★阿修羅♪ > 国家破産60 > 563.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
(回答先: 【自由市場の喪失と壊滅、資本主義文明の裂け目】 「農」で新産業開拓せよ 【寺島 実郎】 投稿者 愚民党 日時 2008 年 12 月 14 日 17:37:17)
東京新聞
【経済縮小 世界同時不況の衝撃】
<識者に聞く>失業給付の長期化を 早稲田大教授 鈴木 宏昌氏
2008年12月12日
−非正規従業員の削減が今回急速に進んだのはなぜか。
「今回の金融危機は海外へと市場を広げられた一九九〇年代の不況とは性質が異なり、二九年の大恐慌に似てきた。世界中で手の打ちようがない状態だ。経済のグローバル化が進み、昔より影響が広がるスピードも速まっている。輸出関連企業が特に余波を受けており、必死になっているのだろう」
−いつまで続くか。
「誰にもわからないだろう。雇用というのは、生産活動から生まれる派生需要。雇用だけを守るというのは無理な話で、本体の企業が持ち直さない限り深刻になっていく。都市に比べ雇用の機会が少ない地方はもともと弱っており、さらに悪くなっていくのではないかと心配している」
−対策はあるのか。
「特効薬はないが、短期的には雇用保険の失業給付期間を長期化することだ。日本の給付期間は短く、派遣社員らはさらに短くなりがちだ。雇用保険は国のセーフティーネットの一つで、欧州では失業給付が二−三年というところもある」
−失業給付の長期化によって、再就職への意欲が低くなる恐れはないのか。
「失業が一年を超えると再就職は難しくなる。そこに至るまでに実践的な職業訓練なども同時に進めていかなくてはいけない。現在の職業訓練はお金がかかっているものの内容が古く、現場で役に立たない。インストラクターも現場から離れている人が多い」
「失業後に生活保護へ移る人もいるが、生活保護になれば求職活動をする必要がなくなり、やめてしまう。失業給付を長期化することで、労働市場に残って求職活動を続けられるようにした方がいいのではないか」
−雇用が失われることで、社会的にどのような影響が出るか。
「心配されるのは社会全体の活力がなくなること。疎外されたと感じる人が、暴動や薬物へ向かう可能性もあり、治安悪化につながる恐れもある。社会的に排除されたと思う人が多くなれば社会はもたない」
−正社員にも雇用削減が広がるのか。
「雇用調整のステップとしてはあり得るが、微妙なところ。ソニーは大規模リストラを発表したが、もともとソニー自体の調子が悪かった部分もある」
−終身雇用制度はもう過去のものなのか。
「第一次石油ショックの時、企業は余剰人員を抱えながら半年間我慢したが、そんな悠長なことは言っていられない時世になり、企業は余分なところを絞り派遣を導入した。競争の激しい業界では、昔からの終身雇用を続けているところはほとんどなくなっている」
「問題なのは正社員と非正社員の格差がありすぎること。正社員への登用のように、二つの間の橋渡しができるような流動的な労働市場を考えなくてはいけない。最低賃金が低すぎることや組合が正社員のものになりがちだったことが格差を広げた要因で、是正する必要がある。政府がすでに始めている正社員へ登用した企業への助成金も対策の一つ。労働市場を流動的にすることは、会社にとっても有利になるだろう」
(聞き手・木村留美)
すずき ひろまさ 早大政治経済学部卒業後、1969年に仏ルーアン大で博士号取得。70−86年には国際労働機関(ILO)本部で労使関係の専門研究員として従事した。近著に「これからの雇用戦略」がある。神奈川県出身。67歳。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/eco_reduce/list/CK2008121202000083.html