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日本政府は信用できない!
社説(2008年2月21日朝刊)
[沖縄密約控訴審]
葬っていい問題ではない
沖縄返還交渉の取材で国家公務員法違反(秘密漏えいの教唆)罪に問われた元毎日新聞記者・西山太吉氏が国に謝罪と慰謝料を求めた控訴審で、東京高裁は一審同様、日米政府間の「密約」について判断せず、西山氏の請求を棄却した。
西山氏がこの間一貫して問うてきたのは、沖縄返還交渉をめぐって米国との間に「密約」はなかったとする政府の姿勢と言っていい。
だが、昨年三月の東京地裁判決は「除斥(時効)期間の経緯により(西山氏の)請求権が消滅した」と判定。
西山氏が証拠として提出した米公文書や、当時、返還協定にはない「税金(四百万ドル)」の裏金負担を認めた吉野文六元外務省アメリカ局長の証言にも踏み込んでいない。
高裁も一審同様、密約の存在について判断を示さなかったことになる。
それにしても、返還交渉の陣頭指揮を執った元局長の「密約はあった」とする発言に全く触れないのはなぜか。西山氏の側に除斥期間があるからといって納得できるものではない。
確かに西山氏が訴えた部分に時効が付いてまわるのは分かる。
しかし、国民が知りたいのは、西山氏の裁判を通して政府に「協定の偽造」がなかったかどうかである。つまり、国の調印の在り方に違法性はなかったかどうかということである。
もしあるとしたら、一審、二審の判決はその違法性に目を閉ざし、結果として政府の罪を黙認したことになる。
言うまでもないが、二国間の問題であれ法的に問題があれば司法として法的立場から毅然と判定しなければならない。それが民主主義国家の三権分立の在り方であり、責任だろう。
国民を欺いてきた事実が当事者の証言や公文書で明白なのに、司法がそれを無視するのは責任の回避と言わざるを得ず、司法への信頼を落とす。
沖縄返還交渉では、米軍の核兵器持ち込みを認めた密約も米公文書で確認されている。これについても政府は、原状回復補償費と同じく密約はないと言い続けている。
政府に対する私たちの不信感は、あるのにないと言い張る政府の強弁であり、日米間の重要事項が常に米公文書によって明らかにされることだ。
調印した外交文書をすぐに国民に知らせることはできなくても、一定期間を過ぎれば公開する。その原則を確立する時期にきていると考えたい。
日米同盟が重要であるなら、なおさら密約を闇に葬ってはなるまい。西山氏の請求を棄却することで東京高裁が自らの責任を回避したのが残念だ。
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社説(2008年2月21日朝刊)
[知事訪米]
地位協定見直しに本腰を
仲井真弘多知事が県議会二月定例会で日米地位協定の見直しのために訪米を検討していることを初めて明らかにした。
地位協定は米軍にさまざまな特権を与えている。運用も米軍の裁量権に委ねられているのが現状だ。
知事は今議会の所信表明でも見直しに言及。政府を動かすために、「より多くの国会議員や国民の理解と協力を得ることが大変重要」「渉外知事会などと連携しながらあらゆる機会を通じて積極的に取り組む」などと表明していた。
しかし、当の政府に、見直しに向けて対米交渉する考えは一切なく、「運用改善」の一点張りだ。
ここにきて仲井真知事が訪米を持ち出したのは、米政府や連邦議会に沖縄の実情を直接訴えたほうが早道と見たのだろうが、米側は生易しい相手ではない。
米側は仮に見直しに踏み込んだ場合、日韓など他国との地位協定に波及することを恐れているからだ。これまでの交渉でも、見直しをかたくなに拒み、運用改善でしのいでいるのもそのためだ。
沖縄の要求が力を持ち、見直しを実現させるためには、県内世論だけでなく、国民の共感を得ることが必要不可欠だ。
仲井真知事は、共感を呼ぶような説得力のある言葉を発しているだろうか。
米兵による暴行事件を受け、米軍再編に与える影響をいち早く懸念するなど、「本音」は別のところにあるのではと疑わせるような、分かりにくい言動になっていないだろうか。
テレビ時代の政治は、政治家の小さなしぐさから内面をうかがうことができる場合が少なくない。
地位協定の見直しは歴代知事も詳細な見直し案をまとめ、日米に要請してきた。仲井真知事は、これらの条項を総点検した上で、地位協定のどこをどう見直すのか、明確なメッセージを発信してほしい。
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