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最終解決を探る段階に入ったBBC記者ジョンストン氏誘拐事件:大岡裁きの三角トレードは成立するか?
http://www.asyura2.com/07/idletalk23/msg/404.html
投稿者 馬場英治 日時 2007 年 4 月 17 日 05:19:21: dcAX/x0KhXeNE
 

(回答先: ジョンストン氏の解放を求める4/12国際行動デーに当たり,BBC記者の安否がついに公式に確認された 投稿者 馬場英治 日時 2007 年 4 月 14 日 08:49:28)

転載:http://exodus.exblog.jp/5520359/

既報でもお伝えしたように,聖戦統一旅団(the Kataeb al-Jihad al-Tawheed)と名乗るパレスチナ武装グループが3月12日以来行方不明になっていたBBCのガザ特派員アラン・ジョンストン氏を処刑したというニュースがネットを駆け巡っている.私は当初からこの情報はガセネタと見ていたが,今日の午前10時(日本時間で午後7時?)頃AFPから否定的な情報が流れてきた.この情報はAFPのサイトで確認できる.イスラエル系のHAARETZもパレスチナ政府筋が殺害されたという情報を否定しているという記事を書いているが,HAARETZは14日(土曜日)に政府筋に当たって確認したと言っているので,やや時間関係に齟齬が見られる.(一般にはグループは日曜日に情報を報道機関に送ったとされているので)

AFPのニュースサイトが本日(4/16)10:55ウェブに掲載した記事によると,パレスチナ自治政府のイスマイル・ハニヤ首相(ハマス系列)はあまり知られていないこのグループのクレーム(主張)を立証する事実は存在しないと語った.ハニヤ首相はやや婉曲な言い回しを用いているが,これは事実上このグループの主張が無根拠であるという断定であり,翻って現時点におけるアラン・ジョンストン氏の生存が公式に確認されたと受け止めてよい.

偽情報が配布された形態は報道元によってさまざまであり,ガザの報道機関にFAXで流されたとするもの,Eメールが現地ジャーナリストに送付されたとするもの,インターネット上に声明文が公開されていたとするものなど各種あるが,いずれにしてもまったくコストのかからない誰にでも(匿名で)できるような発信形態である.つまり,この程度のいたずらなら中学生にもできる.問題はなぜこのような偽情報がこの時期に流布されたのか?という点にある.

ネット上でこの情報が流れ始めたのは4月15日と考えられるが,これに先立つ4月11日にはラマラでBBC会長マーク・トンプソンがパレスチナ自治政府のアッバス議長と会見し,議長からBBC記者の生命に異常はなく,健康状態も良好であるという確証を得ている.重ねて議長は「記者の解放を保証する」と確言した.これを単なる希望的観測に基づくリップサービスであると疑うべき理由はない.翌4月12日にはBBCがCNN,Sky, al-Jazeela の3大テレビネットワークと協賛してジョンストン救出の世界規模のキャンペーンを華々しく展開した.

グループは声明文の中で,「全世界はこのジャーナリストのために総動員されたが誰一人至るところの我々の何千という囚人を助けるために指一本動かしてくれなかった」と述べている(原文はこちら).この「我々の何千という囚人」とは,文脈的には「イスラエルに抑留されているパレスチナ人」と見るのが素直だろう.現在イスラエルには12000人ほどのパレスチナ人が拘束されていると推定されている.しかし,そう考えると彼らがこの声明文の中で「この殺人の責めはパレスチナ政府と英国政府が負うべきものである」としている部分と整合しなくなる.イスラエル=欧米と見ることはできるとしても,イスラエル=英国(BBC)という見方には飛躍がある.BBCはどちらかというと「アラブ寄り」という評価があるからだ.グループはむしろ,「この殺人の責めはパレスチナ政府とイスラエル政府が負うべきものである」とすべきだった.(実際,英国=BBCは単に巻き込まれた被害者であり,何の責むべき点もないことは明らかである.)

確かに,もしどのようなグループであれ,「この殺人の責めはパレスチナ政府とイスラエル政府が共に負うべきものである」のような声明文を発表したとすれば,世界は仰天するに違いない.このパラドックスにこの誘拐事件の不可解な謎のすべてが込められていると言っても差し支えないのだが,まずその前に4月6日にさかのぼってもう一つの重要なポイントを確認しておくことにしよう.AFPはすでに4月6日の時点で『アッバス・パレスチナ自治政府議長、「BBC記者は間もなく解放」と発言』というスクープを放っている※.このときアッバス議長は,ジョンストンの釈放と前後してイスラエル兵,ギラド・シャリットも釈放されるだろうという見通しを語っている.※AFPはこの問題の解決に当たって統括的広報のような役割を負っていると見てよい.

アッバス議長の発言の要点は次の2点である.
(1)ジョンストンの釈放については,ほぼ話は付いている.
(2)シャリットの釈放については,現在交渉中である.

