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(回答先: 【自由市場の喪失と壊滅、資本主義文明の裂け目】 「日米自動車戦争の終結」 【冷泉彰彦】 投稿者 愚民党 日時 2008 年 12 月 13 日 21:49:24)
<識者に聞く>「農」で新産業開拓せよ 三井物産戦略研究所長 寺島 実郎氏
2008年12月11日
−不況が深刻だ。
「これは一時的不況ではなく、二十世紀型世界経済システムそのものの構造変革だ。米国は第二次大戦後のブレトンウッズ体制の盟主としても、冷戦に勝った資本主義の総本山としても、世界を一極支配してきたが、この構造が終わろうとしている。米国は産業競争力を失った後も産業の実力以上の軍事力や消費を享受してきた。世界からお金が国内金融市場に流れ込んだためだが、金融危機で仕組みが行き詰まった」
−日本の針路は。
「日本は戦後、政治・経済両面で米国に依存してきた。今後、世界は米国一極支配が終わり、複数の国や多国籍企業、非政府組織(NGO)など全員参加でルールを決める過渡期に入る。日本も米国依存から脱却し、自律性を持った国に変革することが必要。でないと真のグローバル化時代に対応できない。先日、韓国でシンポジウムに出席した際、米国流マネーゲームを批判し、日本の技術力を称賛する声が極めて多く、各国の日本への評価が高まっていることに驚いた。潜在力は大きい」
−何が必要か。
「一時的な需要喚起策は効かない。日本の中に新しい産業のフロンティアを創(つく)るべきだ。重要なのは低い食料自給率など日本の弱点を解決しながら、新産業と雇用を生み出す発想だ。いま日本の雇用は年収二百万円以下の非正規従業員が全体の三分の一を超え、彼らが雇用削減のターゲットになっている。若者の雇用の受け皿として単なる時間給労働でなく、挑戦しがいがあり、人生設計できる仕事をつくるべきだ」
−どういう分野か。
「農業はいまは小規模農家ばかりだが、農業生産法人や株式会社組織で農業ができるようにし、産業技術を注ぎ込む。そして、年収五百万円程度の収入があり、家族が養える仕事をつくることを目指す」
「資源問題でも日本は国土は狭いが海域は実は世界六位。技術力で近海の地中に埋蔵されている希少金属やメタンハイドレード(メタンと水の化合物)の採掘を目指せば、二〇二〇年には世界に冠たる資源大国になる可能性がある。自動車のような波及効果が高い産業の後継としてはアジアの都市間交通が盛んになる時代を見越せば、中型ジェット旅客機の国産化も有望だ」
−政策実現プランは。
「危険なのは国家が強権的に引っ張ればよいという風潮が高まること。一九二九年の大恐慌後の混乱が、ドイツのヒトラーを生んだような事態は阻止しないと。一方で民間に任せきりという新自由主義も限界がある。政府と民間が半々でお金を拠出するなど創造的手法が必要だ」
−オバマ次期米大統領は環境分野での雇用創出を打ち出した。
「米国は『グリーン・ニューディール政策』をやってくる。日本も米国の回復だけに期待すればよいというのはおかしい。日本の潜在力を引き出すためのガバナンス(統治)こそが問われている」 (聞き手・池尾伸一)
てらしま・じつろう 早大院卒。1973年、三井物産入社。米ブルッキングス研究所出向、ワシントン事務所長などを経て、99年より三井物産戦略研究所所長。日本総研会長、早大客員教授も務める。北海道出身。60歳。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/eco_reduce/list/CK2008121102000129.html