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(回答先: 「石内尋常高等小学校 花は散れども」９６歳の新作映画／対談／新藤兼人さん／新藤風さん／３（しんぶん赤旗） 投稿者 gataro 日時 2008 年 10 月 01 日 23:04:46)
「石内尋常高等小学校 花は散れども」９６歳の新作映画／対談／新藤兼人さん／新藤風さん／４
2008.09.25 日刊紙 9頁 一般 (全1,485字)
同窓会シーンで戦争による家庭破壊を
〔同窓会の場面は、戦争で夫を失った女性たち、原爆で顔がケロイドになった藤田（大杉漣）らがこれまでの苦労や思いを語ります。新藤兼人監督がずっと追及してきた戦争への怒り、戦争を許さない姿勢を、静かな形で表現。後半のハイライトの一つです〕
風 同窓会のシーン、大杉漣さんはすごい迫力だった。相撲の高見盛のイメージでやってくれ、と監督がリクエストしたのね。純朴さを出すために。大杉さんもお風呂のなかで毎日いろんなことを試してみて、どもったりとか。感情があふれてうまくしゃべれないところなど、すごい力がこもったお芝居でしびれたね。
人生のこだわりなんとしてもと
兼人 戦争で召集され、勇ましく国を守って死んだというふうに言うのは基本的に間違ってると思うんですよ。戦争というのは、今、イラクの問題でもそうなんだけれど、毎日死者がでて、家庭が破壊されてるわけでしょう。平和のためだとか、いろんなことをこじつけていったって許せないよ、そういうことは。戦争は家庭を破壊するものだ、というような感じをぼくは戦争体験者として持ってるわけよね。それを同窓会のシーンで出したいと思ったんです。
僕は、少年時代に家庭が破産しまして、家がばらばらになりましたから、親と兄弟、血のつながりというものにもこだわってやってきたんです。もうひとつこだわるものがあったんですよ。子どものときに、小学校で、市本先生という人に出会った。これは本当に長いこと、なんとか、やらなければならないと思っていたんですね。
としをとってきて、いよいよ最後になってきたというような感じがしたので、これをやっておかないと、つまり、わたしの映画歴に穴が空いてしまうというような感じがありまして、五年前にやっとシナリオを書いたんですよ。でも、いわゆる、地味な話なんだよ。
風 準備中に体調の問題もあって、大変だったね。
兼人 シナリオを書いて、実行に移したんですけどね、その時に病気をしまして、一年ほど延びたんです。その病気の間にいろいろ考えたんだなぁ。
風 死ぬかと思ったんだよね。
兼人 死ぬかと思ったんですよ。肺炎をやりましたから。
風 それで、パニックになっちゃった。
兼人 老人が肺炎をやるとだいたい死ぬでしょう。ところが、生き返ったというか、元気になっちゃったんです。そのあいだにいろいろ考えましたですよ。やっぱり、平凡な大きさというものに集中してみたい。先生と生徒たち、この師弟の関係ですね。それは親との関係と同じように、人間にとって大きな問題だと思うんですよ。一生懸命なものは、暗くても明るさもあるのではないかという感じなんですね。暗くても明るいのはおかしいけど、どこか明るいところがある、一生懸命さというものについては。
病気したことでせりふが変わり
風 監督が病気したことで台本を少し現場で変えるようなこともありましたね。良人が先生をお見舞いに行くシーンなんかは大きくせりふが変わっていて。台本では普通の、久しぶりです、みたいなやりとりがあった。道端のコスモスを摘んでいくことになったんですね。それをお見舞いとして渡すのに、「道端からもぎとってきたのか」と先生がいうのね。良人は「はい、摘んできました」と普通に答える。先生の夫人が「花は見られるために美しいんですよ」というせりふのところがあって、そこが大きく変わったところなんです。
兼人 先生は、死が近づいてるから命に敏感になっていて命をもぎとってきたのか、という。台本をその場で突然変えたというか、そういうことです。
（つづく）
- 「石内尋常高等小学校 花は散れども」９６歳の新作映画／対談／新藤兼人さん／新藤風さん／５（しんぶん赤旗） gataro 2008/10/01 23:16:35
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