーロ・円相場も朝方の1ユーロ=130円台前半から午後の後半にかけては129円台後半へと円高が進んでいる。
JPモルガン・チェース銀行為替調査部の棚瀬順哉チーフFXストラテジストは、相場全体の動きについて「クロス円で円が上昇している」と指摘。また、「ドルの名目実効レートは下落しており、2月半ば以来の水準に低下している。米国株とドルの関係は、株価が上昇するとドルが下落する傾向にある」と述べていた。
中国国家統計局が午前10時30分に発表した4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.4%上昇とブルームバーグ・ニュースがエコノミスト40人を対象にまとめた同指数の予想中央値2.3%上昇を上回った。同時間帯に発表のあったオーストラリアの4月の雇用者数はエコノミスト予想の4倍余りの増加幅となり豪ドル買いのきっかけとなった。
豪ドルは一時、米ドルに対して1.0254米ドル、円に対しては101円38銭前後と2営業日ぶりの高値を付けた。
一方、英ポンドは対ドルで続伸。ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査によると、イングランド銀行(英中央銀行)はこの日開催する金融政策委員会(MPC)で、3750億ポンド(約58兆円)となっている資産購入枠の拡大を見送る見通し。
みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、BOEの追加緩和観測をめぐって、「前のめりにやってくるという見方があったので、その辺の巻き戻しはあるかもしれない。今回も見送ればその傾向は多少続くかもしれない」と指摘した。
ポンドは朝方に対ドルで1ポンド=1.5549ドルの高値を付けた後、1.5540ドルを挟んで推移している。
更新日時: 2013/05/09 15:23 JST



