http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/602.html
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http://jp.wsj.com/IT/node_168968
1月4日付WSJによると、米ゴールドマン・サックス・グループ(ゴールドマン)とロシアのインターネット関連投資グループのデジタル・スカイ・テクノロジーズは、米ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)大手フェイスブックに5億ドル(約409億円)を出資した。
また、ゴールドマンは、資産管理部門の富裕層顧客にフェイスブック株15億ドル相当を割り当てる可能性がある。ゴールドマンは、有望なベンチャー企業の資金調達と新規株式公開(IPO) を手助けして手数料を貰うだけでなく、IPO後に富裕層の仲間入りした起業家を資産管理部門の個人顧客にする「セット取引」を長年行ってきた。ただ、今回のような大型ディールは前例がないと思われる。
このディールに対して、米証券取引委員会(SEC)が関心を寄せている。未公開企業は財務情報を開示する必要はないが、たとえ株式を公開していなくても、株主数が500人を超え、かつ資産額が1000万ドルを超える場合は、一定の財務情報を開示しなければならないというSEC規定があるからだ。ゴールドマンが投資のために組成した特別目的会社(SPC)が、500人制限を回避する手法となっている可能性がある。名目上の株主はSPCの1社だけでも、SPCに投資する顧客が500人いれば、実質的な株主数は500人になるからである。
ところが、1月7日付WSJによると、フェイスブックは2012年4月までに財務情報の開示か新規株式公開(IPO)を行うことが、同社の私募株式関連資料で明らかになった。 従来、フェイスブックはIPOに消極的という見方があったが、これでSECからも疑念をもたれることはないだろう。
フェイスブックの株価評価はバブルか?
フェイスブックは、2004年にハーバード大学の学生だったマーク・ザッカーバーグ氏(現同社CEO)が創業した。当初は、ハーバード大学の学生が交流を図るために作られたサイトだったが、短期間でスタンフォード大学やアイビー・リーグの学生にも開放された。その後、全米の学生に開放され、2006年には学生以外の一般ユーザーも利用できるようになった。SNSは、2003年から米マイスペースや米リンクトインによって普及し、フェイスブックは両社より後発である。しかし、フェイスブックは現在、世界最大のSNSに成長し、世界中に5億人を超えるユーザーを抱える。
1月7日付ロイター報道によると、フェイスブックの2010年1〜9月期の売り上げは12億ドル、純利益が3億5500万ドルである。今回のゴールドマンによる取引でフェイスブックの時価総額は、何と500億ドル(約4兆900億円)と評価された。時価総額1970億ドル(1月7日現在)のグーグルの4分の1強に相当する「大型企業」である。グーグルが80億ドル近い純利益を上げていることを考えると、フェイスブックの株価評価はバブルと言える。
長期悪循環が続く日本のVC投資と新興株式市場
2008年のリーマンショックの後、日本だけでなく、米国でもベンチャーキャピタル(VC)によるベンチャー企業への投資は低迷した。しかし、2010年上半期の米国VC投資額は114億ドル・前年同期比49%増となり、大幅に回復している。フェイスブックだけでなく、ツイッター、イェルプ(地域情報検索サイト)、シンガ(ソーシャルゲーム)など、大型ディールに発展しそうな企業が、昨年急成長した。
これに対して、日本のVC投資と東証マザーズなどの新興株式市場は長期低迷を続けている。財団法人ベンチャーエンタープライズセンターの調査によると、2009 年4 月から2010 年3 月までの間に行われたVCによるベンチャー企業への投融資額は875 億円で、2006年の31%に過ぎない。しかも、4年間一貫して減少している。2010年のIPO数はわずか22社で、そのなかには第一生命や大塚ホールディングスのような老舗大企業も含まれており、ベンチャーのIPOはさらに少ない。
また、マザーズ株価指数は2006年1月に2799.06ポイントの史上最高値を付けた後、右肩下がりを続け、リーマンショック後の2008年10月に269.41ポイントと、ピーク時の10分の1を割り込んでしまった。今年1月7日終値が449.56ポイントとなり、ボトムから65%回復しているとはいえ、まだピーク時の16%の水準である。米NASDAQ指数がボトムから96%も回復して、リーマンショック前の高値に到達したことと比較しても、マザーズの低迷が際立つ。NASDAQ指数は米の景気回復を先取りしている可能性が高い。
日本では、新興市場の株価低迷がVCのパフォーマンスを悪化させ、資金供給が減少し、そのことが、さらに新興市場の株価を低迷させるという悪循環が丸5年も続いたのである。日本以外では、2007年まで新興市場は好調だったので、日本の低迷はリーマンショックの悪影響など超越した異常な現象である。何故、こんなことが起きたのか?
