My vintage audio 2015年 Audio miniature garden http://my-vintage.music.coocan.jp/2015.html 今年の抱負は「音の雰囲気を良くすること」にでも置いておくことにしよう。 TANNOY IIILZ のクラシックシステムは、シングルアンプ SV-501SE のコンデンサー交換によって不満のない音色を提供してくれるようになった。今年度は組み合せるトランスと USB-DAC などを吟味して、音のニュアンスを改善させて行きたい。 Harbeth HL-4 は断線したトゥイーターを新品に交換することによって今後の使用に対する不安が払拭されたが、これまでと同等の美音を聴かせてくれるかが問題である。 システムの要となる Marantz7R は既に大半のカップリングを SPRAGUE-BB に交換済みで、バイアス用整流器もセレンに換装している。交換後はまったく音質に不満はなくなったが、残すところはヒーター用セレンの交換ぐらいであろうか。忘れた頃に現れるポップノイズは真空管とソケットの接触あたりが怪しいが、はっきりとした原因がつかめていない。 Harbeth HL-4 の故障によって生き返ったのが HL-COMPACT である。 フットワークの良いキレのある音質はヴォーカルや室内楽などの曲種に良くマッチしているので、以前のオーディオルームで使わなくなった ELEKIT の 300B シングルアンプと組み合せて、新たなシステムを構築しようかとも考えている。そんなこんなで音楽を楽しむために改善する余地が、まだまだ残されているのである。 1/1 ■ カムバック やっと Harbeth HL-4 のトゥイーターが手元に届いた。 フランスのオーダックス社製シルクドームトゥイーターは、なぜかアメリカから海を渡ってやって来た。どちらにしろ注文してから僅か10日ほどでマエストロ・オーディオに着荷するという早業であるが、年末年始の休みの関係で本日やっと取りに行くことが出来た。 左は AUDAX の箱に入ったトゥイーターの画像。 真ん中と右側の画像の左側が元々付いていたオリジナルのトゥイーターで、右側が今回購入した新品である。前面から見るとほとんど違いはないが、背面を見ると接続端子の位置が異なっている。 付け替え作業に入って気が付いたが、この接続端子が異なるせいでうまく装着できないのである。オリジナルのトゥイーターは左右に端子がありバッフルにはこの位置にざぐりが入れてあるが、新品を装着する為には片方のざぐりをノコギリで大きくする必要があった。そんな訳で少し手こずったが、2時間ほどで装着も完了し楽しみにしていた試聴に入る。 見た目は少し塗料の色目が違うようだが、オリジナルと同じ寸法だから違和感なく収まった。なぜか片方の個体のつらがあわずほんの僅かに出っ張りがあるが、細かいことはあまり気にしないことにしよう。 さて肝心の音質の方は当然のことながら聴き始めは新品の硬さが感じられるが、しばらく鳴らしているうちに明るさと美しい輝きが加味されまったく素晴らしい美音に生まれ変わったようである。 交換前はきめ細かく繊細で落ち着いた音質であったが、交換後はその持ち味にフレッシュで生き生きとした生命力が加わったようである。 この音楽性豊かな響きに耳を傾けると、1990年代にベストバイの評価を得て人気を博したアラン・ショーの HL-COMPACT も敵わないのではと感じられる。 ハーウッドが改良に改良を重ねた HL-Mk4 から生み出される音楽性の高さを忘れられずに、発売以来永年に渡って使用されている音楽ファンが日本にどれぐらいいるかは見当もつかないが、トゥイーターが断線故障しても諦めずにオーダックスの新品に交換すれば僅かな出費で再びフレッシュに生き返りますよ。そんな訳で今年の出だしは順風満帆なものとなった。 1/7 オリジナルのオーダックス・シルクドーム・トゥイーターのボイスコイルである。 両側の接続端子から中央のボイスコイルまでリード線が伸びているが、このコイルの根元のところで断線するパターンが多いようである。しかしこのトィーターに関しては根元の部分に問題はなく、結局どこが断線しているのかは分からなかった。また外してみてから疑問に思ったのが接続コードの極性である。ユニットの赤の塗料が縫ってある端子側が+の筈だが、コードは赤ではなくブルーが接続してあったので、逆相接続かもしれない。また画像には残していないがボイスコイル中央ドーム部分の内側にウレタンが挟んであったが、サランネット同様経年変化でボロボロになってどんどん小さくなっていた。 最近鼻づまりが頻繁に起きるようになって、その影響か難聴気味で耳の調子があまりよろしくない。 アナログのリード線の試聴をしていても、以前のように音質の違いがはっきり把握できなくなっている。SPU GOLD と MEISTER の違いがはっきり分からないのはまだましなほうで、古い SPU-GE まで同じように聴こえるのは困りものである。最近音質に不満を感じることが少なくなって来たのはこういったことも影響しているのかもしれない。まあ良い音に聴こえる分にはよろしいのではないでしょうか。 1/10 ■ お年玉の真空管
6BM8/ECL82 今年のお年玉は SV-501SE の初段管である。 オリジナルはロシア製 Svetlana であったが、やはり高域にヒリつきがあったので昨年9月にハンガリー製 TUNGSRAM を調達して聴いていた。その後もオークションなどで音質の良いと言われている MULLARD/TELEFUNKEN などの出品がないかウォッチしていたが、待った甲斐があってやっと年始に待望の英 MULLARD を落札することができた。 オークションでは珍しく競合することもなく出品価格で落札できたので品質に不安があったが、出品者の説明通りともにエッチングコードはブラックバーン工場製造のオリジナルであった。 落ち着いた音質のタングスラムでも特に不満があるわけではなかったが、差し替えるとまさしくムラードならではのふくよかな低音と繊細な高域に満足させられる。プリントは黄色と白で印字内容も若干異なるが、内部構造もッじでまったくお値打ち品を落札することが出来たと満足している。このアンプもコンデンサー交換後50時間超が経過し、増々音質に磨きがかかっている。 Harbeth HL-4 は交換したトゥイーターのエージングも進み、高域がキラリと輝くいぶし銀的な美しい音色に変身している。 交換前のくすんだような音質を考えると、やはり長年の使用で品質が劣化していたのかもしれない。 PCTオーディオのトランスは Kanno に替わり DUKANE/3A55 で落ち着きを見せている。Kanno のナチュラルな抜けの良さも美しいが、中低域重視の厚みと馬力のある DUKANE の音色が気に入ってる。 そんな PCTオーディオの音色は、それぞれのパーツが馴染んで来た効果により無機質なデジタル臭が抜けて、温度感の高い温もりを持った音色に変わって来たように思う。これまでは味気のない理性的に力強く迫力のある音質であったが、その説得力のある音色に感性的な色気が加わって「良い音だなぁ」と感じることも多く、アナログとの差異が更に縮まったような気がする。 1/14 圧着端子
Harbeth HL-4 のトゥイーターへの接続は、マエストロ・オーディオの谷口さんが揃えてくれた高品位金メッキタイプのファストン端子を使用している。 ファストン端子とは聞いたこともなかったが、主にカー用品などで使用する圧着金具のことである。新規に調達したトゥイーターの+とーの接続端子の大きさが異なるため、今回は中と小の金具を使用している。元々のオリジナルでも金メッキではないが同じような圧着端子を使用しており、今回の端子交換でも特に音色に問題がなかったので、念のためにハンダ付けで仕上げることにした。 もともとハーベスはあらゆる接点をハンダ処理することによって音質の向上を目指しているようだが、実際にこんな端子のハンダ付け一つで音色が変わって来たので、まったく音質を改善するのはこういうことかと納得させられた。 圧着端子を使用しないで直接ハンダ付けを行っても音質が変わりそうだが、今回はオリジナル通りの圧着端子とハンダの使用で万全を期すことにした。 1/21 ■ トランス
PCT(パソコン・トランス)オーディオのトランスを Kanno に戻し、ケーブルも QUAD22 用の特注品に交換することにした。 Harbeth HL-4 のトゥイーターを新品に交換してまだまだエージングが足りないのか、少し中高域の音質がもたついて嫌らしい響きを感じ始めた。 トゥイーターが断線する前から新たに調達した DUKANE のトランスに古い SME アーム用ケーブルを使用していたが、理由は分からないが数日前にトゥイーターの圧着端子にハンダ処理を行ってから更にこの傾向が強まったように感じる。 そんな訳でいろいろと組み合せ試聴を行った結果、トランスを以前の Kanno に戻してケーブルも細めのケーブルに交換することにした。 このケーブルは 20年ほど前に RCA端子の短い QUAD22用にオーディオ専門店で特注で作ってもらったものだが、こちらの組み合わせの方が中高域がクリアに広がっていやらしさのない聴きやすいものとなった。DUKANE は帯域を変に欲張らずに中域重視の密度の高い迫力のある音質が利点となるが、今回は高域方向に自然な伸びを見せる Kanno のナチュラルな音質で違和感を払拭することが出来た。 1/23 ■ サブシステム Harbeth HL-COMPACT を使わずに眠らしておくのはもったいないので、以前使っていた6畳間にサブシステムを構築した。 ソースはアナログの EMPIRE598 と光学系固定方式メカの SONY CDP-XA5ES、アンプはELEKIT TU-875 と TU-873LE を組み合わせることにした。 また CDP には DUKANE のトランスをかませて音質の改善を図っている。 最初にCDを掛けて慣らし運転を行いながら音質を確認するが、プリアンプの TU-875の調子が悪くしばらくするとまともに音が鳴らなくなった。これまでEMPIRE598のフォノイコとして使っていた時にもフォノ段の真空管が点いたり消えたりするという同じ症状で、昨年ハンダ修正などの修理を行ったがやはり完全に直った訳ではなかったようだ。 再度分解してハンダなどの点検を行うが、今度は真空管の明滅はなくなったが音が出なくなった。そんな訳で少し音質には潤いに欠けるが、CDP から直接 TU-873LE に接続してCDだけを楽しむことにしている。 メインのシステムには約40年前の学生時代に購入した Pioneerのチューナーを復活させた。 各部屋に分配されているケーブルTVの信号にはFM放送の信号も一緒に流れているのでそちらを活用することにしたが、直づけでは受信状態が悪くノイズが混じるのでTV用のブースターをかませて信号を増幅している。久しぶりに聴くFM放送の音質は、チューナーが何十年も使用されていなかったせいなのか元々の性能なのかは判断できないが、やはり潤いがなく少し痩せ気味の音質である。焦らないでしばらく通電しながら気長に使ってみることにしよう。 2/6
