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(回答先: ブリティッシュ・サウンドとは何か? _ 安物スピーカー スペンドール BCII から奇跡の音が… 投稿者 中川隆 日時 2017 年 2 月 12 日 17:29:17)
ワーフェデール・スピーカーの世界
Club SUNVALLEY-私のオーディオ人生-第4回
小池レコード店のワーフェデール Super12/RS/DD(30pダブルコーン)
by Y下
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-004
私のオーディオ人生のコラムも今回で4回目になります。42〜3年前の記憶を紐解くと、どうしても小池レコード店の小池氏を抜きにしては語れません。今までのコラムとは時代が逆行しますがご理解ください。今回のコラムは小学生以下の駄文になって申し訳ありませんが当時を思い出しながら書いてみました。
名古屋国際ステレオコンサート
ステレオ(当時はオーディオでなくステレオと呼んでいた)に興味を抱き始めたのは、確か高校2年の頃と記憶しています。この当時は色んな場所でレコードコンサートが開かれていた。その中で毎月名古屋市中区の中区役所ホールで開かれていた名古屋国際ステレオコンサートだけが印象に残るレコードコンサートと記憶しています。曲目はジャズからクラッシックまでの名演奏家のレコードを解説付きで行なっていた。このレコードコンサートは大がかりなステレオ装置ではなく、ステージの上に左右のスピーカーを置いてレコードを聴かせてくれた。このレコードコンサートで一番印象に残ったのはリビング・ストリングスが演奏する引き潮である。このレコードは最後にかける定番でこの曲目に目を瞑って聴いているとあの波の音が生々しく聴こえてあたかも海辺にいるような錯覚に陥ってしまうぐらいリアルな音であった。これがステレオなのだ。こんなリアルな音は今までのコンサートでは聴いたことがないステレオは凄い!自宅で聴く松下の20cmのスピーカーとは全然違う。このコンサートの音は音が前に飛び出してくる。「俺もこんなステレオで音楽が聴けたら最高だろうな」と心で呟いた。いったいこのステレオ装置は何処のメーカー何だろう?コンサートが終了してステージの前に行ってみた。このコンサートを主催した年配の方と仲間らしき人と談笑しているのを横目でシステムを見てみた。見たこともないお粗末なプレーヤーと金色の色をした真空管アンプだけである。真空管アンプも何処のメーカーさえわからない、たったこれだけのシステムであの素晴らしい音が出るのは脅威にも思えたし興味も出てきた。スピーカーも30cmぐらいでこんな広いホールを鳴らしきるとは、凄いとしか言いようがない。しかも左右にスピーカーボックスを並べて低音から高音まで鳴るとは不思議でもあった。
小池レコード店
このコンサートの主催者は新栄にある小池レコード店を始めて知った、主催者の小池氏は「暇があったら店に遊びにいりゃ〜」と盛んにPRしていたのを覚えている。
名前
小池弘道
2000年3月に故人となり享年90歳
故人になられて小池レコード店は店を閉じる
住所
愛知県名古屋市中区新栄
小池レコードの思い出
皆さんも小池レコード店をご存知ある方もおられると思います。「あの店か、よく行ったことがある」とおっしゃられると思います。行かれた方はこれからお話する小池エピソードを読んで昔を懐かしんでください。コンサートで聴いたあの小池レコード店へ学校帰りに同級生と二人で冷やかしに行ったのが最初である。この店は一般的なレコード店とは違いレコードは店の前のみすぼらしいショーウィンドーに数枚のレコードが飾ってあるだけで現代のCDショップとはまったく違う異質な店であった。玄関のガラス戸を開けるとその奥に今で言う試聴室のような6畳の畳部屋があり、ここで小池氏の話を聞きながらレコードを買うのであるが、そう簡単には売ってくれない。まずは小池氏の話に同調しない限り門前払いとなる。
小池氏(親父)とお客の会話
店に通されると中に先客とおぼしき方と口論に近い話し方でレコードの違いを小池氏は力説しているのを聞くことができた、しかも名古屋弁丸出しの会話である。
親父
「あんたレコード何枚ぐらい持ってりゃ〜す」
お客
「LPが50枚だ」
親父
「ステレオは何を持っとんの?」
お客
「プレーヤーはOO製でアンプはOO社、スピーカーはOOの2Wayで音楽を聴いとるわ」
親父
「あんたの持っとるレコードとステレオは全部パーだわ」
お客は真っ赤な顔をして憮然とした態度である。それに輪をかけて小池氏の新幹線講座が始まる。
親父
「ええか、よぉ聞けよ、新幹線と東海道線は何が違う」
お客
「レールの幅も違うしスピードが違う」
親父
「あんたの持っとるレコードとステレオは東海道線だぎゃ、東海道線と新幹線とは違う、ええか、よぉ聞きゃ〜よ」
お客
「どこが違うんですか」
親父
「あんたの持っとる東海道線から新幹線のレコードを聴いたら、あんたの持っとるレコードもステレオも3分でパーだぎゃ、嘘だと思うならおみゃ〜さんのレコードをいっぺんかけてみょうか」
お客は自分の持参したレコードを1枚取り出して親父さんに渡した。レコード盤はペレス・プラードのLPである。小池の親父は鼻歌まじりでLPをジャケットから取り出してポンコツプレーヤーに乗せた。出てきた音楽は軽快なリズムに乗ったマンボの音楽である。音は中々良い音であまり不満を感じなかった。
親父
「今日来た学生さん達(私たちのこと)あんたらぁも、よぉ聞いときゃ〜よ、これが東海道線の音だぞ」
そう言いながら無造作に自分の手元にある輸入盤のレコードを取り出して、先程聴いていたペレスプラードのLPと小池の親父さんの輸入盤との聴き比べになった。輸入盤は同じラテンのLPでクレバノフ・ストリングスのマラゲーニャである。レコードに針を下ろしたとき、針音が国内盤とは違う音がする。親父さんはアンプのボリュームのツマミを回し始めた。出てきた音にびっくり仰天である。これがステレオなのか!トランペットとカスタネットがスピーカーの前から飛び出してくるではないか。しかも目の前で演奏しているような今まで聴いたことも無い音である。
親父
「これが新幹線の音だぎゃ、国内盤とは音が違うだろう、あんたが持ってりゃ〜たレコードもステレオもみんなパーだぎゃ、この音は生でも出えせん」
私
「生だとOOができるけど、この生はできないね、」
親父
「たわけ!学生のくせに何をトロイこと言っとる、おみゃ〜さん達みたいな勉強の出来ん奴はすぐにトロイことを考える、そんなことは大人になってから言うことだ」
お客
「今どきの学生さんは勉強よりそっちのことばかり考え取るのかねぇ」
