★阿修羅♪ > 雑談専用23 > 376.html
 ★阿修羅♪
ジョンストン氏の解放を求める4/12国際行動デーに当たり,BBC記者の安否がついに公式に確認された
http://www.asyura2.com/07/idletalk23/msg/376.html
投稿者 馬場英治 日時 2007 年 4 月 14 日 08:49:28: dcAX/x0KhXeNE
 

転載:http://exodus.exblog.jp/5502392/

本日午前0時11分(BST)発信のTHE SCOTSMAN によると,3月12日にガザ市内で誘拐され,1ヶ月間その所在も安否もまったく不明であったBBC特派員アラン・ジョンストン氏の無事が昨日,公式に確認された.それによると,パレスチナ自治政府のマハムード・アッバス大統領は同日BBC会長のマーク・トンプソン氏に「(お訊ねの)ジャーナリストは明らかに無事で元気にしている」ことを(多分国際電話で)伝えた.大統領はまた,「パレスチナ自治政府は彼の釈放を確保することに全力を注ぐつもりである」ことを同会長に約束した.

依然として犯行グループの正体は明かされず,事件の詳細も不明のままであるが,少なくともパレスチナ政府が犯行グループとの直接(ないし間接)交渉の場を持ち,その交渉が順調に進んでいることを示すものである.ここまで来れば,明日にも記者が解放されるようなことがあっても何ら不思議はない.しかしことは慎重を要する.この事件が一種の国際謀略であることを疑う十分な理由がある以上(後述する),万が一にも取り返しの付かない失敗を冒さないよう,慎重の上にも慎重を期さなくてはならない.パレスチナ自治政府の真価が問われる局面である.


BBC記者の誘拐事件が公けに確認された後,発足したばかりの連立政府には問題の迅速な解決を求める国際社会からの強いプレッシャが掛けられて来たが,ここにきてようやく解決の目処が立ったことがこの発表によって明らかとなった.これまでEUを始めとする欧米諸国は総選挙によって成立した連立政府の正当性を認めつつも,挙国一致内閣のハマス・メンバーとは一切接触しないという原則を固持してきたが,今回の事件がきっかけとなって初めて非公式ながらリチャード・メイクピース英国総領事がイスマイル・ハニヤ首相(ハマス系)と直接会合を持つに至ったことが注目される.(EU議長国のメルケル独首相,米国務長官コンドリーザ・ライスもこの時期にパレスチナを訪れているが,この件は議題には上らなかった模様.メルケル首相はパレスチナの捕虜となっているイラク兵士ギラド・シャリットの釈放については言及している.)


Richard Makepeace, British Consul General, meets with Ismail Haniyeh, Palestinian prime minister

パレスチナのジャーナリストたちは及び腰の政府・議会に300人規模のデモをかけ,ピケットを張って強い抗議の意志を示し,政府関係のニュースを一切報道しないという強力なボイコットを推進した.メルケルがパレスチナを訪問したときでさえこのボイコットは敢行されたという.運動はパレスチナ全地に広まり,ガザを始めとして,ラマラ,ナブラス,ジェニンでもジャーナリストの抗議集会が開催され,ガザでは子どもたちがデモ行進の先頭に立った.EUを始めとする欧米諸国の政府・国際人権団体・ジャーナリストの国際団体も抗議の声を挙げ,BBCのサイトにはわずか2,3日で全世界の著名ジャーナリストを含む8000余りの請願署名が集中した.

アラン・ジョンストンが誘拐されてから1ヶ月目に当たる3月12日には,世界各地でジョンストン氏の解放を求める国際行動が展開され,BBC,CNN,Sky,al-Jazeeraの4大メディアが共同してジョンストン救出のために世界同時放映の特別番組を放送するという史上希に見る画期的な取り組みが行われた.この特別番組はパレスチナ西岸のラマラから世界に向けて送信され,記者会見会場に駆けつけたジョンストンのご両親は囚われた息子への手紙を発表した.


