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http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=a2VhbgrMS2wI
5月28日(ブルームバーグ):上場投資信託(ETF)を手掛けるiシェアーズのサンフランシスコ本社にある秘密研究開発部門はフル回転だ。研究者らはコンピューターの画面上に点滅するデータをにらんで熟考し、同僚たちはコーヒーのお代わりをマグカップに注ぎ、青い半透明の間仕切りで明るくなった会議室に結集している。
米資産運用会社ブラックロックのiシェアーズ部門を世界のETF市場のリーダーに押し上げた商品を開発しているこの頭脳集団は昨年11月、10年来のインデックス・トラッカーの大量生産から急展開し、ヘッジファンドをひとまとめにしたETFを発表、新機軸を打ち出した。
このETFはiシェアーズ・ディバーシファイド・オルタナティブズ・トラストで、ヘッジファンドの運用者が好む複雑な投資を1つの証券に組み込んだものだ。ロックスター並みに名を知られた運用担当者でも管理しきれないこのファンドを、コンピュータープログラムが毎日モニターしている。証券口座に50ドル(約4500円)程度ある人なら誰でも、デリバティブ(金融派生商品)を駆使して世界中の株式や国債、通貨、商品などの価格変動に賭けるこのETFを1株購入できる。
iシェアーズの北米事業責任者、マイケル・ラザム氏は「このような商品の発売が相次ぐだろう」と予想する。
物理学者のネーザン・モースト氏が20年余り前に発明したETFは取引所で株式のように売買できる単純な投信だったが、今は投信会社が投資マネーの獲得拡大を目指し、空売りやレバレッジ、デリバティブを利用した「先鋭ETF」と呼ばれる新種を投入し始めている。
ブラックロック
こうしたETFの作り手はブラックロックや、アイビーリーグ(米東部の名門大学)の教授らが立ち上げた新興企業などで、そのスタイルは多様だ。「ヘッジファンド・リプリケーター」と呼ばれるETFは排他的な運用基金の戦略をまねている。変動の激しい商品先物取引の世界に入りやすくしたETFもあれば、「レバレッジド・アンド・インバースETF」と呼ばれる商品の一部にはS&P500種株価指数などのベンチマークの2倍から3倍のリターンを約束したものもある。
ブラックロックによると、260本を超えるこうしたファンドの運用資産は約4年前の実質ゼロから世界全体で400億ドルに急増している。
投信会社や登録投資アドバイザーらによれば、こうした先鋭ETFを思慮深く利用すれば、投資家は損失を抑えることが可能。米株式相場は5月第1週にギリシャ債務危機を引き金に約1年で最大の乱高下を演じ、S&P500種は5営業日で7%強急落した。同指数の下落を見込んで先物やスワップ取引を行うプロシェアーズ・アドバイザーズのウルトラショートS&P500ETFは同期間に17%の値上がりを見せた。
ジョン・ボーグル氏
ETFでヘッジファンド流の運用を行うインデックスIQアドバイザーズのアダム・パティ最高経営責任者(CEO)は「今はヘッジしていなければ、つぶされてしまう時代だ」と語る。
投信大手バンガード・グループの創業者で1975年に初のインデックス投信を生み出したジョン・ボーグル氏(81)は、先鋭ETFが投資家の目の前で爆発する次の複雑な金融商品だとして、否定的だ。
同氏はこれらの複雑な証券が投資家のバイ・アンド・ホールド(長期保有を前提とした投資手法)の投資原則を覆し、デイトレーダーのような投機で市場を上回るリターンを追いかける投資を奨励してしまうと警告。「狂気の沙汰だ。ウォール街が投資家の最悪の衝動につけ込もうとする典型的な例だ」と話す。プロシェアーズのウルトラショートS&P500ETFは5月10日、欧州連合(EU)が多額の債務を抱える加盟国向けの救済基金を設立するとの報道で株式相場が反発したのを受け、9%値下がりした。
一部の投資アドバイザーらはヘッジファンド・リプリケーターなどのETFは革新的なETFをデリバティブに依存する過度に複雑で理解しにくい証券に変容させている可能性があると指摘する。
監督当局
監督当局はETFの行き過ぎの抑制に動き出している。米証券取引委員会(SEC)は3月25日、デリバティブを利用した新設のETFの承認を延期。リテール(小口)投資家向けの商品で運用担当者らが過剰にレバレッジをかけたりして複雑にしていないか検証を進めている。
SECと米金融取引業規制機構(FINRA)は2009年6月、レバレッジ・アンド・インバースETFを1日より長く保有すると、ベンチマークからリターンが大きくかい離する恐れがあると投資家に警告した。FINRAの法執行局幹部のジェームズ・ショリス氏によれば、投資家の理解を超えたり投資ニーズに照らしてリスクが高過ぎたりするETFが投資家に販売されていないかをFINRAは調査している。同氏は、ETFがレバレッジやデリバティブなどヘッジファンド流の投資テクニックの「小売り」に加担している可能性を懸念しているという。
人気爆発
監督当局のこうした行動の背景には、ETF人気が爆発を続け伝統的な投信から投資家を引き離していることがある。ブラックロックのETF調査グローバル責任者のデボラ・ファー氏によると、世界のETFの運用資産は05年以来2倍強に拡大し1兆1000億ドルに達した。新たに883本のETFが投入される予定であることから、今年はさらに20−30%の急増が見込まれるという。
19兆5000億ドルの運用資産を抱える従来型の投信に比べれば市場規模はまだ小さいものの、ETFは勢いを増している。ストラテジック・インサイト・ミューチュアル・ファンド・リサーチ・アンド・コンサルティングのシニアアナリスト、ローレン・フォックス氏によると、米国での09年のETF販売は実質ベースで1180億ドルと、インデックス投信が集めた540億ドルの2倍強に達した。
ETFトレンズ・ドット・コムの編集者、トム・ライドン氏によれば、ETFは米株式市場の出来高の4割をETFが占める日もある。レッグ・メイソンやパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)など一部の大手資産運用会社もETFの領域に進出し始めており、ライドン氏は「ETFは一時的流行ではないと言える」と話している。
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