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2007/07/02
見直される1980年代の怪事件 [ パワーポリティックス非公式情報 ]
1980年代に起こった「怪事件」を見直す動きが出ている。ひとつは1982年6月にイタリアの大手銀行「バンコ・アンブロシアーノ」の会長だったロベルト・カルビがロンドンで首吊り死体となって発見された事件、もうひとつはパンナム103便が1988年12月にイギリスのロッカビー上空で爆破されて270名が殺害された事件である。
カルビ事件をイギリスの捜査当局は自殺として処理したものの、当初からIOR(バチカン銀行)を舞台とした不正融資や「緊張戦略」に基づく一連の破壊活動に関係しているとする人は少なくなかった。死の直前、カルビには1980年8月のボローニャ駅爆破事件に絡んで逮捕状が出ていたとする話も伝わっている。この爆破事件では85名が死亡している。
死体が発見された状況は自殺と考えにくいということもあり、イタリアの捜査当局もカルビは殺害されたと判断、2005年10月にはコーザ・ノストラ(通称:マフィア)の「会計係」と言われるジュゼッペ・カロ、実業家のエルネスト・ディオタレビとフラビオ・カルボーニ、カルボーニのガールフレンドだったマニュエラ・クレインシグ、そしてカルビのドライバー兼ボディーガードだったシルバノ・ビットーを被告とする裁判が始まった。
第2次世界大戦の途中からアメリカの情報機関と連携、勢力を拡大したコーザ・ノストラは麻薬取引で荒稼ぎしていたが、その儲けをマネーロンダリングしていたのが非公然秘密結社P2のリチオ・ジェッリ。資金はバチカン銀行やP2系の民間銀行に預金されていた。P2の幹部だったカルビも資金操作に関わっていた。なお、カルビの「前任者」と言われているミケーレ・シンドナはイタリアの刑務所で服毒死している。
バチカン銀行の不正融資はアメリカ政府の対東ヨーロッパ工作と関係していると言われ、流れた先にはポーランドの反体制労組「連帯」が存在していた。バチカンにはバルト海からエーゲ海のまでの地域を共産主義者の手から取り戻し、「キリスト教国家」として統一しようとする組織が存在していた。「インターマリウム」である。戦後、ナチの残党をラテン・アメリカへ逃がしたことでも知られている結社だ。ポーランドはその「キリスト教国家」の中心的存在になるはずだった。(拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』には一連の出来事が詳しく記述してある。)
しかし、この裁判でカルビ事件が「一件落着」とはならなかった。今年6月にローマの高等治安裁判所はカロ、ディオタレビ、カルボーニ、ビットーの4人には「証拠不十分」で無罪、またクレインシグは事件に無関係だと言い渡したのである。
パンナム103便のケースではリビア人のアブデバセト・アリ・モーメド・アルメグラヒが2001年に有罪判決を受けて刑務所に入れられていたが、今年6月に「上告」が認められ、裁判が再開されることになった。
この事件は当初から「PFLP-GC実行説」が流れていた。1988年7月にアメリカ海軍の巡洋艦(イージス艦)がイラン航空655便をミサイルで撃墜、乗員乗客290名が殺されているのだが、「国際社会」はアメリカに対して寛容。こうした流れの中でロッカビー事件は起こったため、イラン機撃墜に対する報復ではないかとする見方が広がったのである。しかも、アメリカの秘密工作が関わっているとする話も流れた。
ジョージ・W・ブッシュ政権には1980年代に発覚した「イラン・コントラ事件」に登場した少なからぬ人物が関係している。21世紀は1980年代に始まる流れの中にあるとも言えるだろう。カルビ事件やパンナム103便撃墜が司法的にも決着がついていないことは、そうした現実を我々に示している。
Last updated 2007/07/02 07:24:57 PM