ドイツ的でないドイツ銀CEO、「よそ者」視点で難局に挑む

  5月7日(ブルームバーグ):ドイツ銀行 の共同最高経営責任者(CEO)としての12日目、アンシュー・ジェイン氏(50)は何百人ものビジネスマンがドイツ国歌を歌う中で独財務相と並んで立っていた。
インド生まれの英国人のジェイン氏はドイツ語をほとんど話さない。昨年6月、ベルリンのインターコンチネンタルホテルで就任後初スピーチを聴きに集まった客たちが祖国をたたえる中で、ジェイン氏は沈黙していた。
ロンドン在勤の投資銀行バンカーとしてキャリアを築いたジェイン氏のジレンマが、浮き彫りになった瞬間だった。ドイツ最大の銀行を欧州最大の経済国にしっかりつなぎとめようと取り組むジェイン氏を、ドイツ人の多くは理解できない商品を売り込むよそ者と感じていた。ブルームバーグ・マーケツ誌6月号が報じている。
「銀行と社会の間で交わされていた約束は、危機の間に破られた」とジェイン氏は聴衆に語りかけた。「銀行は今、疑いの目で見られている。それは無理もないことだ。われわれは銀行の活動が安全なものだと証明するために一段と取り組む必要がある」と力説した。
この仕事はその後、さらに難しくなった。ドイツ銀 での18年間に同行を世界最大の投資銀行の一つに育て上げ、出世の階段を上り詰めたジェイン氏は今、バンカーらの不祥事疑惑に対する非難の嵐にさらされている。その多くは自身が投資銀行を率いていた時代に始まっていた不祥事だ。税金を使った銀行救済への怒りにバンカーの不正行為に対する義憤が加わり、大手銀行分割を求める声が欧州中の政治家から上がった。
不祥事や訴訟の数々
昨年12月には排出権取引での脱税の疑いで、約500人の警察・税務当局者らがドイツ銀のオフィスを捜索した。イタリアのミラノ市の裁判所は同月、市の金利リスクをヘッジするスワップの販売をめぐりドイツ銀を含む4社に有罪判決を下した。さらに、指標金利の操作を図った問題でドイツ銀は少なくとも7人のトレーダーを停職処分または解雇した。
またドイツ連邦銀行(中央銀行)とドイツ連邦金融監督庁(BaFin)は、ドイツ銀が金融危機中に損失を隠蔽(いんぺい)した疑いについて同行を調査していると事情に詳しい関係者が4月に明らかにしている。
ドイツ銀は損失隠しの指摘には「全く根拠がない」としている。ミラノ当局による有罪判決には上訴する方針で、排出権市場をめぐる捜査には全面的に協力しているという。2010年に法人・投資銀行部門の単独トップに就任したジェイン氏はいずれの件でも不正疑惑の対象にはなっていない。1月には世界の大銀行による金利操作には胸が悪くなると述べていた。ドイツ銀の調査では、金利操作への取締役の関与は認められなかったという。
負の遺産を象徴する顔に
とは言え、相次ぐ問題は共同CEOとしてのジェイン氏の1年目を波乱の多いものにした。ドイツ銀は訴訟関連の引当金を昨年末時点で24億ユーロ(約3100億円)と、9月末の8億ユーロから増やしていた。この費用に加え約2000人の人員削減と資本増強のコストで、12年10−12月(第4四半期)は25億ユーロの赤字となった。08年9月のリーマン・ブラザーズ・ホールディングス破綻の後の3カ月以来で最大の損失を出したことになる。
1990年からドイツの銀行をモニターしているメルク・フィンクのアナリスト、コンラッド・ベッカー氏(ミュンヘン在勤)は「ジェイン氏は投資銀行の負の遺産を象徴する顔になってしまうリスクがある」として、「いろいろなことが起こった時期に投資銀のトップだったという事実を懸念し、眉をひそめる人もいる」と話した。
ドイツでは9月に総選挙が行われる。3選を目指すメルケル首相に対する社会民主党(SPD)のペア・シュタインブリュック氏は、預金者をトレーディング損失から守るため銀行が投資銀部門をリテール(小口金融)部門から分離することを望んでいる。
メルケル首相再選への期待
一方、メルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)は銀行が自己勘定取引と他業務との間に防壁を設けるという、幾分穏やかな策を支持している。世論調査ではCDUがリードしており、このままメルケル首相が勝利すればジェイン氏ともう1人の共同CEO、ユルゲン・フィッチェン氏は少し楽になるだろう。両共同CEOはこれまで記者団や政治家に対し、銀行の分割は借り入れコストを上昇させるとともに、多様な金融サービスを提供する上で世界における独銀の競争力を低下させると繰り返し論じている。
インドで育ちロンドンで暮らしたジェイン氏の経験は他の銀行CEOにはない視点を同氏に与えていると、ドイツ銀の顧客であるフランスの保険会社アクサのアンリ・ドカストリCEOは評価する。「とてもユニークな視点だ。新興国と先進経済大国の両方についての洞察力だ」とドカストリ氏は述べた。
ジェイン氏を知る人はしばしば、同氏の鋭い知性と冷静な態度を指摘する。その知性と時に無遠慮な反論のために、ジェイン氏に反対意見を述べたくてもしり込みする人もいると、共に働いたことのある3人が匿名を条件に述べた。
人の話を聞く必要性
ジェイン氏はボンでのインタビューで、「もっと大勢の人の支持を得なければならないが、それは自分がしゃべってばかりいてはできない。人の話を聞くことも必要だ」と語った。「私はそれが得意かというと答えはノーだが、少しずつ上手になっているかといえば、そうだと思う」と語った。
かすかなインドなまりで話すジェイン氏は、昨年フランクフルトに異動した後もロンドンに住居を持っている。ジャイナ教徒として育ち、ジェインの姓はこの宗教に由来する。
ヨーロピアン・スクール・オブ・マネジメント・アンド・テクノロジー(ESMT)で教えるヤン・ハゲン氏は、「ドイツ銀のトップにジェイン氏がいることはドイツにとって大きな機会だ」として、「ジェイン氏が成功すれば、ドイツ銀とドイツが生い立ちや経歴ではなく実力によって人を判断する組織であり国だということの証明になる」と話した。
原題:No German Jain Brings Deutsche Bank to World as Client’sMan (1)(抜粋)
更新日時: 2013/05/07 07:01 JST