きっかけは、2006年の「ライブドア・ショック」と「村上ファンド事件」であることは間違いない。ところが、新興企業のスキャンダルは、その後も断続的に起きている。2010年に表面化した事例だけでも、いずれも上場廃止となったエフオーアイとシニアコミュニケーションによる合計約122億円の粉飾決算がある。度々の粉飾決算発覚が上記の悪循環をさらに悪くしてきた。世界でも稀な新興市場の低迷が日本で起きたのは、このような背景がある。日本人に起業家精神がないとか、ベンチャー育成のインフラが整っていないという次元の話ではない。本質的な問題は、VCとマザーズなどの新興市場が機能麻痺を起こしていることである。
本質的な問題解決にならない東証マザーズ改革案
上場を承認した企業から粉飾決算が続出したことで責任を追及されてきた東京証券取引所は、昨年の12月21日、マザーズの改革案を正式に発表した。上場後10年たった企業に東証1部、2部並みの上場廃止基準を適用し、廃止基準を上回るパフォーマンスを上げた企業に、東証2部への市場変更を促す内容である。マザーズに企業が滞留し不正の温床になることを未然に防ぐことを目的としている。規則改正は今年3月に実施される。
ただ、この改革案は、根本的な問題解決にはならないだろう。何故なら、改革によって新興市場から退場する企業は増えても、IPOする会社を増やすことはできないからである。実は、「できることなら上場などやめて、非公開企業に戻りたい」と思っている新興企業経営者は数多いのだ。何故なら、現状では上場してもメリットよりデメリットが多いからだ。
株価が低迷して、経営者はIRで汲々とし、迂闊にIPOしたため金融商品取引法が適用されて、莫大な内部統制コストを払う羽目になっている。昨年12月にマネジメント・バイアウト(MBO)を発表した出版の幻冬舎(ジャスダック上場)は、一例である。マザーズ改革は、幻冬舎のような企業の背中を押すだけかもしれない。
本当に必要なことは機関投資家の意識改革
では、ベンチャー企業、新興企業の育成に本当に必要なことは何か?取引所、弁護士、会計士、VC、証券会社、銀行など、ベンチャー企業にとってのインフラは、日本でも大体揃った。エンジェル税制も整備された。足りないのは「機関投資家の意識改革」である。
日本市場では、IPOした企業の株式は、証券会社によって大半が個人投資家に販売される。個人は選挙における無党派層みたいなもので、長期投資はあまり行わない。また、粉飾決算から個人投資家を保護するためには、膨大なコストをかけて詳細な情報開示を行わなければならない。ところが、年金や保険などの機関投資家は数十年単位の長期投資ができるし、彼等は投資のプロなので、素人の個人投資家を保護する場合のような必要以上の情報開示を省略することができる。何より、運用資産が巨大なので、少々ベンチャーや新興企業に投資しても、ポートフォリオ全体に大きな影響はない。欧米では、IPO直後の新興企業株式を保有しているのは機関投資家で、個人はあまり買わない。
また、年金のベンチャー投資には社会的な意義もある。世界で初めてベンチャー投資を行った年金は米カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)だとされているが、カルパースの投資には、1980年代から90年代にかけてのカリフォルニア州の深刻な不況や失業を改善する目的が含まれていた。1990年のベルリンの壁崩壊後、失業した軍事産業の技術者の雇用受け皿となるベンチャー企業にカルパースが出資したのである。当時の雇用統計には大企業しか含まれていなかったので、表面上の数字だけを見ると高失業率が続いていたが、実質はベンチャー企業が雇用の下支えをしていた。また、その後のIT企業の勃興につながった。この時期に財を成した起業家、エンジェル、VCがシリコンバレーで成功企業の「拡大再生産」を繰り返し、フェイスブックにつながったのである。
