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「密約」また逃げた「西山国賠訴訟」東京高裁判決(JANJAN)
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投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 2 月 21 日 20:51:06: twUjz/PjYItws
 

(回答先: 西山氏「吉野氏は密約認めているのに」(毎日新聞) 投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 2 月 21 日 20:02:15)

http://www.news.janjan.jp/government/0802/0802211203/1.php

「密約」また逃げた「西山国賠訴訟」東京高裁判決

                            ひらのゆきこ2008/02/21


沖縄返還時の日米両政府間密約を暴いて機密漏洩で有罪とされた元毎日記者西山太吉さんが起こした国家賠償請求事件の控訴審判決が東京高裁であり、一審に続いて除斥期間経過を理由に棄却された。密約の存在自体には一審同様まったく触れられなかった。西山さんは上告の意向だ。

2月20日、東京高裁で沖縄返還密約をめぐる「西山太吉国家賠償訴訟」(平成19年〈ネ〉2494号)控訴審の判決言い渡しがありました。肝心の「密約」の有無について判断を示さないまま控訴は棄却され、西山さんは上告の意向です。大坪丘裁判長と陪席裁判官2名、控訴人側の西山さんと藤森克美弁護士、被控訴人側代理人の3名が出廷しました。傍聴人は42名でした。判決言い渡しと記者会見の模様を報告します。


記者会見で発言する西山太吉さん(右は藤森弁護士)


わずか3秒足らずの判決言い渡し

 傍聴席28に対し、50名以上の傍聴希望者がいたため、抽選となりました。筆者は運良く抽選に当たり、裁判を傍聴することができました。法廷に入ると、テレビカメラが入っていました。傍聴席42に対し、報道席が13、一般の傍聴席は28でした。

 大坪丘裁判長と2名の裁判官が入廷し、2分間の撮影のあと、裁判が始まりました。大坪裁判長は「本件控訴を棄却する」と主文のみ言い渡し、2名の裁判官とともに退廷しました。その間、わずか3秒ぐらい。一審の東京地裁判決言い渡しのとき以上の短さでした。

 傍聴席からはため息ともつかない声がもれました。西山さんの表情には、さすがに失望の色が浮かんでいました。裁判官が退廷した後も控訴人の席に座っている西山さんに、傍聴人の1人が声をかけると、西山さんはなんとも名状し難い表情をしながら「ああ」というように答え、席を立ちました。

控訴審でも密約についての判断を示さなかった

 判決言い渡しのあと、午後4時30分から司法記者クラブで記者会見がありました。藤森弁護士と西山さんが判決について次のように語りました。

 藤森弁護士は判決要旨を手にしながら、「一審で判断を示さなかった密約の存否について、控訴審も判断を示さなかった」と述べ、消滅条項をもってきて除斥期間だけを主張して判決が出たことは「一審判決と同じ」だとしました。一審と違う点は、なぜもっと早く訴えを起こさなかったのか、とか、民事ではなく刑事裁判での再審請求(刑事裁判は除斥期間がない)を勧めているような論調になっていることだそうです。

 また、検察が再審請求をしなかったことに対しては、それだけでは権利侵害にあたらないこと、河野洋平氏(当時の外相)が吉野文六氏(当時の外務省アメリカ局長)に口止めをした点については、外務省OBに対し、政府の公式見解に沿った発言を報道関係者に対してするよう要請したもので、西山さんの名誉を侵害したものではないとして、いずれも訴えが斥けられたことを伝えました。

不当で乱暴な結論

 裁判所が吉野氏と河野氏の証人尋問をせず、証拠調べもしなかったのにこのような結論を導き出したことについて、藤森弁護士は「不当で乱暴だ」と批判しました。控訴理由の第1に、一審判決が密約についての判断をしなかったことを挙げており、高裁でもその判断をしなかったことは上告理由になると述べ、「私自身は最高裁でやってみたい」との考えを示しました。

国家犯罪は除斥期間を適用すべきではない

 次に、西山さんが発言しました。西山さんは、まず重要なことは(被告らの行為は)国家公務員法第1条に違反していることを押さえておく必要がある、と強調しました。刑事裁判では吉野氏らによる10回以上の偽証があったことを指摘し、「この事件は国家による組織犯罪であることを理解してほしい」と訴えました。

 一審に続き、控訴審でも「除斥期間」を持ってきて訴えを棄却したことに対し、「国家は組織をあげてガードしている」との認識を示した上で、この除斥期間は国が設定しているものであり、その国が犯した犯罪については除斥期間の適用は除外されるべきだと主張しました。

政府の嘘を許すメディアと世論が1番の問題

 その上で、沖縄密約は単なる密約や裏取引といったようなものではなく、国会の最重要審議案件である条約に嘘の記載があったという政治犯罪であり、国家による組織犯罪に除斥期間は適用外であるのに、これを徹底的に無視し、「メチャクチャなことをやっている」と述べ、裁判所の姿勢を厳しく批判しました。

