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米サブプライム処理 足踏みする共同基金 「シティ救済?」根強い不信感
11月2日8時33分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
■頓挫なら公的資金投入も
サブプライム(高金利型)住宅ローン問題の震源地、米国で10月31日、連邦公開市場委員会(FOMC)が信用収縮に対応し追加利下げを決めた。この一方、財務省が抜本処理策として進める「共同基金計画」が金融機関の支持を集められず足踏みしている。金融機関のサブプライム関連損失は来年央にかけ一段と膨らむ見通しで、計画が頓挫した場合、公的資金投入が検討される局面が出てきそうだ。
≪金融当局からも疑義≫
計画では、金融機関が共同設立した基金が、金融機関傘下で債務担保証券(CDO)などサブプライム関連担保証券に投資している三十数社の「投資ビークル(SIV)」から担保証券を買い上げる。下落した担保証券の価格をつり上げる狙いだ。
SIVは低利の資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)を発行し高利回り担保証券への投資で利益を上げていたが、信用力低下でABCPが売れなくなった。欧米金融機関はすでに担保証券の値下がりにより直近の四半期決算で巨額損失を出しているが、SIVが資金難を解消しようと担保証券を投げ売れば暴落が起き、経営危機に陥る金融機関が出かねない情勢だ。
担保証券の価格つり上げは、金融業界全体の利益にかなうはずだが、参加を発表した金融機関はほとんどない。ブルームバーグによると主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の要請でサブプライム対策を検討している金融安定化フォーラム(FSF)のドラギ議長(イタリア中央銀行総裁)が「共同基金がきちんと機能するには、多くの課題がある」と述べるなど金融当局にも慎重意見がある。
≪損失の先送り≫
共同基金計画の課題に挙げられているのは、最大4000億ドルとみられる全SIVの総資産に対し基金の規模が小さい点や担保証券の買い取り価格の決定方法が不透明な点などだ。共同基金が7つのSIVを抱える米銀大手シティグループの救済に使われるとの不信感も根強い。
これだけではない。三菱UFJ証券の西田明弘シニアエコノミストは「計画は、金融機関の抱える損失を将来に先送りする対症療法」と指摘する。思惑通り、投資家が担保証券への投資を再開するとは限らず、担保証券が値下がりを続けた場合は評価損が拡大。損失処理の負担はさらに重くなるというわけだ。
米英両国ではここへ来て住宅価格下落が加速し、担保証券の魅力は急速に薄れている。ロイター通信によると、グリーンスパン前連邦準備制度理事会(FRB)議長は10月29日の講演で「市場はサブプライム関連証券への投資リスクが大きすぎるとの判断を下した」と語り、投資家がただちに担保証券への投資に戻ることはないと断言した。
サブプライムローン契約の多くは来年半ばにかけ返済負担が増し焦げ付きが本番を迎える。こうした中で共同基金計画が機能しなければ「金融機関の損失処理に公的資金投入を迫られる」(西田氏)とのシナリオが現実味を帯びる。(佐藤健二)
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【用語解説】共同基金計画
正式名称は「Master Liquidity Enhancement Conduit」。流動性資金の増強に向けた中心的基金といった意味。計画は9月中旬に、財務省が金融機関を集めて協議。シティ、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカの3行が10月15日に共同基金の設立を発表した。最大1000億ドル規模の基金を90日以内に組成する。投資ビークル(SIV)から担保証券を買い取るとともに、SIVの代わりに基金自らが資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)を発行して資金を調達。基金はSIVと同様、設立する銀行の財務とは切り離して運営されるため、市場関係者からは「スーパーSIV」とも呼ばれる。
最終更新:11月2日8時33分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071102-00000001-fsi-bus_all