日本版フェイスブック輩出のためには、体力、知力、情報力を備えた機関投資家の役割が不可欠である。国債ばかり買って、政府の財政破綻阻止を助けるだけが、その社会的役割ではないだろう。新産業を育成して雇用を増やすことを支援すれば、年金受給者のためにもなる。年金運用者の義務である「受託者責任」にも適うのである。
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尾崎弘之 東京工科大学大学院ビジネススクール教授
昨年6月からWSJ日本版に連載開始。著書「環境ビジネス5つの誤解」(日本経済新聞出版社)が1月13日に出版。クリーンエネルギー、電気自動車、水などの5分野に関して誤解を指摘し、問題の解決方法を分析する。
東京大学法学部卒、ニューヨーク大学MBA、早稲田大学博士。野村證券NY現地法人、モルガン・スタンレー証券バイス・プレジデント、ゴールドマン・ サックス投信執行役員を歴任後、ベンチャービジネスに転身。2005年から現職。専門分野は環境ビジネス、金融市場論、ベンチャー企業経営論など。主な著 書は「出世力」(集英社インターナショナル)、「次世代環境ビジネス」「投資銀行は本当に死んだのか」(いずれも日本経済新聞出版)。http://hiroyukiozaki.jp/
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コメント
菅総理は、四国歩きお遍路をまだ完歩していないようですが、お遍路にいくとあることに気付きます。
本堂には、その寺の本堂の神仏とお大師堂があるのですが、その他に奥の院というものがあります。
私も体調が悪く、このお遍路道中にも奥の院まで参堂し、体調の改善をお願いしたのですが、今の日本の政界にも奥の院というのがあるのかもしれません。
この連休中、副島氏の「中国バブル経済は、アメリカに勝つ」を読んだのですが、ある部分は賛同し、ある部分は懐疑的にもなりました。
ただ、この本は、ここ最近頻繁にでている副島著の中でも多数の人に読んでもらいたい気がします。他の最近の本は、どちらでもかまいませんが、私の評価は低いほうです。
さて、尖閣諸島事件に対して菅、仙石政権の対応ですが、たぶん事件の仕掛けは、米国の一部の勢力、そして外交音痴、尻切れトンボがしかけた仕掛けなのかもしれませんが、その対応に菅、仙石政権は、どうしたらよいか全く不能状態ではなかったのかというのが現実なのかもしれません。
そのような状況をみて、奥の院が判断し、検察に命じたというのが真相なのかもしれません。
そして、菅政権は、その後完全に奥の院の指示通りに動きますという返事が、APECでの中国主席に対応する菅総理のメモ読み対応であったということかもしれません。
つまり、菅総理は、奥の院がテレビの前で尻を出せと言われれば尻を出すという従順なお方なのかもしれません。
そのような偉大な権力を持つ奥の院とは一体どのような組織なのでしょうか。それがわかれば、奥の院組織そのものが奥の院という名前を返上しなければならないのですが、基本的には、既得権益組織なのでしょう。
前回のコメントで今の日本は、公家社会になってきているとコメントしましたが、公家社会では、日本を守ることはできません。古来から日本を守ってきたのは、武士です。
企業においても、経済成長が焼け野原日本でなしえたのは、企業戦士という武士であり、戦争に負けたとしても皇室を守りそして日本を守ろうとしたのは、武士です。
現代の大手企業の経営者にしても正社員にしても武士ではなく、貴族です。貴族は、庶民をいじめ、腐食を生み国家を疲弊させます。
今日本に必要なのは、その貴族を倒す武士社会が必要なのかもしれません。
日本を守るのが、武士ということです。
そこで、菅政権というのは、退陣もせずにこのまま進むと日本はどうなるのでしょうか。
