★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK121 > 588.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
池田信夫氏の「「カロリーベースの食料自給率」という嘘」について
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/588.html
投稿者 あっしら 日時 2011 年 11 月 03 日 03:24:59: Mo7ApAlflbQ6s
 


 ついでと言ったら失礼だが、「真相の道」さんが転載している池田信夫氏の「「カロリーベースの食料自給率」という嘘」(http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/573.html)についても少し触れたい。

 池田氏は、「農水省の発表している食料自給率は、2010年度はカロリーベースでは39%、生産額ベースでは69%である。ところが農水省は、前者だけを公式の自給率として発表している。これによれば畜産品の国産比率は70%だが、その飼料となる穀物の自給率が低いため、これをかけたカロリーベースの自給率は17%になる。卵の96%は国産だが、その自給率はわずか9%だ。こんな計算に意味がないことは明らかだ」と主張している。

 池田氏らしい勢い余っての勇み足なのかしれないが、カロリーベース食料自給率は、その値と別の方法で算出した自給率を比較して日本のほうが低いとか高いとかというのは間違いだとしても、それなりの意味がある指標である。
 
 廃棄割合が高い実態も含めて、現在の食生活で得ているカロリーが、国内でどれだけ供給できているのかがわかる指標だからである。
 もちろん、食糧の生産や輸送に使われている燃料のほとんどが輸入されていること、農業機械や農機具を製造するための原材料が輸入されていることなどを考慮した「カロリーベース食料自給率」も必要である。

(それらの要素の金額を生産への寄与率に置き換えて加味すると、カロリーベース食料自給率は低下するはずだが、廃棄する部分を考慮すると無視できるものかもしれない)

 池田氏の「カロリーを取るだけなら、たとえば小麦の輸入が止まったら他の作物を食えばよい」という主張の方が、いざというときの選択肢としては意味があるとしても、現実的な意味がないものだと言える。

 さらに、「自給率を高めることだけが目的なら、実現するのは簡単だ。すべての農産物の輸入を禁止すれば100%になる」というのも、今風の食生活が国内からの供給でどれだけできているのかという話なのに、現在の食生活を根底からひっくり返すような話を持ち出すのは、子どもの口げんかレベルの論でしかない。

 「カロリーベース食料自給率」は、現在の国民が選択している食生活が国内の供給力でどの程度持続性があるかを知る一つの指標として見ればいいのだ。
 それにあれこれ意味を付与するときに、政治的思惑や価値観が付きまとっていることは否定しない。

 「カロリーベース食料自給率」にイチャモンをつけながら、「生産額ベース自給率」をまるで問題がない指標であるかのように放置していることに疑問を感じる。

 金額ベースで語るなら、せめて、付加価値額ベースで語らなければ意味がないはずだ。
 細かな計算ではなくても、生産額から生産のために輸入された金額を差し引いたものでも十分だ。

 「こんな計算に意味がないことは明らか」という直接的な根拠は、「畜産品の国産比率は70%だが、その飼料となる穀物の自給率が低いため、これをかけたカロリーベースの自給率は17%になる」とか「卵の96%は国産だが、その自給率はわずか9%だ」というものだが、算定に問題があるのなら、肉や生乳そして卵の生産に対する飼料のウェイトが高すぎるなど、何が問題なのかを指摘しなければならない。
 算定に問題がないのなら、それを事実として受け止めればいいのであり、十分に意味があるデータと言える。

 転載した「真相の道」さんも、「現実に卵の96%は国産なのに、農水省の計算するカロリーベース自給率ではわずか9%になってしまう」ことを、「農水省による、自給率詐欺」だと書いているが、どこの何が詐欺なのか明示する必要があるだろう。

 「「新興国の食料需要が増えて穀物価格が上がったらどうする」という話があるが、川島博之氏もいうように、農業技術の向上によって農産物の生産も拡大している」という部分も、農業技術の向上によって農産物の生産が増大する可能性は認めるが、土壌・水・天候など農業技術ではカバーしきれない大きな生産要因があるのだから、あまりにも雑駁な説明である。

 せめて、新興国の食生活の変化と穀物の生産増加の重ね合わせは必要だし、農業技術以外の生産制約要因が今度どうなるのかという予測を示す必要もあるだろう。

 TPP参加を声高に要請している経団連の坂根副会長も、10年後か20年後には食糧危機が必ず起きると言っている。
 実際にそうならないとしても、少なからぬ人が食糧危機や食糧輸入制約の発生を危惧する論考を出しているのだから、もっと多面的に考えそれに備える必要はあるはずだ。


 「価格が問題だとすると、世界の穀物相場よりはるかに高い価格で国内生産する意味はない。以前の記事でも書いたように、自給率を高めるというのは割高な国内穀物を増産することだから、価格高騰の対策にはならないのだ」という説明も、前提条件がなく無媒介なすっからかんの論理だ。