【クレジット市場】黒田日銀は強い味方、社債リスクが急低下

  5月7日(ブルームバーグ):キヤノンやホンダなど輸出業者を中心に日本企業の社債リスクが低下し、2008年6月以来の低水準になった。黒田東彦総裁が率いる日本銀行の景気刺激策が円安をもたらし、各社の業績見通しが改善している。
クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を使って日本企業の社債を保証するコストの指標であるマークイットiTraxx日本指数は、4月に29.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し83.5bpとなった。CMAのデータによれば、東芝とソニー、パナソニックなどがCDSスプレッド低下を主導した。日本の指数の低下幅はアジアの指数の15bpや北米の指数の16bpのほぼ2倍だった。
日銀が4月4日、債券購入を通してマネタリーベースを2倍に拡大させる政策を打ち出したことを受け、円はドルに対し4年ぶりの水準まで下落した。今年度(2014年3月期)の増収・増益を見込んでいるホンダとキヤノン、任天堂はいずれも、為替を業績改善見通しの要因として挙げた。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券によれば、1日時点で決算を発表済みの製造業者257社 の今期売上高見通しは、13年3月期を平均で9%上回った。
BNPパリバ証券の野川久芳ストラクチャードクレジットストラテジストはインタビューで、「決算は悪くなく、為替で押し上げられた効果が出ている」と指摘した。「最近のCDSは業績回復機会を織り込み始めたが、この水準だとそんなに強気になっているわけではない」との見方も示した。
アベノミクス効果と米経済回復
円は6日までで年初来12%余り下落していた。4月11日には4年ぶり円安・ドル高水準の1ドル=99円95銭を付けた。
野村ホールディングスの3月25日付のリポートによると、同社はiTraxx日本指数が14年3月までに50bpまで低下すると予想し、1月予想の80bpから引き下げた。安倍晋三首相の景気刺激策の予想以上のインパクトと米経済の回復が理由としている。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の白木豊シニアストラテジスト、芳賀沼千里チーフストラテジストの今月2日付のリポートによれば、見通しが市場予想を上回ったセクターの「多くは円安の恩恵が大きい業種だが、不動産や小売りはその恩恵がない業種である」という。
キヤノンは4月24日、13年12月期の純利益見通しを2900億円に引き上げた。同社は13年4−12月の為替相場予想を1ドル=95円、1ユーロ=125円に修正した。3カ月前にはそれぞれ85円と115円を見込んでいた。
逆らえないセンチメント
ホンダは4月26日に、14年3月期の純利益は前年度比58%増の5800億円と予想。任天堂も同月24日、550億円(前年度71億円)への増益見通しを示した。
日銀が先月、毎月の債券購入規模を7兆円強に拡大すると発表したことを受けて、30年物日本国債の利回りは過去最低の0.925%を付けた。バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数によれば、日本の社債の平均利回りは2日に0.57%だった。
バークレイズ証券クレジットトレーディング部の土屋剛俊ディレクターは電話インタビューで、「黒田日銀のおかげで、投資家は日本国債を買えなくなってしまい、どこもクレジットリンクノートを買うしかなくなってきている」とし、「ヘッジファンド勢も、このセンチメントには逆らえないということで、ポジションを手じまっている」と話した。
原題:Canon to Honda Forecasts Cut Bond Risk to ’08 Low: JapanCredit(抜粋)
更新日時: 2013/05/07 06:00 JST


06. 2013年5月10日 02:53:51 : nJF6kGWndY
ギリシャ経済:期待と不安の狭間で
2013年05月10日(Fri) The Economist
(英エコノミスト誌 2013年5月4日号)

ユーロ圏の危機の震源地は今

 5月1日、デモ参加者たちが再びシンタグマ広場に集結した。ギリシャが第2次救済策の条件を満たそうと必死になる中で、発足からまもなく1年を迎える連立政権にかかる重圧を思い出させる不穏な光景だった。

 ギリシャ経済が景気後退から抜け出せなければ、こうした重圧が増すだろう。では、景気回復の兆しが見えてくる可能性はどれくらいあるのだろうか?