親父
「ええか、おみゃ〜さんのとうちゃんは一生懸命働いて学校に授業料を払っているんだ、親孝行しょうと思ったら勉強せい」
この言葉に私は内心「うるせいジジィだ、何でこんなジジィに説教されないかんのだ」私は、今までこんな親父さん見たことも聞いたこともない変わった親父さんだと思えた。
お客
「輸入盤と国内盤の違いはわかった、たった今かけたレコードを売ってくれ」
親父
「このレコードは売らん、今度来た時に売るからそれまで頭を冷やして来ると、ええわ」
お客
「今度来るときには、このレコードを売ってくれよ」
今日、聴かされた音は今までに聴いたことも無い音である。小池レコード店のステレオは何処の製品を使っているのだろう、私はレコードよりこの装置に興味が益々募った。親父さんの話などうわの空である。一度ステレオ年鑑の雑誌を拝読して調べればすぐにわかる、しかし謎だらけの装置だ。親父さんには悪いが、レコードを買うふりして又この店に来よう、今度来るときは違う仲間を連れて行けば行きやすいはずだ。後日、学校帰りに違う仲間を連れて再度、小池レコード店へ直行した、玄関を開けると小池の親父さんはニコニコしながら「又おみゃ〜さんか、まぁ中に入りゃ〜」といつもの名古屋弁丸出しの口調である。小池の親父さんは開口一番に「ただで見る映画に感動するか?お金を払って見て初めて感動するのだ」完全に私の心を見透かした言葉だ。中に入ると今日も先客が一人いた、年齢は30代の方で小池レコードの輸入盤を何枚か購入されている感じで、もう買ったのかレコードを持っていた。私は小池レコードのシステムを穴が開くほどじっくり見た、ステレオ年鑑で見た写真を思い出しながらプレーヤーからチェックした。プレーヤーはガラードのオートチェンジャータイプでアンプはEL−34を使用したリークのポイント1、カートリッジは多分ピッカリングのように思えた。問題のスピーカーだがこのスピーカーは年鑑には載っていない。外観からするとワーフェデールの30cmのダブルコーンのような気がしたがよく似ている。私は親父さんに「親父さん、このスピーカーは何処のメーカーなの?」親父さんは「そんなこと聞かんでもええわ、こう言う音が聴きたかったらレコードを買わないかんわ」とはぐらかされてしまった。小池の親父さんは先客の人に「この前、わしの店で揃えたステレオはどうだ、わしのと同じ音がしているだろう」と先客と何やらヒソヒソ話を始めた。小池の親父さんは「スピーカーの裏蓋を絶対に開けてはいかん、開けると音が変わるから開けないように」と忠告していたのを耳にした。スピーカーの裏蓋を開けると音が変わるのだ、と思ったがよくよく考えたらスピーカーが何処のメーカーか分かってしまう、分かれば化けの皮がはがれる、よくもデタラメを言うものだ、このジジィは狸親父だ。後から聞いた話だけど、裏蓋を外して中のスピーカーを見たお客がいて大問題になったらしい、噂ではこのスピーカーは英国のOOとわかったけど、もう手に入らないスピーカーである、多分小池さんのスピーカーもここのメーカー製を使用しているのかも知れないがこれだけは最後まで謎であった。
その後、小池レコード店には4〜5回お邪魔してレコードを買ったが、確かに素晴らしい音で音楽を聴かせてくれた、輸入盤と国内盤とは音が違うのだけど、ステレオのレベルが上がるとその差は大きく開かなかった。エレボイの3Wayにしてから久しぶりに小池レコード店に足を運んで、小池さんの音を聴かせて頂いたが、高校生時代の感動はなかった。あの親父さんの人柄の良さと人情味に溢れるサッパリした性格、相手対しての思いやりは今でも心に残っている。
あれから30年以上の歳月が過ぎたある日、名古屋の小池弘道氏が亡くなられたと新聞で報道された、この記事を読んだ私は自分にとっては高校時代の良き思い出でもありステレオの出発点でもあった。
今回は名古屋弁の会話が沢山出て来ます、名古屋弁の方言を少し述べさせ頂きます。
おみゃ〜さん=お前さん
聴かんでもええわ=聴かなくてもよい
買わないかんわ=買わないと駄目
ええか=よいか
持ってりゃ、持ってりゃ〜す=持って来た、持ってるか
だぎゃ=だろう
タワケ=馬鹿
トロイなぁ=馬鹿だなぁ
遊びにいりゃ〜=遊びにおいで
よぉ〜聞きゃぁ〜よ=よく聞けよ
名古屋弁でお話される方は国会議員の河村氏がいます、あの方のお喋りの方言が名古屋弁で言葉の最後に語尾の上がった喋り方になります。
以前、映画で大ヒットしました(バック・ツゥ・ザ・フューチャー)を皆さんはご存知だと思います。この映画の主役でありますマーティーと博士がタイムマシンを使って過去未来と自由に行けるストーリーですね。もし可能であれば皆さんも私もオーディオは長い経験と実績を積んで音楽を聴いておられると存じます。例えば最初にオーディオ装置などを揃えて音楽を聴いていた頃の音は、どんな音だったのか誰もわからないですね。仮に現代の自分が過去の自分のシステムを聴きに行ったとしたら、どんな評価をされるのか、「あんまり良くない音だが自分の好みに合う感じだ」「よくもこんな音で音楽を聴いていられるな、ここを改善すれば良くなるのに」の2通りになるのかな?ただ本質的には現代の音とはがらりと変わらないような気がします。当時の音源はレコードとテープが主役でしたがCDに変わっても自分の感性は簡単には変わらないしスピーカーも過去のものと現代のものとでは極端に変わったとは思えませんから音の方向性は違うとは思えない。私も30数年前にオーディオをやめて再開しても同じような音のような気がしますけど、「あの頃、俺に良く似たおっさんが聴きに来たけど話が合う、しかも俺の装置のことは詳しい、この部分を改善するともっと良くなるよ」とアドバイスしてくれたけど、何であんなに俺の装置のこと詳しいのだろう。」しかもステレオの話しより俺の将来の人生観まで口説く言っていたのを覚えている、あのおっさんが言っていたなぁ「君は音楽に興味のない人と結婚したらきっと後で後悔する羽目になるぞ、小遣いをあまり貰えない鬼嫁だったら最悪だ、好きなステレオも自由に出来ない、今の俺がそうだからな」と怒りながら俺に忠告してくれたなぁ(未来から来た自分とは知らずに)
この文を俺の嫁さんが読んだらキレるだろうな、