Margaret Johnston, the mother of Alan Johnston, the BBC journalist kidnapped in Gaza City a month ago, passes by posters of her son at a press conference held by the family yesterday to call for his release. Picture: Peter Macdiarmid/Getty Images

私がこの事件に気付いたときには既に事件発生から20日余りが過ぎていたのだが,当初からこの事件はこれまでパレスチナ自治区,取り分けガザ地域で頻発していた外国人誘拐事件とはかなり様相の異なる展開になりそうな気配があった.これまでの例では人質は最長でも2週間程度で解放されているが,今回は私が気付いた時点ですでに最長拘束期間のレコードを書き換えていた.読者は多分,この事件と「BBC大炎上WTC7解体予告編事件」と呼ばれるスキャンダルが一本の糸で結ばれているという私の仮説をお読みになっていることと思う.私が事件をこのような角度から見ることになる心理的負荷としてBBCスキャンダルに関して過去に書いたエントリに含まれる記述が関係しているが,以下ではその論旨から離れてもなおこの事件が何らかの国際的謀略にからむものであるという可能性を,やや焦点を絞って示したいと思う.

どちらかというとその反響はむしろ抑制的であったような気がするのだが,ある意味でこの誘拐事件よりももっと重大な事件がこの事件の4日後に発生している.国連パレスチナ難民救済機関(UNRWA)責任者を乗せた車両がガザで待ち伏せ襲撃を受けたという事件である.

3月16日,UNRWAガザ地区責任者ジョン・ギング氏の乗った車両がイスラエルからガザ地域に入るエレズ検問所を通過して1キロほどのベイト・ハヌンに差し掛かったところで白いスバルによって進路を妨害されたため停止したところ,中から覆面をした男たちが銃を手に飛び降りて車に駆け寄りドアを開けようとしたが,ロックがかかっていたため賊はただちに銃撃を開始した.運転手はそのまま車を発進させて全速力で現場を離脱し辛うじて危機を脱することができたが,この銃撃で車体には11個の弾痕が残された(14発とも).防弾装甲されたランドクルーザには運転手の他に,ギング氏と警備担当者が同乗していたが,全員無事だった.

時刻は不明だが間違いなく白昼の出来事であり,車両には国連のマークが描かれボンネットには国連旗が旗めいていた.ニューヨークの国連スポークスウーマン,ミシェル・モンタスによれば,車両はギング氏の車を中に挟んで3台で車列を組んで移動していたという.UNWRAのスポークスウーマン,ジーナ・ベネベントの説明でも同様に,車列を組んでいたことになっている.この事件はジョンストン記者誘拐事件の陰に隠れてこのまま迷宮入りしそうな気配が濃厚だ.

事件後ギング氏は,パレスチナ当局に攻撃者の捜査を求める一方,このような一握りのガンマンの攻撃にひるむことなくガザに留まって彼の任務を引き続き遂行する決意を表明した.現在ガザのUNWRAに派遣されている外国人職員は8名程度と思われるが,今のところ人員を引き上げたという情報はない.ただし,休暇などで帰国しているメンバーはしばらく待機を続けることになった模様.UNWRAの業務は従前通り滞りなく遂行されている.(FOX は国連本部がガザ地区のすべての外国人スタッフの総引き揚げを命じたと報道しているが,おそらく誤報である)


John Ging, the Gaza director of UNRWA, center, speaks to colleagues after gunmen open fired on his vehicle in Gaza City, Friday. Photo: AP

UNRWA(United Nations Relief and Works Agency) はガザのパレスチナ難民を援護する国連機関であり,11000人ほどの現地スタッフ(ほとんどはパレスチナ人)を抱えて,食糧配給・住居・学校・医療などのサービスを行っている.UNRWAは事実上ガザにおいて非政府機関では最大の雇用者であり,人口140万人のガザ市の70%の人々を援護している.これらの難民は1948年の中東戦争以来居住地を失った人々とその係累だが,UNRWAがガザ地区経済に占める重要な位置とその役割を理解していないパレスチナ人はおそらくいないだろう.2006年の国連による統計では西岸地区の失業率は29%,ガザ地区では39%に達する.