■ 早春の候 以前のように音楽を聴いていてしっくり来ない違和感を感じ、真空管やケーブルの組み合わせをあれやこれや変更してバランスを取り直すなどと言うことはとんと少なくなった。 そんな中でも年始にトゥイーターを交換した Harbeth HL-4 のシステムは、エージングが進んだ最近になってアナログ・プレーヤーのカートリッジを SPU GOLD から Keis さんお手製のハイブリッド・リード線を装着した MEISTER に交換後、アーム・ケーブルをテクニカ AT-1503 の純正タイプからノイマンのケーブルに変更している。 昨年末にカップリング・コンデンサーを交換して年始に初段管をムラードに入れ替えた SV-501SEは、エージングが進んで落ち着いた音色を提供してくれているが、僅かに高域のヒリつきが感じられるので初段管をタングスラムに戻すか思案している。 どちらにしろ学生時代に聴いたあこがれの音色を再現するまで散々に苦労した TANNOY III LZ を、これほどまでに生き生きと駆動してくれるアンプはお目に掛かれるものではないとその音質には満足している。 アナログは増々熟成を深めるが、PCTオーディオの方は DACとトランスの質の改善を検討中である。トランスを組み合せることによって、煮詰め過ぎたような濃い音質をもう少し伸びやかなものに改善して行きたいと考えている。DAC はサンバレーなどの真空管式可変サンプリングタイプが良さそうだが、トランスの方は手頃な価格のものをもう少し試してみたいと思っている。 3/6 ■ ライントランス
今度はPCTオーディオ用に ALTEC のライントランスを調達した。 昨年購入した DUKANE のインプットトランスと同じく、US8Pソケットを用いたプラグイン式トランスなのでこのケースを流用することにする。回路には疎く内部配線で少し悩んだが、配線用のウエスタン単線を購入してなんとか音が出るようになった。 このライントランス 15335A は 15K:15K のリピートトランスで、これまで使用していたカートリッジ昇圧用のインプットトランスと違ってボリュームを絞る必要がない。僅かばかりの試聴をしただけだが、これまでの低域の圧倒的な迫力を持ったインプットトランスと違って、高域方向に良く伸びてフラットな音質に聴こえる。その分低域が薄くなったような気もするが、こちらの方が元の自然なバランスなのであろう。もう少しじっくり試聴を続けて見ることにしよう。 ALTEC PEERLESS 4722 は MCH-II の昇圧トランスとして定着しているが、DUKANE の方は最近出番が少なくなっている。アメリカものはこれぐらいにして、今度はゼンハイザーやHaufeなどドイツのトランスを試してみたいと考えている。 3/18 アナログの方はどちらのシステムもほとんど不満なく音楽を楽しむことが出来ている。 TANNOY IIILZのクラシックシステムは、昨年カップリングを換装した SV-501SE が100時間ほどのエージングも終えて落ち着いた音色となって来た。年始に初段管をムラードに交換した後、少しレーベルによっては高域のヒリつきが感じられたが最近はそれほど気にならなくなった。トゥイーターを交換した HARBETH HL-4 の方も、高域が適度に落ち着いて来たように感じる。 PCTオーディオの方は新たに入手したHIインピーダンスのライントランス ALTEC 15335A を試しているが、これまでの昇圧トランスに比べて使い勝手は良いのだが、音色が落ち着き過ぎて今一歩のような気がしている。MCカートリッジ用 LOWインピーダンスのステップアップトランスは昇圧比も高いため、再生ソフトの AudioGate のマスターボリュームを75%に絞ってもプリアンプの Marantz7 のボリュームの位置は時計の短針の9時あたりに絞らないといけない。これがライントランスだとAudioGateのマスターボリューム100%でプリアンプのボリューム位置は1時あたりまで上げることができるのである。 Kanno などのステップアップトランスを使用すると低域の量感が大幅に増加し、迫力ある音質がロックなどの曲種ではスピーカーを大型化したような利点となるが、音の密度が濃過ぎて伸びやかな音場の広がりを感じることができない。これがライントランスだと低域から高域まで自然なバランスの伸びやかな音色を得られるのだが迫力の方が後退するのである。インピーダンスと昇圧比が程よいバランスの物を探せば良いのかもしれないが、高インピーダンスで昇圧比を高める方が良いのか、低インピーダンスで昇圧比が低い物が良いのかは想像がつかない。もう少しいろいろなトランスを試して見ることにしよう。 3/25 トランスを付け替えてPCTオーディオの試聴を続けている。
趣向を変えて旧型スイングアームの Marantz CD-16 にライントランスを用いると、当時良く言われていたデジタル臭が抜けて聴きやすくなると言った評判を実感することができるのだが、アップコンバートされた USB-DAC のPCTオーディオの音質には敵わないようである。 LOWインピーダンスの KannoステップアップトランスもHIインピーダンスのライントランス ALTEC 15335A も基本的な音質は似通っていて、端的に言うと中低域に重心を置いた Kannoと上下に音域の広い ALTECという感じである。音質を聴いていると中域には迫力もあるし低域もどっしりとした重心で特に不満なく聴こえるが、音楽を聴いているとなんとなく・・・・・なのである。 アナログで音楽を聴いていると、所々で「良い音だな〜」と思わせる箇所があるが、PCTオーディオではその感動が少ないような気がする。どうやらこの辺の響きの薄さ、余韻の少ないすっきりとした音質傾向は、トランスにあるのではなく簡素なUSB-DACにあるのではないだろうか? やはりもう少し質の高い真空管式DACを加えないと、アナログと同等の音楽の味わいを得るのは難しいのかもと思うようになってきた。アナログへの投資額に比べれば一桁違う金額でこれほどの音質を得られるのだから、特に不満のある理由はないのだが、もう少し音質の良いDACを聴いてみたいと考えている。 3/31 ■ 音の雰囲気
アナログの方は HARBETH HL-4 のシステムでもクラシックが美しく聴けるようになってきた。 カートリッジをKeisさん製作のウエスタン・リード線を装着した SPU Gold-GE から、これもまた Keisさんお手製のハイブリッド・リード線に付け替えて生き返ったSPU MEISTER-GE に交換したのが良かったのかもしれない。 ひょっとして QUADII の音質に円熟味が増して来たのかと思って、300Bシングルと交換して TANNOY IIILZ を聴いてみたがこちらはこれまで通りやはり今一歩の音質だった。 HARBETH HL-4 の方に 300Bの SV-501SEを組み合せると、少し音質傾向が細身となるがこちらはそれなりに楽しむことができる音色となる。 PCTオーディオの方は結局ライントランスの ALTEC 15335A が定着している。 しばらく聴いて行くうちに、抜けの良さに加えて中低域の馬力も加わって来た。また USB-DACを192kHzまでアップコンバートすることによって、響きが豊かになって魅力的な美しい音色となることが分かった。 「音質を左右するのは低域である」とは故五味康祐氏の名言であるが、美しい音色の決めては余韻と響きではないだろうか? 4/12 最近は以前のようにあれやこれや真空管やケーブルを替えたりして音質調整することがめっきり少なくなった。 もちろん音質を気にすることなく音楽を楽しめるところまでシステムのレベルが向上したことも要因だろうが、老化により聴覚が衰えてまともに音質を捉えることができなくなってきたためかとやや悲観的に考えることもある。しかしTANNOY IIILZに QUADII を組み合せた時などは、これまでと同様に音質の違和感を感じる訳だから、ボケた耳もどうしようもないというほどでもなさそうだ。 昨日の休日も最近不満の少なくなったアナログシステムでビートルズのアルバムを数枚じっくり聴いていると、中には音質に引っかかる部分を感じるアルバムがあって、久しぶりにカートリッジを色々付け替えてみて試聴を繰り返している。 4/21 ■ スラストパッド
Garrard401 のスラストパッドを調達した。(画像左、右はこれまで使用して来たもの) 出品者によると1970年代英国 Garrard社の純正品で、オイルレスメタル製とのことである。オーディオ専門店などで販売されている最近の純正パーツと比較すると、メタル部分の盛り上がりがほんの僅かに違うようで素材も異なるとのことである。外見からはもともと付いていたパーツ(右)とほぼ同じもののようである。 このプレーヤーを購入後8年ほど使用して来たが、最近レコードに針を落とすと少しゴロを感じるようになって来た。スラストパッドがそろそろ寿命かと思って購入したが、これまでのものがまだ使えそうな感じなので取りあえずそのまま交換せずに、半年振りに軸受けクリーニングを行い再度 EMTオイルを使って仕上げたところ、ゴロは気にならない程度に改善され音質も明瞭度がアップしたように感じられた。どの程度まで摩耗すると寿命となるのか、Garrard に詳しい方がいらっしゃったらご教授いただきたいものである。 アナログは音質の良い好みのレコードを聴くことが多いので安心して音楽を楽しむことが出来るが、ALTECのライントランスを使用したPCTオーディオの方も、トランスのエージングが進んで来たのか低音の量感が増加して響きの良い音質を楽しませてくれるようになって来た。 引き続きドイツのトランスを探しているが、プリアンプの故障によりせっかく別室に設置したサブシステムがほとんど楽しめないので、適当なプリアンプまたはフォノイコがないものかとオークションを中心にウォッチしている。 4/29 ■ Northern Electric アメリカからヨーロッパに移ってドイツのトランスを調達するつもりが、カナダで途中下車してオまった。
名古屋のY下さんは泣く子も黙る WE618B で美音を楽しんでおられるようだが、我が家では到底手に入らない高嶺の花である。そんな時オークションをウォッチしていると、WE のカナダの子会社である Northern Electric(NE)の MCトランスが出品されていたので調達することにした。 出品者によると1990年代後半に大阪日本橋で真空管オーディオを中心に品揃えしている専門店で購入したとのことである。これも出品者に頂いた STEREO SOUND誌に掲載されているこの商品広告のコピーによると、SPUの音楽性を更に高次元で再現することを目指してNEの業務用トランスをケーシングしたと言うこだわりを感じさせるMCトランスである。最近は人気のあるトランスの価格が増々高くなって来ているが、手持ちの英パートリッジなどの最近の取引価格と比較すると、比較的安価に調達することができた。 現在Garrard401とともにSPUシリーズで愛用しているトランスは、左側の1980年代のPARTRIDGE TK-2220である。 このトランスを一世代前のTH-7559(右側)と比較試聴すると、新しいためかレンジも広くなって分解能も向上したように感じ轤黷驕Bさらに今回購入したNEを続けて試聴すると、弾力感のある低域の臨場感やふところの深いプレゼンスが素晴らしく感じられた。パートリッジの2機種と比較するとゲインは少し低いが、音場も広くパートリッジの硬質感の美しい響きとは好みの別れるところであろう。今後はしばらくアナログを中心に試聴を続け、PCTオーディオにも組み合せてみようと考えている。 NE のトランスはケースが小型で可愛らしいサイズだが、ALTEC PEERLESS 4722と似通った浮遊感のある音場を形成するのが特徴だ。高域の解像度もパートリッジより優れているようで、まだワだじっくり聴き込んでいる訳ではないが、音質的な魅力を感じさせるトランスのようである。
