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(回答先: 【夜回り先生のエッセー】残りの夏休みに 家族や他人に笑顔を(中日新聞) 投稿者 天木ファン 日時 2007 年 8 月 14 日 11:15:49)
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/yomawari/list/CK2007071602032964.html
愛と優しさに飢え 寝顔に哀しみ覚える
2007年7月16日
今は真夜中です。一人の十六歳の少女が、私の事務所の片隅で、幸せそうな顔をしてぐっすり寝ています。あどけない少女の顔で。私は、時々その顔を見ながら、ただひたすら、全国の子どもたちからの相談メールに返事を送っています。
昨夜の八時頃(ごろ)です。私の事務所の隣に住む女性が、私の事務所に訪ねてきてくれました。「水谷先生、先生の事務所の前に夕方からずっと一人の少女が立っています。先生のところに来た子ではないですか」私は、すぐに外に出て、その少女を事務所に招き入れました。なかなかの厚化粧、はでな子でした。「おなかすいてるかい」、少女は、ちいさくうなずきました。私は、夕食の用意をし、少女に勧めました。少女は、「おいしいかい」という私のことばに大きくうなずきながら、たくさん食べてくれました。そして、そのあと話しを聞きました。
少女は、関西の児童自立支援施設から脱走して、私の元に訪ねてきました。少女は、障がいを持つ弟とお母さん、義理の父親の四人家族の中で育ちました。お母さんは、いつも弟にかかりっきり、その寂しさと貧しさの中で、小学校のころから万引を繰り返しました。何度も警察に捕まり、そして中学二年生のときから、この施設に収容されました。親からは、「いらない子、もう帰ってこなくていい」と、帰る家を失いました。そして、寂しさの中で、さらに脱走、万引を繰り返し、施設での生活を続けることになりました。でも、夏休み、他の施設の子どもたちは、みんな一時帰宅で家に帰っていきます。取り残された寂しさの中で、また脱走。夜の町で偶然出会った女性が、かつて私がかかわったことのある人で、私の元に行くようにと、事務所の住所を伝え、新幹線に乗せてくれました。私は、すぐに施設に連絡を取りました。今回の脱走は、単なる夜回り先生の元への彼女の修学旅行、警察や関係機関にそう伝え、処分しないよう依頼しました。でも、明日には、羽田から飛行機で関西に帰さなければなりません。哀(かな)しいです。
私は、少女に伝えました。「自分がしたことはきちんと施設で償おう。水谷は、明日から動くよ。明日作ろうね。そうだ、明日から月に一回、三十個の夢を手紙に書いて送ること」彼女は、大きくうなずいてくれました。
子どもたち、水谷は哀しいです。今そばで、幸せそうに眠っている少女の顔を見るたびに哀しいです。日本中に、この少女のように、愛や優しさに恵まれない子どもたちが、いっぱいいます。でも、生きている限り、私はその子どもたちのために動きます。