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(回答先: JANJAN「年末に急展開した2事件、求められる自制とメディア・リテラシー」〔マスコミでは推定有罪?〕 投稿者 戦争とはこういう物 日時 2008 年 12 月 08 日 21:39:52)
比較的最近、知覚障害者の巻き込まれた冤罪事件。阿修羅になぜか検索で出ないので、地方紙特集から転載する。
============(引用ここから)
http://www.shimotsuke.co.jp/hensyu/kikaku/gonin/rennsai/2008-1.html
[下野新聞]●検証 違法捜査
上 「決め手」は本人尋問 (2008年02月29日)
「密室裁かれ表情険しく 可視化論議に影響も」
重度知的障害の男性をめぐる宇都宮誤認逮捕・起訴訴訟は二十八日、宇都宮地裁が県警、宇都宮地検の違法性を認定した。敗訴の要因は何か。障害者に対する捜査はどうあるべきか。「違法捜査」を検証する。
「男性ならびに関係者の皆さまに、あらためておわび申し上げます」
二十八日午後四時半すぎ、県警本部の記者クラブ。誤認逮捕・起訴訴訟で県警、宇都宮地検の違法捜査を認定した宇都宮地裁の一審判決を受け、県警の山手康男警務部長が険しい表情でメモを読み上げた。
「判決は厳粛に受け止めている。判決文の内容を精査し、今後の対応を決めたい」。顔をやや紅潮させ早口に続けた。コメントの結びは「再発防止に万全を期す方針です。県民の理解と協力を、お願い申し上げます」だった。
原告の吉田清さん(56)側が二〇〇五年八月に提訴してから約二年半。計十三回に及んだ口頭弁論に被告側の県警捜査員や地検副検事ら計四人が相次いで証人として出廷。「取り調べに誘導はなく、原告が取調官に迎合した供述をした」「現場や被害品の投棄場所も原告が自分で案内した」などと証言し、捜査の違法性を全面的に争ってきた。
こうした中、同地裁が県警、地検の違法捜査を認定した最大の要因は何だったのか−。
■尋問は5時間
昨年七、八月に行われた第十一、十二回の口頭弁論。吉田さんに直接、裁判官らが尋ねる本人尋問が行われた。通常の法廷とは別の和解協議用の円卓テーブル。計五時間に及んだ尋問には吉田さんの支援者が付き添い、福島節男裁判長ら裁判官三人も法服をまとわずスーツ姿で臨んだ。
「(事件を)やってねぇって言っても、駄目だった」「(警察官が自分の)手を持って、書かされた」。吉田さんは取り調べの状況を断片的に答える一方、自分で書いたとされる地図の文字を「読めねぇ」「分かんねぇ」と何度も首を振った。
「原告には重度の知的障害があり、強盗事件の捜査当時、文字(自分の名前を除く)を書くことや過去の出来事を時系列に沿って記憶することはできず、質問者に迎合的。疲れると質問の意味も分からずうなずいてしまう」。吉田さんの知的能力に関する同地裁の判断だ。
「清さんの知的レベルは四、五歳。こちらの意向をくんで清さんが話しやすい状況をつくってくれた裁判長の訴訟指揮を評価したい」。弁護団長の副島洋明弁護士は判決後に強調した。「あの五時間の本人尋問で裁判官が清さんから直接話を聞き、『これは違法だ』と確信したに違いない」
■示された指針
〇二年に富山県で起きた強姦(ごうかん)・同未遂事件の冤罪(えんざい)事件や〇三年の鹿児島県議選をめぐる公選法違反無罪事件を契機に、警察庁は今年一月、再発防止策の「取り調べ適正化指針」を公表。調べの状況を監督・監視する専門部署の新設や全取調室に透視鏡を設ける方針などを決めた。
「(取り調べの状況を録音・録画する)可視化の議論は承知している。警察としては、適正化指針に基づいた対応を一つ一つ講じていく」(山手警務部長)。富山、鹿児島と同様に「密室」が裁かれた今回の一審判決は、今後の可視化論議にも影響することは確実だ。
■宇都宮誤認逮捕・起訴事件の経過
2004年
4月29日 宇都宮市の洋菓子店で強盗事件発生。被害額は約13万円
5月 6日 同市のスーパーで強盗事件発生。被害額は6000円
8月 9日 中学生の首をつかんだとして、宇都宮東署が暴行容疑で吉田清さんを逮捕
9月 8日 同署が洋菓子店の強盗容疑で吉田さんを再逮捕
10月12日 同署がスーパーの強盗容疑で吉田さんを再逮捕
22日 宇都宮地裁で初公判。吉田さんが暴行と洋菓子店強盗の罪を認める
12月 7日 第2回公判。地検が懲役7年を求刑
24日 第3回公判。吉田さんが強盗罪で無罪を主張
2005年
2月17日 同署が強盗2件の「真犯人」として別の事件で逮捕した男を送検
25日 第5回公判。地検が強盗罪で無罪論告
3月10日 強盗罪2件で吉田さんに無罪判決
8月 4日 吉田さんの弁護団が県(県警)と国(宇都宮地検)に慰謝料500万円の支払いを求め提訴
2006年
3月 1日 日弁連が「重大な人権侵害があった」として県警や地検などに警告
23日 吉田さん側が宇都宮市などに慰謝料約820万円の支払いを求め提訴
2007年
10月25日 県と国に対する国家賠償請求訴訟の口頭弁論が終結
12月 6日 同市などに対する国家賠償請求訴訟の口頭弁論が終結
2008年
2月28日 宇都宮地裁は県と国に計100万円の支払いを命じる判決。捜査の違法性認める。同市などに対する請求は棄却