明るい兆候

 アテネ中心部では、いくつかの明るい兆候が見られる。5月初めの抗議行動を除けば、デモの発生件数は以前に比べ減っている。歩行者天国となっているショッピング街のエルム通りには、板を打ち付けた店舗がいくつかあるが、大勢の人で賑わっている。


 高級住宅街のコロナキ地区では、賃料が下がるにつれて、数軒の店舗が新規オープンした。ガラガラのレストランで客を切望するウエイターも少なくなった。

 信頼感はギリシャ全土で、ユーロからの「グリグジット」の懸念が最高潮に達した昨年6月のどん底から上向いている。

 回復しているのは消費者の信頼感ではなく企業の信頼感だが、欧州委員会がまとめている総合指数は、ソブリン債務危機が勃発する前の2009年後半以降、最高となっている(図参照)。

 極めて重要な夏季の旅行客の予約状況は好調だ。4月には、2年間にわたって中断されていた高速道路の工事が再開した。信用が枯渇していた経済には流動性が戻りつつある。

 ギリシャ政府はサプライヤーへの未払い金――昨年暮れに国内総生産(GDP)比4%を上回っていた――の支払いも始めた。2009年後半から昨年6月にかけて37%落ち込んだ家計と企業の銀行預金残高は、それ以来、9%回復している。

 遅かれ早かれ、事態は好転するはずだ。何しろGDPは2007年以降、20%も縮小した。試練は終わっていない。追加の緊縮策のせいで、今年のGDPはさらに4.4%落ち込むと予測されている。


行く手に希望の光も見えてきた〔AFPBB News〕

 だが、様々な対策は一定の効果を上げている。2009年から2012年にかけて、GDP比10.5%から同1%まで減少した政府のプライマリーバランス(利払い前の基礎的財政収支)の赤字は、今年解消されるはずだ。

 ヤニス・ストゥルナラス財務相は、政府は2016年以降、GDP比4.5%の黒字を出す可能性があると述べている。

 緊縮財政の影響が尾を引いているにもかかわらず、欧州委員会は2014年に0.6%の緩やかな成長回復が見込めると予測している。多くのことが銀行にかかっている。昨年のギリシャ国債の債務再編により巨額損失が発生したために絶対不可欠となった銀行の自己資本増強はほぼ完了した。

 救済資金から拠出される最大500億ユーロ(650億ドル)の資金があれば、銀行はその損失を穴埋めしたうえで、民間融資残高――そのうちの25%は既に不良債権となっている――の一段の不良化にも耐えられるはずだ。だが、銀行は経済成長が戻ってこない限り、融資を増やさないだろう、とユーロバンクのエコノミスト、ギカス・ハードゥベリス氏は言う。

大幅な所得減に苦しむ消費者

 消費者が成長を先導することはない。失業率は欧州で最高の27.2%を記録した。最低賃金が22%減額(若年労働者については32%減額)されたほか、労働市場の大規模な改革によって雇用主が従業員と直接交渉できるようになったことを受け、賃金は大幅に落ち込んだ。

 下がった所得をさらに圧迫するのが増税だ。特に脱税が蔓延しているために、実際に税金を収める人の負担が増す。

 輸出は成長を取り戻す助けになるだろうか? より低い人件費――2012年秋までの1年間で13%減少した――は助けになるだろう。危機以前の10年で失われた競争力のおよそ3分の2が既に回復している。だが、製品輸出(ギリシャの貿易の半分近くを占めている)の見通しは、ユーロ圏の景気後退に阻まれている。