 というのは、現在の価格ではなく、池田氏自身が設問しているように、「新興国の食料需要が増えて穀物価格が上がったらどうする」に対する解だからである。

 そのとき、国内生産の穀物価格(生産費ベース)が国際相場より高いと決まっているわけでもないし、通貨円が今のように強いとも限らない。
 円安になれば、ドル建て国際穀物相場に近づく。カロリーベース自給率が低いから円安の影響で穀物の生産費も高くなるが、円が半分の価値になれば大きく国際相場に近づくはずだ。
 このような影響を予測するためにも、「付加価値額ベース食料自給率」が有用なのでる。
 ということで、「自給率を高めるというのは割高な国内穀物を増産すること」とは断定できない。

 何より、経済団体はともかく、国民の多くはコメの価格よりも持続的な供給を心配しているだろう。

 カロリーベース食料自給率は、「農水省が1983年から発表し始めた日本だけの統計だ」というものなら、貿易政策や農業政策の選択は別として、農水省をほめるべきで文句を言うのは筋違いだろう。
 紙幣を食べるのが好きな人は別だが、そこそこバラエティーに富んだ食事をしている人なら、その持続可能性を知るデータとして金額ベースのデータより有用性を感じるはずだ。

 「そもそもこのように補助金や関税で守ることが農業のためにならないことは、補助金漬けの米を見れば明らかだ。どんな産業も、競争がないかぎり健全に発達できない。農業だけを特別扱いするのはやめるべきだ」と、締めくくりの一つ目にを書いているが、戦後の日本の製造業が、補助金・関税・直接投資制限・優先的外貨付与などの保護主義的政策により育成・強化されてきた歴史を知らないのだろうか?

 競争が健全な発達に不可欠のものとは思っていないが、日本の農家は、国内の他の農家とも競争をしているし、外国の農家(たぶんに日本の商社だが)とも競争している。
 それは、ここ数年のスーパーの店頭価格を見ている人ならわかることだ。日本の農業の代表とも言える多品種高級品(イチゴやりんごはその象徴)も競争の産物とも言えるだろう。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2011年11月03日 07:05:56: MdpIk6UmdQ
・・・池田信夫氏って元NHK?、東大経からNHKを経て評論家?・・・机上の論を軸に食糧やグローバイリゼイションを論じる傾向が強いようだな・・・
あなたの論破にやや味方するが、それでもものの見方が少し浅薄だな・・・

池田氏は戦争中も食糧の輸入はあったと言うが、軍国少年のあっしなど、毎日重湯の底に点在するかの如きコメ粒をあさって飢えをしのいだものだ・・・敗戦後もしばらくは慣れない田畑仕事に駆り出されて、進駐軍から目のさめるような白いメリケン粉をもらった時は、地獄から一気に天国へ昇ったような気分だった・・・

・・・ここに食糧が原油と並んで、国際戦略物資として位置つけられていた因を、成人し且つ、何の因縁か国際食糧取引に数年間携わることになってから気付いたものだ・・・米ソ冷戦たけなわの頃、ソ連ウクライナ地方の旱魃でソ連が密かに穀物メジャーの一つ、ロシアユダヤ人から米国五大メジャーの一つにのし上がっコンチネンタグレインと米国産穀物の大量買い付けをやり、豊作に反して相場は暴騰・・・価格問題より量の問題として、加えて政治的覇権の下にニクソンは、穀物輸出禁止令策を取った・・・

あの頃は第一次石油ショックも重なり、キッシンジャーが中東原油国際市場での決済をドル一本に改め、そしてソ連封じ込めの手段として穀物を活用せよとの戦略を立てたものだから、以降、原油と穀物は国際戦略物資と位置つけられるようになった・・・

あの時、ソ連が海上船腹の殆どを抑え込んでしまい、米国から買い付けておいた穀物を日本へ運ぶ船腹が無くなって往生したものだ・・・3年前の穀物高騰の時にも、特にブッシュによるバイオメタノール開発への特化で、買い付けておいたトウモロコシがnon―deliのリスクに遭遇し、TVでも盛んにやっていたが日本の商社が契約履行をお願いに米国農家にお三度を踏んでいた・・・

・・・ソ連は小麦輸出に規制を敷き、中国はコメに規制を敷いていた・・・何が言いたいかと言うと、一旦緩急あれば、先ずどこの国とてわが身を守る姿勢に転じる・・・カロリー自給率云々の問題以前に、量そのものの確保が如何に大事かと言う事に目を向けて事を考えよ、ということだ・・・価格の問題ではない・・・

「(国際価格の暴騰や他の要因による)小麦の輸入が止まったら他の作物を食えば良いと言う主張の方が、“いざと言うときの”選択肢としては“意味がある”としても」・・・

そうならないようにしておくのが国家の戦略というものではないのか・・・いざとなってからバタバタするのではなく、他の物を食う前に輸入に頼っている物を、前もってどう自給するかを考えておくべきである・・・

「日本の農家は、国内の他の農家とも競争をしているし、外国の農家(たぶんに日本の商社だが)とも競争している。

日本の商社だが)とも競争している」・・・

食料全般に亘るご指摘なのだろうが、こと基礎食糧・メジャーグレインの場合は(いや他の食品もだが)、日本の商社が、ではないのです・・・全て多国籍企業国際穀物メジャーによって生産から流通まで全部抑え込まれているのですよ・・・

