http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1095.html
Tweet |
(回答先: どうしようもないダメスピーカー JBL 4343 がバカ売れした理由 投稿者 中川隆 日時 2019 年 4 月 10 日 05:36:16)
JBL ハーツフィールド オリジナル
JBL Hartsfield - YouTube 動画
https://www.youtube.com/results?search_query=+JBL++Hartsfield
▲△▽▼
ハーツフィールド
はじめて聞くオールホーンシステム(ハーツフィールド)でしたが、最も印象に残ったのは、カザルスのベートーヴェンです(Philips; ホルショフスキーとやった1958年の録音)。 このCDは普通に聞くと録音がなんとも薄い音で、カザルスの音が針金のように聞こえます。
一言でいうと、音色の表現力が物凄いです。はっきり言って、このCDがこんな音で鳴るとは、完全に想像の範囲外の音でした。カザルスは凄い演奏家だと思っていましたが、このシステムで聞いたカザルスの凄さというのは言葉で表現するのは不可能です。迫力ではなく、音の表現力の幅です。
市販のハイエンドスピーカーには、クラシック向けと称する、小奇麗な音を出すしか能のないようなスピーカーがたくさんありますが、私の印象では、このホーンシステムこそクラシック向きです。バイオリン協奏曲を聞きましたが、バイオリンの音は、奏者の力量を裸にするようなシビアな(正確な)再生だと思いました。
本来、ホールの演奏では、奏者は裸になってしまうものです。以前から、(普通のシステムで)録音-再生という過程を経ると、なにか生でしか伝わらない音楽的な何かが欠落してしまうと感じていましたが、そういう欠落しやすい部分を再生する印象でした。また、ボーカル物を聞くと、歌手がマイクを通じて歌っているということが、はっきり伝わります。
さらに、どれを聞いても感じましたが、f(フォルテ)から、p(ピアノ)に変化したとき、pが本当にpらしく聞こえます。pになっても音が途切れず、浸透力がある感じです。
生とオーディオの感動
これは知り合いの楽器職人の方に聞いた話ですが、その職人さんの知人に尋常ならざるLPマニア兼オーディオマニアの方がいらっしゃるそうです。シゲティのLPを求めてヨーロッパにまで足を運ぶような方です。オーディオにかけた金額も1000万円を超えており、その職人さんはことあるごとに「うちの家で聞いてください」と誘われて困っていたというお話でした。
で、あるとき、そのマニアの方が職人さんの工房に訪れたらしいのです。そのときはちょうどヴァイオリニストが工房で楽器を試奏しているところでした。それを聞いたマニアの方が曰く、
「うわあー、ヴァイオリンって、こんな音がするんだ。初めて生で聞きました」
上に述べたハーツフィールドを聞く前は、正直言って、オーディオ再生で感動を求めるということに何か屈折したものを感じていました。 感覚的に言えば、オーディオで聞く音楽で別に感動はいらない、オーディオは既に世の中にいない歴史的演奏家の一端を「知る」ための手段にすぎないということです。
が、ハーツフィールドで、カザルスに非常に感動したのですが、絶対に実像のわからない過去の演奏家の、原寸大での「真実らしきもの」を追究し、結果として聞いていて、つまらない音になるぐらいだったら、多少の癖があろうとも、あるいは仮に実像より誇張されたものである可能性があっても、音楽的な感動を伴うシステムのほうがよほど価値があるという気がしました。
http://www.geocities.co.jp/MusicHall-Horn/3384/audio/favorite.html
▲△▽▼
JBL_Hartzfield 〜JBL黎明期の傑作〜
●ヤフオクにて、JBLのあのハーツフィールドをみつけました。
ハーツフィールドは、タンノイのオートグラフと並び、モノラル時代を代表するコーナー型オールホーンシステムです。
James B. Lansingが会社を立ち上げたのは1927年ですが、この頃はアルテック社に吸収されたり(なのでアルテック・ランシングって言うんです)、ウェスタンの下請けをやったりしていました。