 経常赤字の減少――2008年のGDP比15%から昨年には3%まで減少――の大半は、輸入の減少で説明できる。

 将来展望を一変させる可能性があるのは、外国からの投資の急増だ。だが、ギリシャは依然、外国人が事業をする場所としてはリスクが高い。ハードゥベリス氏が強調する障害の1つは、お粗末なうえにまだ改革がほとんど進んでいない法体制だ。そのせいで、投資家は長期に及ぶ訴訟で身動きが取れなくなることがある。

 ギリシャの官僚機構を乗り越えるのも頭痛の種だ。セメント会社タイタンのトップ、ディミトリ・パパレクソポロス氏は、同国の公的部門がどれほどひどく、非効率的に運営されているかを説明するのは難しいと言う。

 いくつかの欠点については対策が講じられている。輸出手続きは簡素化され、貨物が港で足止めを食らう日数は半分に減った。船の登録手続きに要する時間も7カ月から10日に短縮された。また、議会は4月28日に、2014年末までに1万5000人の公務員を解雇する法案を可決した。空席は、資格要件を満たした若い新規参入者が埋めることになる。

間一髪での回復なるか

 試金石となるのは、民営化プログラムだ。民営化は資産売却で得られる収入以上に、それが発信する経済開放のメッセージという点で重要な意味を持つ。もともと掲げられていた500億ユーロという目標額は半分に削られ、プログラム自体も遅延に見舞われたり、制限を受けたりしている。

 賭博の独占企業OPAPの株式売却は5月1日に完了した。これが新たなスタートとなるはずだったため、有効な入札者が1社しか現れなかったことは失望を招いた。

 ギリシャ経済は不安定な状況にある。様々な調査が景況感回復の兆しを示しているにもかかわらず、企業の多くはまだ悲観的だ。そうした悲観論は自己成就的になる可能性がある。また、60%近い若年失業率に苦しむギリシャ社会が耐えられる痛みの限界に達しつつあると心配しているのは、パパレクソポロス氏だけではない。もし景気回復が実現するとしたら、まさに間一髪のタイミングかもしれない。


07. 2013年5月16日 19:29:25 : niiL5nr8dQ
コラム:長期金利上昇、金融危機の「誘発点」はどこか=河野龍太郎氏
2013年 05月 16日 18:51 JST  
河野龍太郎 BNPパリバ証券 経済調査本部長(2013年5月16日)

これまでのコラムでも述べてきたように、アグレッシブな金融緩和と大盤振る舞いの追加財政をパッケージにしたアベノミクスは、今後も追加財政を止めることができず、結局、「マネタイゼーション」の罠に陥るのではないかと筆者は懸念している。このとき問題は、デフレから脱却した際、日銀が国債をアグレッシブに購入しても、長期金利の上昇を食い止めることが難しくなるという点だ。

1%の均衡実質金利を前提にするならば、2%のインフレ予想が定着した場合、長期金利は少なくとも3%程度まで上昇する。長期金利が上昇し、損失が発生すると、投資家は損失リスクへの見返りとして上乗せ金利(リスクプレミアム)を求めるようになる。リスクプレミアムが織り込まれれば、長期金利は4%、5%へ上昇しても不思議ではない。

現段階では、債券投資家はリスクプレミアムをほとんど要求していないが、債務危機が発生する前の南欧諸国の国債金利はドイツ並みの低位で安定し、リスクプレミアムは相当抑え込まれていた。しかし、危機が始まると、同プレミアムは跳ね上がり、債券利回りも急上昇した。ギリシャやポルトガルは言うに及ばず、イタリアやスペインにおいても、危機のピークでは10年債利回りの対独スプレッドが6ポイント前後まで急上昇したことは、記憶に新しい。

日本にとって、この南欧諸国の教訓は重い。政府債務残高は対国内総生産(GDP)比ですでに先進国中最大の200%に達している。いったん長期金利が上昇を始めれば、利払い費が増大し、債務残高が雪だるま式に膨張していく。

長期金利の上昇を受けて、国債を大量に保有する金融機関の自己資本が劣化すれば、金融システムに動揺が走りかねない。後述のように対応を誤れば、南欧で見られた「銀行支援のための財政膨張、国債価格下落、銀行の資本劣化」という財政問題と銀行危機の負のスパイラルが始まるリスクがある。