オーディオこそ本音と建前の世界かも?オーディオ雑誌を読むと評論家の先生達は決まって試聴した機器をさもこれが最高と美化して評価する記事が沢山載っている。「OOのアンプは今まで聴いたことのない素晴らしいアンプである。」とか「このスピーカーは従来のスピーカーとは一線を隔てた良いスピーカー」とベタ誉め的な記事を読むと、評論家の先生達はよほど酷いシステムで聴いているのかと疑ってしまう。評価していただくのは大変結構であるが何と比較しての評価なのか?がついてくる、本当に良いのなら評論家の先生達もこの機器を導入して聴いているはずなのに誰一人として使用していないのは、本音は良くないと思える、本当に良いものなら自然と口コミやネットで広がるはずではないか、建前ばかりを書くからみんなが困惑する。建前で買わされたマニアこそ大きな被害者だ、オーディオ機器は安い買い物ではないから建前より本音が知りたいのだ。評論家の先生達はメーカーの手先と思えば、本音は言えないから建前でしか書けないかも知れないこれではオーディオも迷える羊になってしまう。 しかも評論家の先生が推薦した半導体アンプなどの製品は、良いはずなのに最後はガラクタか粗大ゴミになってしまう、そう思えてくるのは私だけではあるまい。評論家の先生方達よ、「悪い事は言わん!ここだけの話、俺だけに建前じゃなくて本音を教えてくれぇ〜」
キットで製作したアンプや自作で製作したアンプを完成させて最初の音出しは緊張感と不安がいっぱいである。果たしてどんな音が出てくるのか、アンプを製作した方全員がこの心境ではないだろうか。2台目の人でも10台目の人でもこの気持ちは一緒ではなかろうか、苦労して製作したアンプをスピーカーに接続して初めて音を聴く「う〜ん、中々良い音だな、前に製作したアンプとは多少違うけど、どっちが良いのかなぁ、今度の製作したアンプの方のが良いような気がするけど、」何回も聴き比べしてみると最後はどっちが良いのかわからない、皆さんも私と同じ気持ちではないでしょうか。迷いが出てくると頼みの綱が一人いる、それは自分の嫁さんしかいない、すぐに嫁さんを呼んで音を聴いて貰う、これはある夫婦の会話です。
主人
「今度作ったアンプだけど、前のアンプと比較してどっちが良いか聴いてみろ」
奥様
「そうね、今度のアンプの方のが聴きやすい感じがするからこっちのが良いね」
主人
「俺もそんな感じがするよ」
奥様
「そりゃ〜毎日音を聴かされていれば、すぐにわかる」
主人
「しかしお前は耳がいいなぁ〜、感心するよ」
奥様
「音は素人が聴くのが一番良くわかるからね」
主人
「そうだよなぁ〜お前は俺より耳がいい!音は素人に聴いて貰うのが一番だな、オーディオマニアは理屈ばかり言うから俺は嫌いだ、俺はお前を見直したぞ」
奥様
「音がわからなくなった時は私を呼んでちょうだい」
主人
「これからは師匠と呼ばせて貰うよ」
この夫婦の会話を聞けば良い音で鳴っていると思う
主人
「今度作ったアンプだけど、前のアンプと比較してどっちが良いか聴いてみろ」
奥様
「そうね、今度のアンプより前のアンプのが音が良いね」
主人
「そんな事はない、今度のアンプのが俺は良い音がすると思う」
奥様
「私は前のアンプの方のが音が良いよ」
主人
「お前は、せっかく苦労して作った、アンプの良さがわからんのか!」
奥様
「私は今のアンプより前のアンプの方のが良いと言っているのに」
主人
「お前は耳が悪い!せっかく作ったアンプにケチをつけるのか、素人のお前に音がわかってたまるか!」
奥様
「素人と言うのなら聴いてくれなんて頼むな!自分こそ音のことはわからないくせに」
主人
「何だとぉ、もう二度とお前なんかには頼まないわ」
奥様
「こちらこそお断りだわ、そんなものどっちが良いかは私には興味がない」
主人
「くっそー」
奥様
「音のことが、わからない奴はオーディオなんかするな!あんたの耳より私の耳のが良いに決まっている、何たって私の耳は地獄耳だからね」
主人
「お前の耳が地獄耳なら俺の耳はロバの耳だ!」????
(念のため、この夫婦の会話はY下ではありません)
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-004
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Club SUNVALLEY-私のオーディオ人生-第13回 by Y下
ワーフェデール Super12/RS/DD(30pダブルコーン)
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-013
第12回は私の愛用していますグッドマンとヴァイタボックスをご紹介させて頂きましたが音を文章にして公開するのは本当に難しい、今回はその続編になりますが私の試聴記はあまりあてにはならなかったと思われますが今回も珍しいユニットの試聴を兼ねたコラムですが退屈せずにお読みください。
なぜ?ヴィンテージスピーカーを選んだのか
オーディオを再開した頃は別にヴィンテージには拘りはなかった、完成品のスピーカーシステムは高く正直に言って私にはお金がないため買えないのが本音である、システムも無の状態からのスタートではスピーカーだけにコストをかける事はリスクを伴うしオーディオ雑誌の広告欄に目を通すと0が一つも二つも多いハイエンドスピーカーばかりが世を謳歌している、またオーディオにヴィンテージと言う言葉があるとは知らなかった、私の記憶を紐解くと国産ではパイオニア、コーラル、海外ではグッドマンやリチャードアレンの20p等のスピーカーを知って育った私には最新の聞いたことのないスピーカーはタイムスリップしたような感覚すら覚える。どうせやるならユニットを買ってボックスに収容して昔のやり方ですればコストも削減できる、
グッドマンスピーカーは当時は一世を風靡した有名なスピーカーで高校生の頃は憧れのスピーカーであった、ただそれだけの理由で英国のグッドマンのユニットを選んだ、それが巷で言うヴィンテージスピーカーとは知らず何の拘りもなかった、英国のグッドマンの音を聴き込んで行くと不思議と魅了された、それ以外の当時の英国のスピーカーにも不思議と興味を持つようになってきた、「古き良き昭和の時代」のサウンドを再現して楽しもう、できれば違うスピーカーも手に入れて自分だけの音で音楽を楽しめれば良いではないか、
ワーフェデールスピーカーの由来
ステレオに興味を持つようになった時、当時のオーディオ技術誌にワーフェデールの特集が写真入りで紹介してあった、このスピーカーはイギリスの片田舎にワーフェ村とデール村がありこの名前を取ってワーフェデールになったと説明してあり当時の写真におばちゃんが手作りでスピーカーユニットを組み立てているのが載っていたのを記憶の片隅にある。
小池レコード店のスピーカー
Y下のコラムに第4回に小池レコード店のエピソードを書かせていただきました、中部地区では大変ユニークなレコード店でしたがそこで聴く音は確かに一般的なサウンドとはかけ離れた音でもあった、またコラムでも小池レコード店のスピーカーは謎であると書きましたが事実色んなマニアに聞いてもわからないの答えが返ってくる、小池レコードのスピーカーとは?