つまり,4月6日の時点でジョンストン記者誘拐事件の幕引きの大筋は決まっていたのである.しかし,ジョンストンとシャリットという2人の虜囚交換という筋書きには大きな難点が2つある.一つは4/14エントリで述べたようなパラドックス[キーワード:世界ゲーム]である.もう一つは,シャリットを束縛している勢力に取ってこの取り引きは何のメリットもないという明からさまな事実である.4月1日にEU議長国のドイツ首相メルケルがパレスチナを訪問した際,パレスチナ政府との間でシャリットの釈放についての交渉がなされたことが確認されている.このとき,パレスチナ側は400〜1500人程度のイスラエル抑留捕虜の釈放を交換条件に出したとされる.

ここまで読んで頂ければ,なぜここで突然,唐突にも「パレスチナ囚人釈放要求」が「処刑声明文」の中に現れなくてはならないかがご理解頂けるだろう.この問題がある種の三体問題のような厄介な構図になっていることに気付かれただろうか?多体問題とは相互作用する三体以上からなる系を扱う問題である.二体問題には厳密解が存在するが,三体以上になると解けないことが知られている.ここでは大岡越前守の三方一両損という解法の応用を考えてみる.中抜きで結論だけを提示するとしたら,最終的な交換条件は次のようなものになると考えられる.以下ではイスラエルを[I],パレスチナを[P],ジョンストンを拘束しているグループを[J]と表記することにしよう.

手順1.[J]はジョンストンを解放する.見返りに[I]はパレスチナ人捕虜X名を釈放する.
手順2.[P]はシャリットを解放する.見返りに[I]はパレスチナ人捕虜Y名を釈放する.

まず,手順1を実行し,適当な時日経過後に手順2を実行する.なぜ手順1と手順2を同時に実行できないのか?もちろんそうしてもいいのだが,それでは話がややこしくなり過ぎる(というより裏がバレバレになってしまう). 手順1では英国(BBC)がイスラエルに捕虜の解放を要請する.イスラエルはパレスチナにすでにアラブ系某国の外交官を代理人として送り込んでいるので,現地で手打ちができるだろう.手順2はイスラエル政府とパレスチナ政府の交渉であるから,特に裏も表もない.大岡裁きでは越前守が懐から一両取り出して四両とし,それを訴人2人に分けて三方一両損とするのだが,ここでの[I]の動きはそれに少し近いかも...

落語「三方一両損」の舞台を歩く

 財布を拾うと印形と書き付けと3両が入っていた。書き付けから神田竪大工町、大工の”吉五郎”と分かり届けてあげると、鰯の塩焼きで一杯呑んでいた。「勝負!」と言いながら中に入り、白壁町の左官の”金太郎”だと名乗りを上げる。「落とした財布を届けてやった」と言うと、「書き付けと印形は俺の物だから貰うが、3両はもう俺のものではないので、やるから持って帰ぇれ」と言う。「金を届けてけんかを売られりゃ〜世話がねぇ。」「よけいなことをしやがる」「なんだと〜!」。で、けんかになって大家が仲裁に入る。吉五郎は受け取るどころか大家にも毒ズキ啖呵を切る。大家も我慢が出来ず、「大岡越前守に訴えて、白州の上で謝らせるのでお引き取りください」とのことで、帰ってくる。

 こちら、金太郎の大家はその話を聞いて「おまえの顔は立ったが、俺の顔が立たない。こちらからも訴え出てやる」。双方から訴えが出て、御白州の場へ。大岡越前が裁いても吉五郎も金太郎も3両はどうしても受け取らないと言う。「ならば、この3両を越前が預かり、両名に褒美として金2両ずつ下げつかわす」との裁定。大家が成り代わってお礼を言うと、その訳を「金太郎そのまま拾っておけば3両、吉五郎そのまま受け取れば3両、越前守そのまま預かれば3両有るが、越前が1両を出して双方に2両ずつ渡したから、三方1両損である」。

 時間を取らし空腹であろうからと双方に膳部(料理)が出る。「鰯と違って、鯛の塩焼きは旨いな」と言いながらほおばると、越前守が「両人、あまり空腹だからといえ、たんと食すなよ」「お〜かぁ〜(大岡)食わねぇ、たった一膳(越前)」。

ここまで読み進んで下さった読者には申すまでもないところだが,アラン・ジョンストン処刑声明文にはもう一つの狙いがある.つまり,例によって「アルカイダ系イスラム原理主義者の仕業」という『刷り込み』である.『刷り込み』の要諦は,大きな精神的ショックを与え呆然自失するところに,虚偽の情報を流し込むというのがもっともオーソドックスな手法だ.『処刑』というインパクトが今回の設定である.私は「アルカイダ・テロリスト・グループ」というのが実在しないとは必ずしも思っていない.むしろ,それを誰が育成し,誰が資金を供給し,誰がコントロールしているか?が問題である.このような情報の流通をトレースするとある程度状況を掴むことができる.

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BBC記者アラン・ジョンストン氏の無条件即時解放を訴える!

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