 国会の質問主意書に対する答弁書で政府が「沖縄密約はなかった」とする閣議決定をしていることに言及した上で、西山さんは「沖縄密約は過去のことではなく、いま現在の問題。河野元外相は吉野氏が『(密約は)ない』と言ったことを根拠に『密約はない』と答えた。それが唯一の否定の根拠で、それがすべて。薄っぺらな根拠」と断じました。

 しかも、その吉野氏は密約の存在を認める発言をした上に、河野氏に口止めをされたことを明らかにしています。西山さんは「先進国でこんな(ひどい)国はない」と述べ、1番の問題は、「事実が明らかになっても嘘をつき続けている政府を、メディアを含めた世論が許容していること」であるとして、メディアの追及の弱さと世論の無関心を厳しく問い質しました。

勝ち負けではなくプロセスが大事

 西山さんはまた、除斥期間を持ち出されたら何度やっても同じだ、としながらも、「勝ち負けではなく、プロセスが大事」と述べ、裁判を通して国民に訴えていくことが重要だとの認識を示しました。

●記者団との質疑応答

 藤森弁護士と西山さんのお話の後、記者団との質疑応答がありました。

質問 再審請求はするのか?

西山 私はもうすぐ80歳(現在76歳)。この裁判は政治的なものであり、国家による組織犯罪。並大抵のものではない。(もっと早く訴えを起こすべきだったとか、再審請求をすべきだとか、判決にはいろいろ書いてあるが)、自分の判断を回避するための言い逃れだ。(再審については)慎重に検討する。

質問 上告するのか?

西山 やめるわけにいかんでしょ。国の組織犯罪に除斥期間の適用があるはずはない。(一審判決を支持して控訴棄却した高裁は)問題の本質を理解していない。


−これまでの経過−

沖縄密約と密約に触れなかった一審判決

 1971年6月17日締結の沖縄返還協定(条約)の内容に虚偽があり、日米政府間に密約があったことを報道した元毎日新聞記者の西山太吉さんは、国家機密を漏洩したとして罪に問われ、外務省職員とともに逮捕・起訴され、有罪判決を受けました。00年と02年に密約の存在を裏付ける米公文書が発掘されたのを機に、西山さんは05年4月、謝罪と損害賠償を求め、国を提訴しました。

 07年3月27日の一審判決は、この裁判の争点だった密約には一切触れず、除斥期間の20年が過ぎたことを理由に、西山さんの訴えを斥けるというものでした。

 この判決に対し、新聞各紙は社説などで、米公文書や元外務省アメリカ局長の吉野文六氏などの発言によって密約の存在は明らかであり、反論の余地のない証拠を突きつけられてもまだ「密約はなかった」と言い続けている日本政府に対する厳しい批判とともに、形式論に逃げ込んで「密約」判断を避けた東京地裁の姿勢もまた厳しく批判しました。

吉野氏と河野氏の証人申請を却下した控訴審

 控訴人の西山さん側は「すべての判断の基点となる、密約の存在及び内容に関する一審判決の判断の遺漏」を控訴理由の第1に挙げました。控訴審では、一審で触れることのなかった「密約」にどこまで踏み込んだ判断が示されるか期待されましたが、吉野氏と吉野氏に口止めをした河野洋平氏に対する証人申請はいずれも棄却されました。


筆者の感想

 記者会見の後、別の場所で西山さんのお話を聞きました。西山さんは現役の記者だったときは「100戦100勝で負けたことがなかった」そうです。しかし、記者を辞めてからは負けっぱなしで「負け癖がついている」と気弱な発言をすると、毎回熱心に裁判を傍聴している男性が、「いや、西山さんは勝っている。裁判に負けても実質は勝っている」と反論しました。その場にいた人たちも全員が「そうだ。西山さんは勝っている」と賛同しました。

 国家が国民に真実を隠して偽りの条約を結び、そのことを告発した新聞記者が国家権力によって罪に陥れられ、言論活動を封じ込まれたことが、裁判を通して多くの人々に知れ渡ることになりました。米公文書や吉野発言によって密約の存在が明らかになった後も嘘をつき続けている政府に対し、国民は不信の念を抱いています。行政の手先となって国家の違法行為にお墨付きを与えるような司法の判断に対しても、人々は厳しい視線を注いでいます。

 「裁判所でなく、国民の判断を仰ぐために裁判をやっている」と語る西山さんですが、その思いは多くの人々がこの裁判に関心を寄せていることからも、確実に伝わっています。その意味でも、たしかに「西山さんは勝っている」と思います。西山さんは上告の意向を示していることから、次は最高裁での闘いとなりますが、引き続き、この裁判を見守っていきたいと思います。

◇ ◇ ◇
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