このワーフェデールスピーカーユニットをゆずって頂いた西山氏も小池レコード店に通った一人で「ヴィンテージスピーカーのことなら俺に聞け!」と言える豊富な知識を持ち合わせた私よりレベルの高い先輩でワーフェデールのユニットも沢山お持ちで私の愛用しているステントリアンも持っているヴィンテージスピーカーのご本尊です。
今回写真もお借りしてご紹介しますこのユニットが小池レコード店で聴かされたスピーカーユニットで英国のワーフェデール製、ユニット名はSuper12/RS/DD(30pダブルコーン)です。このスピーカーこそ謎であった小池レコード店が使っていたスピーカーである。(小池レコード店のタイプはこれのアルニコ版)
ワーフェデールSuper12/RS/DD
このスピーカーはダブルコーンのタイプでボイスコイルにアルミリボン線を採用した当時としては珍しいスピーカーで周波数特性も30HZ〜18000HZまでこれ1本でカバーします。エッジは布製のロールエッジタイプで非常に敏感なユニットでもある、ワーフェデールは私にとっては懐かしいスピーカーの一つでもあり今回分けて頂いたユニットは1966年製の貴重なユニットでコーン紙はほとんど新品同様で40年以上も経過したこんなワーフェデールスピーカーがあるのかと思えるぐらいの素晴らしい保存状態の良いユニットです。
グリーンのフェルトが鮮やかなスピーカーで実装して音を聴くより見て楽しみたいスピーカーだ、
マグネットはフェライトタイプですが17000LINESの超強力マグネットを使っている。フレームはワーフェデールの独特な構造のアルミダイキャスト製を採用、重量は1本が約6kgもある。
正面から見たSuper12/RS/DDです。中心部にサブコーンのあるダブルコーンタイプのスピーカーでこれに良く似たスピーカーはグッドマンのAXIOM−301になりますが音色、音質とも鳴り方も響きも異なります。
ワーフェデールの音
ユニットをタンノイのGRFタイプのフィンランドバーチで製作したボックスにこのユニットの取り付けることになった、このスピーカーはネットワークやアッティネーターも要らないから気分的に楽で鼻歌まじりの取り付けであるが一抹の不安があるとすればユニットの補正がきかないから手の施しようもない、どうせ上手くならなければ「何とかなるさ」の考えでタカをくくっていた、心の中で「ダブルコーンのスピーカーは全体的に無理があり2Way、3Wayのスピーカーシステムのが音は良い」これはオーディオの世界では定説であるが今持っているコアキシャルや3Wayのグッドマンより良い音がする道理がないし期待すること自体間違っている、
最初に出てきた音
ワーフェデールスピーカーをRチャンネル側のみ実装して音出しになった、(使用アンプは店主日記でも紹介されたPP5−400)Lチャンネル側はヴァイタボックスDU−120である。最初はヴァイタボックスのみをマイスキーのバッハの無伴奏のチェロで試聴、中々渋い音で心地よく聴こえてくる「さすがにヴァイタだけあって落ち着いた響きだ」音のバランスはピラミッドバランスであまり不満もなく悪くもない、
自分でうなずきながらプリアンプのバランスコントロールをR側に回して再度同じトラックをスタートさせた、出てきた音はダブルコーンとは思えない繊細かつ定位の良い渋い響きである。欲を言えばもう少し低域が丸まったふくよかな品位の高い音と豊かな響きを期待したのだがボックスの容積が小さいのでこのような音になるのか、ヴァイタボックスに比べて多少甲高な音になっている、スピーカーは適当にボックスに取り付けて即良い音を期待するのが間違いでもっと追い込む必要がある。勿論ユニットが古いので時間をかけてエージングをしないと本来の良さが出てこない、このスピーカーに関してはアンプのDF値が高いとスピーカーが追従できないのではないか、また手元にある米松合板とフィンランドバーチの違いもテストしてみたい、西山氏は400リットルぐらいの容積のあるスピーカーボックスだと低域が豊かになるのではないかとアドバイスして頂いた、
再度挑戦
ワーフェデールを使いこなすには私なりに考えた、
1.
グッドマンのボックスのウーファを外してワーフェデールに交換して見る
2.
PP5−400のシングルアンプのDF値を下げてテストしてみる。
※ワーフェデールは振動板が敏感であるのでDF値が高いと追従できない
3.
吸音材をもう少し多めに投入するか少なくするかは聴きながら補正してみる。
フルレンジスピーカーを侮るな!
早速、西山氏のアドバイスで作業に取り掛かり期待と不安で手直し完了になり音出しを待った、いつも聴くマイスキーのバッハの無伴奏チェロからの試聴になった、ボリュームをいつものポジションに合わせて全神経をスピーカーに集中した、
出てきた音は今まで聴いたことのない素晴らしいの一言、マイスキーが眼前で演奏をしているような錯覚に捉われ臨場感あふれるサウンドで音楽のシャワーが部屋全体を包み込む響きである、次にかけたバッハのゴールドベルグ変奏曲のピアノ盤はピアノの音色、響きは感動もので演奏者の指先の動きまで伝わってくる。「アンプも楽器ならスピーカーも楽器だ」と叫んだ!私が持っている3つの英国スピーカーも個性があるがこのワーフェデールは特別な存在になりつつあり残り3つのスピーカーも自分の子供のように愛着があるから手放せない、
じっくり聴いて行くとこの音は何処かで聴いたことのあるサウンドだ、そうだ!思い出したぞ、この音は昔高校生のころ通った小池レコード店で良く聴かされた音だ、「小池レコードのスピーカーはこれだったのか」西山氏にこの件を問いかけると「小池さんのスピーカーはワーフェデールですよ」と教えてくれた、たった30センチのダブルコーンのフルレンジが下手な2Way,3Wayスピーカーに負けないぐらい凄い浸透力で鳴るとは、このワーフェデールを一言で言えば「琥珀色のサウンド」という形容詞がピッタリ当てはまる。それだけ素晴らしいユニットだ、
難しいスピーカーこそ挑戦のしがいがある。
スピーカーは自分が使えないからお蔵入りでは可哀そうだ、上手く鳴らないからと言って駄目スピーカーと烙印を押してしまうのは簡単だ、スピーカーは奥が深いし良いスピーカーこそ鳴らすのが非常に難しいと痛感した、まだまだ問題は山積みであるが時間をかけて解決するしかない、ワーフェデールSuper12RS/DD,グッドマンのAXIOM−80、タンノイのスピーカーも難しさにかけては天下逸品で自分の技量を棚に上げて簡単にこれは駄目だと決めつけるのは考えものである。
良いユニットを上手く鳴らせばスピーカー同士の優劣はない、また価格が安いからと言ってそのスピーカーを見下すのは如何なものか、価格でそのスピーカーの価値観は決まらない、自分の好みに合えば価格など問題ではない、スピーカーこそ上手くならないから挑戦のしがいがあるのではないだろうか、理屈はそうだが正直に言ってスピーカーは神経衰弱になる。心の中で「もうスピーカーは買わんぞ!」と呟いた、このコラムを読む方なら「もうスピーカーの浮気は止めろ!」と聞こえてきそうだ、
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-013
▲△▽▼
Club SUNVALLEY-私のオーディオ人生-第21回 by Y下
ワーフェデール Super8−RS/DD (20pダブルコーン)
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-021
ご無沙汰しております。第21回はハイテクカートリッジ対一世を風靡した老兵カートリッジの試聴になります。現代のハイテクカートリッジはずば抜けて凄いのかそれとも1960、70年代の兵(つわもの)カートリッジが良いのか独断と偏見で自分なりに答えを出したいと思っている。
今回の表題は「老兵は死なず、ただ消え去るのみ?」ですがオーディオ機器に関しては消え去るのみにはならない、「復活あるのみ」第21回はコラムでご紹介しましたシステムを一部変更しての試聴になりますが個人的に判断する以上どうしても偏った答えになってしまうのと使用する機器によっては逆の結果が出る場合もあります。その辺を弁えて拝読して下さい。
MCカートリッジは昇圧トランスが決め手だ!
