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「“生きづらさ”について」雨宮処凛・菅野稔人/光文社新書‘08年から引用
〔雨宮処凛〕
<フリーターの意味の深化>
・95年に「新時代の『日本的経営』という、意図的に不安定層、貧困層を増やそうとする報告書が日経連から出されます。働く人が勝手に三つのカテゴリーに分けられた。正社員で幹部候補の「長期蓄積能力活用型」、超スペシャリストである「高度専門能力活用型」、そして、激安の使い捨て労働者としての「雇用柔軟型」の三つです。フリーターをはじめ非正規雇用型は明確に「雇用柔軟型」に組み込まれている。
そういう流れのなかで、どんどん雇用条件も悪くなる。98年から成果主義が導入され、正社員といえどもうかうかできなくなっていきました。フリーターは「使い捨て労働力」と明確化され、正社員は成果主義のなか、ものすごいノルマを課せられ、労働時間が延びていく、その両極端なスパイラルが始まったのが90年代後半で、そこで破壊しつくされたところを、小泉純一郎がさらにぶっ壊したという流れです。
<最低賃金>
・最低賃金の設定もおかしい。日本の最低賃金って、生存できる「最低の」賃金ではない。生存とはまったく関係ない、企業の賃金支払い能力が基準のひとつになっている。そんなのを基準にしている国は、先進国では日本だけ…。
こちらも「最低賃金を1000円にしろ」と主張すると、「中小企業がつぶれる」とぜったいに言われる。でも、人の生存より企業の支払い能力を重く考えていること自体がおかしい。働く側がそんなことまで考えていたら何も言えなくなってしまいます。
・労働環境が悪くなっているというよりは、悪くなるような制度が先につくられて、そのまま流れにまかせて放置していたら、自動的にみんなザルからこぼれ落ちるように路上生活者になっていく状況です。
<メンヘラー(精神的な病や生きづらさを抱えている人)が労働運動で自己を回復する>
・メルヘン系のイベントでしか会っていなかった10代の女の子たちが自主的にインデーズ系メーデーにきてくれて、(リストカットなど、怒りをため込んでいたのが)デモだと路上で爆発する。「バカにすんな!」と叫びまくる。「メンヘラーだって生きてるぞ」と主張を始める。自分たちが心を病んだのはこんな生きづらい社会のせいだ、競争ばっかり煽るな、という感じです。原始的な本当にすばらしい叫びでした。
<若者を見下す大人たち>
・08.5.18の朝日新聞のなかで、「生存をかけた若者の反撃」というテーマで、「右や左は関係ない。それ以前の運動なんだ」ということを書いた。
そもそもいまのプレカリアート(不安定労働者)の運動はバブル世代がイメージするような「左翼」運動ではありません。「生きる」とか「生存」というのは、右・左の分類以前の問題です。
〔臭うぞう〜〕
現代の若者とそれにつらなる上の世代が置かれている状況は極めて深刻。雨宮氏も引用しているが↓、フリーターの生涯獲得賃金は奴隷並である。
森田氏は「日本の戦場性を告発するため、天から下ろされた女神」だとする。
この日本列島に国を結んで、日本語という言葉と文化を共有する日本人が皆、どのように普通に暮らし子孫を作り普通に死んでいけるのか、そのような国家運営の基礎設計を作り直す必要がある。難しく考えなくても、過去にお手本はある。「終身雇用、年功序列」「国民皆保険」など、いまから思えばいかに優れた有り難いシステムであったかが実感できる。75際以上の高齢者の医療費は無料にするという一時期もあったと記憶する。一億総中流意識の時代もあったのだ。
これらの優れた制度を徹底的に破壊した平成の極悪人が小泉・竹中・宮内トリオ(+α西川)であった。
現在の大不況を背景に、林業や農業に関心が集まり、こちらを指向している人々も多い。厄(わざわい)転じて福となすには、国家国土の制度設計として、これらの分野に職を得て、普通の生活ができる、国土の荒廃を食い止め、食料自給率も上げていく。そのような大局的な国家の経営戦略を抜本的に建て直していくことが、大切な急がれる課題だと思う。この大ピンチを大チャンスに転換していけるかどうか。世論が十分に盛り上げれば、与野党共同の課題になる。
・フリーター人口の長期予測とその経済的影響の試算
UFJ総合研究所/2004年3月4日
http://www.murc.jp/report/research/2003/03116.html
【平均年収】正社員:387万円、フリーター:106万円
【生涯賃金】正社員:2億1500万円、フリーター:5200万円
・森田実の言わねばならぬ【164】 2009.3.4(その1)
雨宮処凛著『生き地獄天国 雨宮処凛自伝』(ちくま文庫、2007年12月10日刊、630円)を読んで――天才的女流作家(働く貧困層のジャンヌダルク)の登場
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C05081.HTML
・森田実の言わねばならぬ【175】2009.3.7(その2)
雨宮処凛著『全身当事者主義―死んでたまるか戦略会議』(春秋社、2008年2月20日刊、1785円)を読んで――「負のキーワード」を克服し、今日の「日本の戦場性」を告発する
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C05092.HTML
「雨宮処凛氏は21世紀初頭の日本の本質を問いつづける偉大な告発者の役割を果たしているのです。雨宮処凛氏は21世紀初頭の乱れた日本に、天から派遣された救世主(女神)のような人物かもしれません」
・宮内義彦の罪状も忘れるな!
http://www.asyura2.com/08/dispute28/msg/574.html
投稿者 仁王像 日時 2008 年 12 月 17 日 20:34:19: jdZgmZ21Prm8E
・一億総中流意識の時代もあった日本
http://www.asyura2.com/08/dispute28/msg/172.html
投稿者 仁王像 日時 2008 年 6 月 20 日 20:51:08: jdZgmZ21Prm8E