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(回答先: 【自由市場の喪失と壊滅、資本主義文明の裂け目】 失業給付の長期化を 【鈴木 宏昌】 投稿者 愚民党 日時 2008 年 12 月 14 日 17:40:27)
東京新聞
【経済縮小 世界同時不況の衝撃】
<識者に聞く>市場規制焦点は時機 慶応大教授 竹森 俊平氏
2008年12月10日
−百年に一度とも言われる金融危機の認識は。
「危機の構造自体は一九二九年の世界大恐慌よりも深刻だ。発端となった米国のサブプライム住宅ローンは、借り手の所得や職業などの返済能力ではなく、担保とされている住宅の価格上昇予想に基づいて、安全性が安易に評価されていた。問題なのは、米国の住宅価格の下落が続く限り、不良債権の発生が続いていくこと。さらに、その債権が証券化されて、世界的に拡散してしまった」
−打つ手はないのか。
「危機の根深さは大恐慌以上かもしれないが、預金保護制度も整っておらず取り付け騒ぎも起きた当時と比べ、政策能力もはるかに高くなっている。最終的には、米政府が住宅ローンを減免し、担保住宅の差し押さえと投げ売りという悪循環を断ち切って、住宅価格の下落を防ぐなどの対策が求められる」
−世界中に危機が広がったことで、市場万能主義への反省が強まっている。
「いずれ市場へのいろいろな規制が始まるだろう。ただ、現時点で重要なのは、どういう規制が必要なのかということよりも、いつ規制を強化するのかというタイミングの議論だ。規制というのは過剰な貸し出しや投資を抑えるためのもの。普通の貸し出しすら機能していない現在に規制を強めれば、危機をいっそう深刻にする」
−経済や市場をできるだけ自由にさせておく「小さな政府」も曲がり角を迎えた。
「基本的には市場経済を尊重しつつ、必要な部分で政府が監督するという流れになるだろう。単純に大きな政府、小さな政府というのではなく、折衷主義が重要だ」
−金融危機の影響で、日本でも本格的な景気後退が始まった。
「日本にとっては、バブル崩壊後の『失われた十年』のデフレ不況に逆戻りしかねない事態となった。最近まで数年の好景気は、外需を頼りとした企業中心の好況。一方で賃金は抑制され経済の足を引っ張っていた。今回の金融危機で元のもくあみになるという不安心理が広がっている」
−今後の日本経済への懸念は。
「今の日本の弱点は民間よりも政府。バブル後の金融対策実行に何年もかかった教訓があるのに、今回もまったく危機対応能力が改善していない。大統領選で政治空白が懸念された米国さえ、緊急対策を決めている。日本は自民、民主両党に、経済を救わなくてはならないという合意形成すらできてないように見える」
「一方、民間側では雇用を絞りこむような動きが出ている。団塊世代が退職し、将来的には人手が足らないはずだ。ここで安易に正社員などの雇用を絞ると、その会社の発展のチャンスを失うことになる」 (聞き手・杉藤貴浩)
たけもり しゅんぺい 1986年、慶大大学院経済学研究科修了。89年、米ロチェスター大経済学博士。専門は国際経済学で、近著に現在の金融危機を論じた「資本主義は嫌いですか」がある。他に「世界経済の謎」「経済論戦は甦る」など。東京都出身。52歳。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/eco_reduce/list/CK2008121002000151.html