以前のコラムに良い昇圧トランスがなければMCはやらないと書きましたが今回入手したトランスは私が聴いた限りでは三本の指に入る最高音質のトランスの一つです。
ある雑誌の高名な先生がカートリッジはスピーカーユニットであり昇圧トランスはエンクロージャーと例えを言っていましたが私も同感です。いくら巷で良いカートリッジ(スピーカーユニット)でもお粗末な昇圧トランス(エンクロージャー)では本当の良さと魅力を十二分に引き出すことができない、
今迄沢山の昇圧トランスを試聴してきましたがはっきり言って名前は伏せるがオリジナルと称するトランスや名ばかりの価格だけ高価なトランス類にはこれは良いと思えるトランスには一度もお目にかかったことがない、
答えは簡単である。国産のトランスの場合は昇圧トランスのコア材はすべて国内で生産された同じような製鉄工場で作られ似たような材質のコアを使っているだけ、外観こそ違い中身は皆同じような代物だ、有名なMCカートリッジのオリジナル昇圧トランスも見栄えこそ良いがヨーロッパ、アメリカのトランスではなく所詮国産トランスであるからどれも似たような音である。
ではどこのトランスが良いかこれは好みの世界になりますが私が試聴した限りでは「ウェスタンエレクトリックではWE−618B」「トライアッドトランス」「UTCトランス」この三つがベスト3だ、この3つのトランスを試聴しますとアナログの世界が激変するぐらい変わるのには驚く、ウェスタン、トライアッド、UTC、はともに業務用、軍事用トランスですからバラツキは少なく一般市販されているオーディオ用のMCトランスとは比較にならない高品質、高音質なトランスになる。
今回入手したUTCトランスはアメリカ陸軍の通信用マイクトランスになります。多分有事の際に戦場での交信に使われたのではないかと思われるが戦闘中に交信している最中に上手く伝わらなくなれば生死に係わる。
※ウェスタンのWE−618Bもマイクトランスになりますが何でもWEなら良いと思うのは考えものだ、
※ウェスタンの製品は初期のタイプは自社で作られていたがそれ以降の製品はOEMで他社での製造になる。ウェスタンのトランスの場合はトライアッドにOEMで作らせていたのだがここのトランスも優秀である。
UTCのトランスは大変信頼のおけるトランスでコアは多分パーマロイと思うが一部のアナログマニアの間では大変好評で高く取引されている。昇圧トランスに関してはコアが大きいほど低域の量感が増え安定感のある音になる。もしUTC、WE,トライアッドのトランスが手に入るようなら騙されたと思って手に入れて下さい。期待は裏切らないと思う、
※入手したUTCトランスは自分でケーシングして使用しています。
使用プレーヤー
前回ヤマハのGTシリーズを使用したプレーヤーでしたが今回はプレーヤーケースから自作で製作しました。プレーヤーのケース台はホームセンターで購入した合板を寸法通りにカットして頂いて自分で組立ました。塗装はピアノブラック仕上げを採用、時間をかけて塗装をしてから最後はウレタン仕上げしました。プレーヤーケース蓋は透明アクリルの5mmを使い45度で止まる市販のヒンジを取り付け完成しましたが素人の作りでも自分では満足している。
使用アームは前々回のコラムで飾り用のGRACE、G−565Fで実行長285mmのロングアームになります。昔は有名なSMEの3012を使った経緯がありますがあのアームは私が使用した限り「ちょうちんフグの錘」をぶら下げた遊び心はあるのですがパイプ共振があるためなのかガタがあるのか多少金属的な冷たい音が出ていた記憶を覚えています。確かSME−3012とマイクロトラックのウッドアーム304の二つをダブルアームのセットで聴き比べした時のその差に愕然とした、翌日SMEの3012はお払い箱、子供騙しのような作りは今でこそ興味がない、
ヤマハのGTシリーズ、パイオニアのトンアームでPA−70を使ったタイプと今回自作したプレーヤーと聞き比べしますとGRACEのアームのためなのか苦労をして組立たせいなのか音のグレードがアップしたような気がします。
自作のプレーヤーでケースは集成材を使いピアノブラック塗装での仕上げになります。アームは有名なGRACEのG−565Fアームリフター付きでアーム台は自作で仕上げました材料は3mmの真鍮製になります。
写真では判りにくいですが5mm厚の透明アクリルカバーを付けました、アクリルカバーを付けないと遊びに来た孫に触られる恐れがある。また本体の前面、左右は真鍮のパネルを取り付けましたが何となく黒と金は仏壇のイメージになってしまった。
試聴用スピーカー
スピーカーは最近購入しましたワーフェデールのSuper8−RS/DDで20pのダブルコーンタイプの一発での試聴になります。以前のコラムでワーフェデール社の30pの同シリーズを紹介しましたがボックスの容積不足と技量のなさのため最終的に失敗、その後「あのスピーカーユニットは三下り半」で追い出したが購入された方が鳴らしているのを聴いたが鳴らし方が悪いのかひどい惨めな音であったがこのユニットに対しての未練はない、
今回は20pタイプですがボックスの容積は250リッターと十分すぎるぐらいあります。20pクラスのフルレンジならボックスの容積は70〜80リッターあれば十分ですがあえて初挑戦!ユニット実装後低域の量感が出過ぎのため吸音材の量やバスレフダクトの調整に苦労をしました、またユニットを長い時間エージングをしたお陰で期待した通りで20pとは思えないスケール感、緻密さ品位の高さはオーディオの概念を変えるぐらい見事に鳴り出したのは驚異だ、3WAY,4WAY等のクロスオーバーの繋がりの不自然さ、定位、バランス、音像全てにおいてフルレンジのがベターである。
