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(回答先: 【自由市場の喪失と壊滅、資本主義文明の裂け目】 危機の構造自体は一九二九年の世界大恐慌よりも深刻 【竹森 俊平】 投稿者 愚民党 日時 2008 年 12 月 14 日 17:44:28)
東京新聞
【経済縮小 世界同時不況の衝撃】
<識者に聞く>“魔法の財布” 失った米 三国事務所社長 三国 陽夫氏
2008年12月9日
米国発の世界同時不況で、日本経済は産業界の雇用削減の動きが本格化、実体経済が急速に悪化している。「百年に一度」ともされる大不況をいかにしてしのぎ、経済再生の道をどう描くか。日本経済生き残りへの知恵を各界の識者に緊急インタビューする。
−米国発の大不況が世界を覆っている。
「米国は日本や中国政府が提供してくれた“魔法の財布”をなくしてしまった」
−どんな財布か。
「これまで米国経済は、消費者がお金を使っても、戻ってくる、という経済原理で説明できないシステムで動いていた。米国の消費者は借金して住宅を買うと、一緒に自動車や家電も買う。自動車などを輸出している日本企業はもうかった。日本企業は代金として受け取ったドルを国内で使える円に換える必要があった」
「ところが、外為市場でドルを売って円に換えると、円高ドル安になる。日本政府は輸出企業に打撃を与えないようにするため、円売りドル買いの市場介入を実施。特に二〇〇三年から〇四年にかけて大量の円売り介入を行った」
−日本政府には外貨準備として巨額のドルがたまった。
「大量の円売り介入で巨額のドルを抱えた日本政府は、運用のために米国債を大量に購入。その結果、米国には巨額のお金が再び流れ込み、米国の金利は低下した。低金利でお金が借りやすくなった米国の消費者は、さらに消費できた。これが魔法の財布だったわけだ」
−なぜ魔法の財布がなくなった。
「住宅投資が膨らみ過ぎて、〇六年にバブルが破裂、住宅が値下がりし始めた。サブプライムローンの焦げ付きで巨額な損失を抱えた金融機関の体力は急速に低下、米国民は借金で家やモノを買えなくなり、日本からの輸入は減少。米国に戻ってくるドルも急速に細った。世界の製品を一手に引き受けていた米国の消費者がお金を使えなくなって一気に世界経済が縮小している」
−日本はどうすべきか。
「機関車である米国経済がエンジントラブルで止まってしまい、それに引っ張られていた日本経済もストップ寸前。本来、世界第二位の経済大国である日本は個人消費など内需でも経済が回る『自走式』経済に早く転換すべきだった。だが、政府は介入で安易なドル高円安の維持策に走り、対米輸出依存の経済構造を助長してしまった」
「日米両国がもたれ合ったツケがいま噴出している。日本は今からでも円高を恐れなくてよい内需型の経済構造に転換すべきだ。それなら円高で輸入品の購買力が増し、国民もメリットを受けられる。産業機械など日本の技術力は高く、円高でさらに日本の産業の国際競争力が磨かれる可能性は高い」
−だが、日本経済は急激に悪化している。
「短期間で急激に円高が進めば、日本経済は壊れてしまう。米国の問題は製造業が弱いため輸出するモノがなく、輸入ばかりで構造的経常赤字になっていること。例えば、米国に円借款をして省エネ車などが生産できる設備を導入させてはどうか。米国が日本から産業機械を買えば日本も潤う。第二次大戦後、米国は欧州が疲弊し、世界経済が回らなくなったため、マーシャルプランの下で欧州に融資や債権放棄して救済した。今度は米国を支える現代版マーシャルプランが必要だ」 (聞き手・池尾伸一)
みくに あきお 東大法卒。1963年野村証券入社。ニューヨーク勤務などを経て退社後、75年債券格付け会社「三国事務所」を設立。元経済同友会副代表幹事。著書「黒字亡国」などで一貫して日本経済の構造転換を主張。新潟市出身。69歳。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/eco_reduce/list/CK2008120902000165.html