右側は我が家のトランス群であるが、これにあと DENON DL-103C1用の純正トランスがある。これからも音質の要となるインプットやライントランスなどを、更に拡充させていきたいと考えている。 5/3 試聴の末、Northern Electricはまたまた残念な結果となった。 聴き始めは音の出方が PARTRIDGE とまったく異なるため、「色気のある高域だな〜」「低域の量感も十分で問題ない」などと喜んでいたが、いろいろなアルバムを聴き込むうちに、中域に張りのないバランス感や透明度の薄いエコーでかぶったような音場が耳につき始めた。それに比べると聴き馴染んだパートリッジは、持ち味の硬質感が音の鮮度を際立たせたような見通しの良い奥行きのある音質である。たとえて言うとNEの方は鮮度の薄れた食材を調味料で味付けしたような音質に聴こえて来る。 アナログでは期待通りの結果を得られなかったNEだが、PCTオーディオでは如何であろうか。 現在PCTオーディオはALTECのライントランスで大きな不満もなく落ち着いている。KannoのMCトランスを使用すると、低域の量感は圧倒的なのだが目に見えないダークマターで満たされたように音場がだんご状態となり、響きの良さを打ち消したような重苦しい音質となってしまう。その点アルテック/HIインピーダンスのライントランスは、低域の量感もそこそこに奥行き感のある抜けの良い音場を形成している。 さてNE/ミドルインピーダンスのインプットトランスをそのライントランスと交換すると、Kannoと同様に低域の量感は増すのだが抜けの悪い糞詰まり感が顕著となってこちらもNG。そんな訳でWE-618Bに迫るどころか所詮は子会社のNEインプットトランスは、残念ながらパートリッジやカンノの優秀性を再認識させてくれただけで、当分は日の目を見ることのない結果に終わってしまった。 5/8 ■ オーディオ熟成 現在もポップス&ロック用のシステムで稼働を続けている QUADIIを、QUAD22 とセットで購入したのが1989年だった。
その時に一緒に購入した EMPIRE598 は現在サブシステム用に別室に移しているが、フォノイコが故障中なので残念ながら休眠状態である。クラシック用の TANNOY IIILZ は2001年に購入し、Thorens TD126 Centennialや Marantz7R も同じ年に我が家にやって来た。 HARBETH HL-4 が2005年で Garrard401 が2008年だから経年による老朽化が進んでいるように思われるが、メンテナンスによってそれぞれの機器の熟成が進んでいるのが名器と呼ばれるヴィンテージ機器の強みである。 これまでのメンテナンス内容をご覧になっていただければお分かりいただけるように、それぞれの愛機が中古購入時よりオリジナルを意識したメンテナンスによって高音質化を実現している。最も顕著なのが Marantz7 のレプリカで、カップリングコンデンサーの交換などによってオリジナル販売当時の音質に近づいたのではないだろうか。TANNOY IIILZもネットワークコンデンサの交換によって、それまでにはョくことの出来なかった美音を提供してくれるようになった。 老いによる聴力の衰えも手伝って、最近は神経質に音の出方に拘らずに音楽を楽しむことができている。 定年も近づいて今後はオーディオ環境の変化も少ないだろうから、大型のSPなどを購入して方向性の転換を計ることもないだろう。音質に大きく影響するトランスやコンデンサーなどの修正は続けるだろうが、我が家の「箱庭的オーディオ」ライフは到達点にかなり近づいて来ているようだ。 その着地点を更に改善してくれるのは、挑戦し始めたばかりのPCTオーディオなのかもしれない。こちらの方はまだまだ熟成感もなく、ややもすると若々しくアクの強い音質を醸し出しているのが現状だが、新たな音楽的感動の獲得を目指して頑張って行きたいと思っている。 5/12 ■ オーディオ巡礼「Y下さん邸訪問記」
名古屋のY下さん宅を2年振りに訪問させて頂いた。
今回の主たる目的は、英国が誇るヴァイタボックス DU-120 コアキシャル SPを、WE VT-52(刻印)とWE-300B(復刻)を差し替えて使えると言うY下さんお手製の夢のようなアンプで聴かせて頂くことである。 初めて現物を間近に見たDU-120は、このユニット用に特注で製作されたフィンランドバーチ製コーナー型エンクロージャーに収められている。 これまで VITAVOX のユニットをじっくり聴かせてもらう経験は無かったが、アルミのパンチングで保護されているツィーター部は TANNOY のようなホーンではなく、特殊なポリエステルフィルムの振動板を使っているとのことである。 音を聴く前にまずじっくり今回の主役となる自作アンプやPCTオーディオ用にケーシングされたトランス類を眺めさせて頂く。 回路などについては説明いただいてもまったくその良さが理解できないが、音質と同様にオーディオ機器の重要なファクターとなる大手メーカー顔負けの視覚的な佇まいが、一目見ただけで高い完成度を伺わせてくれている。 今回の主役の真空管がこちら。出力管の WE VT-52(刻印)/WE-300B(復刻)と整流管の WE-274(刻印)のお宝シリーズ。
前段の方もこれ以上の選択肢が無いと思われるテレフンケン 802S(金足)を組み合せておられるので、まったくもって最強のアンプとなっているのではないだろうか。たぶん内部配線も音質の良いオイルコンデンサーなどを惜しげも無くお使いのことだろうと想像できるが、数々の高音質アンプを製作されているY下さんは「もうアンプ作りも最後にしたい」とおっしゃっていた。それだけこのアンプに対する思い入れが強いものだとも想像できる。 今回お聴かせいただいたソースは大半がデジタル音源である。 PC音楽再生プレーヤーは音質評価の高いfoobar2000、DAコンバーターには今は亡きラステームのUSB-DACをお使いである。CDの再生は CECの CDPが故障中とのことで、アンプの横にあるポータブルなCDトランスポートを利用されていた。 こちらはPCT(トランス)オーディオ用のトランス。WE-618B は○ッ○屋さんに貸し出し中とのことで、最近ネットを通じて調達されたトランスの2機種を聴かせて頂いた。右側の AWA(オーストラリア)のトランスは WE-618B と比較しても遜色の無い高音質のトランスとのことであるが、これらのケーシングも自作で済ませておられるということで、見た目の完成度もまったくもって申し分のないものである。
さて肝心の音質の方はと言うと、ヴァイタボックス DU-120 コアキシャルSPは前回訪問時に聴かせて頂いたロンドンウェスタン直系の3WAYシステムが醸し出していた美音より、TANNOY と構造的に等しい同軸ユニットのメリットを発揮しているためか音質的には当方の耳にはより好ましく聴こえるものであった。 アンプの出力管も最初は背面に設置されているスウィッチを切り替えて VT-52 で聴かせて頂いたが、帯域バランス上高域と低域が中域に集まったややナローな音質傾向ながら、弦楽器が刺激的な音質に一切落ち入らない優しくて渋い音色であった。最初はこれがこのアンプとこのSPの音色傾向なのかと思ったが、整流管をWE-274Bからナショナルユニオンに交換するとその高域の表情が一変してやや刺々しさが現れたことを考えると、ウエスタンの真空管が音質に与える影響度の高さを物語っているよ、である。 さらに出力管を WE-300B に交換すると、帯域バランスが上下に広がると同時に音に艶感や躍動感を感じさせるハイファイ的な音質に一変した。 オケのようなダイナミックな表現を要求される曲種などには、真空管の王者と呼ばれる WE-300B がその実力を遺憾なく発揮しそうな音色であったが、ソナタや小編成などの楽曲では VT-52 の水墨画のような色の付かない高貴な美しさが生きるような気もする。 PCTオーディオのトランスもスタンコアのトランスはこの組み合わせでは音場が狭まり、やや不自然な響きが楽器に乗るようで実力を発揮できていない感じがする。一方AWAの方はインピーダンスの低いインプットトランスを組み合せた時に感じるような詰め込み過ぎた圧縮感がなく、伸び伸びと音場が広がってとても好感の持てる美音であった。 とにかくY下さんのお話からも伺えるように、WE-300Bより希少価値の高い VT-52 をこのような完成度の高いオーディオシステムで聴かせて頂いたのは、大変貴重な経験をさせていただいたのは間違いないニ感じた。
今回は聴かせていただけなかった、スタンコアのトランスを使用した KT-66 アンプと交流点火に改造された SV-91B アンプ。 トランスが大きいのか GECの KT-66がスリムに見える。また別の機会にこのアンプでヴァイタボックスを聴いてみたい。 初期型のGOODMANS AXIOM 80ユニット。こちらも貴重品。 裸のユニットのままでSPコードを接続して聴かせてもらったが、箱もないのに高域のバランスが自然で美しい音色なのは驚きだった。 こちらは新たなキャビネットの製作を予定されているプレーヤーシステム。右側のカートリッジはスプリング配線の Ortofon SL-15。 少しだけ奥のグレースアームとMMカートリッジでケルンコンサートを聴かせてもらったが、CDとは別世界のアナログ独特の芯のある音質はとても魅力的なもので好感を持った。 久しぶりの訪問記であったが、今回もとても良い体験をさせていただいた。自閉気味に閉じこもってばかりいないで、たまには素晴らしいオーディオ愛好家の音を聴かせてもらうのはとても良い刺激となる。 今回特に我が家では一生縁のなさそうな、ウエスタン製刻印真空管の実力を肌で(耳で)感じることが出来たのは収穫であった。また日本では愛好家の多いTANNOYより、希少価値の高いヴァイタボックスのSPをじっくり聴かせて頂けたのはとても良い経験となった。 5/18 ■ 私も買ってしまいました このStereo Sound 保存版を早速本屋で購入した。
90年代中頃まではステサンの発刊を待ちこがれて毎季購入していたが、ヴィンテージ指向がはっきりして来るとその行事もピタリと止んだ。その後は管球王国やanalogなどで内容の気に入ったものや、ステサンの特集号の一部だけを購入している。 今回の「MCカートリッジ徹底研究」はオーディオ全盛時より永らく頑張っておられる評論家柳沢功力氏の「最新MC型カートリッジ25モデルの試聴リポート」と、故長島達夫氏著『図説・MCカートリッジの研究』(1978)が掲載されている。まったく最近のオーディオ機器はとんでもない値段だなあと感じているのは私だけであろうか? 「最新MC型カートリッジリポート」ではデンオンDL-103がお付き合い程度に載っているが、蜚シが30〜50万もする高級品?ばかりで、いくら音質評価で美辞麗句を並べられても新品で購入する気持ちは更々湧いて来ないものばかりである。 我が家も最近まではアナログ主体で音楽を楽しんでおり、未だにお気に入りのカートリッジがMC型を中心に10個ほど生き残っているが、全部足しても現在の高級品の価格には及ばないのではないだろうか。昨年 Thorens MCH-II の修理を荻窪のマエストロ・ガレージにお願いした時に、35万ほどするマイソニックラボのカートリッジを聴かせて頂いたが、しばらく聴いていてレコード盤のノイズを拾わない静寂性の高い音質には驚いた。しかし我が家にある旧世代のものと比べて、まったく別世界の美音と言う訳でもない。オーディオは値段でもないのである。 最近になってPCTオーディオのトランスは PARTRIDGE TH-7559 を使うようになった。 Y下さん邸にお邪魔した後、我が家に帰ってからいろいろ試聴を続けている。最近定着していた ALTEC 15335A のライントランスはロックなどの曲種では問題はないが、クラシックの弦楽器がいやに刺ンIで自然に響かないことが分かった。それで昇圧トランスのパートリッジに交換したところ、Kannoを使用した時よりも高域もナチュラルで特に違和感もなく、低域の方も床を振動させるほどの重低音が圧倒的でなかなかに好ましい。しばらくこの組み合わせで楽しむことにしよう。 5/30
■ アナログ通信 北海道のKeisさんから新作のリード線が届いた。
