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(回答先: 「石内尋常高等小学校 花は散れども」96歳の新作映画/対談/新藤兼人さん/新藤風さん/2(しんぶん赤旗) 投稿者 gataro 日時 2008 年 10 月 01 日 22:58:39)
「石内尋常高等小学校 花は散れども」96歳の新作映画/対談/新藤兼人さん/新藤風さん/3
2008.09.24 日刊紙 9頁 一般 (全1,616字)
撮影が終わり、子どもたちが泣いた
風 少年時代の良人役の吉久直希君は現在の石内小学校でクラスメート役を募集してオーディションをした中の一人で、とてもいい感じだったので主役に抜てきしたんです。役者の演劇事務所みたいなところにいるのは三吉役とみどり役の二人だけで二人とも初めての映画出演だったらしいですね。
兼人 子どもの撮影が終わったときに、子どもたちがみんな泣きましたよ。
風 三吉が初めに兵庫へ帰ることになり、三吉が泣いちゃって、ほかの子どもたちも、男の子たちが泣いちゃって、かわいかったね。一生懸命やったんだなぁ、という感じがして。
兼人 みんな仕事に溶け込んでスタッフと仲良くやったね。助監督さんなんかのおかげだと思います。
大人たちの姿が格好よく見えた
風 おとなたちが一生懸命働いてる姿をそばで見て、仕事をするのも面白そうだな、と思ったんだと思う。吉久君が映画のカメラマンになろうかな、と。お前、さっきまでは装飾助手になるといってたくせに、といわれてましたけど。職人さんみたいな、お兄さんたちがすごく格好よく見えたみたい。おとなが格好よく見えるというのはとてもよかったんじゃない? 子どもたちにとって。
兼人 一つの目的を持ってみんな集中するという姿を、子どもはあんまり見たことがないわけですよ。
風 おとなの真剣な顔なんてね。
兼人 ええ。カメラ助手も、監督助手も、とっても懸命なんですよ。ライトマンや録音技師が、一つの仕事を仕上げるのには、本当に、すごい技術が必要だし、団結、連帯が必要なんですね。いろんな人生の要素みたいなものがスタッフの中に凝縮されているわけです。それを子どもたちは毎日見てるから、面白くなっちゃったんですよ。
風 おとなたちがどなりあいながら、笑い合いながら仕事をしてる姿がね。
兼人 そうなんです。僕は子どもはいい変化をするものだなと思いましたね。
風 校長先生も、みんな撮影が終わって帰ってくると顔が違う、といってたよ。ほかの、出てなかった生徒もそれにつられてすごく活気が出てきたって。
兼人 広島でオールロケーションをやった。東京のスタジオでやった場面はないわけだね。それはね、広島の風土というようなものを背景に出したいと思ったわけなんですよ。生徒も広島の子どもがほとんどだったのは、よかった。
風 監督は人には風土がとても影響すると思ってるんだもんね。生まれた土地が人格形成に影響するって。
兼人 よく知ってるね。
風 よく聞いてるから。青森のスズメは青森の風土で育っているからってよくいう。
兼人 僕はモスクワにいって、ホテルでずーっと泊まってて、窓にいっぱいスズメが来たんですね。
風 モスクワの顔をしてたの? 兼人 そう。こいつらはみんなロシア語でしゃべってるんだと思いましたよ(笑い)。僕が若いときは東京へ出てきて、広島弁をしゃべってると軽べつされるんじゃないかと思ったけど、今はそんなことはありませんね。方言のよさなんです。
風 大事にしないといけないね。
兼人 中心に標準語があって、それを見つめながら、地元の言葉を忘れないというようなことが必要だと思います。そういうことを小学校の先生が教えてくれたんですよ。
風 修学旅行のときに、先生が堂々と大きな声の方言で前を歩いて行く、そういう姿を見せてくれたって話をしてたね。
兼人 うん、そうだね。
風 恥ずかしがることはないんだ、方言でしゃべったらいいんだ、と監督も子どもたちにいってたけど。
趣味はシナリオ/映画作りは病気
風 監督はすごく仕事に執着して、死ぬまでやりたいって、この映画が完成してから、ことしも二本書いたんだよね、脚本を。
兼人 そう。映画づくりは病気だね。
風 映画監督という病気なのね。完治不能の病気。
兼人 趣味がシナリオなんだね。ぼんやりしてたんじゃつまらないから、何か書きたいという感じです。
(つづく)