マルチでやっているハイエンド・マニアは馬鹿にするがスピーカーは20pで十分である。大橋氏が日記で書かれているようにスピーカーは「20pで始まり20pで終わる。」この名言は自作でスピーカーの苦労をしてきたマニアなら理解できるのでは、私もその通りだと思う、
今回のカートリッジ鳴き比べ使用機器
デノン
DL−S1
サテン
M8−45
SMEオルトフォン
オーディオテクニカ
AT−1
B&O
SP−12
ソノボックス
SX−2
以上の6個を使って比較試聴しました、
アンプは マランツ#7 SV−91B、Y下バージョン
使用レコード
ヤン・ラングレンのジャズレコードでピアノの音が素晴らしくしかも奥行き感を伴ったアナログの最高録音
珍しいヨー・ヨー・マのバッハの無伴奏チェロ、この音を聴きますとデジタルCDでは出ないアナログ独特な温かみと深みのある音に感動すら覚える。
独断と偏見の鳴き比べ
中学生のころに読んだ当時の雑誌の鳴き比べでほぼ互角は本当なのだろうか?不安と期待で鳴き比べて見た、まずはAT−1をヤン・ラングレンのレコードを使っての試聴だ、AT−1の音を聴くとやはり中域の厚みのある腰の強い鳴り方でヤン・ラングレンのピアノの響きとベースのはじく音が大変心地よく大人のジャズといった雰囲気が良く出ている。このカートリッジだけで聴いていると不満はまったくなく合格点を上げたくなるMMカートリッジだ、次にSMEオルトフォンに交換してUTCトランスを介しての試聴である。出てきた音はAT−1とは違いピアノのフェルト感が見事に再生された、音質、音色、音の躍動感と音楽性においてすべてオルトフォンに分があった、特に差が出たのはヨー・ヨー・マのバッハ無伴奏チェロだ、オルトフォンでしか聴けない奥行き感を伴った鳴り方は文句なしだ、このように比較するとあの当時の雑誌の批評は疑わしく騙された印象は免れないが冷静に考えると当時使用された昇圧トランスのレベルが低くかったのかそれともあの音の悪いトランス内蔵のSPU−GTタイプを使用したのかわからないがレベルの低いトランスでMCカートリッジを聴いてもその良さが感じ取れない、
同じMCカートリッジでともに伝統のあるメーカーでありアナログマニアの間ではカートリッジと言えばSPUかDL−103ではなかろうか、今回はDL−103よりグレードの高いDL−S1を使ってヤン・ラングレンのジャズピアノの試聴の開始になった、出てきた音はずばりレコードの溝の全てを拾い上げる広告に偽りなしのカートリッジで価格も高いが出てきた音もそれなりにグッドだ、ただオルトフォンと比較すると残念ながら低域、中域のねばりはなくどちらかと言えばDL−103をグレードアップしたような鳴り方で現代的な音になっているが個人の主観としてはもう少し味付けのある個性があれば面白いのと多少CDを意識した音作りにも聞こえるが買っても損はしないと思う。
オルトフォンは伝統のある腰の据わった鳴り方でじっくり聴いていると「シェル鳴き」を伴って聞こえるがこの「シェル鳴き」がオルトフォンの欠点でもあり利点でもあるのかも知れない。オルトフォンのSPUはGシェル、Aシェルに装着して聞くのがベストでこれを別のシェルに変えるとオルトフォンSPU本来の良さが後退する。今回使ったSMEオルトフォンはその昔ヤマハの店員から個人的に分けて頂いた古いタイプである。最近の新しいオルトフォンSPUは残念ながらその持ち味の良さが失われているのかオルトフォン愛好家は旧タイプを大切に使っている気持ちがわかる。針はそう簡単には減らないかわりにカンチレバー等の損傷には特に注意すべきだ、
オルトフォンもDENONも大変良いカートリッジだが何となくトランスの良さが前面に出てきているような気がする。
SMEオルトフォン、1971年ごろ日本楽器の店員からわけてくれた非常に珍しいSMEオルトフォンカートリッジ、
デンマークのB&OカートリッジでMMらしからぬ素晴らしい音楽を聴かせてくれた、
1965年発売のSATIN,M8−45Eカートリッジで当時の販売価格はオルトフォンより高い32,000円
前回のコラムでご紹介したオーディオテクニカのまぼろしのカートリッジAT−1
DENONのフラグシップモデルDL−S1カートリッジ、6N銅と純金による複合極細線発電コイル採用のハイテクカートリッジ
同じMC同士の鳴き比べであるが先のオルトフォンとDENONの対決は私の好みとしてはオルトフォンに軍配が上がったが次に比較試聴するのは伝説のカートリッジメーカーのSATIN,M8−45Eになります。このカートリッジは1965年発売の大変高価なカートリッジでほとんど巷には出てこないのではないか、早速DL−S1との鳴き比べである。針をレコードに下ろした時点で針音が違うのがわかる。このM8−45Eもオルトフォン同様低域の厚みのある量感とテンションの高さがあります。大変音楽性に優れたカートリッジで聴いているだけで楽しくなります。このカートリッジは間接音で聴くタンノイのスピーカーとは相性があるような気がする。サテン音響でのリファレンススピーカーはタンノイを使って試聴を繰り返していたのではないだろうか、オルトフォンやサテンに代表される当時のヴィンテージカートリッジの音作りは女性に例えるなら日本女性の「ズングリムックリ」の多産型の健康体系でDL−S1や最近のハイテクカートリッジはスレンダーなモデルのような美人に当てはまるのではないか、私はどちらも好みになりますが皆さんは?
