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<シリーズ 原発の深層>第2部・米戦略のもとでF/財界結束し異論排除
「しんぶん赤旗」 2011.10.07 日刊紙 1面
「原子炉用濃縮ウラニウム米から配分申入れ」
「朝日」1955年4月14日付朝刊(写真)は、同年1月に米政府から日本政府に濃縮ウラン提供の申し入れがあったことを1面トップでスクープしました。日本政府が隠し続けてきた米政府の口上書による申し入れが明るみに出たのです。
顔色うかがい
実は、外務省は3月に米側からの申し入れを公表することをいったん決め、在日米大使館の了解を求めていました。米大使館はコ部学界の反対ないし原子力問題に関する敏感な一般世論に無用の刺激を与えることを避けるため本件発表は慎重を要する」として本国政府に打診(国際協力局第3課作成3月18日付文書)。米本国からは公表は「別に異存はない」との回答を得ていました。
しかし、外務省は最終的には「(米側に)極めて慎重を期したい意向も窺(うかが)われた」との理由で、発表を見合わすことを決定(重光葵外相から井口貞夫在米日本大使あて3月30日付公電)。米国の真意を忖度(そんたく)し、厳秘扱いを続けていたのです。
「将来を誤る」
米側からの濃縮ウラン提供の申し入れが明らかになり、内閣の諮問機関である原子力利用準備調査会では濃縮ウラン受け入れの是非に関する議論が始まります。5月16日の同調査会総合部会―。
朝永振一郎東京教育大学教授濃縮ウランの原子炉と(日本が計画している)天然ウラン重水型の原子炉と並行的につくるということも、その原子炉を誰がどこで受け入れるかということも、いまだ何も決まっていない。何もかも不確定な状態のままで受け入れることは将来を誤ることになる。
倉田主税日立製作所社長 濃縮ウランを受け入れることについては、速やかにその実現を図るべきである。
久留島秀三郎同和鉱業社長 受け入れは急速に行うべきである。
日本の財界は、米財界の原発輸出計画「原子力マーシャル・プラン」が54年12月に発表されて以来、関心を示していました。
米側からの口上書が明らかになると、「原子力平和利用懇談会」(4月28日設立)に経済団体連合会の石川一郎会長ら財界首脳が結集するなど、米国支援の下に原発を導入する動きを一気に強めていきました。
調査会では朝永氏(後にノーベル物理学賞受賞)の主張は「少数意見」として切り捨てられ、政府は20日、米国と協定締結交渉を速やかに開始することを決定。6月に「日米原子力研究協定」が仮調印されたのです。(11月正式調印)
この時、財界をまとめあげたのが、日本テレビ社長で、読売新聞社主だった正力松太郎氏でした。(つづく)
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