1946年にJBL社として独立しまして、後に初の家庭用フロアスピーカーであるハーツフィールドが誕生します。ハーツフィールドがJBLから発売されたものは1954年のことで、55年にはライフ誌で夢の究極のスピーカとして紹介されました。ちょうどマランツ社ができてModel1を発売した頃です、すでに50年以上が経っていますね。
ハーツフィールドは箱が別モノであったり、レストアされていたり、オリジナルでも後期型となるとホーンが簡略化されたりと、なかなか初期のオリジナルのものがありませんが、今回のものは初期のオリジナル物だそうです。
●ハーツフィールドは、実はJBLで開発されたものではありません、自作が趣味の公務員のウィリアム・L・ハーツフィールド氏が開発したものです。彼は、ワシントンDCにある政府組織の標準規格局に勤務しており、趣味でクリプッシュホーンを独自にモディファイしたコーナー型ホーンを作っていました。
巡り合わせとは奇なもので、当時東海岸に住んでいたJBLの販売担当重役であったRayPepeがAESで同じ部署となったハーツフィールドと出会い、彼の組んだスピーカーシステムを知ることになったのです。劇場用で一般に発売されていなかった、150-4C/38pウーハ、375ドライバがハーツフィールド氏の手に渡り、D30085ハーツフィールドが開発されることになったのです。
型番のD30085というのはは、30番のエンクロージャに085というユニットシステムを収めたことを意味していまして、085とは150-4Cウーハー、375+537-509ホーン、N400またはN500Hネットワークの組み合わせ番号の事です。
さて、150-4Cウーハーというのは、モノラル時代のハーツフィールドに使われていたユニットで、パラゴンの初期型にも少数ですが採用されていたようです。JBLでは1959年に名ウーファLE15Aが発表され、1964年からはLE15Aに入れ替えられています。また、537-509ホーン・レンズはバート・ロカンシーがハーツフィールドのために特別に開発したということで、確かに他のJBLシステムでは使われているのは見たことないですね。
ハーツフィールドは1964年まで製造が続けられていたのですが、1959年には低域ホーンが簡略化されてしまったので、今回の出品は簡略化前の貴重なものということになりますね。1964年には075リングラジエータを高域に付加した3ウェイシステムとなりました。
画像から判断するとロゴはJBLのマークのようですが、初期型ではジムランシングとなっているものもあります。会社がJBLになる前のジムランの最初の年に作られたハーツフィールドで大変珍しいものです。もちろん当時はモノラルでの販売でしたから、ステレオでシリアルNoがそろっているのは、ありえませんが、、。
●音については、諸説ありますが、何しろ聴いたことがないのでなんとも言えません。ホーンならではの伸びやかさをもつ低音と、スッと切れ味のよい低音が両立され、ジャズのバスドラムのバフッという風のような低音が、皮膚感覚で捕らえられる。ズシッとした重量感のある低音と鮮やかさよりも渋味を感じさせる中高音とがバランスして落着きある音。などと評する方もおり、かなり絶賛ですねぇ。
コーナーホーン型で、壁との距離、LRの特性の不ぞろいなど問題の多い機種ですし、なかなか低音がでなくてパワーアンプを相当選ぶという話も聞きますが、上手く鳴らすと、どうもこれは凄いようですね。
●価格は開始価格が\300万となっており、高額なため0BIDですね。初期型ハーツのペアではありますが、\250万が相場、\150万で即買いといったところでしょうか。もちろん私には買えませんし鳴らしきる自信もありませんねぇ。でも、あのハーツですよねぇ、、ハーツ、欲しいなぁ〜。
コメント
よ・・・よだれが〜(笑
オリジナル初期ではありませんが、一度だけ近所の喫茶店で拝聴させていただきました。
375に広がる低音は、オールドならずとも素晴らしいかぎりです。
アンプにクレルを使っておられましたが、やはりアナログが似合います。ハイ
堂々たる風貌は『パラゴン』同様惚れ惚れします。
2009/1/25(日) 午後 1:38
150-4Cのパラゴンも夢なら、初期型ハーツフィールド均整ペアなんて、夢のまた夢ですね!!