今回の素材はCreationと言うメーカーが販売しているPC-Triple Cと呼ばれる新しい線材とのことである。ラインケーブルやSPケーブルに加工して製品化しているメーカーならなんとなく分かるが、素材の詳細となると Keisさんの詳しい説明を読んでもまったくぴんと来ない。 昨年の年末にはTUNAMI TERZO V2ケーブルの102-SSC線材から作成したリード線を送って頂いたが、これがとても我が家の機榿は相性の良いもので、このリード線と組み合せたSPU MEISTER-GEを常用カートリッジに復活させてくれた。今回の線材の試聴結果は前回の素材ほどの可能性を見いだすことができなかったが、線材の本数、組み合わせやその方向性だけでなく撚り方の強さまで独自に考慮して製作されているのはまったく驚嘆すべき技術である。アンプ作りのY下さんやKeisさんなど技術者としての能力をお持ちのオーディオ愛好家が、自分の力で音を変えられると言うのは本当に素晴らしいことだと感心させられる。 6/3 ■ サブシステム Harbeth HL-COMPACT のサブシステムを最近良く聴いている。 プリアンプが故障中なので音源は旧世代 CDPの2台となるが、なかなかフレッシュな音色でヴォーカルなどの肉声がとても自然に響く。CDPからライントランスを介してダイレクトにパワーアンプ(TU-873LE)へ繋いでいるのだが、エレクトロハーモニクス300Bとの相性もまずまず良いようだ。 しかしヴォーカルや小編成の曲種には相性が良いが、もう少し音質にコクと音数の増加が欲しいような気がする。 やはりこの辺はプリアンプの必要性を感じるところなので、手頃なフォノイコ付プリアンプを物色中である。 以前使用していたラックス CL-32クラスのアンプがあれば丁度よいが、調達できても発売後40年近くが経過しており流石にコンデンサーなどの耐久年数が切れているのが不安要素である。こんな時に自分でメンテできれば問題はないのだが、まだまだ技量が追いつかないのが悩ましい。 90年代に発売された中堅 CDPの音質も、ALTEC のライントランスを使用することでバランス良く音楽を楽しませてくれている。 当初はスイングアームを使用した Marantz CD-16 の音楽性の高さが予想されたが、独自の光学系固定方式メカニズムを採用したSONY CDP-XA5ESのパワフルな音質も、POPSなどではマランツに遜色の無い音色を聴かせてくれている。EMPIRE598を久しく聴いていないが、そろそろかまってやらないと使い物にならなくならないかが心配である。 6/10 やはりゴロが気になるのでスラストパッドを交換することにした。 裏側から良く眺めてみるとモーターを固定するプレートに少しサビが出ているが、これは購入当初よりあったのかはっきり覚えていない。まあスラストパッド同様に純正のサービスパーツが手に入るから問題はないだろう。さていつも通り軸受け部を本体より取り外して分解するが、軸側中心のパッド接触部分にも円形の摩耗の後が残っているので、サンドペーパーで磨いて元に戻すことにした。400番から1200番目までのサンドペーパーを使って磨くのだが、手作業の為に平面が出ているのかが心配だった。まあパッドの平面ではなく円の接点で接触する訳だから大丈夫だろうと素人判断でメンテナンスを行う。 ところが新しいパッドに取り替えオイルを補充して元に戻すが、スイッチをオンにして駆動するとゴーッと軸がパットに擦り合わされる音が盛大に聞こえて来る。「ありゃー!またやってしもうた。」と動揺するが、馴染むのに時間が掛かるのかもしれないと廻しっぱなしでしばらく放置することにした。幸いにも1時間ほどすると異音も治まり、レコードを聴いてもゴロもなく一件落着となった。 ここのところ常用カートリッジの地位を維持してきた SPU MEISTER-GEの調子が少し悪い。 実は半年くらい前のことだが、いつも通りレコードを聴こうと思ってプレーヤーに被せている布を取ろうとして、うっかりカートリッジのカンチレバーに引っ掛けて大きく曲げてしまった 。なんとかペンチを使って自力で修復する(したつもり?)が、そのころからなんとなく右chの音が小さくなったような気がしていた。最近その傾向が顕著になって来ておりMCH-IIの時のようなラインコンタクト針の摩耗も考えられるので、マエストロ・オーディオさんから専門業者の方に送って診断をお願いすることにした。はてさてどれくらいの見積もり額となるかが心配の種である。 そんな訳で再びGold-GEに出番が廻って来たが、付け替えた当初はヘソを曲げたのか低域がまともに出て来ない。LPを2枚ほど掛けて愛情を注いでやるとやっと音場も広がって本領を発揮し始めるが、この辺が Vintage の難しいところなのであろう。 6/17 ■ マエストロ・ガレージ訪問 年始に Harbeth のトゥイーターを受け取りに言って以来、半年振りにお邪魔させていただいた。 今回の目的は調子の悪くなった SPU MEISTER-GE の修理依頼だったのだが、土曜日の午後一番といった時間帯のせいか既に先客が2組も来店されており、フェーズテックのカートリッジとトランスの試聴会開催されていた。 しばらくご一緒させていただいてベートーベンのチェロソナタに耳を傾けるが、奥行き感を伴った豊潤な音質で刺激的な響きをまったく感じさせない心地良さが印象的であった。 初めて聴いたこのスペンドールの現行スピーカーは、我が家の Harbeth とはエンクロージャーのサイズもほぼ同じでウーハーのサイズは 20cmと小振りながら、中高域に2種類のソフトドームを使用した分だけ中域の響きが充実しているように感じた。 流石に同じ英国 BBC の血統を受け継ぐスピーカーではあるが、明るく抜けの良い Harbeth と比較すると昔の BC-II の血筋を感じさせる渋い趣である。 昨年聴かせて頂いたスペンドールのトールボーイシリーズはやや淡白な音質で少し違和感を覚えたが、こちらのタイプがより BBC の音色を色濃く受け継いでいる音楽性の高い気品のある響きではないだろうか。 カートリッジはフェーズテックのP-1Gという、最近まで製造されていた価格30万ほどのモデルである。 昨年聴かせて頂いたマイソニック・ラボの時も感じたことだが、開発年代の新しい新世代カートリッジ群はノイズの少なさが共通した利点なのであろうか。このカートリッジを使用して現行2種類のトランスを聴き比べると、4万ほどの低価格のタイプでも十分とも言える音楽性の高さで楽しませてくれたのは驚きであった。 今回お邪魔した折にも30年以上昔のオラクルのプレーヤーの修理品が持ち込まれており、店主の谷口さんのお話ではまだまだVintage機種を大切に使用されているオーディオ愛好家が多いとのことであった。 1週間ほどで修理の見積もりが上がるとのことであったが、果たして結果はいかばかりであろうか。 6/20 SPU MEISTER-GEの針の状態は予想通り芳しくなかった。 針先は最も摩耗した状態らしく、カンチレバーの曲がりも新規取り付け(外径接合)が必要だとのことであった。結局10年ほど前に今はなき○○オンの展示品を購入した時と同じくらいの投資となったが、またこれでしばらくは完全な状態でレコードを楽しめると思えば納得せざるを得ない。 しかし前回のMCH-IIの時も疑問に思ったのはラインコンタクト針の摩耗が早いとのことだが、昔は針の寿命(ダイヤモンド針)は半永久的であると言われていたものとは別物なのであろうか。そんな風に少々せこく考えてしまうのだが、GoldやClassicなどでは得られない豊かな表情が持ち味のこのカートリッジの音質はPOPSやROCKにはやはり必要なものなので、しっかり直していただくことにした。 そんなことを言われると、2010年に針交換後使用時間の少ない状態で購入したGoldや2000年頃に針交換で戻って来てからほとんど使用していないClassicはまだまだ使えるような気がするが、1990年頃に購入したSPU-GEの中古品はとうに寿命を迎えているのかもしれない。 MEISTERやGoldを導入後はとんと活用する機会が少なくなったオリジナルのSPU-GEではあるが、やはりこの機種は今後も手放すことはせず、カートリッジのベクトルとして完全な状態で所有していきたいと考えている。またしばらくして余裕ができたら修理に出すことにしよう。 6/28 ■ スピーカーのセッティング
最近は「ウーファーとツィーターの間がほぼ耳の高さになるように設置する」というのがセッティングの基本らしい。 昔は「ツィーターが耳の高さの少し下あたり」が基本で、Harbethの純正スタンドも少し高さが低くなっている。TANNOY は同軸コアキシャル構造だからツィーターの位置が少し低過ぎるのかもしれないと思い、アイアン・ウッドと呼ばれる素材でできたキューブを挿んで7cmほど高さを上げてみた。 Harbeth 同様、3点支持でテクニカ製ハイブリッド・インシュレーターの上にセッティングするが、ツィーターが耳の高さに近づいた影響で、以前より音域バランスが高域に寄ってくっきりと聴こえる。 低音の広がりが薄くなるのは不満だが弦楽器が特に刺激的に響く訳でもないので、しばらくインシュレーターの組み合わせを替えながら試聴を続けて行くつもりである。 7/1 ■ Thorens TD126mkIII Centennialのメンテナンス
スピーカーのセッティングを変えてから、音場がはっきりと見渡せるようになった。 その反面、低音の広がりが少し薄くなったように感じるので、Marantz7R のトーン・コントロールのBassを+1補正してョいている。しかしなんとなく高域が混濁していて透明度も低く感じるようになったので、300Bシングルアンプの初段管を再び重心の低いタングスラムに交換してみる。 しばらく聴いているとピアノのピアニッシモで微妙にワウフラッターを感じ、ひょっとすると高域の濁りの原因はプレーヤーにあるのかもと思ってThorensのメンテナンスに着手することにした。同様の症状は昨年末に伸びたベルトを交換するまでは顕著であったが、ベルト交換後はあまり気にならなくなっていた。ベルト交換直後はストロボスコープに前後の軽い揺れがあるのが気になっていてベルトが馴染んだら安定するだろうと楽観視していたが、このあたりが音質に影響しているのかもしれない。 このプレーヤーはスイスのトーレンス社100周年を記念して開発されたリミテッドモデルで、当時の輸入元だったノアとSME輸入元のハーマンが共同企画した日本特別バージョンである。1985年に発売されたものを2000年頃に中古で購入したものであるが、当時の売価が38万円だから現在作ろうとすると倍くらいの価格になっているのではないか。クラシックなどの曲種に向いたゆったりした音質が気に入っているので、今後も末永く活躍して欲しい機種の一つである。まず左の画像のようにインナープラッターのベルト接触面に付着している汚れをサンドペーパーで磨き上げ、スピンドルも古いオイルを拭き取って純正オイルを補充する。念のためにカートリッジのオーバーハングや針圧バランスなどを再調整してメンテナンス終了。メンテナンス後はストロボのふらつきも治まり、高域のワウフラッターも感じなくなった。 7/4 ■ ノスタルジー Y下先輩と学生時代のオーディオへの憧れのお話をしていて、昔のオーディオ雑誌を引っ張り出して来た。 1981年 FMfan臨時増刊号のアナログ専門誌「'82カートリッジとレコードとプレーヤーの本」である。学生時代はFMレコパルやFMfanなどの雑誌を購読して夢を膨らませ、小遣いのゆとりのあるときだけSTEREO SOUNDや月刊STEREOなどの専門誌を購入していた。 我が家にあるステサンで一番古いのが、1973年28号「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(上)」である。この特集で我が愛機TANNOY IIILZを始め、学生時代に使用経験のあるKLH-Model32やDYNACO A-25XSなどが準特選/特選の評価を受けている。 このアナログ特集号を眺めていたのは大学生時代で、既に自分のコンポーネントステレオを所有していた頃である。
