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2009年05月08日
小沢事件と二人の検察OB
◇小沢事件と二人の検察OB
連休明けから再び小沢問題がメディアの焦点となる。その前にどうしても
書いておきたい事がある。
小沢一郎が政治生命をかけて国民に知らせてくれた事は、この国の検察官僚
の思いあがりと危険性であった。
3月3日の突然の小沢秘書逮捕に、はたして国民を納得させられる合理的な
理由があったのか。
この疑問は、小沢一郎を支持する者だけでなく、小沢一郎を批判する者たちに
とっても、抱かざるをえない素朴な疑問であるに違いない。
小沢一郎の政治資金問題を批判する国民も、この点については、検察官僚の
越権に疑念と脅威を感じているに違いない。
だからこそ、あれほどのメディアの小沢批判の中で、いまでも「小沢ガンバレ」
の熱い声がなくならないのだ。小沢一郎が代表にとどまっていられるのだ。
つまり、検察の説明責任は、小沢事件の鍵である。そして、それほど重要な
「検察の説明責任」について、いま二人の検察OBがガチンコ対決している。
おおげさに言えば、これこそが、「麻生、小沢の戦い」、「自民党と民主党の
政権交代をかけた戦い」、の代理戦争であると言えるのだ。
事の発端は堀田力の朝日新聞「私の視点」(3月19日)に、堀田力が
「違法献金事件 検察に説明責任はない」という意見を寄稿した事に始まる。
堀田力とは、いわずと知れたロッキード事件の元東京地検特捜部検事である。
堀田の寄稿は、同じ「私の視点」(3月12日)欄でジェラルド・カーティス
米コロンビア大学教授が、「検察には説明責任がある」と書いていた事に対する
反論である。
しかし、この堀田力の反論は、「真実解明のために逮捕が必要とあれば
ためらうことなく万全の捜査を遂げるべし」、それが説明責任だ、といわん
ばかりの驚くべき検察官僚の驕りの表明であった。
さすがの私もあきれ果てて読んだが、すかさず翌週の田原総一朗のサンデー
プロジェクトで郷原信郎が、「堀田さんは私の尊敬する先輩検事だが、この
説明だけは同意できない」と批判した。
たまたまその番組を見ていた私は、それ以来郷原信郎という検察OBの発言を
漏らすことなく聞き、読んできた。
彼は実にいい。もし小沢一郎が今回の事件を乗り切り、無事にこの国の首相に
なったなら、他の誰をおいても郷原信郎に感謝しなければならないと思う。
そしてその明晰で、公正な検察手腕を買って法務大臣に抜擢し、この国の
検察・司法改革を委ねるべきだ。
前置きがながくなったが本題に入る。
4月23日の日刊ゲンダイに、「特捜検事OB直接バトル 堀田力が郷原信郎に
放った一言」という記事があった。
新聞、テレビなどではほとんど報じられることはないが、「政治資金問題
第三者委員会」(4月11日設立、座長飯尾潤政策研究大学院大学教授)と
いうものが出来て、様々な分野の関係者との意見交換を通じて、今回の事件を
検証している。
その4月21日の有識者懇談会(堀田力氏との意見交換)の模様について
ゲンダイの記事は次のように書いていた。
「・・・驚いたのが、検察リークに関するやりとりだ。『マスコミに対する
検察リークの有無や是非』を問われた堀田氏は、質問に対して直接答えず、
突然、『・・・郷原さんの捜査手法はすばらしいが、リークが過ぎる、
との話があったがどうか』と逆質問したのだ・・・」
これだけでは何のことか正確にはわからない。そこで第三者委員会のHPで
調べてみたところ実際のやりとりはこうなっていた。
堀田力 (委員の一人から検察からメディアへのリークはなかったのかと
聞かれ)リークの方は、郷原委員に聞いてもらう方が適切かなと思う。
郷原委員は、非常に優秀な検事であったが、検察の中でいわれていたのが、
捜査指揮はすばらしいけれども幹部にはリークがあるのが問題だということ
であった・・・
法務省の人事課長や官房長を歴任した堀田ならではの内情暴露だ。
出世がすべての官僚の世界で、お前は問題を抱えていたから幹部になれ
なかった、とバラしたのだ。これは暴言だ。最大の侮辱だ。信義違反である。
これに対して郷原はもちろん次のように否定している。それどころか
その答えは検察庁幹部に対する強烈なリーク批判である。
郷原 自分がリークしたという噂ははじめて聞いた。上級庁に報告して
いない、長崎地検しか知りえない事が報道されれば、長崎地検から情報が出た
とすぐにわかるので絶対にできない。(むしろ)最高検や法務省に報告して
捜査を進めるようになってから、どんどんと情報が外にでるようになった・・・
私は、かねてから、一見温厚で善良に見えるこの堀田力という検察官僚OB
の言動を、不信感を持って見て来た一人であるが、後輩検事である郷原信郎に
放ったこの一言で、その正体を見た思いである。私の堀田に対する評価は
これで完全に定まった。
堀田はよほど郷原に腹を立てていたに違いない。しかしこの事は、裏を
返せば、「検察は説明責任を果たしていない」と一貫して検察批判を続ける
郷原に対して、説得力のある答えがまったくできない堀田の苛立ちでもあるのだ。
そしてそれはまた堀田が弁護する検察そのものの苛立ちでもある。いや、検察
はいま追い込まれている、苦境に立たされている、と言ったほうが正しい。
くりかえして言う。小沢一郎の政治資金規正法違反問題と、検察の説明責任は
表裏一体である。
小沢の代表辞任を求める前に民主党にはやることがある。
それは検察を国会に証人喚問し、説明責任を求めることだ。
小沢と検察のどちらの言い分に説得力があるか、それを国民の判断に委ねる
べきである。
それこそが小沢事件の最善の解決方法である。
完
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