中国にしても、13億人以上という国民を食わせていかなければなりません。この人口もまだまだ増加していくでしょう。
この中国国民を食わせていくには、覇権を強くしていくしかありません。穏便な形になるにしてもいずれ日本へ浸食していくとは思います。かつ、ロシアにしても同様、北海道へと向かうかもしれません。
対して米国はどうでしょうか。中国にしてもロシアにしても米国と共通の敵がいます。
その共通の敵のために、今後大きな仲たがいをするとは思いません。
日本は、戦後早々、やはり大変な国家危機であったと当時の権力者は考えていたと思います。その当時のことは、私は生きていないため詳しくありませんが、たぶん、日本人排除という言葉まで周辺国からでていたのかもしれません。
国を守るためにはどうするか。やはり、欧米諸国から守ってもらうしかないと当時の日本の支配層は考えたのかもしれません。
大きな観点から見れば日本は、アジアのために立ち上がったというかもしれませんが、日本人が大量に押し寄せてきた当時の周辺国の市民からしてみれば、侵略として映ったのかもしれません。
政府の考えと市民感情とは、一般には違うものなのですが、戦争に負けたことで市民感情がむきだしになったということかもしれません。
今、対米従順というとその思想が強いのが、今の既得権益層なのかもしれません。日本を守ってくれるのは、欧米諸国だけだという考え方です。
その考え方のもとであるならば、危機にひんしている欧米諸国の財政を助けるために、日本は、今後さらなる国民を増税で苦しめ欧米諸国に捧げるという選択をするのかもしれません。
それが、日本を守るという思想の持ち主です。
菅、仙石、前原政権というのは、その選択に従う政権ということです。
一方、小沢元幹事長は、それとは違い内需拡大、今までとは違う新たなる内需の創造、子供手当による少子化対策、それを日本の高齢者が持つ莫大な金融資産で社会に活用しようとしているのかもしれません。
そのことによって、国民も憂い、かつ、周辺国、そして欧米諸国にも利を与えようとしているというのが、本来の民主党の政策なのかもしれません。
国民に利権を与えるという政策こそ既得権益である貴族には、もっての他と思え、このような政権はつぶしてしまえ、つまり、菅政権を使って自滅させよとなるのかもしれません。
奥の院の中で武士社会を望む勢力と公家社会を望む勢力との争いが今後見られるかもしれません。ただし、本当の奥の院を守るのは、武士です。
武士には、責任をとるという精神があります。責任を取るというのは、武士の世界では切腹です。
ある大手証券会社の倒産社長のように、倒産して正社員にどうもすみませんと泣きながら会見した経営者がいましたが、それども悠々と年金生活で老後を暮らせているのも公家社会の典型的な生活様式でしょう。
その頃から、日本は、武家社会から公家社会へと変質していったのかもしれません。
今後菅政権が続くとこの日本は、どうなるのでしょうか。
企業はともかく、日本国内は、怒涛の貧国生活へと方向が向かうかもしれません。その兆候が現れる位、菅政権というのは、危険な政権であり、次の政権が、それを加速させるかそれとも逆の方向に向かうかという大変重要な時代へと移行するかと思います。
重要なことは、菅政権を早く退陣させ、かつ、旧来の政権とは全く違う政策を持つ政権を誕生させることかなと感じます。
大手企業のような既得権益企業は、どんどん外にでていけ、日本に根付く企業は、大、中小零細企業であっても大切にしていくということです。
つまりは、戦後当時の経済産業省が掲げた日本こそ本来の道ということです。
菅政権がこのまま続くのであるならば、沖縄諸島にしても北海道にしても大阪などの関西にしても真剣に独立自治ということを検討した方がいいのかもしれません。
よって、沖縄が独自で米国と直接交渉するというのは、ある意味賛成です。
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