高校の入学祝いに購入した初めてのコンポーネントは1970'sに記されているが、大学時代になって初めてスピーカーを TANNOYの HPD295にグレードアップするとともにアンプも真空管の Dynacoに移り変わっている。カートリッジは高校時代から変わらず、シュアー M75EDだったと記憶している。 このアナログ特集を眺め倒して Ortofon SPU-G や ELAC 555E/DECCA MarkV-EE/EMPIRE 4000DIII/TSD-15 などを購入することになる訳だが、この頃には嗜好が海外製品に移っているようだ。 高校生時代に購入した1975年「評論家・読者の選ぶ'75ベストバイ・コンポーネント」の頃には海外製品に憧れを持ちつつも、国産のグレースなどのお手頃価格のカートリッジをターゲットとしていたが、最終的には国産品は音楽性が低いといった理由でアメリカのシュアーを選んだ記憶がある。 こうやっていろいろ昔憧れていた Vintage アイテムを眺めていると、いまだに使用してみたいという願望を抱かせるような完成度の高い機種も多いような気がする。 7/11 ■ 最近のオーディオあれこれ
この前仕事の関係で東京駅に行ったので、百貨店に出店したという中古オーディオショップに立ち寄ってみた。 4セットほどアナログからスピーカーまでの組み合わせがセッティングされており、その中央にどんと構える超弩級の組み合わせから音楽が流れていた。 JBL のエベレストとマークレビンソンを組み合せた中古でもそれぞれが数百万もするようなシステムだが、その女性ヴォーカルはなんとなく寝ぼけたような冴えの無い音質で、これがジャズなどでは最高にキレの良かった JBL の最近の音質かと耳を疑った。 見た目の迫力だけならお金持ち愛好家の所蔵するターゲットにはなり得るかもしれないが、果たして音楽愛好家がこの味気ない音色を聴いて高い(?)購入金額を支払うだけの魅力があると感じるのだろうか。 そうは言っても他に古いケンウッドやパイオニアのプレーヤーに加え、美しいデザインに昔憧れていたヤマハのアナログプレーヤーまで品揃えされていて、今後も頑張っていただきたいショップではあると感じた。 上の2枚のアルバムは同じ音源を使った、大好きなクレンペラーのEMIワーグナーアルバムである。 左が仏マルコーニの1963年オリジナルアルバムで、右は1985年頃に再発された独EMIデジタルリマスター盤である。カッティングされた国(エンジニア)の違いとデジタル処理されたリマスター盤の音質の違いが体験できる訳だが、ともに美しい音色で我が家の宝物となっている。右側の独でカッティングされたDmm(デジタル・メタル・マスター)盤は昨年近所のハードオフで未開封の新品を安く手に入れたものだが、ドイツ盤特有の低音の豊かな響きとデジタル処理されノイズ感が少なくなった音場がとても美しい。 オリジナルのフランス盤は気品のある高域の瑞々しさが特徴ながら、決して刺激的な響きにならないのがこちらもとても好ましい。こんなプレスされた国(音質)の違いに拘るのは、レコードの古き良き時代を経験したことのある物好きなアナログマニアだけだろうが、確かに音質に違いがあるのだから享受される演奏家の感動は同じかも知れないが、そのレベルが違って来るというものだ。 最近は我が家のオーディオ機器も熟成を重ね、音の良いと言われる輸入盤だけでなく国内盤でも違和感無く音楽を楽しめるよ、になってきたが、やはり国内盤と輸入盤の音質の差は確かにある。若気フ至りで学生時代に「輸入盤は音が良い」という言葉を鵜呑みにして結構な数の韓国プレス輸入盤を購入していたが、物を知らないと言うのは本当に恐ろしいことである。最近になってやっとその名演と言われるアルバムの英国やドイツの本国盤を手に入れるようになり、やっぱり音が、音楽が違うと再確認している。 7/18 ■ DENONさんもなかなかのモノですね
我が家は昔からオルトフォン党である。 クラシックにはMCH-IIを愛用しているが、それ以外の曲種では4種類のSPUとMC-30の2種類を使うことが多い。その中で一番のお気に入りだった MEISTER-GEが修理中なので、SPU GOLDを中心にいろいろなカートリッジの音色を楽しんでいる。 オルトフォン以外では EMPIRE598プレーヤー純正の4000DIIIとDECCA Mark-V EE、それにDENON DL103C1がある。オルトフォン党と同様にデンオン党を支持するオーディオ愛好家が多いことも良く知っているが、なぜかオーディオ初心者の時に馴染んだのがSPUシリーズだったので、その伝説的なDL-103を購入する機会を逸していた。我が家の派生モデルDL103C1はSTEREO SOUNDの91年度ベストバイで1位に選ばれたから購入したものと記憶しているが、音がこじんまりとまとまり過ぎていてこれまではあまり聴く機会はなかった。前回聴いたのは2年ほど前にKeisさんが製作したオーグライン+プラチナリード線の試聴をした頃であろうか。 今回久しぶりにそのDENONさんを引っ張り出して聴いてみたのだが、ROCK系との相性がバッチリで特に低音のドラムの音が最も迫力を持って聴こえるのでまったく驚いた。ゆったり感があり響きの豊かなSPUシリーズと比較して、全体的に音が良く締まっていて中域の密度感が非常に濃く聴こえるのである。 あまりにも音が良いのでメタル教の嫁殿を呼んで聴かせたが、中低域の音色は当方の耳と同じでスピード感のある音色がとても良いとの評価である。しかし高域が少しキンキン響く傾向があり、ZEPPのロバート・プラントの声がもう少し潤いを持って響く方が良いとのご指摘であった。なるほど〜、この辺はプラチナ素材リード線の音質傾向が出ているかもしれないのでリード線の交換で音質向上が計れるかもしれないなと考えていたところに、タイミング良く北海道のKeisさんから新作リード線が届いた。時を同じくしてMEISTER-GEの修理が上がって来たので、ここのところアナログ三昧で試聴を繰り返している。 7/29 ■ 修理完了
やっとGarrardの主が帰って来た。 昔からオーディオ雑誌などに広告を載せている専門業者の方に、昨年のMCH-IIに続いて修理をお願いすることにした。 修理内容は 針入れ: ラインコンタクト針 カンチレバー: 新規取り付け(外径接合) ダンパー: 交換、または調整 ゴムシートカバー交換 端子ピン: 調整、接着補強との見積もり時の内容だったが、修理結果についてはマエストロ・オーディオの金額領収証のみでまったくあっさりした物である。前回のMCH-IIの針先交換と断線修理では、オリジナル時の華やかさが薄れて若干大人びた音質に変貌を遂げたが今回はどうだろう。 持ち帰って早速アームに装着してレコードに針を落とす。最低針圧の3gでいつも通り慎重に針を落としたつもりだったが、いきなり2cmほど針滑りを起こしてしまう。もう一度針圧を確認して少し針圧を重くするが、少しの振動で盤面を滑ってしまう。針先をルーペなどで確認してみると、少し片方にねじれが起きていて真下に向いていなかったので、慎重にピンセットなどで修復を図ってみた。カンチレバーの新規取り付けは難易度が高いのかトラッカビリティーに大きな問題が発生しているが、肝心の音質の方は修理前のバランスの崩れも修正されて音場も左右一杯に広く取られている。しかしなんとなくこのカートリッジ持ち前の馬力の良さと鮮烈とも言える切れ込みの良さが影を潜めてしまったようなのだが、エージングによって改善されて行くものなのかまったく判断が付かない。 その後リード線もオリジナルに戻してしばらく試聴を続けているが、果たして控えのSPU GoldやDENONさんを超えて再び主役の座に戻ることがかなうのであろうか。 8/2 ■ シングルアンプの初段管
SIEMENS 6BM8 300Bシングルアンプ(SV-501)の初段管を購入した。 TANNOY IIILZ のセッティングを変更したところ、ムラードでは少し高域に違和感を覚えたので現在はタングスラムに戻して聴いている。継続してテレフンケンなどの出物を探していたが、同じドイツのシーメンスを見つけたので調達することにした。ドイツ製オリジナルかどうかははっきりしないが、肝心の音質は落ち着きがあってまずまず楽しめそうなのである。 SPU-MEISTERはリード線にウエスタン線を加えてマルチブリッドにしたところ筋肉質でパワフルな音質に復活したが、トラッカビリティーが最悪でカッティングの良いレコードや少しソリのあるレコードですぐに針飛びを起こすのがまったく困りものである。針先をルーペなどで良く観察してみたところ、オリジナルの物よりかなり小さめのラインコンタクト針が付いているが、この辺に問題があるのだろうか。 8/7 このHPを見たマエストロ・オーディオの谷口さんが、SPUカートリッジ修理の件で助け舟を出してくれた。 修理元に症状を説明して実際の修理内容を確認してもらったのだが、針先チップのラインコンタクト針は元々着いていた純正と同じ大きさで、実際にortofon に針先チップを供給している製造会社から仕入れたものを使っているとのことであった。手持ちのGoldやClassicなどと比較すると明らかに小さめなのだが、専門の方がおっしゃるのだから間違いはないのであろう。原因として考えられるのは、ダンパーを交換したため馴染むのに若干時間を要するとのことなので、エージングが必要なだけなら少し不安な気持ちが払拭されたような感じである。 我が家にあるような少し古くなった機器は、愛情を持ってじっくり良い音楽を聴いてあげないと、機嫌の良い状態にならないのかもしれません。あせらずにじっくりと取り組まないといけませんね。谷口さま、アフターサービス有り難うございました。 8/11 ■ 新規チューナー購入
SONY ST-SA50ES 還暦定年まであと数年を残すのみとなった今月の初旬に、急遽配置転換となった。 入社から既に30年以上が過ぎ、これまで北陸から北海道まで度重なる転勤を重ねて来たが、今度は別会社への出向でこれまでの異動とは職務内容もちょっと違って来ている。勤務形態もこれまでの平日主体の休みから、一般サラリーマンのように土日に替わっている。転勤を伴わなかったのは喜ばしいことだが、職務内容がまったく異なったものなので、心身ともにボロボロの日々を耐え忍んでいる。残業を含め連日12時間を超える労働時間は辛いが、なんとか週休2日は維持しているので、体力的な問題よりも精神的な問題の方が大きい。そんな訳で、これまでは毎日大好きな音楽と向き合う時間が少なからず取れていたが、最近はその楽しい一時を土日でしか取ることができなくなってしまった。 修理後調子の悪かったオルトフォンのSPU MEISTERは、マエストロ・オーディオのプレーヤーで試してみても針滑りが起きることが判明して、修理もとに再度点検をお願いすることにした。 さて、この土日にリフレッシュを兼ねて近所のハードオフに偵察に出かけた時、このSONY製チューナーをゲットした。最近になって倉庫から引っ張り出して来たパイオニア製のチューナーは、しばらく使っているうちに音が出なくなって故障してしまった。メンテナンス情報をいろいろ調べてみたところではトランジスタの劣化と推測されるが、修理をするには難易度が高いので少し前から手頃なものを探していた。 このチューナーは1997年に発売されたESシリーズのFM/AMステレオチューナーで、当時の定価はそれなりの40,000円。前機種のST-SA5ESなどと性能を比べると、コストダウンされた分だけ中身もスカスカのようである。しかし流石に音質に定評のあったソニーのDNAは受け継がれているのか、故障前のパイオニアと比較すると受信性能も高く、数段ハイレベルの音質に仕上がっているようである。お安い分、取説もAMアンテナのどの付属品もなかったので使用方法をネットなどで検索中だが、AMステレオ放送なるものを聴いてみたいと思っている。 8/23 ■ SPU MEISTER 再修理をお願いしていたMEISTERが戻って来た。