昔はカーギル、コンチネンタル、ブンゲ(アメリカ読みバンゲ)、ドレフュス、アンドレガーナックが五大メジャーと言われ、カーギル以外はユダヤ金融資本と一体化、全て経営内容は非公開・・・あの時代ではメジャーは流通販売網の占有から入ったが、その後は種子、肥料、金融全ての分野における支配形態を構築、そのためにM&Aなどによって現在は、カーギル、ADM、ブンゲが世界三大メジャーになっている・・・

「農業技術の向上によって農産物の生産も拡大しているという部分も、その可能性は認めるが・・・」・・・その農業技術は遺伝子組み換え種子による所が大なり・・・TPP、農業分野に限って言えば、国際基準に応じて解放という部分はそのことを狙っていることは明らかだ・・・

要は、こちらでカロリー自給率云々などのような学校勉強の域を出ない議論より、国際覇権政治が絡む相手の戦略、そしてその黒幕は誰なのか、もっと大きな視点でよく裏も見ておいた方が良い・・・これは硝煙無き戦争を仕掛けれているという疑いも考察の一項に入れておくべし・・・でないと子供の議論の為の議論に終始してしまう・・・その点で突っ込みが足りない・・・

「いざというとき」でないと対処しない体質が、我が国を覆ってしまった・・・競争だけを軸にして、全体の安定が保たれるのか・・・池田氏が言うグローバイリゼイションやNAFTA擁護論に至っては、現実をどこまで把握しているのか、格差は一体どこから始まったのか、グローバリによってである現実は、我が国でもあまたあるであろう・・・それによって何の発展を期待するのか、」また期待できるのか、世界の現状が答えを既に出しているではないか・・・

競争に明け暮れて一体何の進歩があったのか・・・「戦後の我が国が保護主義政策で育成強化されてきた」その部分は確かにそうで、あなたに賛同する・・・保護主義下にあっても、競争が少なくても、我が国技術は驚異的な発展を遂げた・・・・

米ネオコン新自由主義ばかりを信奉するなら、いっそのこと米第51州にしてもらえ、その方が手っ取り早い。


02. 2011年11月03日 08:20:32: aG64EDrsYo
>いっそのこと米第51州にしてもらえ

植民地支配がどういうものであるか、ちっともわかってないな。w

日本を米第51州にすればアメリカは巨大な利益を失うのだ。それどころか合衆国憲法に基づいて、日本を命がけで守らねばならない。
ジャップに大統領選出の権限も与えなければならない。何よりも、ジャップの財産を奪うことはもはや不可能になる。

米国が日本を第51州になんかするわけねえだろ。w
米国のような資本主義帝国が利益を得るには、植民地はいつまでも植民地であるべきなんだ。
でなければ収奪ができない。

わかりましたね。


03. 2011年11月03日 08:22:44: aG64EDrsYo
それからあっしらとか、あんたが屁のような知識をひけらかしたいのはわかるが、
池田ごときを相手にするのは、相手にした時点であんたの負けだよ。
それは阿修羅の諸君も同じ。
糞を相手にすれば糞になる。あたりまえの道理だ。

04. 2011年11月03日 08:51:54: lGQ9x4NIUs
> 転載した「真相の道」さんも、「現実に卵の96%は国産なのに、農水省の計算するカロリーベース自給率ではわずか9%になってしまう」ことを、「農水省による、自給率詐欺」だと書いているが、どこの何が詐欺なのか明示する必要があるだろう。

現在、卵の96%は国産であっても、鶏の餌が輸入できなくなれば卵の生産量は「わずか9%になってしまう」と言う農水省の方が正しい。
「詐欺」は池田信夫氏の方である。


05. 2011年11月03日 11:05:40: d9q7lFlsyU
>日本を米第51州にすればアメリカは巨大な利益を失うのだ。それどころか合衆国憲法に基づいて、日本を命がけで守らねばならない。

国際金融資本にとっては、国籍、国境など関係ない。
自国民、他国民、すべて収奪の対象だ。
日本を命がけで守る? 彼らは戦争もコントロールしている。
すべてヤラセの世界で、守る守らないなど関係ない。


06. 2011年11月03日 11:58:49: MdpIk6UmdQ
02、03さんよ・・・

米第51衆にしてもらえというのは、皮肉だよ・・・

屁のような知識?・・・船積許可書をもらいに何度もUSDAに足を運んだ苦労は忘れられるものではないぜ・・・船積出来ないものを南米に転売して、相手がカネ払わない・・・銃で軟禁されたことも苦い思い出だ・・・平和ボケの素人には分かるまい・・・

まあ、池田が如きを相手にした段階で云々というのは、謝辞として受けておこう・・・だがTPPにせよ、根本から何も考えることが出来ないこの国など、未練もないがな・・・しかし余りのおそまつさについ口出してしもうた。


07. 2012年5月28日 23:39:53 : 3Xj7QKgZtU
死ね糞電通農水省なんて無くていいんだよ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK121掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK121掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