あ〜でも、一度で良いから聴いてみたいです。
2009/1/26(月) 午前 7:55 [ kt9*jp ]
ハーツフィールドはモダンデザインの極みだと思っております。
しかしながらモノ時代であるためペアが揃わず、また375の音もバラツキがあり、ステレオは非常に難しいのが現実です。
重低音は出ませんがベースの音階の分かる低音は生々しく、375の性能に付いて行ける唯一のシステムと思います。色々あって手放してしまいましたが、未練の残るSPでした。
2009/1/30(金) 午前 2:26 [ ケロリン ]
おはようございます。え〜、、、、、持っていたのですか!!!!しかも手放したんですかぁ、、。凄すぎます、私なら、未練たらたらのこってしまいます、、。。でもサスガユーザの意見ですねぇ、
ステレオでスペックをそろえるのは本当に大変だと思いますね。生々しいベースなんて、いいですねぇ、最近どこかで聞くことができればありがたいのですが、、、。
2009/1/30(金) 午前 8:38 [ オーディオエージェント ]
知人が連番を持っており、将来手放すので、その際はといわれております。
今の家には置けないので、なんとか、入手するまでに場所を確保しないと都行ったところです。
初期の連番は、アメリカ人のオーナーがステレオ時代を予見してそろえたもので、ユニット全部が連番でした。左右のバランスもよかったです。
ただ、初期のものでも、低音の物足りなさはありますが、ここら辺はアルテックも同じように、中域を楽しむものだと思います。
今度うちのオートグラフも聴きに来てください。今はマッキンのC20とMC60またはMC240の組み合わせで遊んでいますが、クラシックを聴くなら、240のほうがよいですね。
何台か集まってしまったマッキンも徐々に嫁いで行っています。今週末にはちょうどc22が嫁いで行きました。
渋谷のジャズ喫茶のお客さんがMC240を一台狙ってくれています。
2009/6/7(日) 午後 4:24 [ richard ]
知り合いの方が所有しているので何回かきかせていただきました
なかなかですね でも大きすぎる...ジャンルも決まってきますしね
広い部屋が欲しいですね♪
2010/2/17(水) 午後 7:46
まあ、確かにでかいですよね、家も大きいのでしょうね、、、、。トホ、、。
あの時代なので、ジャンルはやはり限られると思いますが、はまったときの感動ってのはどうなんでしょうか。すごい??
2010/2/17(水) 午後 9:53 [ オーディオエージェント ]
http://blogs.yahoo.co.jp/audio_agent/58428356.html
http://audioagent.wordpress.com/2009/01/25/jbl-hartzfield/
▲△▽▼
D30085ハーツフィールドはJBLの初期の最高傑作スピーカーとして知られています。このスピーカーによりJBLは世界的なスピーカー製造メーカーとしての名声を確立しました。
ハーツフィールドの製作を手がけたのはJBLの主任技師であり工業デザイナーであったビル・ハーツフィールドです。 1954年、JBLは元々プロフェッショナル用の劇場用として設計/開発された375SIGドライバーと150−4Cウーファーを、このシステムのために新たに開発された537−509ホーン/レンズとフロントローディングの低音ホーン型エンクロジャーに組み合わせて一般家庭用にD30085ハーツフィールドとして発売しました。そして翌55年には「ライフ」で、『夢の究極のスピーカー』として紹介され、JBLの名は全米中に知れわたることになります。
ハーツフィールドはその後も、ユニット仕様とホーン設計の両面で発展を続けることになります。
まず1959年に、低音ホーンの構造がシンプルな構造に再設計されました。その変更理由としてまず構造が複雑な折り曲げホーンは、製造コストが高くついたこと、さらに重低音の伸びが不足していたことがあげられています。これらの問題に対処すべく、バート・ロカンシーはウーファー背面のバックチャンバーをより広くするとともに、ホーンの開口部を拡げて、ホーンの通り道をシンプルに改善し、その結果、重低音は目覚しく改善されることになりました。
1964年には最後の改良が加えられ075トィーターとN7000ネットワークが追加されて3Wayシステムへと生まれ変わりました。N500Hネットワークも新型のN400に変更されました。 さらにウーファーの150−4CはLE15Aに置き換えられました。エンクロージャーのチップボードの多いものに変わりました。