針飛び+横滑りを起こすレコードと一緒に修理元に送ったところ、原因については交換した部分(針先,カンチレバー、ダンパー等)と既存の振動系との微妙なバランスで、このような症状が出ているのではないかとのことであった。特にカンチレバーを後ろから引っ張って支えるテンションワイヤーに原因があるとも考えられ、このワイヤーを含めた振動系一式の交換を予定しているとの報告を受けていた。 昨日、マエストロ・オーディオの谷口さんから再修理が完了して症状が改善したようだとの連絡が入り、早速取りに伺った。谷口さんのお話では、振動系を交換した結果、マエストロ・オーディオの機器でも以前のような針飛び+横滑りが起きなくなったとのことであった。 しかしテストしたようなソリのあるレコードでは、ボディが盤面に擦れることによって針飛びを起こすので、軽めの針圧(3g強)での使用が無難とのことであった。確かにお伺いして YAMAHA GT-2000で聴かせて頂いたところ、症状は改善されており音質も特に気になるところはなかった。 家に持ち帰って我が家の機器で試聴したところ、修理前と比べてボディと盤面の間隔がとても狭くなっている(1mm弱)のが分かった。これでは当然振幅の大きいレコードではボディが盤面に擦れる危険性があるようだ。右側の画像は手持ちのSPU Goldとの針先部分の比較画像だが、カンチレバーがかなり短くなったような気がする。当然のことながらこのカンチレバーの長さと取り付け角度によって、最低針圧での使用でもレコードとボディの接触を引き起こすのではないだろうか。 また音質についても修理前から少し気になっていた、導入口などの無音部分で「カリカリ、カリカリ」とスプリングが擦れるような音がするのが少し気になっているが、こちらもエージングで緩和される症状なのであろうか? などなど若干辛口の修理感想となったが、難易度の高いと思われる修理にも関わらず無償で再修理を行った修理元の対応や、窓口となった谷口さんのアフターサービス体制は、同じサービス業を生業とする当方にも感心させられる部分が多かった。谷口さん、お世話になりました。 修理品を取りに行った時に、愛聴盤のレスピーギのローマ三部作(小澤/ボストン)を持ち込んで聴かせて頂いた。フォノイコがEARの真空管タイプからPhasemation製のコンパクトタイプに替わっていたが、パワーアンプが馬力を優先したトライオード製6L6のプッシュプルにも関わらず、弦楽器に刺激的な音色が伴わない響きなのが驚きであった。 我が家に帰ってまずマエストロ・オーディオの組み合わせと共通性の多い、Harbeth HL-4 を使ったシステムで同じレコードを聴き、次に TANNOY IIILZ のクラシックシステムに針を落とすが、流石にクラシックに関して言えばこの組み合わせが聴かせてくれる極めて自然な音色と音場は、別格の感動を提供してくれることを再確認させてくれた。 最近は仕事の関係でオーディオに接する時間が週末しか取れず、そのせいか音楽を聴いたときの喜びがとても大きく感じている。これからも疲れ果てた心身を癒してくれる、良質な音楽と向かい合って行きたい。 9/5 ※追記 色々な資料で調べた結果、MEISTER のカンチレバーの長さはオリジナルから短めで、我が家の個体も特に短くないことは確認できたが、取り付け角度が浅過ぎることが判明した。修理が上がったばかりであまり手荒なことはしたくなかったが、カンチレバーに少し角度を持たせることによってボディの接触は改善の見込みがありそうだ。あとは「カリカリ、カリカリ」の異音だけが問題となる。
週末の今日はじっくり音楽を楽しんだ。
昨日は修理から上がって来たMEISTERが、浅いカンチレバーの取り付け角度を少し起こしたりして、針飛びなど起こさないか不安を持ちながら聴いていたが、何枚かアルバムを聴き続けているうちに今日になってやっと音の輝きが戻って来たようだ。カートリッジに不安を持ちながら聴いていたのが、安心して音楽を楽しむ精神状態に戻って来て、やっと心地よい時間を過ごすことができるようになった。 しかしこの SPU MEISTER-GE の音は心に沁み入るような説得力のある音色である。 最近まで聴いていた DENON DL-103C1 も中々の物だと思ったが、やはり音の潤いを持った質感がまったく違うのが良く分かる。ジャズなどにはタイトに引き締まったDL-103C1の方が相性の良さを見せるのかも知れないが、乾燥したマットな音色はプレーヤーの色気や円熟味が伝わって来ない恨みがあるようだ。まあ1992年当時の定価が5倍ほどの開きがあるのだから、差があって当然の事とも思えるが・・・・。 音質はほとんど問題の無い状態まで戻ったが、昨日よりは緩和したもののやはり僅かに昔のゼンマイ式目覚まし時計のネジを巻いた時のような「カリカリ」といった異音が聴こえることがある。この辺りがエージングによって緩和すればまったく嬉しい限りである。 9/6 ■ アクセスカウンター
この大した事も無いHP「Comfortable Space」も来訪者件数が5万件を超えた。 もう作り始めて10年を超えているから特に人気のあるものでもないだろうが、なんと言っても長年お付き合いいただいて、関西から北海道までオーディオ仲間が増えたのはとても心強いものである。ありがとうございました。
さて、相変わらず音楽を楽しむ時間は少なくなっているが、修理したアナログのSPU MEISTERもなんとか本領を発揮し始めたのが嬉しい。針圧を低めの3gに設定することによってほとんど針飛びも起こらなくなったし、購入当初に聴いた迫力のある音質が蘇って来た。修理前はSPU-Goldと聴き比べてみても音質の差があまりなかったが、現在はまったくの別物となっている。特に1970年代の古いレコードでも、高音質で楽しませてくれるのが有り難い。テンションワイヤーあたりからの「カリカリ」音は依然として発生しているが、まあそれほど気にならなくなって来た。 さて、最近は別室のHL-Compactを使ったサブシステムのプリアンプを物色中である。昔使っていたフォノイコを搭載したラックスのCL-32あたりが値段も手頃なのではないだろうか。 9/26 ■ トライオードのプリアンプ
猛烈に忙しい1ヶ月だった。 このHPの更新もままならず音楽を楽しむ時間もほとんどなかったが、少し落ち着いたここ2〜3日でこちらのプリアンプを速攻で調達した。初めてのトライオードのアンプなのだが、今月の初旬まで発売されていた我が家では珍しい現行品である。TRIODE のアンプはマエストロ・ガレージでも度々聴かせていただいているが、国産で真空管アンプを製造しているメーカーではサンバレーとともにリーズナブルな価格ながらユーザーの熱い支持を得ている会社である。使用している真空管はフォノ段に12AX7×2本(右側のシールドキャップの2本)、ライン段に同じく12AX7×4本と整流管が5AR4×2本と言った構成で生産国はすべて中国モノのようである。 最初は昔使用していたLuxman CL-32あたりを狙っていたが、製造年代が古過ぎてしっかりメンテナンスされた個体に出会う事が叶わなかったため、思い切って現行品を試してみることにした。使用している整流管などの真空管を差し替える事によって、音質の変化を楽しむ事ができると考えたのである。ヤフーオークションで2年ほど前に購入された完動品を定価の6割ぐらいで落札したが、綺麗な元箱も揃っており新品同様といってもおかしくないほど程度の良いものだった。これでやっとサブシステムでアナログを楽しむことができる。おっと、型番はTRV-4SEである。 組み合せるパワーアンプは300Bシングルの ELEKIT TU-873LE である。出力管はいろいろあるが、エレハモやGD4300などが第一候補となっている。プリの初段管はさまざまなヴィンテージ管があるし、整流管もQUAD用GZ-32が数種類あるのでいろいろと試して行くのが楽しみだ。
■ THE EMPIRE STRIKES BACK
4ヶ月ほどほったらかしにしておいたEMPIRE598は、逆襲を遂げられるのであろうか? まずは純正のMI型4000DIIIをセッティング。さすがに接触不良が頻繁に起こり、しっかりベースの接点やリード線のクリーニングなどのメンテナンス行って、ご機嫌を取らないと本調子とまでは行かないようだ。新しいプリアンプを加えて聴くこのサブシステムの音色は、低域の量感は豊かながら中高域のキレがまったくなく、かなり寝ぼけた音質である。1970年代に人気を博したこのカートリッジは、高域も繊細で良く伸びている筈だからまだまだ本領を発揮していないのだろう。 「モスキート音とは・・・・・」 通常、人間が聴くことができる音の周波数は20Hzから20KHzといわれている。 この音を聴き分ける能力は年齢と共に変化し、30代になると17KHz程度の音は聴こえなくなるといわれており、モスキート音はこの17KHzの周波数を持つ音のことである。 だいたい13歳〜17歳で19kHz、 18歳〜24歳で17kHz、25歳〜30歳で15kHz、31歳〜40歳で13kHzといったように、加齢とともに耳の性能も劣化して聴こえる周波数が低くなって行くのが通常のようだ。20歳代でうるさく感じた高域のきつさを最近は感じなくなったのは、オーディオの音質が良くなったのではなく、ただ単に歳をくったためかもしれないのである。まあ気持ち良く大好きな音楽を楽しめるようになったのだから、当然文句がある訳ではない。 10/22 久しぶりに真空管の交換試聴を行う。
整流管の5AR4を英 BRIMAR-GZ34に替えて、フォノ段の12AX7×2本をLUXMANロゴの松下製に交換してみる。 CDPからダイレクトにパワーアンプに繋いでいたときはとてもスッキリとした高域よりの音質だったが、プリアンプを使用する事によって中低域にバランスされた音質に打って変わった。また整流管を交換することによって滲み気味だった音質が少し締まった感じになる。オリジナルの真空管は中国曙光電子製と思われるが、12AX7の方はMarantz7Rに使用されている物とまったく同じであった。やはり現行の中国管からヴィンテージの優良管に交換すると、ガラッと音質描写が変わって来て好みの音質に近づけて行くのがとても楽しい。Mullardなんかを使ってみるのも少し高域の繊細感が出て面白いかもしれないが、ちょっともったいない気もする。まあ気長にいろいろ試してみる事にしましょう。 プレーヤーの方はカートリッジのEMPIRE 4000DIIIのピンの腐食がひどく、まともに鳴らないので早くも主役のOrtofon MC-30Sに変更している。ステップアップ・トランスはNorthern Electricを使用しているが、アナログの音質は響きはそれほどでもないが低域の量感が大変豊かである。 HARBETH HL-Compact はエンクロージャーのサイズが小さいので、箱鳴りで低域もある程度は出て来るが響きは少しタイトになるのはしょうがない。 今回のこの組み合わせでも、ライブハウスの前席で聴くようなリアル感で楽しめる。そんな訳で当初の予想通り、アコースティックやヴォーカルなどの曲種と相性が良さそうだと感じている。 EMPIRE598とTRIODE TRV-4SEのフォノイコの組み合わせはかなり音質に厚みが出て来るので、ネかなか説得力のある音色を楽しむことができそうだ。 10/24 昨日に続いて真空管の交換試聴を継続。久しぶりの週末連休はとても嬉しい。
