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(回答先: 労働組合に関するメモ@ 投稿者 heart 日時 2007 年 2 月 12 日 01:51:40)
以下、URLの明記のないものは「労働組合法」(西谷敏著)より引用。
◆労働組合vs. 従業員代表機関
労働組合:@労働者と使用者の利害の基本的対立を前提とした存在であり、争議行為を含む団体交渉によってその対立を解決しようとする。
A労働者の加入に基づいて結成され、独自の規約と財政をもったひとつの社団的組織
B労働組合と使用者との協定である労働協約が組合員を拘束する根拠が、最終的に労働者の加入意思に求められる
C財政は、任意団体としての性格上、主として組合員の支払う組合費によってまかなわれる
従業員代表機関:@企業ないし事業所という使用者と共通の基盤の上で、労使の利害の調整をはかろうとするもの⇒通常、争議行為を主導することはできない
Aある企業や事業所の従業員であるという属性に基づいて人為的にくくられた集団にすぎない
B従業員代表が使用者との間で締結した協定が拘束力をもつ場合、その根拠はもっぱら法律の規定に求められる。
C活動に必要な経費は通常は使用者が負担する
▽【heart】企業内民主主義、個人の自己決定権ということを考えるのならば、加入及び活動の際により自主性の求められる労働組合の方がよい(もっとも、ユニオンショップ協定で労組に強制加入させられる場合は、少なくとも加入の際には自主性が求められるとは言えない)。
また、使用者にとって、労働者を子飼いにしやすいのは明らかに従業員代表機関の方であり、それを考えても、やはり労働組合の方が労働者にとってはよい。
◆従業員代表機関vs. 労使委員会
従業員代表機関:労働者代表としての独立性を前提としている。
労使委員会:労働者代表と使用者代表が構成する機関⇒使用者の決定に対して労働者代表が異を唱えることは事実上極めて困難と考えられるので、このような委員会に重要な権限をもたせることには、基本的な問題がある。
▽【heart】
従業員代表制度の立法化がどうなったかはわからないが、労使委員会については、「常設的な労使委員会制度の整備」ということが、労働契約法に盛り込まれようとしている↓
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/09/s0915-4.html
の中の「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」報告書(ポイント)(図)(PDF:112KB)(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/09/dl/s0915-4a.pdf)等を参。
◇従業員代表者制度の立法化に対する懸念・批判(http://www.rengo-soken.or.jp/dio/no162/tokusyuu1.htm)
□労働組合の新規結成及びその活動を阻害する恐れ
従業員代表制度の立法化が行われたとしても、別に労働組合が結成できなくなるわけではない。しかし現実には、いったん企業内に従業員代表組織が制度化されると、その企業内に労働組合が新たに結成される余地はきわめて小さくなるであろう。実際、アメリカでは、労働組合との交渉を嫌った経営側が、自ら「御用組合」(カンパニー・ユニオン)を結成して純正な労働組合の誕生を阻止するという事態が起き、その反省から、労働組合以外の従業員代表組織の結成は不当労働行為として禁止されている。日本でも、使用者のイニシアティブで自主性を欠く労働組合が結成されると支配介入の不当労働行為(労組法7条3号)に該当する可能性が高い。いずれにせよ、無組合企業における従業員代表組織の設置を法的にサポートすることは、労働組合の結成への阻害行為となりうるし、有組合企業においても労働組合の活動の阻害要因となりうるのである。
□従業員代表制度は労働組合の機能を完全に代替することはできない。
日本の労働組合は、企業別組合であり、経営側との間で、団体交渉やストライキを前提とした敵対的関係ではなく、労使協議を重視した協調的関係を形成しようとしてきたことからすると、実質的には、そもそも従業員代表的な労働組合である、という評価もできるかもしれない。しかし、労働組合が従業員代表的な実態を有していることから、労働組合と従業員代表とを同視するということには論理の飛躍がある。というのは、労働組合がストライキなどの争議権を留保したうえで、あえて協調的な労使関係を築くということは「労働組合」の戦略としてありうるとしても、そこから、労働者代表として、団体交渉権や争議権をもとから有さない従業員代表組織で十分であるという結論は当然には導き出されないからである。
・・・労使間のコミュニケーションという観点を重視すれば、従業員代表組織でも労働組合でも大差はないであろう。また労働組合であっても、「駄目な労働組合」もあるのであり、そうであれば「頑張っている社員会(従業員代表組織)」のほうがよいということにもなる(報告書4章も参照)。ただ、経営側と労働側の利害は潜在的には対立するものであることからすると、労働者代表の制度を構想する際には、経営側とのコミュニケーションという観点だけだけでなく、労働者の利益が決定的に損なわれる措置が経営側によってとられようとしているときに、それをどこまで阻止することができるのか、という観点も念頭に入れておかなければならない。労働組合の力の主たる源泉は、団体交渉権や争議権を保有して、「自力」で経営側との交渉力の格差を是正していくことができる点にある。団体交渉権があるとは、具体的には、経営側を交渉のテーブルに引っ張り出すことだけでなく、合意形成に向けた誠実な交渉を求めることもできるということであり、また争議権があるとは、団体交渉において交渉を有利に進めるために実力で圧力をかける手段があるということである。
◇従業員代表者制度の立法化に対する肯定的意見はこちら↓
http://www.rengo-soken.or.jp/dio/no162/tokusyuu2.htm
▽【heart】上のページでは、労働組合に対しては、産業別組合などへの改組を提言している。従来の企業別組合のまま導入すべきではないとしても、産業別組合に移行し、定着した後なら立法化してもよいかもしれない。