DL−S1,オルトフォンとサテンの比較試聴ではサテンに軍配が上がる。その違いはSATIN,M8−45Eはオルトフォンの中高域の切れ込みがプラスされ歪感が少なく爽やかな響きになる。最高点を叩きだしたのはサテンM8−45Eだが出力インピーダンスの違いも有因しているかも・・・
※サテンのM8−45Eの出力電圧は1mmVしかないのでUTCのトランスを介しての試聴結果になりました。
最後はMMカートリッジのSONOVOXのSX−2とデンマークのB&O社のSP−12(MI型)の三つの比較試聴になります。DL−S1とSX−2を聴き比べしますとSX−2はヴィンテージカートリッジの共通点である中域の密度のある鳴り方ですがDL−S1には一歩及ばない、B&OのSP−12はロケットのような外観ですがDL−S1を含めた国産のカートリッジにはない今迄聴いた事のないヨーロッパの上流階級の貴婦人的な優しい鳴り方、クラシックには合うがジャズだと品が良すぎて物足りない、同じデンマークのオルトフォンとは系統がだいぶ異なり大変面白いカートリッジで外観こそ気に入らないが手元に置いておきたいカートリッジの一つです。
カートリッジの聴き比べ最後に
今回は6個のカートリッジの聴き比べでしたが私個人としてはMCならSATIN音響のM8−45E、MMならB&OのSP−12が良かったのですがシステムの構成が違えば評価は逆になる場合があります。また使用するアンプやスピーカーとの相性、使用する音源の差もありこれが絶対とは言い切れないのがオーディオの面白さがあるのではないだろうか、また古き良きステレオと呼ばれていた時代のカートリッジが現代でも立派に通用するのは凄いと思う。
カートリッジの鳴き比べは自分がセットして自分だけが聴くのではなく仲間にセッティングして頂いて聴くやり方のがその違いは良く分かる。自分でセッティングしていると前の音を忘れてしまう恐れがあるから聴き比べは一人より沢山の方が居合わせて聴いて頂きたい、これはカートリッジだけでなくアンプ、スピーカーにも言えるから比較試聴の場合は是非このような聴き方をお薦めします。
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-021
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Club SUNVALLEY-私のオーディオ人生-第22回 by Y下
ワーフェデール Super8−RS/DD (20pダブルコーン)
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-022
今回のコラムは私が最近購入した英国の名門スピーカーで20pダブルコーンスピーカーWharfedaleのSuper8−RS/DDをご紹介します。
フルレンジスピーカーの楽しみ
このユニットは私が高校生の頃名古屋にあったヤマハのオーディオ売り場で見かた懐かしいユニットの一つです。私の記憶では20pのSuper8−RS/DD、GOODMANSのAXIOM−80は共にアルニコの赤いマグネットが実装された大変魅力的なユニットでウィンドーケースの中に展示してあったのを覚えている。
当時のマニアはスピーカーと言えばユニット単体だけ購入してボックスを作って楽しんだ方も多いはず、スピーカーの原点はロク半もしくは8インチクラスのフルレンジユニットからスタートして最終的には4Way,5Wayのマルチに発展していくがそれでも悩みは尽きないと思う、
最近のオーディオは20pクラスのスピーカーが脚光を浴びていると聞く、SUNVALLEY AUDIOさんも20pのフルレンジスピーカーでパンケーキが発売されますがマニアなら絶対買うべき、外観を見ただけでも良い音が出そうな雰囲気を持っている魅力たっぷりなスピーカーだ、
オーディオの楽しみ方は人それぞれだが今回はイギリスのティストを感じさせるヴィンテージスピーカー、WharfedaleのSuper8−RS/DDの悲喜交々のプレゼンテーションです。
無理が通れば道理が引っ込む
前回にも書きましたが大橋氏が店主日記で「スピーカーは20pで始まって20pで終わる。これはスピーカーで苦労されたことがあるマニアであれば十分理解出来る。本格派のマニアのシステムを沢山聴くことがありますが装置が大掛かりになればなるほど悩みとお金が増えて行く、音楽をじっくりと心ゆくまで味あうのであればやはり究極のスピーカーは原点に戻って20pクラスのフルレンジに止めを刺す。このクラスになると奥が深く音に対しての「ワビ・さび」の世界、いかに上手く鳴らすかがその人の感性と技量と耳が問われるのではないだろうか、
今迄30pクラスのコアキシャルや3WAYのスピーカーユニットで楽しんできたが20pクラスこそ一番バランスのとれた音になるはずです。
一般論として狭い部屋の場合は20pサイズしか置けないと思うがバランスを考えたらこれで十分、大きな部屋があれば大掛かりなスピーカーシステムをメインで聴いているはずでそのような方は20pクラスの場合はセカンドスピーカー的な使い方になって部屋の片隅に置かれて時々聴く程度になってしまう、
そこで一つのアイデアが浮かんだ、20pクラスのフルレンジユニットは50〜70リッターぐらいのボックスで鳴らすのが普通だが250リッタークラスの大型のフロアータイプに実装してみたらどんな音になるのか、ひょっとして20pとは思えない30pクラスの重低音が出てきて体全体を包み込むようなスケール感のある鳴り方になるのか、オーディオこそやってみないと結果が生まれない世界、今回はオーディオの定説や概念を捻じ曲げて「無理が通れば道理が引っ込む」の考えを元に阿呆な発想と実験を兼ねたここだけの話、
おいらの偽タンノイ
まずはスピーカーシステムの見て下さい。一瞬タンノイのGRFのように見える外観だが中身はタンノイではなくWharfedaleの20pダブルコーンを実装した偽タンノイです。ボックスの材質は高級なフィンランドバーチの採用とウォールナットのツキ板仕様、ボックスの大きさから見るとユニットは小さく見えるが「山椒は小粒でピリッと辛い」がピッタリな感じである。
タンノイのコーナータイプのデザインは素晴らしい!音が悪くても部屋のインテリアとしては最高である。
ネットを外すと20pのワーフェデールのフルレンジが小さく見えますがスピーカーはこのクラスで十分で今はこれが私のメインスピーカーになった
英国伝統のダブルコーンでセンターにアルミの振動板を使ったメカニカル2Wayと思われる。高域の分割振動を抑えるためサブコーンの周りにスポンジが取り付けてあり緑色のフェルトが美しい、こんな20pのスピーカーでも重低音が出て来るとはびっくりである。
私は外観がタンノイ風だからタンノイと偽って人を騙す悪趣味的なタイプではない、またオーディオの教授や師匠、先生、先輩と呼ばれるお偉い方には足元にもおよばない低レベルのオーディオ苦労人である。
自分が欲しい音をつまり「心地よい大人のサウンド」を出したいそれだけを追求している貧乏マニア、残念ながらお金がないからメーカー製の高価なものは何一つ買えずプレーヤー、真空管アンプ、スピーカーまですべて手作りになってしまう、「これがY下だけのサウンドだ!凄いだろう」とは間違っても言えないし思ってもいない、
失敗は成功のもと