しかしこの年に結局ハーツフィールドは製造中止となります。その理由としてモノラル再生に変わりステレオ再生がメインになったことがあげられています。
ちなみに1970年ごろにもハーツフィールドは少数再生産されましたがこれは外観はおなじですが中身は全く異なっており通常別物扱いされているようです。私のハーツフィールドは1959年〜1963年までに生産された中期型と考えられます。
http://island.geocities.jp/umanose8818/harts/hartsfield.html
▲△▽▼
JBLハーツフィールドのクラフツマンシップ
JBLがコンシュマー用のスピーカーメーカーとしての名声を確立するに至った原動力となった同社初期の最高傑作のひとつ。
本来はプロフェッショナル用(シアター・サウンド・サプライ)として設計/開発された375ドライバーと150−4Cウーファーを、このシステムのために新たに開発された537−509ホーン/レンズとフロントローディングの低音ホーン型エンクロジャーに組み合わせている。
ハーツフィールドはその後も、ユニット仕様とホーン設計の両面で発展を続けた。
まず1959年に、低音ホーンが全くの再設計となった。その変更の要因は2つあった。
まず構造が複雑な折り曲げホーンは、当然の帰結として、製造コストが高くついたこと。複雑になった理由のなかには、(D208)入門用キットを取り付けられるようにしたこともあったようだ。後に入門用オプションを中止にしたことで、より一般的なホーン設計をできるようになった。
2番目の要因は、クリプシュホーンに対抗すべく開発されたはずなのに、実際に比べてみると重低音の伸びが不足していたことである。これらの問題に対処すべく、バート・ロカンシーは設計の見直しに取り掛かった。そして、ウーファー背面のバックチャンバーをより広くするとともに、ホーンの開口部を拡げて、ホーンの通り道をシンプルに改善したのである。
この改良に結果、重低音は目覚しく改善されたが、今日まで続く論争に火をつけることにもなった。 その論争とはどちらの低音ホーンが実際には全体から見たときベストなのかという疑問にかかわるもので、どちらの陣営もその後、多くの賛同者を集めることになった。
しかしコレクターの間では、最初の設計にほうが高い値段が付く傾向にある。 そちらのほうがオリジナルのハーツフィールドだから言うのが主な理由である。
最後の改良が加えられたのが1964年で、これは全く論争を呼ばなかった。
ハーツフィールドが、(075)トィーターと(N7000)ネットワークが追加されて3Wayシステムへと生まれ変わったのである。(N500H)ネットワークも新型の(N400)に変更された。
(075)リングラジエーターは、市場での動向を考慮しそれに答える為に追加されたものだ。 当時、多くのハーツフィールド・オーナーが、(375)の高域の再生限界に対処する為、(075)トィーターと(N7000)ネットワークを追加して、手持ちのシステムをカスタマイズしていたのである。 JBLは単純に、この仕様をスタンダードにしただけであった。
最晩年の変更は、(150−4C)が(LE15A)に置き換えられたことだ。JBLの社内テストで、ハーツフィールドに(LE15A)を収めてみると、歪が目に見えて少なくなることがわかったため、最後の1年の製造分は、(LE15A)がスタンダードのウーファーとなった。
1964年に下った製造中止の決定は、ステレオ再生がモノーラル再生を押しのけて、ついに録音フォーマットの中心となった結果であった。
(別冊SS誌JBL60th Ann.より)
http://www.gokudo.co.jp/Vanguard/Hartsfierd/room1.htm
▲△▽▼
JBL ハーツフィールド
このスピーカーは本当に良く出来ています。ローエンドまで良く伸びていて、なおかつ反応が速いので、あらゆるジャンルの音楽が楽しめるオールラウンドプレーヤーです。大変完成度の高いスピーカーで、現代でもこれを超えるスピーカーは現れていないといっても良いかもしれません。
レコードプレーヤーはLP12、プリはJBL SG 520、パワーアンプがマランツの#9が4台。CDプレーヤーはシンプルにリンのCD12となっています。もちろん各機器の下にはローゼンクランツのインシュレーターが使われています。
JBL パラゴン