整流管と出力管(300B)の交換試聴を、今日は嫁殿と一緒に進めて行く。ソフトは嫁殿好みのメタル・ロックを使用するが、嫁殿の音質評価はまずまずよろしいようである。ベースは弱いがドラムにキレがあり、高域が少しおとなしい分だけギターが弱いといった評価である。 さて、整流管をオリジナルの5AR4(中国製)からGZ34(BRIMAR)に変更し、更にGZ32(Mullard?)に取り替えるが、最も音に勢いが出て好ましかったのがGZ34であった。一番期待したのはGZ32であったが、低域の量感も減少して少し淡白になり過ぎて、クラシックなどには良い相性をみせるのかもしれないが、POPS&ROCKには物足りない結果となる。音質に最も影響を与える出力管の方は、エレハモ→GD4300B→桂光→曙光と短時間での切り替え試聴を行うが、最も評価の高かったのが以外にもロシア・エレハモブランドであった。低域の量感も十分で音に厚みもあり、中高域のキレも良くてなかなかのバランスで響く。 アナログはEMPIREの軸受けクリーニングを実施し、モーターにオイルを補充するなどしてボケた音色にやっと抜けの良さが出て来た。CDPの方は光学系固定方式メカを採用したSONY CDP-XA5ESにピアレスのライントランスをかませているが、嫁殿の評価でも定位の良さでCDPはアナログに敵わず、音が少し団子状態になってプレーヤーの存在感が分かりにくいとのことであった。厳しい〜。 大分煮詰まって来たが、来週の休みにはライン段とフォノ段の12AX7をいろいろと試してみようと考えている。 10/25 ■ 米 UTC-2080
メインのPOPS&ROCKシステムの方はOrtofon MEISTER-GEが修理の紆余曲折後に復調したことから、最近はまたアナログ三昧である。
ドイツ製トランスで思い通りのものが手に入らない中、米UTCのトランスを調達した。WEやTRIADとともに米製トランスの御三家のひとつで人気のある機種なのだが、PARTRIDGEのトランスなどと比べて比較的安価に手に入れることが出来た。 早速、これまで長期に渡りメイントランスとして愛用して来たPARTRIDGE TK2220との比較試聴を実施する。 結論から申し上げると、POPS&ROCKのような曲種では僅差でUTC-2080の音質が上回ったと言うかより好みにあった結果となった。そんな訳で長年SPUとの組み合わせをサポートして来たPARTRIDGEが、いよいよお役御免となってしまった。中低域の重量感はゆったり響くPARTRIDGEが勝っているのだが、高域に独自のクセというかキラキラ感がありこれがこのトランスの美点でもあるが、ややもするとキンキンとした響きに聴こえることがある。 UTCの音質傾向は全体的にシャープで締まりがあり、プレーヤーの実在感をはっきりさせる音場形成が一番の利点となっていると感じた。前に迫ってくる音質が奥行き感の醸成にも結びついており、音楽性といった点でも評判通りの高音質である。そんな訳でPARTRIDGEは今後サブシステムのOrtofon MC-30Sと組み合せることにした。 さて、サブ・システムのTRIODEプリアンプ真空管の続・交換試聴である。 今度はいよいよライン段とフォノ段の12AX7編である。オリジナルは中国の曙光電子製であるが、何か風呂場で聴いているような独自の低音の膨らみと湿気を帯びたような音色で、カビが生えているような感じである。(そんなひどい訳ありません) ライン段は4本使用されており、どれがどれだか判断できないので、4本の同一ブランド管(GE高信頼管5751/LUXロゴ松下12AX7)で試聴してみる。全盛期のヴィンテージ管に交換してやっと湿気が抜け、見晴らしの良いはっきりとしたバランスに戻ってほっと一息つかせていただく。GE高信頼感の方は今一歩キレが無いので、こちらは古いLUX選別管で落ち着きを見せる。 さてフォノ段の2本だが、こちらは選択肢がかなり多い。12AX7では英BRIMAR/Mullard/米GEなどに加え、MullardCV4004/CV492などが候補となる。ドイツ管(TELEFUNKEN/SIEMENS)がないのは少し寂しいが、結果として少しもったいない気もするがCV4004で着地した。 プリアンプを導入して真空管も各種取り替えた結果、こちらのサブシステムもかなり図太くて暖かみのある音質を聴かせるようになった。
今後、整流管(5AR4/GZ34)などはまだまだ選択肢があるようだから、機会があったら増やして行こうと考えている。 さて、今度はGarrard401のロングアーム増設にいよいよ取りかかろうと考えてる。SPUと相性の良いロングアームを組み合せるつもりだが、アームブラケットを装着して増設するとなると、アームが限られて来るような感じである。さてさて決着は如何に! 10/30 ■ 放送局仕様トーンアーム
いよいよダブルアーム計画を実行に移す時期を迎えた。 もともとこのGarrard401プレーヤーシステムには audio-technica AT1503IIがセットアップされていたが、このキャビネットにもう一本アームを増設しようというものである。一度はロングアームを使ってみたいと思っていたが、オルトフォンやSMEは予算的に手が届かない。そんな訳で放送局仕様として開発されたこのテクニカのロングタイプAT1501IIを使ってみることにした。それほどお高い物ではなかったので、この機会にショートアームの方もAT1503IIIにバージョンアップすることにした。 このショートアームはAT1503IIIになって、インサイドフォースキャンセラーの設置や内部配線を純銀線に変更するなどの仕様変更が計られている。ロングアームは別注のアームブラケットによって後方に取り付ける予定であるが、このロングアームを主にSPU用として使い、ショートアームの方はDENONやOrtofon MC30シリーズなどを使用する予定である。 ロングアーム用のブラケットが完成するのは12月になりそうだが、それまでにフォノイコライザーを調達することにしよう。EARのフォノイコを一度は使用してみたいと思っているのだが、今回は予算的に難し「かもしれない。 サブシステムの方はSPコードをBELDENからORTOFONのバイワイヤータイプに交換したりしているが、依然音に広がりが出ず少し重苦しい音質となっている。やらかくフワッと浮かぶような音質が好みなのだが、音場がどちらかというと低く中央に集まりがちである。アナログでもCDPでも基本的には変わらないから、やはりアンプの音質傾向なのであろうか。CDPを300Bパワーアンプにダイレクトに繋いで聴いていた時はそれほど気にならなかったので、これはTRIODEプリアンプの影響が強いのではないだろうか。どう料理いたしましょうか・・・・。 11/11 audio-technica AT1503III
3型に進化して軸受けも大型化されているが、音質は今一歩気に入らない。 内部配線を純銀線に変更した影響により音場が豊かにひろがるのは良いが、高域がシャリ付いて低域の密度が薄くなる傾向にあるのが面白くない。どちらかと言うと内部配線が銅線と思われる2型の方が重心も低くて良いのかもしれない。こちらのショートアームではDENONやMC-30シリーズを使用する予定なので、トランスの組み合わせを替えながら好みの音質に持って行こうと考えている。上手くいかないようなら残念だが古い2型に戻すことにしましょう。より新しい方が良いとは限らないのがヴィンテージの世界の通例なのである。 11/14 ■ フォノイコライザー
メインシステムの中核を成すプリアンプ Marantz#7 のフォノイコライザーは、2系統の接続が可能である。
これまではクラシックシステムの Thorensと POPS&ROCKシステムの Garrard に1系統ずつ使用していたが、アームを増設した為に新たなフォノイコライザーが必要となった。一度はEARのフォノイコを使ってみたいと常々考えていたが、今回は予算が足りないためお手頃な物がないか探していた。当然真空管式からの選択となる訳だが、プリアンプに続きTRIODEが最近まで販売していた現行品を選択する。 現在アームブラケットを製作中でまだロングアームが使用できないが、事前プランでは Marantz#7のフォノイコにロングアーム+SPU、TRIODEのフォノイコにショートアーム+その他カートリッジを組み合わせようと思いを馳せている。 3本の使用真空管はプリアンプと同じく曙光電子製の12AX7なので、当然ヴィンテージ高音質管に交換予定である。 TRIODE TRV-EQ4SE 先日購入したサブシステムのプリアンプ同様、Marantz#7と比較するのは可哀想な話だが、このフォノイコに見合うカートリッジの組み合わせなどを探り出すのに年内一杯は掛かりそうだ。まずはじっくりと試聴を繰り返そうと考えている。 サブシステムの方は、TRIODEプリアンプの真空管やSPケーブルを交換したりして少しずつ音質が改善して来たが、今一歩これだと思える音質に到っていなかった。そんな時、電源ケーブルを少し古いS/A Labのケーブルに交換してみたところ、やっと満足の行く音質に近づいたようだ。低音が依然湿気を帯びているなどの不満はあるが、音楽を聴いていて楽しく気持ち良い気分になれるようになったのがとても嬉しい。オリジナルのケーブルはノンブランド(韓国製?)のものだが、このケーブルが良くも悪くも音質に大きな影響を与えているようだ。新たに調達したフォノイコにも同じケーブルが付属しているので、こちらも当然交換が必要となるだろう。 11/18 ■ DECCA MarkV-EE 新しいショートアームのAT1503IIIは、ワイドレンジで落ち着いたクラシック向きの音質である。 これまで大切に保管していたDECCAのカートリッジがひょっとしたら生き返るかも知れないと思って、北海道のKeisさんにお願いして新たなリード線を製作してもらった。40年前のオーディオ雑誌で良く眺めていたSMEヘッドシャルとの組み合せを再現して試聴してみるが、残念ながらビビリ音が出てまともに鳴らない。同じ頃のEMPIRE 4000DIIIの方はこれまたKeisさん新作のリード線でなかなかふくよかな音質を提供してくれているが、VL型のDECCAは寿命となってしまったのだろうか。今度またマエストロ・ガレージの谷口さんに相談してみようかな〜。 DECCA/EMPIREの試聴で初めてTRIODEのフォノイコTRV-EQ4SEを使用してみたが、最初はなぜか右chからノイズが出る。いろいろ原因を探ってみたが判明せず、3本の真空管の位置を差し替えたら治まった。このフォノイコの真空管は右側が初段入力の左右chA中央が2段目の左右ch、左が出力の左右chを受け持っているとのことなので、片chだけノイズが出ることは無い筈だがどこか接触不良が起こっていたのであろうか。まあ結局はヴィンテージ管に交換するのだから、音質などについてはこれからじっくり検証していこうと思っている。 11/25 いよいよフォノイコの本格的な試聴に入る。