昔から言われている格言に「失敗は成功のもと」以前のコラムで紹介したワーフェデールSuper12/RS−DDは私の技量の無さで売り払って大正解、他で平面バッフルに実装して聴いたが自分が失敗した時よりも鳴らし方を知らないから気の毒な音であった、
今度のユニットは死に気で鳴らさなくては気が済まない、上手く鳴らなければスピーカーの趣味はTHE・ENDにするつもりだ、不思議なものでスピーカーユニットを実装して良い音が出て手放しで喜んでいても時間の経過と共に気になる部分が見え隠れしてくる。此処まで来てしまうとオーディオは泥沼なのか底なし沼なのか、もがいてものめり込んで抜け出せなくなってくる。
その点、有名なメーカーの既製品の完成されたスピーカーシステムだと失敗するリスクは極めて少なく鳴って当たり前だが完成スピーカーはメーカーお仕着せのサウンドになって面白みに欠けるのとユニット交換等の改造ができない遊び心がないのが不満である。
話を戻そう、失敗に終わった理由は低域の量感はあるが中低域のふくよかさが出てこない、原因はボックスの内容積、吸音材の量と材質、バスレフポートの開口面積とポートの長さなどが考えられるが内容積は約400リッターもあるからこの部分では問題なさそうだ、次に考えられるのはバスレフの開口面積が足らなかったのではないかと思っても今となってはユニットがないから後の祭り、今回はバスレフの開口面積を可変しながら調整すれば成功間違いなしと構想が浮かんだがフルレンジスピーカーを上手く鳴らせるには相当な耳のレベルとテクニックが必要で難しいのが先に来る。
今迄の経験でヴィンテージスピーカーを上手く調教するには響きの良いボックスを使って箱鳴りを上手く伴って鳴らす方法が良いみたい、
フロアータイプでの音出し
サブバッフルにユニットを実装して音出しを開始、出てきた音は低域が誇張されて付帯音が付いて回る。これを一言で言うなら「ドンシャリ」だがこれはバスレフの開口面積が大きすぎる原因だ、早速バスレフの開口部に週刊誌を少しづつ入れて耳で聴きながら調整すると音はどんどん変化してくるのがわかる。手元にある週刊誌で皆さんが愛読されている(週刊実話)を5冊重ねると使った週刊誌が良いのか素晴らしいピラミッドバランスに変身したのだが、まだダブルコーン特有の高域の暴れとタイトな硬さが少しあるのが気になる。これを押さえ込まない限り不満は解消されない、ツィーターを付けて2Wayにすれば簡単に解決するがそれではフルレンジのメリットが無くなる。この問題を解決された大分県別府市に在住するお互いオーディオの苦労人でメル友のS迫氏にアドバイスをお願いしたら「高域の暴れは吸音材で解決できる。吸音材は羽毛ふとんの中身を使うと効果あり」と教えを頂き早速羽毛ふとんの中身を抜いて木綿の袋に入れて実行に移したらこれが大正解、見事に高域の暴れが取れタイトな音も解消、有り難いアドバイスに感謝している。
Wharfedale音
アンプは私の愛用しているマランツ#7、メインアンプは英国の直熱三極管でマニアの間で名球と言われているPP5−400シングルアンプを使用、音源はいつも試聴で使っているデジタルCDでアンヌ・ケフェレックのピアノでバッハの小品集とマイスキーのバッハ無伴奏チェロ、冨田勲の源氏物語交響絵巻の3枚を使用、
ケフェレックのピアノ曲の音はエンクロージャーのせいなのか20pとは思えない低域の量感とスケール感としっとり感が見事に出ているのにはびっくり、また源氏物語の冒頭の奥の方から音が展開して聞こえてくる明珍火箸の音や琵琶の音色はアナログレコードでは再現できない細かいニュアンスが十分聴き取れる。
マイスキーのバッハのチェロも音像が大きくならず小ホールの特等席で聴いているようなホールトーンの効いた奥行き感のある鳴り方は大変グッドである
アナログレコードの場合は過去の演奏家ばかりで新鮮味に欠けるのと録音の良し悪しが多すぎる。高いオリジナル盤なら音が良いと言うが1枚が5万円とか10万円で流通されていると聞くがそこまでアナログにはまる気は無い、こんな大金があれば私はオーディオに投資する。
アナログ派は頭からCDは音が悪いと決めつけデジタルCD嫌いの方が沢山いますがそのような方に限ってアナログ機器には莫大な費用をかけるがCDPやD/A関連はお粗末な方が多い、上手く鳴らせばCDもアナログレコードと互角かそれ以上に良い音で鳴るからあえて私はアナログオンリーにならない、
スーパーマニアの評価
私の友人で究極のオールウェスタンとウェストレックスのアンプで楽しんでおられる石川県の小松市に住むスーパーマニアの中さんが久しぶりに名古屋に来られて早速このスピーカーを厳しいウェスタンの耳で評価をして頂いた、
中さん曰く「20pのダブルコーンとは思えない豊な響きと枯れた音色が魅力的だ、特にピアノと声楽が素晴らしく他のスピーカーではこの音は出ない、同じイギリスのタンノイとは音色的な傾向と出音は随分違うけどこれこそが紛れもない英国サウンドの音ではないだろうか」また「自分が使っているウェスタンに近い音色を持ち合わせているから今後はワーフェデールを見習ってウェスタンも同じようにしっとりとした(いぶし銀)のサウンドを出したい」とウェスタンレベルの目線で評価して頂いたがやはり当時のワーフェデールもHMV蓄音機やロンドンウェスタンの流れを汲む音色の一端が見え隠れするような気がする。今回の実験は恥ずかしながら100%とまでは行かなかったが多分80%ぐらい成功したと思っていますがスピーカーユニットとボックスの(DNA)が一致するまでは時間がかかりそうだ、
スピーカーに関しては今迄色んな英国ヴィンテージスピーカーを購入して聴いてきましたが現代のハーベスやスペンドール等の同じ英国スピーカーのブックシェルフタイプはどちらかと言えばフロアータイプと比べるとこじんまり纏めた鳴り方で能率も低く個性のない無色透明なスタジオのモニター的な音が特徴ですが同じ英国のヴィンテージスピーカーは一応に能率が高くメーカーのサウンドポリシーが前面に出て個性が主張されているのが面白い、
たかが20pされど20p
今回は特に手こずった、たかが20pされど20p、ユニットの取り付け方、大きなバッフル板を外して吸音材の交換、サブバッフルの加工とバスレフの調整、内部配線材の交換などで大変体力と神経を消耗したが巷の名器と言われるユニットはボックスにポンと入れただけでは良い音で鳴ってくれない、スピーカーと悪戦苦闘し悩みと苦しみを味わった者だけが名器の片燐を垣間見る事が出来るのではないだろうか、
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-022
- ワーフェデール スーパー3 中川隆 2020/10/27 15:02:58
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- ワーフェデール エアデール(1950年発売 オリジナルモデル) 中川隆 2020/10/26 15:44:42
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- ワーフェデール 後方開放・無指向性フロア型スピーカー SFB/3 中川隆 2020/10/24 12:56:49
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