この美しいシルエットは不変のものです。'50代にはこうした素晴らしい作品が沢山生まれました。アメリカの黄金時代で、映画館のスクリーンで見るその豊かな生活ぶりや、ラジオから聞こえてくる魅力的な音楽に耳を傾けては将来を夢見たものでした。
プレーヤーLP12とプリアンプJBL SG 520は他のシステムと全く同じです。パワーアンプはKT-88プッシュプルのマッキントッシュの275でパラゴンをドライブします。
一部屋に2台のスピーカーセッティングは難しい
ハーツフィールドとパラゴン。この二つのスピーカーは大変マッチングの良い組み合わせです。普通は一部屋に2組のスピーカーをセッティングするのは困難を極めます。
しかし、コーナー型のハーツフィールドと部屋の中央に置くように作られているパラゴンですから、お互いがサウンドスクリーン効果を生み出すのでこの上なく相性が良いのです。
http://www.rosenkranz-jp.com/kaiser/Visitor_visit%20(Trip%20of%20audio%20clinic)/Visitor_visit%20(Trip%20of%20audio%20clinic)/20061221_sh.html
▲△▽▼
パラゴンとハーツフィールが名器で エヴェレスト が名器でない理由 12月 11th, 2010
名器と呼ぶにふさわしいオーディオ機器とは、いったいどういうものなのだろうか。 一流品、高級品と呼ばれるものが、名器とはかぎらない。 名器は一流品ではあっても、必ずしも高級品(高額品)ではない。
あれは名器だ、といったことを口にすることもあるし、耳にすることもある。 納得できるときもあれば、口に出して反論はしないまでも首を傾げたくなるときもある。 私が名器としているモノを、ある人はそうは受けとっていないかもしれないし、また反対のこともある。 そういうモノは、果して名器と呼べるのか。
「名器」ときいて、私がすぐに思い浮べるオーディオ機器は、すでに製造中止になったものばかりである。 でも、これは私だけのこと、とは思えず、「名器」ときいて、最新製品を思い浮べる人は少ないように思う。少なくともオーディオにおいての「名器」は、新製品として世に登場して、それからある長さの期間を経たモノではないだろうか。
この、ある長さの期間は、具体的に何年と決まっているわけではない。
たとえばタンノイのウェストミンスターは1982年に登場している。約30年が経ち、その間に、幾度かの改良が保護され、ウェストミンスター・ロイヤル/SEとなっている。 これは、もう名器と呼んでいい、と思いながらも、なぜか、私の中ではオートグラフは名器と素直に呼べても、ウェストミンスターに対しては、抵抗感とまではいえないけれども、素直に名器とは呼べないのはなぜかと、自分でも不思議に思っている。
ウェストミンスターに、とくに現行のウェストミンスター・ロイヤル/SEに、オートグラフと比較して云々、というケチをつけるところはない。
フロントショートホーンのつくりにしても、オートグラフは直線的なホーンだったのに対して、ウェストミンスターでは手間をかけて曲線に仕上げている。 搭載されているスピーカーユニットも、最初のウェストミンスターはフェライト磁石採用で、この点ですこしがっかりしたのが正直なところだが、タンノイもそのことは理解していたのか、現在のユニットは見事だと感心してしまう。
それにウェストミンスター・ロイヤル/SEは2006年登場とはいうものの、ポッと出の新製品ではなく、その時点で24年の月日を経てきている。オートグラフを名器と呼ぶのであれば、ウェストミンスター・ロイヤル/SEを、名器と呼ばない理由は思い浮ばない。
にも関わらず、こういうふうに書いていっても、ウェストミンスター・ロイヤル/SEは、私にとって名器として、いまのところ存在していない。ウェストミンスター・ロイヤル/SEを名器と思えないのは、なにもウェストミンスターが現行製品だから、というのが理由ではない。
JBLのパラゴンは、いまでは製造中止になってひさしいが、私がオーディオに関心をもちはじめたころ(1976年当時)は現行製品だった。 実物を見たのは数年後であったし、当時はパラゴンからは私が求めている音は出てこない、という思い込みもあったけれど、それでもパラゴンは名器である、と感じていた。
同じタンノイのスピーカーシステムなのに、オートグラフを名器として感じ、ウェストミンスターを名器とは思えない、
現行製品であってもパラゴンは名器と直感したのに、ウェストミンスターはそうではなかった。
