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海を越える新任務 <2>海幕主導 (東京新聞)
http://www.asyura2.com/07/senkyo41/msg/191.html
投稿者 天木ファン 日時 2007 年 8 月 24 日 20:54:55: 2nLReFHhGZ7P6
 

(回答先: 【新防人考 変ぼうする自衛隊】第三部 海を越える新任務 <1>日常化するインド洋派遣(東京新聞) 投稿者 天木ファン 日時 2007 年 8 月 24 日 20:51:25)

http://www.tokyo-np.co.jp/feature/sakimori/news/070528.html

背広組に広がる疑心

 「海上自衛隊はいかなる支援も惜しまない」

 「ありがとう、感謝する」

 米中枢同時テロ直後の二〇〇一年九月十一日深夜。石川亨海上幕僚長(当時)は、在日米海軍のチャプリン司令官(同)に電話をかけた。

 支援はただちに実行された。海上幕僚監部は米軍基地のある東京湾と佐世保湾の警備を決定。非常呼集された乗員を乗せた護衛艦や掃海艇は十二日早朝、港湾の出入り口を目指し、次々に出航して行った。だが、それだけでは終わらなかった。

 横須賀基地上空は羽田空港の飛行ルート。飛び交う旅客機は米兵に、世界貿易センタービルに突っ込んだハイジャック機を連想させた。

 同月二十一日、米空母キティホークなど四隻の米艦艇が横須賀から出航した。「アフガニスタン攻撃への参加」と報道されたが、実際には緊急避難だった。米軍の要請を受け、護衛艦二隻が米艦艇を挟む形で事実上の護衛にあたった。

 港湾警備と空母護衛の根拠は、防衛庁設置法の「調査・研究」。だが、同法は防衛庁の所掌事務を定めた法律で、所掌事務とは自衛隊を管理すること。そして自衛隊の任務は日本防衛にある。

 米軍を守れば、日米の連携が強まり、いずれ日本防衛につながるかもしれない。だが、空母護衛は憲法で禁じた集団的自衛権行使に触れかねないきわどさがあった。

 実施前、庁内の会議は紛糾した。「根拠があいまいすぎる」と渋る背広組の内局を、海幕が「日米同盟が崩壊してもいいのか」と説き伏せた。

 海上自衛隊は冷戦期、ソ連の潜水艦封じ込めで米軍と協調し、陸海空自衛隊の中で一番、米国との関係が深い。「旧日本海軍の末裔(まつえい)」を公言する彼らは独立心が強く、五分五分の力で日米同盟を支えているとの強烈な自負がある。

 空母護衛には誤算があった。首相官邸が「聞いていない」と不快感を示し、自民党内から「海自は調子に乗っている」との批判が上がったからだ。

 後にインド洋へ派遣する艦艇から高性能のイージス護衛艦を外させたのは自民党だ。シビリアンコントロール(文民統制)の面目を保ったのだろうが、文民統制をめぐっては、今も謎が残る。

 同時テロから八日後、小泉純一郎首相(当時)は、七項目の緊急対応措置を公表した。この中に「米軍等への補給支援」があった。実は同じ項目は、海幕が独自にまとめた「海上自衛隊による支援策」にも書かれ、活動地はずばりインド洋となっている。

 当時、防衛庁内局は小泉首相が示した七項目をまったく知らなかった。対米支援に腐心する外務省が内局に相談することなく、たたき台をつくったからだ。

 「内局の考えた支援策は、米国民避難のための政府専用機派遣。そんなニーズは米国にはない。だめだと思った」と元海幕幹部は振り返る。制服組はひそかに外務省と連絡をとりあった。

 〇一年十一月九日、インド洋へ向けて海自艦艇三隻が日本を出発した。テロ特措法は国会審議中だったため派遣の根拠法は空母護衛と同じ、防衛庁設置法の「調査・研究」。違ったのは、この出航は官邸がゴーサインを出していたことである。

 「海幕は裏工作をしている」。このとき内局に生まれた疑心暗鬼は今も消えず、澱(おり)のように沈んでいる。

2007年5月28日

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