(もちろん,パレスチナ紛争の根本原因が第二次大戦の終戦処理に関わった戦勝国に一義的にあることは明らかであり,これらの難民たちはその政策的誤りの犠牲者であるのだから国際社会がその責任を負うことは―人道的見地を抜きにしても―ある意味で当然ではあるが…)

2006年1月に行われたパレスチナ評議会選挙で,ハマスは圧倒的な勝利を収め,全132議席のうち,74議席を獲得した.独立系の議席80を加えると206議席となり,ファタハの43議席を大きく上回る安定与党を構成することになった.ファタハの敗北は和平交渉の行き詰まりと自治政府の腐敗・無能に民衆が愛想をつかしたためと考えられる.しかし,イスラエルはパレスチナ政府の歳入をブロックして財政破綻の淵に追いやり,さらにはファタハに肩入れして武器を大量に供与するなどしたため,ハマスとファタハ間の紛争が激化しパレスチナは収拾のつかない混乱に陥った.最終的にサウジアラビアのアブドラ国王が調停に乗り出し,2月8日に両者の間でメッカ協定が成立,3月15日にハマス・ファタハのパレスチナ連立政府の樹立が宣言された.

これに先立つ3月12日にはジョンストン記者誘拐事件が発生,追い討ちを掛けるように3月16日には上記した国連機関の車両襲撃事件が起きた.このような困難な状況の中でパレスチナ評議会は3月17日連立内閣の信任投票を行い,晴れてパレスチナ挙国一致内閣が発足する.これらの事象を時系列を追って調べれば結論は自ずから明らかであろう.一言で言えば,ハマス主導のパレスチナ自治政府の倒壊を目的とする外部からの集中攻撃である.報道では一般に誘拐事件を実行したのはガザの有力マフィアであるダグマッシュ一族であるとされ,また国連車両襲撃はアルカイダ系国際テロリストグループの仕業であるとほのめかされている.しかし,これら2つの事件がまったく同じグループによって実行されたことを示すきわめて単純な一つの事実がある.実際,読者はあまりの単純さにあきれてしまうに違いない.


第1の事件に関わったのは4人の覆面をしたガンマンである.第2の事件では実行犯は3人になる(なぜ人数が減っているのかは読者のご想像にお任せしよう).第1の事件では犯行グループは白いスバルで記者を拉致したことが明らかになっている.第2の事件で使われた車も白いスバルである.これらの事実からもっともストレートに帰着される最有力な結論は「2つの事件は同一グループによって実行された!」というものである.ま,ま,押さえて,押さえて!世界一流の日本の刑事警察は私の意見に賛同するのではないか?おそらくパレスチナ警察もまたこの白いスバルを懸命に探して,ついに発見したのだろう.いずれにしても,実行犯は小グループ,BBC記者が現在監禁されているところも,廃車のバスでバリケードを築きガンマンが24時間パトロールしているマフィアの要塞のような場所ではない,というのが私の推理である.

第1の事件,ないし第1と第2の事件の両方にダグマッシュ一族が何らかの形で関与しているか,ないし少なくとも一定の庇護を与えている可能性がある.また,この犯行グループがいわゆるイスラム原理主義グループと呼ばれる国際的ネットワークに繋がるものであることもほぼ確実だろう.しかし,それはもう一回り大きな国際謀略の手駒でしかない.大詰めのドラマがどのような展開になるのか?私は知らない.しかし,一つだけ忠告することがあるとすれば,もし,犯行グループのアジトを強襲するという作戦があるとすれば,その部隊のメンバーの選択は十分吟味する必要があるということだけだ.最後の土壇場で味方の方から発射した銃弾が救出を待っている人間に命中するようなことがあってはならないからである.(馬場英治)

【続きを読む】

Reporter's family pleads for release (The Scotsman, 2007-04-13)
Media unite to seek BBC man's release (BBC NEWS, 2007-04-12)
Sources: "Palestinian officials disappointed by Merkel's visit (IMEMC News, 2007-04-02)
UK in talks with Hamas over BBC reporter (Telegraph.co.uk, 2007-04-06)
UN aid chief calls on PA to track down gunmen who attacked him (HAARETZ.com, 2007-03-17)
UN mission chief attacked in Gaza (The Jerusalem Post, 2007-03-16)
UN aide attacked in Gaza (International Herald Tribune, 2007-03-16)
U.N. Pulls Staffers From Gaza After Gunmen Try to Kidnap Mission Chief (FOX News, 2007-03-16)
Gunmen Try to Kidnap U.N. Refugee Chief (The Washington Post, 2007-03-16)
ハマス対ファタハの内戦?ーー問題点の再整理(付記あり) (Staff Note, 2006-12-30)

 次へ  前へ


  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ      HOME > 雑談専用23掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。