誤解のないようにことわっておくが、ここであげている3つのスピーカーシステム(オートグラフ、ウェストミンスター、パラゴン)では、名器とは思えないウェストミンスター・ロイヤル/SEは完成度が高いところにあるといえるし、鳴らしていくうえでの、いわゆるクセの少なさもウェストミンスターである。
ウェストミンスター・ロイヤル/SEはよく出来たスピーカーシステムだ、と思う。
なのに、どうしてもウェストミンスターは、私にとって名器ではない。
オートグラフに感じられてウェストミンスターに感じられないもの、
パラゴンに感じられてウェストミンスターに感じられないもの、
つまりオートグラフとパラゴンに共通して感じられるもの、とはいったいなんなのか。
「スケール」だと思う。
昨年10月5日に四谷三丁目・喫茶茶会記で行った工業デザイナーの坂野博行さんとの、「オーディオのデザイン論」を語るために、の中で パラゴンの話になったときに坂野さんから出たキーワードが、この「スケール」である。
タンノイのオートグラフとウェストミンスターとのあいだに私が感じていることについては、違う方向から語るつもりでいたのだが、坂野さんのいわれた「スケール」を聞いて、 これほど簡潔に表現できるキーワードがあったことに気がついた。
ここでいう「スケール」とは、製品そのもののスケールという意味ではない。
製品そのもののスケールでいえば、オートグラフとウェストミンスターとほぼ同等か、むしろウェストミンスターのほうがスケールは大きいといえるところもある。
けれど、坂野さんが使われた意味での「スケール」では、私の解釈ではオートグラフのほうがスケールが大きい、ということになる。
坂野さんは、このとき、「スケール」についてパラゴンとの対比で同じJBLのハーツフィールドを例に挙げられた。
パラゴンとハーツフィールドは、どちらもJBLの家庭用スピーカーシステムとして、アメリカのいわば黄金時代を代表するモノ(名器)であるけれど、ハーツフィールドはモノーラル時代の、パラゴンはステレオ時代になって開発されたスピーカーシステムであり、どちらが見事とか、素晴らしい、とか、そういった比較をするようなものではないのだが、このふたつのスピーカーシステムを生み出した発想の「スケール」ということになると、パラゴンの方がハーツフィールドよりも大きい、ということになる(そう私は聞いていた)。
ハーツフィールドとパラゴンとでは、ハーツフィールドのほうが美しいスピーカーシステムだと思っていた時期があった。 いまも、このスピーカーが似合う部屋のコーナーに収められたときに醸し出される雰囲気には魅かれるものがある。
けれどパラゴンには、ステレオ用スピーカーシステムとして左右のスピーカーをひとつにまとめてしまうという、そういう意味での「スケール」の大きさがあり、これに関しては、モノーラル、ステレオという時代背景も関係していることは百も承知のうえで、ハーツフィールドには、仕方のないことだが、パラゴン的な「スケール」の大きさは乏しい、と思う。
この「スケール」がタンノイでは、逆転してモノーラル時代に生み出されたオートグラフに感じられ、ステレオ時代になってからのウェストミンスターには、ないとはいわないまでも稀薄になっている。
http://audiosharing.com/blog/?cat=98
上の記事で「スケール」を「風格」又は「品位」と読み換えるとなんとなく文意が伝わりますね。
▲△▽▼
JBL 現行のスピーカーシステム
https://jp.jbl.com/premium-speakers
JBL 歴代スピーカーユニット一覧
http://audio-heritage.jp/JBL/unit/index.html
http://audio-heritage.jp/JBL/unit/index2.html
JBL 歴代エンクロージャー-キャビネット一覧
http://audio-heritage.jp/JBL/unit/index3.html
JBL 歴代スピーカーシステム(民生用)一覧
http://audio-heritage.jp/JBL/speaker/index2.html
JBL 歴代スピーカーシステム(プロフェッショナルシリーズ)一覧
http://audio-heritage.jp/JBL/speaker/index.html
- JBL オリンパス レプリカ 中川隆 2020/11/18 17:48:53
(0)
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。