<長期金利の分水嶺は3%か4%か>

では、長期金利がどの程度上昇すれば、金融システムは動揺を始め、危機に陥るのだろうか。大手金融機関と地域金融機関の多くは、3%程度までの長期金利上昇への備えは十分にできている模様である。保有債券の実質的な価値の毀損(きそん)により、純資産の3割前後は失われるものの、「バーゼルV」上で必要な自己資本比率は維持される。系統金融機関についても、自己資本への影響は同程度にとどまると見られる。

しかし、問題は総資産の5割以上を国内債券で保有する中小企業金融機関等だ。長期金利が3%を上回ってくると、保有債券の価格下落により自己資本の7割以上が実質的に失われるため、経営問題に直面する恐れがある。

このこと自体は、あくまで一部の金融機関の問題で、本来、金融システム全体に影響を及ぼすものではない。しかし、これらの金融機関は強い政治力を有するため、1990年代のように、政府が誤って猶予政策を取り、ゾンビ銀行の延命に財政資金の投入を始めると、市場は将来的に公的資金の投入が際限なく膨らむ可能性を意識する。その結果、財政リスクプレミアムが上昇し、長期金利は一段と上昇しかねない。

長期金利が4%に近づけば、今度は地域金融機関で自己資本が不足し金融システムに動揺が広がるが、リスクプレミアムの上昇を目の当たりにした政策当局は資本注入に二の足を踏むだろう。しかし、この時点では、株式市場も動揺が始まっていると想定されるため、市場からの資本調達も難しい。結局、日銀が国債の買い支えに動かざるを得なくなるが、動揺した市場を安定化させることは容易ではないだろう。

巨額の財政赤字が続く日本では、政府は継続的に国債を発行し、入札によって消化する必要があるが、欧州債務危機で見られたように、リスクプレミアムが発生し金利が上昇する局面では、損失を抱えた金融機関は応札を手控えるため札割れが生じ、そのことがさらなる金利上昇圧力となる。

中央銀行によるセカンダリー・マーケットへの介入だけで、金利上昇を抑え込むことは容易ではなくなる。また、物価安定よりも金融システムの安定を重視せざるを得ない日銀の行動そのものが、円安を加速させインフレ懸念を高めることで、長期金利のさらなる上昇圧力をもたらすだろう。

長期金利が5%を超えると、大手金融機関、系統金融機関でも自己資本不足に陥るところが現れ、金融システムは危機的様相を強める。6%まで上昇すると、大手金融機関を含め大半の金融機関で自己資本が不足することになる。市場から資本を調達しようにも、株式市場でもかなりの動揺が広がっているため、大手金融機関であっても自己資本を充当させることは難しい。国債の価格下落が問題の根源にあるため、危機収束のために公的資金を投入しようにも、市場から資金を調達することもできず、日本政府単独では対応できない。国際通貨基金(IMF)に支援を求めることになるだろう。

あるいはもう一つ、金融抑圧政策という選択肢もある。こちらの方が、蓋然性が高いと思われる。金融抑圧政策とは、公的関与の強化によって、インフレ率が上昇しても、低い金利の国債を金融機関に半ば強制的に購入させることだ。マイナスの実質金利となる国債を保有する金融機関、最終的には預金者や保険契約者、年金契約者の犠牲によって、公的債務(正確には対GDP比)を圧縮していく。具体的には、日銀の大量国債購入だけでなく、国債保有の優遇税制の導入や非市場性国債の発行、時価会計の停止などを実施する。

政策当局者が現段階でそうした政策を検討しているとは思われないが、インフレ率が上昇し長期金利に上昇圧力が加わり始めると、眼前の財政危機や金融システム危機を避けるために、政治家や行政官、セントラルバンカーが対症療法を続け、結果的に金融抑圧政策が進展していく可能性がある。金融抑圧政策については、改めて論じる。

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。


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