まず真空管をオリジナルの曙光電子製から、初段(テレフンケン/_マーク)、2段目(ムラード/ロングプレート)、出力(ムラード/ロングプレート)に交換する。デッカやエンパイヤなどMC型以外の古いカートリッジを試してみたが、さすがにまともな音が出て来ないのでDENONを使用することにする。このフォノイコは昇圧用にヘッドアンプを内蔵していてLOWインピーダンス用とHighインピーダンス用を切り替えて使用できるが、やはり音質の良いトランスを組み合せたいと考えていた。 カンノ/ノーザンエレクトリック/Js/パートリッジなど手持ちのトランスを次々と組み合せてみるが、ノーザンとJsは低音がまったく出ずに即アウト。期待していたパートリッジは、ハム音が出てこちらも相性が悪いようだ。カンノでは一番まともな音質を得られたが、低音がブーミーに膨らみ過ぎてこちらも理想の音にはほど遠い状態である。しかたなくトランスではなくヘッドアンプを使用すると、全体バランスは改善されて聴きやすくなるが、今一歩迫力の足りない音質となってしまう。 そんな訳でショートアームを元のAT-1503IIに戻すことにした。 3型に比べ音場は狭まるが、低域が締まって密度の高い音質に変わるので、POPS&ROCKなどではこちらの旧型の方が良いようだ。 いろいろ組み合わせを替えて試聴を続けるが、ここで初歩的な疑問にぶつかってしまう。これまでフォノイコだけを組み合せた接続経路は、ガラード→フォノイコ→マランツ7ライン段で問題はないと思われるが、MCトランスを使用する時にフォノイコの前後のどちらに入れるのかが分からなくなって来た。試聴した時はフォノイコとプリの間にMCトランスを挿入したが、フォノイコの前で使用することによってまともな音に変わるのではないだろうか。もう一度試してみることノしよう。 まったくお恥ずかしい話で、フォノイコの前にトランスを挿入すると打って変わって潤いのある音が出て来た。予想通り内蔵のヘッドアンプと比べても、音の品位や生々しさなどが一歩も二歩も改善される。特にSPUとの組み合わせでは演出過剰気味だったノーザンエレクトリックが、少し色付けの薄いDL-103シリーズとの相性も良いのか、Marantz7のフォノイコと比較しても大きな音質の差を感じさせることもないようだ。しばらくこの組み合わせで楽しむことにしよう。 そろそろアームブラケットが完成する頃合いだな〜。 11/28 ■ 新たな美音体験
あれこれ試していたら、体験したことの無い美音に巡り合えた。
これまでクラシックについては Thorens126+MCH-II が最も安心して楽しめるものだった。今回、Garrard に搭載するショートアームの試聴を繰り返しているうちに、新たに導入したAT-1503IIIとDENON DL-103C1+ノーザンエレクトリックの組み合わせが、クラシックでも大変魅力的な音質で響くのを発見することができた。オルトフォン同様、ゆったりと響くMCH-IIに比べ、DENONは奥行きを伴ったよりリアルな響きが眼前に展開される。特に入力段にテレフンケン/_マークを使用した時に味わえる、ざっくりとした質感はこれまで体験したことの無い音質である。 このTRIODEのフォノイコは、初段、2段目、出力とそれぞれの真空管が左右chに対応しているため、3本とも別々の真空管を使用することが可能である。贅沢にも_マークに加え、ムラードCV4004やECC83ロングプレートなどの我が家にあるVintage高音質管を組み合せることによって、新たな世界を楽しむことが出来そうである。現在電源ケーブルについては適当なものがないため、shima2372さんにリーズナブルで使いやすいオリジナルケーブルを注文したところである。 昨今のウン十万もするような高額なカートリッジと比較して恐ろしく安価なのだが、それでもオリジナルDENON DL-103を購入しようか以前から悩んでいる。音質の良い派生モデルのC1で十分に楽しむことが出来る訳だが、やはりチャンスがあったら購入したい。 12/2 サブシステムの構築などもあってケーブル類が足りなくなって来たので、BELDENの8412と電源ケーブルを調達した。 最近新たに購入したサブシステムのプリアンプや、こちらのフォノイコ用真空管の取り替え試聴をする機会が増えて、とても楽しい時間を過ごしている。このフォノイコも電源ケーブルを交換した影響が大きいのか、全体的な音質のクオリティが向上したような感じである。いよいよ本格的な試聴を始めるが、音がクリアなジャーマントリオで統一することにした。初段は3枚マイカSIEMENS E83CC、2段目がSIEMENS ECC83(中身はテレフンケン◇マーク/スムースプレート)、出力段にTELEFUNKEN(◇マーク/スムースプレート)に決定した。 シーメンスは学生時代に秋葉原の太平洋で購入して以来一度も活用する機会がなかったが、今回の試聴では3枚マイカの音質の透明度が際立っていた。この組み合わせで聴く声楽やヴォーカルは、これまで経験の無い立体的な定位感で響き、思わず笑みが漏れて来るような幸せな気分にさせてくれる。 ロングアーム用ブラケットが未だ到着しない。 注文した製作会社は納期に3週間ほどかかるとのことだったが、前回アームウエイトを注文した時も1ヶ月を過ぎても送って来なかったので、文句をいった覚えがある。今年も早いもので残すところ1ヶ月を切ったが、最善な状態で年末を迎えたいものである。 12/5 ■ ダブルアーム仕様
やっとアームブラケットが到着して念願のダブルアームが完成した。 ロングのaudio-technica AT1501IIとショートのAT1503IIIを組み合せて、シンプルな放送局仕様で仕上げることができた。久しぶりに聴くSPU MEISTER-GEは、重量感のある低音が豊かに響き渡ってまったく安心できる音質である。アームの違いのせいかAT1503IIIと比較すると音場が狭いように感じるが、以前使っていたショートのAT1503IIと同様中低域に重心を置いた聴き馴染んだ音質である。少し離れた位置から油絵の全景を眺めるようなSPUと、視線を近づけて精緻な水墨画を眺めているようなDENONの音質を曲種によって楽しむことが出来るようになった。 奥のロングアームではSPUのバリエーションを、手前のショートアームではDENONやMC-30シリーズをじっくり楽しんで行こうと考えている。お次は原器DL-103の調達を目指すことにしよう。 DENON DL-103C1用に、北海道のKeisさんから送られて来た新作のリード線を試している。
Ortofonの線材を使用したリード線を組み合せると、このカートリッジ特有のタイトな音質が更にパワフルに変身するが、少し緊張感を強いる音色となるのはエージングが足りないのかもしれない。理想から言えばリアルな音質を生かしながらもう一歩豊かな低域バランスとなるように、年末に向けていろいろなリード線を試して行こうと考えている。 12/9 ■ 師走のメンテナンス
フォノイコの試聴などを繰り返していると、真空管アンプ特有のゴソゴソノイズや音が途切れるなどの症状が出始めた。 年末に差し掛かって丁度メンテナンスの時期でもあるので、アンプを中心に真空管のピンやソケットなどのクリーニングを念入りに実施する。左前にあるのはオヤイデのスパイクとインシュレーターだ。Garrard401を使って音楽を聴いていると、前を静かに歩いただけで振動を拾うために購入してみた。こんなに小さいもので効果があるのか疑問だったが、設置してみると以外としっかりしていた。 今年もいよいよあと半月ほどを残すのみとなったが、来週あたりには年末恒例の第九演奏会を独り寂しく開く予定である。昨年はベーム盤だったが、今年はシューリヒトの国内盤を既に購入済みである。 なんとなくあっと言う間の一年だったような気がする。 12/12 久しぶりに取得した週末の連休は、どっぷりオーディオ三昧で過ごした。 Garrard401で使うようになった新たなショートアームAT1503-IIIにDENON DL-103C1を組み合わせると、これまで弦楽器の質感が好みに合わずにあまり聴くことが無かった Harbeth HL-4 でも、クラシックをまずまずの音質で楽しむことができるようになった。
しかしやはり TANNOY IIILZ と MCH-IIの組み合わせを聴くと、クラシックに関してはやはりこの音質が我が家では最上のものと納得させられる。ロングアームを加えたダブルアーム仕様にして2種類のカートリッジを瞬時に聴き比べられるというのは便利だが、今のところショートアームとロングアームの音質の違いはそれほど感じられない。同じテクニカ製で長さが違うだけだから、そんなものなのかもしれない。 サブシステムの方はCDを中心にPOPSやヴォーカルなどを楽しんでいるが、ケーブルや真空管の交換などによってかなり満足の行く音質になって来たようだ。しかし依然として低域のこもったような音質の原因が特定できず、じっくり聴いているとドラムやベースなどの音質に不満が出て来る。CDPでもアナログを聴いてもこの音質傾向は変わらないから、パワーアンプ300Bシングルの限界なのかTRIODEのプリアンプの音質影響なのかがはっきりしない。 やはり細かいところは気にせずに、雰囲気で聴かせるような音質傾向のELEKITパワーアンプが原因ではないだろうか。来週はもう一度、現在使用しているエレハモの出力管を他の物と入れ替えて試してみようとも思うが、それほど大きな音質の変化は期待できずこれで駄目ならお手上げとなる。流石にメインシステムと同様の質感を求めるフは無理があるのかもしれない。 12/13 サブシステムの音質が今一歩の件だが、まったくお馬鹿な話である。 Harbeth HL-Compact のリアバッフルは、ご覧のようにバイワイヤリング端子となっている。こちらの画像ではシングルワイヤ接続となっているが、低域の音質が不自然だと感じたのは、なんのことはないバイワイヤリング接続をしていて高域側の端子のひとつが外れていたのである。 まったく我ながらお恥ずかしい話で、なんでこんなに注意力がなくなってしまったのだろうか。 エレキットよ疑って悪かった!! 安価な国産キットでありながらも、直熱3極管 300Bの音質の良さを気付かせてくれたのに本当にごめんなさい。頭に来たのでシングルワイヤの BELDENケーブルに交換したところ、嘘のように見通しの良い音色に生まれ変わったのである。(当たり前か!) ちなみにこのジャンパーケーブルは Harbeth HL-4純正のものだが、HL-Compact に付いていたのはチープな金属の線材だったので、使わずに仕舞って置いたらどこかにいってしまった。 気を取り直して聴いてみたこのサブシステムの音質は音離れが良くキビキビとしたもので、メインシステムと比較すると流石にスケール感には乏しい恨みはあるが、これはこれで楽しく音楽を楽しめるシステムに仕上がったと喜んでいる。 12/15 ■ アナログ復興
先日見たTVのニュース番組で、最近再ブームを迎えているアナログレコードについての話題があった。
国内で唯一レコード生産を続けていた会社もここ数年フル稼働を続けているとのことで、まことに喜ばしいことである。番組の中でこれまでレコードに縁がなかったCD世代の方々も、店員がレコードに針を落とす儀式を興味津々に眺めながら、流れて来る音楽に耳を傾けていた。 そんな内容に背中を押された訳でもないが、アナログ盤を調達するために初めて嫁殿と連れ立って神保町まで出かけることにした。有名どころの3軒の中古レコード店をハシゴして、久しぶりに10数枚のアナログ盤を購入する。中には発売されたばかりのビートルズのアルバム「ザ・ビートルズ1」も調達できたし、調子の上がって来たオーディオシステムで楽しみな年末を迎えられそうである。 12/19 いよいよ2015年の年末も押し迫って来たが、今年も何のことは無いアナログ三昧で終わろうとしている。
ロングアームに MC-30 SuperIIを装着して聴いてみるが、SPUと比較して腰高の音質が今一歩しっくり来ない。 昇圧トランスの方もいよいよこの年末に悪魔の囁きY下さんから WE-618B をお借りすることになっているので、事前に手持ちのパートリッジやカンノなどをいろいろ試してみている。やはり POPS&ROCK などの曲種では、奥行き感があり押し出しの強い音場を形成する UTC-2080が一番好みに合うことを確認した。高いから嫌いだが、圧倒的な評価の WE-618B とは一体どんな音なのだろうか。 12/25 ■ 例のブツが・・・・!
年末、Y下さんから恐ろしい音楽の媚薬が届いた。
一度手にするとコカイン、ヘロイン、覚醒剤などの薬物と同様に依存症に陥りやすく、また依存症状が深刻になりやすい機器と言われている。そんな危ないブツに手を出すとは、オーディオ人生を滅ぼすことにならないであろうか。 http://my-vintage.music.coocan.jp/2015.html
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